このドキュメントでは、コンソール接続を使用して VxWorks のファームウェアを実行するアクセス ポイント(AP)をアップグレードする方法について説明します。この方法は、ユーザが FTP サーバを使用していない場合やブラウザが接続可能な IP アドレスで AP が設定されていない場合に有効です。Web ブラウザ経由またはファイル サーバからファームウェア アップグレードを実行する方法の手順については、『ファームウェアと設定の管理』の「ファームウェアの更新」の項を参照してください。
このドキュメントに特有の要件はありません。
このドキュメントの情報は、VxWorksファームウェアバージョン12.01T1をVxWorksファームウェアバージョン12.05にアップグレードしたものです。このアップグレード手順では、VxWorksファームウェアイメージ12.01T1を実行する1200 APを0使用0します。
AP コンソール経由でファームウェアをアップグレードするためには、AP ファームウェア イメージ ファイルが必要です。
注:最新のバージョンに関してはワイヤレスLANダウンロードを参照してください。
ダウンロードするファイルは、単一のファイル(AP12xxvxxxx.exe、自己解凍型アーカイブ)です。
このファイルは再度解凍して、非圧縮イメージ(AP12xxvxxxx.img)ファイルにする必要があります。
注: .imgファイルは、.exeファイルではなく、APにインストールされているファイルです。
コンピュータの COM1 または COM2 ポートを AP のコンソール ポートに接続するためには、ストレートの 9 ピン シリアル延長ケーブルが必要です。ケーブルを接続したら、ターミナル エミュレータ(ハイパー ターミナルなど)を使用して、次の設定でセッションを確立します。
9600 bps
8 データ ビット
パリティなし
1 ストップ ビット
フロー制御なし
このドキュメントの情報は、特定のラボ環境にあるデバイスに基づいて作成されました。このドキュメントで使用するすべてのデバイスは、初期(デフォルト)設定の状態から起動しています。対象のネットワークが実稼働中である場合には、どのようなコマンドについても、その潜在的な影響について確実に理解しておく必要があります。
ドキュメント表記の詳細は、『シスコ テクニカル ティップスの表記法』を参照してください。
VxWorks ファームウェア バージョン 12.05 をインストールするには、AP が VxWorks ファームウェア バージョン 11.40T 以降を実行している必要があります。
ユニットを工場出荷時のデフォルトに設定する必要がある場合は、『ファームウェアと設定の管理』の「設定のリセット」の項を参照してください。
ここで説明するアップグレード手順は、AP 上のブート ブロック バージョン 0.05 に関係します。12.01T1 ファームウェアをアップグレードする手順は、AP 上で使用可能なブート ブロック バージョンに関係なく、同じです。
AP をリブートするためには、電源コネクタを抜き差しする必要があります。これにより、AP 上で使用可能なブート ブロック バージョンが決定されます。
AP がリブートすると、システムの紹介情報が表示されます。ブート ブロック バージョンは、このテキストの 3 行目に表示され、Bootstrap Ver というラベルが付いています。この出力は、表示されたブートストラップ バージョン 0.05 を示しています。
System ID: 000ED77C343E Motherboard: IBM405 200MHz, 8192KB FLASH, 16384KB DRAM, Revision 00 Bootstrap Ver. 0.05: FLASH, CRC C5CA9B6B (OK) Initialization: OK
AP をアップグレードするには、次の手順を実行します。
メモリファイルがMemory:Fileの見出しの下に表示されたら、5秒以内にCtrl-Wを押して、ブートブロックメニューに移動します。
メイン メニューに戻るには、=(等号キー)を押します。
c -- Copy file f -- File dir l -- downLoad file into DRAM u -- Upload file p -- xfer Protocol n -- coNsole r -- Run s -- System info.
注: メニューでは大文字と小文字が区別されます。Windows または UNIX コマンド シェルに表示されるようなコマンド プロンプトは表示されません。
Ctrl-Z を押して、非表示になっている再フォーマット メニューを表示します。これらのメニュー項目には以下が表示されます。
U -- Upgrade bootstrap from file. !--- FORMAT memory bank.
!(感嘆符キー、Shif-1)を押して、フラッシュ メモリの内容を消去し、新しいファームウェア用の領域を確保します。
!--- FORMAT memory bank.
