DDAS
Cisco SAN のスイッチは、ファブリック規模単位で配信デバイス エイリアス サービス(デバイス エイリアス)をサポートします。
デバイス エイリアスについての情報
Cisco SAN のスイッチは、ファブリック規模単位で配信デバイス エイリアス サービス(デバイス エイリアス)をサポートします。
Cisco SAN スイッチで(ゾーン分割など)異なる機能を設定するためにデバイスのポート WWN(pWWN)が指定されている必要がある場合、設定を行うたびに適切なデバイス名を割り当てなければなりません。不適切なデバイス名は、予想外の結果を招くことがあります。pWWN にわかりやすい名前を定義し、必要とされるすべてのコンフィギュレーション コマンドでこの名前を使用すれば、こうした問題を回避できます。このようなわかりやすい名前をデバイス エイリアスと呼びます。
デバイス エイリアスの機能
デバイス エイリアスには、次のような特徴があります。
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デバイス エイリアス情報は、VSAN 設定とは無関係です。
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デバイス エイリアス設定および配布は、ゾーン サーバおよびゾーン サーバ データベースとは無関係です。
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デバイス エイリアス アプリケーションは Cisco Fabric Services(CFS)インフラストラクチャを使用して、効率的なデータベースの管理および配布を実現します。デバイス エイリアスは、協調型配布モードおよびファブリック規模の配布範囲を使用します。
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基本および拡張 モード。
-
ゾーンを設定するために使用されたデバイス エイリアスは、それぞれの pWWN と一緒に、show コマンド出力に自動的に表示されます。
デバイス エイリアスの前提条件
デバイス エイリアスには、次の要件があります。
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デバイス エイリアスを割り当てることができるのは pWWN だけです。
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pWWN とマッピングされるデバイス エイリアスは、1 対 1 の関係である必要があります。
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デバイス エイリアス名には、最大 64 文字の英数字を使用でき、次の文字を 1 つまたは複数加えることができます。
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a ~ z および A ~ Z
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デバイス エイリアス名は、先頭の文字が英数字である必要があります(a ~ z または A ~ Z)。
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1 ~ 9
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-(ハイフン)および _(下線)
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$(ドル記号)および ^(キャレット)記号
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デバイス エイリアス データベース
デバイス エイリアス機能は 2 つのデータベースを使用して、デバイス エイリアス設定を受け入れ、実装します。
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有効なデータベース:ファブリックが現在使用しているデータベース
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保留中のデータベース:保留中のデバイス エイリアス設定の変更は保留中のデータベースに保存されます。
デバイス エイリアス設定を変更する場合、変更している間はファブリックがロックされたままの状態なので、変更をコミットまたは廃棄する必要があります。
デバイス エイリアス データベースの変更は、アプリケーションによって検証されます。いずれかのアプリケーションがデバイス エイリアス データベースの変更を受け入れることができない場合、これらの変更は拒否されます。これは、コミットまたは結合の操作によって行われたデバイス エイリアス データベースの変更に適用されます。
デバイス エイリアスの作成
保留データベースにデバイス エイリアスを作成できます。
SUMMARY STEPS
- configure terminal
- device-alias database
- device-alias name device-name pwwn pwwn-id
- no device-alias name device-name
- device-alias rename old-device-name new-device-name
DETAILED STEPS
Command or Action | Purpose | |
---|---|---|
Step 1 |
configure terminal Example:
|
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
Step 2 |
device-alias database Example:
|
保留データベース コンフィギュレーション サブモードを開始します。 |
Step 3 |
device-alias name device-name pwwn pwwn-id Example:
