ゲートウェイの登録障害
この項では、ゲートウェイの 2 つのカテゴリについて説明します。これらのカテゴリは類似していますが、同一ではありません。Cisco Access AS-X、AT-X、Cisco Access DT-24+、および DE-30+ は同じカテゴリに属します。これらのゲートウェイは、Network Management Processor(NMP; ネットワーク管理プロセッサ)に直接接続されていないスタンドアロン ユニットです。もう 1 つのカテゴリには、Analog Access WS-X6624 および Digital Access WS-X6608 が含まれます。これらのゲートウェイは、Catalyst 6000 のシャーシに取り付けられたブレードとして、制御とステータス管理のために NMP に直接接続できます。
症状
登録の問題は、Cisco CallManager に設定されたゲートウェイで発生する最も一般的な問題の 1 つです。
考えられる原因
登録が失敗するのは、さまざまな理由が考えられます。
推奨処置
1. まず、ゲートウェイが稼働していることを確認します。すべてのゲートウェイにはハートビート LED が付属しており、ゲートウェイ ソフトウェアが正常に稼働している場合は 1 秒間隔で点滅します。
この LED がまったく点滅しない場合、または非常に速く点滅する場合、ゲートウェイ ソフトウェアは稼働していません。その結果、通常、ゲートウェイは自動的にリセットされます。また、約 2 ~ 3 分経過して登録プロセスを完了できない場合にも、通常、ゲートウェイは自動的にリセットされます。したがって、確認したときデバイスがたまたまリセット中である場合もありますが、10 ~ 15 秒後に通常の点滅パターンが示されない場合は、ゲートウェイに重大な障害があります。
Cisco Access Analog ゲートウェイでは、前面パネルの右端に緑色ハートビート LED があります。Cisco Access Digital ゲートウェイでは、カード上部の左端に赤色 LED があります。Cisco Analog Access WS-X6624 では、前面に近いカード右端にあるブレードの内部に緑色 LED があります(前面パネルからは見えません)。Digital Access WS-X6608 では、ブレード上の 8 スパンそれぞれに別個のハートビート LED があります。8 個の赤色 LED はカード上に並んでいます(前面パネルからは見えません)。これらの LED は、背面に向かって約 3 分の 2 進んだ位置にあります。
2. ゲートウェイが自分の IP アドレスを受信したことを確認します。スタンドアロン ゲートウェイは、自分の IP アドレスを DHCP または BOOTP を介して受信する必要があります。Catalyst ゲートウェイは、DHCP または BOOTP によって、あるいは NMP を介した手動設定によって自分の IP アドレスを受信できます。
3. DHCP サーバに対するアクセス権を持っている場合、スタンドアロン ゲートウェイを調べる最善の方法は、デバイスに未解決の IP アドレス リースがあるかどうかを確認することです。ゲートウェイがサーバ上に表示される場合、そのことは良い目安になりますが、決定的ではありません。DHCP サーバで、そのリースを削除します。
4. ゲートウェイをリセットします。
5. 数分以内にゲートウェイがリースとともにサーバ上に再び表示される場合、この領域の動作はすべて正常です。表示されない場合は、ゲートウェイが DHCP サーバに接続できない(ルータの設定が誤っていないか、そのために DHCP ブロードキャストが転送されていないか、また、サーバが稼働しているかを確認してください)か、または、肯定応答を取得できない(IP アドレス プールがいっぱいになっていないかを確認してください)かのいずれかです。
6. これらのことを確認しても答えが得られない場合は、Sniffer トレースを使用して問題点を特定します。
7. Catalyst 6000 ゲートウェイの場合、NMP がゲートウェイと通信できることを確認する必要があります。これは、NMP からゲートウェイの内部 IP アドレスに対して ping を実行することで確認できます。
IP アドレスには次の形式が使用されます。
For example, for port 1 on module 7, you would enter
Console (enable) ping 127.1.7.1
8. ping が正常に実行された場合、 show port コマンドを使用すると IP アドレス情報が表示されます。IP アドレス情報と TFTP IP アドレスが正しいことも確認してください。
9. ゲートウェイが有効な DHCP 情報の取得に失敗する場合は、Cisco TAC によって提供される tracy ユーティリティを使用して問題を特定します。
10. このユーティリティを TAC から入手したら、Cat6000 Command Line Interface(CLI; コマンドライン インターフェイス)から次のコマンドを発行します。
tracy_start mod port
この例では、WS-X6624 はモジュール 7 に相当し、1 個の 860 プロセッサしか持っていないのでポート 1 です。コマンド tracy_start 7 1 を発行します。
ゲートウェイ ボード自体の 860 コンソール ポートから実際に出力される結果を次に示します。ただし、tracy コマンドの出力は、860 コンソール ポートの単なるリモート コピーです。
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| | | | | | |:.:| | | | | | |:..
