リモート ループフリー代替による Fast Reroute(FRR リモート LFA)機能により、障害のあるリンクを含むパケットを、リモート ループフリー代替(数ホップ離れている)までトンネリングすることができます。
リンクやルータに障害が発生すると、分散ルーティング アルゴリズムによって障害を考慮した新しいルートが計算されます。計算のための時間をルーティングの遷移と呼びます。遷移が完了し、すべてのルータがネットワーク上の共通のビューで収束されるまで、送信元と宛先のペア間の接続は中断されます。事前計算済みの代替ネクスト
ホップを使用してルーティングの遷移時間を 50 ミリ秒より少なくするために、IP ループフリー代替(LFA)Fast Reroute(FRR)を使用できます。リンク障害の通知を受けると、ルータはトラフィック損失を減らすために、修復パスにすぐに切替えます。IGP/BGP
コンバージェンスにおけるルーティング遷移には、最大数百ミリ秒かかる場合があることに注意してください。
IP ループフリー代替(LFA)Fast Reroute(FRR)は、修復パスの事前計算をサポートしています。Intermediate System-to-Intermediate System(IS-IS)ルーティング プロトコルによって、修復パスの計算が可能になります。結果の修復パスはルーティング情報ベース(RIB)に送信されます。Cisco
Express Forwarding(旧 CEF)と Open Shortest Path First(OSPF)は、修復パスをインストールします。
IP ローカル LFA FRR では、IGP は直接接続されたネイバーのみを LFA バックアップ パスとして計算し、特定のプレフィックスのプライマリ パスを保護します。Label Distribution Protocol(LDP; ラベル配布プロトコル)は、保護されたプレフィックスのネクストホップを使用してラベル付けされたバックアップ
LSP を設定します。一部のトポロジ(一般に使用されるリングベースのトポロジなど)は、LFA FRR で提供できない保護を必要とします。そのような場合は、LDP ベースの FRR リモート LFA 機能を使用します。この機能では、IGP が非直接接続ネイバー(数ホップ離れている)を
LFA バックアップ パスとして計算し、特定のプレフィックスのプライマリ パスを保護します。LDP は、保護されたプレフィックスのリモート ネクストホップを使用してラベル付けされたバックアップ LSP を設定します。また、LDP は、リモート
ノードから学習した LFA バックアップ ラベルを公開することなく、トラフィックをリモート ネクストホップにトンネリングする別のトランスポート LSP を設定します。
下の図 のトポロジについて考えます。
図 1. リモート LFA による FRR とリング トポロジ
デバイス A は、F を宛先として B にネクストホップするトラフィックを送信しようと試みます。ノード C および F によってアドバタイズされているプレフィックスの LFA として、デバイス B を使用することはできません。ただし、ノード D
は、保護ノード A に直接接続されていません。C によりアドバタイズされるプレフィックスを保護するには、障害中のリンクをトンネルが通過しない条件で、ノード A は、障害中の A - C リンクを含むパケットをノード D までトンネリングする必要があります。
FRR リモート LFA 機能により、障害のあるリンクを含むパケットを、リモート ループフリー代替(数ホップ離れている)までトンネリングすることができます。上の図で、A と D の間の緑色の矢印は、リモート LFA 機能によりルーピングをバイパスするために自動的に生成されたトンネルを表しています。