コール転送と自動転送について
(注) Cisco CallManager Express 3.2(Cisco CME 3.2)が提供するコール転送と自動転送は、ネットワーク上で H.450.2、H.450.3、および H.450.12 標準をサポートするコール処理システムと完全に相互運用できます。H.450 標準をサポートしていないコール処理システムに対して、Cisco CME 3.2 は VoIP 対 VoIP ヘアピン コール ルーティングを提供します。この場合、Cisco CME の以前のリリースで必要だった特殊な Tool Command Language(TCL)を使用する必要はありません。
この項では、次のトピックについて取り上げます。
• 「背景」
• 「コール転送と自動転送の方法」
• 「コール転送と自動転送の標準的なネットワーク シナリオ」
背景
2 つ以上のタイプのコール エージェントまたはコール マネージャを含む混合ネットワークでは、交信プロトコル間に矛盾や依存関係が存在する可能性があるため、相互運用性のエラーが発生する場合があります。このような矛盾は、コール転送または自動転送の処理中に最も頻発します。次に挙げる最近の Cisco CME リリースでは、このような矛盾に対処する機能が採用されているため、特に意識することなく VoIP ネットワーク全体でコール転送と自動転送を行うことができます。
Cisco IOS Telephony Services V2.1(Cisco ITS V2.1)、Cisco IOS Release 12.2(15)T
Cisco ITS V2.1 は Cisco CME 3.0 の 1 つ前のバージョンです。Cisco ITS V2.1 以前では、自動転送はシスコ独自の方式を使用して実行されていました。Cisco ITS V2.1 で、ITU-T H.450.2 標準を使用するコール転送がサポートされました。このコール転送は、 transfer-system コマンドと TCL アプリケーション スクリプトを使用するように設定されました。同様に、Cisco ITS V2.1 では、H.450.3 標準を使用する自動転送がサポートされ、 call forward pattern コマンドと、同一の TCL スクリプトを使用するように設定されました。Cisco ITS V2.1 システムのコール転送と自動転送を設定するには、『 Cisco IOS Telephony Services V2.1』を参照してください。
Cisco CME 3.0、Cisco IOS Release 12.2(15)ZJ
Cisco CME 3.0 では、デフォルト セッション アプリケーションを使用することで、H.450.2 プロトコルを使用するコール転送と、H.450.3 プロトコルを使用する自動転送を IP Phone から起動できるようになりました。デフォルト セッション アプリケーションによって提供される組み込み H.450.2 および H.450.3 サポートは、Public Switched Telephone Network(PSTN; 公衆電話交換網)インターフェイス タイプに関係なく、IP Phone から起動するコール転送と自動転送に適用されます。ただし、この機能を使用するには、VoIP ネットワーク内のすべてのエンドポイントが H.450.2 および H.450.3 標準をサポートする必要がありました。それ以外のタイプのエンドポイントに対する代替機能はなく、どのエンドポイントが標準をサポートするかを検出する手段もありませんでした。Cisco CME 3.0 システムのコール転送と自動転送を設定するには、『 Cisco CallManager Express 3.0 System Administrator Guide』(『 Cisco CallManager Express 3.0 システム アドミニストレータ ガイド 』)を参照してください。
Cisco CME 3.0、Cisco IOS Releases 12.2(15)ZJ3 および 12.3(4)T
H.450 標準を認識しないエンドポイントへのコールを処理するため、Cisco IOS Releases 12.2(15)ZJ3 および 12.3(4)T の Cisco CME 3.0 では、コール転送と自動転送に対する VoIP 対 VoIP ヘアピン コール ルーティングを Cisco CME ルータ上で有効にする新しい TCL スクリプトを採用しました。ヘアピン コール ルーティングは、Cisco CME ルータを使用して、終端されたコールを再発信して適切にルーティングし、ルータに接続されている電話機または他のアプリケーションによって生成されたコール転送または自動転送を完了します。ただしヘアピン コール ルーティングには、どのエンドポイントが H.450 標準をサポートするかを自動的に識別する手段がなかったため、コール転送または自動転送の処理中にコール 2 つ分の帯域を使用するという欠点がありました。Cisco CME 3.0 システムのコール転送と自動転送を設定するには、『 Cisco CallManager Express 3.0 System Administrator Guide』(『 Cisco CallManager Express 3.0 システム アドミニストレータ ガイド 』)を参照してください。
Cisco CME 3.1、Cisco IOS Release 12.3(7)T
Cisco CME 3.1 は、H.450.12 付加サービスをサポートしています。このサービスを使用すると、コールごとに H.450.2 および H.450.3 機能を動的に検出できます。H.450 エンドポイントにコール転送または自動転送できるコールは、H.450 標準プロトコルを使用して処理されます。ただし、それ以外のコールは代替方式で処理されます。Cisco CME 3.0 および Cisco ITS V2.1 では、H450.2 および H.450.3 標準はサポートされていますが、H.450.12 はサポートされていないことに注意してください。そのため、Cisco CME 3.0 および Cisco ITS V2.1 システムでは、どのエンドポイントが H.450.2 および H.450.3 標準を使用できるかを自動的に検出することはできません。
Cisco CME 3.1 は、H.450 標準をサポートしていないエンドポイントへのコールの代替方式として、ヘアピン コール ルーティングと H.450 タンデム ゲートウェイの 2 つをサポートしています。ヘアピン コール ルーティングは、最初に、TCL スクリプトを使用する Cisco CME 3.0 でサポートされました。Cisco CME 3.1 では、ヘアピン コール ルーティングを有効にするときに、TCL スクリプトの代わりに Cisco IOS コマンドライン インターフェイス(CLI)を使用するため、実装が簡単になっています。
H.450 タンデム ゲートウェイは、ヘアピン コール ルーティングの制限に対処します。H.450 タンデム ゲートウェイは、H.450 標準をサポートしていないコール プロセッサ(Cisco CallManager、Cisco BTS Softswitch(Cisco BTS)、Cisco PSTN Gateway(Cisco PGW)など)の「フロントエンド」として機能する、追加の音声ゲートウェイです。 非 H.450 エンドポイントに向けたコール転送および自動転送コールは、H.450 タンデム ゲートウェイで終端され、次に、そのゲートウェイから非 H.450 エンドポイントに向けて再発信されます。H.450 タンデム ゲートウェイは、PSTN ゲートウェイとしても機能できます。Cisco CME 3.1 システムのコール転送と自動転送を設定するには、『 Cisco CallManager Express 3.1 System Administrator Guide 』(『 Cisco CallManager Express 3.1 システム アドミニストレータ ガイド 』)を参照してください。
Cisco CME 3.2、Cisco IOS Release 12.3(11)T
Voice over IP(VoIP)対 VoIP のヘアピン コールにおいて、一方のレッグが G.711 を使用し、もう一方のレッグが G.729 を使用する場合は、G.711 と G.729 の変換を行うことができます。変換については、このガイドの 「G.729 と G.711 の変換」 の章を参照してください。
H.323 対 SIP 接続は、Cisco Unity Express を実行する Cisco CME システムだけで使用できます。詳細については、『 Integrating Cisco CallManager Express with Cisco Unity Express』を参照してください。
H.450.2 と H.450.3 のサポート
Cisco CME 3.1 以降でも、Cisco ITS V2.1 で採用された H.450.2 コール転送標準と H.450.3 自動転送標準を引き続きサポートします。H.450.2 および H.450.3 標準を使用することは、VoIP ネットワークでのコール転送と自動転送を処理する最適な方法であり、次の利点をもたらします。
• コール転送される通話相手から転送先までの最終的なコール パスが最適になります。この場合、ヘアピン ルートを使用したり、リソースを過剰に使用したりすることはありません。
• コール パラメータ(たとえば、コーデック)をコール レッグごとに変更できます。
• このソリューションの拡張が容易になります。
• コール転送の回数が制限されません。
H.450.2 および H.450.3 標準を使用する際は、次の事項を考慮します。
• Cisco IOS Release 12.2(15)T 以降のリリースが、ネットワーク内のすべての音声ゲートウェイで必要です。
• H.450.2 と H.450.3 のサポートが、ネットワーク内のすべての音声ゲートウェイで必要です。H.450.2 と H.450.3 は、コール転送先または自動転送先が、コール転送元または自動転送元と同じ Cisco CME システム上にある場合でも使用されます。そのため、コール転送される通話相手も H.450.2 をサポートし、自動転送される通話相手も H.450.3 をサポートしている必要があります。ただし、ヘアピン コール ルーティング経由または H.450 タンデム ゲートウェイ経由で再発信可能なコールは、この規則の例外です。
