Cisco ASR 9000 シリーズ ルータでのリンク バンドルのモジュラ QoS の設定
リンク バンドルは、1 つ以上のポート グループを集約し、1 つのリンクとして扱うようにしたものです。このモジュールでは、リンク バンドルの QoS について説明します。
ラインカード、SIP および SPA のサポート
Cisco ASR 9000 シリーズ ルータでのリンク バンドルの QoS の設定の機能履歴
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リリース 3.9.0 |
リンク バンドルの QoS 機能が、ASR 9000 イーサネット ラインカードに導入されました。 |
リンク バンドルの概要
リンク バンドル機能は、複数のポイント ツー ポイント リンクを 1 つの論理リンクにグループ化して、2 台のルータ間での双方向帯域幅、冗長性、ロード バランシング機能を高めることができます。仮想インターフェイスは、バンドル リンクに割り当てられます。コンポーネント リンクは仮想インターフェイスに動的に追加および削除できます。
仮想インターフェイスは、リンク バンドルで使用する IP アドレスや他のソフトウェア機能を設定できる 1 つのインターフェイスとして扱われます。リンク バンドルに送信されるパケットは、バンドル リンク内の 1 つのリンクに転送されます。
リンク バンドルは、1 つに束ねられたポートのグループであり、1 つのリンクとして振る舞います。リンク バンドルには次のような利点があります。
• 複数のリンクが複数のラインカードにまたがり、1 つのインターフェイスを形成します。そのため、単一のリンクで障害が発生しても接続性は失われません。
• バンドルされたインターフェイスでは、バンドルの使用可能なすべてのメンバにわたってトラフィックが転送されるため、帯域幅の可用性が向上します。したがって、バンドル内のリンクの 1 つで障害が発生した場合でも、トラフィックは使用可能なリンクを通ることができます。帯域幅はパケット フローを中断することなく追加できます。
1 つのバンドル内の個々のリンクは、すべて同じタイプと同じ速度でなければなりません。
Cisco IOS XR ソフトウェアでは、イーサネット インターフェイスのバンドルを形成するために次の方法をサポートしています。
• IEEE 802.3ad:バンドル内のすべてのメンバー リンクの互換性を確保するため、Link Aggregation Control Protocol(LACP)を採用した標準テクノロジー。互換性がないリンクや障害になったリンクは、バンドルから自動的に削除されます。
• EtherChannel:ユーザがリンクを設定してバンドルに参加させることができるシスコの専用テクノロジー。バンドル内のリンクに互換性があるかどうかを確認するための仕組みはありません。
ロード バランシング
ロード バランシングは、バンドル内のすべてのリンクでサポートされています。ロード バランシング機能は、ルータのレイヤ 3 ルーティング情報に基づいて、複数のリンクにトラフィックを分散する転送メカニズムです。次の 2 種類のロード バランシング方式があります。
• 宛先別ロード バランシング
• パケット単位のロード バランシング
トラフィック ストリームがルータに着信すると、パケット単位のロード バランシングによって、トラフィックが均等に複数の等コスト リンク間に分散されます。パケット単位の方式では、個々の送信元/宛先ホストに関係なく、ラウンド ロビン技法に基づいてルーティングの決定を行います。
宛先別ロード バランシングだけがサポートされています。
宛先別ロード バランシングでは、ルータがバンドル リンクの 1 つにパケットを分散して、ロード シェアリングを行います。この方法では、送信元/宛先アドレスとユーザ セッションに基づくハッシュ計算を利用します。
宛先別ロード バランシングがイネーブルの場合、使用可能なリンクが複数ある場合でも、特定の送信元/宛先のペア間のすべてのパケットが同じリンクを通過します。つまり、宛先別ロード バランシングでは特定の送信元/宛先のペアに対するパケットが順々に着信するようになります。
リンク バンドルのレイヤ 3 ロード バランシング
デフォルトで、レイヤ 2 リンク バンドルのロード バランシングは、パケット ヘッダーの MAC SA/DA フィールドに基づいて行われます。リンク バンドルのレイヤ 3 ロード バランシングは、イーサネット フロー ポイント(EFP)に基づいて実行され、パケットの IPv4 送信元アドレスおよび宛先アドレスに基づきます。レイヤ 3 サービス固有のロード バランシングが設定されている場合、すべての出力バンドルは IPv4 送信元アドレスおよび宛先アドレスに基づいてロード バランシングされます。パケットに IPv4 アドレスがない場合、デフォルトのロード バランシングが使用されます。
リンク バンドルに対するレイヤ 3 ロード バランシングは、次のコマンドを使用して、グローバルにイネーブルになります。
