シスコ固有の RPR の概要
シスコ固有の RPR は、レイヤ 2 レベルで動作する MAC(メディア アクセス制御)プロトコルです。シスコ固有の RPR は、SONET/SDH リング トポロジ上でのイーサネットの転送に非常に適しており、複数の ML シリーズ カードをイネーブルにして、1 つの機能ネットワーク セグメントまたは Shared Packet Ring(SPR; 共有パケット リング)にすることが可能です。シスコ固有の RPR は、このような役割における IEEE 802.1D Spanning Tree Protocol(STP; スパニング ツリー プロトコル)、IEEE 802.1W Rapid Spanning Tree Protocol(RSTP; 高速スパニング ツリー プロトコル)、SONET/SDH などの初期のスキームの限界を克服します。
ソフトウェア リリース 7.2 以降では、ML シリーズ カードはシスコ固有の RPR に加えて IEEE 802.17b ベースの RPR(RPR-IEEE)をサポートします。このマニュアルでは、シスコ固有の RPR をシスコ固有の RPR、IEEE 802.17b ベースの RPR を RPR-IEEE とします。この章ではシスコ固有の RPR について説明します。IEEE 802.17b ベースの RPR については、「IEEE 802.17b RPR の設定」を参照してください。
SONET/SDH 回線の役割
SPR 内の ML シリーズ カードは、point-to-point(p2p; ポイントツーポイント)STS/STM 回線を介して、直接または間接的に接続する必要があります。p2p STS/STM 回線は ONS ノード上で設定され、保護回線または非保護回線のいずれかで ONS ノードの SONET/SDH トポロジ上で転送されます。
SONET/SDH メカニズムによって保護されていない回線上の場合、シスコ固有の RPR は SONET/SDH 保護回線が必要とする冗長保護パスを使用せずに、復元機能を提供します。そのため、トラフィック量を増やすことができます。また、シスコ固有の RPR はリングの帯域幅全体を使用するため、STP や RSTP のようにセグメントをブロックしません。
パケット処理動作
ML シリーズ カードにシスコ固有の RPR が設定されていて、SPR の一部にした場合、ML シリーズ カードはリング トポロジとみなされます。パケットが、特定の ML シリーズ カードのイーサネット ポート経由でブリッジングされたネットワーク装置宛てでない場合、ML シリーズ カードは、リング アーキテクチャの巡回パスを信頼して、SONET/SDH 回線に沿ってこの中継トラフィックの転送を続け、パケットが最終的に宛先に到達することを保証します。これにより、宛先ではない ML シリーズ カード経由で通過するパケットをキューに入れて処理する必要がなくなります。レイヤ 2 または レイヤ 3 から見ると、シスコ固有の RPR 全体が 1 つの共有ネットワーク セグメントのように見えます。
シスコ固有の RPR が設定された ML シリーズ カードは、ブリッジ、パススルー、ストリッピングという 3 つの基本的なパケット処理動作を行います。図17-1 に、これらの動作を示します。ブリッジングは、ML シリーズのイーサネット ポートと、リングを巡回する SONET/SDH 回線に使用される Packet-over-SONET/SDH(POS)ポート間を接続し、パケットを渡します。パススルーにより、パケットは ML シリーズ カード経由でリング内を巡回します。また、ストリッピングはリングからパケットを除去し廃棄します。
シスコ固有の RPR プロトコルが送信パケットのヘッダー情報を使用することで、インターフェイスはパケットに適用する必要のある動作を迅速に決定できます。また、RPR プロトコルはパケットの送信元および宛先アドレスを使用して、リング方向を選択します。フロー ベースのロード シェアリングにより、同じ送信元および宛先のアドレス ペアが組み込まれたすべてのパケットを同じ方向に送信し、正しい順で宛先に着信できます。リング方向も、スペース再利用をイネーブルにして、全体的なリング集約帯域幅を増やしています。ユニキャスト パケットは宛先がストリッピングされています。宛先ストリッピングにより、リングの異なる部分間でトラフィック フローを同時に転送する機能が提供されます。隣接するノード間で双方向に同時にトラフィックを送信できます。また、複数のノードをスパンすることもでき、同じリング帯域幅を効率的に再利用できます。マルチキャスト パケットは送信元がストリッピングされています。
図17-1 シスコ固有の RPR パケット処理動作
リング ラッピング
ファイバ カット、ノードの障害、ノードの復元、新しいノードの挿入、またはその他のトラフィック上の問題が発生すると、シスコ固有の RPR はリング ラップを開始します。この保護メカニズムによって、リンク状態の変更後、または SONET/SDH パス レベルのアラーム受信後に、トラフィックはリング内で反対方向に送信され、元の宛先にリダイレクトされます。ML シリーズ カードのリング ラッピングでは、ユニキャストおよびパススルー トラフィックの 50 ミリ秒未満のコンバージェンス時間が許容されます。シスコ固有の RPR のコンバージェンス時間は、SONET/SDH とほぼ同じで、STP や RSTP よりもきわめて高速です。
ML シリーズ カードのシスコ固有の RPR は、リング内で発生する単一方向送信と双方向送信の両方の障害に対応します。STP や RSTP とは異なり、シスコ固有の RPR の復元はスケーラブルです。リング内で ML シリーズ カードの数が増えても、コンバージェンス時間は延びません。
リング ラップは、デフォルトでは spr wrap immediate で設定され、障害状態に陥ってから 50 ミリ秒内に発生します。spr wrap delay が設定されている場合、POS インターフェイスがリンクダウンするまでラップが遅れます。CLI pos trigger delay <msec> で指定された時間が経過すると、リンクがダウンします。回線が VCAT の場合、Cico IOS CLI コマンド pos vcat defect delayed も設定する必要があります。この遅延により、シスコ固有の RPR に SONET/SDH 帯域幅保護が設定されている場合、レイヤ 2 シスコ固有 RPR 保護が有効になる前に、このレイヤ 1 保護を有効にできます。SONET エラーなしでインターフェイスがダウンする場合、キャリア遅延も発生します。図17-2 に、リング ラッピングを示します。
図17-2 シスコ固有の RPR リング ラッピング
リングに障害が発生した場合、シスコ固有の RPR の障害が発生した部分に接続された ML シリーズ カードは SONET/SDH パス アラームを通じて障害を検出します。いずれかの ML シリーズ カードがこのパス AIS 信号を受信すると、カードは信号を受信した POS インターフェイスをラップします。
(注) コンバージェンス時間は、同じリングで複数の障害が発生したときに、ML シリーズ カードのリロード中に DRPRI が設定された ML シリーズ カード(アクティブ モード)をトラフィックが通過する場合、または ML シリーズ カード間のマイクロコード イメージにミスマッチが発生した場合に、50 ミリ秒を超える可能性があります。
(注) キャリア遅延時間をデフォルトから変更する場合、新しいキャリア遅延時間は、SPR、POS、およびギガビットイーサネットまたはファースト イーサネット インターフェイスなど、ML シリーズ カードのすべてのインターフェイスで設定する必要があります。
(注) ML シリーズ カードの POS インターフェイスは通常、POS リンクがダウンまたはシスコ固有の RPR がラップしたときに、ONS 15454 STS パス オーバーヘッド(PDI-P)の信号ラベル ミスマッチ障害に関するアラームを遠端に送信します。PDI-P が検出されたとき、Remote Defection Indication - Path(RDI-P; リモート障害表示 ― パス)アラームが遠端に送信されているとき、または検出された障害が Generic Framing Procedure Loss of Frame Delineation(GFP-LFD)、GFP Client Signal Fail(GFP-CSF)、Virtual Concatenation Loss of Multiframe(VCAT-LOM)または Virtual Concatenation Loss of Sequence(VCAT-SQM)の場合のみ、ML シリーズ カードの POS インターフェイスは PDI-P を遠端に送信しません。
シスコ固有の RPR フレーム構成プロセス
ML シリーズ カードのシスコ固有の RPR は、固有の RPR フレームおよび High-Level Data Link Control(HDLC; ハイレベル データリンク制御)または GFP-F フレーム構成を使用します。このカードは、シスコ固有の RPR フレーム ヘッダーをそれぞれのイーサネット フレームに追加して、フレームを SONET/SDH ペイロードにカプセル化し、SONET/SDH トロポジ上で転送できるようにします。シスコ固有の RPR ヘッダーは出力側 ML シリーズ カードで削除されます。図17-3 に、シスコ固有の RPR フレームを示します。
図17-3 ML シリーズ カードのシスコ固有の RPR フレーム
シスコ固有の RPR フレーム構成とヘッダーには、送信元および宛先ステーション情報の 4 バイト、RPR 制御および QoS(Quality Of Service)の 4 バイトなどのフィールド数が含まれます。図17-4 に、シスコ固有の RPR フレーム形式を示します。 表17-1 に最重要フィールドを示します。
図17-4 シスコ固有の RPR フレーム フィールド
表17-1 RPR フレーム フィールドの定義
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8 ビットのフィールド。シスコ固有の RPR 内の特定の ML シリーズ カードの MAC アドレスを宛先として指定します。このフィールドには、Multicast DA-MAC の 0xff とUnknown DA-MAC の 0x00 という 2 つの well-known アドレスがあります。 |
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8 ビットのフィールド。シスコ固有の RPR 内の特定の ML シリーズ カードの MAC アドレスを送信元として指定します。 |
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3 ビットの Class of Service(CoS; サービス クラス)フィールド。シスコ固有の RPR プライオリティを確立します。 |
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1 ビットのフィールド。Discard Eligible(DE; 廃棄適性)フラグを指定します。 |
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9 ビットのフィールド。フレームの Time To Live(TTL; 存続可能時間)を指定します。 |
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データ パケットか制御パケットを示すフィールド |
MAC アドレスと VLAN サポート
シスコ固有の RPR では、ML シリーズ カードを通過するパケットの MAC ID が ML シリーズ カードによって記録されないので、サポートされるMAC アドレスの総数が増加します。ML シリーズ カードは、そのカードによってブリッジングまたはストリッピングされたパケットの MAC ID だけを記録します。これにより、シスコ固有の RPR の集合アドレス テーブルに、より多くの MAC アドレスを保持することが可能になります。
