データ シート





Cisco Data Center Network Manager リリース 4.0


ソリューション概要

Cisco® Data Center Network Manager(DCNM)は、データセンター インフラストラクチャ全体の稼働時間と信頼性を最大化して、ビジネスの継続性を支援するシスコの管理ソリューションです。データセンター ネットワークの管理要件に特化した Cisco DCNM は、現在および将来のデータセンターで要求されるルーティング、スイッチング、およびストレージ管理の要件を満たす、堅牢なフレームワークと豊富な機能を備えています。特に、Cisco DCNM を使用すると、プロビジョニングの自動化、パフォーマンス低下の検出による SAN(ストレージ エリア ネットワーク)および LAN のプロアクティブな監視、ネットワークのセキュリティ保護、機能していないネットワーク要素の診断の効率化を実現できます。

Cisco DCNM は、Cisco NX-OS オペレーティング システム対応のハードウェア プラットフォーム向けに設計されたソリューションです。Cisco NX-OS は、Cisco Nexus 7000 シリーズを含む Cisco Nexus 製品ファミリの基礎です。

機能と利点

Cisco DCNM には次の機能があります。

  • データセンター ネットワーク全体に対する統一的な管理:Cisco DCNM を使用すると、データセンター運用環境がシンプルになります。Cisco DCNM は、データセンター ネットワーク インフラストラクチャ全体で使用される機能(コア、集約、トップオブラック スイッチやブレード スイッチへのアクセス、ストレージ ファブリック)を提供する中央管理型アプリケーションです。
  • 資産管理:Cisco DCNM に組み込まれた強力な完全自動検出機能により、重要データがネットワークから取得されて、ネットワークのモデルを作成するリレーショナル データベースにアップロードされます。このネットワーク モデルにはデバイスの詳細、トポロジ情報、およびネットワーク サービス設定が格納され、資産管理のために利用できます。装置など、ネットワークを構成する各種の物理的資産に関する情報(シャーシの種類、スーパーバイザ、ライン カード、ポート、ファン、電源など)に素早くアクセスできます。また、IP アドレス、MAC アドレス、VLAN ID、ACL(アクセス制御リスト)、PortChannel、OSPF(Open Shortest Path First)プロセス ID、VRF(Virtual Route Forwarding)といった、使用中の論理リソースを視覚的に把握できます。このようなリソースは常に追跡されているので、この資産管理は信頼性の高い情報源となります。この情報は、GUI から簡単に参照したり、プログラミングで容易にアクセスできます。
  • 構成の検証:手作業が介在すると、コンフィギュレーション中に設定ミスが起こる可能性があり、不適切な運用やネットワークのダウンタイムにつながるおそれがあります。Cisco DCNM では、構成の変更を展開する前に変更要求が検証されます。通常、コンフィギュレーション データが Cisco DCNM に入力されると、ドメイン ルールが適用され、プロビジョニング前の段階で妥当性と一貫性がチェックされます。ドメイン ルールは、レイヤ 2 と 3、およびネットワーク セキュリティ構成要素です(IP アドレス オーバーラップなど)。この検証手順はコンフィギュレーション要求の展開時にのみ発生するので、ネットワーク機能のコンフィギュレーションの際には最新のネットワーク モデルが参照されます。Cisco DCNM 構成エンジンは、エラーのない構成を実現するのに役立ちます。
  • GUI(グラフィカル ユーザ インターフェイス):Cisco DCNM に組み込まれた GUI は操作性が考慮されており、次の 2 つの枠組みに基づいています(図 1)。
    • ネットワーク機能中心:レイヤ 2、レイヤ 3、およびネットワーク セキュリティ機能は、IT スタッフによって操作されることが最も多いネットワーク エンティティです。ネットワーク機能は論理的に整理されており、簡単な操作で使用できます。
    • データ主導のワークフロー:タスクの実行に必要なデータは、メイン ウィンドウから簡単に利用できます。プロビジョニング機能の画面は、必要な運用構成の状況に自動的に従うので、ウィンドウの切り換えが最小限で済みます。わかりやすいドラッグアンドドロップ操作により、構成プロセスが楽になります。

図 1 Cisco DCNM 構成ビルダー

図 1 Cisco DCNM 構成ビルダー

  • トポロジ マップ:Cisco DCNM では、物理ネットワークが 1 つのウィンドウに正確にグラフィック表示されます(図 2)。トポロジ マップでは、デバイスやリンクが視覚化され、ステータス情報に加えてシャーシやポートの構成の詳細などの構成情報が表示されます。トポロジ マップのアイコン配置は簡単なドラッグアンドドロップ操作で変更できます。検索機能付きの管理対象デバイスの表を使用すると、目的のデバイスを見つけやすくなります。ビューには、ウィンドウ中央にある目印付きデバイスと、それに接続された近隣デバイスが再表示されます。関連する構成パラメータには、クリックするだけでアクセスできます。

