用語の定義
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CC |
Ethernet OAM Continuity Check |
CCM |
Ethernet OAM Continuity Check Message |
CCDB |
Ethernet OAM Continuity Check Database |
CFM |
Ethernet Connectivity Fault Management |
EI |
Ethernet Infrastructure または EVC Infrastructure |
EVC |
Ethernet Virtual Circuit:イーサネット バーチャル サーキット |
LMEP |
Local Mep:ローカル MEP |
MEP |
Maintenance Endpoint |
MIP |
Maintenance Intermediate Point |
OAM |
Operations Administration and Maintenance |
サービス VLAN |
プロバイダー ネットワーク内のカスタマー サービス インスタンスを一意に識別する VLAN タグ |
SMEP |
Server MEP:サーバ MEP |
SNMP |
Simple Network Management Protocol:簡易ネットワーク管理プロトコル |
SP |
Service Provider:サービス プロバイダー |
UNI |
User to Network Interface |
VLAN |
Virtual LAN |
Y.1731 の概要
ここでは、Y.1731 の概念情報について説明します。
• 「バックグラウンド」
• 「AIS」
• 「ETH-RDI」
バックグラウンド
イーサネットがメトロポリタンおよび WAN のテクノロジーとして使用されるようになり、従来のイーサネットのエンタープライズ向けの機能に、新しく Operations Administration and Maintenance(OAM)要件が加わっています。イーサネット テクノロジーが、より規模の大きいな、複雑さを増したユーザ ベースに広範に使用されるに伴い、リンク アップタイムの運用管理がきわめて重要になっています。障害の切り分けと対応をいかに迅速に行えるかが、サービス プロバイダーの競争力に直接影響します。
サーバ MEP
サーバ MEP は、サーバ レイヤ終端機能とサーバ/ETH アダプテーション機能の複合機能であり、サーバ レイヤ終端機能またはサーバ/ETH アダプテーション機能により障害が検出された際に、各 ETH レイヤ MEP に通知するために使用されます。この場合、サーバ レイヤ終端機能はサーバ レイヤ固有の OAM メカニズムを実行します。サーバ MEP は ETH-AIS 機能をサポートする必要があり、サーバ/ETH アダプテーション機能は、サーバ レイヤ終端機能またはアダプテーション機能によりサーバ レイヤで障害が検出された際に ETH-AIS 情報を含むフレームを発行するために必要です。
バーチャル MEP は、リンク レイヤまたはトランスポート レイヤに定義された CFM MA の論理的な終端地点です。サーバ MEP は、メンテナンス レベル 1 で実行または定義されたものとして想定できます。たとえば、外向型サーバ MEP を IEEE 802.3ah OAM の各終端地点または MPLS PW OAM の終端地点に対応付けることが可能です。
AIS
ETH-AIS では、サーバ(サブ)レイヤでの障害状態の検出に続くアラームを抑制できます。Spanning Tree Protocol(STP; スパニング ツリー プロトコル)環境内では個別の復旧機能が提供されているので、STP 環境で ETH-AIS を適用することは通常ありません。Catalyst 4500 Metro スイッチについては、AIS が設定可能になっており、管理者は STP 環境で AIS をイネーブルにしたりディセーブルにしたりできます。
ETH-AIS 情報を含むフレームの送信は、MEP(またはサーバ MEP)でイネーブルにしたりディセーブルにしたりできます。
障害状態が検出されると、ETH-AIS 情報を含むフレームが、MEP(サーバ MEP を含む)によってクライアントのメンテナンス レベルで発行できます。障害状態には、たとえば次のものが含まれます。
• ETH-CC がイネーブルになっている場合の信号障害状態
• ETH-CC がディセーブルになっている場合の AIS 状態
マルチポイント ETH 接続の場合、MEP は ETH-AIS 情報を含むフレームを受信した際に、障害状態が発生したサーバ(サブ)レイヤのエンティティを特定できません。さらに重要なことは、MEP はアラームを抑制する対象のピア MEP の関連するサブセットを特定できません。これは受信した ETH-AIS 情報にそうした情報が含まれていないからです。このため、MEP は ETH-AIS 情報を含むフレームを受信すると、接続が存在するかどうかにかかわらずすべてのピア MEP のアラームを抑制します。
しかし、ポイントツーポイント ETH 接続の場合、MEP のピア MEP は 1 つだけです。したがって、ETH-AIS 情報を受信した際に、アラームを抑制する対象のピア MEP は明白です。
ETH-AIS 情報を含むフレームを発行するように設定されているのは MEP(サーバ MEP を含む)だけです。MEP は、障害状態を検出すると ETH-AIS 情報を含むフレームの定期送信を、設定されたクライアントのメンテナンス レベルでただちに開始できます。Cisco IOS では、インターフェイスに設定された MIP レベルで送信します。MEP は、障害状態が取り除かれるまで ETH-AIS 情報を含むフレームの定期送信を続けます。ETH-AIS 情報を含むフレームを受信して AIS 状態を検出すると、MEP はすべてのピア MEP に関連する Loss of Continuity(連続性の喪失)アラームを抑制します。MEP は AIS 状態でないときに連続性喪失の障害状態を検出すると Loss of Continuity アラームの生成を再開します。
