Cisco ASR 1000 シリーズ ルータ ハードウェアの概要
Cisco ASR 1000 シリーズ Aggregation Services Router は、次世代ミッドレンジ ルータ製品です。このシステムは、シスコが開発したプロセッサ ファミリを使用する、Cisco QuantumFlow Processor テクノロジーに基づいています。
Cisco ASR 1000 シリーズ ルータのターゲットは、企業とサービス プロバイダー両方のアプリケーションであり、パフォーマンスと可用性の向上をもたらします。Cisco ASR 1000 シリーズ ルータが対応する具体的なアプリケーションは、次のとおりです。
• 企業アプリケーション - 通常、支社または大型支店に配置される中規模のアグリゲーションおよびゲートウェイ ルータとして
– Cisco Enterprise コアにおける WAN の集約
– インターネット ゲートウェイ
– 支店または支社の集約
– リモート アクセスの集約
• サービス プロバイダー アプリケーション - ローエンド サービス PE(プロバイダー エッジ)およびブロードバンド アグリゲーション デバイスとして
– ビジネス品質のインターネット アクセスに対応するハイエンド CPE(顧客宅内機器)
– レイヤ 2 VPN(バーチャル プライベート ネットワーク)またはレイヤ 3 VPN サービスに対応する PE およびハイエンド CE(カスタマー エッジ)
– ブロードバンド アグリゲーション - PPPoE/PPPoA アグリゲーションおよび Service Selection Gateway(SSG)
– ローエンド イーサネット アグリゲーション
この章では、Cisco ASR 1000 シリーズ ルータの概要を示します。構成は次のとおりです。
• 「Cisco ASR 1000 シリーズ ルータ」
• 「Cisco ASR 1000 シリーズ ルータの構成」
• 「FRU」
• 「機能の概要」
• 「シスコ製品の識別規格」
Cisco ASR 1000 シリーズ ルータ
Cisco ASR 1000 シリーズ Aggregation Services Router は、シスコの次世代ミッドレンジ ルータ製品です。Cisco ASR 1000 シリーズ Aggregation Services Router は、革新的で高機能なハードウェア プロセッサ テクノロジーである Cisco QuantumFlow Processor を採用しています。Cisco ASR 1000 シリーズ ルータには、Cisco ASR 1002-F ルータ、Cisco ASR 1002 ルータ、Cisco ASR 1004 ルータ、および Cisco ASR 1006 ルータの 4 機種があります。
• Cisco ASR 1002-F ルータは、ハーフハイトの Shared Port Adapter(SPA; 共有ポート アダプタ)1 台の 2 ラック ユニット(RU)シャーシで、このシャーシには組み込み Embedded Services Processor(ESP; 内蔵サービス プロセッサ)スロットを 1 基、組み込み Route Processor(RP; ルート プロセッサ)を 1 台、組み込み Cisco ASR 1000 シリーズ Shared Port Adapter Interface Processor(SIP; SPA インターフェイス プロセッサ)を 1 台、およびギガビット イーサネット ポートを 4 基備えています。
• Cisco ASR 1002 ルータは、SPA が 3 台の 2 RU シャーシで、このシャーシには ESP スロットを 1 基、RP、Cisco ASR 1000 シリーズ SIP、およびギガビット イーサネット ポートを 4 基備えています。
• Cisco ASR 1004 ルータは、SPA が 8 台の 4 RU シャーシで、このシャーシには ESP スロットを 1 基、RP スロットを 1 基、および SIP スロットを 2 基備えています。
• Cisco ASR 1006 ルータは、SPA が 12 台の 6 RU ハードウェア冗長シャーシで、このシャーシには ESP スロットを 2 基、RP スロットを 2 基、および SIP スロットを 3 基備えています。
ルート プロセッサが 1 台の Cisco ASR 1000 プラットフォームである Cisco ASR 1002 および Cisco ASR 1004 では、ルート プロセッサがデュアル Cisco IOS ソフトウェアのオプションを備えています。これにより、Cisco IOS ソフトウェア冗長性、Cisco ハイアベイラビリティ機能、Nonstop Forwarding(NSF)、および In Service Software Upgrade(ISSU)をルータで使用できます。このオプションを使用するには、Cisco ASR 1000 シリーズ RP に 4 GB の DRAM メモリを搭載する必要があります。
Cisco ASR 1006 ルータは、完全な冗長性を持つルート プロセッサをサポートしており、これにより、完全なルート プロセッサ ハードウェア冗長性、NSF、ISSU、およびルート プロセッサの今後のアップグレードを利用できます。
Cisco ASR 1000 シリーズ ルータは Cisco IOS XE ソフトウェアを実行し、分散ソフトウェア アーキテクチャを導入します。これにより、オペレーティングシステムで実行する数多くの処理に IOS プロセスが関与しなくても済むようにします。このアーキテクチャでは、以前は内部ソフトウェア プロセスの大半を扱っていた Cisco IOS が数多くの Cisco IOS XE プロセスの 1 つとして実行され、ルータの実行はその他の Cisco IOS XE プロセスとの間で共有できるようになっています。
Cisco ASR 1000 シリーズには次の 3 種類のバージョンがあります。
• 「Cisco ASR 1006 ルータの概要」
• 「Cisco ASR 1004 ルータの概要」
• 「Cisco ASR 1002 ルータの概要」
• 「Cisco ASR 1002-F ルータの概要」
すべてのモデルで高機能な Cisco QuantumFlow Processor を採用しており、ネットワーク プロセッサに高いパフォーマンスと復元性を実現しています。
