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この章は、次の項で構成されています。
IP イベント減衰機能は、設定可能な指数関数的減少メカニズムを導入し、過剰なインターフェイス フラッピング イベントによるネットワーク内のルーティング プロトコルおよびルーティング テーブルに対する影響を抑制します。ネットワーク オペレータはこの機能を使用し、フラップが発生しているローカル インターフェイスをルータが自動的に特定して、選択的に減衰するように設定できます。
netstack IP コンポーネントの変更が原因で、IP のすべてのクライアントは減衰またはインターフェイスの影響を確認します。
インターフェイスの各フラップには、一定のペナルティが追加されます。指数関数的にパラメータが設定されたペナルティは減衰します。
つまり、一定の高レベルを超えると、インターフェイスは減衰します。ペナルティが低レベル以下に減衰するときは、抑制されません。
インターフェイスが減衰するとき、IP アドレスとスタティック ルートがインターフェイスから削除されます。IP のすべてのクライアントは、IP の削除の通知を受け取ります。
インターフェイスが抑制されていない場合は、IP アドレスと関連するルートが再び追加されます。IP のすべてのクライアントは、インターフェイスのすべての IP アドレス用の IP アドレスの追加通知を受け取ります。
イーサネット インターフェイスに設定されたすべてのレイヤ 3 インターフェイス、ポートの変更、および SVI がこの機能をサポートしています。
インターフェイス状態変化は、インターフェイスが管理上アップまたはダウンした場合や、インターフェイスで状態が変化した場合に発生します。インターフェイスで状態が変化したりフラップが発生すると、状態の変化に影響されるルートの状態がルーティング プロトコルに通知されます。インターフェイスの状態が変化するたびに、ネットワーク内のすべての影響を受けるデバイスで、最良パスを再計算し、ルーティング テーブルでルートをインストールまたは削除し、有効なルートをピア ルータにアドバタイズする必要があります。過剰なフラップが発生する不安定なインターフェイスは、ネットワークの他のデバイスに大量のシステム処理リソースを消費させ、ルーティング プロトコルでフラップが発生しているインターフェイスとの同期が失われる原因になる可能性があります。
IP イベント減衰機能は、設定可能な指数関数的減少メカニズムを導入し、過剰なインターフェイス フラッピング イベントによるネットワーク内のルーティング プロトコルおよびルーティング テーブルに対する影響を抑制します。ネットワーク オペレータはこの機能を使用し、フラップが発生しているローカル インターフェイスをルータが自動的に特定して、選択的に減衰するように設定できます。インターフェイスの減衰により、インターフェイスでフラップが発生せず安定するまで、ネットワークからインターフェイスが除外されます。IP イベント減衰機能を設定すると、悪影響が広がらないように障害を分離することで、コンバージェンス時間とネットワーク全体の安定性を向上します。これにより、ネットワークの他のデバイスのシステム処理リソースの使用率が減少し、ネットワーク全体の安定性が向上します。
この項では、IP イベント減衰機能のインターフェイス状態変化イベントについて説明します。この機能は、過剰なインターフェイスのフラップや状態変化の影響を抑制するために使用される、設定可能な指数関数的減少メカニズムを採用しています。IP イベント減衰機能がイネーブルになっている場合、過剰なルート更新情報をフィルタリングすることによって、フラップが発生しているインターフェイスは、ルーティング プロトコルの観点から減衰されます。フラップが発生しているインターフェイスが特定され、ペナルティを割り当てられ、必要に応じて抑制され、インターフェイスが安定すればネットワークで利用可能になります。図 1 は、ルーティング プロトコルによってインターフェイス状態イベントが認識された場合を示す図です。
抑制しきい値は、フラップが発生しているインターフェイスをルータが減衰するトリガーとなる、累積ペナルティの値です。フラップが発生しているインターフェイスはルータによって特定され、アップおよびダウン状態変化ごとにペナルティを割り当てられますが、インターフェイスは自動的には減衰されません。ルータは、フラップが発生しているインターフェイスの累積ペナルティをトラッキングします。累積ペナルティがデフォルトまたは設定済みの抑制しきい値に到達すると、インターフェイスが減衰状態になります。
半減期は、累積ペナルティの指数関数的な減少の速さを指定します。インターフェイスが減衰状態になると、ルータは、インターフェイスの以後のアップおよびダウン状態変化をモニタします。インターフェイスでペナルティの累積が続き、抑制しきい値の範囲内に留まっている間は、インターフェイスは減衰されたままです。インターフェイスが安定しフラップが発生しなくなると、半減期が終了するごとに、ペナルティが半分に減らされます。ペナルティが再使用しきい値に低下するまで、累積ペナルティが減らされていきます。半減期タイマーの設定可能な範囲は 1 ~ 30 秒です。デフォルトの半減期タイマーは 5 秒です。
累積ペナルティが減らされて再使用しきい値まで低下すると、ルートの抑制がなくなり、ネットワークの他のデバイスに対して使用可能になります。再使用値の範囲は 1 ~ 20000 ペナルティです。デフォルト値は 1000 ペナルティです。
最大抑制時間は、インターフェイスにペナルティが割り当てられている場合に、インターフェイスの抑制状態を維持できる最大時間を表します。最大抑制時間は 1 ~ 255 秒で設定できます。最大ペナルティは、最大 20000 単位に切り捨てられます。累積ペナルティの最大値は、最大抑制時間、再使用しきい値、および半減期に基づいて算出されます。
インターフェイスで減衰が設定されていない場合や、減衰が設定されていても抑制されていない場合、インターフェイス状態が移行しても IP イベント減衰機能によってルーティング プロトコルの動作が変更されることはありません。ただし、インターフェイスが抑制されている場合、インターフェイスの抑制がなくなるまで、ルーティング プロトコルとルーティング テーブルは、インターフェイスの状態移行の以降の影響を受けません。
次のインターフェイスは、この機能の設定の影響を受けます。
(注) |
この機能を設定できるのはプライマリ インターフェイスのみです。また、すべてのサブインターフェイスには、プライマリ インターフェイスと同じ減衰設定が適用されます。IP イベント減衰は、インターフェイス上の個々のサブインターフェイスのフラップはトラッキングしません。 |
使用されているすべてのプロトコルは、IP イベント減衰機能の影響を受けます。IP イベント減衰機能は、Border Gateway Protocol(BGP)、Enhanced Interior Gateway Routing Protocol(EIGRP)、Hot Standby Routing Protocol(HSRP)、Open Shortest Path First(OSPF)、Routing Information Protocol(RIP)、および VRRP をサポートします。関連するインターフェイス IP アドレスへの ping および SSH は動作しません。
(注) |
IP イベント減衰機能がイネーブルになっていない場合や、インターフェイスが減衰されていない場合は、ルーティング プロトコルへの影響はありません。 |
IP イベント減衰機能をイネーブルにするには、インターフェイス コンフィギュレーション モードで dampening コマンドを入力します。すでに減衰が設定されているインターフェイスに対してこのコマンドを適用すると、減衰状態はすべてリセットされ、累積ペナルティが 0 に設定されます。インターフェイスが減衰されている場合、累積ペナルティは再使用しきい値まで低下し、減衰しているインターフェイスはネットワークに対して使用可能になります。ただし、フラップ カウントは保持されます。
IP イベント減衰機能の設定を確認するには、show dampening interface コマンドまたは show interface dampening コマンドを使います。
コマンドまたはアクション | 目的 | |
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ステップ 1 | show dampening interface |
減衰されたインターフェイスを表示します。 |
ステップ 2 | show interface dampening |
減衰されたローカル ルータ上のインターフェイスを表示します。 |