他のシスコ ユニファイド コミュニケーション製品との相互対話の概要
ユニファイド コミュニケーション ネットワークで Cisco Unified IP Phone が機能するためには、Cisco Catalyst スイッチなどのネットワーク デバイスに Cisco Unified IP Phone を接続する必要があります。また、コールを送受信する前に、Cisco Unified IP Phone を Cisco Unified CallManager システムに登録する必要があります。
この項では、次のトピックについて取り上げます。
• 「Cisco Unified IP Phone と Cisco Unified CallManager 間の相互対話方法の概要」
• 「Cisco Unified IP Phone と VLAN 間の相互対話方法の概要」
Cisco Unified IP Phone と VLAN 間の相互対話方法の概要
Cisco Unified IP Phone 7911G にはイーサネット スイッチが内蔵されており、パケットを電話機本体および電話機背面のネットワーク ポートやアクセス ポートに転送できます。Cisco Unified IP Phone 7906G にはイーサネット ポートがあり、パケットを電話機本体およびネットワーク ポートに転送できます。
アクセス ポートにコンピュータが接続されている場合(Cisco Unified IP Phone 7911G の場合)、そのコンピュータと電話機は、スイッチへの同じ物理リンクとスイッチ上の同じポートを共有します。この共有物理リンクは、ネットワーク上の VLAN 設定に次のような影響を及ぼします。
• 現在の VLAN は、IP サブネットに基づいて設定されていることがある。しかし、電話機を、同じポートに接続されている他のデバイスと同じサブネットに割り当てる場合は、追加の IP アドレスが使用できなくなることがある。
• データ VLAN やネイティブ VLAN 上のデータ トラフィックによって、Voice-over-IP トラフィックの品質が低下することがある。
• ネットワーク セキュリティの観点から、VLAN 音声トラフィックを VLAN データ トラフィックから分離する必要が生じることがある。
これらの問題点は音声トラフィックを別の VLAN に分離することで解決できます。したがって、電話機を接続したスイッチ ポートは、次のトラフィック タイプごとに個別の VLAN を使用します。
• IP Phone で送受信される音声トラフィック(補助 VLAN。たとえば、Cisco Catalyst 6000 シリーズなど)
• IP Phone のアクセス ポートを介してスイッチに接続されている PC で送受信されるデータ トラフィック(ネイティブ VLAN、7911G のみ)
電話機を別の補助 VLAN に分離すると、音声トラフィックの品質が向上し、個々の電話機に割り当てるだけの十分な IP アドレスがない既存のネットワークに多数の電話機を追加できます。
詳細については、Cisco スイッチに付属のマニュアルを参照してください。また、次の URL から関連のマニュアルを参照できます。
http://www.cisco.com/univercd/cc/td/doc/product/lan/index.htm
関連項目
• 「電話機の起動プロセスの概要」
• 「ネットワークの設定メニュー」
Cisco Unified IP Phone 7906G および 7911G への電力供給
Cisco Unified IP Phone 7906G および 7911G は、外部電源または Power over Ethernet(PoE)から電力を供給できます。外部電源は、個別の電源装置から供給されます。PoE は、スイッチを電源とし、電話機に接続したイーサネット ケーブル経由で供給されます。
次の各項では、電話機への電力供給について詳しく説明します。
• 「停電時の注意」
• 「電力に関するガイドライン」
• 「電源に関する追加情報」
停電時の注意
緊急時に電話連絡を行うためには、電話機に電力が供給されている必要があります。電源が切断されている場合は、電源供給が再開するまで、修理サービスや緊急連絡用番号にダイヤルできません。電力異常または停電の場合、修理サービスや緊急連絡用番号にダイヤルする前に、電話機のリセットや再設定が必要になることがあります。
電力に関するガイドライン
表2-1 では、Cisco Unified IP Phone 7906G および 7911G に供給される外部電源と PoE 電源に適用されるガイドラインを示します。
表2-1 Cisco Unified IP Phone 7906G および 7911G への電力供給に関するガイドライン
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外部電源:Cisco 外部電源装置から供給されます。 |
Cisco Unified IP Phone 7906G および 7911G では、CP-PWR-CUBE-3 外部電源を使用できます。 |
PoE 電力:スイッチを電源とし、電話機に接続したイーサネット ケーブル経由で供給されます。 |
• Cisco Unified IP Phone 7906G および 7911G は、Cisco インライン パワーと IEEE 802.3af Power over Ethernet の両方をサポートします。 • 電話機の無停電運用を保証するために、必ずスイッチにバックアップ電源を用意します。 • スイッチ上で動作する CatOS または IOS のバージョンが、設置しようとする電話機に適合することを確認します。オペレーティング システムのバージョンの詳細については、スイッチのマニュアルを参照してください。 |