また、STP および RSTP 上の VLAN がリングの全 POS インターフェイスで設定する必要があるのに比べ、シスコ固有の RPR 上の VLAN(仮想 LAN)は、より少ないインターフェイス設定ですみます。シスコ固有の RPR の VLAN は、その VLAN でパケットをブリッジングまたはストリップする SPR インターフェイス上の設定だけが必要です。
ML シリーズ カードには、カードごとに設定できる VLAN/ブリッジ グループの最大数が 255 というアーキテクチャ上の制限がまだ残されています。ただし、ML シリーズ カードが MAC アドレスを管理する必要があるのは、直接接続されている装置であるため、シスコ固有の RPR ネットワークではより多くの接続装置を使用できます。
シスコ固有の RPR QoS
ML シリーズ カードのシスコ固有の RPR は、Service Level Agreement(SLA; サービス レベル契約)をサポートする効果的な帯域利用率を実現するために、ML シリーズ カードの QoS 機能を信頼しています。ML シリーズ カードの QoS メカニズムは、トラフィックがパススルー、ブリッジ、またはストリッピングされているかどうかに関係なく、ML シリーズ カードのすべての SONET/SDH トラフィックに適用されます。シスコ固有の RPR QoS 情報の詳細については、「QoS の設定」の「シスコ固有の RPR の QoS」を参照してください。
シスコ固有の RPR の設定
ML シリーズ カード用にシスコ固有の RPR を設定するには、Cisco Transport Controller(CTC)と Cisco IOS の両方を使用する必要があります。CTC は、Graphical User Interface(GUI; グラフィカル ユーザ インターフェイス)で、シスコ固有の RPR に必要な p2p SONET/SDH 回線のプロビジョニングなど、特定の ONS ノード動作用の拡張クラフト ツールとして機能します。Cisco IOS は、ML シリーズ カードとそのインターフェイス上でシスコ固有の RPR を設定するために使用されます。
シスコ固有の RPR を正しく作成するには、次の手順を順番に実行します。
1. 「ML シリーズ カードと p2p STS/STM 回線の接続」(CTC または TL1)
2. 「シスコ固有の RPR の CTC 回線の設定」(CTC または TL1)
3. 「ML シリーズ カードでのシスコ固有の RPR 特性と SPR インターフェイスの設定」(Cisco IOS)
4. 「ML シリーズ カードの POS ポートの SPR インターフェイスへの割り当て」(Cisco IOS)
5. 「ブリッジ グループの作成とイーサネット インターフェイスおよび SPR インターフェイスの割り当て」(Cisco IOS)
6. 「シスコ固有の RPR イーサネット アクセス ポート間のイーサネット接続の確認」(Cisco IOS)
注意 シスコ固有の RPR では、SPR インターフェイスをシャットダウンすると ML1000-2 カードがパススルー モードになります。その結果、カードが Redundant Interconnect(RI)に関与します。ML1000-2 カードは RI に適格な唯一の ML シリーズ カードです。他の ML シリーズ カードの SPR インターフェイスをシャットダウンしてもパススルー モードにはなりません。
(注) Transaction Language One(TL1)を使用して、CTC の代わりに、必要な SONET/SDH p2p 回線をプロビジョニングできます。
ML シリーズ カードと p2p STS/STM 回線の接続
ML シリーズ カードを p2p STS/STM 回線を介して接続します。この回線は、ONS 15454 SONET/SDH ネットワークを使用し、光回線をプロビジョニングする通常の方法で、CTC を使用してプロビジョニングされます。
シスコ固有の RPR の CTC 回線の設定
シスコ固有の RPR が必要とする CTC 回線を設定する場合の注意事項は次のとおりです。
• Circuit Routing Preferences ダイアログボックスの Fully Protected Path 以外の CTC Circuit Creation Wizard のすべてのオプションをデフォルト設定のままにします。Fully Protected Path には SONET/SDH 保護が指定されているため、オフにする必要があります。シスコ固有の RPR は通常、SPR 回線のレイヤ 2 保護を提供します。
• Circuit Routing Preferences ダイアログボックスで、Using Required Nodes and Spans をオンにし、自動的にルーティングするようにします。送信元ノードと宛先ノードがリング上で隣接している場合、Circuit Routing Preferences ダイアログボックスで、送信元と宛先を除くすべてのノードを除外します。これにより、回線で送信元ノードと宛先ノード間が直接ルーティングされるようになり、STS/STM 回線を使用しなくてすみます。この STS/STM 回線は、リング内の他のノード経由で回線がルーティングされると消費されます。ML シリーズ カードが設定された 2 つのノード間に、ML シリーズ カードが設定されていない 1 つまたは複数のノードが存在する場合は、Circuit Routing Preference ダイアログボックスの含まれているノード領域に、送信元および宛先ノードとともにこれらのノードを含めます。
• ML シリーズ カード STS/STM 回線は関連性のない回線作成オプションをサポートしないので注意してください。。
• 最良の方法は、イーストからウェスト、またはウェストからイーストに SONET/SDH 回線を設定することです。つまり、SONET/SDH リングで、ポート 0(イースト)からポート 1(ウェスト)、またはポート 1(ウェスト)からポート 0(イースト)のように設定します。ポート 0 からポート 0 またはポート 1 からポート 1 は設定しないでください。イーストからウェストまたはウェストからイーストのセットアップは、CTM ネットワーク管理ソフトウェアが ML シリーズの設定を SPR として認識するためにも必要です。
CTC 回線手順の詳細については『Cisco ONS 15454 Procedure Guide』の、「Create Circuits and VT Tunnels」の章および『Cisco ONS 15454 SDH Procedure Guide』の「Create Circuits and Tunnels」の章を参照してください。
シスコ固有の RPR のCTC 回線の設定例
図17-5 に、3 つのノードのシスコ固有の RPR の例を示します。
図17-5 3 つのノードのシスコ固有の RPR
図17-5 の 3 つのノードのシスコ固有の RPR は、RPR の連続した手順のすべての例に使用します。これらの例を組み合わせると、シスコ固有の RPR 作成のエンドツーエンドの例となります。SONET/SDH ノードとそのネットワークはすでにアクティブであると想定します。
注意 次の手順におけるステップは、例で示すトポロジ用の手順です。使用する手順は、ネットワークによって異なります。専門のネットワーク設計者による詳細な計画または方法を得ずに、この手順を実行しないでください。
回線を設定するには、CTC に次の 3 つの回線を作成します。
• ノード 1 の POS ポート 0 からノード 2 の POS ポート 1 へ回線を作成します。
• ノード 2 の POS ポート 0 からノード 3 の POS ポート 1 へ回線を作成します。
• ノード 3 の POS ポート 0 からノード 1 の POS ポート 1 へ回線を作成します。
ステップ 1 CTC では、ノード 1 にログインして、シスコ固有の RPR 内に存在する ML シリーズ カードの CTC カード ビューに移動します(図17-6)。
図17-6 ML シリーズ カードの CTC カード ビュー
ステップ 2 Circuits > Create タブをクリックします。
Circuit Creation ウィザードの最初のページが表示されます(図17-7)。
図17-7 CTC Circuit Creation ウィザード
ステップ 3 Circuit Type リストで、STS を選択します。
ステップ 4 Next をクリックします。
Circuit Attributes ページが表示されます。
ステップ 5 Name フィールドに回線名を入力します。
ステップ 6 Size ドロップダウンリストから該当する回線のサイズを選択し、State リストから適切なステートを選択します。
ステップ 7 SD(信号劣化)しきい値が SD しきい値フィールドの 1E-6(デフォルト)または 1E-6 ~ 1E-9 の範囲に設定されていることを確認します。
a. SD しきい値がデフォルトの 1E-6 または適切な範囲内である場合は、ステップ 8 へ進みます。
b. SD しきい値がデフォルトの 1E-6 でない場合、または適切な範囲内にない場合は、1E-6 またはドロップダウン リストから適切な範囲内のしきい値を選択します。
(注) SD しきい値を小さくすると CTC コンバージェンスの速度が速くなりますが、特定の状況ではインターフェイスのフラッピング(イネーブルとディセーブルの繰り返し)の可能性が高くなります。
ステップ 8 Next をクリックします。
Source ページが表示されます。
ステップ 9 Node ドロップダウン リストからノード 1 を送信元ノードとして選択します。
ステップ 10 Slot ドロップダウン リストから ML シリーズ カードを選択し、Port ドロップダウン リストから 0(POS)を選択します。
ステップ 11 Next をクリックします。
Destination ページが表示されます。
ステップ 12 Node ドロップダウン リストからノード 2 を宛先ノードとして選択します。
ステップ 13 Slot ドロップダウン リストから ML シリーズ カードを選択し、Port ドロップダウン リストから 1(POS)を選択します。
ステップ 14 Next をクリックします。
Circuit Routing Preferences ページが表示されます。
ステップ 15 Fully Protected Path チェック ボックスをオフにします。
ステップ 16 Next をクリックします。
Circuit Constraints for Automatic Routing ページが表示されます。
ステップ 17 ノード 1 アイコンをクリックして選択し、Next をクリックします。
Route Review/Edit ページが表示されます。
ステップ 18 Finish をクリックします。
以上で最初の回線が作成されました。
(注) 回線を作成すると、TPTFAIL アラームが CTC に表示される場合があります。POS ポートを 「ML シリーズ カードの POS ポートの SPR インターフェイスへの割り当て」の手順でイネーブルにすると、このアラームは消えます。
ステップ 19 2 番めの回線をノード 2 の POS 0 とノード 3 の POS 1 の間に作成します。ステップ 1 ~ 18 と同じ手順を使用します。ただし、ノード 1 をノード 2 に、ノード 2 をノード 3 に置き換えます。
ステップ 20 3 番めの回線をノード 3 の POS 0 とノード 1 の POS 1 の間に作成します。ステップ 1 ~ 18 と同じ手順を使用します。ただし、ノード 1 をノード 3 に、ノード 2 をノード 1 に置き換えます。
これにより、3 つのノードの POS ポートすべてが STS ポイントツーポイント回線によってイーストからウェストのパターンで接続されました(図17-5を参照)。
ステップ 21 CTC 回線プロセスはこれで完了です。
ML シリーズ カードでのシスコ固有の RPR 特性と SPR インターフェイスの設定
