データ シートCisco ISR 1800、2800 シリーズ、および 3800 シリーズ サービス統合型ルータ用 Cisco ケーブル高速 WAN インターフェイス カードCisco® 統合ケーブル High-Speed WAN Interface Card(HWIC; 高速 WAN インターフェイス カード)は、シスコ サービス統合型ルータ内に DOCSIS 2.0 ベースのケーブル モデムを統合します。これにより、総所有コストの削減、高度な Quality of Service(QoS)の適用、および高度な監視とロード バランシング機能が提供されます。 さらに、新しい Cisco ケーブル HWIC によって、ケーブル事業者が中堅・中小規模の企業や大企業の顧客に提供できるビジネスクラスのマネージド ケーブル サービスのポートフォリオが大幅に拡大されます。Cisco ISR ルータや Cisco IAD2430 シリーズにケーブル HWIC が組み合わされることで、セキュリティ、IP コミュニケーション、スイッチング、ワイヤレス LAN の管理と接続、WAN の最適化に加えて、サービスの提供範囲がさらに広がります。 概要新しいケーブル HWIC(HWIC-CABLE-D-2 および HWIC-CABLE-E/J-2)は、DOCSIS 2.0、Euro-DOCSIS 2.0、および J-DOCSIS 2.0 の仕様に準拠するよう設計されており、モジュラ型のシスコ サービス統合型ルータと Cisco IAD2430 シリーズ ルータからケーブル事業者の WAN へのシングルポート ケーブル モデム接続を提供します。これらのケーブル HWIC(図 1)を Cisco 2800/3800 シリーズ サービス統合型ルータ、Cisco ISR 1800 サービス統合型ルータ、および Cisco IAD2430 シリーズと組み合わせると、Customer Premises Equipment(CPE; 宅内装置)とセントラル オフィス間の高速デジタル データ伝送が実現します。そのため、ケーブル サービス プロバイダーおよび再販業者は、 Cisco IOS® ソフトウェアによって提供されるビジネスクラス セキュリティ、音声統合、差別化された Class of Service(CoS; サービス クラス)、およびマネージド ネットワーク アクセス用の機能を活用して、追加サービスを提供できます。このような付加価値機能と Cisco IOS ソフトウェア テクノロジーの管理性と信頼性によって、ビジネスに不可欠のミッションクリティカルなネットワーキングが提供されます。 図 1 シングルポート DOCSIS 2.0 および Euro/J-DOCSIS 2.0 ベースのケーブル HWIC(HWIC-CABLE-D-2 および HWIC-CABLE-E/J-2) 1 ポート DOCSIS ベースのケーブル HWIC と 1 ポート Euro/J-DOCSIS ベースのケーブル HWIC カードには、ブロードバンド接続用の F コネクタが 1 つあります。ケーブル HWIC は、Cisco IOS ソフトウェア リリース 12.4(6)XE 以降でサポートされています。ケーブル事業者は Cisco ISR と Cisco IAD2430 シリーズをケーブル HWIC と組み合わせることで、音声、ビデオ、データ、セキュリティ、ワイヤレス、スイッチング、DOCSIS ネットワーク上のコンテンツ キャッシングなど、広範なビジネス サービスを提供できます。 Cisco IOS ソフトウェア ルータに組み込まれたケーブル HWIC は、クリティカルなプライマリ WAN リンクに対する、専用回線、ISDN、または xDSL サービスに代わるコスト効率が高い統合ソリューションまたはバックアップ ソリューションを提供します。ケーブル サービス プロバイダーと企業のお客様は、統合ケーブル ソリューションを導入することで、導入と管理を簡単にすることもできます。スタンドアロン ケーブル モデムとルータに比べ、統合ケーブル ソリューションには、QoS 適用の改善、WAN フェールオーバー機能の拡張、可用性の向上などの利点があります。 アプリケーションビジネスクラスのケーブル ブロードバンド接続Cisco ISR 2800 と 3800 シリーズと Cisco 1841 は、広範な WAN 接続をサポートする複数の WAN スロットを備えています。