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この章では、Cisco XR 12416 ルータの概要を紹介します。ルータのハードウェアおよび主要コンポーネントの形状とともに、ハードウェア関連機能の動作について説明します。
Cisco XR 12416 ルータ シャーシは、ルータ コンポーネントを収容するシートメタルのラックです。主要コンポーネントは 3 台の電源モジュール、上部/下部のラインカード ケージ、Switch Fabric Card(SFC; スイッチ ファブリック カード)ケージ、および上部/下部ブロワー モジュールです。電力はシャーシ バックプレーンを介して各コンポーネントに配電されます。
すべてのルータ モジュールには、次に示す主要コンポーネントが含まれています(図 1-1)。
• 電源シェルフおよび電源モジュール ― 3 台の AC または DC Power Entry Modules(PEM; 電源入力モジュール)がルータに電力を供給します。詳細については、「AC および DC 電源サブシステム」を参照してください。
• 上部ブロワー モジュール ― ルータの上半分に冷気を供給して、過熱を防止します。詳細については、「ブロワー モジュール」を参照してください。
• 上部および下部ケーブル管理ブラケット ― ラインカード ケーブルを整然と配線するために使用します。詳細については、「上部および下部のケーブル管理ブラケット」を参照してください。
• 上部ラインカードおよび Route Processor(RP; ルート プロセッサ)カード ケージ ― ラインカード、RP、およびアラーム カードを組み合わせて搭載できるユーザ設定可能なスロットが 8 つ装備されています。詳細については、「アラーム カードおよびラインカードの概要」を参照してください。
• SFC ケージ ― エアー フィルタ ドアの背後にあります。このカード ケージには、SFC セットを搭載するためのスロットが 5 つ装備されています。SFC セットは 3 枚の SFC、および 2 枚の Clock Scheduler Card(CSC; クロック スケジューラ カード)で構成されています。詳細については、「スイッチ ファブリックの概要」を参照してください。
• 下部ラインカードおよび RP カード ケージ ― ラインカード、冗長 RP、およびアラーム カードを組み合わせて搭載できるユーザ設定可能な 8 つのスロットが装備されています。詳細については、「アラーム カードおよびラインカードの概要」を参照してください。
• 下部ブロワー モジュール ― ルータの下半分に冷気を供給して、過熱を防止します。詳細については、「ブロワー モジュール」を参照してください。
• シャーシ バックプレーン(図に示されていない) ― カード ケージおよびブロワー モジュールに配電します。
図 1-1 Cisco XR 12016 ルータのコンポーネント ― 正面図
ルータには、出荷時に AC 電源システムまたは DC 電源システムが付属しています。電源はシャーシ背面の電源シェルフに接続され、そこから電源モジュールに電力が送られます。この電源シェルフは、PEM ともいいます。
標準の AC 入力電源サブシステムは、3 台の AC 電源を搭載した 1 段型 AC 入力電源シェルフで構成されています。これによって、ルータに完全な冗長電力が供給されます。
電源モジュールは N+1 冗長の電流共有方式に関与し、3 台の電源モジュール全部で電流共有機能が分担されます。1 台の電源モジュールが故障しても、システムは(システム構成に応じて)一時的に残り 2 台の電源モジュールで動作を継続できます。完全冗長構成を確実にするため、故障した電源モジュールは、できるだけ速やかに交換する必要があります。
ルータに供給される AC 電力は、AC コンセントに接続された電源コードを経由して、電源シェルフ背面のコネクタに送られます(図 1-3 を参照)。
オプションの電源サブシステムは、4 台の AC 入力電源モジュールを搭載するためのベイを備えた、2 段型 AC 入力電源シェルフで構成されています。図 1-4 に、オプションの電源シェルフを示します。電源シェルフはルータ シャーシ上部に取り付けられ、標準の AC 入力電源シェルフと同じ方法でシャーシに固定されます。
(注) オプションの AC 入力電源サブシステムを装備したルータは、高さが 77.5 インチ(196.85 cm)あり、標準の 7 フィート(2.1 m)ラックに適合しません。
