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この章では、Cisco Aironet ワイヤレス LAN クライアント アダプタ について説明し、ワイヤレス ネットワークにおけるこのアダプタの役割について示します。
Cisco Aironet ワイヤレス LAN クライアント アダプタは、固定、ポータブル、またはモバイルのデバイスと他のワイヤレス デバイスやワイヤード ネットワーク インフラストラクチャの間で、透過的な無線データ通信を可能にする無線モジュールです。 クライアント アダプタは、プラグアンドプレイ(PnP)テクノロジー対応のデバイスと完全な互換性を持ちます。
クライアント アダプタの主な機能は、ワイヤレス インフラストラクチャを介してワイヤード LAN に接続されたアクセス ポイントからデータ パケットを透過的に転送することです。 アダプタは、ケーブルが無線接続に置き換えられていて、アクセス ポイントでのワイヤ接続が必要なことを除けば、標準のネットワーク製品と同様に動作します。 ワイヤレス ネットワークの特別な機能は必要ありません。ネットワーク上で動作する既存のアプリケーションは、すべてこのアダプタで動作します。
このマニュアルでは、 表 1-1 で説明されている 5 つのクライアント アダプタについて説明します。
(注) 製品モデル番号の最初の x は、クライアント アダプタのシリーズ(340 または 350)を表します。2 番目の x は、カードの Wired Equivalent Privacy(WEP)レベルを示し、0 は WEP 機能がないことを、 1 は 40 ビットの WEP を、2 は 128 ビットの WEP を表します。 ただし、最後の2つの製品モデル番号に K9 が含まれている場合、カードは 128 ビットの WEP 設定となります。
このマニュアルでは、全体を通して次の用語が使用されています。
• クライアント アダプタ:5 種類のアダプタすべてを指します。
• PC カード、LM カード、PCI カード、mini-PCI カード、またはPC-Cardbus カード:特定のアダプタのみを指します。
• ワークステーション(またはステーション):クライアント アダプタが搭載されたコンピューティング デバイスを指します。
• インフラストラクチャ デバイス:クライアント アダプタをワイヤード LAN に接続するデバイス(アクセス ポイント、ブリッジ、ベース ステーションなど)を指す。 このマニュアルでは、インフラストラクチャ デバイス全般をアクセス ポイントという用語で表現しています。
クライアント アダプタの 3 つの主なハードウェア コンポーネント は、無線、無線アンテナ、および 2 つの LED です。
2.4GHz と 5GHz クライアント アダプタには、異なる無線が使用されています。
• Cisco Aironet 340 および 350 シリーズ PC、LM、PCI、および mini PCI カードは、 IEEE 802.11b 準拠クライアント アダプタです。 それらは、ライセンスが不要な 2.4GHz の Industrial Scientific Medical(ISM)バンドで動作するダイレクト シーケンススペクトラム拡散方式(DSSS)無線を内蔵しています。 340 シリーズ 30mW(ミリワット)無線および350シリーズ 100mW 無線では、最大 11Mbps で動作する半二重無線チャネルでデータが転送されます。 これらのカードは、アドホック(またはピアツーピア)モードの他の IEEE 802.11b 準拠クライアント デバイス、または Cisco Aironet 340、 350、1100、および 1200 シリーズ アクセス ポイント(2.4GHz 無線対応)やインフラストラクチャ モードの他の IEEE 802.11b 準拠インフラストラクチャ デバイスと相互運用します。 これらは室内外での使用が認められています。
DSSS テクノロジーは、広範な周波数で無線信号を配信した後、その信号を受信側の元の周波数範囲に戻します。 このテクノロジーの利点は、データ転送における干渉を防止できることです。 たとえば、特定の周波数がノイズや干渉を受けても、他の周波数に対する十分な冗長性が信号に組み込まれているため、通常、クライアント アダプタはそのまま伝送を続行できます。
• Cisco Aironet AIR-CB20A PC-Cardbus カードは、IEEE 802.11a 準拠クライアント アダプタです。 それには、無線周波スペクトラムの下側 5GHz に位置する、ライセンスが不要な Unlicensed National Information Infrastructure (UNII) 1 および UNII 2 で動作する Orthogonal Frequency Division Multiplexing(OFDM;直交周波数分割多重)無線が含まれます。 20mW 無線では、最大 54Mbps で動作する半二重無線チャネルでデータが転送されます。 このカードは、アドホック モードの他の IEEE 802.11a 準拠クライアント デバイス、または Cisco Aironet 1200 シリーズ アクセス ポイント(5GHz 無線対応)やインフラストラクチャ モードの他の IEEE 802.11a 準拠インフラストラクチャ デバイスと相互運用します。 米国を除き、室内でのみ使用できます。米国では 52 から 64 チャンネルで室外使用できます。
クライアント アダプタに応じて次のアンテナのタイプが使用されます。
