Cisco IP Phone の概要
Cisco IP Phone 7970 シリーズは、Internet Protocol(IP; インターネット プロトコル)ネットワーク上で音声通信を行うための機能をすべて備えた電話機です。従来のアナログ電話機と同じように機能するため、コールの発信および受信のほか、ミュート、保留、コール転送、短縮ダイヤル、自動転送などの機能も使用できます。また、Cisco IP Phone はデータ ネットワークに接続されるため、ネットワーク情報とサービス、およびカスタマイズ可能な機能とサービスにアクセスするなど、強化された IP テレフォニー機能を使用できます。さらに、ファイル認証、デバイス認証、シグナリング暗号化、およびメディア暗号化といったセキュリティ機能がサポートされています。
Cisco IP Phone 7970 シリーズには、カラー タッチスクリーン、最大 8 つの回線番号または短縮ダイヤル番号のサポート、ボタンや機能に対応した文脈依存オンライン ヘルプ、およびその他の多彩で高度な機能が用意されています。
Cisco IP Phone は、他のネットワーク デバイスと同様に、設定と管理を行う必要があります。電話機では、G.711、G.729、G.729a、G.729b、G.729ab、およびワイドバンド(16 ビット、16 kHz)オーディオ圧縮がサポートされています。
この章は、次の項で構成されています。
• 「Cisco IP Phone 7970 シリーズの概要」
• 「使用するネットワーク プロトコル」
• 「Cisco IP Phone 7970 シリーズでサポートされる機能」
• 「Cisco IP Phone のセキュリティ機能の概要」
• 「Cisco IP Phone 7970 シリーズを設置および設定するための要件の概要」
• 「Cisco IP Phone の MAC アドレスの特定」
注意
Cisco IP Phone の非常に近くで携帯電話、GSM 電話、または双方向ラジオを使用すると、干渉が起こる場合があります。詳細については、干渉するデバイスの製造元のマニュアルを参照してください。
Cisco IP Phone 7970 シリーズの概要
図 1-1 は、Cisco IP Phone 7970 シリーズの主要コンポーネントを示しています。
図 1-1 Cisco IP Phone
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プログラマブル ボタン
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設定に応じて、プログラマブル ボタンから次に示す項目にアクセスできます。 • 別個の電話回線または内線番号(回線ボタン) • 頻繁にダイヤルする電話番号(短縮ダイヤル ボタン) • Web ベースの電話サービス(サービス ボタン) • 特殊な電話機能(プライバシー ボタン) 表示されるボタンの色によって、回線の状態が次のように示されます。 • 緑、点灯:この回線のコールはアクティブです(オフフック)。 • 緑、点滅:この回線のコールは保留状態です。 • オレンジ、点灯:プライバシー機能が有効です。 • オレンジ、点滅:この回線で着信コールが鳴っています。 • 赤:共有回線で、現在使用中です。 • 色なし:この回線にコールのアクティビティはありません(オンフック)。 |
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フットスタンド調節ノブ |
電話機の角度を調節します。 |
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ディスプレイ ボタン
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タッチスクリーンをスリープ モードから解除します。また、タッチスクリーンをクリーニングのために無効にします。 さらに、タッチスクリーンの状態が次のように示されます。 • 色なし:タッチスクリーンは入力可能な状態です。 • 緑、点滅:タッチスクリーンは無効です。 • 緑、点灯:タッチスクリーンとバックライトは無効です。 |
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メッセージ ボタン
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通常、ボイス メッセージ システムに自動ダイヤルします。 |
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ディレクトリ ボタン
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[ディレクトリ]メニューを開閉します。このメニューでは、履歴(不在履歴、着信履歴、および発信履歴)および社内ディレクトリ(使用可能な場合)にアクセスできます。 |
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ヘルプ ボタン