オプションの電源シェルフ内の 4 台の電源モジュールは N+2 冗長の電流共有方式に関与し、4 台の電源モジュール全部で電流共有機能が分担されます。最大 2 台の電源モジュールが故障しても、システムは(システム構成に応じて)一時的に残り 2 台の電源モジュールで動作を続行できます。完全冗長構成を確実にするため、故障した電源モジュールは、できるだけ速やかに交換する必要があります。
ルータに供給される AC 電力は、AC コンセントに接続された電源コードを経由して電源シェルフ背面のコネクタに送られます(図 1-5 を参照)。
各 AC PEM は 200 ~ 240 VAC を -48 VDC に変換し、シャーシ バックプレーンを介してすべてのカード、RP、およびブロワー モジュールに配電します。
図 1-6 に、2500 W の AC 電源のコンポーネントを示します。
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AC PEM のステータス LED は、電源モジュールの現在の動作ステータスに関する情報を示します。
• PWR OK(グリーン) ― 電源モジュールは正常に動作しています。
• FAULT(イエロー) ― PEM に障害が検出されています。
• TEMP(イエロー) ― PEM が過熱状態になって、シャットダウンが発生しました。
• ILMI(イエロー) ― PEM が電流制限状態で動作しています。
AC PEM のトラブルシューティングの詳細については、「AC 電源のトラブルシューティング」を参照してください。
DC 入力電源サブシステムは、4 台の DC PEM を搭載してルータに完全冗長電力を供給する、DC 入力電源シェルフで構成されています。図 1-7 に、DC 入力電源シェルフを示します。
シャーシは PEM によって電気的に分割されます。これらの区画はパワー ゾーンとよばれ、次のようにラベルが貼付されています。
• 上部カード ケージに電力を供給する 2 台の PEM(ゾーン 1)
• 下部カード ケージに電力を供給する 2 台の PEM(ゾーン 2)
各ゾーンは、1 つのブロワー、1 枚のアラーム カード、ラインカード、および RP カードに電力を供給します。
ゾーン 2 はすべての SFC にも電力を供給します。したがって、ゾーン 2 のラインカードでは使用できる電力が小さくなり、下部ケージに搭載できる高電力のラインカードの数が制限されます。
• モジュール A1 および B1 がシステム負荷ゾーン 1(上部ブロワー モジュールおよび上部カード ケージ)に対する冗長電源を提供します。
• モジュール A2 および B2 は、システム負荷ゾーン 2(SFC ケージ、下部カード ケージ、および下部ブロワー モジュール)に対する冗長電源を提供します。
(注) DC PEM は Online Insertion and Removal(OIR; 活性挿抜)をサポートします。つまり、システムに電源を入れたまま、各負荷ゾーン(A1 または B1、A2 または B2)内の PEM を 1 台取り外して、交換することができます。
ルータに供給される DC 電力は、DC 入力電源シェルフ背面のネジ式の端子スタッドに接続された DC 電源から、ケーブルを介して送られます(図 1-8 を参照)。
各 DC PEM は、公称 DC 電源電圧 -48 ~ -60 VDC で稼働し、専用の 60 A 供給電源を必要とします。
図 1-9 に、2400 W の DC 電源のコンポーネントを示します。
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DC PEM のステータス LEDは、電源モジュールの現在の動作ステータスに関する情報を示します。
• PWR OK(グリーン) ― 電源モジュールは正常に動作しています。
• FAULT(イエロー) ― PEM に障害が検出されています。
• TEMP(イエロー) ― PEM が過熱状態になって、シャットダウンが発生しました。
DC PEM のトラブルシューティングの詳細については、「DC 電源のトラブルシューティング」を参照してください。
シャーシには 3 つの内蔵カード ケージがあります。上部カード ケージ、下部カード ケージ、および SFC ケージです(図 1-1 を参照)。
上部カード ケージには、ユーザ側で構成可能な 8 つのスロットがあります。これらのスロットには、ラインカード、アラーム カード、および RP の組み合わせを搭載できます。
• アラーム ― 左端 のスロットは、アラーム カード専用です。