C i s c o S y s t e m s
CAT6K Analog Gateway (ELVIS)
APP Version : A0020300, DSP Version : A0030300, Built Jun 1 2000 16:33:01
ELVIS>> 00:00:00.020 (XA) MAC Addr : 00-10-7B-00-13-DE
00:00:00.050 NMPTask:got message from XA Task
00:00:00.050 (NMP) Open TCP Connection ip:7f010101
00:00:00.050 NMPTask:Send Module Slot Info
00:00:00.060 NMPTask:get DIAGCMD
00:00:00.160 (DSP) Test Begin -> Mask<0x00FFFFFF>
00:00:01.260 (DSP) Test Complete -> Results<0x00FFFFFF/0x00FFFFFF>
00:00:01.260 NMPTask:get VLANCONFIG
00:00:02.870 (CFG) Starting DHCP
00:00:02.870 (CFG) Booting DHCP for dynamic configuration.
00:00:06.570 (CFG) DHCP Request or Discovery Sent, DHCPState = INIT_REBOOT
00:00:06.570 (CFG) DHCP Server Response Processed, DHCPState = INIT_REBOOT
00:00:06.780 (CFG) IP Configuration Change! Restarting now...
00:00:10.480 (CFG) DHCP Request or Discovery Sent, DHCPState = INIT
00:00:14:480 (CFG) DHCP Timeout Waiting on Server, DHCPState = INIT
00:00:22:480 (CFG) DHCP Timeout Waiting on Server, DHCPState = INIT
00:00:38:480 (CFG) DHCP Timeout Waiting on Server, DHCPState = INIT
このタイムアウト メッセージがスクロールし続ける場合は、DHCP サーバへの接続に問題があります。
11. まず、Catalyst 6000 ゲートウェイ ポートが正しい VLAN 上にあることを確認します。
この情報は、 show port コマンドを使用して取得した情報に含まれています。
12. DHCP サーバが Catalyst 6000 ゲートウェイと同じ VLAN 上にない場合は、DHCP 要求を DHCP サーバに転送するように適切な IP ヘルパー アドレスが設定されていることを確認します。VLAN 番号が変わった後に、ゲートウェイは、リセットされるまで INIT 状態のままになっていることがあります。
13. INIT 状態になっている場合は、ゲートウェイをリセットします。860 をリセットするたびに tracy セッションは失われるので、次のコマンドを発行して既存のセッションを閉じ、新しいセッションを再度確立する必要があります。
tracy_close mod por t
tracy_start mod port
14. それでも DHCPState = INIT メッセージが表示される場合は、DHCP サーバが正常に機能しているかどうかを確認します。
15. 正常に機能している場合は、Sniffer トレースを開始して、要求が送信されているかどうか、およびサーバが応答しているかどうかを確認します。
DHCP が正常に機能している場合、tracy デバッグ ユーティリティの使用を可能にする IP アドレスがゲートウェイに設定されています。このユーティリティには、Catalyst ゲートウェイ用の NMP コマンド セットの組み込み機能が含まれており、Windows 98/NT/2000 上でスタンドアロン ゲートウェイ用のヘルパー アプリケーションとして使用可能です。
16. ヘルパー アプリケーションとして tracy ユーティリティを使用するには、割り当てられている IP アドレスを使用してゲートウェイに接続します。この tracy アプリケーションはすべてのゲートウェイ上で動作し、ゲートウェイごとに別個のトレース ウィンドウを表示します(一度にトレースできるのは最大 8 個)。トレースは指定したファイルに直接記録できます。
17. TFTP サーバの IP アドレスがゲートウェイに正しく指定されたことを確認します。DHCP は通常、Option 66(名前または IP アドレス)、Option 150(IP アドレスのみ)、または si_addr(IP アドレスのみ)で DHCP を提供します。サーバに複数の Option が設定されている場合、si_addr が Option 150 より優先され、Option 150 は Option 66 より優先されます。
Option 66 が TFTP サーバの DNS_NAME を提供する場合、DNS サーバの IP アドレスは DHCP によって指定されている必要があります。また、Option 66 に入力された名前は正しい TFTP サーバの IP アドレスに解決される必要があります。NMP を使用して DHCP が無効になるように Catalyst ゲートウェイを設定できます。その場合、NMP オペレータは、TFTP サーバのアドレスを含むすべての設定パラメータをコンソールから手動で入力する必要があります。
また、ゲートウェイは、常に DNS を介して名前 CiscoCM1 の解決を試行します。解決に成功すると、CiscoCM1 の IP アドレスは、DHCP サーバまたは NMP が TFTP サーバのアドレスとして示すどの情報よりも優先されます。これは、NMP が DHCP を無効にしている場合も同じです。
18. ゲートウェイにある現在の TFTP サーバの IP アドレスは、tracy ユーティリティを使用して確認できます。次のコマンドを入力して、設定タスク番号を取得します。
config または CFG が含まれる行を探し、対応する番号を次の行(Cisco Access Digital gateway など)の taskID として使用します。この後の例では、説明対象のメッセージを判別しやすいように太字のテキスト行で示しています。実際の画面出力では、テキストは太字で表示されません。これらの例は WS-X6624 モデルの出力です。DHCP 情報をダンプするコマンドは次のとおりです。
19. このコマンドによって、TFTP サーバの IP アドレスが表示されます。その IP アドレスが正しくない場合は、DHCP オプションと表示されたその他の情報が正しいことを確認します。
20. TFTP アドレスが正しい場合は、ゲートウェイが自分の設定ファイルを TFTP サーバから取得していることを確認します。tracy 出力で次の情報が表示される場合は、TFTP サービスが正常に機能していないか、ゲートウェイが Cisco CallManager に設定されていない可能性があります。
00:09:05.620 (CFG) Requesting SAA00107B0013DE.cnf File From TFTP Server
00:09:18.620 (CFG) TFTP Error: Timeout Awaiting Server Response for .cnf File!