ML シリーズ カードでシスコ固有の RPR を設定するには、Cisco IOS の CLI(コマンドライン インターフェイス)から SPR インターフェイスを作成します。SPR インターフェイスは、シスコ固有の RPR の仮想インターフェイスです。1 枚の ML シリーズ カードは単一の MAC アドレスを持つ 1 つの SPR インターフェイスをサポートします。SPR インターフェイスは、デフォルト ルートのサポートなど、Cisco IOS インターフェイスの通常のすべてのアトリビュートを提供します。
SPR インターフェイスは、EtherChannel(ポートチャネル)インターフェイスと同様に設定されます。channel-group コマンドを使用してメンバーを定義するのではなく、spr-intf-ID コマンドを使用します。ポートチャネルと同様に、物理 POS インターフェイスの代わりに仮想 SPR インターフェイスを設定します。SPR インターフェイスはトランク ポートとみなされるため、すべてのトランク ポートと同様に、SPR インターフェイスがブリッジ グループに加入するようにサブインターフェイスを設定する必要があります。
ML シリーズ カードの物理 POS インターフェイスは、SPR インターフェイスに適した唯一のメンバーです。一方の POS ポートはノードから東方向にリングを回る SONET/SDH 回線と関連付けられ、もう一方の POS ポートは西方向の回線に関連付けられています。SPR インターフェイスを使用し、POS ポートが関連付けられている場合、シスコ固有の RPR カプセル化を SONET/SDH ペイロードで使用します。
注意 SPR の設定時に、1 枚の ML シリーズ カードで SPR インターフェイスを設定せずに、有効な STS/STM 回線でこの ML シリーズ カードを SPR 内の他の ML シリーズ カードに接続すると、SPR 内で適切に設定された ML シリーズ カード間でトラフィックが流れなくなり、この状況を示すアラームも出ません。シスコでは、トラフィックを送信する前に、SPR 内のすべての ML シリーズ カードを設定することを推奨しています。
注意 ネイティブ VLAN を使用してシスコ固有の RPR でトラフィックを伝送しないでください。
(注) ML シリーズ カードのシスコ固有の RPR はデフォルトの LEX カプセル化でのみサポートされています。これは、Cisco ONS イーサネット ライン カードで使用される特別な CISCO-EOS-LEX カプセル化方式です。
シスコ固有の RPR は、シスコ固有の RPR 内に存在する ML シリーズ カードごとにプロビジョニングする必要があります。シスコ固有の RPR をプロビジョニングするには、グローバル コンフィギュレーション モードで次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
Router(config)# bridge irb
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Cisco IOS ソフトウェアで、1 枚の ML シリーズ カード内の個々のインターフェイスで特定のプロトコルをルーティングおよびブリッジングできるようにします。 |
ステップ 2 |
Router(config)#
interface spr 1
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ML シリーズ カードの SPR インターフェイスを作成するか、SPR インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。有効な SPR 番号は 1 だけです。 |
ステップ 3 |
Router(config-if)# spr station-id station-ID-number
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ステーション ID を設定します。ユーザは、リングに接続する各 SPR インターフェイスごとに異なる番号を設定する必要があります。有効なステーション ID 番号の範囲は、1 ~ 254 です。 |
ステップ 4 |
Router(config-if)# spr wrap {
immediate |
delayed}
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(任意)シスコ固有の RPR ラップ モードを、SONET/SDH パス アラーム検出したらただちにトラフィックをラップするか、200 ミリ秒の遅延後にトラフィックをラップするように設定します。これにより、不具合を記録してリンク ダウンしていることを宣言する SONET/SDH 保護時間を指定します。シスコ固有の RPR が SONET/SDH 非保護回線上で稼働している場合は、 immediate を使用します。双方向ライン スイッチ型リング(BLSR)、UPSR、Multiplex Section-Shared Protection Ring(MS-SPRing)、または SNCP 保護回線には、 delayed を使用します。 デフォルトの設定は immediate です。 |
ステップ 5 |
Router(config-if)# carrier-delay msec milliseconds
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(任意)キャリア遅延時間を設定します。デフォルトの設定は、200 ミリ秒です。これは、SONET/SDH 保護回線に最適な時間です。
(注) キャリア遅延時間をデフォルトから変更する場合、新しいキャリア遅延時間は、SPR、POS、およびギガビットイーサネットまたはファースト イーサネット インターフェイスなど、ML シリーズ カードのすべてのインターフェイスで設定する必要があります。
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ステップ 6 |
Router(config-if)#
spr load-balance
{auto | port-based}
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(任意)ユニキャスト パケットのシスコ固有の RPR ロード バランシング方式を指定します。 port-based ロード バランシング オプションは、偶数のポートを POS 0 インターフェイスに、奇数のポートを POS 1 インターフェイスにマップします。デフォルトの auto オプションは、IP パケットの MAC アドレスまたは送信元アドレスと宛先アドレスに基づいて負荷を分散します。 このコマンドの no 形式を使用すると、デフォルトの MAC ベースのロード バランシングを復元します。 |
ステップ 7 |
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特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 8 |
Router#
copy running-config startup-config
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(任意)設定の変更を NVRAM(不揮発性 RAM)に保存します。 |
ML シリーズ カードの POS ポートの SPR インターフェイスへの割り当て
注意 SPR インターフェイスは、ルーテッド インターフェイスです。レイヤ 3 アドレスをイネーブルにしたり、SPR インターフェイスに割り当てられた POS インターフェイスにブリッジ グループを割り当てたりしないでください。
注意 SPR インターフェイスの着信トラフィックでポリシングが必要な場合は、SPR インターフェイスの一部である両方の POS ポートに同じ入力サービス ポリシーを適用する必要があります。
シスコ固有の RPR で使用するために、POS ポートは LEX カプセル化を必要とします。シスコ固有の RPR 設定の最初のステップは、POS 0 ポートと POS 1 ポートのカプセル化を LEX に設定することです。
また、ML シリーズ カードの 2 つの POS ポートをそれぞれ SPR インターフェイスに割り当てる必要があります。LEX カプセル化を設定し、ML シリーズ カードの POS インターフェイスを SPR に割り当てるには、グローバル コンフィギュレーション モードで次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
Router(config)# interface pos 0
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インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始し、SPR に割り当てる 1 つめの POS インターフェイスを設定します。 |
ステップ 2 |
Router(config-if)# encapsulation lex
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POS インターフェイスのカプセル化を LEX として設定します(デフォルト)。ML シリーズ カードのシスコ固有の RPR では、LEX カプセル化が必要です。 |
ステップ 3 |
Router(config-if)#
spr-intf-id
shared-packet-ring-number
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POS インターフェイスを SPR インターフェイスに割り当てます。共有パケット リング番号は1 である必要があります。この番号は、SPR インターフェイスに割り当てられる唯一の共有パケット リング番号です。 |
ステップ 4 |
Router(config-if)# carrier-delay msec milliseconds
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(任意)キャリア遅延時間を設定します。デフォルトの設定は、200 ミリ秒です。これは、SONET/SDH 保護回線に最適な時間です。
(注) キャリア遅延時間の設定に使用するデフォルトの時間単位は秒です。msec コマンドは、時間単位をミリ秒にリセットします。
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ステップ 5 |
Router(config-if)# pos trigger defect ber_sd-b3
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(任意)SONET/SDH Bit Error Rate(BER; ビット誤り率)が信号劣化アラームに設定されているしきい値を超えたときに、POS インターフェイスがダウンするようにトリガーを設定します。POS インターフェイスがダウンすると、シスコ固有の RPR ラップを開始します。 過度の SONET/SDH ビット エラーによりシスコ固有の RPR トラフィックでパケット損失が発生する可能性があるため、すべてのシスコ固有の RPR POS インターフェイスに対してこのコマンドを使用することを推奨します。
(注) Cisco ONS 15310 がリングの一部である場合、このコマンドを使用しないでください。矛盾したシスコ固有の RPR ラッピングになることがあります。
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ステップ 6 |
Router(config-if)# no shutdown
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POS ポートをイネーブルにします。 |
ステップ 7 |