図 2 Cisco DCNM トポロジ マップ

図 2 Cisco DCNM トポロジ マップ

  • API(Application Programmatic Interface):Cisco DCNM は、業界標準の Web サービス(SOAP [Simple Object Access Protocol] および XML [eXtensible Markup Language] を使用)に基づいており、サードパーティ製アプリケーションとのノースバウンド統合のための API を公開しています。Web サービスが構築済みなので、短期間でクライアント アプリケーションを開発できます。Web サービス API の利用には、次の利点があります。
    • 拡張性:API を使用することで、リリース間の下位互換性が確保され、エンジニアリング作業を継続する必要性が大幅に低下します。
    • 相互運用性:アプリケーションの統合には、一般的なプログラミング言語のほとんどが使用できます。
  • 仮想化:Cisco DCNM は、Cisco Nexus 7000 シリーズおよび Cisco NX-OS に組み込まれた、ネットワーク仮想化などの革新的なデータセンター機能を管理します。Cisco NX-OS には、OS およびハードウェア リソースをセグメント化してVirtual Device Context(VDC; 仮想デバイス コンテキスト)を作成し、仮想デバイスをエミュレートする機能があります。各 VDC は、固有のソフトウェア プロセス、専用のハードウェア リソース(インターフェイス)、および独立性の高い管理環境を持ちます。Cisco DCNM は、VDC 間のリソース割り当てを容易にし、各 VDC に独立した管理機能を提供することで、ネットワーク仮想化を実現します。VDC は Cisco DCNM 全体で透過的に処理されます。RBAC モデルとトポロジ マップは VDC に対応しています。
  • 障害管理:ネットワーク イベントが収集され、イベント ブラウザ ウィンドウに表示されます(図 3)。各イベントは、対応するネットワーク機能に関連付けられています。また、デバイス単位のフィルタリングとアラーム グルーピングが自動的に実行されます。ステータス インジケータは色分けされているので、重要なアラームを容易に見つけることができます。ネットワーク全体の健全性は、スコアボードのようなインターフェイスにまとめられています。アラームとメッセージは、ノースバウンド アプリケーションに転送できます。

図 3 Cisco DCNM イベント ブラウザ

図 3 Cisco DCNM イベント ブラウザ

  • パフォーマンス監視:Cisco Nexus 7000 シリーズ プラットフォームを通過するトラフィックは、多数のカウンタによって計測されます。ポートや帯域幅の利用状況、エラー数、スイッチされたトラフィックやルーティングされたトラフィックの統計情報などを Cisco DCNM で収集するように指定できます。ポーリングの間隔と期間は、ユーザによる設定が可能です。パフォーマンス統計情報のリアルタイム レポートや履歴レポートがチャート形式やグラフ形式で表示されます。各レポートの値やパラメータをファイルにエクスポートできます(予定)。Cisco DCNM では、パフォーマンスの記録をリアルタイムと履歴の両方で作成できるため、ネットワーク管理者やプランナーは、現代のネットワーク環境に欠かせない重要な情報を手にすることができます。

図 4 Cisco DCNM トラフィック ビューア

図 4 Cisco DCNM トラフィック ビューア

  • セキュリティ:Cisco DCNM は、ロールベースのアクセス コントロール(RBAC)により、ユーザにロールを割り当てることでネットワークの運用を管理します。ロールとは、アクセス権(読み取り、書き込み、変更、削除など)などのクレデンシャル、ネットワーク機能(SAN、Layer 2 または 3、ネットワーク セキュリティなど)、およびデバイス グループをまとめたものです。このきめ細かい RBAC メカニズムにより、アクセス制御が構造化され、きわめて柔軟で拡張性の高い方法でユーザ アクセスをカスタマイズできます。さらに、Cisco DCNM は必要に応じてサウスバウンド通信およびノースバウンド通信用の SSH(Secure Shell)プロトコルを使用して、不正管理アクセスから保護します。

