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PA-VXA、PA-VXB、または PA-VXC ポート アダプタの搭載作業を続行するには、カード タイプを T1 または E1 として設定してから、インターフェイスを設定する必要があります。ここで説明する手順は、サポート対象の全プラットフォームに適用できます。プラットフォーム別に、Cisco IOSソフトウェア コマンドの相違についても説明します。
• 「VoFR(Voice over Frame Relay)の設定」
• 「設定の確認」
ルータの設定を変更するには、「 EXEC (またはイネーブル モード)」と呼ばれるソフトウェア コマンド インタープリタを使用します。 configure コマンドを使用して新規インターフェイスを設定したり、既存のインターフェイスの設定を変更したりするには、まず enable コマンドを入力して、EXEC コマンド インタープリタの特権レベルを開始する必要があります。パスワードが設定されている場合には、パスワードの入力が要求されます。
特権レベルのシステム プロンプトは、最後にかぎカッコ(>)ではなくポンド記号(#)が表示されます。コンソール端末で特権レベルを開始する手順は次のとおりです。
ステップ 1 ユーザ レベル EXEC プロンプトで、 enable コマンドを入力します。次のように、特権レベル パスワードの入力が要求されます。
ステップ 2 パスワードを入力します(パスワードは大文字/小文字が区別されます)。セキュリティ保護のため、入力したパスワードは表示されません。
正しいパスワードを入力すると、特権レベルのシステム プロンプト(#)が表示されます。
ソフトウェア コンフィギュレーション コマンドの詳細については、「関連資料」 に記載されているマニュアルを参照してください。
新しい PA-VXA、PA-VXB、または PA-VXC が正しく取り付けられていることを確認してから(ENABLED LED が点灯している)、特権レベルの configure コマンドを使用して、新規インターフェイスを設定します。あらかじめ次の情報を用意しておいてください。
• IP アドレス(IP ルーティングにインターフェイスを設定する場合)
新しい PA-VXA、PA-VXB、または PA-VXC を取り付けた場合、あるいは既存のインターフェイスの設定を変更する場合は、コンフィギュレーション モードを開始して、新規インターフェイスを設定する必要があります。設定済みの PA-VXA、PA-VXB、または PA-VXC を交換した場合には、システムは新規インターフェイスを認識し、既存の設定で新規インターフェイスを起動します。
PA-VXA、PA-VXB、または PA-VXC 上のインターフェイスの設定に使用できるオプションおよび手順については、「関連資料」に記載されているマニュアルのうち、該当するコンフィギュレーション マニュアルを参照してください。
コンフィギュレーション コマンドは、EXEC コマンド インタープリタの特権レベルで実行します。このレベルへのアクセスには、通常パスワードが必要です。必要な場合は、システム管理者に問い合わせて、パスワードを取得してください(EXEC の特権レベルについては、EXEC コマンド インタープリタの使用方法 を参照)。
• 「基本的な設定」
PA-VXA、PA-VXB、または PA-VXC を交換せずに取り外してしまう場合、あるいは PA-VXA、PA-VXB、PA-VXC を交換する場合は、新しいポート アダプタまたは再設定されたポート アダプタを再度取り付けたときに、システム異常が発生するのを防ぐため、あらかじめ shutdown コマンドを使用して、コントローラをシャットダウン(ディセーブル)状態にしてください。シャットダウンされたコントローラは、 show コマンドの出力に administratively down と表示されます。
ステップ 1 EXEC コマンド インタープリタの特権レベル(イネーブル モード)を開始します(詳細はEXEC コマンド インタープリタの使用方法 を参照)。
ステップ 2 特権レベルのプロンプトでコンフィギュレーション モードを開始し、コンフィギュレーション サブコマンドの送信元としてコンソール端末を指定します。
ステップ 3 コントローラをシャットダウンするために、 controller t1 または controller e1 サブコマンドを入力し(その後ろにコントローラのインターフェイス アドレスを指定)、さらに shutdown コマンドを入力します。 表4-1 にコマンド構文を示します。
コマンドの入力が完了したあと、 Ctrl-Z を押す( Ctrl キーを押したままZキーを押す)か、 end または exit と入力して、コンフィギュレーション モードを終了し、EXEC コマンド インタープリタに戻します。
NVRAM に設定が保存されると、OK メッセージが表示されます。
ステップ 5 show controllers コマンド(その後ろにインターフェイスのタイプとアドレスを指定)を使用して、特定のインターフェイスの情報を表示し、新しいインターフェイスが正しいステート(シャットダウン)になっているかどうかを確認します。
ステップ 6 次の手順でインターフェイスを再びイネーブルにします。
a. インターフェイスをイネーブルに戻すために、再度ステップ 3を行います。その際、 shutdown コマンドではなく、 no shutdown コマンドを使用します。
b. 再度ステップ 4を行って、新しい設定をメモリに書き込みます。 copy running-config startup-config コマンドを使用します。
c. 再度ステップ 5を行って、インターフェイスが正しいステートになっていることを確認します。 show controllers コマンドに続けて、そのコントローラのタイプとアドレスを指定します。
ソフトウェア コンフィギュレーション コマンドの詳細については、「関連資料」 に記載されているマニュアルを参照してください。
ここでは、基本的な設定(PA-VXA、PA-VXB、または PA-VXC ポート アダプタをイネーブルにし、カード タイプおよびコントローラを指定し、各種コントローラ サブコマンドを入力する方法)について説明します。Cisco 7200 シリーズ ルータ、Cisco 7200 VXR ルータ、Cisco 7301 ルータ、Cisco 7401ASR ルータ、または Cisco 7500 シリーズ ルータの PA-VXA、PA-VXB、または PA-VXC ポート アダプタを設定後、VoIP に対応するようにルータを設定する手順については、「VoIP の設定」を参照してください。
ポート アダプタを E1 または T1 接続用に設定できるため、カード タイプを次の手順に従って E1 または T1 として指定する必要があります。デフォルトのカード タイプはありません。カード タイプを設定するまで、ポート アダプタは機能しません。カード タイプを E1 または T1 に設定しない限り、ポート アダプタに関する情報はどの show コマンドの出力でも表示されません。
configure コマンドを使用する前に、 enable コマンドで、EXEC コマンド インタープリタの特権レベルを開始する必要があります。パスワードが設定されている場合には、パスワードの入力が要求されます。
次の手順で、PA-VXA、PA-VXB、または PA-VXC ポート アダプタを設定します。特に明記されていないかぎり、各設定手順の最後に Return キーを押します。
ステップ 1 show running-config コマンドを入力し、システムが PA-VXA、PA-VXB または PA-VXC ポート アダプタを認識していることを確認します。
ステップ 2 configure terminal コマンドを使用してコンフィギュレーション モードを開始し、コンフィギュレーション サブコマンドの送信元としてコンソール端末を指定します。
ステップ 3 コンフィギュレーション モードで card type コマンドを使用し、カードを T1 と E1 のどちらとして使用するのかを指定します。次の例では、Cisco 7200 シリーズ ルータのスロット 1 に搭載されているカードを T1 として設定します。
次の例では、Cisco 7200 シリーズ ルータのスロット 1 に搭載されているカードを E1として設定します。
次の例では、Cisco 7500 シリーズ ルータのインターフェイス プロセッサ スロット 1 内にある VIP のポート アダプタ スロット 0 に搭載されているカードを T1 として設定します。
次の例では、Cisco 7500 シリーズ ルータのインターフェイス プロセッサ スロット 1 内にある VIP のポート アダプタ スロット 0 に搭載されているカードを E1 として設定します。
(注) card type コマンドの入力後に PA-VXA、PA-VXB または PA-VXC のカード タイプを変更する場合は、ルータからカードを取り外し、実行コンフィギュレーションをスタートアップ コンフィギュレーションに保存してから、ルータを再起動する必要があります。ルータの再起動が完了してから、カードをもう一度差し込み、再びステップ 3を行います。
ステップ 4 コンフィギュレーション モードで controller コマンドを使用して、所定のコントローラ用のコントローラ コンフィギュレーション モードを開始します。
(注) 次の作業は、コントローラ コンフィギュレーション モードで行う必要があります。
ステップ 5 framing コマンドを使用して、キャリア フレーミングを選択します。カードを T1 に設定した場合は、次の例のように、フレーミングをESF(拡張スーパー フレーム)に設定します。
カードを E1 に設定した場合は、次の例のように、フレーミングを CRC4 に設定します。
ステップ 6 linecode コマンドを使用して、伝送符号化方式を選択します。T1 カードの場合は、次の例のように、B8ZS(バイナリ8ゼロ置換)に設定します。
E1 カードの場合は、次の例のように、HBD3 伝送符号化に設定します。
ステップ 7 clock source コマンドを使用して、内部クロックまたはライン クロックを選択します。