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オンライン ヘルプにアクセスできます。 |
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設定ボタン
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[設定]メニューを開閉します。このメニューでは、ユーザ設定、ネットワーク設定、デバイス設定、および電話機に関する情報にアクセスできます。 |
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サービス ボタン
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[サービス]メニューを開閉します。このメニューでは、割り当て済みのサービスや登録済みのサービスなど、電話サービスにアクセスできます。 |
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音量ボタン
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コールの音量(オフフック)と呼出音の音量(オンフック)を制御します。また、コントラストと明るさの設定を調節します。 |
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スピーカ ボタン
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スピーカフォン モードのオン/オフを切り替えます。 |
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ミュート ボタン
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ミュート機能のオン/オフを切り替えます。 |
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ヘッドセット ボタン
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ヘッドセット モードのオン/オフを切り替えます。 |
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ナビゲーション ボタン
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メニューのスクロールや項目の強調表示に使用します。ソフトキーと一緒に使用すると、強調表示された項目がアクティブになります。 |
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キーパッド |
機能は従来の電話機のキーパッドと同じです。 |
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ソフトキー |
LCD の該当するタブに表示される機能を実行できます。ソフトキーは、LCD スクリーンの下部に表示される機能オプションに対応しています。ソフトキーは、電話機の状態に応じて変化します。 |
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ハンドセット(メッセージ受信インジケータのランプ付き) |
機能は従来のハンドセットと同じです。ハンドセットの上部にあるライト ストリップは、電話機の呼出音が鳴ると点滅し、新しいボイス メッセージが着信すると点灯したままになります。 |
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タッチスクリーン |
Cisco IP Phone 7970 シリーズ上のカラー ディスプレイ。 |
使用するネットワーク プロトコル
Cisco IP Phone では、音声通信に必要な複数の業界標準ネットワーク プロトコルおよびシスコ ネットワーク プロトコルがサポートされています。 表1-1 は、Cisco IP Phone 7970 シリーズでサポートされているネットワーク プロトコルの概要を示しています。
表1-1 Cisco IP Phone でサポートされているネットワーク プロトコル
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ブートストラップ プロトコル(BootP) |
BootP を使用すると、Cisco IP Phone などのネットワーク デバイスは、IP アドレスなどの起動情報を検出できます。 |
Cisco IP Phone への IP アドレスの割り当てに BootP を使用している場合、電話機のネットワーク設定にある[BOOTPサーバ]オプションには「Yes」が表示されます。 |
シスコ検出プロトコル(CDP) |
CDP は、すべてのシスコ製の機器で動作するデバイス検出プロトコルです。 CDP を使用すると、デバイスは、ネットワーク内の他のデバイスに自身の存在を通知し、それらのデバイスに関する情報を受信することができます。 |