表 1 に、Cisco DCNM の機能と利点をまとめます。

表 1 機能と利点
機能 利点
ファイバ チャネルとレイヤ 2 および 3 ドメインに対応 管理ツールの統合が可能
完全自動の Hi-Fi ネットワーク検出 物理および論理資産の最新情報を一目で把握
データ入力段階で実施される構文チェック、煩雑な構成プロセスを楽にするためのウィザード、およびドメイン ルールに照らして検証される構成 展開前にほとんどの構成ミスを見つけ出すことでエラーのない正確なプロビジョニングを実現する。運用を大幅に簡易化して誘導することでネットワークの高度な専門知識の必要性が排除される
ミドルウェアによるネットワークの抽象化とデバイス言語の仲介 ユーザとネットワーク変更が完全に切り離される。IT スタッフは変化し続けるデバイス言語の最新知識を持ち続ける必要がなく、プロビジョニング プロセスの自動化が大幅に進展する
重要なパフォーマンス インジケータのプロアクティブな計測による持続的なネットワーク監視 機器障害の検出および防止が容易になり、ネットワーク アベイラビリティを最大化できる
ノースバウンドに公開されたプログラマティック インターフェイス。明確に定義され拡張性の高い Web サービス(SOAP および XML)API を通じて容易にアクセスできる構成情報およびトラフィック統計情報 サードパーティ製アプリケーションとの統合が容易になり、正確なフロースルー プロビジョニングとデータ マイニングが実現する
ネットワークの動きを模したネットワーク モデル 正確かつステートフルなレイヤ 2 および IP トポロジ マップにより、トラブルシューティング プロセスの効率が上がり、平均修復時間(MTTR)が短縮される(予定)

リリース 4.0 のネットワーク管理機能

Cisco DCNM 4.0 には、構成と監視に関する次の機能があります。

  • イーサネット スイッチング
    • ポートと PortChannel
    • VLAN と PVLAN(プライベート VLAN)
    • スパニング ツリー プロトコル(RSTP [Rapid Spanning Tree Protocol] とMISTP [Multiple Instance Spanning Tree Protocol])
  • ネットワーク セキュリティ
    • ACL
    • IEEE 802.1x
    • AAA(認証、許可、およびアカウンティング)
    • DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)スヌーピング
    • ダイナミック ARP(Address Resolution Protocol)検査
    • IP ソース ガード
    • トラフィック ストーム制御
    • ポート セキュリティ
  • 全般
    • 仮想デバイス コンテキスト
    • GLBP(Gateway Load Balancing Protocol)、オブジェクト追跡、キー チェーン
    • TCAM(Ternary Content Addressable Memory)統計情報によるハードウェア リソース利用状況
    • SPAN(Switched Port Analyzer)
  • IP ルーティングおよびマルチキャスト機能(将来のリリースで提供予定)

システム互換性

  • サポート対象 OS:Cisco NX-OS リリース 4.0
  • サポート対象ハードウェア:Cisco Nexus 7000 シリーズ 10 スロット シャーシ

システム仕様

Cisco DCNM は、Java ベースのクライアント サーバ ソフトウェア アプリケーションで、クライアントはリモートで実行することができます。Cisco DCNM クライアントとサーバのハードウェアおよびソフトウェアの要件は次のとおりです。

Windows サーバ要件

  • OS:Windows Server 2003 Standard Edition SP1
  • RAM:6 GB
  • プロセッサ数:2
  • CPU 速度:3.45 GHz

Linux サーバ要件

  • OS:Red Hat Enterprise Linux AS リリース 4
  • RAM:6 GB
  • プロセッサ数:2
  • CPU 速度:3.40 GHz

クライアント要件

  • OS:Microsoft Windows XP Professional Version 2002 SP2
  • RAM:1 GB
  • CPU 速度:2.16 GHz

プロトコル

  • Cisco DCVM では次の標準的なプロトコルが使用されます。
  • SSH(Secure Shell)
  • HTTPS(HyperText Transport Protocol Secure)
  • RMI(Remote Method Invocation)

ライセンス

Cisco DCNM はアプリケーション バンドルとして提供されます。

発注情報

シスコ製品の購入方法の詳細は、「購入案内」を参照してください。ソフトウェアをダウンロードするには Cisco Software Center にアクセスしてください。

サービスおよびサポート

シスコは、データセンターへの Cisco Nexus 7000 シリーズ スイッチの導入と最適化を成功させるため、各種サービスを用意しています。これらのサービスは、スタッフ、プロセス、ツールをそれぞれに組み合わせて提供され、運用効率の向上とデータセンター ネットワークの進化を目的としています。Cisco Advanced Services は、アーキテクチャ主導型のアプローチによってデータセンター インフラストラクチャをビジネスの目的に合致させ、長期にわたる価値を提供します。Cisco SMARTnet® Service を利用すると、シスコのネットワーク専門家や高度なリソースにいつでも直接アクセスでき、ミッションクリティカルな問題を解決することができます。このサービスでは、保有する Cisco Nexus 7000 スイッチに関して予防的診断やリアルタイムのアラートを提供する Smart Call Home サービス機能の利点を活かすことができます。シスコのサービスは、ネットワーク ライフサイクル全体にわたって投資を最大限に保護し、ネットワーク運用を最適化し、移行サポートを提供し、IT 能力を強化します。Cisco Data Center サービスの詳細については、http://www.cisco.com/web/JP/services/portfolio/as/dcn.html を参照してください。

関連情報

Cisco DCNM ソフトウェアの詳細については、製品のホームページ(http://www.cisco.com/jp/go/dcnm/)を参照してください。