VLAN トランキングプロトコル(VTP)設定の特性を設定するか、または変更するには、グローバル コンフィギュレーション モードで vtp コマンドを使用します。この設定を削除したりデフォルト設定に戻すには、このコマンドの no 形式を使用します。
vtp {domain domain-name | file filename | interface interface-name [only] | mode {client | off | server | transparent} [mst | unknown | vlan] | password password [hidden | secret] | pruning | version number}
no vtp {file | interface | mode [client | off | server | transparent] [mst | unknown | vlan] | password | pruning | version}
構文の説明
domain domain-name
|
VTP ドメイン名を device の VTP 管理ドメインを識別する 1 ~ 32 文字の ASCII 文字列で指定します。ドメイン名では大文字と小文字が区別されます。
|
file filename
|
VTP VLAN 設定が保存されている Cisco IOS ファイル システム ファイルを指定します。
|
interface interface-name
|
このデバイスで更新された VTP ID を提供するインターフェイスの名前を指定します。
|
only
|
(任意)VTP IP アップデータとしてこのインターフェイスの IP アドレスだけを使用します。
|
mode
|
VTP デバイス モードをクライアント、サーバ、またはトランスペアレントに指定します。
|
client
|
device を VTP クライアントモードにします。VTP クライアントモードの device は VTP に対してイネーブルであり、アドバタイズメントを送信できますが、VLAN 設定を格納するための十分な不揮発性メモリがありません。VTP クライアントでは、VLAN を設定できません。VLAN は、ドメインに含まれる、他のサーバー モードの
device で設定します。VTP クライアントが起動すると、VTP クライアントはその VLAN データベースを初期化するアドバタイズを受信するまで、VTP アドバタイズを送信しません。
|
off
|
device を VTP オフモードにします。VTP オフモードの device は、トランクポート上で VTP アドバタイズメントを転送しないことを除いて、VTP トランスペアレントデバイスと同様に機能します。
|
server
|
device を VTP サーバーモードにします。VTP サーバーモードの device は VTP に対してイネーブルであり、アドバタイズメントを送信します。device で VLAN を設定できます。device は、再起動後に、不揮発性メモリから現在の VTP データベース内のすべての VLAN 情報を回復できます。
|
transparent
|
device を VTP トランスペアレントモードにします。VTP トランスペアレントモードの device は、VTP に対してディセーブルであり、アドバタイズメントの送信や、他のデバイスから送信されたアドバタイズメントからの学習を行いません。また、ネットワーク内の他のデバイスの VLAN 設定に影響を与えることはありません。device は VTP アドバタイズメントを受信し、アドバタイズメントを受信したトランクポートを除くすべてのトランクポートにこれを転送します。
VTP モードがトランスペアレントである場合、モードおよびドメイン名は device の実行コンフィギュレーション ファイルに保存されます。この情報を device のスタートアップ コンフィギュレーション ファイルに保存するには、copy running-config startup config 特権 EXEC コマンドを入力します。
|
mst
|
(任意)マルチ スパニングツリー(MST)VTP データベース(VTP バージョン 3 に限る)にモードを設定します。
|
unknown
|
(任意)未知の VTP データベース(VTP バージョン 3 に限る)にモードを設定します。
|
vlan
|
(任意)VLAN VTP データベースにモードを設定します。これがデフォルトです(VTP バージョン 3 に限る)。
|
password password
|
VTP アドバタイズメントで送信され、受信 VTP アドバタイズメントを確認するための MD5 ダイジェスト計算で使用される 16 バイトの秘密値を生成するための管理ドメイン パスワードを設定します。パスワードは、1 ~ 32 文字の ASCII
文字列です。パスワードでは大文字と小文字が区別されます。
|
hidden
|
(任意)パスワード文字列から生成されたキーが VLAN データベース ファイルに保存されることを指定します。hidden キーワードを指定しない場合、パスワード文字列はクリアテキストに保存されます。hidden パスワードを入力した場合、そのパスワードを再入力し、ドメイン内でコマンドを実行する必要があります。このキーワードは、VTP バージョン 3 だけでサポートされています。
|
secret
|
(任意)ユーザがパスワードの秘密キーを直接設定できるようにします(VTP バージョン 3 に限る)。
