これら 3 つのフィッシング手法の違いは以下の通りです。
- ビッシング:口頭で機密情報を共有するように被害者を促す通話詐欺
- フィッシング:詐欺目的の Web サイトまたはマルウェアのダウンロードへのリンクをクリックするように被害者を誘導する E メール詐欺
- スミッシング:やはり悪意のあるリンクをクリックしたり、偽の Web サイトにアクセスしたりするように被害者を促すテキストメッセージ詐欺
ビッシング E メールが検出されるのを避ける方法
すべてのビッシング攻撃が通話から始まるわけではありません。多くの攻撃者が、権威のある組織や信頼できる組織のふりをした巧妙な E メールから詐欺を仕掛けます。その後、通話によって、受信者が要求に応えるように説得します。ビッシング攻撃がフィッシングメールから始まる場合、なぜ E メールセキュリティフィルタを通り抜けられるのでしょうか? 考えられる理由は 3 つあります。
- E メールにリンクがない:悪意のあるリンクがある場合、セキュリティシステムは簡単に E メールにフラグを立てることができます。ただし、一般にビッシング E メールは電話をかけるように受信者を促すものであり、通常のセキュリティツールが特定できるリンクを貼る必要がありません。通話をすることを強調する内容であるため、フィッシング詐欺の常套手段である、従来のクリック可能なリンクやボタンをなくすことができます。
- 正当に見える送信者からの E メールである:なりすましの E メールアカウントは、Gmail アカウントなどの個人 E メールアドレスから送信された場合、Domain Based Message Authentication Reporting(DMARC)、Sender Policy Framework(SPF)、DomainKeys Identified Mail(DKIM)などの認証スクリニーングを通過できます。
- E メールセキュリティツールの効果低減:E メールが最初の 2 つのフィルタを通り抜けた場合、基本的な E メールセキュリティシステムによって低リスクに分類され、受信者の受信トレイに送信されます。この問題は、フィッシング攻撃、ビジネス E メールの侵害、ランサムウェア を検出および修復するために設計された高度な E メール セキュリティ ソフトウェア によって緩和できます。
URL とは異なり、電話番号はサイバーセキュリティ コミュニティの侵害の指標(IOC)として常に追跡および共有されているわけではありません。このように電話番号が体系的に管理されていないため、ビッシング詐欺メールが従来の E メールセキュリティチェックをすり抜ける確率が高くなります。
ビッシングの例
テクノロジーの進歩により、一般的なビッシング詐欺は非常に巧みな攻撃に進化しました。人間の信頼と焦りをお金に変えるこのような詐欺はリアルなビジネスやシナリオをでっち上げ、組織に深刻な被害を与えます。
以下は一般的なビッシング詐欺の例です。
IRS(米国国税庁)を騙った税金に関する詐欺
通常、IRS ビッシング詐欺は、事前に録音されたボイスメッセージを使用して確定申告の問題に関する警告を発し、提示された電話番号で直接 IRS に問い合わせるように促します。これらのメッセージは、たいてい脅すような口調で語られ、応じない場合は逮捕状が出される場合があると警告されます。
IRS になりすますことは、E メール詐欺と音声詐欺の両方のサイバー犯罪者の間で一般的な戦略となっています。IRS という名前によって即座に信頼感と緊迫感が生まれ、被害者は要求の正当性に疑問を持たずにすぐに行動してしまいます。
テクニカルサポート攻撃
テクニカルサポート ビッシング詐欺では、詐欺師は Apple、Microsoft、Google などのテクノロジー企業の担当者になりすまし、オンラインアカウントに不審なアクティビティがあると警告します。通常、詐欺師は重要なソフトウェアアップデートを送信するために E メールアドレスを要求しますが、そのアップデートがマルウェアに感染したダウンロードファイルです。