• PC カードは、一体型の、固定接続されたダイバーシティ アンテナを備えています。 ダイバーシティ アンテナ システムの利点は、カバレッジが向上することです。 このシステムでは、2 つのアンテナ ポートの切り替えやサンプリングが PC カードで可能になり、データ パケットの受信に最適なポートを選択できます。 その結果、PC カードが干渉エリアで無線周波数(RF)接続を維持できる可能性が高くなります。 アンテナは、カード挿入時に PC カード スロットから突き出ているカードの部分に収納されています。
• LM カードにはアンテナが同梱されていませんが、カードの外部コネクタを使ってアンテナを接続できます。
• PCI カードには、カードのアンテナ コネクタに接続する 2dBi のダイポール アンテナが同梱されています。 一方、別のタイプのアンテナを使用することもできます。 PCI カードは、プライマリ(または右側)のアンテナ ポートを介してのみ動作可能です。
• mini-PCI カードは 1 つまたは 2 つのアンテナで使用する設計になっており、これらのアンテナは、カードの 2 つのアンテナ コネクタに接続します。 2 つのアンテナを使用している場合、最適な RF 信号を提供するアンテナが自動的に選択されます。 1 つのアンテナのみを使用している場合、接続されているコネクタに関わらず、そのアンテナが検知および使用されます。
• PC-Cardbus カードは一体型の、固定接続された非ダイバーシティ アンテナを備えており、2 つのアンテナ ポートがあって、1 つは送信用、もう 1 つは受信用です。 このカードはポート間の切り替えやサンプリングができません。 アンテナは、カード挿入時に Cardbus スロットから突き出ているカードの部分に収納されています。
(注) クライアント アダプタのアンテナ モードの設定方法については、表 5-4 および 表 5-5 の[Antenna Mode(Receive)]および[Antenna Mode(Transmit)]パラメータを参照してください。
(注) 電力レベル設定と外部アンテナを組み合わせて、放射電力が等価等方放射電力(EIRP)100mW を超えるような場合は、欧州共同体の各国と、R&TTE 指令または CEPT 勧告(Rec 70.03)、あるいはその両方を採用している他の諸国では使用を許可されません。 これらの国々における電力レベルとアンテナの適法な組み合せの詳細は、「R&TTE 指令(1999/5/EC)に関する適合宣言」および 「最大電力レベルとアンテナ ゲイン」を参照してください。
クライアント アダプタには、点灯または点滅によってアダプタのステータスやエラー メッセージを伝える LED が 2 つ付いています。 LED コードの意味については、 トラブルシューティングを参照してください。
クライアント アダプタの 3 つの主なソフトウェア コンポーネント は、無線ファームウェア、ドライバ、および クライアント ユーティリティです。これらのコンポーネントは、Cisco.com からダウンロード可能な Install Wizard ファイルを実行すると一緒にインストールされます。このファイルは、Windows 98、98 SE、NT、2000、Me、XP で実行することができ、次の種類のクライアント アダプタのいずれかを使用して実行します。
• 340 および 350 シリーズ PC、LM、および PCI カード
クライアント アダプタのインストールに、Install Wizard を使用してこれらのソフトウェア コンポーネントをインストールまたはアップグレードする手順を説明しています。
(注) Install Wizard ファイルをリリースする前に、各ソフトウェア コンポーネントが正しくインストールされていなければなりません。 このバージョンの『Cisco Aironet ワイヤレス LAN クライアント アダプタ インストレーション コンフィギュレーション ガイド Windows 版』には、Install Wizard を通じて使用できるソフトウェアのバージョンが個別に記載されています。 Install Wizard を使用しないクライアント アダプタ ソフトウェアの使用、インストール、または旧バージョンへの更新を実行する場合は、このマニュアルのバージョン OL-1394-04 で詳細および手順を参照してください。
ファームウェアはクライアント アダプタの無線を制御します。 クライアント アダプタには、フラッシュ メモリにインストールされているファームウェアが同梱されています。 ただし、常に最新バージョンを使用することを推奨します。 クライアント アダプタのファームウェアは、次の 3 通りの方法でアップグレードできます。
• Install Wizard 経由:Install Wizard が自動的にクライアント アダプタのファームウェアを Install Wizard ファイルに含まれているバージョンにアップグレードします。
• ドライバ経由:Install Wizard ファイルに含まれているドライバは、クライアント アダプタ ファームウェアにもバンドルされています。 クライアント アダプタを挿入またはコンピュータをリブートするたびに、ドライバはバンドルされているファームウェアをロードしてインストールします(そのファームウェアが現在アダプタにインストールされているファームウェアよりも新しい場合)。 Install Wizard の[Disable Firmware Checking]パラメータまたは ACU の[Automatically Load New Firmware When NDIS Driver Is Updated]パラメータを使って、ドライバがファームウェアをアップグレードするかどうかを指定できます。 詳細は、「 Disable Firmware Checking」および「 ドライバが、ファームウェアのアップグレードをしないようにする」を参照してください。
