管理プレーン保護の実装
管理プレーン保護(MPP)機能では、ネットワーク管理パケットのデバイスへの着信を許可するインターフェイスを制限できます。ネットワーク オペレータは MPP 機能を使用して、1 つ以上のルータ インターフェイスを管理インターフェイスとして指定できます。
MPP 保護機能は、MPP 配下のすべての管理プロトコルと同様、デフォルトではディセーブルになっています。インターフェイスをアウトオブバンドまたはインバンドとして設定すると、MPP が自動的に有効になります。これにより、MPP 配下のすべてのプロトコルもイネーブルになります。MPP がディセーブルでプロトコルがアクティブな場合、トラフィックはすべてのインターフェイスを通過できます。
アクティブなプロトコルが存在する状態で MPP がイネーブルになると、管理トラフィックを許可するデフォルトの管理インターフェイスはルート プロセッサ(RP)およびスタンバイ ルート プロセッサ(SRP)のイーサネット インターフェイスのみになります。MPP をイネーブルにする他のすべてのインターフェイスについては、手動で管理インターフェイスとして設定する必要があります。
以後は、デフォルト管理インターフェイスと事前に MPP インターフェイスとして設定したインターフェイスのみがデバイス宛のネットワーク管理パケットを受け付けます。他のすべてのインターフェイスは、デバイス宛のネットワーク管理パケットをドロップします。論理インターフェイス(またはデータ プレーンに存在しない他のすべてのインターフェイス)は、入力物理インターフェイスに基づいてパケットをフィルタリングします。
(注) |
現在、デフォルトの VRF のみがサポートされています。マルチキャスト、VPNv4、VPNv6、および VPN ルーティングおよび転送(VRF)アドレス ファミリは、今後のリリースでサポートされる予定です。 |
管理プレーン保護の利点
MPP 機能を設定すると、次の利点があります。
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すべてのインターフェイスで管理プロトコルを許可することを超える、デバイスの管理目的でのアクセス制御。
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非管理インターフェイスでのデータ パケットのパフォーマンス向上。
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ネットワークの拡張性のサポート。
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インターフェイス単位のアクセス コントロール リスト(ACL)を使用することによる、デバイスへの管理アクセス制限の作業の簡易化。
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デバイスへのアクセスを制限するために必要な ACL 数の削減。
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スイッチング インターフェイスおよびルーティング インターフェイス上でパケット フラッディングの CPU への到達を防止。
管理プレーン保護の実装に関する制約事項
管理プレーン保護(MPP)の実装には次の制約事項があります。
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現在、MPP は拒否またはドロップされたプロトコル要求を追跡していません。
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MPP 設定では、プロトコル サービスをイネーブルにはできません。MPP はさまざまなインターフェイスでサービスを利用可能にする役割のみを果たします。プロトコルは明示的にイネーブル化されます。
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インバンド インターフェイスで受信する管理要求は、その場で必ずしも認知されるわけではありません。
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MPP 設定に加えた変更は、その変更よりも前に確立されているアクティブなセッションには影響を与えません。
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現在、MPP は、TFTP、Telnet、簡易ネットワーク管理プロトコル(SNMP)、セキュア シェル(SSH)、XML、Netconf などのプロトコルに対して着信する管理要求のみを制御します。
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MPP は MIB をサポートしていません。
インバンド インターフェイスの管理プレーン保護のデバイスの設定
インバンド管理インターフェイスは、データ転送パケットだけでなく管理パケットも処理する、物理インターフェイスまたは論理インターフェイスです。インバンド管理インターフェイスは、共有管理インターフェイスとも呼ばれています。ネットワークに追加した直後のデバイスや、ネットワークですでに動作しているデバイスを設定するには、この作業を実行します。この作業では、特定のインターフェイスを通じてのみ Telnet のルータへのアクセスが許可されるインバンド インターフェイスとして、MPP を設定する方法について説明します。
デフォルトでない VRF でインバンド MPP インターフェイスを設定するには、次の作業を追加で実行します。
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デフォルトでないインバンド VRF のインターフェイスを設定します。
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グローバル インバンド VRF を設定します。
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Telnet の場合は、インバンド VRF に対して Telnet VRF サーバを設定します。
手順
ステップ 1 |
configure |
ステップ 2 |
control-plane 例:
コントロール プレーン コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
management-plane 例:
管理プレーン保護を設定してプロトコルを許可および拒否し、管理プレーン保護コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 4 |
inband 例:
インバンド インターフェイスを設定し、管理プレーン保護インバンド コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 5 |
interface {type instance | all } 例:
特定のインバンド インターフェイスを設定するか、すべてのインバンド インターフェイスを設定します。管理プレーン保護インバンド インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始するには、interface コマンドを使用します。
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ステップ 6 |
allow {protocol | all } [peer ] 例:
指定されたプロトコルまたはすべてのプロトコルに対するインバンド インターフェイスとして、インターフェイスを設定します。
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ステップ 7 |
address ipv4 {peer-ip-address | peer ip-address/length} 例:
このインターフェイス上で管理トラフィックが許可されるピア IPv4 アドレスを設定します。
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ステップ 8 |
commit |
ステップ 9 |
show mgmt-plane [inband | ] [interface {type instance}] 例:
インターフェイスのタイプやインターフェイスでイネーブルにされるプロトコルなど、管理プレーンに関する情報を表示します。