• H.450 標準は、Cisco CallManager、Cisco BTS、または Cisco PGW ではサポートされていません。ただし、それらのシステム間のコールを処理するように、ヘアピン コール ルーティングまたは H.450 タンデム ゲートウェイを設定することは可能です。
次の一連の図は、H.450.2 標準を使用するコール転送を示しています。図 11 は、A から B へコールが発信されたことを示しています。図 12 は、B が C に打診して、A を保留にしたことを示しています。図 13 は、B が A と C に接続されたことを示し、図 14 は、A と C が直接接続され、B がコールから除外されたことを示しています。
図 11 H.450.2 を使用するコール転送:A が B にコールを発信する
図 12 H.450.2 を使用するコール転送:B が C に打診する
図 13 H.450.2 を使用するコール転送:B が A を C に転送する
図 14 H.450.2 を使用するコール転送:A と C が接続される
H.450 標準は、ネットワークが次の条件を満たす場合に使用します。
• 設定対象のルータが、Cisco CME 3.0 以降、または Cisco ITS V2.1 を使用する。
• Cisco CME 3.0 または Cisco ITS V2.1 システムでは、ネットワーク内のすべてのエンドポイントが H.450.2 および H.450.3 標準をサポートする必要がある。Cisco CME 3.1 システムでは、H.450 標準をサポートしていないエンドポイント(たとえば、Cisco CallManager、Cisco BTS、または Cisco PGW)がある場合は、ヘアピン コール ルーティングまたは H.450 タンデム ゲートウェイを使用して、それらのエンドポイントに関するコール転送と自動転送を処理できます。また、それらのコールを処理するダイヤルピアに対して H.450.2 と H.450.3 を明示的に無効にするか、または H.450.2 と H.450.3 をサポートするコールとサポートしないコールを自動的に検出するために H.450.12 機能を有効にする必要があります。
H.450.2 標準と H.450.3 標準のサポートは、デフォルトで有効になっていますが、グローバルに、または個々のダイヤルピアに対して無効にできます。これを行うには、 supplementary-service h450.2 コマンドと supplementary-service h450.3 コマンドを使用します。個々のダイヤルピアに対する設定は、グローバル設定を上書きします。設定については、「H.450.2 および H.450.3 機能の有効化と無効化」を参照してください。
H.450.12 のサポート
Cisco CME 3.1 以降では、H.450.12 コール機能標準をサポートしています。この標準には、音声ゲートウェイ エンドポイントにおいて H.450.2 および H.450.3 機能を通知し、動的に検出する手段が用意されています。これらの機能が検出された場合、非 H.450 エンドポイントに関連付けられたコールについては、非 H.450 方式のコール転送と自動転送(ヘアピン コール ルーティングや H.450 タンデム ゲートウェイなど)を使用するように設定できます。
ユーザのネットワークは、次のどちらかの状況に当てはまります。
• すべてのゲートウェイ エンドポイントが H.450.2 および H.450.3 標準をサポートする。この場合、特別な設定は必要ありません。これは、Cisco CME 3.1 以降のルータでは、H.450.2 および H.450.3 標準のサポートがデフォルトで有効になっているためです。H.450.12 機能はデフォルトで無効になっていますが、すべてのコールが H.450.2 および H.450.3 標準を使用できるので、この機能は不要です。
• H.450.2 および H.450.3 標準をサポートするゲートウェイ エンドポイントと、サポートしないゲートウェイ エンドポイントがある。この場合は、次のどちらかのオプションを選択して、非 H.450 コールの処理方法を指定する必要があります。
–Cisco CME 3.1 以降の H.450.12 機能を使用して、各コールが H.450.2 と H.450.3 をサポートしているかどうかを、コールごとに動的に判別します。このオプションを使用するには、ルータの設定において H.450.12 を明示的に有効にする必要があります。これは、H.450.12 がデフォルトで無効になっているためです。H.450.12 が有効の場合、コールが H.450 をサポートしていると判別されると、コール転送には H.450.2 標準が、自動転送には H.450.3 標準が使用されます。コールが H.450 をサポートしていない場合、コールの処理は、ダイヤルピアおよび allow connections コマンドを使用して設定した VoIP 対 VoIP 接続によって行うことができます。VoIP 対 VoIP 接続は、ヘアピン コール ルーティングと H.450 タンデム ゲートウェイへのルーティングに使用できます。次のコマンドは、H.450.12 機能と、H.323 の VoIP 対 VoIP 接続を有効にします。
Router(config)# voice service voip
Router(config-voice-service)# supplementary-service h450.12
Router(config-voice-service)# allow connections h323 to h323
この機能をグローバルに有効にしない場合、特定のダイヤルピアをターゲットにするときは、dial-peer 設定モードで supplementary-service h450.12 コマンドを有効にします。
–非 H.450 コールの処理に関する 2 つ目の選択肢は、H.450.2 および H.450.3 機能をグローバルに、または個々のダイヤルピアに対して、明示的に無効にすることです。H.450.2 および H.450.3 機能を明示的に無効にすることにより、すべてのコールが、ダイヤルピアおよび allow connections コマンドを使用して設定した VoIP 対 VoIP 接続によって強制的に処理されます。この接続は、ヘアピン コール ルーティングと H.450 タンデム ゲートウェイへのルーティングに使用できます。次のコマンドは、H.450.2 および H.450.3 標準をグローバルに無効にし、H.323 の VoIP 対 VoIP 接続を有効にします。
Router(config)# voice service voip
Router(config-voice-service)# no supplementary-service h450.2
Router(config-voice-service)# no supplementary-service h450.3
Router(config-voice-service)# allow connections h323 to h323
H.450.12 標準のサポートは、デフォルトで無効になっています。このサポートは、グローバルに有効または無効にでき、グローバルに無効の場合は個々のダイヤルピアに対して有効にできます。個々のダイヤルピアに対する設定は、グローバル設定を上書きします。設定については、「H.450.12 機能の有効化と無効化」を参照してください。
ヘアピン コール ルーティング
ヘアピン コール ルーティングは、H.450 標準を使用できないコールをコール転送および自動転送するために Cisco CME 3.1 で採用された、VoIP 対 VoIP 接続のメカニズムを使用します。音声ゲートウェイ上で終端されたコールが、ルータに接続されている電話機または他のアプリケーションによってコール転送または自動転送されると、ゲートウェイは、VoIP 対 VoIP (またはヘアピン)接続を確立してコールを再発信し、適切にルーティングします。このアプローチにより、プロトコルが、末端にあるコール転送される通話相手のエンドポイントやコール転送先のエンドポイントに依存することは一切なくなります。また、コール転送および自動転送コールのヘアピン ルーティングが発生すると、コール レッグごとに別々の課金レコードが生成されます。その結果、コール転送または自動転送コール レッグは、通常、コール転送または自動転送を起動するユーザに課金されます。
Cisco CME 3.2 以降では、VoIP 対 VoIP ヘアピン コールにおいて、一方のレッグが G.711 を使用し、もう一方のレッグが G.729 を使用する場合は、G.711 と G.729 の変換を行うことができます。変換については、このガイドの 「G.729 と G.711 の変換」 の章を参照してください。
ヘアピン コール ルーティングには、次の利点があります。
• 非 H.450 エンドポイント(Cisco CallManager、Cisco BTS、Cisco PGW など)にコール転送および自動転送できます。
• ネットワークに Cisco CME 3.0 または Cisco ITS 2.1 システムを含めることもできます。
ヘアピン コール ルーティングには、次の欠点があります。
• エンドツーエンド シグナリングとメディア遅延が大幅に増加します。
• ヘアピン コール 1 つで、直接接続されたコール 2 つ分の WAN 帯域が使用されます。
ダイヤルピアを使用して VoIP 対 VoIP ヘアピン接続を確立できるのは、 allow-connections h323 to h323 コマンドが有効で、さらに次の条件が 1 つ以上満たされている場合です。
• リモート システムでサポートされない H.450.2 または H.450.3 のコールを検出するために、H.450.12 を使用している。
• H.450.2 または H.450.3 が明示的に無効になっている。
• Cisco CME によって、リモート システムが Cisco CallManager であることが自動的に検出される。
図 15 は、A から B へ発信されたコールを示しています。図 16 は、B がすべてのコールを C に自動転送したことを示しています。図 17 は、A と C が H.323 ヘアピンによって接続されたことを示しています。