Router(config-if)# interface pos 1
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インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始し、SPR に割り当てる 2 つめの POS インターフェイスを設定します。 |
ステップ 8 |
Router(config-if)# encapsulation lex
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POS インターフェイスのカプセル化を LEX として設定します(デフォルト)。ML シリーズ カードのシスコ固有の RPR では、LEX カプセル化が必要です。 |
ステップ 9 |
Router(config-if)#
spr-intf-id
shared-packet-ring-number
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POS インターフェイスを SPR インターフェイスに割り当てます。共有パケット リング番号は 1 である必要があります(ステップ 3 で割り当てた共有パケット リング番号と同じ番号)。この番号は、SPR インターフェイスに割り当てられる唯一の共有パケット リング番号です。 |
ステップ 10 |
Router(config-if)# carrier-delay msec milliseconds
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(任意)キャリア遅延時間を設定します。デフォルトの設定は、200 ミリ秒です。これは、SONET/SDH 保護回線に最適な時間です。 |
ステップ 11 |
Router(config-if)# pos trigger defect ber_sd-b3
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(任意)SONET/SDH BER が信号劣化アラームに設定されているしきい値を超えたときに、POS インターフェイスがダウンするようにトリガーを設定します。POS インターフェイスがダウンするとラップを開始します。 過度の SONET/SDH ビット エラーによりトラフィックでパケット損失が発生する可能性があるため、すべてのシスコ固有の RPR POS インターフェイスに対してこのコマンドを使用することを推奨します。 |
ステップ 12 |
Router(config-if)# no shutdown
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POS ポートをイネーブルにします。 |
ステップ 13 |
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特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 14 |
Router#
copy running-config startup-config
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(任意)設定の変更を NVRAM に保存します。 |
ブリッジ グループの作成とイーサネット インターフェイスおよび SPR インターフェイスの割り当て
ML シリーズ カードのデフォルト動作では、インターフェイスがイネーブルであってもトラフィックはシスコ固有の RPR 上でブリッジされません。これは、Cisco Catalyst 6500 や Cisco Catalyst 7600 を含めた多くのレイヤ 2 スイッチとは対照的です。これらのスイッチはデフォルトでは VLAN 1 を転送します。ML シリーズ カードは、タグなしパケットまたは VLAN 1 タグ付きパケットを含め、デフォルトではトラフィックを転送しません。
ML シリーズ カードでブリッジされるシスコ固有の RPR トラフィックの場合、そのトラフィック用にブリッジ グループを作成する必要があります。ブリッジ グループは ML シリーズ カードのインターフェイス間でブリッジングおよび転送を維持するので、ローカルでは重要です。ブリッジ グループに参加していないインターフェイスは、ブリッジッド トラフィックを転送できません。
シスコ固有の RPR 用のブリッジ グループを作成するには、同じブリッジ グループ内に含める必要のあるイーサネット インターフェイスを決定し、ブリッジ グループを作成し、これらのインターフェイスとブリッジ グループを関連付けます。次に、シスコ固有の RPR インフラストラクチャ上での転送を行うため、SPR インターフェイスおよび同じブリッジ グループを関連付けます。
図17-8 に、シスコ固有の RPR の SPR 仮想インターフェイスを含めた ML シリーズ カード インターフェイスをスパニングするブリッジ グループを示します。
図17-8 シスコ固有の RPR ブリッジ グループ
注意 適切な運用のため、シスコ固有の RPR トポロジ以外の、接続ネットワーク内のレイヤ 2 ネットワーク冗長リンク(ループ)をすべて削除する必要があります。ループが存在する場合、STP/RSTP を設定する必要があります。
必要なインターフェイスを設定するには、グローバル コンフィギュレーション モードで次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
Router(config)# interface type number
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イーサネット インターフェイスをブリッジ グループに参加させるため、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
Router(config-if)# no shutdown
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インターフェイスをイネーブルにします。 |
ステップ 3 |
Router(config-if)# bridge-group bridge-group-number
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特定のブリッジ グループを作成し、そのブリッジ グループをインターフェイスに割り当てます。インターフェイス コンフィギュレーションからブリッジを作成すると、STP または RSTP がディセーブルになります(spanning-disabled)。これはシスコ固有の RPR に推奨されます。 |
ステップ 4 |
Router(config)# interface spr1
|
SPR のインターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 5 |
Router(config-subif)# bridge-group bridge-group-number
|
SPR インターフェイスを特定のブリッジ グループに関連付けます。 |
シスコ固有の RPR Cisco IOS の設定例
図17-5 に、シスコ固有の RPR Cisco IOS の完全な設定例を示します。関連する Cisco IOS コードは、例17-1、例17-2、例17-3 に示します。この設定は、ML シリーズ カードの POS ポートが、CTC から設定されたポイントツーポイント SONET/SDH 回線によって、すでにリンクされていることを前提としています。
例17-1 SPR ステーション ID 1 の設定
bridge-group 10 spanning-disabled
interface GigabitEthernet0
bridge-group 10 spanning-disabled
interface GigabitEthernet1
例17-2 SPR ステーション ID 2 の設定
bridge-group 10 spanning-disabled
interface GigabitEthernet0
bridge-group 10 spanning-disabled
interface GigabitEthernet1
例17-3 SPR ステーション ID 3 の設定
bridge-group 10 spanning-disabled
interface GigabitEthernet0
bridge-group 10 spanning-disabled
interface GigabitEthernet1
シスコ固有の RPR イーサネット アクセス ポート間のイーサネット接続の確認
プロビジョニング手順が終了したあと、標準イーサネット接続テストを使用して、個別の ML シリーズ カード上の イーサネット アクセス ポート間のイーサネット接続をテストします。
シスコ固有の RPR のモニタリングおよび確認
シスコ固有の RPR を設定したあと、 show interface spr 1 コマンド (例17-4)または show run interface spr 1 コマンド(例17-5)を使用して、シスコ固有の RPR のステータスをモニタリングできます。
例17-4 show interface spr 1 の出力例
ML-Series# show interfaces spr 1
SPR1 is up, line protocol is up
Hardware is POS-SPR, address is 0005.9a39.77f8 (bia 0000.0000.0000)
MTU 1500 bytes, BW 290304 Kbit, DLY 100 usec,
reliability 255/255, txload 1/255, rxload 1/255
Encapsulation: Cisco-EoS-LEX, loopback not set
DTR is pulsed for 27482 seconds on reset, Restart-Delay is 65 secs
ARP type: ARPA, ARP Timeout 04:00:00
No. of active members in this SPR interface: 2
Last input 00:00:38, output never, output hang never
Last clearing of "show interface" counters never
Input queue: 0/150/0/0 (size/max/drops/flushes); Total output drops: 0
Output queue: 0/80 (size/max)
5 minute input rate 0 bits/sec, 0 packets/sec
5 minute output rate 0 bits/sec, 0 packets/sec
37385 packets input, 20993313 bytes
Received 0 broadcasts (0 IP multicast)
0 runts, 0 giants, 0 throttles
2 input errors, 2 CRC, 0 frame, 0 overrun, 0 ignored
0 input packets with dribble condition detected
37454 packets output, 13183808 bytes, 0 underruns
0 output errors, 0 applique, 4 interface resets
0 babbles, 0 late collision, 0 deferred
0 lost carrier, 0 no carrier
0 output buffer failures, 0 output buffers swapped out
例17-5 show run interface spr 1 の出力例
ML-Series# show run interface spr 1
Building configuration...