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アウトオブバンド インターフェイスの管理プレーン保護のデバイスの設定
アウトオブバンドは、管理プロトコル トラフィックの転送または処理だけを許可するインターフェイスを意味します。アウトオブバンド管理インターフェイスは、ネットワーク管理トラフィックだけを受信するようネットワーク オペレータによって定義されます。転送(またはカスタマー)トラフィックの利点は、ルータの管理が妨害されないことであり、これにより、サービス拒否攻撃の可能性が大幅に低減します。
アウトオブバンド インターフェイスは、アウトオブバンド インターフェイス間のトラフィックのみを転送するか、ルータ宛の管理パケットを終端します。また、アウトオブバンド インターフェイスをダイナミック ルーティング プロトコルに加えることができます。サービス プロバイダーはルータのアウトオブバンド インターフェイスに接続し、ルータが提供可能なすべてのルーティング ツールおよびポリシー ツールを使用して、独立したオーバーレイ管理ネットワークを構築します。
アウトオブバンド MPP インターフェイスを設定するには、次の作業を実行します。
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アウトオブバンド VRF のインターフェイスを設定します。
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グローバル アウトオブバンド VRF を設定します。
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Telnet の場合は、アウトオブバンド VRF に対して Telnet VRF サーバを設定します。
手順
ステップ 1 |
configure |
ステップ 2 |
control-plane 例:
コントロール プレーン コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
management-plane 例:
管理プレーン保護を設定してプロトコルを許可および拒否し、管理プレーン保護コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 4 |
out-of-band 例:
帯域外インターフェイスまたはプロトコルを設定し、管理プレーン保護帯域外コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 5 |
vrf vrf-name 例:
帯域外インターフェイスのバーチャル プライベート ネットワーク(VPN)Routing and Forwarding(VRF; VPN ルーティングおよび転送)リファレンスを設定します。
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ステップ 6 |
interface {type instance | all } 例:
特定のアウトオブバンド インターフェイス、またはすべてのアウトオブバンド インターフェイスをアウトオブバンド インターフェイスとして設定します。管理プレーン保護アウトオブバンド コンフィギュレーション モードを開始するには、interface コマンドを使用します。
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ステップ 7 |
allow {protocol | all } [peer ] 例:
指定されたプロトコルまたはすべてのプロトコルに対するアウトオブバンド インターフェイスとして、インターフェイスを設定します。
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ステップ 8 |
address ipv6 {peer-ip-address | peer ip-address/length} 例:
このインターフェイス上で管理トラフィックが許可されるピア IPv6 アドレスを設定します。
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ステップ 9 |
commit |
ステップ 10 |
show mgmt-plane [inband | out-of-band ] [interface {type instance} | vrf ] 例:
インターフェイスのタイプやインターフェイスでイネーブルにされるプロトコルなど、管理プレーンに関する情報を表示します。
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例
次に、MMP 下での特定の IP アドレスに対するインバンドおよびアウトオブバンド インターフェイスを設定する例を示します。
configure
control-plane
management-plane
inband
interface all
allow SSH
!
interface HundredGigE 0/0/1/0
allow all
allow SSH
allow Telnet peer
address ipv4 10.1.0.0/16
!
!
interface HundredGigE 0/0/1/0
allow Telnet peer
address ipv4 10.1.0.0/16
!
!
!
out-of-band
vrf my_out_of_band
interface HundredGigE 0/0/1/0
allow TFTP peer
address ipv6 33::33
!
!
!
!
!
show mgmt-plane
Management Plane Protection
inband interfaces
----------------------
interface - HundredGigE0_0_1_0
ssh configured -
All peers allowed
telnet configured -
peer v4 allowed - 10.1.0.0/16
all configured -
All peers allowed
interface - HundredGigE0_0_1_0
telnet configured -
peer v4 allowed - 10.1.0.0/16
interface - all
all configured -
All peers allowed
outband interfaces
----------------------
interface - POS0_0_1_0
tftp configured -
peer v6 allowed - 33::33
show mgmt-plane out-of-band vrf
Management Plane Protection -
out-of-band VRF - my_out_of_band
管理プレーン保護の実装について
管理プレーン保護機能をイネーブルにする前に、次の概念について理解しておく必要があります。
インターフェイス上のピア フィルタリング
ピア フィルタリング オプションでは、特定のピアまたはピア範囲からの管理トラフィックの設定を許可します。
コントロール プレーン保護
コントロール プレーンは、ルート プロセッサ上のプロセス レベルで稼働するプロセスの集合であり、ほとんどの Cisco ソフトウェアの機能に高レベルの制御を提供します。直接的または間接的にルータを宛先とするすべてのトラフィックは、コントロール プレーンによって処理されます。管理プレーン保護はコントロール プレーン インフラストラクチャ内で動作します。
管理プレーン
管理プレーンは、ルーティング プラットフォームの管理に関連するすべてのトラフィックの論理的なパスです。層およびプレーンで構成される通信アーキテクチャの 3 つのプレーンの 1 つである管理プレーンは、ネットワークの管理機能を実行し、すべてのプレーン(管理、制御、およびデータ)間で機能を調整します。また、管理プレーンはネットワークとの接続を通じてデバイスの管理に使用されます。
管理プレーンで処理されるプロトコルの例は、簡易ネットワーク管理プロトコル(SNMP)、Telnet、SSH、XML および Netconf です。これらの管理プロトコルは、モニタリングやコマンドライン インターフェイス(CLI)のアクセスに使用されます。デバイスに対し、内部送信元(信頼ネットワーク)へのアクセスを制限することが重要です。