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このドキュメントは、米国シスコ発行ドキュメントの参考和訳です。リンク情報につきましては、日本語版掲載時点で、英語版にアップデートがあり、リンク先のページが移動/変更されている場合がありますことをご了承ください。あくまでも参考和訳となりますので、正式な内容については米国サイトのドキュメントを参照ください。
SAN Extension Tuner(SET; SAN 拡張チューナ)機能は、Cisco MDS 9000 ファミリ スイッチ固有の機能です。この機能は、直接アクセス(磁気ディスク)または順次アクセス(磁気テープ)SCSI I/O コマンドを生成し、トラフィックを特定の仮想ターゲットに転送することにより、FCIP パフォーマンスを最適化するのに役立ちます。テスト I/O 転送のサイズとテスト時に生成する同時またはシリアル I/O の数を指定できます。SET は 1 秒あたりの入出力数(IOPS)と入出力待ち時間を通知します。この情報は、FCIP スループットを最大化するために必要な並行入出力の数を決定するのに役立ちます。
(注) SAN 拡張チューナは、HP c-Class Bladesystem 用シスコ ファブリック スイッチ、IBM BladeCenter 用シスコ ファブリック スイッチ、および 16 ポート ストレージ サービス ノード(SSN-16)ではサポートされていません。
(注) Cisco MDS SAN-OS リリース 3.3(1a) 以降 SAN 拡張チューナはマルチサービス モジュール(MSM)およびマルチサービス モジュラ スイッチでサポートされています。
リモート コピーやデータ バックアップなどのアプリケーションは、IP ネットワーク上で FCIP を使用して、地理的に分散している SAN を接続します。ファブリック全体のスループットを最大化するために、次の設定パラメータを調整できます。
• FCIP プロファイル用の TCP パラメータ(「ウィンドウ 管理」 を参照)
• アプリケーションによって生成される同時 SCSI 入出力数
• アプリケーションが FCIP リンク上で使用する伝送サイズ
SET は、IPS ポートに実装されます。この機能がイネーブルの場合、設定されたオプションに基づいて仮想ターゲットに対して SCSI 入出力コマンド(読み取りおよび書き込み)が生成されます(図 3-1 を参照)。
図 3-1 仮想ターゲットに対する SCSI コマンドの生成
SET 機能を使用すると、さまざまな SCSI トラフィック負荷を生成して調整できます。また、FCIP リンクを経由した入出力ごとのスループットと応答時間も測定されます。
SAN ファブリックを調整する前に、次の注意事項に注意してください。
– 作成された仮想 N ポートが、ネーム サーバでサポートされる FC4 機能を登録しないこと。これは、SAN 内のホストがこれらの N ポートを通常のイニシエータやターゲットとして検出するのを避けるためです。
– SAN 内の他のイニシエータからのログイン要求が拒否されること。
– 仮想 N ポートが SCSI スイート全体を実装せず、SCSI 読み取り/書き込みコマンドだけを実装すること。
– チューナのイニシエータはチューナのターゲットとだけ通信できること。
• ギガビット イーサネット インターフェイスが物理レイヤ(GBIC および接続ケーブル、IP アドレスは不要)で動作していることを確認します。
• スイッチで iSCSI をイネーブルにします(その他の iSCSI 設定は不要)。
• インターフェイスをイネーブルにします(その他の iSCSI インターフェイス設定は不要)。
詳細については、「iSCSI インターフェイスの作成」 を参照してください。
• ネットワークでの必要性に応じて、個別の VSAN またはゾーンで仮想 N ポートを設定します。
• 仮想 N ポートだけを持つ個別の VSAN は必須ではありませんが、ターゲットへのログインが拒否された場合に従来の一部の HBA がログインできない可能性がある場合に推奨されます。
• 同じギガビット イーサネット インターフェイスを使用して仮想 N ポートと FCIP リンクを設定しないでください(別のギガビット イーサネット インターフェイスを使用してください)。これは必須ではありませんが、仮想 N ポートによって生成されるトラフィックが FCIP リンクのパフォーマンスを妨げる可能性がある場合に推奨されます。
図 3-2 は、スループットと遅延が測定される FCIP リンクに属さないポート上で作成された仮想 N ポートの物理構成例です。
図 3-3 は、スループットと遅延が測定される FCIP リンクに属さないポート上で作成された仮想 N ポートの論理構成例です。
図 3-3 FCIP リンクの N ポート チューニングの論理構成例