Cisco ASR 1000 シリーズ ルータは、Cisco QuantumFlow Processor が持つさまざまなサービスを提供します。Cisco Packet QuantumFlow Processor でサポートしているサービスには、セキュリティ サービス(暗号化やファイアウォール)、Quality of Service(QoS; サービス品質)、Network Based Application Recognition(NBAR)、ブロードバンド アグリゲーション、セッション ボーダー コントローラーなどがあります。
Cisco ASR 1000 シリーズ ルータの機能
Cisco ASR 1000 シリーズ Aggregation Services Router では、さまざまな FRU を使用しています。使用しているプロセッサには、Cisco ASR 1000 シリーズ RP(ASR1000-RP1、ASR1000-RP2)、Cisco ASR 1000 シリーズ ESP(Cisco ASR1000-ESP5、Cisco ASR1000-ESP10、Cisco ASR1000-ESP20、組み込み Cisco ASR1002-ESP-F)、および Cisco ASR 1000 SIP(ASR1000-SIP10、Cisco ASR1002-SIP10-F)があります。Cisco ASR 1000 ESP は Cisco QuantumFlow Processor テクノロジーに基づいています。
Cisco ASR 1000 シリーズ ルータの機能は、次のとおりです。
• Online Insertion and Removal(OIR; 活性挿抜)機能
• Cisco ASR 1000 シリーズ ルータ(Cisco ASR 1006 ルータおよび Cisco ASR 1004 ルータ)でのルート プロセッサと内蔵サービス プロセッサの冗長性
• ASR 1000 シリーズ SIP に対応する Control Processor(CP; コントロール プロセッサ)
• ESP(Cisco ASR1000-ESP5、Cisco ASR1000-ESP10、Cisco ASR1000-ESP20、組み込み ASR1002-ESP-F)の CP
• 冗長 Cisco ASR 1000 シリーズ ESP を装備した Cisco QuantumFlow Processor 間でデータをミラー化し、ステートフル機能を実現する 10 Gbps および 20 Gbps の相互接続
• 電源モジュールの冗長性
• 環境モニタおよびリポート機能
• 共通のハードウェアおよびソフトウェア アーキテクチャを使用するルータ ファミリ
• 集中フォワーディング設計(すべてのネットワーク トラフィックが 1 つのエンジンを通過)
• 前後のエアーフロー - 19 インチ装置ラックの前面または背面のどちらからでもルータを搭載可能
• ハーフハイトの SPA(HHSPA)およびフルハイトの SPA(FHSPA)をサポート
• シングル ミッドプレーン設計(1 つのインターフェイス ミッドプレーン上にすべてのコネクタ)
• 10/100/1000 Mbps イーサネット管理ポート × 1 - 管理ポートとしてだけ使用、イーサネット インターフェイス ポートとしては使用しない
• 25 MHz および 50 MHz の両方での SPA 動作
• ハイ アベイラビリティ ソフトウェア アーキテクチャ
Cisco QuantumFlow Processor 処理がもたらすものは、次のとおりです。
• Cisco ASR 1000 シリーズ ルータのパフォーマンス、コスト、パワー、および機能速度に対応するアーキテクチャ
• シスコ ルータにデータ パスの高速化をもたらす次世代フォワーディングおよびキューイング サブシステム
Cisco ASR 1000 シリーズ ルータのプロセッサ システムは、次のシステム管理機能を実行します。
• ルーティング プロトコル アップデートの送受信
• テーブル、キャッシュ、およびバッファの管理
• インターフェイスおよび環境ステータスのモニタ
• コンソールおよび Telnet インターフェイスによる SNMP(簡易ネットワーク管理プロトコル)管理
• データ トラフィックへの課金およびスイッチング
• イメージの起動およびリロード
Cisco ASR 1000 シリーズ ルータの構成
Cisco ASR 1000 シリーズ ルータは、さまざまなパッケージ構成があります。シャーシ構成はモジュラ型であり、Cisco ASR 1000 シリーズ RP、Cisco ASR 1000 シリーズ ESP、および SPA にそれぞれ独立した FRU を使用しています。
Cisco ASR 1002 ルータおよび Cisco ASR 1002-F ルータを除き、すべての FRU(Cisco ASR 1000 シリーズ RP1、Cisco ASR 1000 シリーズ ESP、および SPA)は互いに別のシャーシ モデルでも動作するように設計されています。電源モジュールおよびファン モジュールはシャーシ固有です。SPA はすべてのシャーシ構成で使用できますが、Cisco ASR 1002 ルータおよび Cisco ASR 1002-F ルータには使用上の制限があります。
Cisco ASR 1000 シリーズ ルータとそのコンポーネントに関する重要事項のいくつかを次に挙げます。
• Cisco ASR1000-ESP20 は、Cisco ASR 1002 ルータおよび ASR 1002-F ルータでは使用できません。
• Cisco ASR 1002-F ルータの内蔵サービス フォワード プロセッサ(ASR1000-ESP-F)はシャーシに組み込みとなっており、FRU ではありません。
• Cisco ASR 1002-F シャーシでは、フォワーディング スループットに対するシステム帯域幅が 2.5 G に制限されます。
• Cisco ASR 1002 ルータおよび Cisco ASR 1002-F ルータのルート プロセッサはシャーシ組み込みです。
表 1-1 に、発注可能な Cisco ASR 1000 シリーズ ルータの構成を示します。
表 1-1 Cisco ASR 1000 シリーズ ルータの構成
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冗長 RP1
オプション
および冗長 RP2 オプション
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Cisco ASR 1006 |
3 |
HH × 12 |
あり |
あり |
1 + 1 |