下部カード ケージにも、追加ラインカード、アラーム カード、およびオプションの冗長 RP を搭載できる、ユーザ側で構成可能な 8 つのスロットがあります。
(注) 下部カード ケージは、上部カード ケージを反転した形状になっています。つまり、カードを搭載する向きが上下逆になります。スロットの向きも、上部カード ケージと逆です。
• スロット 8 ― 左端 のスロットは、オプションの冗長 RP 専用です。
(注) 冗長 RP を使用しない場合は、このスロットをラインカードに使用できます。
ルータは、SFC ケージの 8 つのスロットのうちの 5 つに、CSC × 2 および SFC × 3 を搭載した状態で出荷されます。
• 2 枚の CSC はスロット 0(CSC0)またはスロット 1(CSC1)に搭載されます。
• 3 枚の SFC はスロット 2(SFC0)、スロット 3(SFC1)、およびスロット 4(SFC2)に搭載されます。
• バックプレーン コネクタを装備していない、非現用スロットが 3 つあります。これらの非現用スロットにはラベルがありませんが、シャーシ内のエアー フローを適切に維持するためのブランク フィラー パネルが左端スロットに取り付けられています。
スイッチ ファブリックは、ラインカードと RP 間を同期ギガビット速度で接続します。SFC ケージはエアー フィルタ ドアの背後にあり、2 枚の CSC および 3 枚の SFC で構成されています。1 枚の CSC および 3 枚の SFC がアクティブ スイッチ ファブリックです。もう 1 枚の CSC は他の 4 枚のカードに冗長性を提供します。
(注) 10 Gbps のスイッチ ファブリックは、Cisco 12000 シリーズ ルータの一部の旧モデルと異なり、1/4 帯域幅モードでは動作しません。システムを機能させるには、少なくとも 1 枚の CSC および 3 枚の SFC が必要です。CSC を追加して、冗長構成にすることができます。
それぞれの SFC または CSC は、システム内の各ラインカードに 10 Gbps 全二重で接続します。たとえば、2 × 10 Gbps の容量(全二重)を持つ 16 枚のラインカードを搭載した Cisco XR 12416 ルータ の場合、システム スイッチング帯域幅は 16 × 20 Gbps = 320 Gbps です。
(注) Cisco XR 12416 ルータは OIR 対応なので、ルータの電源を入れたままカードの取り外し/取り付けを行うことができます。
ルータの中枢部である、クロスバー スイッチ ファブリックは、ラインカードおよび RP を同期接続します。スイッチ ファブリックは、SFC ケージに搭載された CSC × 2 および SFC × 3 で構成されます。1 枚の CSC および 3 枚の SFC がアクティブ スイッチ ファブリックです。もう 1 枚の CSC は他の 4 枚のカードに冗長性を提供します。
ルータは、SFC ケージの左端(非現用)スロットにブランク SFC を取り付けた状態で出荷されます。ブランク フィラー パネルは、SFC ケージ内でのエアー フローを調整し、シャーシ内で適切なエアー フローを維持する役割を果たします。
• スケジューラ ― スイッチ ファブリックにアクセスするためにラインカードから送信されるスケジューリング要求をすべて処理します。
• システム クロック ― すべての SFC、ラインカード、および RP に同期信号を提供します。システム クロックはラインカード間、またはスイッチ ファブリックを介したラインカードと RP 間のデータ転送を同期化します。
• スイッチ ファブリック ― ラインカード間または RPと ラインカード間でユーザ トラフィックを伝送します。CSC のスイッチ ファブリックは、SFC のスイッチ ファブリックと同じです。
セカンダリ CSC は、データ パス、スケジューラ、および基準クロックの冗長性を提供します。ラインカードとスイッチ ファブリック間のトラフィックは、常に監視されています。システムが Loss of Synchronization(LOS; 同期損失)を検出すると、自動的に冗長 CSC のデータ パスがアクティブになるので、データは冗長パスを流れるようになります。冗長 CSC へのスイッチングに要する時間は、1 秒未満(実際のスイッチング時間は構成および規模によって異なる)です。
SFC を搭載すると、ルータのトラフィック容量が増加します。SFC には、ラインカード間または RP とラインカード間でユーザ トラフィックのみを伝送できるスイッチ ファブリック回路が組み込まれています。SFC は CSC からスケジューリング情報およびシステム クロック信号をすべて受け取ります。