図 15 H.323 を使用するヘアピン:A が B にコールを発信する
図 16 H.323 を使用するヘアピン:コールが C に自動転送される
図 17 H.323 を使用するヘアピン:A が B 経由で C に接続される
ヘアピン コール ルーティングは、ネットワークが次の 3 つの条件を満たす場合に使用します。
• 設定対象のルータが、Cisco CME 3.1 以降のリリースを使用する。
• 一部またはすべてのコールが、H.450 標準を使用できないために VoIP 対 VoIP ルーティングを要求する。この現象は、次のいずれかの理由で発生する場合があります。
–H.450 機能がルータで明示的に無効になっている。
–H.450 機能がネットワーク内に存在しない。
–H.450 機能をサポートするエンドポイントと、サポートしないエンドポイント
(Cisco CallManager、Cisco BTS、および Cisco PGW によって処理されるものを含む)がある。H.450 をサポートするエンドポイントと、サポートしないエンドポイントがある場合は、ルータで H.450.12 機能を有効にして H.450 対応のエンドポイントを検出するか、一部のダイヤルピアを H.450 対応として指定する必要があります。H.450.12 機能の有効化の詳細については、「H.450.12 機能の有効化と無効化」を参照してください。
• H.450 タンデム ゲートウェイとして機能する音声ゲートウェイがない。
VoIP 対 VoIP 接続のサポートは、デフォルトで無効になっていますが、 allow connections h323 to h323 コマンドを使用してグローバルに有効にすることもできます。設定については、「H.323 対 H.323 接続機能の有効化」を参照してください。
制約事項
VoIP ネットワークで一度にサポートされるコーデック タイプは 1 つだけです。また、選択できるコーデックは、G.711(A-law または mu-law)と G.729 の 2 つだけです。
H.450 タンデム ゲートウェイ
H.450 タンデム音声ゲートウェイは、H.450 標準をサポートしていないエンドポイントへのコール転送および自動転送コールを終端し、再発信します。この方法は、ヘアピン コール ルーティングに似ていますが、ヘアピン接続のように WAN リンクを二重に通過することはありません。H.450 タンデム ゲートウェイは、H.450 標準をサポートしていないシステム(Cisco CallManager システムなど)のプロキシ(「フロントエンド」)として機能する独立ルータです。図 18 は、CPE ベースの Cisco CME 3.1 以降のネットワークにある中央ハブと Cisco CallManager ネットワークとの間に配置されているタンデム音声ゲートウェイを示しています。このトポロジは、Cisco CallManager の代わりに Cisco BTS または Cisco PGW を使用しても、同様かつ適切に機能します。また、H.450 タンデム ゲートウェイは、リモート Cisco CME システムや Cisco CallManager(または他の非 H.450 システム)の PSTN ゲートウェイとしても機能できます。Cisco CallManager 対 PSTN の G.711 コールと、タンデム ゲートウェイ対 Cisco CME の G.729 コールを分離するには、別々の着信ダイヤルピアを使用します。
H.450 タンデム ゲートウェイにはダイヤルピアが設定されます。このダイヤルピアは、H.450 タンデム ゲートウェイがフロントエンドとして機能する対象の Cisco CallManager または他のシステムをポイントします。また、H.450 タンデム音声ゲートウェイには、プライベート H.450 ネットワーク内のすべての Cisco CME システムをポイントするダイヤルピアが設定されます。このように、Cisco CME と Cisco CallManager は相互に直接リンクされていませんが、代わりに、非 H.450 プラットフォームに H.450 サービスを提供する H.450 タンデム ゲートウェイに両方ともリンクされています。
(注) H.450 非対応のコール処理システムをサポートするために H.450 タンデム ゲートウェイをネットワーク内で使用する場合は、Integrated Voice and Video Services 機能のライセンスが必要です。2004 年 3 月に導入されたこの機能のライセンスには、H.323 ゲートキーパー、IP 対 IP ゲートウェイ、および H.450 タンデム ゲートウェイの機能が含まれています。Cisco IOS Release 12.3(7)T を使用する場合、選択されたルータで JSX IOS イメージを使用するときは、H.323 ゲートキーパー機能のライセンスが必要です。必要な機能のライセンスについては、Cisco CME SE にお問い合せください。
Cisco IOS Release 12.3(7)T を使用する場合、Cisco CME と H.450 タンデム ゲートウェイの機能を同一ルータで使用することはできません。
H.450 タンデム ゲートウェイに対して VoIP 対 VoIP 接続を確立できるのは、 allow-connections h323 to h323 コマンドが有効で、さらに次の条件が 1 つ以上満たされている場合です。
• リモート VoIP システムでサポートされない H.450.2 または H.450.3 のコールを動的に検出するために、H.450.12 を使用している。
• H.450.2 または H.450.3 が明示的に無効になっている。
• Cisco CME 3.1 以降によって、リモート システムが Cisco CallManager であることが自動的に検出される。
(注) Cisco CME 3.1 およびそれ以前では、Cisco CME がサポートする VoIP 対 VoIP 接続のタイプは H.323 対 H.323 だけです。Cisco CME 3.2 以降では、Cisco Unity Express を実行する Cisco CME システムだけで H.323 対 SIP 接続が使用できます。詳細については、『Integrating Cisco CallManager Express
with Cisco Unity Express』を参照してください。
図 18 のネットワーク トポロジでは、次のイベントが発生します(図中のイベント番号を参照)。
1. Cisco CallManager に接続されている電話機 2 の内線 4002 からコールが発信されます。H.450 タンデム ゲートウェイが H.323 コールを受信します。また、H.323 エンドポイントとして機能するこの H.450 タンデム ゲートウェイは、CPE ベースの Cisco CME 3.1 以降のネットワークにある Cisco IP Phone へのコール接続を処理します。
2. コールが、Cisco CME 1 に接続されている電話機 3 の内線 1001 で受信されます。内線 1001 は、Cisco CME 2 に接続されている電話機 5 の内線 2001 への打診転送を実行します。
3. 内線 1001 からコールが転送されると、H.450 タンデム ゲートウェイが内線 1001 から H.450.2 メッセージを受信します。
4. H.450 タンデム ゲートウェイが内線 1001 からのコール レッグを終端し、Cisco CME 2 に接続されている内線 2001 に対してコール レッグを再発信します。
5. 内線 4002 が内線 2001 に接続されます。
図 18 H.450 タンデム ゲートウェイ
この方式は、ネットワークが次の条件を満たす場合に使用します。
• 設定対象のルータが、Cisco CME 3.1 以降を使用する。
• ネットワーク内に H.450 非対応のエンドポイント(Cisco CallManager、Cisco BTS、および Cisco PGW によって処理されるものを含む)がある。
VoIP 対 VoIP 接続のサポートは、デフォルトで無効になっていますが、 allow connections h323 to h323 コマンドを使用してグローバルに有効にすることもできます。詳細については、「H.323 対 H.323 接続機能の有効化」を参照してください。
H.450 タンデム ゲートウェイを設定するには、ダイヤルピアを使用します。「ダイヤルピアの設定」を参照してください。
制約事項
• Cisco CallManager は、Media Termination Point(MTP; メディア終端点)、intercluster trunk(ICT)モード、およびスロースタートを使用する必要があります。
• H.450 タンデム ゲートウェイのすべての VoIP ダイヤルピアにおいて、コーデックが同一である必要があります。
• VoIP ネットワークで一度にサポートされるコーデック タイプは 1 つだけです。また、選択できるコーデックは、G.711(A-law または mu-law)と G.729 の 2 つだけです。
• 変換はサポートされていません。
• コーデックの再ネゴシエーションはサポートされていません。たとえば、G.729 コーデックを使用する H.323 コールが Cisco CME システムによって受信され、G.711 コーデックを必要とするボイスメール システムに自動転送される場合、G.729 から G.711 へコーデックを再ネゴシエーションすることはできません。
Cisco CME 3.1 以降および Cisco IOS ゲートウェイ
Cisco CME 3.1 と Cisco IOS ゲートウェイを含むネットワークには、次のタイプのシステムを含めることができます。
• Cisco CME 3.1 以降
• Cisco IOS ゲートウェイ
このシナリオでは、コール転送と自動転送を伴うコールに関係するシステムはすべて、H.450.2、H.450.3、および H.450.12 標準をサポートできます。これは、Cisco CME 3.1 以降の機能を操作するための最も単純な環境です。
次の一般的な手順に従って、このタイプのネットワークを設定します。
1. このルータで起動されるコール転送と自動転送のパラメータを設定します(コール転送される通話相手、コール転送先、自動転送される通話相手、および自動転送先の H.450.2 および H.450.3 機能は、デフォルトで有効になっています)。「H.450.2 および H.450.3 機能の有効化と無効化」を参照してください。