3 を押して、フラッシュ メモリ バンクを選択します。
FORMAT Memory Bank: 1 -- DRAM 2 -- Config 3 -- FLASH
Y を押して、FORMAT を確認します。
注意:このステップでは、バンク内のすべてのファイルが消去されます。
Y -- *FORMAT* N -- CANCEL
フラッシュ メモリが消去されると、システムにすべてのメモリ タイプの更新内容が表示されます。
Memory Bank total used left DRAM 16742624 0 16742624 Config 524288 292 523996 FLASH 7602176 0 7602176 M Memory Bank:File address size encoding type flags a) Config:AP Installation Key FF820000 80 none Key 0000 b) Config:AWC_ConfigDB FF820050 212 AiroDB1 Data 0000
ファイル転送プロトコルを選択して、ファイル転送用にセットアップします。
メイン メニューで、p を押して、転送プロトコルを選択します。
c -- Copy file f -- File dir l -- downLoad file into DRAM u -- Upload file p -- xfer Protocol n -- coNsole r -- Run s -- System info. !--- FORMAT memory bank.
x を押して、Xmodem を選択します。
x -- Xmodem k -- 1K-Xmodem
転送を高速化するために、ボー レートを 115200 bps に設定します。次のステップを実行します。
メイン メニューで、n を押して、コンソールを選択します。
c -- Copy file f -- File dir l -- downLoad file into DRAM u -- Upload file p -- xfer Protocol n -- coNsole r -- Run s -- System info. !--- FORMAT memory bank.
b を押して、ボー レートを変更します。
b -- Baud (all N/8/1) e -- Echo test (<esc> stops) o -- Output test (any key stops) l -- LED test
g を押して、ボー レートを 115200 bps に設定します。
a -- 4800 b -- 9600 c -- 19200 d -- 28800 e -- 38400 f -- 57600 g -- 115200
コンソールの速度が変更されるとすぐに、AP との通信が失われます。
ターミナル プログラムの速度をリセットして、通信を再確立します。
ターミナル プログラムを接続解除します。
その接続プロパティを 115200 bps に変更します。
ターミナル プログラムを再接続します。
再接続したら、Esc キーを押して、メニュー ツリーを取り消し、AP メイン メニューに戻ります。
a -- 4800 b -- 9600 c -- 19200 d -- 28800 e -- 38400 f -- 57600 g -- 115200 b -- Baud (all N/8/1) e -- Echo test (<ESC> stops) o -- Output test (any key stops) l -- LED test c -- Copy file f -- File dir l -- downLoad file into DRAM u -- Upload file p -- xfer Protocol n -- coNsole r -- Run s -- System info. !--- FORMAT memory bank.
注:次の手順で、ファイル転送には必ず非圧縮ファームウェアファイル(.imgファイル)を使用してください。AP イメージをダウンロードするには、『無線 LAN のダウンロード』を参照してください。
l(小文字の L)を押して、ファイルを受信するように AP を設定します。
l Using Xmodem (type <Ctrl-X> to cancel) CCC
Xmodem 経由でファームウェア ファイルを受信するには、次の手順を実行します。
注:このドキュメントでは、コンソール経由でアップグレード処理にハイパーターミナルを使用することを前提としています。
ハイパー ターミナル ウィンドウのメニュー バーで [Transfer] タブをクリックします。
ポップアップ ウィンドウで [Send File] タブを選択します。
[Send File] ウィンドウで、この AP をアップグレードするために必要な非圧縮イメージ ファイル(img)を参照して選択します。PC 上では、この非圧縮イメージ ファイルがすでにダウンロードされている必要があります。
AP にファイルを送信するために使用されるプロトコルとして Xmodem を選択します。
これで、Xmodem プロトコル経由のファイル転送が開始されます。次に、Xmodem ファイル転送ウィンドウの表示例を示します。
転送が完了すると、システムにすべてのメモリ タイプの更新内容が表示されます。
注:この出力では、新しくアップグレードされたファームウェアバージョン12.05(太字で強調表示)が表示されています。
Memory Bank total used left DRAM 16742624 1501612 15241012 Config 524288 292 523996 FLASH 7602176 0 7602176 Memory Bank:File address size encoding type flags a) DRAM :EnterpriseAP Sys 12.05 00008720 1225476 gzip Exec 0901 b) DRAM :EnterpriseAP Web 12.05 00133A24 149300 .tar.gz Web 0000 c) DRAM :Inflate Ver. c14o 00158158 7496 gzip Dcdr 0900 d) DRAM :350 Series FW 5.20.47 00159EA0 59292 .tar.gz Data 0000 e) DRAM :AIR-CB20A FW 5.20.47 0016863C 60048 .tar.gz Data 0000 f) Config:AP Installation Key FF820000 80 none Key 0000 g) Config:AWC_ConfigDB FF820050 212 AiroDB1 Data 0000
ファイル転送が完了したら、コンソール ボー レートを 9600 bps に戻して、エラーや問題が発生する可能性を減らします。
n を押して、メイン メニューでコンソールを選択します。
c -- Copy file f -- File dir l -- downLoad file into DRAM u -- Upload file p -- xfer Protocol n -- coNsole r -- Run s -- System info. !--- FORMAT memory bank.