Current configuration : 141 bytes
bridge-group 10 spanning-disabled
シスコ固有の RPR への ML シリーズ カードの追加
既存のシスコ固有の RPR は、ML シリーズ カードを追加する必要があります。シスコ固有の RPR ラッピング機能とリング アーキテクチャにより、データ トラフィックをダウンさせることなく、追加できます。ML シリーズ カードは、カードを含むノードの追加に合わせて、基盤となる SONET/SDH アーキテクチャに追加できます。すでに SONET/SDH トポロジの一部であるノードに、ML シリーズ カードを追加することもできます。
次の例では、ML シリーズ カードを接続する 2 つの STS 回線を持った 2 ノードのシスコ固有の RPR の例を示します。回線の 1 つは削除されます。シスコ固有の RPR は、ping 損失を最小限にして、残りの回線でトラフィックをラップします。そのあと 3 番めのノードと ML シリーズ カードが追加され、このカード用にスパンと回線が作成されます。
図17-9 に、削除される単一 STS 回線とスパンを持った既存の 2 ノードのシスコ固有の RPR を示します。図17-10 に、追加される新しい 2 つの STS 回線、およびスパンが 3 番めのノードに追加されたあとのシスコ固有の RPR を示します。
図17-9 追加前の 2 ノードのシスコ固有の RPR
図17-10 追加後の 3 ノードのシスコ固有の RPR
ML シリーズ カードをシスコ固有の RPR に追加するには、次の一般的な手順を実行する必要があります。
• 削除するスパンを使用する既存の非 ML シリーズ カード回線(DS-1 など)を遠ざけます。
• シスコ固有の RPR ラップを開始するため、削除する STS 回線の隣接する ML シリーズ カードの POS ポートをシャットダウンします。
• シスコ固有の RPR ラップが正常に行われたことを確認するため、テスト セットを使用して、既存の隣接 ML シリーズ カードのアクセス ポート間のイーサネット接続をテストします。
• 新しい回線で置き換えられる STS 回線を削除します(図17-9 では、POS 0 の隣接ノード 2 と POS 1 の隣接ノード 1 の間の回線です)。
• ノードがトポロジの一部ではない場合、新しいノードをリング トポロジに接続します。
• ML シリーズ カードを接続し、初期コンフィギュレーション ファイルをロードするか、またはML シリーズ カードを初期設定します。
• POS ポートを手動でイネーブルにするか、またはコンフィギュレーション ファイルを介してイネーブルにする前に、新しいノードにシスコ固有の RPR が設定されていることを確認してください。
• 既存の隣接 ML シリーズ カードの POS ポートの 1 つから、新しい ML シリーズ カードの POS ポートへの STS 回線を作成します(図17-10 では、POS ポート 0 の隣接ノード 2 と POS ポート 1 の新しいノードの間の回線です)。
• 別の既存の隣接 ML シリーズ カードの POS ポートの 1 つから、新しい ML シリーズ カードの残りの POS ポートへの 2 番めの STS 回線を作成します(図17-10 では、POS ポート 0 の新しいノードと POS ポート 1 の隣接ノード 1 の間の回線です)。
• 初期コンフィギュレーション ファイルがシスコ固有の RPR に参加し、POS ポートをイネーブルにしなかった場合、新しい ML シリーズ カードがこれを実行するよう設定します。
• 新しい ML シリーズ カードに接続された既存の隣接 ML シリーズ カード上で POS ポートをイネーブルにします(図17-10 では、POS ポート 1 の隣接ノード 1 と POS ポート 0 の隣接ノード 2 です)。
• 新しく作成された 3 ノードのシスコ固有の RPR を検証するため、テスト セットを使用して、新しい ML シリーズ カードのアクセス ポート間のイーサネット接続をテストします。
• ノードの挿入後、最低 1 時間以上は、イーサネット トラフィックと既存のルーティング プロトコルをモニタリングします。
注意 次の手順におけるステップは、例で示すトポロジ用の手順です。使用する手順は、ネットワーク設計によって異なります。専門のネットワーク設計者による詳細な計画または方法を得ずに、この手順を実行しないでください。
シスコ固有の RPR への ML シリーズ カードの追加
ML シリーズ カードを例に示すシスコ固有の RPR に追加するには、次の手順を実行します。
ステップ 1 最初の隣接ノードの ML シリーズ カードの Cisco IOS CLI セッションを開始します。これは、図17-9 の隣接ノード 1 です。
ステップ 2 グローバル コンフィギュレーション モードを開始して、最初の隣接ノードの ML シリーズ カード上で次の Cisco IOS コンフィギュレーションを完了します。
a. |
Router(config)#
interface pos interface-number
|
削除する回線の 1 つのエンドポイントで、POS ポートのインターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
b. |
Router(config-if)# shutdown |
インターフェイスを閉じて、ラップを開始します。 |
ステップ 3 図17-9 で示す隣接ノード 2 の ML シリーズ カードの Cisco IOS CLI セッションを開始します。
ステップ 4 グローバル コンフィギュレーション モードを開始して、隣接ノード 2 の ML シリーズ カード上で次の Cisco IOS コンフィギュレーションを完了します。
a. |
Router(config)#
interface pos interface-number
|
削除する回線の 1 つのエンドポイントで、POS ポートのインターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
b. |
Router(config-if)# shutdown |
インターフェイスを閉じます。 |
ステップ 5 CTC で、隣接ノード 1 にログインします。
ステップ 6 隣接ノード 1 の ML シリーズ カードをダブルクリックします。
カード ビューが表示されます。
ステップ 7 Circuits タブをクリックします。
ステップ 8 Circuits サブタブをクリックします。
ステップ 9 削除する回線のエンドポイントで POS ポートと一致する回線エントリの送信元カラムと宛先カラムを参照して、適切な STS 回線を特定します。
回線エントリは、Node-1/s12(ML100T)/pPOS-0 などのように node-name/card-slot/port-number 形式になっています。
ステップ 10 ハイライトする回線エントリをクリックします。
ステップ 11 Delete をクリックします。
confirmation ダイアログ ボックスが表示されます。
ステップ 12 Yes をクリックします。
ステップ 13 テスト セットを使用して、隣接ノード 1 のイーサネット アクセス ポートと隣接ノード 2 のイーサネット アクセス ポート間にイーサネット接続がまだ存在するかどうかを確認します。
(注) ML シリーズ カードの SPR インターフェイスおよびイーサネット インターフェイスは、シスコ固有の RPR トラフィックがシスコ固有の RPR をブリッジングするため、ブリッジ グループに存在する必要があります。
ステップ 14 新しいノードが SONET/SDH リング トポロジでまだアクティブ ノードではない場合、ノードをリングに追加します。ONS ノードの設置手順については、『 Cisco ONS 15454 Procedure Guide 』の「Add and Remove Nodes」の章、または『 Cisco ONS 15454 SDH Procedure Guide 』の「Add and Remove Nodes」の章を参照してください。
ステップ 15 新しいノードの ML シリーズ カードがまだ取り付けられていない場合、新しいカードをそのノードに取り付けます。カードの ONS ノードへの取り付け手順については、『 Cisco ONS 15454 Procedure Guide』 の「Install Cards and Fiber-Optic Cable」の章、または『 Cisco ONS 15454 SDH Procedure Guide 』の「Install Cards and Fiber-Optic Cable」の章を参照してください。
ステップ 16 新しい ML シリーズ カードの初期スタートアップ コンフィギュレーション ファイルをアップロードします( CTC での Cisco IOS スタートアップ コンフィギュレーション ファイルのロードを参照)。スタートアップ コンフィギュレーション ファイルの準備ができていない場合、「シリアル コンソール ポートを使用して手動でスタートアップ コンフィギュレーション ファイルを作成する方法」を参照してください。
注意 POS ポートを手動でイネーブルにするか、またはコンフィギュレーション ファイルを介してイネーブルにする前に、新しいノードにシスコ固有の RPR が設定されていることを確認してください。
ステップ 17 回線ステートが In Service(IS)である STS 回線を、隣接ノード 1 の利用可能な POS ポートから新しいノードに作成します(図17-10 を参照)。新しいノードでは、隣接ノード 1 の利用可能な POS ポートのインターフェイス番号と一致しないインターフェイス番号の付いた POS ポートを使用します。たとえば、隣接ノード 1 の POS ポート 0 は新しいノードの POS ポート 1 に接続します。
回線接続手順の詳細については、「シスコ固有の RPR の CTC 回線の設定」を参照してください。
(注) 最良の方法は、イーストからウェスト、またはウェストからイーストに SONET/SDH 回線を設定することです。つまり、SONET/SDH リングで、ポート 0(イースト)からポート 1(ウェスト)、またはポート 1(ウェスト)からポート 0(イースト)のように設定します。
ステップ 18 回線ステートが IS である STS 回線を、隣接ノード 2 の利用可能な POS ポートから新しいノーの残りの POS ポートに作成します(図17-10 を参照)。
ステップ 19 図17-9 で示す隣接ノード 1 の ML シリーズ カードの Cisco IOS CLI セッションを開始または再開します。
ステップ 20 グローバル コンフィギュレーション モードで、次の Cisco IOS コンフィギュレーションを完了します。
a. |
Router(config)#
interface pos interface-number
|
新しく最初に作成した回線の 1 つのエンドポイントで、POS ポートのインターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
b. |
Router(config-if)# no shutdown |
ポートをイネーブルにします。 |
ステップ 21 図17-9 で示す隣接ノード 2 の ML シリーズ カードの Cisco IOS CLI セッションを開始します。
ステップ 22 グローバル コンフィギュレーション モードを開始して、隣接ノード 2 の ML シリーズ カード上で次の Cisco IOS コンフィギュレーションを完了します。
a. |
Router(config)#
interface pos interface-number
|
新しく 2 番めに作成した回線の 1 つのエンドポイントで、POS ポートのインターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
b. |
Router(config-if)# no shutdown |
ポートをイネーブルにします。 |
ステップ 23 イーサネット接続がシスコ固有の RPR に存在するかどうか確認するには、テスト セットを使用します。
ステップ 24 ノードの挿入後、最低 1 時間以上、イーサネット トラフィックとルーティング テーブルをモニタリングします。