2. サポートされていない H.450.2 および H.450.3 標準のコールをすべて検出するために、H.450.12 をグローバルに有効にします。このステップはオプションですが、実行することを推奨します。「H.450.12 機能の有効化と無効化」を参照してください。
3. オプションで、H.450.2 または H.450.3 標準をサポートしていないコールをルーティングするように、VoIP 対 VoIP 接続(ヘアピン コール ルーティングまたは H.450 タンデム ゲートウェイ)を設定します。「H.323 対 H.323 接続機能の有効化」を参照してください。
4. ネットワーク内のコール レッグを管理するダイヤルピアを設定します。「ダイヤルピアの設定」を参照してください。
Cisco CME 3.1 以降、Cisco CME 3.0 または Cisco ITS V2.1、および Cisco IOS ゲートウェイ
Cisco CME 3.1 以降、Cisco CME 3.0 または Cisco ITS V2.1、および Cisco IOS ゲートウェイを含むネットワークでは、次のタイプのシステムを組み合せることができます。
• Cisco CME 3.1 以降
• Cisco CME 3.0
• Cisco ITS V2.1
• Cisco IOS ゲートウェイ
このタイプのネットワークは、Cisco CME 3.0 ネットワークから Cisco CME 3.1 以降にアップグレードするプロセスで生成される場合があります。Cisco CME 3.1 以降および Cisco CME 3.0 ルータはどちらも、H.450.2 および H.450.3 標準がすべてのコールに使用されることを前提としています。Cisco CME 3.0 と Cisco ITS 2.1 は H.450.12 標準をサポートしていないことに注意してください。
次の一般的な手順に従って、このタイプのネットワークを設定します。
1. このルータで起動されるコール転送と自動転送のパラメータを設定します(コール転送される通話相手、コール転送先、自動転送される通話相手、および自動転送先の H.450.2 および H.450.3 機能は、デフォルトで有効になっています)。「H.450.2 および H.450.3 機能の有効化と無効化」を参照してください。
2. Cisco CME 3.1 以降のシステムで、advertise-only モードで H.450.12 を有効にします。各 Cisco CME 3.0 システムが Cisco CME 3.1 以降にアップグレードされるたびに、advertise-only モードで H.450.12 を有効にします。advertise-only モードでは、H.450.2 または H.450.3 のサポートの有無がチェックされないことに注意してください。ネットワーク内の Cisco CME 3.0 システムがすべて Cisco CME 3.1 以降にアップグレードされたら、advertise-only 制限を削除します。「H.450.12 機能の有効化と無効化」を参照してください。
3. オプションで、H.450.2 または H.450.3 標準を使用できないコールをルーティングするように、VoIP 対 VoIP 接続(ヘアピン コール ルーティングまたは H.450 タンデム ゲートウェイ)を設定します。「H.323 対 H.323 接続機能の有効化」を参照してください。
4. ネットワーク内のコール レッグを管理するダイヤルピアを設定します。「ダイヤルピアの設定」を参照してください。
Cisco CME 3.1 以降、非 H.450 ゲートウェイ、および Cisco IOS ゲートウェイ
Cisco CME 3.1 以降、非 H.450 ゲートウェイ、および Cisco IOS ゲートウェイを含むネットワークでは、次のタイプのシステムを組み合せることができます。
• Cisco CME 3.1 以降
• H.450.2 および H.450.3 標準をサポートしていないゲートウェイ(Cisco CallManager、Cisco BTS、または Cisco PGW システムなど)
• Cisco IOS ゲートウェイ
このタイプのネットワークでは、H.450.2 および H.450.3 サービスが提供されるのは、H.450.2 および H.450.3 動作が可能であることを、H.450.12 を使用して明示的に通知する発信側エンドポイントに対してだけです。Cisco BTS および Cisco PGW の現行リリースは H.450.12 標準をサポートしていないため、コール転送または自動転送を伴うこれらのシステムに対する送信または受信コールは、H.323 対 H.323 ヘアピン コール ルーティングを使用して処理されます。
次の一般的な手順に従って、このタイプのネットワークを設定します。
1. このルータで起動されるコール転送と自動転送のパラメータを設定します(コール転送される通話相手、コール転送先、自動転送される通話相手、および自動転送先の H.450.2 および H.450.3 機能は、デフォルトで有効になっています)。オプションで、非 H.450 システム(Cisco CallManager、Cisco BTS、Cisco PGW など)をポイントするダイヤルピアに対して、H.450.2 および H.450.3 機能を無効にします。「H.450.2 および H.450.3 機能の有効化と無効化」を参照してください。
2. サポートされていない H.450.2 および H.450.3 標準のコールをすべて検出するために、H.450.12 をグローバルに、または特定のダイヤルピアに対して有効にします。「H.450.12 機能の有効化と無効化」を参照してください。
3. H.450.2 または H.450.3 標準をサポートしていないコールをルーティングするように、VoIP 対 VoIP 接続(ヘアピン コール ルーティングまたは H.450 タンデム ゲートウェイ)を設定します。「H.323 対 H.323 接続機能の有効化」を参照してください。
4. ネットワーク内のコール レッグを管理するダイヤルピアを設定します。「ダイヤルピアの設定」を参照してください。
(注) ネットワークに Cisco CallManager が含まれている場合は、「Cisco CallManager とのインターワーキングの有効化」の手順も参照してください。
Cisco CME 3.1 以降、Cisco CME 3.0 または Cisco ITS V2.1、非 H.450 ゲートウェイ、および Cisco IOS ゲートウェイ
Cisco CME 3.1 以降、Cisco CME 3.0 または Cisco ITS V2.1、非 H.450 ゲートウェイ、および Cisco IOS ゲートウェイを含むネットワークでは、次のタイプのシステムを組み合せることができます。
• Cisco CME 3.1 以降
• Cisco CME 3.0
• Cisco ITS V2.1
• H.450.2 および H.450.3 標準をサポートしていないゲートウェイ(Cisco CallManager、Cisco BTS、または Cisco PGW システムなど)
• Cisco IOS ゲートウェイ
このタイプのネットワークでは、Cisco CME のバージョンと 1 つ以上の非 H.450 ゲートウェイが混在しています。Cisco CME 3.0 および Cisco ITS V2.1 システムは、H.450.12 対応ではありません。このタイプのネットワークを最も簡単に設定するには、H.450.2 および H.450.3 サービスをすべてグローバルで無効にし、すべてのコール転送および自動転送コールに H.323 対 H.323 ヘアピン コール ルーティングを強制的に適用します。この場合は、H.450.12 検出機能をグローバルに有効にします。代わりに、特定のダイヤルピアに対して H.450.12 機能を有効にしてもかまいません。この場合は、H.450.12 機能をグローバルに設定しないで、デフォルトの無効状態のままにします。
次の一般的な手順に従って、このタイプのネットワークを設定します。
1. このルータで起動されるコール転送と自動転送のパラメータを設定します(コール転送される通話相手、コール転送先、自動転送される通話相手、および自動転送先の H.450.2 および H.450.3 機能は、デフォルトで有効になっています)。「H.450.2 および H.450.3 機能の有効化と無効化」を参照してください。
2. サポートされていない H.450.2 および H.450.3 標準のコールをすべて検出するために、H.450.12 をグローバルに、または特定のダイヤルピアに対して有効にします。「H.450.12 機能の有効化と無効化」を参照してください。
3. コール転送および自動転送コールをすべてルーティングするように、VoIP 対 VoIP 接続(ヘアピン コール ルーティングまたは H.450 タンデム ゲートウェイ)を設定します。「H.323 対 H.323 接続機能の有効化」を参照してください。
4. ネットワーク内のコール レッグを管理するダイヤルピアを設定します。「ダイヤルピアの設定」を参照してください。
(注) ネットワークに Cisco CallManager が含まれている場合は、「Cisco CallManager とのインターワーキングの有効化」の手順も参照してください。
Cisco CME 3.1 以降、Cisco CallManager、および Cisco IOS ゲートウェイ
Cisco CME 3.1 以降、Cisco CallManager、および Cisco IOS ゲートウェイを含むネットワークでは、次のタイプのシステムを組み合せることができます。
• Cisco CME 3.1 以降
• Cisco CallManager
• Cisco IOS ゲートウェイ