Cisco ASR 1004 |
2 |
HH × 8 |
なし |
なし |
1 + 1 |
Cisco ASR 1002 |
0 |
HH × 3 (組み込み 4x1 GE × 1) |
なし |
なし |
1 + 1 |
Cisco ASR 1002-F |
0 |
HH × 1 (組み込み 4x1 GE × 1) |
なし |
なし |
1 + 1 |
FRU
Cisco ASR 1000 シリーズ ルータは、主要コンポーネントの多くが FRU(現場交換可能ユニット)なので、保守が容易です。Cisco ASR 1000 シリーズ ルータの FRU は、次のとおりです。
• Cisco ASR 1000 シリーズ RP
• Cisco ASR 1000 シリーズ ESP(Cisco ASR1000-ESP5、Cisco ASR1000-ESP10、Cisco ASR1000-ESP20)
(注) Cisco ASR 1002-F ルータは組み込み Cisco ASR1002-ESP-F フォワード プロセッサを備えています。
• SPA
• Cisco ASR 1000 シリーズ SIP
(注) Cisco ASR 1002-F ルータは組み込み Cisco ASR1002-SIP10-F モジュールを備えています。
• Cisco ASR 1000 シリーズ RP1 内蔵ハード ドライブ
• Cisco ASR 1000 シリーズ RP1 DIMM メモリ モジュール(Cisco ASR 1002 ルータの Cisco 内蔵 ASR1000-RP1 のメモリ モジュールは FRU ではありません)
• USB フラッシュ トークン メモリ スティック
• AC および DC 電源モジュール
• ブラケット キット - 各ラックマウント ブラケットに取り付けるカスタム ケーブル管理ブラケットによって、シャーシの両側で(カードの向きと平行に)ケーブルを管理できます。これらのブラケットは、ラックのブラケットにネジで取り付けるので、着脱が容易です。シャーシごとにラックマウント ブラケットがあります。
– Cisco ASR 1006 のケーブル管理ブラケットには、独立したケーブル管理用 U 字フックが 5 個あり、各カード モジュール スロットのケーブルを処理できます。SIP の場合、これらのブラケットは SPA 製品ケーブル管理機構とタンデムで機能するので、ケーブルを取り外さなくても、隣接するカードを着脱できます。
– Cisco ASR 1004 のケーブル管理ブラケットには、独立したケーブル管理用 U 字フックが 3 個あり、各カード モジュール スロットのケーブルを処理できます。SIP の場合、これらのブラケットは SPA 製品ケーブル管理機構とタンデムで機能するので、ケーブルを取り外さなくても、隣接するカードを着脱できます。
– Cisco ASR 1002 のケーブル管理ブラケットには、独立したケーブル管理用 U 字フックが 1 個あり、各カード モジュール スロットのケーブルを処理できます。これらのブラケットは SPA 製品ケーブル管理機構とタンデムで機能するので、ケーブルを取り外さなくても、隣接するカードを着脱できます。
(注) Cisco ASR 1002-F シャーシでは、Cisco ASR 1002 シャーシと同じアクセサリを使用します。
機能の概要
具体的な内容は、次のとおりです。
• 「シャーシのスロットおよび論理インターフェイスの番号設定」
• 「Cisco ASR 1002-F ルータのスロット番号」
• 「活性挿抜」
• 「環境モニタおよびリポート機能」
シャーシのスロットおよび論理インターフェイスの番号設定
Cisco ASR 1000 シリーズ ルータのスロット番号は、カード モジュール位置の両側に表示されています。シャーシ スロット番号は、シャーシ最下部のスロットを起点としてゼロから始まります。ここでは、Cisco ASR 1000 シリーズ ルータのスロット番号について説明します。
• 「Cisco ASR 1006 ルータのスロット番号」
• 「Cisco ASR 1004 ルータのスロット番号」
• 「Cisco ASR 1002 ルータのスロット番号」
• 「Cisco ASR 1002-F ルータのスロット番号」
Cisco ASR 1000 シリーズ SIP のサブスロット番号は 0 から始まり、水平方向に番号が割り当てられます。SIP サブスロット番号は、前面プレート上、サブスロット横の小さい数字ラベルが示します。 show idprom module 、 show hw-module subslot など、一部のコマンドを使用すると、SPA そのものの情報を表示できます。これらのコマンドでは、スロット/サブスロットの形式で、SIP および SPA の両方の物理位置を指定するする必要があります。
• スロット - Cisco ASR 1000 シリーズ ルータの、SIP が搭載されているシャーシ スロット番号を指定します。
• サブスロット - SPA が搭載されている SIP のサブスロットを指定します。
Cisco ASR 1006 ルータのスロット番号
Cisco ASR 1006 ルータのスロット番号は、図 1-1 に示すように割り当てられています。
図 1-1 Cisco ASR 1006 ルータのスロット番号
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ASR 1000 シリーズ RP1 を備えたスロット RP0 |
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ASR 1000 シリーズ SIP スロット 0 |
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ASR 1000 シリーズ RP1 を備えたスロット RP1 |
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ASR 1000 シリーズ SIP スロット 1 |
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ASR 1000 シリーズ ESP を備えたスロット FP0 |
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ASR 1000 シリーズ SIP スロット 2 |
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ASR 1000 シリーズ ESP を備えたスロット FP1 |