ETH-RDI
MEP は ETH-RDI を使用して、障害状態が発生したことをピア MEP に伝えることができます。ETH-RDI が使用されるのは、ETH-CC 送信がイネーブルになっている場合に限られます。
ETH-RDI には次の 2 種類の用途があります。
• 片終端障害管理 ― 受信側の MEP が RDI 障害状態を検出した場合、その障害がこの MEP の他の障害状態と関連し合い、故障の原因となることがあります。1 つの MEP で ETH-RDI 情報が受信されない場合は、そのメンテナンス レベル全体に障害がないことを意味します。
• 遠端パフォーマンス モニタリングへの寄与 ― 遠端に障害状態があったことを表し、パフォーマンス モニタリング プロセスに対する 1 つの入力情報として使用されます。
障害状態にある MEP は、ETH-RDI 情報を含むフレームを送信します。MEP は、ETH-RDI 情報を含むフレームを受信すると、ピア MEP が障害状態になったことを確認します。しかし、マルチポイント ETH 接続の場合、MEP は ETH-RDI 情報を含むフレームを受信した際に、RDI 情報を送信した MEP に発生した障害状態に関連するピア MEP サブセットを特定できません。これは送信側 MEP 自身がそうした情報を常に持っているわけではないからです。
図57-1 AIS メッセージおよび障害(リンク障害)時の CC(RDI を使用した)の生成と伝播
Y.1731 の設定
(注) Y.1731 はデフォルトでイネーブルです。
ここでは、次の内容について説明します。
• 「Y.1731 設定時の注意事項」
• 「AIS パラメータの設定」
• 「AIS 障害状態からの MEP のクリア」
• 「AIS 障害状態からの SMEP のクリア」
Y.1731 設定時の注意事項
Y.1731 の設定時の注意事項および制約事項は次のとおりです。
• STP 環境には個別の復旧機能が提供されているので、STP 環境に ETH-AIS を適用することは想定されていません。
• デフォルトでは、CFM メンテナンス ドメイン上で AIS はイネーブルです。次に、メンテナンス ドメイン上で AIS をディセーブルにするために使用できるコマンドについて説明します。なお、RDI は CC メッセージ内のフラグ ビットです。提供された CC 送信がイネーブルになっている場合、CC メッセージの現在の RDI フラグは true または false に設定されます。
AIS パラメータの設定
AIS パラメータを設定するには、次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
Switch# configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
Switch (config)# ethernet cfm ais domain name vlan range |
config-ais-mep-cfm サブモードを開始して、MA ごとに MA に属するすべてのローカル MEP のパラメータを設定します。 name にはドメイン名を指定します。 range は VLAN ID です。たとえば、「100」、「1-4095」、「100,200-300,400,500」などのように入力します。 domain vlan rang には、VLAN 分離または一致のコンフィギュレーションのみが受け入れられます。 |
ステップ 3 |
Switch(config-ais-mep-cfm)# disable |
AIS 送信をディセーブルにします。 |
ステップ 4 |
Switch(config-ais-mep-cfm)# period period |
AIS 送信期間を設定します。 |
ステップ 5 |
Switch(config-ais-mep-cfm)# level level |
MA に属する MEP の AIS フレームを送信するメンテナンス レベルを確立します。 指定できるレベルは 0 ~ 7 です。 |
ステップ 6 |
Switch(config-ais-mep-cfm)# expiry-threshold threshold |
AIS 有効期限しきい値を設定します。 デフォルトの有効期限しきい値は 3.5 です。この CLI コマンドを使用して、MA の有効期限しきい値パラメータを変更できます。 |
ステップ 7 |
Switch(config-ais-mep-cfm)# express alarm |
AIS メッセージにより MEP が AIS 障害状態に入った場合のアラームの抑制を設定します。 |
ステップ 8 |
Switch(config-ais-mep-cfm)# exit |
グローバル コンフィギュレーションに戻ります。 |
ステップ 9 |
Switch(config)# [no] ethernet cfm ais link-status global |
config-ais-link-cfm サブモードを開始して、E-OAM の報告によりリンク ステータスがダウンした場合に必要なパラメータを設定します。 |
ステップ 10 |
Switch(config-if)# [no] ethernet cfm ais link-status period period |
インターフェイス上のリンク ステータスにより生成される ETH-AIS 送信期間を設定します。 |
ステップ 11 |
Switch(config-if)# [no] ethernet cfm ais link-status level level |
インターフェイス上のリンク ステータスにより送信される AIS フレームを送信するメンテナンス レベルを設定します。 |
ステップ 12 |
end |
特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 13 |