これらのルータと Cisco ケーブル HWIC をプライマリ WAN アクセス用に設定し、インターネットやエンタープライズ オフィスへの高速ケーブル ブロードバンド接続を提供できます。高度な QoS を適用することができるので、優先順位の高いデータや音声トラフィックの遅延を最小限に抑えることができます。リンクの状態と品質は、Cisco IOS ソフトウェアの高度な管理装置を使用して監視できます。ISR に利用できる広範な WAN アクセス テクノロジーとケーブル HWIC を組み合わせて利用できるため、大企業および中堅・中小規模の企業のお客様にとっては、柔軟性が非常に高い WAN やブランチ オフィス接続の選択肢の幅が広がります。 セカンダリ WAN 接続ケーブル HWIC は優れたプライマリ WAN リンクになるとともに、あらゆる規模の企業にとってセカンダリ WAN リンクとしても適しています。このセカンダリ リンクでは、Web トラフィックを直接インターネットにオフロードするか、障害に備えてプライマリ リンクの冗長オプションを提供するか、または xDSL やその他の種類の WAN リンクとのロード バランシングを行うことができます。 インターネット接続は、ブランチ オフィスや中堅・中小企業の従業員の生産性にとってますます重要性が高まっています。しかし、Web に置かれるストリーミング メディアとリッチ コンテンツが増えるにつれ、この接続に必要な WAN 帯域幅も増え続けています。ブランチ オフィスの場合、図 2 に示すように、ポリシーベース ルーティングを使用してすべての HTTP(ポート 80)トラフィックを低帯域幅のプライマリ リンクから DOCSIS リンクに転送して、企業本社にルーティングされるトラフィック量を最小限に抑えることが可能になります。Cisco ISR には、インターネットのセキュリティと適切な使用に役立つ、高度なファイアウォール、侵入防御、および URL フィルタリング機能を組み込むこともできます。これにより、エンドツーエンドでのセキュリティが確保されます。 ビジネス アプリケーションの集中管理が進むにつれて、世界中に分散したブランチ オフィスで働く多くの従業員にとって、中央オフィスや地域オフィスへの接続はますます重要になっています。ケーブル ブロードバンドは従来の Public Switched Telephone Network(PSTN; 公衆電話交換網)ベースの WAN リンクに対するバックアップとしても優れています。これは、別のネットワーク インフラストラクチャを使用するためです。Cisco ISR では、プライマリ リンクが復元されるまでミッションクリティカルな通信をセキュリティで保護する、中央サイトへの IP セキュリティ(IPsec)トンネルを作成できます。さらに、ケーブル HWIC の高性能な機能は、ADSL2+、イーサネット WAN サービスなどの新しい高速テクノロジーのバックアップ オプションに最適です。 ビジネスクラスのセキュリティCisco ISR とケーブル HWIC は、ステートフル インスペクション ファイアウォールをサポートする Cisco IOS Firewallファイアウォールおよび Intrusion Prevention System(IPS; 侵入防御システム)機能を使用したインターネット セキュリティを最適化できます(図 2)。ケーブルによる常時接続では、悪意のあるネットワーク攻撃から企業リソースを保護するため、インターネット セキュリティは不可欠です。このような機能をモジュラ ルータで有効にするには、Advanced Security 以上のフィーチャ セットを持つオプションの Cisco IOS ソフトウェアを導入します。 これらのプラットフォームは、VPN IPsec と Multiprotocol Label Switching(MPLS; マルチプロトコル ラベル スイッチング)接続に利用することもできます。この接続では、プライベート ネットワークと同じポリシーとレベルのセキュリティを備えた通信が可能になり、インターネットを安全に使用できます。IPsec ベースの VPN は暗号化トンネリングによるセキュリティを提供します。Cisco ISR は、ハードウェアベースの Triple Data Encryption Standard(トリプル DES) IPsec と Advanced Encryption Standard(AES; 高度暗号化規格)をサポートしています。