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Cisco ASR 1006 ルータには 3 つの Cisco ASR 1000 シリーズ SIP があり、それぞれが SPA を搭載できるサブスロットを 4 つサポートします。
図 1-2 に、Cisco ASR 1006 ルータの SPA サブスロットの位置を示します。
図 1-2 Cisco ASR 1006 ルータ - ASR1000-SIP10 サブスロット
Cisco ASR 1004 ルータのスロット番号
Cisco ASR 1004 ルータには 2 つの Cisco ASR 1000 シリーズ SIP があり、それぞれが SPA を搭載できるサブスロットを 4 つサポートします。
図 1-3 に、モジュールとフィラー プレートを取り付けた Cisco ASR 1004 ルータを示します。
図 1-3 Cisco ASR 1004 ルータ - 前面図および側面図
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ASR 1000 シリーズ RP1 を備えたスロット RP0 |
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SPA サブスロット 2 |
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ASR 1000 シリーズ ESP10 を備えたスロット FP0 |
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SPA サブスロット 0 |
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ASR 1000 シリーズ SIP スロット 0 |
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SPA サブスロット 1 |
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ASR 1000 シリーズ SIP スロット 1 |
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SPA サブスロット 3 |
Cisco ASR 1002 ルータのスロット番号
Cisco ASR 1002 ルータには Cisco 内蔵 ASR1002-RP1 が 1 つあり、アドレスは R0 です。スロット F0 にフォワーディング プロセッサとして ASR1000-ESP5 または ASR1000-ESP10 を 1 つ搭載します。Cisco ASR 1002 ルータは内蔵 ASR1000-RP1 および内蔵 ASR1000-SIP10 ボードで構成され、ハーフハイト SPA × 3 またはハーフハイト SPA × 1 とフルハイト SPA × 1、および Cisco ASR-ESP5 フォワーディング プロセッサ × 1 をサポートします。
SPA のベイは、ベイ 1、ベイ 2、およびベイ 3 です。組み込み 4xGE SPA ポートは SPA 0 の位置にあり、アドレスは GE 0/0/x です。Cisco ASR 1002 ルータは組み込みギガビット イーサネット インターフェイスを 4 つ備えており、この SPA は Cisco 内蔵 ASR1000-RP1 ボードにあります。Cisco ASR 1000 シリーズ ESP カードはスロット 1 に搭載され、FP0 のラベル表記があります。
図 1-4 Cisco ASR 1002 ルータのスロット番号
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サブスロット 0 の内蔵ルート プロセッサ RP0 |
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Cisco SPA サブスロット 1 |
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Cisco SPA サブスロット 2 |
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Cisco SPA サブスロット 3 |
Cisco ASR 1002-F ルータのスロット番号
Cisco ASR 1002-F ルータには次のスロットがあります。
• Cisco 組み込み RP × 1 - R0
• 組み込み Cisco ASR1000-ESP-F フォワーディング プロセッサ × 1 - F0
• 組み込み ASR1002-SIP10-F × 1 - スロット 0
• ギガビット イーサネット組み込みインターフェイス× 4 - スロット 0/0
• SPA-5x1GE-V2 - スロット 0/1
図 1-5 Cisco ASR 1002-F ルータのスロット番号
MAC アドレス情報
MAC(メディア アクセス制御) (別名 ハードウェア アドレス)は、特定のネットワーク インターフェイス タイプに必要な、標準化されたデータ リンク レイヤのアドレスです。これらのアドレスはポートごとに固有で一意であり、ネットワークにある他のデバイスでは使用されません。Cisco ASR 1000 シリーズ ルータでは、その SPA のMACアドレスの割り当てと制御を実行します。
ソフトウェア コマンドを使用すると、SPA のスロットを識別できます。各コマンドで表示できる情報は次のとおりです。
• すべての SPA スロットの情報を表示するには、 show interfaces コマンドを使用します。
• 特定の SPA スロットの情報を表示するには、SPA のタイプとスロット番号を指定して show interfaces コマンドを使用します。このコマンドのフォーマットは、 show interfaces port-adapter-type slot-number /port-number です。
(注) コマンドの短縮形(sh int)を使用し、SPA のタイプおよびスロット番号(または引数)を指定しなかった場合は、コマンドが show interfaces と解釈されて、すべての SPA およびポートのステータスが表示されます。
