日本特殊陶業株式会社
日本特殊陶業は1936年にプラグメーカーとして創立した。プラグの素子であるセラミックス開発技術をベースに、ニューセラミック製品の研究開発を開始し、センサ、半導体事業、医療関連と事業領域を拡大してきた。
自動車業界の大きな変化を背景に、変革に取り組んでいる日本特殊陶業。変革の対象は工場のOT(Operational Technology)インフラにも及んでいます。同社が目指す柔軟で安全・安心なOTインフラ、まだ確立したモデルがない分野。そこで同社は、シスコと共にそれを実現する取り組みを開始しています。
日本特殊陶業は1936年にプラグメーカーとして創立した。プラグの素子であるセラミックス開発技術をベースに、ニューセラミック製品の研究開発を開始し、センサ、半導体事業、医療関連と事業領域を拡大してきた。
日本特殊陶業は、自動車などのエンジンにおいてガソリンを着火させる役目を担うスパークプラグで世界シェアNo.1(※2023年3月末時点の同社推計)を誇っています。
現在、同社はこの事業ポートフォリオを変革しようとしています。背景には、自動車業界の変化と、それに対する同社の強い危機感があります。「2030年には、内燃機関車向けの部品の需要はピークアウトすると想定しています。それに対応するには、既存事業の強化と新事業の創出によって、事業ポートフォリオを大きく転換しなければなりません」と同社の木村 和之氏は言います。
当然、ビジネスや業務を支えているITや、工場の生産設備やシステムを制御するOTシステムも変革の対象となります。
例えば、これまでの生産体制は、少品種大量が前提でしたが、これからは少量多品種にシフトして行くことになります。OTインフラは、生産プロセスの細かい調整、生産ラインの頻繁な組み替えなどに対応できなければなりません。
また、安全性もOTにとって欠かせません。工場やプラントのOTインフラがサイバー攻撃に狙われるケースが増えているからです。
さらに、パンデミックのような非常事態や人手不足に備えるためにOTもリモートからソフトウェアをアップデートしたりできるようにしたいと考えました。
このような考えのもと、OTの変革を目指す同社がパートナーに選んだのがシスコです。
「私たちが目指す柔軟性や安全性を備えたOTインフラは、まだ確立したモデルなどがありません。この、いわば未来のベストプラクティスを創る道を誰と一緒に歩むか──。現在のネットワークのデファクトスタンダードを創り、リーダーの立ち位置にいるシスコしかいないと考えました」と木村氏は話します。
依頼を受けたシスコは、共に取り組むことを約束。最初のミーティングで、シスコが提唱する「やわらかいインフラ」の考え方を紹介しました。
新製品の生産や新しい顧客ニーズに対応するために新しい生産ラインを用意する。事業ポートフォリオの変更に速やかに生産ラインを対応させる。そのような要件に対して、シスコは、ソフトウェア制御を中心とする技術を駆使して、高度な接続性、セキュリティ、運用自動化、可視化などを実現。変化に強いインフラを可能にします。それが、やわらかいインフラです。
次世代のOTインフラを目指す両社の取り組みは、シスコのカスタマーエクスペリエンス部門のプロフェッショナルサービスによってOTインフラの通信を可視化することから開始しました。
「長年のビジネスの中でOTインフラは、複雑化が進んでいます。そこで『まずは現状を把握しましょう』とシスコが提案してくれました」と同社の森 健太朗氏は言います。
その結果を踏まえ、次は構想策定に取り組みました。日本特殊陶業のビジネスや生産のやり方を踏まえながら、OTとITを含む次世代インフラの姿を策定したのです。例えば、長年の運用の中で境界が複雑になってきているIT領域とOT領域の分離、そしてNDR(Network Detection and Response)によるセキュリティ強化などが構想に含まれています。
「生産設備などは機器自体に直接対策を施すことが難しいため、ネットワーク上で攻撃の予兆を検知して、被害を最小限に防ぐNDRが最適だと考えました」と木村氏は言います。
「今回の取り組みが日本特殊陶業の未来のためであることはいうまでもありませんが、同時に日本の製造業のためという思いもあります。OTインフラの最適解を定義する──。厳しいテーマですが、誰かがチャレンジしなければ進展はありません。シスコと共に次世代OTのあるべき姿を描き、製造業の仲間の役に立ちたいですね」と木村氏は想いを語りました。
お客様の事例は、地域を超え、業界を超えて、多くの人に響く声になります。