終了。手順はこれで完了です。
シスコ固有の RPR からの ML シリーズ カードの削除
既存のシスコ固有の RPR から、ML シリーズ カードを削除する必要があります。シスコ固有の RPR ラッピング機能とリング アーキテクチャにより、データ トラフィックをダウンさせることなく、削除できます。
次の例では、ML シリーズ カードを接続する 3 つの STS 回線を持った 3 ノードのシスコ固有の RPR の例を示します。回線の 2 つは削除されます。シスコ固有の RPR は、ping 損失を最小限にして、残りの回線でトラフィックをラップします。そのあと、3 番めのノードと ML シリーズ カードは削除され、新しい STS 回線が残りのカード間に作成されます。
図17-11 に、3 つの STS 回線とスパンを持った既存の 3 ノードのシスコ固有の RPR を示します。図17-12 に、3 番めのノード、回線、スパンが削除され、新しい STS 回線が追加されたあとのシスコ固有の RPR を示します。
図17-11 削除前の 3 ノードのシスコ固有の RPR
図17-12 削除後の 2 ノードのシスコ固有の RPR
ML シリーズ カードをシスコ固有の RPR から削除するには、次の一般的な手順を実行する必要があります。
• 削除するスパンを使用する既存の非 ML シリーズ カード回線(DS-1 など)を遠ざけます。
• シスコ固有の RPR ラップを開始するため、削除する STS 回線の隣接する ML シリーズ カードの POS ポートをシャットダウンします。
• シスコ固有の RPR ラップが正常に行われたことを確認するため、テスト セットを使用して、既存の隣接 ML シリーズ カードのアクセス ポート間のイーサネット接続をテストします。
• 新しい回線で置き換えられる 2 つの STS 回線を削除します(図17-11 では、削除ノードと隣接ノード間の回線および削除ノードと別の隣接ノード間の回線です)。
• 必要に応じて、リング型トポロジから削除ノードを削除します。
• 必要に応じて、ノードから削除 ML シリーズ カードを物理的に取り外します。
• 残りの隣接 ML シリーズ カードのうちの 1 枚の利用可能な POS ポートから、別の残りの隣接 ML シリーズ カードの利用可能な POS ポートへ STS 回線を作成します(図17-12 では、POS ポート 0 の隣接ノード 2 と POS ポート 1 の隣接ノード 1 間の回線です)。
• 既存の隣接 ML シリーズ カードの POS ポートをイネーブルにします(図17-12 では、隣接ノード 2 の POS ポート 0 と 隣接ノード 1 の POS ポート 1 です)。
• 2 ノードのシスコ固有の RPR を検証するため、テスト セットを使用して、隣接 ML シリーズ カードのアクセス ポート間のイーサネット接続をテストします。
• ノードの削除後、最低 1 時間以上は、イーサネット トラフィックと既存のルーティング プロトコルをモニタリングします。
注意 次の手順におけるステップは、例で示すトポロジ用の手順です。使用する手順は、ネットワーク設計によって異なります。専門のネットワーク設計者による詳細な計画または方法を得ずに、この手順を実行しないでください。
シスコ固有の RPR からの ML シリーズ カードの削除
シスコ固有の RPR から ML シリーズ カードを 削除するには、次の手順を実行します。
ステップ 1 最初の隣接ノードの ML シリーズ カードの Cisco IOS CLI セッションを開始します。これは、図17-11 の隣接ノード 1 です。
ステップ 2 グローバル コンフィギュレーション モードを開始して、最初の隣接ノードの ML シリーズ カード上で次の Cisco IOS コンフィギュレーションを完了します。
a. |
Router(config)#
interface pos interface-number
|
回線の最後で削除ノードに直接接続されている POS ポートのインターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
b. |
Router(config-if)# shutdown |
インターフェイスを閉じて、シスコ固有の RPR ラップを開始します。 |
ステップ 3 図17-11 で示す隣接ノード 2 の ML シリーズ カードの Cisco IOS CLI セッションを開始します。
ステップ 4 グローバル コンフィギュレーション モードを開始して、隣接ノード 2 の ML シリーズ カード上で次の Cisco IOS コンフィギュレーションを完了します。
a. |
Router(config)#
interface pos interface-number
|
回線の最後で削除ノードに直接接続されている POS ポートのインターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
b. |
Router(config-if)# shutdown |
インターフェイスを閉じます。 |
ステップ 5 CTC を使用して隣接ノード 1 にログインします。
ステップ 6 隣接ノード 1 の ML シリーズ カードをダブルクリックします。
カード ビューが表示されます。
ステップ 7 Circuits タブをクリックします。
ステップ 8 Circuits サブタブをクリックします。
ステップ 9 最初に削除する回線のエンドポイントで POS ポートと一致する回線エントリの送信元カラムと宛先カラムを参照して、適切な STS 回線を特定します。
回線エントリは、Node-1/s12(ML100T)/pPOS-0 などのように node-name/card-slot/port-number 形式になっています。
ステップ 10 ハイライトする回線エントリをクリックします。
ステップ 11 Delete をクリックします。
confirmation ダイアログ ボックスが表示されます。
ステップ 12 Yes をクリックします。
ステップ 13 テスト セットを使用して、隣接ノード 1 のイーサネット アクセス ポートと隣接ノード 2 のイーサネット アクセス ポートの間にイーサネット接続がまだ存在するかどうかを確認します。
(注) ML シリーズ カードの SPR インターフェイスおよびイーサネット インターフェイスは、シスコ固有の RPR トラフィックがシスコ固有の RPR をブリッジングするため、ブリッジ グループに存在する必要があります。
ステップ 14 CTC を使用して隣接ノード 2 にログインします。
ステップ 15 隣接ノード 2 の ML シリーズ カードをダブルクリックします。
カード ビューが表示されます。
ステップ 16 Circuits タブをクリックします。
ステップ 17 Circuits サブタブをクリックします。
ステップ 18 2 番めに削除する回線のエンドポイントで POS ポートと一致する回線エントリの送信元カラムと宛先カラムを参照して、適切な STS 回線を特定します。
回線エントリは、Node-1/s12(ML100T)/pPOS-0 などのように node-name/card-slot/port-number 形式になっています。
ステップ 19 ハイライトする回線エントリをクリックします。
ステップ 20 Delete をクリックします。
confirmation ダイアログ ボックスが表示されます。
ステップ 21 Yes をクリックします。
ステップ 22 新しいノードが SONET/SDH リング トポロジでアクティブ ノードにならない場合、ノードをリングから削除します。ONS ノードの削除手順については、『 Cisco ONS 15454 Procedure Guide 』の「Add and Remove Nodes」の章、または『 Cisco ONS 15454 SDH Procedure Guide 』の「Add and Remove Nodes」の章を参照してください。
ステップ 23 新しいノードの ML シリーズ カードを CTC で削除し、物理的に取り外す必要がある場合は、そのようにしてください。カードの ONS ノードへの取り付け手順については、『 Cisco ONS 15454 Procedure Guide』 の「Install Cards and Fiber-Optic Cable」の章、または『 Cisco ONS 15454 SDH Procedure Guide 』の「Install Cards and Fiber-Optic Cable」の章を参照してください。
ステップ 24 回線ステートが IS である STS 回線を、隣接ノード 1 の利用可能な POS ポートから隣接ノード 2 の利用可能な POS ポートに作成します(図17-12 を参照)。回線接続手順の詳細については、「シスコ固有の RPR の CTC 回線の設定」を参照してください。
(注) 最良の方法は、イーストからウェスト、またはウェストからイーストに SONET/SDH 回線を設定することです。つまり、SONET/SDH リングで、ポート 0(イースト)からポート 1(ウェスト)、またはポート 1(ウェスト)からポート 0(イースト)のように設定します。
ステップ 25 隣接ノード 1 の ML シリーズ カードの Cisco IOS CLI セッションを開始または再開します。
ステップ 26 グローバル コンフィギュレーション モードを開始して、隣接ノード 1 の ML シリーズ カードの次の Cisco IOS コンフィギュレーションを完了します。
a. |
Router(config)#
interface pos interface-number
|
新しく最初に作成した回線の 1 つのエンドポイントで、POS ポートのインターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
b. |
Router(config-if)# no shutdown |
ポートをイネーブルにします。 |
ステップ 27 隣接ノード 2 の ML シリーズ カードの Cisco IOS CLI セッションを開始します。
ステップ 28 グローバル コンフィギュレーション モードを開始して、隣接ノード 2 の ML シリーズ カード上で次の Cisco IOS コンフィギュレーションを完了します。
a. |
Router(config)#
interface pos interface-number
|
新しく 2 番めに作成した回線の 1 つのエンドポイントで、POS ポートのインターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
b. |
Router(config-if)# no shutdown |
ポートをイネーブルにします。 |
ステップ 29 イーサネット接続がシスコ固有の RPR に存在するかどうか確認するには、テスト セットを使用します。
ステップ 30 ノードの削除後、最低 1 時間以上、イーサネット トラフィックとルーティング テーブルをモニタリングします。
終了。手順はこれで完了です。
シスコ固有の RPR LFP の概要
LFP は、リンク パススルーとしても知られ、ルータが ML シリーズ カードのシスコ固有の RPR で相互接続されているネットワーク内でコンバージェンス時間を短縮します。LFP は、マスター ギガビット イーサネット リンクからギガビット イーサネットやファースト イーサネットのリモート スレーブ リンクへリンク障害をすばやく中継します。LFP により、スレーブ リンクに接続されたルータから代替パスへのフェールオーバーの時間が大幅に改善されます。通常の保護方式では、コンバージェンス時間は 40 秒くらいとなります。LFP を使用すると、スレーブ インターフェイスはマスター インターフェイスの状態を 1 秒未満で反映します。この機能は多くの場合、遠端ハブ サイトのリンク障害をトリガーとして、近端アクセス サイトをリンク ダウン状態にするために使用します。図17-13 に LFP を示します。
図17-13 シスコ固有の RPR LFP の例
LFP シーケンス
LFP アップデートは、Cisco Discovery Packet(CDP)パケット拡張を介して実行されます。アップデートは定期的に送信されますが、マスター インターフェイスでリンクダウン状態になった場合は、ただちに送信されます。LFP の更新は通常の CDP とは別に送信され、これらは互いに影響し合うことはありません。インターフェイス上で CDP を設定したり、ディセーブルにしても LFP の更新には影響しません。