Cisco IP Phone は CDP を使用して、Cisco Catalyst スイッチとの間で、補助 VLAN ID、ポート単位の電源管理の詳細、および QoS(Quality of Service)設定情報などを通信します。 |
Dynamic Host Configuration Protocol(DHCP) |
DHCP は、IP アドレスをネットワーク デバイスに動的に配分し、割り当てます。 DHCP を使用すると、手動で IP アドレスを割り当てたり、追加のネットワーク パラメータを設定したりすることなく、IP Phone をネットワークに接続して動作可能状態にすることができます。 |
DHCP は、デフォルトで有効になっています。無効にした場合は、ローカルで各電話機に IP アドレス、サブネット マスク、ゲートウェイ、および TFTP サーバを手動で設定する必要があります。 DHCP カスタム オプション 150 の使用をお勧めします。この方式を使用すると、TFTP サーバの IP アドレスをオプション値として設定できます。サポートされている追加の DCHP 設定については、『 Cisco CallManager システム ガイド 』を参照してください。 |
インターネット プロトコル(IP) |
IP は、ネットワーク全体にわたってパケットのアドレッシングと送信を行うメッセージ プロトコルです。 |
IP を使用して通信するには、ネットワーク デバイスに IP アドレス、サブネット、およびゲートウェイを割り当てる必要があります。 Dynamic Host Configuration Protocol(DHCP)を利用して Cisco IP Phone を使用する場合は、IP アドレス、サブネット、およびゲートウェイの識別情報が自動的に割り当てられます。DHCP を利用しない場合は、ローカルで各電話機にこれらのプロパティを手動で割り当てる必要があります。 |
リアルタイム トランスポート プロトコル(RTP) |
RTP は、対話型の音声やビデオなどのリアルタイム データを、データ ネットワーク上で転送するための標準プロトコルです。 |
Cisco IP Phone は RTP プロトコルを使用して、他の電話機やゲートウェイとの間でリアルタイムの音声トラフィックを送受信します。 |
Transmission Control Protocol(TCP) |
TCP は、コネクション型の転送プロトコルです。 |
Cisco IP Phone は TCP を使用して、Cisco CallManager への接続および XML サービスへのアクセスを行います。 |
Transport Layer Security(TLS) |
TLS は、通信の保護および認証を行うための標準プロトコルです。 |
セキュリティが実装されている場合、Cisco IP Phone は Cisco CallManager に安全に登録するときに TLS プロトコルを使用します。 |
Trivial File Transfer Protocol(TFTP) |
TFTP は、ネットワーク上のファイル転送を可能にするプロトコルです。 Cisco IP Phone では、TFTP を使用することで、電話タイプ固有の設定ファイルを取得できます。 |
TFTP を使用するには、DHCP サーバから自動的に識別できる TFTP サーバがネットワークに必要です。DHCP サーバで指定された TFTP サーバとは別のサーバを電話機で使用する場合は、電話機の[ネットワークの設定]メニューから TFTP サーバを手動で割り当てる必要があります。 |
ユーザ データグラム プロトコル(UDP) |
UDP は、データ パケットを送信するためのコネクションレス型メッセージ プロトコルです。 |
Cisco IP Phone は、UDP を利用する RTP ストリームを送受信します。 |
関連項目
• 「他の Cisco IP テレフォニー製品との相互対話の概要」
• 「電話機の起動プロセスの概要」
• 「ネットワークの設定メニュー」
Cisco IP Phone 7970 シリーズでサポートされる機能
Cisco IP Phone は、従来のアナログ電話機と同じように機能し、コールの発信および受信を行うことができます。従来のテレフォニー機能に加えて、Cisco IP Phone には、電話機をネットワーク デバイスとして管理およびモニタできる機能が含まれています。
この項では、次のトピックについて取り上げます。
• 「機能の概要」
• 「テレフォニー機能の設定」
• 「Cisco IP Phone を使用したネットワーク パラメータの設定」
• 「ユーザへの機能情報の提供」
機能の概要
Cisco IP Phone は従来のテレフォニー機能として、自動転送、コール転送、リダイヤル、短縮ダイヤル、電話会議、ボイス メッセージ システムへのアクセス機能などを備えています。そのほかにも、多彩な機能を備えています。Cisco IP Phone でサポートされているテレフォニー機能の概要については、「電話機で使用できるテレフォニー機能」を参照してください。
