マルウェア対策 スキャンの概要
Web セキュリティ アプライアンス マルウェア対策機能は、Cisco DVS™ エンジンとマルウェア対策スキャン エンジンを併用して、Web ベースのマルウェアの脅威を阻止します。DVS エンジンは、Webroot™、McAfee、Sophos マルウェア対策スキャン エンジンと連携します。
スキャン エンジンはトランザクションを検査して、DVS エンジンに渡すマルウェア スキャンの判定を行います。DVS エンジンは、マルウェア スキャンの判定に基づいて、要求をモニタするかブロックするかを決定します。アプライアンスのアンチマルウェア コンポーネントを使用するには、マルウェア対策スキャンをイネーブルにして、グローバル設定値を設定してから、各種のポリシーに特定の設定を適用する必要があります。
関連項目
DVS エンジンの動作のしくみについて
DVS エンジンは、Web レピュテーション フィルタから転送された URL のトランザクションに対してマルウェア対策スキャンを実行します。Web レピュテーション フィルタは、特定の URL にマルウェアが含まれている可能性を計算し、URL スコアを割り当てます。このスコアは、トランザクションをブロック、スキャンまたは許可するアクションに関連付けられています。
割り当てられた Web レピュテーション スコアがトランザクションをスキャンすることを示している場合、DVS エンジンは URL 要求とサーバ応答のコンテンツを受信します。DVS エンジンはスキャン エンジン(Webroot および(または)Sophos、または McAfee)と連携して、マルウェア スキャンの判定を返します。DVS エンジンは、マルウェア スキャンの判定およびアクセス ポリシーの設定情報を使用して、クライアントへのコンテンツをブロックするか配信するかを判定します。
複数のマルウェア判定の使用
DVS エンジンは、1 つの URL に対して複数のマルウェア判定を下すことがあります。イネーブルなスキャン エンジンの一方または両方から複数の判定が返される場合もあります。
- 異なるスキャン エンジンによるさまざまな判定。Sophos または McAfee のどちらか一方と Webroot を同時にイネーブルにすると、それぞれのスキャン エンジンが同じオブジェクトに対して異なるマルウェア判定を返すことがあります。イネーブルな両方のスキャン エンジンから 1 つの URL に対して複数の判定が返された場合、アプライアンスは最も制限が厳しいアクションを実行します。たとえば、一方のスキャン エンジンがブロックの判定を返し、他方のスキャン エンジンがモニタの判定を返した場合、DVS エンジンは常に要求をブロックします。
- 同じスキャン エンジンからの異なる判定。 オブジェクトに複数の感染が含まれている場合、1 つのオブジェクトに対する複数の判定が 1 つのスキャン エンジンから返されることがあります。同じスキャン エンジンが 1 つの URL に対して複数の判定を返した場合、アプライアンスは最も優先順位の高い判定に従ってアクションを実行します。以下のリストは、可能性があるマルウェア スキャンの判定を優先順位が高いものから順に示しています。
- ウィルス
- トロイのダウンローダ
- トロイの木馬
- トロイのフィッシャ
- ハイジャッカー
- システム モニタ
- 商用システム モニタ
- ダイヤラ
- ワーム
- ブラウザ ヘルパー オブジェクト
- フィッシング URL
- アドウェア
- 暗号化ファイル
- スキャン不可
- その他のマルウェア
Webroot スキャン
Webroot スキャン エンジンはオブジェクトを検査してマルウェア スキャンの判定を行い、判定を DVS エンジンに送ります。Webroot スキャン エンジンは、以下のオブジェクトを検査します。
- URL 要求。 Webroot は URL 要求を評価して、URL にマルウェアの疑いがあるかどうかを判別します。この URL からの応答にマルウェアが含まれている可能性があると Webroot が判断した場合、アプライアンスは、その独自の設定に応じて、要求をモニタまたはブロックします。Webroot によって要求が正常である評価された場合、アプライアンスは URL を取得し、サーバの応答をスキャンします。
- サーバの応答。 アプライアンスが URL を取得すると、Webroot はサーバ応答のコンテンツをスキャンし、Webroot シグニチャ データベースと照合します。
McAfee スキャン
McAfee スキャン エンジンは、HTTP 応答の Web サーバからダウンロードされたオブジェクトを検査します。オブジェクトの検査後、マルウェア スキャンの判定を DVS エンジンに渡し、DVS エンジンが要求をモニタするかブロックするかを決定できるようにします。
McAfee スキャン エンジンは以下の方法を使用して、マルウェア スキャンの判定を行います。
- ウィルス シグニチャ パターンの照合
- ヒューリスティック分析
ウィルス シグニチャ パターンの照合
McAfee は、そのデータベースにあるウィルス定義をスキャン エンジンで使用し、特定のウィルス、ウィルスのタイプ、その他の潜在的に望ましくないソフトウェアを検出します。ファイル内のウィルス シグニチャを検索します。McAfee をイネーブルにした場合、McAfee スキャン エンジンはこの方法を使用して、サーバ応答のコンテンツをスキャンします。
ヒューリスティック分析