|
pruning
|
device 上で VTP プルーニングをイネーブルにします。
|
version number
|
VTP バージョンをバージョン 1、バージョン 2、またはバージョン 3 に設定します。
|
コマンド デフォルト
デフォルトのファイル名は flash:vlan.dat です。
デフォルト モードはサーバ モードで、デフォルトのデータベースは VLAN です。
VTP バージョン 3 では、MST データベースのデフォルト モードはトランスペアレントです。
ドメイン名またはパスワードは定義されていません。
パスワードは設定されていません。
プルーニングはディセーブルです。
デフォルトのバージョンはバージョン 1 です。
コマンド モード
グローバル コンフィギュレーション
コマンド履歴
リリース |
変更内容 |
Cisco IOS XE Everest 16.6.1
|
このコマンドが導入されました。
|
使用上のガイドライン
VTP モード、ドメイン名、および VLAN 設定を device のスタートアップ コンフィギュレーション ファイルに保存して、device を再起動すると、VTP および VLAN 設定は次の条件によって選択されます。
-
スタートアップ コンフィギュレーションおよび VLAN データベース内の VTP モードがトランスペアレントであり、VLAN データベースとスタートアップ コンフィギュレーション ファイルの VTP ドメイン名が一致する場合は、VLAN データベースが無視され(クリアされ)、スタートアップ
コンフィギュレーション ファイル内の VTP および VLAN 設定が使用されます。VLAN データベース内の VLAN データベース リビジョン番号は変更されません。
-
スタートアップ コンフィギュレーション内の VTP モードまたはドメイン名が VLAN データベースと一致しない場合、VLAN ID 1 ~ 1005 のドメイン名、VTP モード、および VTP 設定には VLAN データベース情報が使用されます。
新規データベースをロードするのに vtp file filename を使用することはできません。これは、既存のデータベースが保存されているファイルの名前を変更するだけです。
VTP ドメイン名を設定するときには、次の注意事項に従ってください。
-
ドメイン名を設定するまで、device は非管理ドメインステートの状態です。非管理ドメインステートの間は、ローカル VLAN 設定に変更が生じても、device は VTP アドバタイズメントを送信しません。device は、トランキングを行っているポートで最初の VTP サマリーパケットを受信した後、または vtp domain コマンドでドメイン名を設定した後で、非管理ドメインステートから抜け出します。device は、サマリーパケットからドメインを受信した場合、そのコンフィギュレーション リビジョン番号を 0 にリセットします。device が非管理ドメインステートから抜け出したあと、NVRAM をクリアしてソフトウェアをリロードするまで、スイッチがこのステートに再び入るよう設定することはできません。
-
ドメイン名では、大文字と小文字が区別されます。
-
設定したドメイン名は、削除できません。別のドメインに再度割り当てるしかありません。
VTP モードを設定するときには、次の注意事項に従ってください。
-
no vtp mode コマンドを使用すると、device を VTP サーバーモードに戻すことができます。
-
vtp mode server コマンドは、device がクライアントモードまたはトランスペアレントモードでない場合にエラーを返さないことを除けば、no vtp mode と同じです。
-
受信 device がクライアントモードである場合、クライアント device はその設定を変更して、サーバーの設定をコピーします。クライアントモードの devices がある場合には、必ずサーバーモードの device ですべての VTP または VLAN 設定変更を行ってください。サーバーモードのスイッチの方が、保持している VTP コンフィギュレーション リビジョン番号が大きいためです。受信 device がトランスペアレントモードである場合、その device の設定は変更されません。
-
トランスペアレントモードの device は、VTP に参加しません。トランスペアレントモードの device で VTP または VLAN 設定の変更を行った場合、その変更はネットワーク内の他の devices には伝播されません。
-
サーバーモードの device で VTP または VLAN 設定を変更した場合、その変更は同じ VTP ドメインのすべての devices に伝播されます。
-
vtp mode transparent コマンドは、ドメインの VTP をディセーブルにしますが、device からドメインを削除しません。
-
VTP バージョン 1 および 2 では、VTP および VLAN 情報を実行コンフィギュレーション ファイルに保存する場合には、VTP モードはトランスペアレントに設定してください。
-
VTP バージョン 1 および 2 では、拡張範囲 VLAN がスイッチで設定されている場合には、VTP モードをクライアントまたはサーバに変更できません。VTP モードは、VTP バージョン 3 で拡張 VLAN を使用することにより変更できます。
-