他のネットワーク デバイスと同様に、Cisco IP Phone についても、Cisco CallManager や IP ネットワーク全体にアクセスできるように設定しておく必要があります。DHCP を使用すると、電話機で設定する設定値は少なくて済みます。ただし、ネットワークでの必要性に応じて、IP アドレス、TFTP サーバ、およびサブネット マスクを手動で設定できます。Cisco IP Phone でネットワーク設定値を設定する手順については、「Cisco IP Phone の設定値の設定」を参照してください。
Cisco IP Phone は、IP ネットワーク内の他のサービスやデバイスと対話して拡張機能を実行することができます。たとえば、Cisco IP Phone を社内の Lightweight Directory Access Protocol 3(LDAP3)標準ディレクトリと統合すると、ユーザが他の社員の連絡先情報を自分の IP Phone から直接検索できるようになります。また、XML を使用すると、ユーザが、天気予報、株価情報、商品相場などの Web ベースの情報にアクセスできます。このようなサービスの設定については、「社内ディレクトリの設定」および「サービスの設定」を参照してください。
Cisco IP Phone はネットワーク デバイスであるため、詳細なステータス情報を直接入手できます。この情報は、IP Phone の使用時に発生する問題のトラブルシューティングに役立つ場合があります。詳細については、「Cisco IP Phone でのセキュリティ情報、モデル情報、ステータス、および統計情報の表示」を参照してください。
関連項目
• 「Cisco IP Phone の設定値の設定」
• 「機能、テンプレート、サービス、およびユーザの設定」
• 「トラブルシューティングおよびメンテナンス」
テレフォニー機能の設定
Cisco IP Phone に関するその他の設定は、Cisco CallManager Administration アプリケーションから変更できます。この Web ベースのアプリケーションは、主に、電話機の登録基準やコーリング サーチ スペースの設定、社内ディレクトリおよびサービスの設定、および電話ボタン テンプレートの変更に使用します。詳細については、「電話機で使用できるテレフォニー機能」および『 Cisco CallManager アドミニストレーション ガイド 』を参照してください。
Cisco CallManager Administration アプリケーションの詳細については、『 Cisco CallManager アドミニストレーション ガイド 』など、Cisco CallManager のマニュアルを参照してください。また、アプリケーションに用意されている文脈依存ヘルプを使用して、詳細を調べることもできます。
Cisco CallManager のマニュアル一式には、次の URL からアクセスできます。
http://www.cisco.com/univercd/cc/td/doc/product/voice/c_callmg/index.htm
関連項目
• 「電話機で使用できるテレフォニー機能」
Cisco IP Phone のセキュリティ機能の概要
Cisco CallManager システムにセキュリティを実装すると、電話機や Cisco CallManager サーバの ID 盗難、データ改ざん、コール シグナリングやメディア ストリームの改ざんを防止できます。
このような脅威を軽減するため、Cisco IP テレフォニー ネットワークは、電話機とサーバ間では認証および暗号化された通信ストリームを確立および維持し、ファイルを電話機に転送する前にはファイルにデジタル署名します。また、Cisco IP Phone 間ではメディア ストリームとコール シグナリングを暗号化します。
表1-2 は、このマニュアルおよび他のマニュアルに記載されているセキュリティに関する詳細情報の参照先を示しています。
サポートされるセキュリティ機能の概要
表1-3 は、Cisco IP Phone 7970 シリーズでサポートされているセキュリティ機能の概要を示しています。これらの機能の詳細や、Cisco CallManager および Cisco IP Phone のセキュリティの詳細については、『Cisco CallManager セキュリティ ガイド』を参照してください。
電話機の現在のセキュリティ設定を確認する場合は、 [設定]>[セキュリティ設定] を選択します。詳細については、「セキュリティ設定メニュー」を参照してください。
(注) ほとんどのセキュリティ機能は、電話機に Certificate Trust List(CTL; 証明書信頼リスト)がインストールされている場合にのみ使用できます。CTL の詳細については、『Cisco CallManager セキュリティ ガイド』を参照してください。
表1-3 セキュリティ機能の概要
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イメージ認証 |