hw-module load-balance bundle l2-service l3-params
QoS およびリンク バンドル
物理インターフェイスおよびサブインターフェイスで現在サポートされているすべての Quality of Service(QoS)機能は、すべてのリンク バンドル インターフェイスおよびサブインターフェイスでサポートされています。QoS は、個々のインターフェイスに設定する方法と同じ方法でリンク バンドルに設定します。ただし、次の点に注意してください。
• QoS ポリシーがバンドルに適用される場合(入力または出力方向)、ポリシーはそれぞれのメンバー インターフェイスに適用されます。ポリシー マップ内のキューおよびポリサー(入力または出力方向)は、各バンドル メンバーに複製されます。
• QoS ポリシーがバンドル インターフェイスまたはバンドル VLAN に適用されない場合、入力および出力トラフィックはどちらもリンク メンバーごとのポートのデフォルト キューを使用します。
• リンク バンドル メンバーは、複数のネットワーク処理装置やラインカードで表すことができます。バンドル ポリシーマップで指定されたシェーピング レートは、すべてのバンドル メンバーを集約したものではありません。バンドルに適用されたシェーピング レートは、リンクのロード バランシングによって異なります。たとえば 10 Mbps のシェーピング レートのポリシー マップが 2 つのメンバー リンクを持つバンドルに適用され、トラフィックが常に同じメンバ リンクにロード バランシングされると、全体で 10 Mbps のレートがバンドルに適用されます。ただし、トラフィックが 2 つのリンクの間で均等にロード バランシングされている場合、バンドルの全体的なシェーピング レートは 20 Mbps になります。
例 1 では、トラフィック ポリシーが入力方向においてどのようにイーサネット リンク バンドルに適用されるかを示しています。ポリシーは、イーサネット リンク バンドルのメンバーであるすべてのインターフェイスに適用されます。
例 1 イーサネット リンク バンドルへのトラフィック ポリシーの適用
interface Bundle-Ether bundle-id
service-policy input policy-1
その他の関連資料
ここでは、リンク バンドルの QoS の設定に関する関連資料について説明します。
関連資料
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初期システム起動と設定 |
『Cisco ASR 9000 Series Aggregation Services Router Getting Started Guide』 |
リンク バンドル |
『 Cisco ASR 9000 Series Aggregation Services Router Interface and Hardware Component Configuration Guide 』の「Configuring Link Bundling on the Cisco ASR 9000 Series Router」モジュール |
マスター コマンド リファレンス |
『Cisco ASR 9000 Series Aggregation Services Router Master Command Listing』 |
QoS コマンド |
『Cisco ASR 9000 Series Aggregation Services Router Modular Quality of Service Command Reference』 |
ユーザ グループとタスク ID |
『Cisco ASR 9000 Series Aggregation Services Router System Security Configuration Guide』の「Configuring AAA Services on Cisco ASR 9000 Series Router」モジュール |
標準
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この機能でサポートされる新規の標準または変更された標準はありません。また、既存の標準のサポートは変更されていません。 |
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RFC
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この機能によりサポートされた新規 RFC または改訂 RFC はありません。またこの機能による既存 RFC のサポートに変更はありません。 |
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シスコのテクニカル サポート
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