(注) 通常はライン クロックを選択します。ネットワークから非常に正確なクロック ソースが得られるためです。
ステップ 8 Cisco 7200 VXR ルータに搭載している場合は、コンフィギュレーション モードで frame-clock-select priority carrier-type controller コマンドを使用して、クロック ソースを指定します。次の例のように、このコマンドでバックアップ クロック ソースを指定することもできます。
上記の例では、プライマリ クロック ソースとして T1 1/0 を指定しています。そのクロックで問題が起きた場合は、T1 1/1 がプライマリ クロック ソースになります。
ステップ 9 ds0-group number timeslots range type コマンドを使用して、DS0 グループを作成します。
(注) T1 カードのタイムスロット範囲は 1~24 です。E1 カードのタイムスロット範囲は 1~30 です。
ステップ 10 シャットダウン ステートをアップに変更し、インターフェイスをイネーブルにします。
no shutdown コマンドを実行すると、PA-VXA、PA-VXB、または PA-VXC ポート アダプタに enable コマンドが渡されます。それにより、以前送信されたコンフィギュレーション コマンドに基づいて、PA-VXA、PA-VXB、またはPA-VXC ポート アダプタが自動的に設定されます。
VoIP を使用することにより、Cisco 7200 シリーズ ルータ、Cisco 7200 VXR ルータ、Cisco 7301 ルータ、Cisco 7401ASR ルータ、または Cisco 7500 シリーズ ルータは、IP ネットワーク上で音声トラフィック(電話コールや Fax など)を伝送できるようになります。
Cisco 7200 シリーズ ルータ、Cisco 7200 VXR ルータ、Cisco 7301 ルータ、Cisco 7401ASR ルータ、または Cisco 7500 シリーズ ルータを、VoIP を使用できるように設定する前に、次の作業を終えておく必要があります。
• 有効なIPネットワークを確立します。IP の詳しい設定手順については、Cisco IOS Release 12.0の『 Network Protocols Configuration Guide, Part 1 』の「IP Overview」および「IP Addressing and Services」を参照してください。
• ルータに PA-VXA、PA-VXB、または PA-VXC ポート アダプタを取り付けます。
• 会社のダイヤル プランに基づいて、有効な電話網を確立します。
• ダイヤル プランおよび電話網を既存の IP ネットワーク トポロジに統合します。IP ネットワークと電話網をどのようにマージするかは、個々の IP ネットワークおよび電話網のトポロジによって異なります。次に、一般的な推奨事項を紹介します。
–できるかぎり標準的な番号を使用してください。ネットワーク内のルータまたはアクセス サーバごとに番号方式が大幅に異なるような状況は避けてください。
–ユーザに対してルーティングまたはダイヤリングがトランスペアレントになるようにしてください。たとえば、セカンダリ スイッチからのセカンダリ ダイヤル トーンが、できるだけユーザに聞こえないようにします。
–該当する PBX インターフェイスの再構成について、PBX のベンダに連絡して指示を受けてください。
ダイヤル プランを分析し、既存の IP ネットワークにどのように統合するかを決定すれば、VoIP 用にネットワーク デバイスを設定するための準備が整います。
Cisco 7200 シリーズ、Cisco 7200 VXR、Cisco 7301、Cisco 7401ASR、または Cisco 7500 シリーズの各ルータ上で VoIP を設定する前に、VoIP によるコール時にアプリケーション レベルで行われる処理の内容を理解しておいてください。VoIP を使用した 2 者の音声コールは、通常、次のような流れになります。
1. ユーザが受話器を取り上げます。この動作によって、Cisco 7200 シリーズ、Cisco 7200 VXR、Cisco 7301、Cisco 7401ASR、または Cisco 7500 シリーズ ルータ上の VoIP のシグナリング アプリケーション部分に、オフフック状態になったことが伝達されます。
2. VoIP のセッション アプリケーション部分がダイヤル トーンを送り、ユーザによる電話番号の入力(ダイヤリング)を待機します。
3. ユーザが電話番号をダイヤルすると、セッション アプリケーションによってそれらの番号が蓄積され、保管されます。
4. 設定された宛先パターンと一致するだけの桁数が蓄積されると、ダイヤル プラン マッパを通じて、電話番号が IP ホストに対応付けられます。IP ホストは、宛先電話番号、または設定された宛先パターンへのコール完了を担う PBX に直接接続します。
5. セッション アプリケーションはさらに、H.323 セッション プロトコルを実行し、IP ネットワークの各方向で送信および受信チャネルを確立します。PBX がコールを処理する場合、PBX がコールを宛先の電話に転送します。RSVP(Resource Reservation Protocol)が設定されている場合は、RSVP リザベーションによって、IP ネットワーク上で所定のサービス品質が実現されます。
6. 接続の両側でコーデックが有効になり、プロトコル スタックとしての RTP/UDP/IP(Realtime Transport Protocol/User Datagram Protocol/Internet Protocol)を使用して会話が進行します。
7. コール進行表示(または帯域内で伝送可能な他の信号)はすべて、エンドツーエンドの音声チャネルが確立されると、ただちに音声パス上で削除されます。音声ポートで検出できるシグナリング(コール確立後の帯域内DTMF数字など)も、接続のどちらかの側でセッション アプリケーションによってトラップされ、RTCP(Real Time Conferencing Protocol)でカプセル化され、RTCP エクステンション メカニズムを使用して IP ネットワーク上に伝送されます。
8. コールのどちらかの側が受話器を置くと、RSVP リザベーションが切断され(RSVP を使用している場合)、セッションが終了します。両側ともアイドル状態になり、次のオフフック状態から、別のコールが確立されるのを待ちます。
Cisco 7200 シリーズ、Cisco 7200 VXR、Cisco 7301、Cisco 7401ASR、または Cisco 7500 シリーズの各ルータで VoIP を設定するには、次の手順を実行する必要があります。
ステップ 1 リアルタイム音声トラフィックに対応するように IP ネットワークを設定します。VoIP が適切にサポートされるようにネットワークを微調整するには、QoS(サービス品質)に適合する一連のプロトコルおよび機能が必要です。リアルタイム音声トラフィック対応として IP ネットワークを設定する場合、ネットワークの有効範囲全体を視野に入れた上で、適切な QoS ツール(単独または複数)を選択して設定します。
ネットワーク上で音声トラフィックが最適化されるように、適切な QoS ツールを選択して設定する方法については、「リアルタイム音声トラフィックに対応する IP ネットワークの設定」 を参照してください。
ステップ 2 (任意)フレーム リレー上で VoIP を実行する場合、フレーム リレー上で支障なく実行されるように、VoIP の設定時にいくつか考慮しなければならない要素があります。たとえば、パブリックなフレーム リレー クラウドは、QoS が保証されません。フレーム リレー上での VoIP の使用については、「VoFR(Voice over Frame Relay)の設定」 を参照してください。
ステップ 3 E.164 の完全電話番号のうちの一部分(内線番号)をダイヤルするだけで宛先に到達できるように電話網が設定されている場合は、 num-exp コマンドを使用して、番号の展開を設定します。番号の展開については、「番号展開の設定」 を参照してください。
ステップ 4 dial-peer voice コマンドを使用して、ダイヤル ピアを定義し、ダイヤル ピア コンフィギュレーション モードに切り替えます。ダイヤル ピアごとに、コール レグに対応する特性を定義します。コール レグは、接続された 2 地点間にある、コール コネクションの個々のセグメントです。エンドツーエンド コールは、4 つのコール レグから構成されます。発信元ルータの側から 2 つ、宛先ルータの側から 2 つです。ダイヤル ピアを使用して、コール レグにアトリビュートを適用し、コールの起点と宛先を特定します。ダイヤル ピアには 2 種類あります。
• POTS ― 従来型電話網接続の特性を規定するダイヤル ピア。POTS ピアは、音声ネットワーク デバイス上の特定の音声ポートを指向します。POTSダイヤル ピアを最低限設定するには、対応する電話番号と論理インターフェイスという2つの特性を設定しなければなりません。 destination-pattern コマンドを使用して、電話番号を POTS ピアに対応付けます。 port コマンドで、特定の論理インターフェイスを POTS ピアに対応付けます。さらに、 direct-inward-dial コマンドを使用することによって、POTS ピア用の DID(Direct Inward Dial)を指定できます。
• VoIP ― パケット ネットワーク接続の特性を規定するダイヤル ピア(VoIP の場合はIPネットワーク)。VoIP ピアは、特定の VoIP デバイスを指向します。最低限の VoIP ピアを設定するには、対応する宛先電話番号と宛先 IP アドレスという 2 つの特性を設定する必要があります。 destination-pattern コマンドを使用して、VoIP ピアに対応する宛先電話番号を定義します。 session-target コマンドを使用して、VoIP ピア用の宛先 IP アドレスを指定します。