このタイプのネットワークには、Cisco CME 3.1 以降のシステムと Cisco CallManager システムだけが含まれます。Cisco CME 3.1 以降のリリースは、標準の H.323 メッセージ交換に含まれている独自のシグナリング要素を使用することで、Cisco CallManager に対する送信および受信コールの自動検出をサポートしています。Cisco CME 3.1 以降のシステムは、この検出結果を使用して、コールが H.450.2 および H.450.3 対応かどうかを判別します。この場合、Cisco CallManager でサポートされない H.450.12 付加サービス機能の交換は使用しません。Cisco CallManager エンドポイントに対する送信または受信コールが検出されると、そのコールは非 H.450 コールとして処理されます。このタイプのネットワークに存在する他のすべてのコールは、H.450 標準をサポートするものとして処理されます。そのため、このタイプのネットワークには、Cisco CME 3.1 以降のシステムと Cisco CallManager コール処理システムだけを含める必要があります。
次の一般的な手順に従って、このタイプのネットワークを設定します。
1. このルータで起動されるコール転送と自動転送のパラメータを設定します(コール転送される通話相手、コール転送先、自動転送される通話相手、および自動転送先の H.450.2 および H.450.3 機能は、デフォルトで有効になっています)。「H.450.2 および H.450.3 機能の有効化と無効化」を参照してください。
2. サポートされていない H.450.2 および H.450.3 標準のコールをすべて検出するために、H.450.12 をグローバルに、または特定のダイヤルピアに対して有効にします。「H.450.12 機能の有効化と無効化」を参照してください。
3. Cisco CallManager に対する送信または受信コールとして検出されたコール転送および自動転送コールをすべてルーティングするように、VoIP 対 VoIP 接続(ヘアピン コール ルーティングまたは H.450 タンデム ゲートウェイ)を設定します。「H.323 対 H.323 接続機能の有効化」を参照してください。
4. Cisco CallManager に関する特定のパラメータを設定します。「Cisco CallManager とのインターワーキングの有効化」の手順を参照してください。
5. ネットワーク内のコール レッグを管理するダイヤルピアを設定します。「ダイヤルピアの設定」を参照してください。
Cisco CME 3.1 以降、Cisco CME 3.0 または Cisco ITS V2.1、Cisco CallManager、および Cisco IOS ゲートウェイ
Cisco CME 3.1 以降、Cisco CME 3.0 または Cisco ITS V2.1、Cisco CallManager、および Cisco IOS ゲートウェイを含むネットワークでは、次のタイプのシステムを組み合せることができます。
• Cisco CME 3.1 以降
• Cisco CME 3.0
• Cisco ITS V2.1
• Cisco CallManager
• Cisco IOS ゲートウェイ
Cisco CallManager と古い Cisco CME 3.0 または Cisco ITS V2.1 ネットワークとの間のコールについては、特別な考慮が必要です。Cisco CME 3.0 および Cisco ITS V2.1 システムは Cisco CallManager の自動検出をサポートしておらず、さらに H.323 対 H.323 コール ルーティングをネイティブにサポートしていないため、これらのシステムには代わりの配置が必要です。
Cisco CME 3.0 ルータでコール転送と自動転送を設定するには、次の 3 つのオプションから選択します。
• TCL スクリプトベースの H.323 対 H.323 ヘアピン コール ルーティング
(app-h450-transfer.2.0.0.9.tcl 以降のバージョン)を起動し、TCL スクリプトを使用してコール転送と自動転送を処理します。このスクリプトを、すべての VoIP ダイヤルピアに対して有効にし、さらに telephony-service でも有効にします。また、local-hairpin スクリプト パラメータを 1 に設定します。『 Cisco CallManager Express 3.0 System Administrator Guide』(『 Cisco CallManager
Express 3.0 システム アドミニストレータ ガイド 』)の「 Configuring Call Transfer 」(「コール転送の設定」)の章にある設定手順を参照してください。
• loopback-dn メカニズムを使用します。『 Cisco CallManager Express 3.0 System Administrator Guide 』(『 Cisco CallManager Express 3.0 システム アドミニストレータ ガイド 』)の付録「Loopback Call Routing」(「ループバック コール ルーティング」)にある手順を参照してください。
• ルータの物理音声ポートを使用して、ループバック コール パスを設定します。
3 つのオプションはいずれも、すべてのコールに対して H.323 対 H.323 ヘアピン コール ルーティングを強制的に使用します。この場合、コールの送信元が Cisco CallManager であるか、それ以外の H.323 エンドポイント(Cisco CME 3.1 以降を含む)であるかということは関係ありません。
上記の特別な考慮だけでなく、次の一般的な手順に従って、このタイプのネットワークにおける Cisco CME 3.1 以降のルータを設定します。
1. このルータで起動されるコール転送と自動転送のパラメータを設定します(コール転送される通話相手、コール転送先、自動転送される通話相手、および自動転送先の H.450.2 および H.450.3 機能は、デフォルトで有効になっています)。「H.450.2 および H.450.3 機能の有効化と無効化」を参照してください。
2. H.450.12 機能は、デフォルトの無効状態のままにします。詳細については、「H.450.12 機能の有効化と無効化」を参照してください。
3. Cisco CallManager に対する送信または受信コールとして検出されたコール転送および自動転送コールをすべてルーティングするように、VoIP 対 VoIP 接続(ヘアピン コール ルーティングまたは H.450 タンデム ゲートウェイ)を設定します。「H.323 対 H.323 接続機能の有効化」を参照してください。
4. Cisco CallManager に関する特定のパラメータを設定します。「Cisco CallManager とのインターワーキングの有効化」の手順を参照してください。
5. ネットワーク内のコール レッグを管理するダイヤルピアを設定します。「ダイヤルピアの設定」を参照してください。
コール転送と自動転送の設定
(注) この項のコマンドには、Cisco CME 3.1 以降に導入されたものが含まれています。Cisco CME 3.0 システムに対する H.450 コール転送および自動転送を設定するには、『Cisco CallManager Express 3.0 System Administrator Guide』(『Cisco CallManager Express 3.0 システム アドミニストレータ ガイド』)の手順を参照してください。Cisco ITS V2.1 システムの場合は、『Cisco IOS Telephony Services V2.1』を参照してください。
この項では、次の設定手順について説明します。
• 「H.450.2 および H.450.3 機能の有効化と無効化」
• 「H.450.12 機能の有効化と無効化」
• 「H.323 対 H.323 接続機能の有効化」
• 「Cisco CallManager とのインターワーキングの有効化」
• 「ダイヤルピアの設定」
• 「確認とトラブルシューティング」
H.450.2 および H.450.3 機能の有効化と無効化
H.450.2 は、コール転送の情報をネットワーク全体で交換するための標準プロトコルです。一方、H.450.3 は、自動転送の情報をネットワーク全体で交換するための標準プロトコルです。H.450.2 および H.450.3 標準は、Cisco CME 3.1 以降、Cisco CME 3.0、および Cisco ITS V2.1 ではサポートされていますが、Cisco CallManager、Cisco BTS、または Cisco PGW ではサポートされていません。
H.450.2 および H.450.3 機能は、デフォルトで、コール転送または自動転送される通話相手、およびコール転送先または自動転送先に対して有効になっています。コール転送元または自動転送元に対して H.450 コール転送および自動転送を有効にするには(つまり、コール転送と自動転送を Cisco CME 3.1 以降のシステムから起動できるようにするには)、Cisco CME 3.1 以降のシステムで transfer-system 、 transfer-pattern 、および call-forward パターン コマンドを使用する必要があります。
この作業における残りのコマンド( supplementary-service h450.2 と supplementary-service h450.3 )は、コール転送または自動転送される通話相手、およびコール転送先または自動転送先に対して、H.450.2 および H.450.3 機能を有効または無効にします。これらの機能はデフォルトで有効になっているため、これらのコマンドが必要になるのは、通常、H.450.2 または H.450.3 機能をグローバルに、または特定のダイヤルピアに対して、明示的に無効にする場合だけです。
要約手順
1. telephony-service
2. transfer-system { blind | full-blind | full-consult | local-consult }
3. transfer-pattern transfer-pattern [ blind ]
4. call-forward pattern pattern
5. exit
6. voice service voip
7. supplementary-service h450.2
8. supplementary-service h450.3
9. exit
10. dial-peer voice tag voip
11. supplementary-service h450.2
12. supplementary-service h450.3
