データ モデル:範囲、ニーズ、および利点
スコープ
データ モデルを使用すると、ネットワーク内の異種デバイス間で設定タスクを自動化できます。
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設定データ:システムを初期のデフォルト状態から現在の状態に変えるために必要とされる、書き込み可能データのセットです。たとえば、IP ルーティング テーブルのエントリを設定したり、特定の値を使用するようにインターフェイス MTU を設定したり、イーサネット インターフェイスを特定の速度で実行するように設定したりできます。
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運用状態データ:実行時にシステムによって取得され、設定データと同様の方法でシステムの動作に影響を与えるデータのセットです。ただし、設定データとは対照的に、運用状態データは一時的なものです。データは、内部コンポーネントまたは特殊なプロトコルを使用する他のシステムとの相互作用によって変更されます。たとえば、OSPF のようなルーティング プロトコル、およびネットワーク インターフェイスの属性などから取得したエントリです。
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アクション:堅牢なネットワーク全体の設定トランザクションをサポートする NETCONF アクションのセットです。複数のデバイスに影響を与える変更が試行されると、NETCONF アクションによって障害シナリオの管理が簡略化されます。その結果、確実に成功するか、完全に失敗するトランザクションを利用できるようになります。
データ モデルでは、ルータの設定データと運用データが明確に定義された階層、および NETCONF アクションが提供されます。データ モデルは、ネットワーク全体に展開する設定の共通フレームワークを提供するようにプログラムされています。この共通フレームワークにより、ネットワークを簡単にプログラムおよび管理できます。
データ モデルの詳細については、RFC 6244 を参照してください。
必要性
通常、ネットワーク オペレーション センターには、ネットワークの複数のレイヤに多種多様なデバイスが存在しています。このようなネットワーク センターでは、設定が一括で自動化され、シームレスに実行される必要があります。
CLI は、ルータの動作の詳細を設定および抽出するために広く使用されています。ただし、CLI スクレイピングの一般的なメカニズムには柔軟性がなく、最適でもありません。設定を少し変更するには、スクリプトを複数回記述する必要があります。CLI を使用して設定を一括で変更すると、複雑になり、エラーが発生しやすくなります。このように自動化や拡張に対する制約があります。
このような制約を克服するために、Cisco IOS XR は、データ モデルを使用して任意のネットワーク デバイスにプログラムで設定を記述する方法をサポートしています。
データ モデルは、設定データの操作、運用データの取得、アクションの実行に役立ちます。データ モデルは、手動による設定のプロセスに代わるもので、業界で定義されている言語で記述されています。CLI を使用した設定のほうが簡単で判別しやすいですが、データ モデルを使用して設定を自動化すると拡張性が得られます。
データ モデルでは、ネットワーク設定プロトコル(NETCONF)または gRPC(google で定義されたリモート プロシージャ コール)プロトコルを使用してネットワーク内のデバイスの機能にアクセスできます。ルータ上の操作は YANG モデルを使用してプロトコルによって実行され、ネットワーク内の操作を自動化およびプログラムします。
ネットワーク内の設定を自動化するプロセスは、コア コンポーネント(ルータ、クライアント アプリケーション、YANG モデル、および通信プロトコル)を使用して実現されます。
利点
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設定データと運用状態データに共通するモデルを提供し、NETCONF アクションを実行します。
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プロトコルを使用してルータと通信し、ネットワーク内の設定を取得、操作、および削除します。
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ネットワーク全体の複数のルータの設定と操作を自動化します。