さらに、VoIPピアを使用して、IP precedence、追加の QoS パラメータ(RSVP を設定している場合)、コーデック、VAD(音声アクティビティ検出)などの特性を定義できます。IP precedence を定義するには、 ip precedence コマンドを使用します。RSVP を設定している場合は、 req-qos または acc-qos コマンドを使用して、QoS パラメータを設定します。 codec コマンドを使用して、特定の音声コーダ レートを設定します。 vad コマンドを使用して、音声アクティビティ検出および無音パケットの伝送を禁止します。
ダイヤル ピアおよびダイヤル ピア特性の設定についての詳細は、「ダイヤル ピアの設定」 および「ダイヤル ピアおよびネットワーク インターフェイスの設定の最適化」 を参照してください。
ステップ 5 音声ポートをサポートするようにルータを設定する必要があります。通常、各種の音声ポート コマンドで特定の音声ポートのシグナリング タイプに対応する特性を定義します。Cisco 7200 シリーズ ルータ、Cisco 7200 VXR ルータ、Cisco 7301 ルータ、Cisco 7401ASR ルータ、および Cisco 7500 シリーズ ルータの音声ポートは、次の 3 種類の基本的な音声シグナリングをサポートします。
• FXO ― Foreign Exchange Office インターフェイス
• FXS ― Foreign Exchange Station インターフェイス
• E&M ― RecEive and TransMit インターフェイスまたは Ear and Mouth インターフェイス
既存の IP ネットワーク上で音声データを転送するように FXO および FXS ポートを設定する場合、通常はデフォルトの音声ポート コマンド値で十分です。PBX ネットワークに固有の複雑さのため、E&M ポートは電話網内のデバイスの仕様に応じて、特定の音声ポート値を設定する必要があります。音声ポートの設定については、「音声ポートの設定」 を参照してください。
VoIP のように遅延が問題になるアプリケーションを実行する場合、ネットワークをエンドツーエンドで入念に設計しておく必要があります。VoIP が適切にサポートされるようにネットワークを微調整するには、QoS に適合する一連のプロトコルおよび機能が必要です。広範な QoS の導入に関連する詳細は、このマニュアルでは取り上げません。Cisco IOS ソフトウェアには、RED(ランダム早期検出)、WRED(重み付きランダム早期検出)、ファンシー キューイング(カスタム、プライオリティ、または均等化キューイングの意味)、IP precedence など、バックボーンで QoS を使用できるようにするためのさまざまなツールがあります。リアルタイム音声トラフィック対応として IP ネットワークを設定する場合、ネットワークの有効範囲全体を視野に入れた上で、適切な QoS ツール(単独または複数)を選択する必要があります。
音声ネットワークのパフォーマンスを向上させる上で重要なのは、VoIP を実行する Cisco 7200 シリーズ、Cisco 7200 VXR、Cisco 7401ASR、または Cisco 7500 シリーズ ルータだけではなく、ネットワーク全体で QoS を設定しなければならないということです。すべてのネットワーク ルータにすべての QoS 技法が適しているわけではありません。また、ネットワーク内のエッジ ルータとバックボーン ルータとでは、必ずしも同じ動作をするわけではありません。同様に、実行する QoS の作業もそれぞれ異なる場合があります。リアルタイム音声トラフィック対応として IP ネットワークを設定する場合、ネットワーク内のエッジ ルータとバックボーン ルータ両方の機能を考慮した上で、適切な QoS ツール(単独または複数)を選択する必要があります。
バックボーン ルータは一般に、次の QoS 機能を実行します。
スケーラブルな QoS ソリューションを実現するには、エッジとバックボーンの機能を協調させる必要があります。
一部の QoS ツールについては、必須ではないものの、リアルタイム音声トラフィック対応として、ネットワークを微調整するときに有用であることが実証されています。このようなツールを使用して QoS 用に IP ネットワークを設定する場合、次の作業のうち少なくとも 1 つを行う必要があります。
RSVP により、エンド システムはネットワークに特定の QoS を要求できます。リアルタイム音声トラフィックには、ネットワークの安定性が不可欠です。一貫した QoS が得られなかった場合、リアルタイム トラフィックにはジッタ、帯域不足、遅延変動、または情報損失が生じる可能性があります。RSVP は、現在のキューイング メカニズムと連動します。帯域予約がどのように実行されるかについては、インターフェイス キューイング メカニズム(WFQ、WRED など)によって異なります。
RSVP は、パケット フローに関するダイナミック アクセス リストと同様のものと考えることができます。
音声トラフィックに対応するように RSVP を最小限設定する場合、プライオリティを設定しなければならない各インターフェイスで、RSVP をイネーブルにする必要があります。
デフォルトでは RSVP はディセーブルに設定されています。これは、RSVP を実装していないシステムとの下位互換性を図るためです。インターフェイス上で RSVP をイネーブルにするには、インターフェイス コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
このコマンドによって RSVP が起動され、帯域幅およびシングルフロー限度が設定されます。デフォルトの最大帯域幅は、インターフェイスで利用できる帯域幅の 75% までです。デフォルトの場合、1 つのフローに確保できる容量は、全体で確保可能な帯域幅までです。
サブインターフェイスにこのコマンドを使用した場合、物理インターフェイスおよびサブインターフェイスの利用可能帯域幅に対する制約が強くなります。
個々の回線での帯域予約は、シングルフロー限度を超えないかぎり、通常は問題ありません。ただし、他の回線で、合計すると回線速度いっぱいの帯域予約がされている場合、それ自体は帯域幅に余裕のあるサブインターフェイスで予約しても、物理インターフェイスがサポートしている帯域幅が不足しているので、その予約は拒否されます。
VoIP が稼働していて、RSVP 対応として設定されている Cisco 7200 シリーズ ルータ、Cisco 7200 VXR ルータ、Cisco 7301 ルータ、Cisco 7401ASR ルータ、および Cisco 7500シリーズ ルータは、次の公式に従って割り当てを要求します。
bps = パケット サイズ + ip/udp/rtp ヘッダー サイズ×50/秒
G.729 の場合、割り当ては 24,000 bps です。G.711 の場合、割り当ては 80,000 bps です。
次の例では、RSVP をイネーブルにして、最大帯域幅を 100 kbps に、1 つの要求の最大帯域幅を 32 kbps に設定します(この場合、VoIP ダイヤル ピアが両方とも設定済みであることが前提です)。
マルチクラス マルチリンク PPP インターリーブにより、大きいパケットをマルチリンクでカプセル化し、リアルタイム音声トラフィックの遅延条件を満たす小さいパケットに分割することができます。小さいリアルタイム パケットは、マルチリンクでカプセル化せず、大きいパケットのフラグメントの合間に伝送されます。インターリーブ機能はさらに、小型で遅延が問題になるパケット用に特殊な送信キューを提供するので、そのようなパケットを他のフローより先に送信できます。インターリーブ機能は、他のベスト エフォート型トラフィックに使用される低速リンク上で、遅延が問題になる音声パケットに遅延限度を設定します。
(注) インターリーブが適用されるのは、マルチリンク バンドル インターフェイスを設定できるインターフェイスに限られます。この中には、仮想テンプレート、ダイヤラ インターフェイス、ISDN(Integrated Services Digital Network)BRI(基本インターフェイス)または PRI インターフェイス(1次群インターフェイス)が含まれます。
マルチリンク PPP インターリーブは、通常、WFQ および RSVP または IP precedence を組み合わせて使用し、音声パケットの配信を保証します。マルチリンク PPP インターリーブと WFQ は、データの管理方法を定義するために使用します。これに対して RSVP または IP precedence は、音声パケットにプライオリティを設定するために使用します。
ネットワークに次の条件が存在する場合は、マルチリンク PPP を設定する必要があります。
(注) 2 Mbps を超えるリンクでは、マルチリンク PPP を使用しないでください。
マルチリンク PPP のインターリーブ サポートは、仮想テンプレート、ダイヤラ インターフェイス、および ISDN BRI/PRI インターフェイスに設定できます。インターリーブを設定するには、次の作業が必要です。
• Cisco IOS Release 12.0 の『 Dial Solutions Configuration Guide 』を参照して、ダイヤラ インターフェイスまたは仮想テンプレートを設定します。
• インターフェイスまたはテンプレートにマルチリンク PPP およびインターリーブを設定します。
設定済みで動作可能なインターフェイスまたは仮想インターフェイス テンプレートにマルチリンク PPP およびインターリーブを設定するには、インターフェイス モードで次のコマンドを使用します。
(注) ip rtp reserve コマンドは、RSVP を設定する代わりに使用できます。RSVP を設定する場合、このコマンドは不要です。
マルチリンク PPP の詳細については、Cisco IOS Release 12.0 の『 Dial Solutions Configuration Guide 』にある「Configuring Media-Independent PPP and Multilink PPP」を参照してください。