ゲートウェイは設定ファイルを取得しない場合、TFTP サーバと同じ IP アドレスに対する接続を試行します。クラスタ化された環境でなければ、これで接続できます。クラスタ化された環境では、ゲートウェイは冗長 Cisco CallManager のリストを受信する必要があります。
21. カードが自分の TFTP 情報を正常に取得していない場合は、Cisco CallManager の TFTP サービスを調べて、サービスが動作していることを確認してください。
22. Cisco CallManager の TFTP トレースを確認します。
ゲートウェイが Cisco CallManager に正しく設定されていない場合は、別の一般的な問題が発生します。典型的なエラーは、ゲートウェイ用に誤った MAC アドレスを入力したことで発生します。その場合、Catalyst 6000 ゲートウェイでは、次のメッセージが 2 分間隔で NMP コンソールに表示されることがあります。
2000 Apr 14 19:24:08 %SYS-4-MODHPRESET:Host process (860) 7/1 got reset asynchronously
2000 Apr 14 19:26:05 %SYS-4-MODHPRESET:Host process (860) 7/1 got reset asynchronously
2000 Apr 14 19:28:02 %SYS-4-MODHPRESET:Host process (860) 7/1 got reset asynchronously
The following example shows what the tracy output would look like if the gateway is not in the Cisco CallManager database:
00:00:01.670 (CFG) Booting DHCP for dynamic configuration.
00:00:05.370 (CFG) DHCP Request or Discovery Sent, DHCPState = INIT_REBOOT
00:00:05.370 (CFG) DHCP Server Response Processed, DHCPState = BOUND
00:00:05.370 (CFG) Requesting DNS Resolution of CiscoCM1
00:00:05.370 (CFG) DNS Error on Resolving TFTP Server Name.
00:00:05.370 (CFG) TFTP Server IP Set by DHCP Option 150 = 10.123.9.2
00:00:05.370 (CFG) Requesting SAA00107B0013DE.cnf File From TFTP Server
00:00:05.370 (CFG) TFTP Error: .cnf File Not Found!
00:00:05.370 (CFG) Requesting SAADefault.cnf File From TFTP Server
00:00:05.380 (CFG) .cnf File Received and Parsed Successfully.
00:00:05.380 (CFG) Updating Configuration ROM...