13. exit
詳細手順
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ステップ 1 |
telephony-service
Router(config)# telephony-service |
telephony-service 設定モードを開始します。 |
ステップ 2 |
transfer-system { blind | full-blind | full-consult | local-consult }
Router(config-telephony-service)# transfer-system full-consult |
ルータで管理する回線すべてに対して、打診によるコール転送を可能にするコール転送方式を定義します。
(注) SIP ネットワークの場合は、full-blind キーワードまたは full-consult キーワードだけを使用してください。SIP の詳細については、このガイドの付録「SIP 用の Cisco CME サポートの提供」と、『Cisco IOS SIP Configuration Guide』を参照してください。
• blind :シスコ独自の方式を使用し、単一電話回線で、打診を行わずにコールを転送します。 • full-blind :H.450.2 標準方式を使用し、打診を行わずにコールを転送します。 • full-consult :使用可能な H.450.2 標準方式と 2 つ目の電話回線を使用し、打診を行ってコールを転送します。2 つ目の回線が使用できない場合は、full-blind に戻ります。 • local-consult :使用可能な 2 つ目の電話回線を使用し、ローカルで打診を行ってコールを転送します。打診先または転送先がローカル以外の場合は、blind に戻ります。 |
ステップ 3 |
transfer-pattern transfer-pattern [ blind ]
Router(config-telephony-service)# transfer-pattern .T |
Cisco IP Phone からの電話コールを、指定された電話番号パターンに転送します。転送パターンを設定しない場合は、デフォルトとして、転送先が他のローカル IP Phone に制限されます。 • transfer-pattern :許可するコール転送の数字列。ワイルドカードが使用可能です。パターンが .T の場合は、H.450.2 標準を使用してすべての発信側をコール転送します。 • blind :(オプション)H.450.2 コールの打診転送を設定するときに、このコマンドで指定されたパターンと一致する転送がブラインド転送として実行されるようにします。 transfer-system および transfer-mode コマンドを使用して作成された設定を上書きします。
(注) ローカル以外の番号への転送を定義する場合、転送パターン番号の照合が実行されるのは、変換規則の操作が行われる前であることに注意してください。したがって、このコマンドで指定する番号は、変換前に電話機ユーザが実際に入力する番号である必要があります。詳細については、「Cisco CME システムでの電話機の設定」の章の「変換規則」の項を参照してください。
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ステップ 4 |
call-forward pattern pattern
Router(config-telephony-service)# call-forward pattern .T |
H.450.3 標準の自動転送を指定します。このコマンドで定義されたパターンに一致しない発信側番号の自動転送では、下位互換性を保つためにシスコ独自の自動転送が使用されます(『 Cisco IOS Telephony Services V2.1 』の「 Configuring Call Forwarding」の章を参照)。 • pattern :H.450.3 標準を使用した自動転送に一致する番号。発信側番号がパターンと一致すれば、H.450.3 標準を使用して自動転送できます。パターンが .T の場合は、H.450.3 標準を使用してすべての発信側を自動転送します。
(注) ローカル以外の番号への自動転送を定義する場合、パターン番号の照合が実行されるのは、変換規則の操作が行われる前であることに注意してください。したがって、このコマンドで指定する番号は、変換前に電話機ユーザが実際に入力する番号である必要があります。詳細については、「Cisco CME システムでの電話機の設定」の章の「変換規則」の項を参照してください。
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ステップ 5 |
exit
Router(config-telephony-service)# exit |
telephony-service 設定モードを終了します。 |
ステップ 6 |
voice service voip
Router(config) # voice service voip |
(オプション)コール転送および自動転送のグローバル パラメータを設定するため、voice-service 設定モードを開始します。 |
ステップ 7 |
supplementary-service h450.2
Router(conf-voi-serv)# supplementary-service h450.2 |
(オプション)H.450.2 付加サービス機能交換をグローバルに有効にします。これはデフォルトです。H.450.2 機能をグローバルに無効にするには、このコマンドの no 形式を使用します。このコマンドは、dial-peer 設定モードで単一のダイヤルピアを設定するときにも使用します。 • このコマンドがグローバルで有効であり、ダイヤルピアに対して有効である場合、機能はダイヤルピアに対して有効です。これはデフォルトです。 • このコマンドがグローバルで有効であり、ダイヤルピアに対して無効である場合、機能はダイヤルピアに対して無効です。 • このコマンドがグローバルで無効であり、ダイヤルピアに対して有効または無効である場合、機能はダイヤルピアに対して無効です。 |
ステップ 8 |
supplementary-service h450.3
Router(conf-voi-serv)# supplementary-service h450.3 |
(オプション)H.450.3 付加サービス機能交換をグローバルに有効にします。これはデフォルトです。H.450.3 機能をグローバルに無効にするには、このコマンドの no 形式を使用します。このコマンドは、dial-peer 設定モードで単一のダイヤルピアを設定するときにも使用します。 • このコマンドがグローバルで有効であり、ダイヤルピアに対して有効である場合、機能はダイヤルピアに対して有効です。これはデフォルトです。 • このコマンドがグローバルで有効であり、ダイヤルピアに対して無効である場合、機能はダイヤルピアに対して無効です。 • このコマンドがグローバルで無効であり、ダイヤルピアに対して有効または無効である場合、機能はダイヤルピアに対して無効です。 |
ステップ 9 |
exit
Router(conf-voi-serv)# exit |
(オプション)voice-service 設定モードを終了します。 |
ステップ 10 |
dial-peer voice tag voip
Router(config)# dial-peer voice 1 voip |
(オプション)dial-peer 設定モードを開始します。 |
ステップ 11 |
supplementary-service h450.2
Router(config-dial-peer)# no supplementary-service h450.2 |
(オプション)H.450.2 付加サービス機能交換を個々のダイヤルピアに対して有効にします。これはデフォルトです。このコマンドは、voice-service 設定モードで H.450.2 サービスをグローバルに有効にするときにも使用します。 • このコマンドがグローバルで有効であり、ダイヤルピアに対して有効である場合、機能はダイヤルピアに対して有効です。これはデフォルトです。 • このコマンドがグローバルで有効であり、ダイヤルピアに対して無効である場合、機能はダイヤルピアに対して無効です。 • このコマンドがグローバルで無効であり、ダイヤルピアに対して有効または無効である場合、機能はダイヤルピアに対して無効です。 |
ステップ 12 |
supplementary-service h450.3
Router(config-dial-peer)# no supplementary-service h450.3 |
(オプション)H.450.3 付加サービス機能交換を個々のダイヤルピアに対して有効にします。これはデフォルトです。このコマンドは、voice-service 設定モードで H.450.3 サービスをグローバルに有効にするときにも使用します。 • このコマンドがグローバルで有効であり、ダイヤルピアに対して有効である場合、機能はダイヤルピアに対して有効です。これはデフォルトです。 • このコマンドがグローバルで有効であり、ダイヤルピアに対して無効である場合、機能はダイヤルピアに対して無効です。 • このコマンドがグローバルで無効であり、ダイヤルピアに対して有効または無効である場合、機能はダイヤルピアに対して無効です。 |
ステップ 13 |
exit
Router(config-dial-peer)# exit |
(オプション)dial-peer 設定モードを終了します。 |
例
次の例では、Cisco CME 3.1 以降のシステムによって起動されるすべてのコール転送と自動転送が H.450 標準を使用するように設定し、H.450.2 および H.450.3 機能をグローバルに有効にし、さらにそれらの機能をダイヤルピア 37 に対して無効にします。これらの値はデフォルトであるため、
voice-service 設定モードでの supplementary-service コマンドは不要ですが、ここでは説明のために示しています。
transfer-system full-consult
supplementary-service h450.2
supplementary-service h450.3
destination-pattern 555....
