時刻、曜日、または日付に基づいたコール ブロッキング(トール バー)
電話機の不正使用を防ぐためのコール ブロッキングは、指定された時刻、曜日、または日付と、指定された番号パターンとを照合することによって実装されます。最大 32 の番号パターンを指定できます。コール ブロッキングは IP Phone でのみサポートされ、アナログ Foreign Exchange Station(FXS)Phone ではサポートされていません。
コール ブロッキング用に定義された期間に、コール ブロッキング用に指定されたパターンと一致する番号にユーザがコールを発信しようとすると、約 10 秒間、小刻みなビジー トーンが再生されます。その後、コールが終了し、回線はオンフック状態に戻ります。
コール ブロッキングは Cisco CME システム内のすべての IP Phone に適用されますが、個々の IP Phone をすべてのコール ブロッキングから除外することもできます。
個々の電話機ユーザは、電話機に割り当てられた Personal Identification Number(PIN; 個人識別番号)を入力することによって、指定された期間に関連付けられたコール ブロッキングを無効にできます。詳細については、「コール ブロッキング(トール バー)の無効化」を参照してください。
要約手順
1. telephony-service
2. after-hours block pattern tag pattern [ 7-24 ]
3. after-hours day day start-time stop-time
4. after-hours date month date start-time stop-time
5. exit
6. ephone phone-tag
7. after-hour exempt
8. exit
詳細手順
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ステップ 1 |
telephony-service
Router(config)# telephony-service |
telephony-service 設定モードを開始します。 |
ステップ 2 |
after-hours block pattern tag pattern [ 7-24 ]
Router(config-telephony-service)# after-hours block pattern 1 91900 |
ブロックする発信番号のパターンを定義します。個別にコマンドを使用することにより、最大 32 のパターンを定義できます。 • 7-24 キーワードを指定すると、定義した番号パターンは週 7 日、1 日 24 時間、常にブロックされます。 • 7-24 キーワードを指定しない場合、番号パターンは after-hours day コマンドと after-hours date コマンドを使用して定義した曜日と日付に基づいてブロックされます。 |
ステップ 3 |
after-hours day day start-time stop-time
Router(config-telephony-service)# after-hours day mon 19:00 7:00 |
after-hours block pattern コマンドを使用して定義した発信ダイヤル パターンへのコールをブロックする期間を曜日で定義します。 • day :曜日の省略形。使用できる曜日の省略形は、 sun 、 mon 、 tue 、 wed 、 thu 、 fri 、および sat です。 • start-time stop-time :コール ブロッキングの開始時刻と終了時刻。24 時間単位の HH:MM 形式で指定します。開始時刻よりも小さい値を終了時刻として指定すると、終了時刻は夜間サービス開始日の翌日のその時刻になります。たとえば、「mon 19:00 07:00」は、「月曜日の午後 7 時に開始して火曜日の午前 7 時に終了する」ことを意味します。 |
ステップ 4 |
after-hours date month date start-time stop-time
Router(config-telephony-service)# after-hours date jan 1 0:00 0:00 |
after-hours block pattern コマンドを使用して定義した発信ダイヤル パターンへのコールをブロックする期間を月日で定義します。 • month :月の省略形。使用できる月の省略形は、 jan 、 feb 、 mar 、 apr 、 may 、 jun 、 jul 、 aug 、 sep 、 oct 、 nov 、および dec です。 • date :日付の値。値の範囲は 1 ~ 31 です。 • start-time stop-time :コール ブロッキングの開始時刻と終了時刻。24 時間単位の HH:MM 形式で指定します。終了時刻には、開始時刻よりも大きな値を指定する必要があります。値 24:00 は無効です。終了時刻に 00:00 を入力すると、23:59 に変更されます。開始時刻と終了時刻の両方に 00:00 を入力すると、指定した日は 24 時間通してコールがブロックされます。 |
ステップ 5 |
exit
Router(config-telephony-service)# exit |
telephony-service 設定モードを終了します。 |
ステップ 6 |
ephone phone-tag
Router(config)# ephone 4 |
ephone 設定モードを開始します。 • phone-tag :コール ブロッキングから除外する電話機の固有のシーケンス番号。 |
ステップ 7 |
after-hour exempt
Router(config-ephone)# after-hour exempt |
この電話機をコール ブロッキングから除外することを指定します。この方法で除外される電話機は、コール ブロッキング パターンによる制限を受けず、電話機ユーザの認証を必要としません。 コール ブロッキング対象の番号パターンへのコールを電話機ユーザに許可するその他の方法については、「コール ブロッキング(トール バー)の無効化」を参照してください。 |