拡張範囲 VLAN を追加したり、VTP および VLAN 情報を実行コンフィギュレーション ファイルに保存したりする場合には、VTP モードはトランスペアレントに設定してください。
-
ダイナミック VLAN 作成がディセーブルの場合、VTP に設定できるモードは、サーバ モードまたはクライアント モードのいずれかに限ります。
-
vtp mode off コマンドを使用すると、デバイスをオフに設定します。no vtp mode off コマンドを使用すると、デバイスを VTP サーバモードにリセットします。
VTP パスワードを設定するときには、次の注意事項に従ってください。
-
パスワードは大文字と小文字が区別されます。パスワードは、同じドメイン内のすべての devices で一致している必要があります。
-
device をパスワードが設定されていない状態に戻す場合は、このコマンドの no vtp password 形式を使用します。
-
hidden および secret キーワードは、VTP バージョン 3 だけでサポートされています。VTP バージョン 2 から VTP バージョン 3 に変換する場合、変換前に hidden または secret キーワードを削除する必要があります。
VTP プルーニングを設定するときには、次の注意事項に従ってください。
-
VTP プルーニングは、プルーニング適格 VLAN に所属するステーションがない場合、その VLAN の情報を VTP 更新から削除します。
-
VTP サーバでプルーニングをイネーブルにすると、プルーニングは VLAN ID 1 ~ 1005 の管理ドメイン全体でイネーブルになります。
-
プルーニング適格リストに指定された VLAN だけが、プルーニングの対象になります。
-
プルーニングは、VTP バージョン 1 およびバージョン 2 でサポートされています。
VTP バージョンを設定するときには、次の注意事項に従ってください。
-
バージョン 2(v2)モード ステートを切り替えると、ある一定のデフォルト VLAN のパラメータが変更されます。
-
各 VTP device は他のすべての VTP デバイスの機能を自動的に検出します。VTP バージョン 2 を使用するには、ネットワーク内のすべての VTP devices でバージョン 2 がサポートされている必要があります。そうでない場合、VTP バージョン 1 モードで稼働するよう設定する必要があります。
-
ドメイン内のすべての devices が VTP バージョン 2 対応である場合、1 つの device でバージョン 2 を設定すれば、バージョン番号は、VTP ドメイン内の他のバージョン 2 対応 devices に伝播されます。
-
トークンリング環境で VTP を使用している場合、VTP バージョン 2 もイネーブルである必要があります。
-
Token Ring Bridge Relay Function(TrBRF)または Token Ring Concentrator Relay Function(TrCRF)VLAN メディア タイプを設定している場合には、バージョン 2 を使用してください。
-
トークンリングまたはトークンリング NET VLAN メディア タイプを設定している場合には、バージョン 1 を使用してください。
-
VTP バージョン 3 では、VLAN データベース情報だけでなく、すべてのデータベース VTP 情報がその VTP ドメイン全体に伝播します。
-
VTP バージョン 3 の 2 つのリージョンが、VTP バージョン 1 または VTP バージョン 2 のリージョン経由で通信できるのは、トランスペアレントモードの場合に限られます。
device コンフィギュレーション ファイルにパスワード、プルーニング、およびバージョン コンフィギュレーションを保存することはできません。
次の例では、VTP コンフィギュレーション ストレージのファイル名を vtpfilename に変更する方法を示します。
デバイス(config)# vtp file vtpfilename
次の例では、デバイス ストレージのファイル名をクリアする方法を示します。
デバイス(config)# no vtp file vtpconfig
Clearing device storage filename.
次の例では、このデバイスの VTP アップデータ ID を提供するインターフェイスの名前を指定する方法を示します。
デバイス(config)# vtp interface gigabitethernet
次の例では、deviceの管理ドメインを設定する方法を示します。
デバイス(config)# vtp domain OurDomainName
次の例では、deviceを VTP トランスペアレントモードにする方法を示します。
デバイス(config)# vtp mode transparent
次の例では、VTP ドメイン パスワードを設定する方法を示します。
デバイス(config)# vtp password ThisIsOurDomainsPassword
次の例では、VLAN データベースでのプルーニングをイネーブルにする方法を示します。
デバイス(config)# vtp pruning
Pruning switched ON
次の例では、VLAN データベースのバージョン 2 モードをイネーブルにする方法を示します。
デバイス(config)# vtp version 2
設定を確認するには、show vtp status 特権 EXEC コマンドを入力します。