署名付きバイナリ ファイル(拡張子は .sbn)の使用によって、ファームウェア イメージが電話機にロードされる前に改ざんされることを防止します。イメージの改ざんは、電話機が認証プロセスに失敗し、新しいイメージを拒否する原因となります。 |
カスタマーサイトの証明書のインストール |
各 Cisco IP Phone では、デバイス認証用に一意の証明書が必要になります。電話機には、製造元でインストールされる証明書が含まれています。ただし、セキュリティを強化する場合は、Cisco CallManager Administration で、CAPF を使用して証明書をインストールするように指定できます。または、電話機の[セキュリティ設定]メニューから LSC をインストールすることもできます。 |
デバイス認証 |
デバイス認証は、Cisco CallManager サーバと電話機の間で、各エンティティが相手のエンティティの証明書を受け入れるときに行われます。この場合、電話機と Cisco CallManager の間でセキュア接続が確立されるかどうかを判別し、必要に応じて、エンティティ間で TLS プロトコルを使用してセキュアなシグナリング パスを作成します。Cisco CallManager に電話機が登録されるのは、電話機が Cisco CallManager によって認証可能な場合のみです。 |
ファイル認証 |
ファイル認証は、電話機でダウンロードするデジタル署名付きファイルを検証します。電話機は署名を検証して、ファイルが作成後に改ざんされていないことを確認します。認証に失敗したファイルは、電話機のフラッシュ メモリには書き込まれません。失敗したファイルは拒否され、それ以上処理されることもありません。 |
シグナリング認証 |
シグナリング認証は、TLS プロトコルを使用して、シグナリング パケットが転送中に改ざんされていないことを検証します。 |
製造元でインストールされる証明書 |
各 Cisco IP Phone には、デバイス認証に使用される、一意の、製造元でインストールされる証明書(MIC)が含まれています。MIC は電話機の ID に関する永続的かつ一意の証明で、Cisco CallManager は MIC を使用することで電話機を認証できます。 |
セキュア SRST リファレンス |
Cisco CallManager Administration で、SRST リファレンスにセキュリティを設定してから従属デバイスをリセットすると、TFTP サーバが SRST 証明書を電話機の cnf.xml ファイルに追加して、ファイルを電話機に送信します。これで、セキュアな電話機は、TLS 接続を使用して SRST 対応ルータと対話するようになります。 |
メディア暗号化 |
メディア暗号化は、SRTP を使用して、サポート対象デバイス間のメディア ストリームがセキュアであること、および目的のデバイスだけがデータを受信して読み取ることを保証します。メディア暗号化には、デバイス用のメディア マスター キー ペアの作成、デバイスへのキーの送信、および転送中のキーの送信に対するセキュリティ保護が含まれます。 |
シグナリング暗号化 |
シグナリング暗号化は、デバイスと Cisco CallManager サーバの間で送信されるすべての SCCP シグナリング メッセージが暗号化されることを保証します。 |
CAPF(認証局プロキシ関数) |
CAPF は、証明書生成手順の中で電話機にとって過負荷となる部分を実行し、電話機と対話してキーの生成と証明書のインストールを行います。CAPF では、証明書の要求先を電話機ではなく、お客様が指定した認証局とするように設定するか、またはローカルで証明書を生成するように設定することができます。 |
(オプション)電話機の Web サーバ機能の無効化 |
電話機の Web ページへのアクセスを防止できます。この Web ページには、電話機の動作に関するさまざまな統計情報が表示されます。 |
電話機のセキュリティ強化 |
• 追加のセキュリティ オプション。このオプションの制御は、Cisco CallManager Administration で行います。 –PC ポートの無効化 –Gratuitous ARP の無効化 –PC ボイス VLAN アクセスの無効化 –[設定]メニューへのアクセスの無効化、または[ユーザ設定]メニューへのアクセスおよび音量変更の保存だけを許可するアクセス制限 電話機の Web ページへのアクセスの無効化
(注) [PCポートを無効にする]、[GARPを使う]、および[ボイスVLANを使う]オプションの現在の設定を表示するには、電話機の[セキュリティ設定]メニューを参照します。詳細については、「デバイス設定メニュー」を参照してください。
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関連項目
• 「暗号化および認証されたコールの識別」
• 「デバイス設定メニュー」
• 「セキュリティに関する制約事項」
暗号化および認証されたコールの識別
電話機にセキュリティが実装されている場合、認証または暗号化されたコールは、電話機の LCD スクリーン上のアイコンによって識別できます。