b を押して、ボー レートを変更します。
b -- Baud (all N/8/1) e -- Echo test (<esc> stops) o -- Output test (any key stops) l -- LED test
b を押して、ボー レートを 9600 bps に戻します。
a -- 4800 b -- 9600 c -- 19200 d -- 28800 e -- 38400 f -- 57600 g -- 115200
コンソールの速度が変更されるとすぐに、AP との通信が失われます。
ターミナル プログラムの速度をリセットして、通信を再確立します。
ターミナル プログラムを接続解除します。
その接続プロパティを 9600 bps に変更します。
ターミナル プログラムを再接続します。
再接続したら、Esc キーを押して、メニュー ツリーを取り消し、AP メイン メニューに戻ります。
a -- 4800 b -- 9600 c -- 19200 d -- 28800 e -- 38400 f -- 57600 g -- 115200 b -- Baud (all N/8/1) e -- Echo test (<ESC> stops) o -- Output test (any key stops) l -- LED test c -- Copy file f -- File dir l -- downLoad file into DRAM u -- Upload file p -- xfer Protocol n -- coNsole r -- Run s -- System info. !--- FORMAT memory bank.
手動でそれぞれのファイルを一度に 1 つずつ DRAM からフラッシュに移動します。
c を押して、コピーを開始します。
c -- Copy file f -- File dir l -- downLoad file into DRAM u -- Upload file p -- xfer Protocol n -- coNsole r -- Run s -- System info. !--- FORMAT memory bank.
3 を押して、宛先バンクとしてフラッシュ メモリを選択します。
Copy Into Bank: 1 -- DRAM 2 -- Config 3 -- FLASH
a を押して、コピーする最初のファイルを選択します。
File To Copy: a -- EnterpriseAP Sys 12.05 b -- EnterpriseAP Web 12.05 c -- Inflate Ver. c14o d -- 350 Series FW 5.20.47 e -- AIR-CB20A FW 5.20.47 f -- AP Installation Key g -- AWC_ConfigDB !--- Choose a to copy the first file, EnterpriseAP Sys 12.05, !--- from DRAM into Flash.
ファイルが DRAM からフラッシュにコピーされたら、ファイル システムの更新内容が表示されます。DRAM とフラッシュの両方に同じファイルが存在することを確認します。
Memory Bank total used left DRAM 16742624 1501612 15241012 Config 524288 292 523996 FLASH 7602176 1225476 6376700 Memory Bank:File address size encoding type flags a) DRAM :EnterpriseAP Sys 12.05 00008720 1225476 gzip Exec 0901 b) DRAM :EnterpriseAP Web 12.05 00133A24 149300 .tar.gz Web 0000 c) DRAM :Inflate Ver. c14o 00158158 7496 gzip Dcdr 0900 d) DRAM :350 Series FW 5.20.47 00159EA0 59292 .tar.gz Data 0000 e) DRAM :AIR-CB20A FW 5.20.47 0016863C 60048 .tar.gz Data 0000 f) Config:AP Installation Key FF820000 80 none Key 0000 g) Config:AWC_ConfigDB FF820050 212 AiroDB1 Data 0000 h) FLASH :EnterpriseAP Sys 12.05 FF8A0000 1225476 gzip Exec 0901
DRAM に列挙されたすべてのファイルがフラッシュ メモリに列挙されるまで、ステップ 18a ~ 18c を繰り返します。