session target ipv4:10.5.6.7
no supplementary-service h450.2
no supplementary-service h450.3
H.450.12 機能の有効化と無効化
H.450.12 コール機能標準には、コールごとに、音声ゲートウェイ エンドポイントで H.450.2 および H.450.3 機能を通知および検出する手段が用意されています。H.450.12 が有効の場合、コールに関係する他のすべての VoIP エンドポイントから肯定的な H.450.12 通知が受信された場合を除き、
H.450.2 および H.450.3 サービスはコール転送と自動転送に対して無効になります。肯定的な H.450.12 通知が受信された場合、ルータは、コール転送に H.450.2 標準を、自動転送に H.450.3 標準を使用します。肯定的な H.450.12 通知が受信されない場合、ルータは、コール転送と自動転送に対して設定された代替方式である、ヘアピン コール ルーティングまたは H.450 タンデム ゲートウェイのどちらかを使用します。
H.450.12 は、デフォルトで無効になっています。これは、他のタイプの H.323 システムとの間で互換性の問題が発生する危険性を最小限に抑えるためです。このオプション作業を行うと、H.450.12 機能をグローバルに、または個々のダイヤルピアに対して有効にできます。
Cisco CME 3.0 は、H.450.2 および H.450.3 標準をサポートしていますが、H.450.12 通知を送信しないことに注意してください。 supplementary-service h450.12 コマンドと advertise-only キーワードの組み合せは、Cisco CME 3.0 を含むネットワークに混在する Cisco CME 3.1 以降のシステムで使用することを想定しています。このシナリオは、通常、ネットワークを Cisco CME 3.0 から Cisco CME 3.1 以降にアップグレードする場合に見受けられます。 advertise-only キーワードを使用すると、Cisco CME 3.1 以降のルータは、VoIP エンドポイントのために H.450.12 通知を送信しますが、H.450.12 応答を要求しないで、H.450.2 と H.450.3 をすべてのコールに対して有効にします(デフォルト)。
advertise-only モードでも、Cisco CME 3.1 以降のルータは Cisco CallManager システムを自動検出できます。
要約手順
1. voice service voip
2. supplementary-service h450.12 [ advertise-only ]
3. exit
4. dial-peer voice tag voip
5. supplementary-service h450.12
6. exit
詳細手順
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ステップ 1 |
voice service voip
Router(config) # voice service voip |
(オプション)コール転送および自動転送のグローバル パラメータを設定するため、voice service 設定モードを開始します。 |
ステップ 2 |
supplementary-service h450.12 [ advertise-only ]
Router(conf-voi-serv)# supplementary-service h450.12 |
(オプション)H.450.12 付加サービス機能交換をグローバルに有効にします。コールごとに H.450 機能を検出するためのこのコマンドは、混合ネットワークに H.450 対応のエンドポイントと非対応のエンドポイントがある場合に使用します。このコマンドは、デフォルトで無効になっています。 • advertise-only :(オプション)H.450 機能をリモート エンドに通知しますが、H.450.12 応答を要求しません。このキーワードは、ネットワークに Cisco CME 3.0 システムと Cisco CME 3.1 以降のシステムだけが存在する場合に使用します。 このコマンドは、dial-peer 設定モードで個々のダイヤルピアを設定するときにも使用します。 • このコマンドがグローバルで有効であり、ダイヤルピアに対して有効である場合、機能はダイヤルピアに対して有効です。 • このコマンドがグローバルで有効であり、ダイヤルピアに対して無効である場合、機能はダイヤルピアに対して有効です。 • このコマンドがグローバルで無効であり、ダイヤルピアに対して有効である場合、機能はダイヤルピアに対して有効です。 • このコマンドがグローバルで無効であり、ダイヤルピアに対して無効である場合、機能はダイヤルピアに対して無効です。これはデフォルトです。 |
ステップ 3 |
exit
Router(conf-voi-serv)# exit |
(オプション)voice-service 設定モードを終了します。 |
ステップ 4 |
Router(config)# dial-peer voice 1 voip |
(オプション)dial-peer 設定モードを開始します。このコマンドは、個々のダイヤルピアを設定してグローバル設定を上書きするときに使用します。 |
ステップ 5 |
supplementary-service h450.12
Router(config-dial-peer)# supplementary-service h450.12 |
(オプション)H.450.12 付加サービス機能交換を個々のダイヤルピアに対して有効にします。このコマンドは、デフォルトで無効になっています。 このコマンドは、voice-service 設定モードで H.450.12 サービスをグローバルに有効にするときにも使用します。 • このコマンドがグローバルで有効であり、ダイヤルピアに対して有効である場合、機能はダイヤルピアに対して有効です。 • このコマンドがグローバルで有効であり、ダイヤルピアに対して無効である場合、機能はダイヤルピアに対して有効です。 • このコマンドがグローバルで無効であり、ダイヤルピアに対して有効である場合、機能はダイヤルピアに対して有効です。 • このコマンドがグローバルで無効であり、ダイヤルピアに対して無効である場合、機能はダイヤルピアに対して無効です。これはデフォルトです。 |
ステップ 6 |
exit
Router(config-dial-peer)# exit |
(オプション)dial-peer 設定モードを終了します。 |
例
次の例では、H.450.12 機能をグローバルに無効にし、さらにダイヤルピア 24 に対してだけ有効にします。
no supplementary-service h450.12
destination-pattern 555....
session target ipv4:10.5.6.7
supplementary-service h450.12
H.323 対 H.323 接続機能の有効化
VoIP 対 VoIP 接続を使用すると、VoIP ネットワーク経由のコール転送および自動転送コールを終端し、再発信することができます。VoIP 対 VoIP 接続は、ヘアピン コール ルーティングと H.450 タンデム ゲートウェイに使用されます。Cisco CME 3.1 以降でサポートされている VoIP 対 VoIP 接続のタイプは、H.323 対 H.323 だけです。
デフォルトでは、VoIP 対 VoIP 接続はルータ上で無効になっています。そのため、ヘアピン コール ルーティングまたは H.450 タンデム ゲートウェイを使用するには、この接続を明示的に有効にする必要があります。また、コール転送または自動転送コールをヘアピンまたは H.450 タンデム ゲートウェイに送信するメカニズムを設定する必要があります。この設定には、次のどちらかの方式を使用します。
• H.450.12 機能をグローバルに、またはコール転送と自動転送が経由するルータに対して有効にする。「H.450.12 機能の有効化と無効化」を参照してください。
• H.450.2 および H.450.3 機能をグローバルに、またはコール転送と自動転送が経由するルータに対して、明示的に無効にする。「H.450.2 および H.450.3 機能の有効化と無効化」を参照してください。
要約手順
1. voice service voip
2. allow-connections h323 to h323
3. exit
詳細手順
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ステップ 1 |
voice service voip
Router(config) # voice service voip |
コール転送および自動転送のグローバル パラメータを設定するため、voice service 設定モードを開始します。 |
ステップ 2 |
allow-connections h323 to h323
Router(conf-voi-serv)# allow-connections h323 to h323 |
VoIP 対 VoIP コール接続を有効にします。VoIP 対 VoIP コール接続を無効にするには、コマンドの no 形式を使用します。これはデフォルトです。 |
ステップ 3 |
exit
Router(conf-voi-serv)# exit |
voice-service 設定モードを終了します。 |
例
次の例では、H.323 対 H.323 接続をグローバルに有効にします。
allow-connections h323 to h323
Cisco CallManager とのインターワーキングを可能にする Cisco CME 3.1 以降の設定
この項の Cisco IOS コマンドはすべてオプションです。これは、Cisco CallManager と連携させるために、デフォルトで設定されているからです。ここでは、オプション機能を実装する方法やデフォルト以外の設定をデフォルトに戻す方法を説明するために含めています。
要約手順
1. voice service voip
2. h323
3. telephony-service ccm-compatible
4. h225 h245-address on-connect
5. exit
6. supplementary-service h225-notify cid-update
7. exit
8. voice class h323 tag
9. telephony-service ccm-compatible
10. h225 h245-address on-connect
11. exit
12. dial-peer voice tag voip
13. supplementary-service h225-notify cid-update
14. voice-class h323 tag
15. exit
詳細手順
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ステップ 1 |
voice service voip
Router(config) # voice service voip |
グローバル パラメータを設定するため、voice service 設定モードを開始します。 |
ステップ 2 |
h323
Router(conf-voi-serv)# h323 |
H.323 voice-service 設定モードを開始します。 |
ステップ 3 |
telephony-service ccm-compatible
Router(conf-serv-h323)# telephony-service ccm-compatible |
(オプション)Cisco CME 3.1 以降が Cisco CallManager を検出してコールを交換する機能をグローバルに有効にします。これはデフォルトです。 • Cisco CallManager の検出および交換を無効にするには、コマンドの no 形式を使用します。コマンドの no 形式を使用することは推奨できません。 • このコマンドを H.323 音声クラス定義に使用すると、個々のダイヤルピアに対するこの動作を指定できます。 |
ステップ 4 |
h225 h245-address on-connect
Router(conf-serv-h323)# h225 h245-address on-connect |