認証されたコールでは、コールを確立する際に参加していたすべてのデバイスが Cisco CallManager によって検証されています。進行中のコールがエンドツーエンドで認証される場合は、電話機の LCD スクリーンにおいて、通話時間タイマーの右にあるコール進捗アイコンが次のアイコンに変化します。
暗号化されたコールでは、コールを確立する際に参加していたすべてのデバイスが Cisco CallManager によって検証されています。それに加えて、コール シグナリングおよびメディア ストリームが暗号化されています。暗号化されたコールは最高レベルのセキュリティで保護されているため、コールの整合性とプライバシーが確保されます。進行中のコールが暗号化される場合は、電話機の LCD スクリーンにおいて、通話時間タイマーの右にあるコール進捗アイコンが次のアイコンに変化します。
(注) コールが IP 以外のコール レッグ(たとえば、H.323 や PSTN)を通じてルーティングされた場合、コールは非セキュアになります。これは、コールが IP ネットワークで暗号化され、ロック アイコンが関連付けられた場合でも同様です。
関連項目
• 「Cisco IP Phone のセキュリティ機能の概要」
• 「セキュリティに関する制約事項」
セキュリティに関する制約事項
割り込みに使用する電話機に暗号化が設定されていない場合、暗号化されたコールにユーザが割り込むことはできません。この場合、割り込みが失敗すると、割り込みを開始した電話機ではリオーダー トーン(ファースト ビジー トーン)が再生されます。
発信側の電話機に暗号化が設定されている場合、割り込みの発信側は暗号化された電話機からの認証済みコールまたは非セキュア コールに割り込むことができます。割り込みが発生した後、Cisco CallManager はこのコールを非セキュアとして分類します。
発信側の電話機に暗号化が設定されている場合、割り込みの発信側は暗号化されたコールに割り込むことができ、コールが暗号化されていることが電話機に示されます。
割り込みに使用する電話機が非セキュアの場合でも、ユーザは認証されたコールに割り込むことができます。発信側の電話機でセキュリティがサポートされていない場合でも、そのコールにおいて認証アイコンは認証されたデバイスに引き続き表示されます。
Cisco IP Phone 7970 シリーズを設置および設定するための要件の概要
Cisco IP Phone を設置および設定するには、ネットワーク設定値を設定し、Cisco CallManager を設定してから、電話機で変更作業を行う必要があります。
必要な手順の概要については、 表1-4 を参照してください。手順の詳細については、記載されている参照先で確認してください。
表1-4 Cisco IP Phone の設置および設定に関するチェックリスト
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1. Cisco CallManager Administration で使用する次の情報を収集します。 –デバイス プールやコーリング サーチ スペースなど、Device Information フィールドで必要になる情報(該当する場合) –電話機に関連付ける Cisco CallManager ユーザ –電話機に割り当てる回線および関連電話番号の数 –電話機に追加して設定する機能 |
Cisco CallManager Administration の Phone Configuration Web ページでデバイスを設定するときに、この情報を参照する。 使用可能な関連情報がある場合、このページの Device Information フィールドにはデータが自動的に読み込まれます。フィールドの内容を編集して、システム設定をデバイスごとに上書きする必要があります。 |
• 「Cisco CallManager データベースへの電話機の追加」を参照してください。 • 「電話機で使用できるテレフォニー機能」を参照してください。 • 『 Cisco CallManager システム ガイド 』を参照してください。 • 『 Cisco CallManager アドミニストレーション ガイド 』を参照してください。 |
2. Cisco CallManager システムにセキュリティを実装します(オプション)。 |
セキュリティを確立する。このセキュリティには、データ改ざんの脅威や電話機の ID 盗難からの保護などがあります。 |
『Cisco CallManager セキュリティ ガイド』を参照してください。 |
3. 音声通信を処理するように、ルータ、ゲートウェイ、スイッチを設定します。 |
IP テレフォニー ネットワークのインフラストラクチャを確立する。 |
「Cisco IP Phone と VLAN 間の相互対話の概要」、およびこれらのデバイスに付属のマニュアルを参照してください。 |
4. Cisco CallManager データベースに電話機を追加する方法を決定します。次の方法があります。 –自動登録を使用する。 –Cisco CallManager Administration だけを使用する。 –Bulk Administration Tool(BAT)だけを使用する。 –BAT および Tool for Auto-Registered Phones Support(TAPS; 内線番号自動登録システム)を使用する。 |