テクニカルサポート詐欺は、被害者の技術的な知識が不足している可能性を突いてきます。これらの詐欺師は脅しの戦略を使い、深刻なセキュリティの脅威や技術的な問題を示唆して恐怖と危機感を植え付けます。すぐに解決できるソリューションを提示し、被害者のコンピュータへのリモートアクセス権を得る場合もあります。アクセス権を得た攻撃者は、個人データや企業データを盗んだり、悪意のあるソフトウェアをインストールしたり、システム全体に損害を与えたりできます。
銀行なりすまし詐欺
銀行なりすまし詐欺では、詐欺師はクレジットカード会社や銀行などの金融機関になりすまし、アカウントに不正にアクセスします。異常な、または不審なアクティビティがあると主張し、問題を解決するためと偽ってアカウントの詳細とログイン情報を確認するように要求します。
金融機関に直接問い合わせた場合は、機密情報によって本人確認を求められる可能性もあります。ただし、正規の金融機関が電話をかけてきてパスワードやセキュリティコードを尋ねることは決してありません。
社会保障または医療保険詐欺
年配者は最新のフィッシング詐欺戦略に疎い可能性が高いため、サイバー犯罪者のターゲットとして選ばれやすくなります。これらの詐欺では、犯罪者は社会保障または医療保険の担当者になりすまし、新しい社会保障番号を発行するとか、給付金について話し合うなどと偽って機密性の高いアカウント情報を聞き出そうとします。年配層は E メールやテキストメッセージよりも電話でのコミュニケーションを好む傾向にあるため、フィッシングやスミッシング攻撃よりもビッシング詐欺の被害に遭う確率が高くなります。
これらの詐欺に遭いやすそうな友人や親族がいる場合は、IRS、社会保障当局、医療保険担当者が電話をかけてきて個人情報を要求したり脅したりすることは決してないと伝えてください。正規の連邦機関が電話、E メール、テキストメッセージ、ソーシャルメディアで個人に連絡を取り、個人情報や財務情報を要求することはありません。
配送詐欺
オンラインショッピングが広く普及したことで、多くの個人やビジネスは購入したものを把握し続けることが難しくなっています。そして、サイバー犯罪者はこの見落としを利用しようとしています。Amazon や UPS の担当者になりすました詐欺師が、配達に問題が発生したと通知し、これらの架空の注文の問い合わせのための番号を伝えます。
信頼した顧客が電話をかけると、カスタマーサービスのふりをした詐欺師が発信者から個人情報を聞き出します。Amazon プライムデーなどのイベントの人気が高まり、オンラインショッピングがますます一般的になっている現在、消費者はこれらの配送詐欺について認識しておく必要があります。
ローンおよび投資詐欺
低リスクで高リターンの投資機会、または借金を異常に早く返済できると謳うローンを持ちかけられた場合は、特に注意することが重要です。話が嘘のようにうますぎると感じられる場合、たいていは嘘です。
これらのローンや投資詐欺から自分自身を守るためのヒントを以下に挙げます。
- リスクや関連するコストについて尋ねる
- 高圧的な売り込みや積極的な販売戦略に抵抗する
- 詳細を書面にするように要求し、自身で調査も行う
- 発信者の肩書きや信用だけを理由に契約しない
- 投資やプロモーターの正当性を検証する
- 完全にリスクがない、または利益が保証されるという主張は拒否する。正当な投資には常に一定のリスクがあるため、これらは危険信号である
音声複製ビッシング詐欺
音声複製テクノロジーは、人工知能を使用して危険なほどリアルなフェイクオーディオまたはビデオクリップを作成できます。サイバー犯罪者は現在このような AI ツールを使用して、ターゲットの親族や信頼できる人間を真似た音声録音を捏造しています。たとえば、CEO の音声を複製して、多額の送金を要求する場合もあります。音声の模倣が正確なため立場の低い従業員は通話が本物だと信じ、権威のある人物からの要求の緊迫感と相手への敬意から従ってしまう可能性があります。
音声複製ツールがより高度になり、広まるにつれて、そのような詐欺のリスクも高まっています。そのため、たとえ発信者の声を知っている場合でも、強力なセキュリティプロトコルと厳重な警戒が必要であることを理解していなければなりません。