00:00:05.610 GMSG: GWEvent = CFG_DONE --> GWState = SrchActive
00:00:05.610 GMSG: CCM#0 CPEvent = CONNECT_REQ --> CPState = AttemptingSocket
00:00:05.610 GMSG: Attempting TCP socket with CCM 10.123.9.2
00:00:05.610 GMSG: CCM#0 CPEvent = SOCKET_ACK --> CPState = BackupCCM
00:00:05.610 GMSG: GWEvent = SOCKET_ACK --> GWState = RegActive
00:00:05.610 GMSG: CCM#0 CPEvent = REGISTER_REQ --> CPState = SentRegister
00:00:05.680 GMSG: CCM#0 CPEvent = CLOSED --> CPState = NoTCPSocket
00:00:05.680 GMSG: GWEvent = DISCONNECT --> GWState = Rollover
00:00:20.600 GMSG: GWEvent = TIMEOUT --> GWState = SrchActive
00:00:20.600 GMSG: CCM#0 CPEvent = CONNECT_REQ --> CPState = AttemptingSocket
00:00:20.600 GMSG: Attempting TCP socket with CCM 10.123.9.2
00:00:20.600 GMSG: CCM#0 CPEvent = SOCKET_ACK --> CPState = BackupCCM
登録に関する別の問題としては、ロード情報が正しくないこと、またはロード ファイルが破損していることが考えられます。この問題は、TFTP サーバが稼働していない場合にも発生する可能性があります。この場合、ファイルが見つからないという TFTP サーバからの報告が tracy によって次のように表示されます。
00:00:07.390 GMSG: CCM#0 CPEvent = REGISTER_REQ --> CPState = SentRegister
00:00:08.010 GMSG: TFTP Request for application load A0021300
00:00:08.010 GMSG: CCM#0 CPEvent = LOADID --> CPState = AppLoadRequest
00:00:08.010 GMSG: ***TFTP Error: File Not Found***
00:00:08.010 GMSG: CCM#0 CPEvent = LOAD_UPDATE --> CPState = LoadResponse
この場合、正しいアプリケーション ロード名が A0020300 であるにもかかわらず、ゲートウェイはアプリケーション ロード A0021300 を要求しています。Catalyst 6000 ゲートウェイでは、新しいアプリケーション ロードがそれに対応する DSP ロードも取得する必要がある場合、同じ問題が発生する可能性があります。新しい DSP ロードが見つからない場合、類似のメッセージが表示されます。
ELVIS>> 00:00:00.020 (XA) MAC Addr : 00-10-7B-00-13-DE
00:00:00.050 NMPTask:got message from XA Task
00:00:00.050 (NMP) Open TCP Connection ip:7f010101
00:00:00.050 NMPTask:Send Module Slot Info
00:00:00.060 NMPTask:get DIAGCMD
00:00:00.160 (DSP) Test Begin -> Mask<0x00FFFFFF>
00:00:01.260 (DSP) Test Complete -> Results<0x00FFFFFF/0x00FFFFFF>
00:00:01.260 NMPTask:get VLANCONFIG
00:00:02.030 (CFG) Starting DHCP
00:00:02.030 (CFG) Booting DHCP for dynamic configuration.
00:00:05.730 (CFG) DHCP Request or Discovery Sent, DHCPState = INIT_REBOOT
00:00:05.730 (CFG) DHCP Server Response Processed, DHCPState = BOUND
00:00:05.730 (CFG) Requesting DNS Resolution of CiscoCM1
00:00:05.730 (CFG) DNS Error on Resolving TFTP Server Name.
00:00:05.730 (CFG) TFTP Server IP Set by DHCP Option 150 = 10.123.9.2
00:00:05.730 (CFG) Requesting SAA00107B0013DE.cnf File From TFTP Server
00:00:05.730 (CFG) .cnf File Received and Parsed Successfully.
00:00:05.730 GMSG: GWEvent = CFG_DONE --> GWState = SrchActive
00:00:05.730 GMSG: CCM#0 CPEvent = CONNECT_REQ --> CPState = AttemptingSocket
00:00:05.730 GMSG: Attempting TCP socket with CCM 10.123.9.2
00:00:05.730 GMSG: CCM#0 CPEvent = SOCKET_ACK --> CPState = BackupCCM
00:00:05.730 GMSG: GWEvent = SOCKET_ACK --> GWState = RegActive
00:00:05.730 GMSG: CCM#0 CPEvent = REGISTER_REQ --> CPState = SentRegister
00:00:06.320 GMSG: CCM#0 CPEvent = LOADID --> CPState = LoadResponse
00:01:36.300 GMSG: CCM#0 CPEvent = TIMEOUT --> CPState = BadCCM
00:01:36.300 GMSG: GWEvent = DISCONNECT --> GWState = Rollover
00:01:46.870 GMSG: CCM#0 CPEvent = CLOSED --> CPState = NoTCPSocket
00:01:51.300 GMSG: GWEvent = TIMEOUT --> GWState = SrchActive
00:01:51.300 GMSG: CCM#0 CPEvent = CONNECT_REQ --> CPState = AttemptingSocket
00:01:51.300 GMSG: Attempting TCP socket with CCM 10.123.9.2
00:01:51.300 GMSG: CCM#0 CPEvent = SOCKET_ACK --> CPState = BackupCCM
00:01:51.300 GMSG: GWEvent = SOCKET_ACK --> GWState = RegActive
00:01:51.300 GMSG: CCM#0 CPEvent = REGISTER_REQ --> CPState = SentRegister
00:01:51.890 GMSG: CCM#0 CPEvent = LOADID --> CPState = LoadResponse
ここでの相違点は、ゲートウェイが LoadResponse の段階に留まっているために、最終的にはタイム アウトすることです。この問題は、Cisco CallManager Administration の Device Defaults エリアでロード ファイル名を修正することで解決できます。