暗号化機能をルータで有効にするには、オプションの Cisco IOS ソフトウェアの Advanced Security フィーチャ セットを導入します。 ケーブル事業者は、ケーブル HWIC と Cisco ISR を使用して、ビジネスクラスのセキュリティをマネージド サービスとして顧客に提供することによって、Average Revenue Per Subscriber(ARPU; 加入者1人あたりの平均売上)を向上させ、加入者の解約数を抑制することができます。 データと Voice over IP サービスの統合Cisco IAD2430、Cisco ISR 2800 および 3800 シリーズをケーブル HWIC と組み合わせると、1 つのルーティング プラットフォーム内で業界最高レベルのセキュリティを提供すると同時に、中堅・中小規模の企業とエンタープライズ ブランチ オフィスの IP コミュニケーションのニーズを満たすことができます。Cisco CallManager Express(CME)は、Cisco IOS ソフトウェアに組み込むオプション ソリューションであり、有線での IP フォンやワイヤレス IP フォンを含む Cisco IP Phone の呼処理を行います。Cisco IAD2430、Cisco ISR 2800 および 3800 シリーズ プラットフォームとケーブル HWIC では、 高品質の IP コミュニケーションを確保するため、高度な QoS 適用を行います(図 2)。Cisco CallManager Express ソリューションは、顧客が日常業務で必要とする電話機能のコア セットを提供し、Cisco IOS ソフトウェアが稼動するサービス統合型ルータに組み込まれた広範な音声機能を使用します。 ケーブル HWIC を搭載した Cisco ISR と Cisco IAD2430 シリーズは、ケーブル サービス プロバイダーにデータと音声の統合サービス プラットフォームを提供し、企業顧客向けとして、従来の Time-Division Multiplexing(TDM; 時分割多重)から Voice over IP(VoIP)へのコスト効率の高い移行を促進します。このアプリケーションでは、Private Branch Exchange(PBX; 構内交換機)またはキー システムを VoIP 対応 Cisco ISR ルータに接続します(または既に接続しています)。ルータは音声トラフィックをパケット化し、HFC ネットワーク経由でパケットを送信します。ヘッドエンドにおいて、Cisco CallManager または H.323 ゲートキーパーが PSTN に送信するパケットと IP ネットワークにとどめるパケットを決定します。ビジネスで VoIP サービスを使用する利点としては、電話料金の節約、WAN 経由でのリモート PBX の利用、音声/データの統合トランキングなどがあります。 機能と利点アーキテクチャの機能と利点新しい Cisco ケーブル HWIC は、可用性、高性能、アップグレードしやすさ、および拡張性を最大限確保するのに役立ちます。モジュールにはホスト ルータ リソースからは独立して動作する独自のプロセッサ、ファームウェア、およびメモリがあり、性能を最大限高め、アップグレードしやすく、DOCSIS への継続的な準拠が容易になります。表 1 に、この先進アーキテクチャの機能と利点を示します。 表 1 Cisco ケーブル HWIC モジュール アーキテクチャの機能と利点
Cisco IOS ソフトウェアのサポートCisco IOS ソフトウェア機能は、インフラストラクチャの能力と柔軟性を統合し、総合的なネットワーク サービスを提供します。Cisco IOS ソフトウェアは、多くの利点を備えたネットワーク サービス作成用の共通アーキテクチャを提供します。表 2 に示すように、Cisco IOS ソフトウェアは、ルーティング、セキュリティ、IP コミュニケーション、ハイアベイラビリティ、管理性などの重要な分野でビジネスクラス ネットワーキングを提供します。 表 2 Cisco IOS の機能サポート