ここでは、ルータに搭載するアラーム カード、ラインカード、および各タイプの RP に関する一般情報を示します。
(注) Cisco XR 12416 ルータは OIR 対応なので、ルータの電源を入れたままカードの取り外し/取り付けを行うことができます。
• 1 枚のアラーム カードは、上部カード ケージの左端にある専用のスロットに搭載されています。
• もう 1 枚のアラーム カードは、下部カード ケージの右端にある専用のスロットに搭載されています。
アラーム カード スロットは、「アラーム」カード スロットであることを示すラベルが付いている、他のスロットより幅が狭い、およびバックプレーン コネクタが異なるという点で、他のカード ケージ スロットと異なります。
• ルータ コンポーネントの MBus モジュールに +5 VDC を供給します(AC および DC 電源サブシステム を参照)。
• MBus 経由でシステムが検出したアラーム重大度(CRITICAL、MAJOR、および MINOR)を表示します。
• アラーム カード、CSC、および SFC のステータスを表示します。
アラーム カードの前面パネルには、次のコンポーネントおよび LED があります(図 1-10 を参照)。
• システム レベルのアラーム条件を示す CRITICAL、MAJOR、および MINOR の LED
• 外部アラームとのケーブル接続(ALARM というラベル)
–ENABLED(グリーン) ― アラーム カードは動作中で、正常に機能しています。
–FAIL(イエロー) ― このスロット内のアラーム カードは故障しています。
• SFC ケージ(2 枚の CSC および 3 枚の SFC)内の 5 つのカード スロットにそれぞれ対応したステータス LED のペア
–ENABLED(グリーン)
点灯 ― このスロット内のカードは動作中で、正常に機能しています。
消灯 ― いずれかのスロットが空であるか、またはこのスロット内のカードが故障しています。
–FAIL(イエロー) ― このスロット内のカードは故障しています。
図 1-10 アラーム カードのコンポーネントおよび LED
ルータの上部および下部ラインカード ケージに最大 15 枚の Cisco XR 12416 ルータ ラインカードを搭載して、さまざまな物理ネットワーク メディアをサポートできます。ラインカード前面パネルのポートおよびコネクタは、外部接続用のインターフェイスを提供します。ラインカードは RP と通信し、SFC を通じて相互にパケット データを交換します。
各ラインカードの前面パネルにあるケーブル管理ブラケットは、ラインカードに接続されたインターフェイス ケーブルをまとめる場合に便利です。
Cisco XR 12416 ルータでは、次のラインカード、SIP、および SPA がサポートされています。
(注) サポート対象ラインカードの最新リストについては、最新のソフトウェア リリース ノートを参照してください( マニュアルの入手方法、テクニカル サポート、およびセキュリティ ガイドラインを参照)。
Cisco XR 12416 ルータの RP は、Performance Route Processor(PRP-2)です。PRP-2 の詳細については、シスコのマニュアル『 Performance Route Processor Installation and Configuration Guide 』を参照してください。
• 電源投入時に、オペレーティング システムのソフトウェア イメージを、すべての搭載済みラインカードにアップロードします。
• ルータ設定およびメンテナンス用のアウトオブバンド システム コンソール ポートと補助ポート、およびイーサネット ポートを提供します。
• ラインカード、電源モジュール、ファンなどのシステム コンポーネントの電力や温度を監視して、管理します。
Cisco PRP-2 を搭載すると、これらのすべての機能が提供され、パフォーマンスおよび性能が拡張されます。また、(稼働中のソフトウェア バージョンに応じて)次に示す機能も拡張されます。
• 1 GB コンパクト イメージ フラッシュ メモリのサポート(オプション)
PRP-2 はスイッチ ファブリックを介して、または MBus を通じてラインカードと通信します。スイッチ ファブリック接続はルーティング テーブル配信、およびラインカードと PRP-2 間で送信されるパケットのメイン データ パスです。MBus 接続を使用すると、PRP-2 はシステム ブートストラップ イメージをダウンロードし、診断情報を収集またはロードして、一般的な内部システム メンテナンス処理を実行することができます。