ヒューリスティック分析は、特定のルールではなく、一般的なルールを使用して新しいウィルスとマルウェアを検出する手法です。ヒューリスティック分析を使用する場合、McAfee スキャン エンジンは、オブジェクトのコードを確認して一般的なルールを適用し、オブジェクトがどの程度ウィルスに類似しているかを判断します。
ヒューリスティック分析を使用すると、偽陽性(ウイルスと指摘された正常なコンテンツ)の報告が増加し、アプライアンスのパフォーマンスが影響を受ける可能性があります。McAfee をイネーブルにする場合は、オブジェクトのスキャンでヒューリスティック分析をイネーブルにするかどうかを選択できます。
McAfee カテゴリ
|
|
既知のウィルス |
ウィルス |
トロイの木馬 |
トロイの木馬 |
ジョーク ファイル |
アドウェア |
テスト ファイル |
ウィルス |
ワナビ |
ウィルス |
不活化 |
ウィルス |
商用アプリケーション |
商用システム モニタ |
望ましくないオブジェクト |
アドウェア |
望ましくないソフトウェア パッケージ |
アドウェア |
暗号化ファイル |
暗号化ファイル |
Sophos スキャン
Sophos スキャン エンジンは、HTTP 応答内の Web サーバからダウンロードされたオブジェクトを検査します。オブジェクトの検査後、マルウェア スキャンの判定を DVS エンジンに渡し、DVS エンジンが要求をモニタするかブロックするかを決定できるようにします。McAfee アンチマルウェア ソフトウェアがインストールされている場合に、McAfee スキャン エンジンではなく、Sophos スキャン エンジンをイネーブルにする必要がある場合があります。
ポリシーにおけるマルウェア対策およびレピュテーションの設定
[マルウェア対策およびレピュテーションフィルタ(Anti-Malware and Reputation Filters)] がアプライアンスでイネーブルの場合は、ポリシー グループでさまざまな設定値を設定できます。マルウェア スキャンの判定に基づいて、マルウェア カテゴリのモニタまたはブロックをイネーブルにできます。
以下のポリシー グループにマルウェア対策を設定できます。
以下のポリシー グループに Web レピュテーションを設定できます。
高度なマルウェア防御機能はアクセス ポリシーにのみ設定できます。ファイル レピュテーション機能と分析機能の設定を参照してください。
アクセス ポリシーにおけるマルウェア対策およびレピュテーションの設定
適応型スキャンがイネーブルの場合、アクセス ポリシーに設定できる Web レピュテーションとマルウェア対策の設定項目は、適応型スキャンがオフの場合とやや異なります。
(注) 展開にセキュリティ管理アプライアンスが含まれており、この機能を設定マスターに設定する場合、このページのオプションは、関連する設定マスターで適応型セキュリティがイネーブルになっているかどうかに応じて異なります。[Web] > [ユーティリティ(Utilities)] > [セキュリティサービス表示(Security Services Display)] ページで、セキュリティ管理アプライアンスの設定を確認します。
関連項目
マルウェア対策およびレピュテーションの設定(適応型スキャンがイネーブルの場合)
手順 1 [Web セキュリティ マネージャ(Web Security Manager)] > [アクセス ポリシー(Access Policies)] を選択します。
手順 2 設定するアクセス ポリシーの [マルウェア対策とレピュテーション(Anti-Malware and Reputation)] リンクをクリックします。
手順 3 [Web レピュテーションとマルウェア対策の設定(Web Reputation and Anti-Malware Settings)] セクションで [Web レピュテーションとマルウェア対策のカスタム設定の定義(Define Web Reputation and Anti-Malware Custom Settings)] を選択します。
これにより、このアクセス ポリシーに対して、グローバル ポリシーとは異なる Web レピュテーションとマルウェア対策の設定を指定できます。
手順 4 [Web レピュテーション設定(Web Reputation Settings)] セクションで、Web レピュテーション フィルタリングをイネーブルにするかどうかを選択します。適応型スキャンによって、各 Web 要求に最適な Web レピュテーション スコアのしきい値が選択されます。
手順 5 [高度なマルウェア防御設定(Advanced Malware Protection Settings)] セクションで設定項目を設定します。
手順 6 [Cisco IronPort DVS マルウェア防御設定(Cisco IronPort DVS Anti-Malware Settings)] セクションまでスクロールします。
手順 7 必要に応じて、ポリシーのマルウェア対策設定を指定します。
|
|
疑わしいユーザ エージェント スキャンを有効にする(Enable Suspect User Agent Scanning) |
HTTP 要求ヘッダーで指定されているユーザ エージェント フィールドに基づいて、トラフィックをスキャンするかどうかを選択します。 このチェックボックスをオンにした場合は、ページ下部の [追加スキャン(Additional Scanning)] セクションで、疑わしいユーザ エージェントをモニタするかブロックするかを選択できます。 (注) FTP-over-HTTP 要求では、Chrome ブラウザはユーザ エージェント文字列を含まないためユーザ エージェントとして検出されません。 |