(オプション)H.245 トランスポート アドレスの H.225 メッセージ交換を、コールが接続されるまで遅延する機能をグローバルに有効にします。遅延を使用すると、Cisco CallManager が Cisco CME 電話機へのコールに対するローカル リングバックを生成できるようになります。これはデフォルトです。 • このコマンドの no 形式を使用すると、遅延は無効になります。コマンドの no 形式を使用することは推奨できません。 • このコマンドを H.323 音声クラス定義に使用すると、個々のダイヤルピアに対するこの動作を指定できます。 |
ステップ 5 |
exit
Router(conf-serv-h323)# exit |
H.323 voice-service 設定モードを終了します。 |
ステップ 6 |
supplementary-service h225-notify cid-update
Router(conf-voi-serv)# supplementary-service h225-notify cid-update |
(オプション)Cisco CallManager に送信する、発信者 ID アップデートを含む H.225 メッセージを、グローバルに有効にします。これはデフォルトです。 • コマンドの no 形式を使用すると、発信者 ID アップデートは無効になります。コマンドの no 形式を使用することは推奨できません。 このコマンドは、dial-peer 設定モードで単一のダイヤルピアを設定するときにも使用します。 • このコマンドがグローバルで有効であり、ダイヤルピアに対して有効である場合、機能はそのダイヤルピアに対して有効です。これはデフォルトです。 • このコマンドがグローバルで有効であり、ダイヤルピアに対して無効である場合、機能はそのダイヤルピアに対して無効です。 • このコマンドがグローバルで無効であり、ダイヤルピアに対して有効または無効である場合、機能はそのダイヤルピアに対して無効です。 |
ステップ 7 |
exit
Router(config-voice-service)# exit |
voice-service 設定モードを終了します。 |
ステップ 8 |
voice class h323 tag
Router(config) # voice class h323 48 |
(オプション)1 つ以上のダイヤルピアに適用されるコマンドを含む音声クラスを作成します。 |
ステップ 9 |
telephony-service ccm-compatible
Router(config-voice-class)# telephony-service ccm-compatible |
(オプション)この音声クラスをダイヤルピアに適用すると、ダイヤルピアが Cisco CallManager システムとコールを交換できるようになります。これはデフォルトです。 • コマンドの no 形式を使用すると、Cisco CallManager とのコール交換は無効になります。コマンドの no 形式を使用することは推奨できません。 |
ステップ 10 |
h225 h245-address on-connect
Router(config-voice-class)# h225 h245-address on-connect |
(オプション)この音声クラスをダイヤルピアに適用すると、このダイヤルピアを使用するコールが、H.245 トランスポート アドレスを含む H.225 メッセージを、コールの接続時まで遅延できるようになります。遅延を使用すると、 Cisco CallManager からのコールに対するローカル リングバックを再生できます。これはデフォルトです。 • このコマンドの no 形式を使用すると、遅延は無効になります。コマンドの no 形式を使用することは推奨できません。 |
ステップ 11 |
exit
Router(config-voice-class)# exit |
voice-class 設定モードを終了します。 |
ステップ 12 |
dial-peer voice tag voip
Router(config)# dial-peer voice 28 voip |
(オプション)個々のダイヤルピアに対するパラメータを設定するため、dial-peer 設定モードを開始します。 |
ステップ 13 |
supplementary-service h225-notify cid-update
Router(config-dial-peer)# no supplementary-service h225-notify cid-update |
(オプション)Cisco CallManager に送信する、発信者 ID アップデートを含む H.225 メッセージを、特定のダイヤルピアに対して有効にします。これはデフォルトです。 • コマンドの no 形式を使用すると、発信者 ID アップデートは無効になります。コマンドの no 形式を使用することは推奨できません。 |
ステップ 14 |
voice-class h323 tag
Router(config-dial-peer)# voice-class h323 48 |
(オプション)指定されたタグ番号を持つ定義済みの音声クラスを、このダイヤルピアに適用します。 |
ステップ 15 |
exit
Router(config-dial-peer)# exit |
dial-peer 設定モードを終了します。 |
Cisco CME 3.1 以降とのインターワーキングを可能にする Cisco CallManager の設定
Cisco CME システムとのインターワーキング用に使用する Cisco CallManager を設定するには、Cisco CallManager の通常の設定に加え、次の特別な手順を使用します。
要約手順
1. Cisco CallManager サービス パラメータを設定します。
2. Cisco CME 3.1 以降のシステムを Cisco CallManager ネットワークの ICT として設定します。
3. Cisco CallManager ネットワークが MTP を使用することを確認します。
ダイヤルピアの設定
ダイヤルピアは、コールの確立に使用される仮想インターフェイスについて記述したものです。音声テクノロジーはすべて、ダイヤルピアを使用することで、コール レッグに関連付けられた特性を定義します。コール レッグに適用されるアトリビュートには、特定の Quality of Service(QoS)機能、圧縮/圧縮解除(コーデック)、Voice Activity Detection(VAD; 音声アクティビティ検出)、およびファックス レートがあります。ダイヤルピアは、ネットワーク内にルーティング パスを確立するときにも使用されます。これには、ヘアピンや H.450 タンデム ゲートウェイなどの特殊なルーティング パスも含まれます。『 Dial Peer Configuration on Voice Gateway Routers』の手順を使用して、ダイヤルピアを設定します。
例
次の例は、Cisco CallManager 接続をポイントするダイヤルピア 1001 と、Cisco CME 3.1 以降のルータ自体にあるダイヤルピア 1002 を示しています。
dial-peer voice 1001 voip
description points-to-CCM
session target ipv4:172.26.82.10
dial-peer voice 1002 voip
description points to router
session target ipv4:172.25.82.2
次の作業
ダイヤルピアを設定し、この章にある他の適切なコマンドを使用したら、混合ネットワーク全体でコール転送および自動転送できるようにする必要があります。必要に応じて、設定の確認とトラブルシューティングを行います。
確認とトラブルシューティング
設定を確認するには、 show running-config コマンドを使用します。出力サンプルについては、「コール転送と自動転送の設定例」を参照してください。
Cisco CallManager 電話機から Cisco CME システム上の IP Phone へのダイレクト コールに対してリングバックが生成されない場合は、 show running-config コマンドの出力をチェックし、 no h225 h245-address on-connect と no telephony-service ccm-compatible の 2 つのコマンドが表示されていないことを確認します。これらのコマンドはどちらも有効にする必要があります。これはデフォルト状態です。
debug h225 asn1 コマンドを使用すると、Cisco CME システムから Cisco CallManager システムに送信されている H.323 メッセージを参照して、H.245 アドレスの送信タイミングが早すぎるかどうかを確認します。
次の show コマンドは、ネットワーク動作を調べるのに有用です。
• show voip rtp connections detail
このコマンドは、VoIP 対 VoIP 接続を使用してルーティングされるコールについて、すべての VoIP コール レッグに関するコール ID 番号、IP アドレス、およびポート番号を表示します。このコマンドは、VoIP 対 POTS と VoIP 対 VoIP のコール レッグを含んでいます。次に、このコマンドのサンプル出力を示します。
Router# show voip rtp connections detail
VoIP RTP active connections :
No. CallId dstCallId LocalRTP RmtRTP LocalIP RemoteIP
1 7 8 16586 22346 172.27.82.2 172.29.82.2
2 8 7 17010 16590 172.27.82.2 200.1.1.29
Found 2 active RTP connections
• show call prompt-mem-usage detail
このコマンドは、Interactive Voice Response(IVR; 対話式音声自動応答)プロンプト再生メカニズムを使用するリングバック トーンの生成に関する情報を表示します。このリングバックが必要になるのは、コールの転送先呼び出し段階でコミットされるヘアピン転送と、インバンド リングバック トーンを提供しない宛先に対するコールです。この宛先には、IP Phone などがあります(FXS アナログ ポートはインバンド リングバック トーンを提供しません)。リングバック トーンは、コール転送を実行する Cisco CME システム(コール転送元に接続されたシステム)によって、コール転送される通話相手に再生されます。システムは、Cisco CME システムのネットワーク ロケール設定に基づいて、必要なトーン プロンプトを自動的に生成します。
聞こえるはずのリングバック トーンが聞こえない場合は、 show call prompt-mem-usage コマンドを使用して、正しいプロンプトがロードおよび再生されることを確認します。次のサンプル出力は、プロンプトが再生されていること(「Number of prompts playing」)、およびプロンプトに使用される国別コード(英国を表す「GB」)とコーデックを示しています。
Router# show call prompt-mem-usage detail
config'd wait active free mc total ms total
file(s) 0200 0001 -001 00200 00001 00002
memory 02097152 00003000 00000000 02094152 00003000
Prompt load counts: (counters reset 0)
success 0(1st try) 0(2nd try), failure 0
Number of prompts playing: 1
Number of start delays : 0
MCs in the ivr MC sharing table
===============================
Media Content: NoPrompt (0x83C64554)
cid=0, status=MC_READY size=24184 coding=g711ulaw refCount=0
Media Content: tone://GB_g729_tone_ringback (0x83266EC8)
URL: tone://GB_g729_tone_ringback