MAC アドレスはスロットに順番に割り当てられます。たとえば、Cisco ASR 1006 ルータの場合、最初のアドレスがスロット 0 に、最後のアドレスがスロット 6 に割り当てられます。実際の MAC アドレス割り当て数は、ハーフハイト SPA の場合、SPA スロットごとに 16 個、フルハイト SPA の場合、SPA スロットごとに 64 個です。さらに、Cisco ASR 1000 シリーズ RP1 RP 管理イーサネット ポートに、プールの最後の MAC アドレスが 1 つ割り当てられます。Cisco ASR 1000 RP1 を 2 つ搭載した Cisco ASR 1006 ルータの場合は、各 ASR 1000 RP1 に MAC アドレスが 1 つずつ割り当てられます。
このアドレス方式を使用すると、ネットワーク上で MAC アドレスを移動させたり、複数のデバイスに割り当てたりすることなく、SPA を取り外して他のルータに搭載できます。
MAC アドレスが各 SPA に格納されている場合は、SPA を同一の SPA と交換できないので、活性挿抜は機能しません。MAC アドレスは常に異なります。また、SPA を交換するときには必ず、ネットワーク上のその他のデバイスでは新しいアドレスを使用してデータ構造を更新する必要があります。他のデバイスの更新を短時間で完了しないと、同じ MAC アドレスが同時に複数のデバイスに使用されることがあります。
(注) すべてのスロットの MAC アドレスを中央の 1 箇所に格納するのは、格納先のメモリ デバイスにアドレスを保存することを意味します。
活性挿抜
モジュラ シャーシ構成では、大部分の Cisco ASR 1000 シリーズ FRU が活性挿抜をサポートします。ただし、冗長構成ではない重要な FRU を取り外すと、サービスが中断します。
(注) ルータから SPA を取り外すと、活性挿抜によって、SPA のアクティブなすべてのインターフェイスが管理上のシャットダウン状態となります。
活性挿抜によって、ルータの動作中に SPA の取り付けや交換を行うことができます。ソフトウェアに通知したり、システム電源を切断したりする必要はありませんが、取り外し作業の間は、取り外す SPA にトラフィックを流さないようにする必要があります。活性挿抜は、ネットワーク上のエンド ユーザにシームレスにサービスを提供し、すべてのルーティング情報を維持し、セッションを保護する手段を提供します。
SPA のすべての活性挿抜は、相互に無関係です。1 つの SPA の活性挿抜イベントが、その ASR1000-SIP10 内の他の SPA または他のシステム機能に影響を与えることはありません。
Cisco ASR 1002 ルータと Cisco ASR 1002-F ルータでは、活性挿抜に関して次の違いがあります。
• Cisco ASR 1002 ルータは Cisco 内蔵 ASR1000-RP1 をサポートしますが、この RP はルート プロセッサとキャリア カードが組み合わされているので、FRU ではありません。Cisco ASR1000-ESP5 または ASR1000-ESP10 は FRU です。
• Cisco ASR 1002-F ルータは、内蔵 RP である Cisco ASR1002-RP1 および内蔵フォワード プロセッサ Cisco ASR1000-ESP-F をサポートしていますが、これらは FRU ではありません。Cisco ASR1002-SIP10-F モジュールは着脱できませんが、1 つのハーフハイト SPA は FRU です。
次に、活性挿抜機能の基本について説明します。Cisco ASR 1000 シリーズ ルータの SPA を取り付けたり交換したりする具体的な手順については、各 SPA に対応するオンラインのコンフィギュレーション ノートを参照してください。
Cisco ASR 1000 シリーズ ルータで SPA の取り外しまたは取り付けを行うと、CP が Cisco ASR1000-RP1 に通知し、次に Cisco ASR 1000 RP1 から Forwarding Engine Control Processor(FECP; フォワーディング エンジン コントロール プロセッサ)に通知し、FECP が次の作業を実行します。
• ミッドプレーンを高速スキャンして、設定変更を検出します。
• 新しく取り付けられたすべての SPA を初期化し、取り外されたインターフェイスを認識して、管理上のシャットダウン ステートに設定します。
• SPA 上の設定済みのすべてのインターフェイスを取り外されたときの状態に戻します。新しく追加されたインターフェイスを起動時に搭載されていた(未設定の)インターフェイスと同様、管理上のシャットダウン ステートに設定します。類似のタイプの SPA に交換した場合は、前に取り付けられていた SPA と同数のポートを設定してオンラインにします。
環境モニタおよびリポート機能
環境モニタおよびリポート機能により、環境状態が悪化する前に状態を特定し、解決することができるので、システムの正常な稼動を維持できます。
注意 シャーシの過熱を防ぐには、システムに冷気が取り込まれていることを確認します。他の機器からの
排気がシステムに流入していると、過熱状態になることがあります。冷気がシャーシ内を妨げられずに流れ、シャーシ内の排気が他の装置の空気取り入れ口に流れ込まれないようにするために、シャーシの周りに十分な
スペースを設けてください。
環境モニタ
環境モニタ機能では、センサを使用して、シャーシ内部を流れる冷却空気の温度を監視します。
ローカル電源モジュールで監視できるものは、次のとおりです。
• 入力および出力電圧
• 出力電流
• コンセントの温度
ルータの環境動作条件は、次を満たしている必要があります。
• 通常動作温度:5 ~ 40℃
• 短時間の動作温度:5 ~ 55℃
• 通常動作湿度:5 ~ 85%(結露のないこと)
• 短時間の動作湿度:5 ~ 90%(結露のないこと)
• 動作高度:198 ~ 13,200 フィート(60 ~ 4,000 m)
• DC 入力電圧範囲:-40.5 ~ -72 VDC
• AC 入力電圧範囲:85 ~ 264 VAC
温度が定義されたしきい値を超えると、システム コントローラはコンソール端末に警告メッセージを表示します。温度がシャットダウンしきい値を超えると、システム コントローラはシステムをシャットダウンします。
さらに、電源モジュールが内部電源温度および電圧を監視します。電源モジュールの状態は、許容範囲内(ノーマル)または許容範囲外(クリティカル)のどちらかです。内部電源モジュールの温度または電圧がクリティカル レベルに達すると、電源モジュールはシステム プロセッサと相互作用することなくシャットダウンします。