マルウェア対策スキャンを有効にする(Enable Anti-Malware Scanning) |
マルウェアのトラフィックをスキャンするために、DVS エンジンを使用するかどうかを選択します。適応型スキャンによって、各 Web 要求に最適なエンジンが選択されます。 |
マルウェア カテゴリ(Malware Categories) |
マルウェア スキャンの判定に基づいて各種のマルウェア カテゴリをモニタするかブロックするかを選択します。 |
その他カテゴリ(Other Categories) |
このセクションに表示されたオブジェクトおよび応答のタイプを、モニタするかブロックするかを選択します。 (注) [アウトブレイク ヒューリスティック(Outbreak Heuristics)] カテゴリは、スキャン エンジンの実行前に適応型スキャンによってマルウェアとして識別されたトランザクションに適用されます。 (注) 設定された最大時間に達した場合や、システムで一時的エラーが発生した場合、URL トランザクションはスキャン不可と分類されます。たとえば、スキャン エンジンのアップデート時や AsyncOS のアップグレード時に、トランザクションがスキャン不可と分類されることがあります。マルウェア スキャンの判定が SV_TIMEOUT や SV_ERROR の場合は、スキャン不可のトランザクションと見なされます。 |
手順 8 変更を送信して確定します([送信(Submit)] と [変更を確定(Commit Changes)])。
関連項目
マルウェア対策およびレピュテーションの設定(適応型スキャンがディセーブルの場合)
手順 1 [Web セキュリティ マネージャ(Web Security Manager)] > [アクセス ポリシー(Access Policies)] を選択します。
手順 2 設定するアクセス ポリシーの [マルウェア対策とレピュテーション(Anti-Malware and Reputation)] リンクをクリックします。
手順 3 [Web レピュテーションとマルウェア対策の設定(Web Reputation and Anti-Malware Settings)] セクションで [Web レピュテーションとマルウェア対策のカスタム設定の定義(Define Web Reputation and Anti-Malware Custom Settings)] を選択します。
これにより、このアクセス ポリシーに対して、グローバル ポリシーとは異なる Web レピュテーションとマルウェア対策の設定を指定できます。
手順 4 [Web レピュテーション設定(Web Reputation Settings)] セクションで設定項目を設定します。
手順 5 [高度なマルウェア防御設定(Advanced Malware Protection Settings)] セクションで設定項目を設定します。
手順 6 [Cisco IronPort DVS マルウェア防御設定(Cisco IronPort DVS Anti-Malware Settings)] セクションまでスクロールします。
手順 7 必要に応じて、ポリシーのマルウェア対策設定を指定します。
(注) Webroot、Sophos、または McAfee スキャンをイネーブルにすると、このページの [マルウェア カテゴリ(Malware Categories)] で、追加のカテゴリをモニタするかブロックするかを選択できます。
|
|
疑わしいユーザ エージェント スキャンを有効にする(Enable Suspect User Agent Scanning) |
HTTP 要求ヘッダーで指定されているユーザ エージェント フィールドに基づいて、アプライアンスがトラフィックをスキャンできるようにするかどうかを選択します。 このチェックボックスをオンにした場合は、ページ下部の [追加スキャン(Additional Scanning)] セクションで、疑わしいユーザ エージェントをモニタするかブロックするかを選択できます。 (注) FTP-over-HTTP 要求では、Chrome ブラウザはユーザ エージェント文字列を含まないためユーザ エージェントとして検出されません。 |
Webroot を有効にする(Enable Webroot) |
アプライアンスがトラフィックをスキャンする際に、Webroot スキャン エンジンを使用できるようにするかどうかを選択します。 |
Sophos または McAfee を有効にする(Enable Sophos or McAfee) |
アプライアンスがトラフィックをスキャンする際に、Sophos または McAfee スキャン エンジンを使用できるようにするかどうかを選択します。 |
マルウェア カテゴリ(Malware Categories) |
マルウェア スキャンの判定に基づいて各種のマルウェア カテゴリをモニタするかブロックするかを選択します。このセクションに表示されるカテゴリは、上記でイネーブルにするスキャン エンジンによって異なります。 |
その他カテゴリ(Other Categories) |