|
pWWN によって識別されるデバイスのデバイス名を指定します。これが最初に入力されたデバイス エイリアス コンフィギュレーション コマンドであるため、保留データベースへの書き込みを開始し、同時にファブリックをロックします。 |
Step 4 |
no device-alias name device-name Example:
|
pWWN によって識別されるデバイスのデバイス名を削除します。 |
Step 5 |
device-alias rename old-device-name new-device-name Example:
|
既存のデバイス エイリアスを新しい名前に変更します。 |
例
次に、デバイス エイリアス設定を表示する例を示します。
switch# show device-alias name x
device-alias name x pwwn 21:01:00:e0:8b:2e:80:93
デバイス エイリアスのモード
基本モード(デフォルト モード)で動作する場合、デバイス エイリアスはすぐに pWWN に展開されます。基本モードで、デバイス エイリアスがたとえば新しい Host Bus Adapter(HBA)を指定するように変更された場合、その変更はゾーン サーバには反映されません。ユーザーは以前の HBA の pWWN を削除して新しい HBA の pWWN を追加し、ゾーンセットを再度アクティブ化する必要があります。
Note |
Cisco NX-OS Release 10 では、基本デバイス エイリアス モードと拡張デバイス エイリアス モードの両方がサポートされています。 1(1) 2(1)F。 |
拡張モードで動作する場合、アプリケーションはネイティブ形式でのデバイス エイリアス名を受け入れます。デバイス エイリアスを pWWN に展開する代わりに、デバイス エイリアス名が設定に保存され、ネイティブ デバイス エイリアス形式で配布されます。このため、ゾーン サーバーなどのアプリケーションは、自動的にデバイス エイリアス メンバーシップの変更を追跡し、それに応じて変更を実行します。拡張モードでの動作の主な利点は、変更の実施を 1 カ所で行えるということです。
デバイス エイリアス モードを変更すると、デバイス エイリアスの配布がイネーブルまたはオンの場合にだけ、変更がネットワーク内のほかのスイッチに配布されます。イネーブルまたはオン以外の場合、モード変更はローカル スイッチでだけ行われます。
Note |
拡張モードまたはネイティブ デバイス エイリアス ベースの設定は、interop モードの VSAN では受け入れられません。対応するゾーンにネイティブ デバイス エイリアス ベースのメンバがある場合、IVR ゾーンセットのアクティベーションは interop モードの VSAN で失敗します。 |
デバイス エイリアス サービスに対するデバイス エイリアスのモードの注意事項と制限事項
デバイス エイリアス サービス設定時の注意事項と制限事項は次のとおりです。
-
異なるデバイス エイリアス モードで稼働している 2 つのファブリックが結合されると、デバイス エイリアスの結合は失敗します。結合プロセス中、一方のモードまたは他方のモードに自動的に変換できません。このような状況では、どちらか一方のモードを選択する必要があります。
-
拡張モードから基本モードに変更する前に、最初にローカル スイッチとリモート スイッチの両方からすべてのネイティブ デバイス エイリアス ベースの設定を明示的に削除するか、またはすべてのデバイス エイリアス ベース設定のメンバを対応する pWWN に置き換える必要があります。
-
デバイス エイリアス データベースからデバイス エイリアスを削除すると、すべてのアプリケーションは対応するデバイス エイリアスの実行を自動的に中止します。対応するデバイス エイリアスがアクティブなゾーンセットの一部である場合、その pWWN を出入りするすべてのトラフックが中断されます。
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デバイス エイリアス名を変更すると、デバイス エイリアス データベース内のデバイス エイリアス名が変更されるだけでなく、すべてのアプリケーションの対応するデバイス エイリアス設定も置き換えられます。
-
デバイス エイリアス データベースに新しいデバイス エイリアスが追加され、そのデバイス エイリアスにアプリケーション設定が存在する場合、設定は自動的に有効になります。たとえば、対応するデバイス エイリアスがアクティブなゾーンセットの一部で、デバイスがオンラインの場合、ゾーン分割が自動的に実行されます。ゾーンセットを再度アクティブ化する必要はありません。
-
デバイス エイリアス名が新しい HBA の pWWN にマッピングされると、それに応じてアプリケーションの適用方法が変更されます。この場合、ゾーン サーバーは、新しい HBA の pWWN に基づいて自動的にゾーン分割を適用します。
デバイス エイリアス モードの設定
拡張モードで動作するデバイス エイリアスを設定できます。
SUMMARY STEPS
- configure terminal
- device-alias mode enhanced
- no device-alias mode enhance
DETAILED STEPS
Command or Action | Purpose | |
---|---|---|
Step 1 |
configure terminal Example:
|
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
Step 2 |
device-alias mode enhanced Example:
|
拡張モードで動作するデバイス エイリアスを割り当てます。 |
Step 3 |
no device-alias mode enhance Example:
|
基本モードで動作するデバイス エイリアスを割り当てます。 |
例
次に、現在のデバイス エイリアス モード設定を表示する例を示します。