Memory Bank total used left DRAM 16742624 1501612 15241012 Config 524288 292 523996 FLASH 7602176 1501612 6100564 Memory Bank:File address size encoding type flags a) DRAM :EnterpriseAP Sys 12.05 00008720 1225476 gzip Exec 0901 b) DRAM :EnterpriseAP Web 12.05 00133A24 149300 .tar.gz Web 0000 c) DRAM :Inflate Ver. c14o 00158158 7496 gzip Dcdr 0900 d) DRAM :350 Series FW 5.20.47 00159EA0 59292 .tar.gz Data 0000 e) DRAM :AIR-CB20A FW 5.20.47 0016863C 60048 .tar.gz Data 0000 f) Config:AP Installation Key FF820000 80 none Key 0000 g) Config:AWC_ConfigDB FF820050 212 AiroDB1 Data 0000 h) FLASH :EnterpriseAP Sys 12.05 FF8A0000 1225476 gzip Exec 0901 i) FLASH :EnterpriseAP Web 12.05 FF9CB304 149300 .tar.gz Web 0000 j) FLASH :Inflate Ver. c14o FF9EFA38 7496 gzip Dcdr 0900 k) FLASH :350 Series FW 5.20.47 FF9F1780 59292 .tar.gz Data 0000 l) FLASH :AIR-CB20A FW 5.20.47 FF9FFF1C 60048 .tar.gz Data 0000
すべてのファイルがフラッシュ メモリにコピーされたら、電源を入れ直して AP をリブートします(電源をオフにしてからオンに戻します)。
Testing DRAM... (press <esc> to bypass) Testing DRAM... (press <esc> to bypass) DRAM OK Power-on reset. Copyright 1996-2000 Cisco Systems, Inc. Copyright 1984-2000 Wind River Systems, Inc. System ID: 000ED77C343E Motherboard: IBM405 200MHz, 8192KB FLASH, 16384KB DRAM, Revision 00 Bootstrap Ver. 0.05: FLASH, CRC C5CA9B6B (OK) Initialization: OK .......... ...... Memory Bank total used left DRAM 16742624 0 16742624 Config 524288 292 523996 FLASH 7602176 1501612 6100564
新しいファームウェアのバージョンがフラッシュ メモリに表示されます。
Memory Bank:File address size encoding type flags a) Config:AP Installation Key FF820000 80 none Key 0000 b) Config:AWC_ConfigDB FF820050 212 AiroDB1 Data 0000 c) FLASH :EnterpriseAP Sys 12.05 FF8A0000 1225476 gzip Exec 0901 d) FLASH :EnterpriseAP Web 12.05 FF9CB304 149300 .tar.gz Web 0000 e) FLASH :Inflate Ver. c14o FF9EFA38 7496 gzip Dcdr 0900 f) FLASH :350 Series FW 5.20.47 FF9F1780 59292 .tar.gz Data 0000 g) FLASH :AIR-CB20A FW 5.20.47 FF9FFF1C 60048 .tar.gz Data 0000 Inflating "EnterpriseAP Sys 10.12"...
ブート プロセスが完了して、メイン メニューが表示されたら、H を押して、[Home] メニューを表示します。
AP が新しいファームウェア バージョンを実行していることを確認します。
AP1200-ed708a [Cisco 1200 Series AP 12.05] Uptime: 00:01:56
VxWorks ファームウェアは 802.11g 無線をサポートしません。そのために、AP を 12.2(13)JA バージョン以降にアップグレードする必要があります。つまり、802.11g 無線をサポートするために、AP を Cisco IOS® にアップグレードする必要があります。
VxWorks ベースの Aironet AP がブート中に、ソフトウェア イメージが正常に起動して、LAN と無線のドライバがロードされるまでにリセットが発生した場合は、デバイスのコンフィギュレーション ファイルが失われます。その後で、デバイスはリロード中に工場出荷時のデフォルトに戻ります。リロード時に、AP はデフォルトの Service Set Identification(SSID)の tsunami とオープン認証に戻ります。そのため、このような AP を使用した場合は、認証されていないワイヤレス クライアントがネットワークにアクセスできます。
このセキュリティへの影響を軽減するために、AP が 802.1q トランキングをサポートするスイッチ ポート上に存在する場合は、ネイティブ VLAN のネットワーク アクセスを拒否するようにポートを設定できます。これにより、AP が管理されなくなり、AP はタグ付き VLAN へのワイヤレス アクセスを許可するようにしか設定できなくなります。そのため、AP がデフォルトに設定されている場合は、その認証されたワイヤレス クライアントがネイティブ VLAN に配置され、スイッチ ポートでブロックされます。