電源に関する追加情報
電源に関する追加情報については、 表2-2 に示すマニュアルを参照してください。これらのマニュアルでは、次のトピックについて説明します。
• Cisco Unified IP Phone 7906G および 7911G で使用できる Cisco スイッチ
• 双方向の電力ネゴシエーションをサポートする Cisco IOS リリース
• 電源についてのその他の要件と制約
電話機の設定ファイルの概要
電話機の設定ファイルは、TFTP サーバに格納され、Cisco Unified CallManager との接続に関するパラメータを定義します。通常、電話機のリセットが必要となるような変更を Cisco Unified CallManager に加えると、その変更内容は、電話機の設定ファイルにも自動的に反映されます。
設定ファイルには、電話機がどのイメージのロードを実行するかに関する情報も含まれています。このイメージのロードが、電話機に現在ロードされているイメージと異なる場合、その電話機は、TFTP サーバと交信して、必要なロード ファイルを要求します。これらのファイルは、ファイルの発信元の正当性を保証するためにデジタル署名されています。
また、設定ファイルのデバイス セキュリティ モードが Authenticated に設定されていて、その電話機の CTL ファイルに Cisco Unified CallManager の有効な証明書が設定されている場合、その電話機は Cisco Unified CallManager との TLS 接続を確立します。そうでない場合、電話機は TCP 接続を確立します。
(注) 設定ファイルのデバイス セキュリティ モードが Authenticated または Encrypted に設定されているが、電話機が CTL ファイルを受信していない場合は、安全に登録できるように、電話機は継続して CTL ファイルの取得を試みます。
電話機は、リセットを行うとき、および Cisco Unified CallManager への登録を行うときには、必ず設定ファイルを要求します。
次の場合、電話機は、TFTP サーバにあるデフォルトの設定ファイル(XmlDefault.cnf.xml)にアクセスします。
• 自動登録が Cisco Unified CallManager で有効になっていない。
• 電話機が Cisco Unified CallManager データベースに追加されていない。
• 初めて電話機が登録される。
自動登録が有効ではなく、かつ電話機が Cisco Unified CallManager データベースに追加されていない場合は、電話機の登録が拒否されます。この場合、電話機はリセットして繰り返し登録を試みます。
電話機が登録済みの場合、電話機は、SEP mac_address .cnf.xml ( mac_address は、電話機の MAC アドレス)という設定ファイルにアクセスします。
電話機の起動プロセスの概要
Cisco IP Phone は、VoIP ネットワークに接続すると、 表2-3 に示すように標準の起動プロセスを実行します。ご使用の Cisco Unified IP Phone では、個々のネットワークの設定に応じて、これらのステップの一部が省略される場合があります。
表2-3 Cisco Unified IP Phone の起動プロセス
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1. スイッチからの電源の確保 |
電話機が外部電源を使用していない場合、電話機に接続されているイーサネット ケーブル経由でスイッチからのインライン パワーが供給されます。 |
「Cisco Unified IP Phone 7906G および 7911G への電力供給」を参照してください。 「起動時の問題の解決」を参照してください。 |
2. 保存されている電話イメージのロード |
Cisco IP Phone には、ファームウェア イメージとユーザ定義プリファレンスを保存する、不揮発性のフラッシュ メモリがあります。起動時に、電話機はブートストラップ ローダーを実行して、フラッシュ メモリに保存されている電話イメージをロードします。このイメージを使用して、電話機はそのソフトウェアとハードウェアを初期化します。 |
「起動時の問題の解決」を参照してください。 |
3. VLAN の設定 |
Cisco IP Phone が Cisco スイッチに接続されると、このスイッチは、スイッチ上に定義されているボイス VLAN を電話機に通知します。電話機は、事前にその VLAN メンバーシップを認識しなければ、IP アドレスに対するダイナミック ホスト コンフィギュレーション プロトコル(DHCP)要求を処理することができないためです。 サードパーティのスイッチを使用し、VLAN を設定した場合、電話機で VLAN を手動で設定する必要があります。 |
「ネットワークの設定メニュー」を参照してください。 「起動時の問題の解決」を参照してください。 |
4. IP アドレスの取得 |
Cisco IP Phone は、DHCP を使用して IP アドレスを取得する場合、DHCP サーバに問い合せます。ネットワークで DHCP を使用しない場合は、各電話機にローカルでスタティック IP アドレスを割り当てる必要があります。 |
「ネットワークの設定メニュー」を参照してください。 「起動時の問題の解決」を参照してください。 |
5. TFTP サーバへのアクセス |