ステップ 8 |
exit
Router(config-ephone)# exit |
ephone 設定モードを終了します。 |
例
次の例では、発信コールをブロックする番号パターンをいくつか定義します。「1」および「011」で始まる外線番号へのコールをブロックするパターン 1 と 2 は、月曜日から金曜日の午前 7 時以前と午後 7 時以降、土曜日の午前 7 時以前と午後 1 時以降、日曜日の終日にブロックされます。パターン 3 は、番号 900 へのコールを週 7 日、1 日 24 時間ブロックします。シーケンス番号(phone-tag) 23 と MAC アドレス 00e0.8646.9242 を持つ IP Phone は、ブロックされたパターンへのコールの制限を受けません。
after-hours block pattern 1 91
after-hours block pattern 2 9011
after-hours block pattern 3 91900 7-24
after-hours block day mon 19:00 07:00
after-hours block day tue 19:00 07:00
after-hours block day wed 19:00 07:00
after-hours block day thu 19:00 07:00
after-hours block day fri 19:00 07:00
after-hours block day sat 13:00 12:00
after-hours block day sun 12:00 07:00
コール ブロッキング(トール バー)の無効化
Cisco 7940 IP Phone や Cisco 7960 IP Phone など、ソフトキーをサポートする IP Phone では、コール ブロッキング無効化の機能を使用して、個々の電話機ユーザが、特定の期間に指定されたコール ブロッキングを無効にできます。コール ブロッキングを無効にするには、まずシステム管理者が、コール ブロッキングの無効化を許可する電話機すべてに PIN を割り当てる必要があります。
次に、電話機ユーザが電話機で [ログイン] ソフトキーを押し、電話機に関連付けられた PIN を入力します。PIN を持つ電話機にログインした場合、ユーザが実行できるのは、特定の期間に関連付けられたコール ブロッキングを無効にすることだけです。 after-hours block pattern コマンドで 7-24 キーワードを指定して作成されたブロッキング パターンは、週 7 日、1 日 24 時間通して有効であり、PIN を使用して無効にすることはできません。
コール ブロッキングを無効にするために設定した PIN は、特定の時刻に、または電話機のアイドル状態が一定の期間続いた後に、クリアされます。時刻または期間は、システム管理者が任意で設定することも、デフォルト値を受け入れることもできます。
制約事項
コール ブロッキングの無効化は、Cisco IP Phone 7940 や Cisco IP Phone 7960 など、ソフトキーをサポートする IP Phone でのみ実行できます。
要約手順
1. ephone phone-tag
2. pin pin-number
3. exit
4. telephony-service
5. login [timeout [minutes]] [clear time]
6. restart all
7. exit
詳細手順
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ステップ 1 |
ephone phone-tag
Router(config)# ephone 2 |
ephone 設定モードを開始します。 • phone-tag :PIN の割り当て対象となる電話機の固有のシーケンス番号。 |
ステップ 2 |
pin pin-number
Router(config-ephone)# pin 5555 |
指定した ephone に対して PIN を宣言します。 • pin-number: 4 ~ 8 桁の番号。 |
ステップ 3 |
exit
Router(config-ephone) # exit |
ephone 設定モードを終了します。 |
ステップ 4 |
telephony-service
Router(config)# telephony-service |
telephony-service 設定モードを開始します。 |
ステップ 5 |
login [ timeout [ minutes ]] [ clear time ]
Router(config-telephony-service)# login timeout 120 clear 23:00 |
Cisco CME システムで、特定の時刻に、または電話機のアイドル状態が一定の期間続いた後に、すべてのユーザのログインを無効にすることを指定します。 • timeout:(オプション)電話機のアイドル状態が一定の期間(分単位)続いた後にログインを無効にします。 • minutes :(オプション)値の範囲は 5 ~ 1440 です。デフォルトは 60 です。 • clear :(オプション) time で指定した時刻にすべてのログインを無効にします。 • time :(オプション)時刻の値。24 時間単位で 00:00 ~ 24:00 の範囲の値を指定します。たとえば、午後 10:30 は 22:30 です。デフォルトは 24:00(深夜)です。 |
ステップ 6 |
restart all
Router(config-telephony-service)# restart all |
この Cisco CME ルータに関連付けられたすべての電話機の高速リブートを実行します。更新情報を取得するために DHCP または TFTP サーバには連携しません。 |
ステップ 7 |
exit
Router(config-telephony-service)# exit |
telephony-service 設定モードを終了します。 |
例