次の例では、仮想インターフェイス テンプレートを定義し、マルチリンク PPP インターリーブをイネーブルにして、最大リアルタイム トラフィック遅延を 20 ミリ秒に設定してから、その仮想テンプレートをマルチリンク PPP バンドルに適用します。
RTP(Real-Time Transport Protocol)は、IP ネットワーク上でパケット化された音声トラフィックを伝送する場合に使用します。RTP ヘッダー圧縮を使用すると、RTP データ パケットの IP/UDP/RTP ヘッダーが、通常は 40 バイトからおよそ 2 ~ 4 バイトに圧縮されます。図4-1 を参照してください。
この圧縮機能は、低速リンクで VoIP を実行する場合に便利です。狭帯域幅シリアル リンクの両側で圧縮をイネーブルにすると、その低速リンクを大量の RTP トラフィックが流れる場合に、ネットワークのオーバーヘッドを大幅に削減できます。
一般に、圧縮されたペイロードを使用する音声アプリケーション用には、RTP パケットのペイロードはおよそ 20~160 バイトです。RTP ヘッダー圧縮が非常に有効なのは、RTP ペイロード サイズが小さい場合です(たとえば、20~50 バイトの圧縮音声ペイロード)。
ネットワークに次の条件が存在する場合は、RTP ヘッダー圧縮を設定する必要があります。
(注) 2 Mbps を超えるリンクでは、RTP ヘッダー圧縮を使用しないでください。
VoIP 用に RTP ヘッダー圧縮を設定するには、次の作業が必要です。最初の作業は必須ですが、2 番めの作業は任意です。
RTP ヘッダー圧縮を使用するには、シリアル接続の両側で圧縮をイネーブルにする必要があります。RTP ヘッダー圧縮をイネーブルにするには、インターフェイス コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
passive キーワードを含めた場合、発信 RTP パケットが圧縮されるのは、同一インターフェイス上の着信 RTP パケットが圧縮される場合だけです。 passive キーワードを指定せずにコマンドを使用した場合は、すべての RTP トラフィックが圧縮されます。
デフォルトの設定では、1 つのインターフェイス上で合計 16 の RTP ヘッダー圧縮接続がサポートされます。RTP ヘッダー圧縮接続の数を変更するには、インターフェイス コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
次の例では、シリアル インターフェイスに対して RTP ヘッダー圧縮をイネーブルにします。
IP RTP 予約、カスタム キューイングなど、一部の QoS 機能は、トランスポート プロトコルと対応ポート番号に基づいて実行されます。リアルタイム音声トラフィックは、16384~16624 の範囲の UDP ポートで伝送されます。この番号は、次の公式から算出されています。
16384 = 4 × Cisco 7200 VXR ルータの音声ポート数
これらのポート範囲には、カスタム キューイングおよび他のハイプライオリティ ストリーム識別手段を設定する必要があります。
WFQを使用すると、キューが帯域幅不足にならないこと、さらにトラフィックが予測可能なサービスを受けることが保証されます。小容量のトラフィック ストリームには、優先的なサービスが与えられます。大容量トラフィック ストリームに、残りの容量が分配され、同等または比例配分された帯域幅が与えられます。
WFQ は、通常、マルチリンク PPP インターリーブおよび RSVP または IP precedence を組み合わせて使用し、音声パケットの配信を保証します。WFQ とマルチリンク PPP は、データの管理方法を定義するために使用します。これに対して RSVP または IP precedence は、音声パケットにプライオリティを設定するために使用します。
企業の電話網は通常、E.164 の完全電話番号のうちの一部分(内線番号)をダイヤルするだけで宛先に到達できるように設定されています。VoIPは、内線番号を認識し、それを E.164 の完全電話番号に展開するように設定できます。そのためには、 destination-pattern および num-exp という 2 つのコマンドを同時に使用します。これらの 2 つのコマンドを設定する前に、個々の内線番号と E.164 の完全電話番号をマッピングしておくと便利です。この作業は、番号展開表を作成すると簡単にできます。
図4-2の例では、ある小規模企業が VoIP を使用して、自社の電話網と既存の IP ネットワークを統合しようとしています。ルータ A(IP クラウドの左側)に対応付けられた宛先パターン(または展開した電話番号)は、(408)555-xxxxです。xxxxには、内線番号を指定して、個々のダイヤル ピアを特定します。ルータ B(IP クラウドの右側)に対応付けられた宛先パターン(または展開した電話番号)は、(729)411-xxxxです。
表4-2 に、この例に対応する番号展開表を示します。
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(注) ピリオド(.)を使用することにより、電話番号内の変数(内線番号など)を表すことができます。
内線番号を特定の宛先パターンに展開する方法を定義するには、グローバル コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
show num-exp コマンドで番号展開情報を表示すると、電話番号が正しくマッピングされているかどうかを確認できます。
ダイヤル ピアとそれぞれに対応する宛先パターンを設定したあとで、 show dialplan number コマンドを使用して番号展開情報を表示すると、電話番号がどのようにダイヤル ピアにマッピングされているかを調べることができます。
VoIP の機能を理解するには、ダイヤル ピアを理解しなければなりません。コール レグに関連した特性はダイヤル ピアごとに定義します。図4-3および図4-4 を参照してください。コール レグは、接続された 2 地点間にある、コール コネクションの個々のセグメントです。特定の接続に関連するすべてのコール レグに同じ接続 ID が与えられます。
• POTS ― 従来型電話網接続の特性を規定するダイヤル ピア。POTS ピアは、音声ネットワーク デバイス上の特定の音声ポートを指向します。
• VoIP ― パケット ネットワーク接続の特性を規定するダイヤル ピア(VoIP の場合はIPネットワーク)。VoIP ピアは、特定の VoIP デバイスを指向します。
エンドツーエンド コールは、4 つのコール レグから構成されます。発信元ルータ側からの 2 つ(図4-3 を参照)と宛先ルータ側からの 2 つ(図4-4 を参照)です。ダイヤル ピアは、これらのコール レグのそれぞれと対応付けられます。ダイヤル ピアを使用して、コール レグにアトリビュートを適用し、コールの起点と宛先を特定します。コール レグに適用されるアトリビュートは、QoS、コーデック、VAD、および Fax レートです。
図4-3 発信元ルータ側から見たダイヤル ピア コール レグ
ダイヤル ピアは、着信と発信両方のコール レグに使用されます。これらの用語は、あくまでも ルータ の観点から定義されたものであることを覚えておいてください。着信コール レグは、ルータの 外部 を起点とします。発信コール レグは、ルータが 起点 です。
着信コール レグの場合、ダイヤル ピアが発信元番号またはポート指定と対応付けられることがあります。発信コール レグは常に、ダイヤル ピアと対応付けられます。発信ダイヤル ピアの識別には、宛先パターンを使用します。コールは確立時に発信ダイヤル ピアと対応付けられます。
POTS ピアは、電話番号と特定の音声ポートを対応付け、その電話番号に対する着信コールを受け、発信コールができるようにします。VoIP ピアは、(宛先電話番号と特定の IP アドレスを対応付けることにより)特定のデバイスを指向して、着信コールを受け、発信コールができるようにします。POTS ピアとVoIP ピアはどちらも、VoIP 接続を確立する必要があります。
VoIP を使用する通信の確立は、IP スタティック ルートを設定する場合と同様です。定義済みの 2 つのエンドポイント間に特定の音声接続を確立します。図4-5 では、(POTS ダイヤル ピア 1 から見た)発信コールに対して、POTS ダイヤル ピアは(発信元電話番号または音声ポートにより)コールの発信元を設定します。VoIP ダイヤル ピアは、宛先電話番号と特定の IP アドレスを対応付けることにより、宛先を設定します。
発信元と宛先間のコール接続を、図4-5 のように設定するには、ルータ 10.1.2.2 上で次のコマンドを入力します。
この設定例では、VoIP ダイヤル ピアの宛先パターンのうち、最後の 4 桁がワイルドカードに置き換えられています。この場合、ルータ 10.1.2.2 から[1310520]で始まる任意の番号列をコールすると、ルータ 10.1.1.2 との接続が確立されます。したがって、ルータ 10.1.2.2 は、[1408526] から始まるすべての番号に対応します。ルータ 10.1.1.2 から[1408526]で始まる任意の番号列をコールすると、ルータ 10.1.2.2 との接続が確立されます。したがって、ルータ 10.1.2.2 は、[1408526]から始まるすべての番号に対応します。数字の削除/追加については、「POTS ピアに対する発信ダイヤリング」 を参照してください。
図4-6 に、ダイヤル ピア 1 とダイヤル ピア 4 の間でエンドツーエンド コールが完了する例を示します。
図4-6のようにダイヤル ピア 1 とダイヤル ピア 4 の間のエンドツーエンド コールを完了するには、ルータ 10.1.1.2 上で次のコマンドを入力します。
VoIP のダイヤル ピアを設定するには、先に各ダイヤル ピアに関連する具体的なデータを特定しておく必要があります。その方法の 1 つは、ピア コンフィギュレーションの表を作成することです。
図4-2 を例にすると、ルータ A(IP アドレス 10.1.1.1)は、ルータ B を介して小規模な営業所を本社に接続します。営業所には、ダイヤル ピアとして設定しなければならない電話が 3 台あります。ルータB(IP アドレス 10.1.1.2)は、本社へのプライマリ ゲートウェイなので、会社の PBX に接続する必要があります。本社には、ダイヤル ピアとして設定しなければならない装置が 4 台あります。いずれも、PBX に接続された基本電話です。図4-2 は、この小規模な音声ネットワークを示しています。