switch# show device-alias status
Fabric Distribution: Enabled
Database:- Device Aliases 0 Mode: Basic
Locked By:- User "admin" SWWN 20:00:00:0d:ec:30:90:40
Pending Database:- Device Aliases 0 Mode: Basic
デバイス エイリアスの配布
デフォルトでは、デバイス エイリアスの配布はイネーブルになっています。デバイス エイリアス機能は CFS を使用して、ファブリック内のすべてのスイッチに変更内容を配布します。
デバイス エイリアスの配布がディセーブルの場合、データベースの変更内容はファブリック内のスイッチに配布されません。ファブリック内のすべてのスイッチで同じ変更を手動で行い、デバイス エイリアス データベースを最新の状態に維持する必要があります。すぐにデータベースの変更が行われるので、保留中のデータベースおよびコミットまたは中断の操作もありません。変更をコミットしていない状態で配布をディセーブルにすると、コミット作業は失敗します。
Note |
CFS はデフォルトでイネーブルです。ファブリックのすべてのデバイスでは CFS が有効になっている必要があります。そうでない場合、デバイスは配信を受け入れません。アプリケーションで CFS 配信が無効にされている場合、そのアプリケーションは構成を配信せず、またファブリック内の他のデバイスからの配信も受け入れません。CFS を有効にするには、cfs distribute コマンドを使用します。 |
次に、失敗したデバイス エイリアスのステータスを表示する例を示します。
switch# show device-alias status
Fabric Distribution: Disabled
Database:- Device Aliases 25
Status of the last CFS operation issued from this switch:
==========================================================
Operation: Commit
Status: Failed (Reason: Operation is not permitted as the fabric distribution is
currently disabled.)
ファブリックのロック
デバイス エイリアス設定作業を行うと(どのデバイス エイリアス作業かに関係なく)、ファブリックはデバイス エイリアス機能に対して自動的にロックされます。ファブリックがロックされると、次のような状況になります。
-
他のユーザーがこの機能の設定に変更を加えることができなくなります。
-
有効なデータベースのコピーが取得され、保留データベースとして使用されます。保留中のデータベースに対して、以降の変更が行われます。保留データベースへの変更をコミットするかまたは破棄(abort)するまで、保留データベースは使用されます。
変更のコミット
変更をコミットできます。
保留中のデータベースに行われた変更内容をコミットした場合、次のイベントが発生します。
-
有効なデータベースの内容が、保留中のデータベースの内容に上書きされます。
-
保留中のデータベースがファブリック内のスイッチに配布され、これらのスイッチの有効なデータベースが新しい変更内容に上書きされます。
-
保留中のデータベースの内容が空になります。
-
ファブリック ロックがこの機能に対して解除されます。
SUMMARY STEPS
- configure terminal
- device-alias commit
DETAILED STEPS
Command or Action | Purpose | |
---|---|---|
Step 1 |
configure terminal Example:
|
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
Step 2 |
device-alias commit Example:
|
現在アクティブなセッションに対する変更をコミットします。 |
変更の破棄
デバイス エイリアスのセッション変更を破棄できます。
保留中のデータベースで行われた変更内容を廃棄した場合、次のイベントが発生します。
-
有効なデータベースの内容は影響を受けません。
-
保留中のデータベースの内容が空になります。
-
ファブリック ロックがこの機能に対して解除されます。
SUMMARY STEPS
- configure terminal
- device-alias abort
DETAILED STEPS
Command or Action | Purpose | |
---|---|---|
Step 1 |
configure terminal Example:
|
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
Step 2 |
device-alias abort Example:
|
現在アクティブなセッションを廃棄します。 |
例
次に、破棄操作のステータスを表示する例を示します。
switch(config)# show device-alias status
Fabric Distribution: Enabled
Database:- Device Aliases 2 Mode: Basic
Checksum: 0x22a1d11a2762bdb3cae50f16a21a1e1
Locked By:- User "CLI/SNMPv3:admin" SWWN 20:00:00:de:fb:9d:0e:a0
Pending Database:- Device Aliases 3 Mode: Basic
次に、中断操作のステータスを表示する例を示します。
switch(config)# device-alias abort
switch(config)#
switch(config)# show device-alias session status