このセクションに表示されたオブジェクトおよび応答のタイプを、モニタするかブロックするかを選択します。 (注) 設定された最大時間に達した場合や、システムで一時的エラーが発生した場合、URL トランザクションはスキャン不可と分類されます。たとえば、スキャン エンジンのアップデート時や AsyncOS のアップグレード時に、トランザクションがスキャン不可と分類されることがあります。マルウェア スキャンの判定が SV_TIMEOUT や SV_ERROR の場合は、スキャン不可のトランザクションと見なされます。 |
手順 8 変更を送信して確定します([送信(Submit)] と [変更を確定(Commit Changes)])。
関連項目
Web レピュテーション スコアの設定
Web セキュリティ アプライアンスをインストールして設定すると、Web レピュテーション スコアのデフォルト設定が指定されます。ただし、Web レピュテーション スコアのしきい値の設定は組織のニーズに合わせて変更できます。各ポリシー グループに応じた Web レピュテーション フィルタを設定してください。
アクセス ポリシーの Web レピュテーション スコアのしきい値の設定
手順 1 [Web セキュリティ マネージャ(Web Security Manager)] > [アクセス ポリシー(Access Policies)] を選択します。
手順 2 [マルウェア対策とレピュテーション(Anti-Malware and Reputation)] 列で、編集するアクセス ポリシー グループのリンクをクリックします。
手順 3 [Web レピュテーションとマルウェア対策の設定(Web Reputation and Anti-Malware Settings)] セクションで [Web レピュテーションとマルウェア対策のカスタム設定の定義(Define Web Reputation and Anti-Malware Custom Settings)] を選択します。
これにより、このアクセス ポリシーに対して、グローバル ポリシーとは異なる Web レピュテーションとマルウェア対策の設定を指定できます。
手順 4 [Web レピュテーション フィルタを有効にする(Enable Web Reputation Filtering)] フィールドがイネーブルになっていることを確認します。
手順 5 マーカーを動かして、URL のブロック、スキャン、許可の各アクションの範囲を変更します。
手順 6 変更を送信して確定します([送信(Submit)] と [変更を確定(Commit Changes)])。
(注) 適応型スキャンがディセーブルの場合は、アクセス ポリシーの Web レピュテーション スコアのしきい値を編集できます。
復号化ポリシー グループの Web レピュテーション フィルタの設定
手順 1 [Web セキュリティ マネージャ(Web Security Manager)] > [復号化ポリシー(Decryption Policies)] を選択します。
手順 2 [Web レピュテーション(Web Reputation)] 列で、編集する復号化ポリシー グループのリンクをクリックします。
手順 3 [Web レピュテーション設定(Web Reputation Settings)] セクションで、[Web レピュテーションのカスタム設定の定義(Define Web Reputation Custom Settings)] を選択します。これにより、グローバル ポリシー グループによる Web レピュテーション設定を上書きすることができます。
手順 4 [Web レピュテーション フィルタを有効にする(Enable Web Reputation Filtering)] フィールドがオンになっていることを確認します。
手順 5 マーカーを動かして、URL のドロップ、復号化、およびパススルー アクションの範囲を変更します。
手順 6 [スコアを持たないサイト(Sites with No Score)] フィールドで、Web レピュテーション スコアが割り当てられていないサイトの要求に対して実行するアクションを選択します。
手順 7 変更を送信して確定します([送信(Submit)] と [変更を確定(Commit Changes)])。
データ セキュリティ ポリシー グループの Web レピュテーション フィルタの設定
手順 1 [Web セキュリティ マネージャ(Web Security Manager)] > [シスコ データ セキュリティ(Cisco Data Security)] を選択します。
手順 2 [Web レピュテーション(Web Reputation)] 列で、編集するデータ セキュリティ ポリシー グループのリンクをクリックします。
手順 3 [Web レピュテーション設定(Web Reputation Settings)] セクションで、[Web レピュテーションのカスタム設定の定義(Define Web Reputation Custom Settings)] を選択します。
これにより、グローバル ポリシー グループによる Web レピュテーション設定を上書きすることができます。
手順 4 マーカーを動かして、URL のブロックおよびモニタ アクションの範囲を変更します。
手順 5 変更を送信して確定します([送信(Submit)] と [変更を確定(Commit Changes)])。
(注) Cisco データ セキュリティ ポリシーの Web レピュテーションのしきい値には、負またはゼロの値のみ設定できます。定義では、すべての正のスコアがモニタされます。