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POTS ピアにより、特定の電話機に着信コールを受けさせることができます。POTS ピアを設定するには、(固有のタグ番号を割り当てることによって)ピアを固有のものとして識別し、電話番号を定義し、確立対象のコールが経由する音声ポートと対応付ける必要があります。残りのダイヤル ピア コンフィギュレーション コマンドに関しては通常、デフォルト値で問題なく接続を確立できます。
ダイヤル ピア コンフィギュレーション モードを開始するには(さらに、音声関連のカプセル化方式として POTS を選択するには)、グローバル コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
dial-peer voice pots コマンドの number 値は、ダイヤル ピアを固有のものとして識別するためのタグです(この値は、ローカルに限って意味があります)。
識別した POTS ピアを設定するには、ダイヤル ピア コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
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ルータは音声コールを受けると、コール情報に含まれている着信番号(E.164 完全電話番号)と POTS ピアの宛先パターンとして設定されている番号を比較して、発信ダイヤル ピアを選択します。さらに、着信番号と一致する宛先パターンに対応する左揃えの番号を削除します。プレフィクスを設定している場合、残りの番号の前にプレフィクスが付加され、ダイヤル ストリングが作成され、それがルータによってダイヤルされます。宛先パターンのすべての番号が削除されると、ユーザには(接続装置に応じて)ダイヤルトーンが聞こえます。
たとえば、E.164 着信番号を 1(310)767-2222 とする音声コールがあるとします。[1310767] という宛先パターンで、プレフィクスとして [9] を設定している場合、ルータは E.164 の電話番号から [1310767] を削除し、内線番号 [2222] を残します。さらに、残りの番号の前にプレフィクス[9]を付加します。したがって、実際にダイヤルされる番号は[9, 2222]です。この例の中のカンマは、[9]をダイヤルしてから[2]をダイヤルするまでに、ルータが1秒間のポーズを入れて、セカンダリ ダイヤルトーンのための余裕を作ることを意味します。
DID(Direct Inward Dial)は、着信 POTS コール レグに関して着信番号をどのように扱うかを決定するために使用します。図4-7 に示すように、着信とはルータの観点からの意味です。この場合、ルータに着信したコール レグは、ルータを経由して該当する宛先パターンへ転送されます。
特に設定されていないかぎり、発信が到達したルータは、発信元へダイヤルトーンを送り、宛先ダイヤル ピアを識別できるまで番号を収集します。ダイヤル ピアが特定されると、次のコール レグを経由して宛先までコールが転送されます。
たとえば、コールを接続するスイッチがすでに番号を収集していた場合など、状況によって、ルータは着信番号の DNIS(Dialed Number Identification Service)を使用して、発信コール レグのダイヤル ピアを特定しなければなりません。DID により、ルータは着信番号とダイヤル ピアを照合し、直接発信コールを行うことができます。DID を使用した場合、ルータは発信元にダイヤルトーンを送らず、番号も収集しません。設定されている宛先に直接コールを転送します。
DID および着信コール番号を使用するには、ダイヤル ピアが着信コール レグと対応付けられていなければなりません。次に、着信コール レグとダイヤル ピアを対応付けるためのアルゴリズムが、どのような論理で形成されているかについて説明します。
着信コール レグとダイヤル ピアを対応付けるためのアルゴリズムでは、(コールに対応するシグナリングおよびインターフェイス情報から引き出した)3 つの入力、および定義された 4 つのダイヤル ピア要素を使用します。3 つのシグナリング入力は、次のとおりです。
• 着信番号(DNIS) ― 宛先を表す一連の数字。ISDN セットアップ メッセージまたは CAS DNIS から引き出されます。
• 発信元番号(ANI) ― 発信元を表す一連の数字。ISDN セットアップ メッセージまたは CAS DNIS から引き出されます。
定義されている 4 つのダイヤル ピア要素は、次のとおりです。
• 宛先パターン ― ピアの接続先となる電話番号を表すパターン
• 応答アドレス ― ピアの接続元となる電話番号を表すパターン
• 着信コール番号 ― 着信コール レグを着信番号または DNIS に基づいてピアに対応付ける電話番号を表すパターン
for コール タイプ(VoIP または POTS)がダイヤル ピア タイプと一致するすべてのピア:
if 着信番号と着信コール番号のタイプが一致する場合、この 2 つを対応付ける
else if 発信元番号と応答アドレスのタイプが一致する場合、この 2 つを対応付ける
else if 発信番号と宛先パターンのタイプが一致する場合、この 2 つを対応付ける
else if 音声ポートとポートのタイプが一致する場合、この 2 つを対応付ける
このアルゴリズムは、応答アドレスに値が設定されていない場合、発信元番号が使用されることを表しています。通常、発信元番号と応答アドレスは同じだからです。
特定の POTS ダイヤル ピアに DID を設定するには、グローバル コンフィギュレーション モードから始めて、次のコマンドを使用します。
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(注) DID は、発信側の POTS ダイヤル ピアに設定します。
VoIP ピアにより、特定の電話機から発信コールを行うことができます。VoIP ピアを設定するには、(固有のタグ番号を割り当てることによって)ピアを固有のものとして識別し、その宛先電話番号および宛先 IP アドレスを定義する必要があります。POTS ピアの場合と同様、残りのダイヤル ピア コンフィギュレーション コマンドに関しては通常、デフォルト値で問題なく接続を確立できます。
ダイヤル ピア コンフィギュレーション モードを開始するには(さらに、音声関連のカプセル化方式として VoIP を選択するには)、グローバル コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
dial-peer voice voip コマンドの number 値は、ダイヤル ピアを固有のものとして識別するためのタグです。
識別した VoIP ピアを設定するには、ダイヤル ピア コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
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session-target { ipv4: destination-address | dns: host-name } |
次の作業によって、ダイヤル ピアの設定の有効性を確認できます。
• 設定したダイヤル ピアが比較的少ない場合は、 show dial-peer voice コマンドを使用して、設定したデータが有効かどうかを確認できます。このコマンドを使用すると、特定のダイヤル ピアまたは設定したすべてのダイヤル ピアが表示されます。
• 特定の番号(宛先パターン)によって解決されるダイヤル ピアを表示するには、 show dialplan number コマンドを使用します。
コールの接続で問題が生じ、その問題がダイヤル ピアの設定に関係している可能性がある場合は、次の手順で問題を解決してください。
• 対応付けられた IP アドレスに ping を実行して、接続できるかどうかを確認します。
• show dial-peer voice コマンドを使用して、ダイヤル ピアの動作状態がアップになっているかどうかを確認します。
• ローカル ルータおよびリモート ルータ上で show dialplan number コマンドを使用して、両方でデータが正しく設定されているかどうかを確認します。
• 番号展開を設定している場合は、 show num-exp コマンドを使用して、ローカル ルータ上の部分的な番号がリモート ルータ上で E.164 の完全電話番号に正しく対応付けられているかどうかを確認します。
• コーデック値を設定している場合は、接続のどちらかの側で、両方の VoIP ダイヤル ピアのコーデック値が矛盾していると、問題が起きる可能性があります。必ず両方の VoIP ピアに同じコーデック値を設定してください。
• debug vpm spi コマンドを使用して、ルータがダイヤルする出力文字列が有効かどうかを確認します。
Cisco 7200 シリーズ ルータ、Cisco 7200 VXR ルータ、Cisco 7301ルータ、Cisco 7401ASR ルータ、および Cisco 7500 シリーズ ルータの音声ポートは、次の 3 種類の基本的な音声シグナリングをサポートします。
• FXO インターフェイスにより、PSTN のセントラル オフィス(または、地域の電話局が許可した場合は標準 PBX インターフェイス)に接続を転送できます。このインターフェイスは、構外のエクステンション アプリケーションに有効です。
• FXS ― Foreign Exchange Station インターフェイスにより、基本電話機、キー セット、および PBX の接続が可能になり、呼び出し音、電圧、およびダイヤルトーンを供給します。
• E&M ― [Ear and Mouth] インターフェイス(または [RecEive and TransMit] インターフェイス)により、PBXトランク回線(内線間の連絡線)接続が可能になります。これは、2 線および 4 線電話およびトランク インターフェイスに対応するシグナリング技法です。