環境モニタ機能は、次のレベルのステータスにより、システムをモニタします。
• ノーマル - モニタされたすべてのパラメータが通常の許容範囲内にあります。
• 警告 - システムが特定のしきい値を超えています。システムは稼動し続けますが、オペレータが操作してシステムをノーマル ステートに戻すことを推奨します。
• クリティカル - 温度または電圧条件が許容値を超えています。システムは稼動し続けますが、そのうちにシャットダウンします。ただちにオペレータが操作する必要があります。
• シャットダウン - プロセッサが、システム コンポーネントの物理的な損傷をもたらす温度状況を検出し、すべての内部コンポーネントに対して DC 電源をシャットダウンしました。この状況になった場合は、ただちにオペレータが操作する必要があります。電源スイッチを切り替えるまで、すべての DC 電源はシャットダウンされたままです。シャットダウンの前に、システムはモニタしたパラメータのステータスを NVRAM に記録します。このステータスを後で確認して、問題の原因特定に役立てることができます。
• 電源モジュールのシャットダウン - 電源モジュールが許容値を超える内部電圧、電流、または温度状態を検出し、シャットダウンしました。電源スイッチを切り替えるまで、すべての DC 電源はシャットダウンされたままです。
ファン障害
システム電源を投入すると、すべてのファンが作動します。ファンが作動しなくても、システムは稼動し続けます。ファンが作動しなくなると、次のメッセージが表示されます。
router: 00:03:46:%ENVM-3-BLOWER:Fan 2 may have failed
温度が定義されたしきい値を超えると、システム コントローラはコンソール端末に警告メッセージを表示します。温度がシャットダウンしきい値を超えると、システム コントローラはシステムをシャットダウンします。
温度がシャットダウンしきい値を超えているためにシステムがシャットダウンする場合は、システムが再起動するときに、コンソール画面および環境ディスプレイに次のメッセージが表示されます。
%ENVM-1-SHUTDOWN: Environmental Monitor initiated shutdown
リポート機能
FECP のシャーシ マネージャがフォワーディング プロセッサのローカル リソースを管理します。このシャーシ マネージャは、Enhanced Serdes Interconnect(ESI)を管理します。ESI は、Cisco ASR 1000 シリーズ RP1、SIP、およびスタンバイ ESP モジュールをアクティブな Cisco ASR 1000 シリーズ ESP に接続する、ミッドプレーン上のデータパス リンクです。Cisco ASR 1000 シリーズ RP1 のシャーシ マネージャと通信し、検出されたハードウェア障害、ESI ステータス、ソフトウェア プロセス ステータス、および温度センサの状態を含め、ステータスおよびヘルスを報告します。
シャーシ インターフェイスによりモニタされたパラメータが指定のしきい値を超えると、Cisco ASR 1000 シリーズ ルータはコンソールに警告メッセージを表示します。 show environment all 、 show version 、 show inventory 、 show platform 、および show diag の各コマンドを使用して、環境ステータス リポートを取得し、表示することもできます。60 秒ごとにパラメータが測定され、リポート機能が更新されます。上記コマンドの簡単な説明を次に示します。
(注) ここでは、Cisco ASR 1004 ルータの出力例を使用します。すべての Cisco ASR 1000 シリーズ ルータから、同様の出力が得られます。
例 1-1 show environment all コマンド
Router#show environment all
Sensor List: Environmental Monitoring
Sensor Location State Reading
V1: VMA F0 Normal 1791 mV
V1: VMB F0 Normal 1196 mV
V1: VMC F0 Normal 1191 mV
V1: VMD F0 Normal 1093 mV
V1: 12v F0 Normal 11894 mV
V1: VDD F0 Normal 3261 mV
V2: VMA F0 Normal 3286 mV
V2: VMB F0 Normal 2495 mV
V2: VMC F0 10% high 1796 mV
V2: VMD F0 Normal 1093 mV
V2: 12v F0 Normal 11850 mV
V2: VDD F0 Normal 3261 mV
V2: GP1 F0 10% high 898 mV
Temp: Inlet F0 Normal 29 Celsius
Temp: Asic1 F0 Normal 47 Celsius
Temp: Exhaust1 F0 Normal 36 Celsius
Temp: Exhaust2 F0 Normal 36 Celsius
Temp: Asic2 F0 Normal 43 Celsius
V1: 12v 0 Normal 11894 mV
V2: 12v 0 Normal 11909 mV
Temp: Left 0 Normal 25 Celsius
Temp: Center 0 Normal 26 Celsius
Temp: Asic1 0 Normal 36 Celsius
Temp: Right 0 Normal 23 Celsius
PEM Vout P0 Normal 12 V AC
PEM Vin P0 Normal 115 V AC
Temp: PEM P0 Normal 27 Celsius
Temp: FC P0 Fan Speed 65% 26 Celsius
Temp: FM P1 Normal 24 Celsius
Temp: FC P1 Fan Speed 65% 26 Celsius
V1: VMA R0 Normal 1098 mV
V1: VMB R0 Normal 3295 mV
V1: VMC R0 Normal 2495 mV
V1: VMD R0 Normal 1791 mV
V1: VME R0 Normal 1499 mV
V1: VMF R0 Normal 1201 mV