PRP-2 は Designated System Controller(DSC)または Secure Domain Router(SDR)として指定できます。
• 起動時に、最初にアクティブになったカードを DSC に指定
SDR は、ネットワーク上のその他の SDR から独立して、ドメイン セキュリティ機能を制御します。
PRP は、外部バス クロック速度が 133 MHz、内部クロック速度が 667 MHz の Motorola PowerPC 7450 CPU を使用しています。
図 1-11 に、PRP 前面パネルのスロット、ポート、および LED を示します。
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2 つの PCMCIA カード スロット(スロット 0 およびスロット 1)を使用して、PRP のフラッシュ メモリ容量を増設することができます。PRP はさまざまなフラッシュ デバイスの組み合わせをすべてサポートします。ATA フラッシュ ディスクを使用することも、Type 1 または Type 2 のリニア フラッシュ メモリ カードを使用することも、その 2 つを組み合わせて使用することもできます。
(注) PRP がサポートするのは、+5.2 VDC のフラッシュ メモリ デバイスだけです。+3.3 VDC の PCMCIA デバイスはサポートしません。
ステータス LED(スロット 0/スロット 1)が点灯している場合、このスロット内のフラッシュ メモリ カードはアクセスされています(図 1-11 を参照)。各スロットには、スロットからフラッシュ カードを取り外すためのイジェクト ボタンがあります(カバーの背後)。
PRP には 8 ピンの Media-Dependent Interface(MDI; メディア依存型インターフェイス)RJ-45 ポートが 2 つ装備されています。IEEE 802.3 10BASE-T(10 Mbps)または IEEE 802.3u 100BASE-TX(100 Mbps)のどちらのイーサネット接続でも可能です。これらのポートには、ETH 0 または ETH 1 というラベルが付いています。
イーサネット ポートの伝送速度はユーザ設定が不可能です。伝送速度は、イーサネット ポートの接続先ネットワークによって決定される、PRP の自動検知方式によって設定されます。ただし、自動検知されたデータ伝送速度が 100 Mbps でも、実際にイーサネット ポートが提供する使用可能な最大帯域幅は、100 Mbps 未満です。イーサネット接続を使用する場合は、使用可能な最大帯域幅として、約 20 Mbps を想定してください。
前面パネルの次の LED は、トラフィックのステータスおよびポート選択状況を示します(図 1-12 を参照)。
• LINK、EN、TX、RX ― リンク アクティビティ(LINK)、ポート イネーブル(EN)、データ送信(TX)、およびデータ受信(RX)を示します。
• PRIMARY ― 選択されているイーサネット ポートを示します(ETH 0 または ETH 1)。
(注) PRP では両方のポートがサポートされるので、ETH0 は常に点灯しています。ETH 1 が選択されている場合は、ETH 1 が点灯します。
図 1-12 ポートのアクティビティ LED ― 前面パネルの一部分
PRP の補助ポートおよびコンソール ポートは EIA/TIA-232(別名 RS-232)非同期シリアル ポートです。これらのポートには、システムを監視および管理するための外部装置を接続します。
• 補助ポート ― Data Terminal Equipment(DTE; データ端末装置)インターフェイスを提供する(オス)プラグです。補助ポートはフロー制御をサポートし、一般にモデム、CSU(チャネル サービス ユニット)、または Telnet 管理用のその他のオプション装置の接続に使用します。
• コンソール ポート ― コンソール端末を接続するための
Data Circuit-Terminating Equipment(DCE; データ回線終端装置)インターフェイスを提供する(メス)レセプタクルです。
(ソフト)リセット スイッチは、PRP 前面パネルにある小さい開口部から操作します(図 1-11 を参照)。このスイッチを押すには、ペーパー クリップなど、先の尖った細いものを開口部に差し込みます。