DHCP サーバは、IP アドレスの割り当てに加えて、Cisco Unified IP Phone を TFTP サーバに経路指定します。電話機に IP アドレスが静的に定義されている場合は、その電話機にローカルで TFTP サーバを設定する必要があります。この設定によって、その電話機は TFTP サーバと直接交信します。
(注) また、DHCP で割り当てられたものを使用しないで、代替 TFTP サーバを割り当てることもできます。
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「ネットワークの設定メニュー」を参照してください。 「起動時の問題の解決」を参照してください。 |
6. CTL ファイルの要求 |
TFTP サーバには、Certificate Trust List(CTL)ファイルが保存されています。このファイルには、電話機が接続を許可されている Cisco Unified CallManager と TFTP サーバのリストが含まれています。また、電話機と Cisco Unified CallManager の間の安全な接続を確立するために必要な証明書も含まれています。 |
『Cisco Unified CallManager セキュリティ ガイド』の「Cisco CTL クライアントの設定」の章を参照してください。 |
7. 設定ファイルの要求 |
TFTP サーバには、設定ファイルがあります。この設定ファイルには、Cisco Unified CallManager との接続に関するパラメータ、および電話機に関するその他の情報が定義されています。 |
「電話機の設定ファイルの概要」を参照してください。 「起動時の問題の解決」を参照してください。 |
8. Cisco Unified CallManager との交信 |
設定ファイルは、Cisco Unified IP Phone と Cisco Unified CallManager との間の通信方法を定義します。設定ファイルを TFTP サーバから取得した後、電話機は、リスト上で最も優先順位が高い Cisco Unified CallManager との接続を試みます。セキュリティが実装されている場合、電話機は TLS 接続を実行します。セキュリティが実装されていない場合、電話機はノンセキュア TCP 接続を実行します。 電話機がデータベースに手動で追加された場合、Cisco Unified CallManager はその電話機を識別します。電話機がデータベースに手動で追加されていない場合、自動登録が Cisco Unified CallManager で有効になっていれば、その電話機は、Cisco Unified CallManager データベースに対してその電話機自体の自動登録を試みます。
(注) Cisco Unified CallManager でセキュリティが有効になっている場合、自動登録は無効になっています。この場合、Cisco Unified CallManager データベースに電話機を手動で追加する必要があります。
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「起動時の問題の解決」を参照してください。 |
Cisco Unified CallManager データベースへの電話機の追加
Cisco Unified IP Phone を設置する前に、Cisco Unified CallManager データベースに電話機を追加する方法を選択する必要があります。次の各項で、それらの方法について説明します。
• 「自動登録による電話機の追加」
• 「自動登録と TAPS による電話機の追加」
• 「Cisco Unified CallManager Administration による電話機の追加」
• 「BAT による電話機の追加」
表2-4 は、Cisco Unified CallManager データベースに電話機を追加する方法の概要を説明しています。
表2-4 Cisco Unified CallManager データベースに電話機を追加する方法
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自動登録 |
いいえ |
電話機へのディレクトリ番号の割り当ては制御できません。 セキュリティまたは暗号化が有効な場合は利用できません。 |
自動登録と TAPS |
いいえ |
自動登録と Bulk Administration Tool(BAT)が必要です。ユーザがその電話機から TAPS を呼び出すと、デバイスの MAC アドレスと DN を使用して Cisco Unified CallManager データベースが更新されます。 |
Cisco Unified CallManager Administration の使用 |
はい |
電話機を個別に追加する必要があります。 |
BAT の使用 |
はい |
同じモデルの電話機の複数のグループを追加できます。 電話機を Cisco CallManager データベースに追加するタイミングをスケジューリングできます。 |
自動登録による電話機の追加
電話機を設置する前に自動登録を有効にすると、次のことが可能になります。
• 電話機をシスコ ユニファイド コミュニケーション ネットワークに物理的に接続すると、Cisco Unified IP Phone が Cisco Unified CallManager データベースに自動的に追加されます。自動登録時に、Cisco Unified CallManager は、連番の電話番号から次に使用可能な番号を電話機に割り当てます。
• 事前に電話機から MAC アドレスを取得しなくても電話機を追加できます。