Switch# show ethernet cfm smep interface name Switch# show ethernet cfm maintenance-points local detail Switch# show ethernet cfm maintenance-points remote detail Switch# show ethernet cfm error |
設定を確認します。 |
ステップ 14 |
Switch# show running-config |
入力を確認します。 |
ステップ 15 |
Switch# copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
設定を削除する場合、またはデフォルト設定に戻す場合は、上記コマンドの no 形式を使用します。
AIS 障害状態からの MEP のクリア
AIS 障害状態から MEP をクリアするには、次のいずれかのコマンドを使用します。
Switch# clear ethernet cfm ais domain domain name mpid local mpid vlan vlan#
Switch# clear ethernet cfm ais domain domain name mpid local mpid evc evc_name
AIS 障害状態からの SMEP のクリア
AIS 障害状態から SMEP をクリアするには、次のいずれかのコマンドを使用します。
Switch# clear ethernet cfm ais link-status interface interface_name
Switch# clear ethernet cfm error
(注) この操作を行うと、AIS を含むすべてのエラー状態がクリアされます。
Y.1731 情報の表示
次に、RDI 障害を追跡する方法と設定パラメータを確認する方法の例を示します。
Switch# show ethernet cfm main local detail
DomainName: PROVIDER_DOMAIN
Defect Condition: No Defect
presentRDI: FALSE (RDI 障害はなし)
AIS Expiry Threshold: 3.5
Level to transmit AIS: Default
Suppress Alarm configuration: Enabled
7 MIP Gi3/1 001b.d550.91fd
4 MIP Te1/2 001b.d550.91fd
*Feb 18 05:40:35.659: %ETHER_CFM-6-ENTER_AIS: local mep with mpid 1109 level 4 id 100 dir I Interface GigabitEthernet3/1 enters AIS defect condition
(gi3/2 が AIS 状態になる)
Switch# show ethernet cfm main local detail
DomainName: PROVIDER_DOMAIN
presentRDI: TRUE (RDI 障害が発生)
AIS Expiry Threshold: 3.5
Level to transmit AIS: Default
Suppress Alarm configuration: Enabled
7 MIP Gi3/1 001b.d550.91fd
4 MIP Te1/2 001b.d550.91fd
Switch# show ethernet cfm error
Level Vlan MPID Remote MAC Reason Service ID
4 100 2101 001d.4566.aa3d 0 lifetime TLV customerX
4 100 - 001b.d550.91fd Receive AIS customerX
*Feb 18 05:51:08.567: %ETHER_CFM-6-EXIT_AIS: local mep with mpid 1109 level 4 id 100 dir I Interface GigabitEthernet3/1 exited AIS defect condition
Switch# show ethernet cfm main local detail
DomainName: PROVIDER_DOMAIN
Defect Condition: No Defect
presentRDI: FALSE (RDI 障害は解消)
AIS Expiry Threshold: 3.5
Level to transmit AIS: Default
Suppress Alarm configuration: Enabled
7 MIP Gi3/1 001b.d550.91fd
4 MIP Te1/2 001b.d550.91fd
Y.1731 情報を表示するには、次のコマンドを使用します( 表57-1 )。
表57-1 Y.1731 情報の表示
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show ethernet cfm maintenance-point local detail
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ローカル メンテナンス ポイント上の AIS ステータスおよび障害状態を表示します。 |
show ethernet cfm smep [interface <name>]
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SMEP上の AIS ステータスおよび障害状態を表示します。 |
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AIS 障害状態によるエラーを表示します。 |
show ethernet cfm maintenance-points remote [detail
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リモート メンテナンス ポイント上の AIS ステータスおよび障害状態を表示します。 |