ソフト リセット スイッチを押すと、Nonmaskable Interrupt(NMI)が発生し、PRP は ROM モニタ モードになります。ROM モニタ モードでの PRP の動作は、PRP のソフトウェア コンフィギュレーション レジスタの設定によって決まります。たとえば、ソフトウェア コンフィギュレーション レジスタのブート フィールドの設定と動作の関係は、次のようになります。
• 0x0 ― PRP は ROM モニタ プロンプト(rommon>)のまま、システムを手動で起動するユーザ コマンドが入力されるまで待ちます。
英数字メッセージ ディスプレイは、4 文字ずつ 2 列の LED で構成されています(図 1-13 を参照)。
図 1-13 英数字メッセージ ディスプレイ ― 前面パネルの一部分
英数字メッセージ ディスプレイには、ブート プロセス中およびブート プロセス完了後に、ルータ ステータス メッセージが表示されます。
• ブート プロセス中の英数字メッセージ ディスプレイは、MBus モジュールによって直接制御されます。
• ブート プロセス後の英数字メッセージ ディスプレイは、Cisco IOS XR ソフトウェアで(MBus を介して)制御されます。
英数字メッセージには、PRP のステータス、ルータのエラー メッセージ、ユーザ定義のステータスやエラー メッセージなど、さまざまなレベルのシステム動作に関する情報も表示されます。
(注) システム メッセージおよびエラー メッセージの全リストについては、『Cisco IOS System Error Messages』を参照してください( マニュアルの入手方法、テクニカル サポート、およびセキュリティ ガイドラインを参照)。
ここでは、ルータ機能をサポートするために PRP で使用されるさまざまなメモリ タイプについて説明します。 表1-1 に、各メモリ タイプのクイック リファレンスを示します。図 1-14 に、PRP ボード上のメモリの位置を示します。
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512 MB 1 、 |
Cisco IOS XR ソフトウェアの主要機能に対応する 512 MB または 1 GB の DIMM(SDRAM 構成による)を使用します。 |
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64 MB 1 |
1 枚または複数のフラッシュ メモリ カードに、Cisco IOS XR ソフトウェア イメージ、システム コンフィギュレーション ファイル、およびその他のユーザ定義ファイルを保管 |
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PRP は Error Checking and Correction(ECC)Synchronized Dynamic Random Access Memory(SDRAM)を使用して、ルーティング テーブル、プロトコル、ネットワーク課金アプリケーションを格納したり、Cisco IOS ソフトウェアを実行したりします。
表1-2 に、PRP の DRAM 構成を示します。使用している DIMM の枚数に応じて、次のようになります。
• DIMM × 1 ― バンク 1(U15)に最初に搭載する必要があります。
• DIMM × 2 ― サイズの異なるメモリを併用できません。両方のバンクに同じサイズの DIMM を搭載する必要があります。
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512 MB 2 |
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Static Random Access Memory(SRAM)は 2 MB のセカンダリ CPU キャッシュ メモリを提供します。SRAM の主な機能は、ルーティング テーブルのアップデートや情報をラインカードとの間で送受信する際に、ステージング エリアとしての役割を果たすことです。SRAM は、ユーザ側で構成することも、現場で拡張することも できません 。
NVRAM(不揮発性 RAM)は、システム コンフィギュレーション ファイル、ソフトウェア レジスタの設定値、および環境モニタリング ログ用に 2 MB のメモリを提供します。NVRAM の内容は、内蔵リチウム バッテリによって 5 年以上保持されます。NVRAM は、ユーザ側で構成することも、現場で拡張することも できません 。
