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この章では、Cisco Unified Communications Manager によって作成されるコール詳細レコード(CDR)およびコール管理レコード(CMR、コール診断レコードとも呼ばれる)という 2 種類のコール情報レコードについて説明します。
Cisco Unified Communications Manager では、コール詳細レコード(CDR)およびコール管理レコード(CMR、診断レコードとも呼ばれる)という 2 種類の呼情報レコードが生成されます。CDR には、コールのエンドポイントやその他のコール制御/ルーティングに関する情報が格納されます。CMR には、コールの音声ストリームの品質に関する診断情報が格納されます。1 つの CDR に対して複数の CMR を設定することができます。
CMR は、Cisco Unified IP Phone、Cisco 7960 シリーズの電話機、およびメディア ゲートウェイ コントロール プロトコル(MGCP)ゲートウェイでサポートされています。コールにこれらのエンドポイントのいずれかが含まれている場合は、コール終了後に CMR レコードが生成されます。コールの各エンドポイントは個別の CMR レコードを生成します。コール診断をサポートしていないエンドポイントがコールに含まれる場合、そのエンドポイント用のレコードは生成されません。Cisco 7960 電話機から H.323 ゲートウェイへのコールでは、(Cisco 7960 電話機から)CMR レコードが 1 つ生成されます。
CDR は、次の 2 つの globalCallID カラムによって CMR に関連付けられます。
Call Diagnostics サービス パラメータが [True] に設定されている場合、コールごとに最大 2 つの CMR が生成されます。コールのタイプ(会議コール、コール転送、転送されたコール、ゲートウェイ経由のコールなど)ごとに、レコード セットが生成され、コールの終了時に ASCII ファイルに書き込まれます。コールが完了または失敗した場合にのみ CDR および CMR が生成されます。Cisco Unified Communications Manager は CDR または CMR に対する後処理は実行しません。
Cisco Unified Communications Manager では、Cisco Unified IP Phone がオフ フックになった場合、またはコールがゲートウェイから受信された場合に、常にグローバル コール ID(GlobalCallID_callId)を割り当てます。GlobalCallID_callId は、クラスタ内の他のコール サーバで実行されるコールとは無関係に、Cisco Unified Communications Manager サーバ上で連続的に割り当てられます。Cisco Unified Communications Manager は、1,000 コールごとに GlobalCallID_callId 値をディスク ファイルに書き込みます。Cisco Unified Communications Manager が何らかの理由で再起動すると、次の GlobalCallID_callId に次の 1000 番台の番号が割り当てられます。
たとえば、あるコールが成功したとき、CDR の GlobalCallID_callId 値は 1001 です。次のコールに対しては、GlobalCallID_callId 値は 1002 となり、この処理が繰り返されます。Cisco Unified Communications Manager が再起動すると、CDR の次のコールの値には 2001 が割り当てられます。番号はこの値から Cisco Unified Communications Manager が再び再起動するまで順番に付けられます。次に再起動が行われると、GlobalCallID_callId の値は 3001 になります。
(注) | GlobalCallID_callId に割り当てられる最大値は 24 ビットに制限されています。この制限に到達すると、GlobalCallID_callId の値は 1 にリセットされます。 |
CDR ファイル内の GlobalCallID_callId は、CDR フラット ファイル内では順番でない可能性があります。GlobalCallID_callId = 1 のコールが GlobalCallID_callId = 2 のコールよりも長く続いた場合、GlobalCallId_callId = 2 用の CDR レコードは、GlobalCallId_callId = 1 の前に書き込まれます。GlobalCallID_callIds は CDR フラット ファイルから完全に欠落する場合があります。1 番目の CDR レコードの GlobalCallID_callId が 1 で、2 番目の CDR の GlobalCallID_callId が 3 である場合でも、GlobalCallID_callId が 2 の CDR が欠落していることを意味するわけではありません。値が 2 の GlobalCallID_callId は、CDR を生成するための基準に一致していませんでした。1 番目と 3 番目のコールが正常であるものの、2 番目のコールがまだ完了していない場合、あるいは値が 2 の GlobalCallID_callId が会議コールに参加している場合には、CDR の生成に失敗することがあります。会議コールの各コール レッグには、会議の GlobalCallID_callId で上書きされる GlobalCallID_callId が割り当てられます。元の GlobalCallID_callId は CDR フラット ファイルに表示されない場合があります。