V1: 12v R0 Normal 11938 mV
V1: VDD R0 Normal 3261 mV
V1: GP2 R0 Normal 1242 mV
Temp: CPU R0 Normal 33 Celsius
Temp: Outlet R0 Normal 32 Celsius
Temp: Inlet R0 Normal 26 Celsius
Temp: Asic1 R0 Normal 32 Celsius
例 1-2 show version コマンド
show version コマンドを実行すると、システムのハードウェア構成、ソフトウェア バージョン、およびコンフィギュレーション ファイルとブート イメージの名前とソースが表示されます。
show version コマンドの出力例を次に示します。
Cisco IOS Software, IOS-XE Software (PPC_LINUX_IOSD-ADVENTERPRISEK9-M), Version 12.2(33)XNA, RELEASE SOFTWARE
Technical Support: http://www.cisco.com/techsupport
Copyright (c) 1986-2008 by Cisco Systems, Inc.
Compiled Thu 01-May-08 00:29 by mcpre
Cisco IOS-XE software, Copyright (c) 1986-2008 by Cisco Systems, Inc.
All rights reserved. Certain components of Cisco IOS-XE software are
licensed under the GNU General Public License ("GPL") Version 2.0. The
software code licensed under GPL Version 2.0 is free software that comes
with ABSOLUTELY NO WARRANTY. You can redistribute and/or modify such
GPL code under the terms of GPL Version 2.0. For more details, see the
documentation or "License Notice" file accompanying the IOS-XE software,
or the applicable URL provided on the flyer accompanying the IOS-XE
A summary of U.S. laws governing Cisco cryptographic products may be found at:
http://www.cisco.com/wwl/export/crypto/tool/stqrg.html
If you require further assistance please contact us by sending email to
cisco ASR1004 (RP1) processor with 757182K/6147K bytes of memory.
2 Packet over SONET interfaces
32768K bytes of non-volatile configuration memory.
2097152K bytes of physical memory.
439807K bytes of eUSB flash at bootflash:.
39004543K bytes of SATA hard disk at harddisk:.
Configuration register is 0x0
例 1-3 show inventory コマンド
sh ow inventory コマンドを実行すると、ネットワーキング デバイスに組み込まれているすべてのシスコ製品を示した、製品目録を含めた拡張リポートが表示されます。
show inventory コマンドの出力例を次に示します。
NAME: "Chassis", DESCR: "Cisco ASR1004 Chassis"
PID: ASR1004 , VID: V00, SN:
NAME: "module 0", DESCR: "Cisco ASR1000 SPA Interface Processor 10"
PID: MCP-CC , VID: V00, SN: JAB1104064G
NAME: "SPA subslot 0/1", DESCR: "2-port OC3/STM1 POS Shared Port Adapter"
PID: SPA-2XOC3-POS , VID: V01, SN: JAB1006095Z
NAME: "subslot 0/1 transceiver 0", DESCR: "OC3 SR-1/STM1 MM"
PID: N/A , VID: , SN: 2008692
NAME: "SPA subslot 0/2", DESCR: "4-port T3/E3 Serial Shared Port Adapter"
PID: SPA-4XT3/E3 , VID: V01, SN: JAB09210247
NAME: "module R0", DESCR: "Cisco ASR1000 Route Processor 1"
PID: ASR1000-RP1 , VID: V00, SN: JAB110200CQ
NAME: "module F0", DESCR: "Cisco ASR1000 Embedded Services Processor, 10Gbps"
PID: ASR1000-ESP10 , VID: V00, SN: JAB111101A1
NAME: "Power Supply Module 0", DESCR: "Cisco ASR1004 AC Power Supply"
PID: ASR1004-PWR-AC , VID: V00, SN: ART1103K00C
NAME: "Fan Module 1", DESCR: "Cisco ASR1004 Fan Module"
PID: ASR1004-FAN , VID: V00, SN: ART1052L01U
例 1-4 show platform コマンド
sh ow platform コマンドを実行すると、各接続タイプの現在の待機ポリシーおよび現在設定されているバナーに関する情報が出力として表示されます。