ルータの運用に使用できる複数の Cisco IOS XR ソフトウェアおよびマイクロコード イメージを格納するには、フラッシュ メモリを使用します。新しいイメージをネットワーク経由で(またはローカル サーバから)フラッシュ メモリにダウンロードして、既存のイメージと置き換えたり、追加イメージとして追加したりすることができます。ルータは、フラッシュ メモリに格納された任意のイメージから(手動で、または自動的に)起動できます。
フラッシュ メモリはさらに、TFTP サーバとしても機能するので、保存されたイメージから他のサーバをリモートで起動したり、それらのイメージを他のサーバのフラッシュ メモリにコピーしたりすることができます。
• オンボード フラッシュ メモリ(別名、 ブートフラッシュ ) ― Cisco IOS ブート イメージが格納されます。
• フラッシュ メモリ ディスク(またはカード) ― Cisco IOS ソフトウェア イメージが保管されています。
表1-3 に、サポート対象のフラッシュ ディスクのサイズ、およびシスコの製品番号を示します。
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64 MB 4 |
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3.標準の Type 1 および Type 2 リニア フラッシュ メモリ カードもサポートされますが、システムの構成要件を満たすだけの容量が得られない場合があります。 |
Cisco XR 12416 ルータ には上部および下部ケーブル管理ブラケットが付属しています。これらのケーブル管理ブラケットと各ラインカードのケーブル管理ブラケットを組み合わせて、ルータに接続されるインターフェイス ケーブルをまとめることができます(図 1-1 を参照)。
ラインカードに接続されるネットワーク インターフェイス ケーブルは、ケーブル管理ブラケットに通し、さらに各ラインカードのケーブル管理ブラケットに通して配線します。このようにすると、ケーブルが通路にはみ出たり、極端に曲がることがなくなります。
ルータには、シャーシ内部に空気を流すブロワー モジュールが 2 つあります。上部カード ケージの上と下部カード ケージの下にそれぞれ 1 つずつ搭載されています(図 1-1 を参照)。
ブロワー モジュールには可変速度のファンが 3 つ、およびコントローラ カードが 1 枚あります。2 つの前面カバー LED には、ブロワー モジュールのステータスが表示されます(図 1-15 を参照)。
• OK(グリーン) ― 3 つのファンはすべて正常に動作しています。
• FAIL(レッド) ― ブロワー モジュールでファンの故障またはその他の障害が検出されています。障害の原因は、次のいずれかです。
ブロワー モジュールは、交換可能なエアー フィルタを通じて冷気を取り込み、SFC ケージ、さらに上部および下部カード ケージに送風することにより、内部コンポーネントを適切な動作温度に保ちます。図 1-16 に、シャーシ内の通気経路を示します。
十分な通気を確保して、カード ケージ内の過熱を防止するために、ルータの前面および背面には障害物を置かないでください。6 インチ(15.24 cm)以上のスペースを確保することを推奨します。
ブロワー モジュール コントローラ カードは、ブロワー モジュール内の3つの可変速ファンの動作を監視および制御します。可変速機能によって、カード ケージ内部の動作温度を適切に維持できる程度の冷却が行われている場合、ファンの回転を最高速度よりも低く抑えることができるので、動作音が静かになります。
カード ケージ内部の温度は、各ライン カード上の 2 つの温度センサーによって監視されます。
• 温度が正常な稼働範囲内であれば、ファンは最低速度(最高速度の 55%)で動作します。
• カード ケージ内の温度が上昇すると、カードに供給する冷気の量を増やすために、ファンの速度が上がります。
• 温度が、指定のしきい値を超えて上昇し続けると、過熱による機器の損傷を防ぐため、システム環境モニタによってすべての内部電源がシャットダウンされます。
• ブロワー モジュール内の3つのファンのいずれかで障害が検出されると、コンソール ウィンドウに警告メッセージが表示されます。また、故障したファンの埋め合わせのために、残り 2 つのファンが最高速度で動作するようになります。さらにファンがもう 1 つ故障すると、装置の損傷を防止するために、システムがシャットダウンします。
トラブルシューティングの詳細については、「ブロワー モジュールの動作」を参照してください。