CDR レコードから [GlobalCallID_callId] フィールドがなくなっている場合、CAR は、その特定のレコードに対するエラーを生成します。CDR エラーの詳細については、『CDR Analysis and Reporting Administration Guide』の「"Configuring CDR Error Reports"」の章を参照してください。
Cisco Unified Communications Manager では、ユーザがダイヤルする番号のトランスレーションを実行できます。CDR には、実際にダイヤルされた番号ではなくトランスレーションされた番号が表示されます。
たとえば、多くの企業では、「911」のコールを「9-911」に変換しているので、発信側は緊急時に外線用の番号をダイヤルする必要はありません。このような場合、ユーザが「911」とダイヤルした場合でも、CDR には「9911」が表示されます。
(注) | ゲートウェイでは、番号がゲートウェイを経由して実際に出力される前にさらに変更を加えることもできます。CDR には、これらの変更は反映されません。 |
CDR 内では、パーティションが定義されている場合、内線番号とパーティションの組み合わせによって対象となる電話機を識別します。パーティションがある場合、内線番号は一意ではない可能性があるため、電話を完全に特定するには両方の値が必要です。
コールがゲートウェイから入力した場合には、[パーティション(Partition)] フィールドは空のままです。コールがゲートウェイ経由で発信される際には、[パーティション(Partition)] フィールドはそのゲートウェイが属するパーティションを示します。
ダイヤル プランで発信側に # キーの使用が許可されている場合に # キーが使用されると、# キーはデータベースに入れられます。たとえば、[着信側番号(Called Party Number)] フィールドには「"902087569174#"」といった値が入ります。
[通話者番号(Party Number)] フィールドには、従来のコールの発信側/着信側の番号ではなく SIP URI が入る場合があります。
CDR では次の表に示すパーティション/内線番号を使用します。
CDR 内のタイムスタンプは、協定世界時(UTC)で示されます。この値は、サマータイムによる変化に左右されません。
32 ビットの符号なし整数によってすべての値を表現します。この符号なし整数の値は、単一の整数としてデータベースから表示されます。このフィールドは、オペレーティング システムから取得された time_t 値を示します。
次の表に、CDR に含まれる UTC タイムスタンプを示します。
発信コールの場合、このフィールドはデバイスがオフフックになった時刻を示します。 |
||
このフィールドは、コールが切断された時刻を示します。コールが接続されなかった場合でも、このフィールドは設定されます。時刻は UTC として保存されます。 |
CDR には、OrigCause および DestCause の 2 つのコール クリア原因コードがあります。発信側がコールを切断すると、OrigCause に値が入力されます。着信側がコールを切断するか、またはコールが拒否されると、DestCause に値が入力されます。値が入力されなかった場合、原因コードの値はゼロを示します。
表 1 に、ITU 仕様 Q.850 に準拠したコール クリア原因コード値を示します。オン ネット コール レッグの場合は、Cisco Unified Communications Manager によって原因コードの値が決定されます。オフネット コール レッグの場合は、遠端のスイッチによって原因コードの値が決定されます。
IP アドレスは、システムに符号なし整数として保存されます。CDR ファイルでは、IP アドレスは符号付き整数として表示されます。符号付き 10 進値を IP アドレスに変換するには、この値が実際には符号なしの数字であることを考慮して、まず 16 進数に変換します。この 32 ビットの 16 進値は、逆順の 4 バイトを表しています(Intel 標準)。IP アドレスを求めるには、バイトの順序を逆にして、各バイトを 10 進数に変換します。この結果の 4 バイトが、ドット付き 10 進表記で示される IP アドレスの 4 バイトのフィールドになります。
(注) | IP アドレスの下位バイトに最上位ビット セットが含まれている場合、ファイルには負数が表示されます。 |
たとえば、IP アドレス 192.168.18.188 は -1139627840 として表示されます。この IP アドレスを変換するには、次の手順を実行します。
CDR で作業を行うときに、CAR データベース内の他の表を読み込んで、各 CDR のデバイス タイプに関する情報を取得する必要があることがあります。これは、デバイス テーブル内のデバイスと CDR にリストされている IP アドレス間の相互関係が直接的なものではないためです。