Last Action Time Stamp : Mon Nov 4 09:10:11 2019
Last Action : Abort
Last Action Result : Success
Last Action Failure Reason : none
switch(config)#
ファブリック ロックの上書き
ロック操作(クリア、コミット、中断)は、デバイス エイリアスの配布がイネーブルの場合にだけ使用できます。ユーザーがデバイス エイリアス作業を行ったが、変更のコミットや廃棄を行ってロックを解除するのを忘れていた場合、管理者はファブリック内の任意のスイッチからロックを解除できます。管理者がこの操作を行うと、ユーザーによる保留データベースの変更は廃棄され、ファブリックのロックは解除されます。
スイッチを再起動した場合、変更は volatile ディレクトリでだけ使用でき、また廃棄される場合もあります。
管理者の権限を使用して、ロックされたデバイス エイリアス セッションを解除するには、EXEC モードで clear device-alias session コマンドを使用します。
switch# clear device-alias session
次に、クリア操作のステータスを表示する例を示します。
switch# show device-alias status
Fabric Distribution: Enabled
Database:- Device Aliases 24
Status of the last CFS operation issued from this switch:
==========================================================
Operation: Clear Session<--------------------Lock released by administrator
Status: Success<-----------------------------Successful status of the operation
デバイス エイリアスの配布のディセーブル化とイネーブル化
デバイス エイリアスの配布をディセーブルまたはイネーブルに設定できます。
SUMMARY STEPS
- configure terminal
- no device-alias distribute
- device-alias distribute
DETAILED STEPS
Command or Action | Purpose | |
---|---|---|
Step 1 |
configure terminal Example:
|
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
Step 2 |
no device-alias distribute Example:
|
配布をディセーブルにします。 |
Step 3 |
device-alias distribute Example:
|
配布をイネーブルにします(デフォルト)。 |
例
次に、デバイス エイリアスの配布のステータスを表示する例を示します。
switch# show device-alias status
Fabric Distribution: Disabled
Database:- Device Aliases 3 Mode: Basic
Checksum: 0x284031ab5aade498a7e89cef1b04d7f
switch(config)#
次に、配布がディセーブルな場合のデバイス エイリアスの表示例を示します。
switch# show device-alias status
Fabric Distribution: Disabled
Database:- Device Aliases 3 Mode: Basic
Checksum: 0x284031ab5aade498a7e89cef1b04d7f
switch(config)#
デバイス エイリアス データベースの結合の注意事項
2 つのデバイス エイリアス データベースを結合する場合は、次の注意事項に従ってください。
-
名前が異なる 2 つのデバイス エイリアスが同一の pWWN にマッピングされていないことを確認します。
-
2 つの同一の pWWN が 2 つの異なるデバイス エイリアスにマッピングされていないことを確認します。
両方のデータベースのデバイス エントリの合計数がサポートされる設定制限値を超えた場合、結合は失敗します。
デバイス エイリアス構成の確認
デバイス エイリアス情報を表示するには、次のいずれかの作業を実行します。
コマンド | 目的 |
---|---|
show zoneset [active] | ゾーン セット情報のデバイス エイリアスを表示します。 |
show device-alias database [pending | pending-diffs] | デバイス エイリアス データベースを表示します。 |
show device-alias {pwwn pwwn-id | name device-name } [pending] | 指定された pWWN またはエイリアスのデバイス エイリアス情報を表示します。 |
show flogi database [pending] | FLOGI データベースのデバイス エイリアス情報を表示します。 |
show fcns database [pending] | FCNS データベースのデバイス エイリアス情報を表示します。 |
デバイス エイリアス サービスのデフォルト設定
次の表に、デバイス エイリアス パラメータのデフォルト設定を示します。
パラメータ |
デフォルト |
---|---|
デバイス エイリアスの配布 |
イネーブル |
デバイス エイリアスのモード |
基本(Basic): |
使用中のデータベース |
有効なデータベース |
変更を受け入れるデータベース |
保留中のデータベース |
デバイス エイリアス ファブリック ロックの状態 |
最初のデバイス エイリアス作業でロックされる |