Cisco CallManager に電話機を追加する方法を決定する。この方法によって、電話番号を割り当てる方法や、最初に MAC アドレスを取得する必要があるかどうかが決まります。
(注) セキュリティが実装されている場合、自動登録はサポートされません。
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• 「Cisco CallManager データベースへの電話機の追加」を参照してください。 • 『 Cisco CallManager アドミニストレーション ガイド 』を参照してください。 • 『 Cisco CallManager Bulk Administration Tool ユーザ ガイド 』を参照してください。 |
5. IP Phone から MAC アドレスを取得します。 |
Cisco CallManager データベースに電話機を追加するときに、自動登録だけを使用する場合や内線番号自動登録システム(TAPS)を併用する場合、この作業は不要。 |
「Cisco IP Phone の MAC アドレスの特定」を参照してください。 |
6. 電話機に最適な電源を選択します。 |
電話機への電源供給方法を決定する。 |
「電話機への電源供給」を参照してください。 |
7. 電話機をネットワークに設置します。 |
電話機をネットワークに追加する。 |
「Cisco IP Phone のセットアップ」を参照してください。 |
8. Cisco IP Phone に Cisco IP Phone 7914 拡張モジュールを追加します。 |
14 個のライン アピアランスまたは短縮ダイヤル番号を追加して、Cisco IP Phone の機能を拡張する。 |
「Cisco IP Phone 7914 拡張モジュールをサポートするための Cisco IP Phone 7970 シリーズの設定」を参照してください。 |
9. 電話機でネットワーク設定値を設定します。 |
IP 設定値を設定し(ネットワークで DHCP を使用していない場合)、TFTP サーバを割り当てる。 |
「ネットワークの設定メニュー」を参照してください。 |
10. コール待機、コール転送、コール パーク、コール ピックアップ、およびボイス メッセージ システムなどの電話機能を設定します。 |
テレフォニー機能を拡張する。 |
「電話機で使用できるテレフォニー機能」および『 Cisco CallManager アドミニストレーション ガイド 』を参照してください。 |
11. ボタン テンプレートを変更します。 |
電話ボタンをカスタマイズする。 |
「電話ボタン テンプレートの変更」を参照してください。 |
12. Cisco IP Phone サービスを設定します。 |
ユーザが株価情報や天気予報などの情報にアクセスできるようにする。これらの情報は、テキストとグラフィックスを使用して対話型コンテンツとして電話機に表示されます。 |
「サービスの設定」および『 Cisco CallManager アドミニストレーション ガイド 』を参照してください。 |
13. ディレクトリを設定します。 |
ユーザが社内ディレクトリで検索を実行し、一組の個人用電話番号を保存できるようにする。 |
「社内ディレクトリとパーソナル ディレクトリの設定」および『 Cisco CallManager アドミニストレーション ガイド 』を参照してください。 |
14. Cisco CallManager にユーザを追加します。 |
ユーザを電話機に関連付け、ユーザが Cisco CallManager ユーザ オプション Web ページにアクセスできるようにする。このページでは、コール転送や短縮ダイヤルなどの機能を設定し、サービスに登録することができます。 |
「Cisco CallManager へのユーザの追加」および『 Cisco CallManager アドミニストレーション ガイド 』を参照してください。 |
15. エンドユーザに電話機の使用方法や電話機のオプションの設定方法を説明します。 |
Cisco IP Phone を正しく使用するために十分な情報がユーザに伝わっていることを確認する。 |
付録A「Web サイトを使用したユーザへの情報提供」 を参照してください。 |
Cisco IP Phone の MAC アドレスの特定
このマニュアルに記載されている手順の一部では、Cisco IP Phone の MAC アドレスを特定することが必要になります。電話機の MAC アドレスは、次の方法で特定できます。
• 電話機で、 [設定]>[モデル情報] を選択し、[MACアドレス]フィールドを参照します。
• 電話機の背面にある MAC ラベルを参照します。
• 電話機の Web ページを表示し、 [デバイス情報] ハイパーリンクをクリックします。
Web ページへのアクセス方法については、「電話機の Web ページへのアクセス」を参照してください。