通常、各種の音声ポート コマンドで特定の音声ポートのシグナリング タイプに対応する特性を定義します。既存の IP ネットワーク上で音声データを転送するように FXO および FXS ポートを設定する場合、通常はデフォルトの音声ポート コマンド値で十分です。PBX ネットワークに固有の複雑さのため、E&M ポートは電話網内のデバイスの仕様に応じて、特定の音声ポート値を設定する必要があります。
FXO/FXS 音声ポートは、どちらの場合も、通常はデフォルトの音声ポート値を変更する必要はありません。これらの音声ポートについて、デフォルトの設定値を変更しなければならない場合、手順は次のとおりです。ステップ1およびステップ 2 の項目は必須ですが、ステップ 3 の項目は省略してもかまいません。
ステップ 1 voice-port コマンドを使用して、音声ポートを指定し、音声ポート コンフィギュレーション モードを開始します。
ステップ 2 指定されたコマンドを使用して、次の必須音声ポート パラメータを設定します。
• ダイヤル タイプ(FXO のみ) ― dial-type コマンド
• 呼び出し音間隔(FXS のみ) ― ring frequency コマンド
• 呼び出し回数(FXO のみ) ― ring number コマンド
ステップ 3 指定されたコマンドを使用して、次のオプションの音声ポート パラメータを 1 つまたは複数設定します。
• PLAR 接続モード ― connection plar コマンド
• ミュージックしきい値 ― music-threshold コマンド
• コンフォート ノイズ(VAD がアクティブの場合 ― vadはダイヤル ピア用のコマンド) ― comfort-noise コマンド
FXO/FXS 音声ポートを設定するには、特権EXEC モードから始めて、次のコマンドを使用します。
• 接続された電話機の受話器を取り上げ、ダイヤルトーンが聞こえるかどうかを確認します。
• ダイヤルトーンが聞こえた場合は、DTMF(デュアル トーン多重周波数)検出の有無を調べます。番号をダイヤルしたときにダイヤルトーンが停止すれば、通常は正しく設定されています。
コールの接続で問題が生じ、その問題が音声ポートの設定に関係している可能性がある場合は、次の手順で問題解決を図ってください。
• 対応付けられた IP アドレスに ping を実行して、接続できるかどうかを確認します。
• show voice port コマンドを使用して、ポートがイネーブルであることを確認します。ポートがオフラインの場合は、 no shutdown コマンドを使用します。
• E&M インターフェイスを設定している場合、タイミング、タイプなど、PBX の具体的な設定に関連する値が正しいかどうかを確認します。
• 音声ネットワーク モジュールが正しく取り付けられているかどうかを確認します。詳細については、音声ネットワーク モジュールに付属しているインストレーション マニュアル『 Voice Network Module and Voice Interface Card Configuration Note 』を参照してください。
個々のネットワークの詳細に応じて、FXO/FXS 音声ポートのタイミング、入力ゲイン、および出力減衰に関連する音声パラメータを調整しなければならない場合があります。これらのコマンドを集合的に「音声ポート チューニング コマンド」といいます。
(注) 音声ポート チューニング コマンドでは、通常デフォルト値を変更する必要はありません。
FXO/FXS 音声ポートの音声ポート チューニングを設定する手順は、次のとおりです。
ステップ 1 voice-port コマンドを使用して、音声ポートを指定し、音声ポート コンフィギュレーション モードを開始します。
ステップ 2 次の各パラメータについて、指定されたコマンドを使用して適切な値を選択します。
• 出力減衰 ― output attenuation コマンド
• エコー キャンセルの範囲 ― echo-cancel enable および echo-cancel coverage コマンド
• 最初の番号のタイムアウト ― timeouts initial コマンド
• 番号間のタイムアウト ― timeouts interdigits コマンド
• タイムアウト以外のタイミング ― timing digit 、 timing inter-digit 、 timing pulse-digit 、および timing pulse-inter-digit コマンド
FXO/FXS 音声ポートを微調整するには、特権EXEC モードから始めて、次のコマンドを使用します。
(注) 音声ポート コマンドの変更後、shutdown および no shutdown コマンドを使用して、ポートをいったんオフにしてからオンにしてください。
E&M 音声ポートのパラメータは FXO/FXS 音声ポートと異なり、デフォルトのままでは通常、IP ネットワーク上で音声データを伝送できません。E&M 音声ポートの値は、その音声ポートの接続先となる特定の PBX 装置で指定された値と一致させる必要があります。
E&M 音声ポートは、次の手順で設定します。ステップ1およびステップ 2 の項目は必須ですが、ステップ 3 の項目は省略してもかまいません。
ステップ 1 voice-port コマンドを使用して、音声ポートを指定し、音声ポート コンフィギュレーション モードを開始します。
ステップ 2 次の必須パラメータのそれぞれについて、指定されたコマンドを使用して適切なパラメータ値を選択します。
ステップ 3 指定されたコマンドを使用して、次のオプションのパラメータを1つまたは複数設定します。
• PLAR 接続モード ― connection plar コマンド
• ミュージックしきい値 ― music-threshold コマンド
• コンフォート トーン(VAD がアクティブな場合) ― comfort-noise コマンド
E&M 音声ポートを設定するには、特権EXEC モードから始めて、次のコマンドを使用します。
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cptone { australia | brazil | china | finland | france | germany | japan | northamerica | unitedkingdom } |
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(任意)この音声ポートを PLAR(専用回線自動リングダウン)接続に使用する場合、PLAR 接続を指定します。 string 値で宛先電話番号を指定します。 |
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• 接続された電話機の受話器を取り上げ、ダイヤルトーンが聞こえるかどうかを確認します。
• ダイヤルトーンが聞こえた場合は、DTMF 検出の有無を調べます。番号をダイヤルしたときにダイヤルトーンが停止すれば、通常は正しく設定されています。
コールの接続で問題が生じ、その問題が音声ポートの設定に関係している可能性がある場合は、次の手順で問題解決を図ってください。
• 対応付けられた IP アドレスに ping を実行して、接続できるかどうかを確認します。宛先への ping が成功しなかった場合は、『 Network Protocols Configuration Guide, Part 1 』を参照してください。
• show voice port コマンドを使用して、ポートがイネーブルであることを確認します。ポートがオフラインの場合は、 no shutdown コマンドを使用します。
• E&M インターフェイスを設定している場合、タイミング、タイプなど、PBX の具体的な設定に関連する値が正しいかどうかを確認します。
• 音声ネットワーク モジュールが正しく取り付けられているかどうかを確認します。詳細については、音声ネットワーク モジュールに付属しているインストレーション マニュアルを参照してください。
個々のネットワークの詳細に応じて、E&M 音声ポートのタイミング、入力ゲイン、および出力減衰に関連する音声パラメータを調整しなければならない場合があります。これらのコマンドを集合的に「音声ポート チューニング コマンド」といいます。
(注) 音声ポート チューニング コマンドでは、通常デフォルト値を変更する必要はありません。
E&M 音声ポートの音声ポート チューニングを設定する手順は、次のとおりです。
ステップ 1 voice-port コマンドを使用して、音声ポートを指定し、音声ポート コンフィギュレーション モードを開始します。
ステップ 2 次の各パラメータについて、指定されたコマンドを使用して適切な値を選択します。
• 出力減衰 ― output attenuation コマンド
• エコー キャンセルの範囲 ― echo-cancel enable および echo-cancel coverage コマンド
• 最初の番号のタイムアウト ― timeouts initial コマンド
• 番号間のタイムアウト ― timeouts interdigit コマンド
• タイムアウト以外のタイミング ― timing clear-wait 、 timing delay-duration 、 timing delay-start 、 timing dial-pulse min-delay 、 timing digit 、timing inter-digit、 timing pulse 、 timing pulse-inter-digit 、 timing wink-duration 、および timing wink-wait コマンド
E&M 音声ポートを微調整するには、特権EXEC モードから始めて、次のコマンドを使用します。
(注) 音声ポート コマンドの変更後、shutdown および no shutdown コマンドを使用して、ポートをいったんオフにしてからオンにしてください。
ネットワーク インターフェイスをどのように設定しているかによって、VoIP ダイヤル ピア パラメータを追加設定しなければならないことがあります。ここでは、次の内容について説明します。