高度な QoS のサポートケーブル モデム機能を Cisco ルータに組み込むことで、拡張 QoS の適用(表 3)などの高度な機能が使用可能になります。2 ボックス ソリューション(つまり、スタンドアロン ケーブル モデムとスタンドアロン ルータ)では、ケーブル モデムは通常、イーサネットまたは USB ポートを使用してルータに接続されます。このシナリオでは、ルータがケーブル モデムの輻輳を感知することはできません。ルータがパケットの送信を続けると、ケーブル モデムはパケットの適切な優先順位付けの知識や理解がないまま、パケットの処理とドロップに関する決定を行わなければならなくなります。そのため、音声、ビデオ、ミッションクリティカルなデータなど、遅延が問題となるトラフィックのパフォーマンスが低下することがあります。Cisco ケーブル HWIC は、Cisco ルータに組み込まれ、その状態と追加パケットの処理能力を常に通信することで、この制約を克服しています。 表 3 高度な QoS の機能と利点
容易な管理と導入Cisco ケーブル HWIC は管理しやすいデバイスであり、管理を容易にする多くの利点が備わっています(図 4)。たとえば、ケーブル HWIC はホスト ルータの Command-Line Interface(CLI; コマンドライン インターフェイス)を使用して監視できます。この場合、ケーブル モデムとホスト ルータを集中して監視し、管理できます。さらに、Cisco ケーブル HWIC は、Cisco Router and Security Device Manager(SDM)、CiscoWorks など、先進のシスコ GUI ソフトウェアを使用して管理できます。これらの使いやすい Web ベースの管理インターフェイスには、標準の Web ブラウザでアクセスできます。 表 4 管理機能と利点
まとめ帯域幅要件はあらゆる規模の企業で継続的に発生し、こうした単一パイプでのデータ、音声、およびビデオの統合にはよりインテリジェントなソリューションが必要です。企業がネットワークの運用コストを下げ、ネットワーク アプリケーションによりエンド ユーザの生産性を高めようとすればするほど、ブロードバンド接続があるゆる規模の企業で中心となる要件になります。Cisco ケーブル HWIC は、より高いレベルの物理的、論理的なセキュリティを実現し、IP コミュニケーションに対する高度な QoS、拡張の容易さ、ハイアベイラビリティ、および管理の簡素化を中堅・中小規模の企業とエンタープライズ ブランチ オフィスに提供します。Cisco ケーブル HWIC を既存または新規の Cisco IOS ソフトウェアベースのルータに組み込むことで、あらゆる規模の企業でプライベート回線の高価なアップグレードを避けることができ、CATV 事業者は顧客の範囲を広げ、低コストで高度管理サービスのレベルを向上させることができます。 ソフトウェア サポートケーブル HWIC は、Cisco IOS ソフトウェア リリース 12.4(6)XE 以降でサポートされています。 ケーブル HWIC と Cisco IOS ソフトウェア機能は、Cisco ISR 1800、2800、および Cisco ISR 3800 シリーズ用の IP Base 以上のイメージでサポートされています。 プラットフォームのサポートケーブル HWICは、Cisco ISR 1800、2800、および 3800 シリーズのオンボード HWIC スロット、および Cisco IAD2430 シリーズの WIC スロットでサポートされています。表 5 にプラットフォーム サポートの詳細を示します。 表 5 プラットフォーム サポートの詳細
ハードウェア仕様ケーブル HWIC のハードウェア仕様を表 6 に示します。 表 6 HWIC-CABLE-D-2 と HWIC-CABLE-E/J-2 の仕様
製品番号と発注情報ケーブル HWIC の製品番号を表 7 に示します。 表 7 Cisco ケーブル HWIC の製品番号
Cisco ISR 1800、2800、および 3800 シリーズの適合規格ケーブル HWIC を Cisco 1800、2800、および 3800 シリーズ ISR にインストールした場合、ルータの標準(適合規格、安全性、EMC、電気通信)は変わりません。 適合規格、安全性、EMC、および電気通信標準については、以下のプラットフォーム固有のデータ シートを参照してください。
入手可能な国HWIC-CABLE-D-2 と HWIC-CABLE-E/J-2 の各国の承認に関する最新情報については、最寄りのシスコ販売代理店にお問い合わせください。 動作環境の範囲
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