show platform コマンドの出力例を次に示します。
Slot Type State Insert time (ago)
--------- ------------------- --------------------- -----------------
0/1 SPA-2XOC3-POS ok 16:18:49
0/2 SPA-4XT3/E3 ok 16:18:56
R0 ASR1000-RP1 ok, active 16:20:27
F0 ASR1000-ESP10 ok, active 16:20:27
P0 ASR1004-PWR-AC ok 16:19:27
P1 ASR1004-FAN ok 16:19:27
Slot CPLD Version Firmware Version
--------- ------------------- ---------------------------------------
例 1-5 show diag コマンド
show diag slot R0 eeprom detail コマンドを実行すると、ラインカードの DRAM および SRAM などの構成ハードウェア情報が表示されます。通常の show diag コマンドで得られるより詳細な出力が必要な場合に、show diag [slot-number] [details] を使用します。
show diag slot R0 eeprom detail コマンドの出力例を次に示します。
Router#show diag slot R0 eeprom detail
PCB Part Number : 73-10253-04
PCB Serial Number : JAB110200CQ
Top Assy. Part Number : 68-2625-04
Product Identifier (PID) : ASR1000-RP1
Version Identifier (VID) : V00
Manufacturing Test Data : 00 00 00 00 00 00 00 00
Field Diagnostics Data : 00 00 00 00 00 00 00 00
Asset ID : AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA
シスコ製品の識別規格
ここでは、シスコ製品およびサービス製品の識別規格について説明します。この機能によって、ネットワークおよび業務にシスコ製品を有効に統合して管理できます。
UDI
Unique Device Identifier(UDI; 固有デバイス識別情報)は、ハードウェア製品に対応するシスコ製品識別規格です。製品識別規格によって、エンタープライズ オートメーションの障害が取り除かれ、運用コストを削減できます。
UDI は、一貫性のある電子、物理、および関連ビジネス間情報を特徴とする製品識別規格です。
UDI は、5 つのデータ要素を組み合わせたものです。 表 1-2 に UDI の要素を示します。
表 1-2 シスコの UDI 要素
|
|
|
|
PID |
あり |
あり |
製品 ID。製品名、モデル名、製品番号ともいう。 |
VID |
あり |
あり |
バージョン ID |
SN |
あり |
あり |
シリアル番号、PID の固有インスタンス(シリアル番号の位置については、次の項の図 1-6、図 1-8、および図 1-7 を参照してください) |
エンティティ名 |
あり |
なし |
シャーシ、スロット、電源モジュールなどのタイプ |
製品の説明 |
あり |
なし |
補足的な製品情報 |
シリアル番号と製品 ID(PID)の組み合わせは、すべてのシスコ製品どうしで一意で一貫性があります。ハードウェアにコーディングされた PID を基本製品識別情報といいます。
追加発注可能な PID を基本 PID に関連付けることができます。たとえば、発注可能な PID で、製品または一緒に販売、テスト、および出荷された製品グループ バンドルのパッケージ構成を記述できます。固有な UDI の利点は次のとおりです。
• 次の点を特定できる
– ネットワークにある個々のシスコ製品
– サービスおよびリプレース可能製品の PID および SN
– 製品のバージョンを示す VID
• リコールまたはアップグレード対象の製品を容易に特定できる
• シスコ製品目録の自動作成機能が強化される
シスコ製品識別規格は、次の機能を提供します。
• バージョンの視認性 - シスコでは機能の追加によって、たえず製品を改良しています。製品に変更があると、バージョン ID(VID)が増えます。これにより、バージョンがわかりやすくなるので、製品変更の把握および管理に効果的です。VID 管理により、製品間の変更の一貫性が保証されます。
• 運用コストの削減 - Cisco UDI によって正確で詳細なネットワーク コンポーネント情報が得られるので、標準インターフェイスを通じて、ネットワーク要素内の各シスコ製品を識別できます。シスコのオペレーティング システムでこのデータを表示したり使用したりできるので、電子目録の自動作成が可能です。
• 製品レイヤ全体における一貫性 - UDI はハードウェア製品の設計に組み込まれるので、誤って変更されることがありません。オペレーティング システムおよび管理システムは、標準インターフェイスを通じて UDI を検出し、標準出力で UDI を表示します。標準インターフェイスには IETF の標準 ENTITY-MIB が含まれます。
(注) 製品識別規格の詳細については、次の URL にアクセスしてください。
http://www.cisco.com/go/udi/
シリアル番号ラベルの位置
ここでは各シャーシの図で、シリアル番号ラベルの位置を示します。
図 1-6 に、Cisco ASR 1006 ルータのシリアル番号の位置を示します。
図 1-6 Cisco ASR 1006 ルータのシリアル番号ラベルの位置
図 1-7 に、Cisco ASR 1004 ルータのシリアル番号ラベルの位置を示します。
図 1-7 Cisco ASR 1004 ルータのシリアル番号ラベルの位置
図 1-8 に、Cisco ASR 1002 ルータのシリアル番号ラベルの位置を示します。
図 1-8 Cisco ASR 1002 ルータのシリアル番号ラベルの位置
図 1-9 に、Cisco ASR 1002-F ルータのシリアル番号ラベルの位置を示します。
図 1-9 Cisco ASR 1002-F ルータのシリアル番号ラベルの位置