次の例では、電話機のアイドル状態が 3 時間続いた後に電話機のログインを無効にし、午後 10 時にすべてのログインをクリアします。
login timeout 180 clear 2200
トラブルシューティングのヒント
すべての電話機のログイン ステータスを表示するには、 show ephone login コマンドを使用します。
着信拒否サービス
Do-Not-Disturb(DND; 着信拒否)サービスは、Cisco IP Phone 7905G、Cisco IP Phone 7912G、Cisco IP Phone 7940G または Cisco IP Phone 7960G のソフトキーを使用して有効にできます。DND を有効にすると、電話機に着信コールがあったときに呼び出し音は鳴りませんが、可視アラートとコール情報が示されるので、必要に応じて応答できます。また、ディスプレイのメッセージには、DND が有効になっていることが示されます。
Cisco CME 3.2 以降のバージョンでは、あるローカル IP Phone から、DND 状態にある別のローカル IP Phone にコールを発信する場合、着信側の電話機が DND 状態にあることを示す「リングアウト サイレント」というメッセージが発信側の電話機に表示されます。コールが着信している間に[サイレント]を押すと、コールは call-forward no-answer の宛先に転送されます。call-forward no-answer の宛先が設定されていない場合、呼び出し機能が無効になります。
Cisco CME 3.2 以降のバージョンでは、DND を有効にすると、IP Phone がハント グループから自動的に削除されます(詳細については、図 33 を参照してください)。ハント グループからログアウトすることにより、電話機ユーザは、離席する際に自分へのコールが他の電話機にルーティングされるように指定できます。不必要なルーティングが避けられ、発信者は応答先の電話機に送信されます。DND を無効にすると、IP Phone は自動的にハント グループに再度ログインします。
ハント グループの詳細については、「ephone ハント グループ」を参照してください。
DND に必要な設定はありません。 show ephone dnd コマンドは、DND が有効になっているすべての電話機を表示します。 show ephone-hunt コマンドを使用すると、電話機がログインまたはログアウトのどちらの状態であるかを特定できます。
図 33 電話機 1004 で[サイレント]を押し、ハント グループから一時的にログアウトした場合
制限クラス
Class Of Restriction(COR; 制限クラス)は、どの着信ダイヤルピアがどの発信ダイヤルピアを使用してコールを発信するかを指定します。各ダイヤルピアは、着信および発信の COR リストでプロビジョニングできます。 cor コマンドは、ダイヤルピアの dial-peer COR パラメータと、Cisco CME ルータに関連付けられている Cisco IP Phone 用に作成された電話番号を設定します。COR 機能を使用すると、ダイヤルピアでプロビジョニングされる着信および発信の制限クラスに基づいて特定のコールを着信拒否できます。この機能によってネットワーク設計に柔軟性がもたらされます。ユーザはコール(たとえば、番号 900 へのコール)をブロックできるだけでなく、異なる発信者からのコールに対してそれぞれ異なる制限を適用することもできます。
COR の設定の詳細については、「 Cisco Voice Configuration Library, Release 12.3 」にある『 Dial Peer
Configuration on Voice Gateway Routers』の「 Class of Restrictions 」の項を参照してください。
要約手順
1. ephone-dn dn-tag
2. cor { incoming | outgoing } cor-list-name
3. exit
詳細手順
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ステップ 1 |
ephone-dn dn-tag
Router(config)# ephone-dn 12 |
ephone-dn 設定モードを開始します。 • dn-tag :COR の適用対象となる ephone-dn の固有のシーケンス番号。 |
ステップ 2 |
cor { incoming | outgoing } cor-list-name
Router(config-ephone-dn)# cor outgoing corlist2 |
ephone-dn に関連付けられているダイヤルピアで COR を設定します。 |
ステップ 3 |
exit
Router(config-ephone-dn)# exit |
ephone-dn 設定モードを終了します。 |
例
次の例では、それぞれ市内通話、長距離通話、および 911(北米における緊急コール用の電話番号)にダイヤルするための 3 つのダイヤル ピアを示しています。COR list user1 は、911 および市内通話に発信するためのダイヤル ピアにアクセスできます。COR list user2 は、3 つのダイヤル ピアすべてにアクセスできます。ephone-dn 1 は COR list user1 に割り当てられ、市内通話および 911 への発信に使用されます。ephone-dn 2 は COR list user2 に割り当てられ、911、市内通話、および長距離通話への発信に使用されます。
dial-peer cor list call-local
dial-peer cor list call-longdistance
dial-peer cor list call-911
corlist outgoing call-longdistance
destination-pattern 91..........
corlist outgoing call-local
destination-pattern 9[2-9]......
corlist outgoing call-911