リアルタイム音声トラフィックに他のネットワーク トラフィックより高いプライオリティを与える場合は、IP precedence を使用することにより、特定の VoIP ダイヤル ピアに対応付けられた音声データ トラフィックを優先することができます。IP precedence は RSVP より優先度が高くなりますがアドミッション制御は行われません。
リアルタイム音声トラフィックが他の IP ネットワーク トラフィックより優先されるようにするには、グローバル コンフィギュレーション モードから始めて、次のコマンドを使用します。
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IP precedence では、1 ~ 5 の数字で IP フローのクラスを指定します。6 ~ 7 は、ネットワークまたはバックボーン ルーティングおよびアップデート用です。
たとえば、VoIP ダイヤル ピア 103 に対応する音声トラフィックに、他の IP ネットワーク トラフィックより高いプライオリティを設定するには、次のように入力します。
この例では、IP コール レグが VoIP ダイヤル ピア 103 と対応付けられている場合、このダイヤル ピアを介して IP ネットワークに送信されるすべてのパケットで、優先順位ビットが5に設定されます。これらのパケットを受信するネットワークが、優先順位ビットを認識するように設定されている場合、これらのパケットには、低い優先順位値が設定されているパケットより高いプライオリティが与えられます。
WAN または LAN インターフェイスを RSVP 用に設定している場合は、対応付けられたすべての VoIP ピアに QoS を設定する必要があります。選択した VoIP ピアに QoS を設定するには、グローバル コンフィギュレーション モードで次のコマンドを使用します。
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req-qos [ best-effort | controlled-load | guaranteed-delay ] |
(注) 要求するサービス品質として controlled-load を選択することを推奨します。
たとえば、VoIP ダイヤル ピア 108 に guaranteed delay という QoS を指定する場合、次のように入力します。
この例では、VoIP ダイヤル ピア 108 経由で接続が確立されるたびに、ローカル ルータ、パス上のすべての中間ルータ、および最終宛先ルータ間で RSVP リザベーション要求が行われます。
予約した QoS が、選択された VoIP ピアの設定値に満たない場合に、SNMP トラップ メッセージが生成されるようにするには、グローバル コンフィギュレーション モードから始めて次のコマンドを使用します。
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acc-qos [ best-effort | controlled-load | guaranteed-delay ] |
(注) RSVP リザベーションは一方向だけです。RSVP を設定する場合は、接続の両側の VoIP ダイヤル ピアを RSVP 対応として設定する必要があります。
ダイヤル ピアのコーデック(Coder/Decoder)およびVAD(音声アクティビティ検出)により、音声セッションで使用する帯域幅が決まります。コーデックは通常、アナログ信号をデジタル ビット ストリームに変調し、デジタル信号をアナログ信号に復調すために使用します。この場合は、ダイヤル ピアに関する音声のボイス コーダ レートを指定します。VADは、無音パケットの伝送を禁止する目的で使用します。
選択した VoIP ピアにボイス コーダ レートを指定するには、グローバル コンフィギュレーション モードから始めて次のコマンドを使用します。
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codec コマンドのデフォルト値は g729r8 です。このコマンドは一般に、デフォルトの設定が最適です。ただし、広帯域幅のネットワーク上で動作していて、音質が最重要視される場合は、 codec コマンドを g711alaw または g711 ulaw として設定します。これらの値を使用すると、音質が向上しますが、音声にはより広い帯域幅が必要になります。
たとえば、VoIP ダイヤル ピア 108 に G.711a-law というコーデック レートを指定する場合、次のように入力します。
選択した VoIP ピアに対して、無音パケットの伝送を禁止するには、グローバル コンフィギュレーション モードから始めて次のコマンドを使用します。
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vad コマンドはイネーブルがデフォルトの設定です。このコマンドは通常、デフォルトの設定が最適です。広帯域幅のネットワークで動作していて、音質が最重要視される場合は、vad をディセーブルにしてください。この値を使用すると、音質が向上しますが、音声にはより広い帯域幅が必要になります。
たとえば、VoIP ダイヤル ピア 108 に対して VAD をイネーブルにする場合、次のように入力します。
フレーム リレー上で VoIP が支障なく稼働するようにするには、VoIP の設定時にいくつか考慮しなければならない要素があります。パブリックなフレーム リレー クラウドでは、QoS が保証されません。リアルタイム トラフィックがタイミングを外さずに送信されるようにするには、データ レートがCIR(認定情報速度)を超えないようにしなければなりません。CIR を超えると、パケットが削除される可能性があります。また、フレーム リレー トラフィック シェーピングと RSVP を両方とも設定することはできません。 1 つのインターフェイスに複数の DLCI(データ リンク接続識別子)が設定されている場合は、特にこのことを忘れないでください。
出力速度の遅い(64 kbps以下)フレーム リレー リンクで、同一PVC 上にデータと音声を流す場合、次のソリューションを推奨します。
• 音声とデータでの DLCI の分離 ― 音声とデータに別々のサブインターフェイスを用意することにより、ライン単位で適切な QoS ツールを使用できます。たとえば、各 DLCI で 64 kbps ラインのうちの 32 kbps ずつを使用するなどです。
–両方の DLCI にアダプティブ トラフィック シェーピングを適用します。
–RSVP または IP precedence を使用して音声トラフィックを優先します。
–圧縮 RTP を使用して、音声パケットのサイズを最小化します。
–WFQ(均等化キューイング)を使用して、音声トラフィックを管理します。
• MTU サイズの引き下げ ― 音声パケットは一般的に小型です。MTU(最大伝送ユニット)サイズを(たとえば、300 バイトに)引き下げることにより、大型のデータ パケットを小型のデータ パケットに分割すると、音声パケットの合間に織り込むことが容易になります。
(注) MTU サイズの引き下げにより、データ スループット速度が左右されます。
• CIR と回線速度の一致 ― 必ずデータ転送速度が CIR を超えないようにしてください。これは、汎用トラフィック シェーピングによって実現します。
–RSVP または IP precedence を使用して音声トラフィックを優先します。
–圧縮 RTP を使用して、音声パケットのヘッダー サイズを最小化します。
• トラフィック シェーピング ― アダプティブ トラフィック シェーピングを使用し、BECN(Backward Explicit Congestion Notification)に基づいて出力レートを抑制します。スイッチからのフィードバックが無視される場合は、パケット(データと音声の両方)が廃棄される可能性があります。フレーム リレー スイッチは音声パケットとデータ パケットを区別しないので、音声パケットが廃棄されることもあり、その場合は音質が低下します。
–RSVP、圧縮 RTP、MTU サイズの引き下げ、および BECN に基づいたアダプティブ トラフィック シェーピングを使用して、データ転送速度を CIR に保ちます。
–汎用トラフィック シェーピングを使用して、パケットから次のパケットまでの待ち時間を短縮します。たとえば、Bc を 4000 に設定して、125 ms のパケット間待ち時間を実現します。
フレーム リレーの場合、メイン インターフェイスと共に、PVC ごとに 1 つずつ、複数のサブインターフェイスを設定するのが慣例です。次の例では、フレーム リレーのメイン インターフェイスとサブインターフェイスを1つずつ設定し、音声トラフィックとデータ トラフィックが正常に伝送されるようにします。
この設定例では、メイン インターフェイスは次のように設定されています。
• このシリアル インターフェイスには IP アドレスは対応付けられていません。サブインターフェイスに IP アドレスが割り当てられています。
• MTU サイズはメイン インターフェイスから引き継ぎます。
• サブインターフェイスの IP アドレスが指定されています。
• RSVP はイネーブルでデフォルト値を使用します。すなわち、設定された帯域幅の 75% です。
• 汎用トラフィック シェーピングはイネーブルで、CIR は 32 kbps です。この場合、Bc = 4000 ビット、Be = 4000 ビットです。
(注) トラフィックが CIR を上回ると、出力レートがその CIR で設定されている速度で維持されます(たとえば、CIR が 32 kbps に設定されている場合、トラフィックが 32 kbps を上回ることはありません)。
フレーム リレーの詳細については、Cisco IOS Release 12.0 の『 Wide-Area Networking Configuration Guide 』を参照してください。
新規インターフェイスを設定したあと、 show コマンドを使用して新規インターフェイスまたはすべてのインターフェイスのステータスを表示し、 ping コマンドを使用して接続状態を確認します。ここで説明する内容は、次のとおりです。