• 電話機を Cisco Unified CallManager データベースにすばやく登録することができ、登録した電話番号などの設定は、Cisco Unified CallManager から変更できます。
• 自動登録された電話機を新しい場所に移動したり、別のデバイス プールに割り当てたりしても、その電話番号が変更されることはありません。
(注) 自動登録は、100 台未満の電話機をネットワークに追加する場合に最適です。100 台を超える電話機を追加する場合は、Bulk Administration Tool(BAT)を使用します。「BAT による電話機の追加」を参照してください。
状況によっては、自動登録が適切でないこともあります。たとえば、特定の電話番号を電話機に割り当てる場合や、『 Cisco Unified CallManager セキュリティ ガイド 』の説明に従って、認証や暗号化を実装する場合です。自動登録の有効化については、『 Cisco Unified CallManager アドミニストレーション ガイド 』の「自動登録の使用可能化」を参照してください。
(注) CTL クライアントを使用してクラスタ全体をセキュリティ モードに設定し認証と暗号化を行う場合、Cisco Unified CallManager によって自動登録が自動的に無効になります。
関連項目
• 「自動登録と TAPS による電話機の追加」
• 「Cisco Unified CallManager Administration による電話機の追加」
• 「BAT による電話機の追加」
自動登録と TAPS による電話機の追加
Tool for Auto-Registered Phones Support(TAPS)は、Bulk Administration Tool(BAT)と連携し、すでに Cisco Unified CallManager データベースにダミーの MAC アドレスで追加されている電話機を更新します。TAPS を使用すると、MAC アドレスが更新され、電話機に定義済みの設定がダウンロードされます。
自動登録と TAPS を使用して電話機を追加する場合、事前に電話機から MAC アドレスを収集する必要はありません。
(注) TAPS を使用した自動登録は、100 台未満の電話機をネットワークに追加する場合に最適です。100 台を超える電話機を追加する場合は、Bulk Administration Tool(BAT)を使用します。「BAT による電話機の追加」を参照してください。
TAPS を実行するには、管理者またはエンド ユーザが TAPS の電話番号をダイヤルし、ボイス プロンプトに従います。このプロセスが完了すると、電話機にその電話番号などの設定値がダウンロードされ、Cisco Unified CallManager Administration で電話機の MAC アドレスが正しい値に更新されます。
TAPS が機能するためには、Cisco Unified CallManager Administration( System > Cisco Unified CallManager )で自動登録を有効化する必要があります。
(注) CTL クライアントを使用してクラスタ全体をセキュリティ モードに設定し認証と暗号化を行う場合、Cisco Unified CallManager によって自動登録が自動的に無効になります。
BAT および TAPS の詳細については、『 Bulk Administration Tool User Guide for Cisco Unified CallManager 』を参照してください。
関連項目
• 「自動登録による電話機の追加」
• 「Cisco Unified CallManager Administration による電話機の追加」
• 「BAT による電話機の追加」
Cisco Unified CallManager Administration による電話機の追加
Cisco Unified CallManager Administration を使用すると、各電話機を個別に Cisco Unified CallManager データベースに追加できます。そのためには、事前に各電話機の MAC アドレスを取得する必要があります。
MAC アドレスの確認方法については、「Cisco Unified IP Phone の MAC アドレスの確認」を参照してください。
MAC アドレスを収集できたら、Cisco Unified CallManager Administration で Device > Add a New Device の順に選択して処理を開始します。
Cisco Unified CallManager の詳しい説明と概念については、『 Cisco Unified
CallManager アドミニストレーション ガイド 』および『 Cisco Unified CallManager システム ガイド 』を参照してください。
関連項目
• 「自動登録による電話機の追加」
• 「自動登録と TAPS による電話機の追加」
• 「BAT による電話機の追加」
Cisco Unified IP Phone の MAC アドレスの確認
電話機の MAC アドレスを確認するには、次のいずれかの方法を使用します。
• 電話機の アプリケーション メニュー ボタンを押し、 [設定]>[モデル情報] の順に選択し、[MAC アドレス]フィールドを調べる。
• 電話機の背面にある MAC ラベルを調べる。
• 電話機の Web ページを表示し、 [デバイス情報] ハイパーリンクをクリックする。
Web ページへのアクセス方法については、「電話機の Web ページへのアクセス」を参照してください。