デフォルトでは、仮想 N ポートによって生成されたデータのパターンとして、すべてゼロ パターンが使用されます。オプションで、3 つの位置の 1 つからデータ パターン ファイルを選択して、データ パターンを生成するファイルを指定できます(bootflash: ディレクトリ、volatile: ディレクトリ、または slot0: ディレクトリ)。このオプションは、特に Fibre Channel over IP(FCIP)リンクで圧縮をテストするときに役立ちます。また、ベンチマークを目的として、Canterbury コーパス ファイルまたは人工的コーパス ファイルも使用できます。
SET を使用するには、SAN_EXTN_OVER_IP ライセンスが必要です(『Cisco MDS 9000 Family NX-OS Licensing Guide』を参照)。
所定の FCIP リンクをチューニングする手順は、次の手順を実行します。
ステップ 1 スイッチ上で仮想 N ポートの nWWN を設定します。
ステップ 2 N ポートを作成するインターフェイスで、iSCSI をイネーブルにします。
ステップ 3 FCIP リンクの各端で仮想 N ポートを設定します。
ステップ 4 仮想 N ポートが SAN 内の実際のイニシエータから参照できないようにします。実際のイニシエータを分離するには、ゾーン分割(『Cisco Fabric Manager Fabric Configuration Guide』を参照)を使用します。仮想 N ポートが相互に通信できるように、ゾーニング構成が設定されていることを確認します。
ステップ 5 SCSI の読み取りおよび書き込み入出力を開始します。
ステップ 6 スイッチ内の他のギガビット イーサネット ポートに N ポートを(必要に応じて)追加し、スループットを最大化します。たとえば、FCIP PortChannel を使用する場合に追加 N ポートが必要になる可能性があります。
SAN 拡張チューナ ウィザードを使用して、次の作業を行います。
• SCSI read および write CLI コマンドの割り当て
• SCSI tape read および write CLI コマンドの割り当て
Fabirc Manager の SAN 拡張チューナ ウィザードを使用して所定の FCIP リンクを調整するには、次の手順を実行します。
ステップ 1 [Fabric] ペインで有効な FCIP リンクを右クリックし、ドロップダウン リストから [SAN Extension Tuner] を選択します。リンクを強調表示して、[Tools] > [Other] > [SAN Extension Tuner] を選択することもできます。
[Select Ethernet Port Pair] ダイアログボックスが表示されます(図 3-4 を参照)。
図 3-4 [Select Ethernet Port Pair] ダイアログボックス
ステップ 2 調整予定の FCIP リンクに対応するイーサネット ポート ペアを選択し、[Next] をクリックします。
[Specify Parameters] ダイアログボックスが表示されます(図 3-5 を参照)。
ステップ 3 新しいゾーンを作成してアクティブにし、ゾーン作成ダイアログボックスで [Yes] をクリックすることによって、SAN 内の実発信側に仮想 N ポートが認識されないようにします。
図 3-5 [Specify Parameters] ダイアログボックス
ステップ 4 (任意)転送データ サイズおよび並行 SCSI read/write コマンドの数について、デフォルトの設定を変更します。
a. [Transfer Size] を FCIP リンク上でアプリケーションが使用すると予想されるバイト数に設定します。
b. [Read I/O] を FCIP リンク上でアプリケーションが生成すると予想される並行 SCSI read コマンドの数にします。
c. [Write I/O] を FCIP リンク上でアプリケーションが生成すると予想される並行未処理 SCSI write コマンドの数に設定します。
(注) テープ動作をエミュレーションする仮想 N ポートに対しては、未処理の入出力は一時点で 1 つだけです。
d. [Use Pattern File] チェックボックスをオンにして、SET に生成させるデータ パターンを設定する目的で使用するファイルを選択します。「データ パターン」を参照してください。
[Results] ダイアログボックスが表示されます(図 3-6 を参照)。
ステップ 6 [Start] をクリックしてチューナを起動します。[Stop] をクリックするまで、チューナはトラフィックの連続ストリームを送信します。
ステップ 7 [Show] をクリックして、最新の調整統計情報を表示します。これは、チューナの動作中でも、停止後でも選択できます。
ステップ 8 [Stop] をクリックして、SET を停止します。
表 3-1 に、調整パラメータのデフォルト設定を示します。
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