• 「show コマンドによる新規インターフェイスのステータス確認」
表4-4 に、 show コマンドを使用して、新規インターフェイスが適切に設定され、正常に動作しているかどうか、また出力に PA-VXA、PA-VXB、または PA-VXC ポート アダプタが適切に表示されているかどうかを確認する方法を示します。そのあとで、一部の show コマンドについて出力例を紹介します。コマンドの詳細および使用例については、「関連資料」 に記載されているマニュアルを参照してください。
ポート アダプタに関する情報が show コマンドの出力に示されない場合は、カード タイプが指定されていないことが原因と考えられます。
ポート アダプタは、E1 または T1 接続用に設定できるため、カード タイプを「基本的な設定」の手順に従って E1 または T1 として指定する必要があります。デフォルトのカード タイプはありません。カード タイプを設定するまで、ポート アダプタは機能しません。
(注) このマニュアルで紹介する出力例は、実際にコマンドを実行した場合に得られる出力とは異なる場合があります。このマニュアルに収録されている出力は一例です。
アップに設定したインターフェイスがシャットダウンされている場合、またはハードウェアが正しく動作していないというメッセージが表示された場合には、インターフェイスが正しく接続され、終端されているかどうかを確認してください。なお、インターフェイスをアップに設定できないときは、製品を購入した代理店に連絡してください。ここで説明する内容は、次のとおりです。またここでは、一部のプラットフォームに固有の出力例を示します。
• 「show version または show hardware コマンドの使用例」
使用しているシステムに該当する項目を選択してください。 show コマンドでの作業が終了したあとで、「loopback コマンドの使用例」 に進んでください。
show version (または show hardware )コマンドを使用すると、システム ハードウェアの設定、タイプ別の搭載インターフェイス数、Cisco IOS ソフトウェア バージョン、コンフィギュレーション ファイルの名前とソースおよびブート イメージが表示されます。
(注) このマニュアルで紹介する出力例は、実際にコマンドを実行した場合に得られる出力とは異なる場合があります。このマニュアルに収録されている出力は一例です。
次に、Cisco 7206VXR ルータから show version コマンドを実行した場合の例を示します。
次に、音声リソースとして PA-VXB-2TE1+ Port Adapter を搭載した Cisco 7401ASR ルータから、 show version コマンドを実行した場合の例を示します。
次に、Cisco 7500 シリーズ ルータから show version コマンドを実行した場合の例を示します。
システムに搭載されているポート アダプタのタイプ(および各アダプタの具体的な情報)を表示するには、 show diag slot コマンドを使用します。この場合 slot は、Cisco 7200 シリーズ、Cisco 7200 VXR、および Cisco 7401ASR ルータでは ポート アダプタ スロット 、Cisco 7500 シリーズ ルータではインターフェイス プロセッサ スロットです。
(注) このマニュアルで紹介する出力例は、実際にコマンドを実行した場合に得られる出力とは異なる場合があります。このマニュアルに収録されている出力は一例です。
次に、Cisco 7200 シリーズ ルータのポート アダプタ スロット 1 に搭載された PA-VXC-2TE1 に対する show diag slot コマンドの出力例を示します。
(注) Cisco 7200 VXR ルータでポート アダプタを動作させるには、正しいリビジョンの基本ハードウェアが必要です。ハードウェア リビジョンを表示するには、show diag コマンドを使用します。
次に、Cisco 7401ASR ルータのポート アダプタ スロット 1 に搭載された PA-VXB-2TE1+ Port Adapter に対する show diag slot コマンドの出力例を示します。
次に、Cisco 7500 シリーズ ルータのインターフェイス プロセッサ スロット 1 に搭載された PA-VXC-2TE1+ に対する show diag slot コマンドの出力例を示します。
show interfaces コマンドを使用すると、指定したインターフェイスのステータス情報(物理スロットおよびインターフェイス アドレスを含む)が表示されます。ここで紹介する例では、いずれも DSPfarm インターフェイスを指定しています。
ルータ インターフェイスで使用できるインターフェイス サブコマンドおよびコンフィギュレーション オプションの詳細については、「関連資料」 に記載されているマニュアルを参照してください。
(注) このマニュアルで紹介する出力例は、実際にコマンドを実行した場合に得られる出力とは異なる場合があります。このマニュアルに収録されている出力は一例です。
次に、Cisco 7200 シリーズ ルータでの show interfaces DSPfarm コマンドの出力例を示します。この例では、PA-VXC-2TE1 Port Adapter がポート アダプタ スロット 1 に搭載されています。
次に、Cisco 7401ASR ルータでの show interfaces DSPfarm コマンドの出力例を示します。この例では、PA-VXB-2TE1+ Port Adapter がポート アダプタ スロット 1 に搭載されています。
次に、Cisco 7500 シリーズ ルータでの show interfaces DSPfarm コマンドの出力例を示します。この例では、インターフェイス プロセッサ スロット 1 の VIP マザーボードのポート アダプタ スロット 0 に、PA-VXC-2TE1+ Port Adapter が搭載されています。
次の「loopback コマンドの使用例」 に進み、PA-VXB または PA-VXC とスイッチまたはルータがネットワークに接続できるかどうかを確認してください。
ループバック テストでは、PA-VXA、PA-VXB、または PA-VXC インターフェイスとリモート デバイス(モデムまたはCSU/DSU など)の間の接続をテストすることによって、デバイスの異常を検出し、問題個所を特定することができます。 loopback サブコマンドを使用して、インターフェイスをループバック モードにすると、 ping コマンドで生成されたテスト パケットがリモート デバイスまたはコンパクト シリアル ケーブルを経由して戻ってきます。パケットが完全に戻ってくれば、接続状態は良好です。パケットが戻ってこなければ、ループバック テストの経路内のリモート デバイスまたはコンパクト シリアル ケーブルに障害が発生していることがわかります。
ポートのモードによっては、 loopback コマンドで次のような経路を確認することができます。
• PA-VXB または PA-VXCインターフェイス ポートにコンパクト シリアル ケーブルが接続されていない場合、またはライン プロトコルがアップに設定されているポートに DCE ケーブルが接続されている場合、 loopback コマンドによって確認できるのは、NPE(ネットワーク処理エンジン)とインターフェイス ポート間の経路だけです(NPE およびポート アダプタを通過しない)。
• ポートに DTE ケーブルが接続されている場合は、 loopback コマンドによって、NPE と DSU またはモデム(NPE に近い側)の間の経路がテストされるので、 PA-VXB または PA-VXC インターフェイスとコンパクト シリアル ケーブルをテストすることができます。
loopback コマンドを使用して、T1 コントローラおよび T1 チャネルのループバックを指定します。診断(diagnostic)、ローカル(line および payload)、リモート(IBOC および ESF)という 3 つのメイン ループバック モードを使用できます。 loopback [diagnostic | local | remote ] コマンドを使用してループバック形式を指定してください。
(注) T1 コントローラをシャットダウンするには、コントローラ プロンプトにshutdown コマンドを入力します。
T1 コントローラ用の特定のループバック モードの例を示します。
• loopback diagnostic コマンドの構文は、次のとおりです。
[
diagnostic]
上記の例では、loopback diagnostic コマンドによって、送信信号が受信信号として戻り、ネットワークに AIS(アラーム表示信号)が送信されます。
• loopback local コマンドの構文は、次のとおりです。
[
local {
payload |
line}]
上記の例では、loopback local payload コマンドによって着信信号がラインにループバックします。
• loopback remote コマンドの構文は、次のとおりです。
最初のT1をリモート ライン インバンド ループバックに設定します。
loopback コマンドを使用して、E1 コントローラのループバックを指定します。診断(diagnostic)とローカル(lineおよびpayload)の2つのメイン ループバック モードを使用できます。
loopback [diagnostic | local ] コマンドを使用して、ループバック形式を指定してください。
(注) E1 コントローラをシャットダウンするには、コントローラ プロンプトにshutdown コマンドを入力します。
E1 コントローラ用の特定のループバック モードの例を示します。
• loopback diagnostic コマンドの構文は、次のとおりです。
[
diagnostic]
上記の例では、 loopback diagnostic コマンドによって、送信信号が受信信号として戻り、ネットワークに AIS が送信されます。
• loopback local コマンドの構文は、次のとおりです。
[
local {
payload |
line}]