管理上の理由でシャットダウンする場合も含め、マスター インターフェイスがダウンすると、スレーブ インターフェイスが強制的にダウンします。マスター インターフェイスがアップ状態になると、スレーブ インターフェイスもアップ状態に戻ります。スレーブ インターフェイスを管理上の理由でシャットダウンすると、スレーブ インターフェイスで LFP 機能が一時停止します。スレーブ インターフェイスを再度起動すると、LFP 機能が再開します。
マスターからスレーブへの接続で障害があると、スレーブ リンクでもまたリンクのダウン障害が強制的に起こります。接断の原因を次に示します。
• マスター ML シリーズ カードの取り外しまたは再設置
• マスターとスレーブ間の両方のシスコ固有の RPR パスでのシャットダウンまたは障害
• マスター インターフェイス上での LFP のディセーブル
リンク障害はマスターからスレーブへのみ伝播されます。通常のスレーブのリンク障害は伝播されません。シスコ固有の RPR ラッピングとラッピングの解除は LFP には影響しません。
伝播遅延
伝播遅延には、スレーブ インターフェイスでのキャリア遅延時間も含まれます。キャリア遅延時間は設定可能で、そのデフォルト値は 200 ミリ秒です。キャリア遅延時間の設定の詳細については、「シスコ固有の RPR の設定」を参照してください。
伝播遅延にはそれぞれ、異なる LFP のシナリオがあります。
• マスターのリンクダウンとスレーブのリンクダウンの間の伝播遅延は、50 ミリ秒にスレーブ インターフェイスでのキャリア遅延時間を加えたものです。
• マスターのリンクアップとスレーブのリンクアップの間の伝播遅延には、インターフェイスのフラッピングを防止するために、マスター インターフェイスでの組み込み遅延がさらに加わります。リンクアップの伝播には、約 50 ~ 200 ミリ秒とスレーブ インターフェイスでのキャリア遅延時間がかかります。
• マスターからスレーブへのリンク障害からスレーブ リンクがダウンするまでの伝播遅延は、約 600 ミリ秒にスレーブ インターフェイスでのキャリア遅延時間を加えたものです。
LFP の設定
図17-13に LFP を設定したシスコ固有の RPR の例を示します。LFP 設定のプロセスは、次のタスクで構成されます。
1. ある ML シリーズ カードのギガビット イーサネット インターフェイスをマスター リンクとして設定します。
2. 別の ML シリーズ カードのギガビット イーサネットまたはファースト イーサネット インターフェイスをスレーブ リンクとして設定します。
LFP マスター リンクをイネーブルにして設定するには、グローバル コンフィギュレーション モードで次の手順を実行します。
|
|
|
ステップ 1 |
Router#
interface
gigabit ethernet
number
|
インターフェイス コンフィギュレーション モードを起動してギガビット イーサネット インターフェイスを設定します。 |
ステップ 2 |
Router(config-if)#
link-fault rpr-master
|
インターフェイスのリンク障害マスター ステータスをイネーブルにします。 このコマンドの no 形式はリンク障害マスター ステータスをディセーブルにします。 |
ステップ 3 |
Router(config-if)#
no shutdown
|
インターフェイスがシャット ダウンしないようにすることにより、インターフェイスをイネーブルにします。 |
ステップ 4 |
|
特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 5 |
Router#
copy running-config startup-config
|
(任意)設定の変更を TCC2/TCC2P フラッシュ データベースに保存します。 |
LFP スレーブ リンクをイネーブルに設定するには、マスター リンク用に設定された ML シリーズ カード以外の、シスコ固有の RPR 内の ML シリーズ カードに対して次の手順を実行します。グローバル コンフィギュレーション モードで、次の手順を実行します。
|
|
|
ステップ 1 |
Router#
interface
{
gigabit ethernet
| fastethernet}
number
|
インターフェイス コンフィギュレーション モードを起動してギガビット イーサネットまたはファースト イーサネット インターフェイスを設定します。 |
ステップ 2 |
Router(config-if)#
link-fault rpr-slave
|
インターフェイスのリンク障害スレーブ ステータスをイネーブルにします。 このコマンドの no 形式はリンク障害スレーブ ステータスをディセーブルにします。 |
ステップ 3 |
Router(config-if)#
no shutdown
|
インターフェイスがシャット ダウンしないようにすることにより、インターフェイスをイネーブルにします。 |
ステップ 4 |
|
特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 5 |
Router#
copy running-config startup-config
|
(任意)設定の変更を TCC2/TCC2P フラッシュ データベースに保存します。 |
LFP の設定要件
LFP の設定要件には次のものがあります。
• リンク障害マスターとリンク障害スレーブを同じカード上で設定しない。
• ML シリーズ カードで拡張マイクロコード イメージを実行する必要がある。
• シスコ固有の RPR 内のすべての ML シリーズ カードでリリース 5.0 以降のソフトウェアを実行する必要がある。
• DRPRI 用に設定された ML シリーズ カードは LFP 用に設定しない。DRPRI での LFP はサポートされていない。
• ML シリーズ カードのギガビット イーサネット インターフェイスだけがリンク障害マスターになれる。
• シスコ固有の RPR ごとに許可されているリンク障害マスターは 1 つのみ。
• ギガビット イーサネット インターフェイスとファースト イーサネット インターフェイスの両方がリンク障害スレーブになれる。
• シスコ固有の RPR のリンク障害スレーブには設定に関する制限はありません。
LFP のモニタリングおよび確認
リンク ダウン状態のスレーブ インターフェイスがあると、CTC で CARLOSS アラームが発生します。CTC は、スレーブ リンクでのローカルの損失と LFP による損失とを区別しません。CARLOSS の詳細については、『 Cisco ONS 15454 Troubleshooting Guide 』の「Alarm Troubleshooting」の章または『 Cisco ONS 15454 SDH Troubleshooting Guide 』の「Alarm Troubleshooting」の章を参照してください。
リンク ダウンしているインターフェイスの Cisco IOS ステータスは、プロトコル ダウンまたはリンク ダウンとして表示されます。show controller コマンドでも show interface コマンドでも、リンク上のローカル損失と LFP 損失との違いは表示されません。
LFP を設定したあと、 show link-fault コマンドを使用して各マスター リンクまたはスレーブ リンクの LFP ステータスをモニタリングできます。このコマンドを使用して、LFP が原因でスレーブ インターフェイスでリンク ダウンが発生したかを判別します。例17-6 に、スレーブ インターフェイスでこのコマンドを実行した場合の出力を示します。
例17-6 LFP のモニタリングおよび確認
Link Fault Propagation Configuration:
-------------------------------------
LFP Config Mode : LFP_SLAVE
LFP Master State : LFP_STATUS_DOWN
Interfaces configured for LFP:
シスコ固有の RPR キープアライブ
シスコ固有の RPR POS インターフェイスのキープアライブ メカニズムは、隣接ノードに接続する SPR リンクにキープアライブ パケットを送信します。このメカニズムによって、SONET/SDH レイヤで検出されない障害から保護されます。キープアライブはデフォルトではオフです。
この機能をイネーブルにすると、シスコ固有の RPR POS ポートは、連続する 3 つのキープアライブを受信できない場合にラップします。キープアライブ受信が中断したためにリンクがダウンすると、SONET/SDH 上にクリティカル LINK-KEEPALIVE アラームが生成されます。キープアライブ パケットを連続して 10 個受信したあとにだけ、シスコ固有の RPR POS ポートのラップが解除され、アラームがクリアされます。キープアライブ障害は Cyclic Redundancy Check(CRC; 巡回冗長検査)エラーには依存しません。キープアライブは POS インターフェイスの DRPRI でもサポートされます。Gigabit EtherChannel(GEC)ではサポートされません。
キープアライブ検出には 50 ミリ秒以上かかります。この時間は 50 ミリ秒以下の標準 SONET/SDH 切り替え時間に追加されるので、合計回復時間は 50 ミリ秒よりも長くなります。
シスコ固有の RPR キープアライブの設定
注意 トラフィックを搬送するシスコ固有の RPR でキープアライブ機能をイネーブルにする場合、まず基盤となる POS 回線を OOS,DSBLD(SONET)または Locked,disabled(SDH)に設定することを強く推奨します。シスコ固有の RPR を標準の 50 ミリ秒未満でラップするからです。次にキープアライブをイネーブルにして、回線を IS 状態(SONET)または Unlocked(SDH)に戻します。このように設定すると、シスコ固有の RPR キープアライブがイネーブルであればトラフィックは 50 ミリ秒未満でヒットします。
(注) シスコ固有の RPR キープアライブには、ML シリーズ カード用の SPR または Multiprotocol Label Switching(MPLS; マルチプロトコル ラベル スイッチング)が機能するマイクロコード イメージが必要です。
シスコ固有の RPR キープアライブをイネーブルにして設定するには、グローバル コンフィギュレーション モードで、次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
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インターフェイス コンフィギュレーション モードを起動して POS インターフェイスを設定します。 |
ステップ 2 |
Router(config-if)#
spr keepalive
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POS インターフェイス上のシスコ固有の RPR キープアライブをイネーブルにします。 シスコ固有の RPR キープアライブをディセーブルにするには、このコマンドの no 形式を使用します。キープアライブをディセーブルにする前に、リンクの両端をシャット ダウンする必要があります。
注意 シスコ固有の RPR キープアライブをイネーブルにしておくことを強く推奨します。
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ステップ 3 |
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インターフェイス コンフィギュレーション モードを起動して POS インターフェイスを設定します。 |
ステップ 4 |
Router(config-if)# spr keepalive
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POS インターフェイス上のシスコ固有の RPR キープアライブをイネーブルにします。 シスコ固有の RPR キープアライブをディセーブルにするには、このコマンドの no 形式を使用します。キープアライブをディセーブルにする前に、リンクの両端をシャット ダウンする必要があります。
注意 シスコ固有の RPR キープアライブをイネーブルにしておくことを強く推奨します。
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ステップ 5 |
Router(config-if)#
no shutdown
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インターフェイスがシャット ダウンしないようにすることにより、インターフェイスをイネーブルにします。 |
ステップ 6 |
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特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 7 |
Router#
copy running-config startup-config
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(任意)設定の変更を TCC2/TCC2P フラッシュ データベースに保存します。 |
シスコ固有の RPR キープアライブのモニタリングと確認
シスコ固有の RPR キープアライブを設定したら、show interface spr 1 グローバル コマンドおよび show ons spr keepalive-info pos [ 0 | 1 ] グローバル コマンドを使用して状態をモニタリングできます。例17-7 および 例17-8 に、これらのコマンドの出力を示します。
例17-7 show interface spr 1
Router> show interface spr 1>
SPR1 is down, line protocol is down
Hardware is POS-SPR, address is 0005.9a3b.c140 (bia 0000.0000.0000)
MTU 1500 bytes, BW 10000 Kbit, DLY 1000 usec,
reliability 255/255, txload 1/255, rxload 1/255
Encapsulation: Cisco-EoS-LEX, loopback not set
Unknown duplex, Unknown Speed, unknown media type
ARP type: ARPA, ARP Timeout 04:00:00
No. of active members in this SPR interface: 0
Last input never, output never, output hang never
Last clearing of "show interface" counters never
Input queue: 0/0/0/0 (size/max/drops/flushes); Total output drops: 0
Output queue: 0/0 (size/max)
5 minute input rate 0 bits/sec, 0 packets/sec
5 minute output rate 0 bits/sec, 0 packets/sec
Received 0 broadcasts (0 IP multicast)
0 runts, 0 giants, 0 throttles
0 input errors, 0 CRC, 0 frame, 0 overrun, 0 ignored
0 input packets with dribble condition detected
0 packets output, 0 bytes, 0 underruns
0 output errors, 0 collisions, 0 interface resets
0 babbles, 0 late collision, 0 deferred
0 lost carrier, 0 no carrier
0 output buffer failures, 0 output buffers swapped out
例17-8 show ons spr keepalive-info pos
Router> show ons spr keepalive-info pos 1
Keep-alive is configured and operational
Interface State: UP External Memory Location: 0xD
Num. KA pkts recvd: 461033198 Num KA pkts with KAF set: 930
StreamId: 79 Src Node: 040
KA Dead Val: 3 KA Restore Val: 10
Curr FSM State: FULL Prev FSM State: KAF COUNT
Prev FSM Event: RX KA Wrap/Unwrap Event: STATE_UP
Defect Soak Count: 200 KA Fail Count: 0
シスコ固有の RPR の最短パス
シスコ固有の RPR 最短パス機能により、ロケーション A からロケーション B へのトラフィックで可能な 2 つのパスのうち短いホップ カウントを判別できます。図17-14 に、シスコ固有の RPR の同じ発信元と宛先に対する最短パスと最長パスを示します。シスコ固有の RPR での A から B への最短パスは反時計回り、つまりイーストからウェストです。最長パスは逆方向つまりシスコ固有の RPR に沿って時計回りで、ウェストからイーストです。
図17-14 最短パスと最長パス
常に最短パスを使用すれば、2 つのノード間のトラフィックが遅延する可能性は最も低くなります。これは、Voice-Over-IP(VoIP)やビデオ ブロードキャスト TV のように遅延に影響されやすいトラフィックでは非常に重要です。
ML シリーズ カードは、IEEE 802.17 標準を基にしたホップベース トポロジ ディスカバリ メカニズムを使用して最短パスを実装します。シスコ固有の RPR ステーションはそれぞれ、シスコ固有の RPR の周りでローカル トポロジ データをコントロール フレームを介して双方向でフラッディングします。トポロジ ステート マシンは受信したコントロール フレームをすべて処理し、収集したデータに基づいたマップを作成します。レイヤ 2 ユニキャスト トラフィックの方向はこのマップに依存しています。
ML シリーズ カードは、検出された最短パスを基にしてレイヤ 2 ユニキャスト トラフィック ロードバランシングを行うこともできます。ただし、デフォルトは MAC アドレス ロードバランシングです。また、ポートベースのロードバランシングにすることもできます。
トポロジ ディスカバリ メカニズムは、ファイバ カットなどの保護イベント時にもデータを再ルーティングします。ステーションは、シスコ固有の RPR リンク障害を検出すると、シスコ固有の RPR ラッピングを使ってトラフィックを復元し始めます。その結果、トラフィックは部分的に復旧し、シスコ固有の RPR の次善パスを通って宛先に向かって逆方向に流れ始めます。リンク障害を含めすべてのステーションのトポロジがアップデートされたら、ステーションはトラフィックを障害が発生したスパンから切り離します。
次に、シスコ固有の RPR 最短パスとトポロジ ディスカバリを設定する際の注意事項を示します。
• 正確なトポロジ ディスカバリを行うには、シスコ固有の RPR ですべてのノードに
spr topology discovery-enable を設定する必要があります。
• トポロジ ディスカバリが設定されると、キープアライブがイネーブルでない場合は自動的にイネーブルになります。
• トポロジ ディスカバリをディセーブルにしてもキープアライブはディセーブルになりませんが、[keep alive enabled] という警告メッセージが表示されます。
• DRPRI ノードはトポロジ ディスカバリをサポートしません。
• 最短パス ロードバランシングには、ML シリーズ カード用の SPR または MPLS が機能するマイクロコード イメージが必要です。サポートされないマイクロコード イメージを使って最短パス ロードバランシングをイネーブルにすると、警告メッセージが表示されます。設定は保存されますが、使用できません。
• トポロジ ディスカバリがイネーブルの場合、最短パス ロードバランシングをイネーブルにします。
• 最短パス ロードバランシングはノード別にイネーブルにできます。他のノードで実行しているロードバランシングの種類を問いません。
最短パスとトポロジ ディスカバリの設定
最短パスとトポロジ ディスカバリをイネーブルにして設定するには、グローバル コンフィギュレーション モードで、次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
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インターフェイス コンフィギュレーション モードを起動して POS インターフェイスを設定します。 |
ステップ 2 |
Router(config-if)# spr topology discovery
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シスコ固有の RPR のトポロジ ディスカバリをイネーブルにします。 |
ステップ 3 |
Router(config-if)# spr load-balance shortest-hop
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リングに追加するレイヤ 2 ユニキャスト パケットに最短パス ロードバランシングを設定します。 |
ステップ 4 |
Router(config-if)#
no shutdown
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インターフェイスがシャット ダウンしないようにすることにより、インターフェイスをイネーブルにします。 |
ステップ 5 |
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特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 6 |
Router#
copy running-config startup-config
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(任意)設定の変更を TCC2/TCC2P フラッシュ データベースに保存します。 |
トポロジ ディスカバリと最短パス ロード バランシングのモニタリングと確認
トポロジ ディスカバリを設定したら、シスコ固有の RPR トポロジ情報を表示する show spr topology 1 グローバル コマンドを使用してステータスをモニタリングできます。例17-9 に、このコマンドの出力を示します。
例17-9 show spr topology コマンドの出力
Router> show spr topology 1
***** ML-RPR Topology Map **************
Local Station Topology Info
Ring Topology: OPEN (UNSTABLE)
Advertised Protection requests:
ringlet0: IDLE ringlet1: IDLE
ringlet0: NO ringlet1: NO
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East Interface: POS1 West Interface: POS0
Number of nodes on east: 2
Number of nodes on west: 2
Hops (POS 0) Node Id Edge W/E Request W/E
Hops (POS 1) Node Id Edge W/E Request W/E