• ACU経由:[Load Firmware]アイコンまたはACU 内の[ Load New Firmware ]メニュー オプションにより、ファームウェアのみを含んでいるイメージ(*.img)ファイルから、クライアント アダプタのファームウェア をアップグレードできます。 詳細は、 「ファームウェアのアップグレード」 を参照してください。
ドライバは、Windows オペレーティング システムが動作するコンピュータとクライアント アダプタ間のインターフェイスを提供します。これにより、Windows および Windows で実行されるアプリケーションと、アダプタとの通信が実現します。 ドライバはアダプタを使用する前にインストールしておく必要があります。
Cisco Aironet クライアント アダプタを使用して、2 つのクライアント ユーティリティが使用できます。 Aironet Client Utility(ACU)と Aironet Client Monitor(ACM)です。 これらのユーティリティは、無線ファームウェアと対話してクライアント アダプタの設定を調整したり、アダプタに関する情報を表示したりするオプションのアプリケーションです。
ACU はクライアント アダプタの設定プロファイルの作成、ユーザレベルの診断を実行する場合に使用します。 ACU はさまざまな機能を実行するため、このマニュアルでは機能別に説明しています。 ただし、ユーティリティのインターフェイスに慣れるために、次にこのユーティリティの概要を説明します。
Windows のシステム トレイのアイコンをクリックしてアクセスする ACM は、ACU を通じて使用できる機能の一部です。 特に ACM を使用すると、クライアント アダプタに関するステータス情報にアクセスし、基本的な作業を実行できます。 Cisco Aironet Client Monitor(ACM)の使い方に ACM の使用に関する詳細な情報と手順を示しています。
(注) Windows XP が稼動するコンピュータを使用している場合は、ACU の代わりに Windows オペレーティング システムを介してクライアント アダプタを設定できます。 詳細は、 Windows XP でのクライアント アダプタの設定 を参照してください。 ただし、ACU を使用してクライアント アダプタを設定することをお勧めします。
[Aironet Client Utility]画面(図 1-1)は、ACU で最初に表示される画面です。
図 1-1 [Aironet Client Utility]画面
[Aironet Client Utility]画面の上部のタイトル バーには、クライアント アダプタで使用されているプロファイルが表示されます。
[Aironet Client Utility]画面の下部にあるステータス バーは、クライアント アダプタの現在の状態を示しています。 次のような状態が発生します。radio_name はクライアント アダプタの種類、ap_name はアクセス ポイントに設定された名前です。
• radio_name は ap_name に「認証済み」
• 「ワイヤレス LAN アダプタ」からステータスを読み込むことができません
(注) 340 シリーズのカードには 4800の radio_name を正しく表示しないものがあります。
(注) ap_name をステータス バーに表示させるには、Cisco IOS リリース 12.2(4)JA 以上を実行するアクセス ポイントで、Aironet 拡張機能を有効にする必要があります。
ステータス バーの右側には、現在の時刻が表示されます。[Aironet Client Utility Preferences]画面で秒を表示するようクロックを設定した場合、時間と分の他に秒も時刻に含まれます。
(注) クロックで秒表示を有効にするには、ACU を起動し、[Preferences]アイコンをクリックするか、[Options]ドロップダウン メニューから[Preferences]を選択し、[Display Seconds on Clock]チェックボックスを選択して[OK]をクリックします。
ACU 画面にあるボタンは、特定の機能を実行するために使用されます。 表 1-2 に、最も一般的なボタンの説明を示します。
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クライアント アダプタは、さまざまなネットワーク構成で使用できます。 一部の構成では、アクセス ポイントがネットワーク接続を提供したり、無線通信範囲を広げるリピータとして機能したりします。 最大通信範囲は、ワイヤレス ネットワークの構成に基づきます。
この項では、最も一般的な次の 2 つのネットワーク構成について説明し、図に示します。
• ワークステーションでワイヤード LAN にアクセスするワイヤレス インフラストラクチャ
クライアント アダプタ とアクセス ポイントを使用した、さらに複雑なネットワークの構成例については、該当するアクセスポイントのマニュアルを参照してください。
(注) クライアント アダプタのネットワーク モードの設定方法については、 クライアント アダプタの設定を参照してください。
アドホック(またはピアツーピア)ワイヤレス LAN(図 1-2)は、最もシンプルな LAN 構成です。 アドホック ネットワーク構成によるワイヤレス LAN では、クライアント アダプタを装備したすべてのデバイスを結合して、相互に直接通信することができます。 アクセス ポイントなどのインフラストラクチャ デバイスの使用は要求されません。
LAN 上に複数のアクセス ポイントを配置すると、マイクロセルラ ネットワークを構築できます。図 1-3 は、複数のアクセス ポイントを介してワークステーションでワイヤード LAN にアクセスするマイクロセルラ ネットワークを示しています。
この構成は、ポータブルやモバイル ステーションで有用です。これらのワークステーションがマイクロセル ドメイン間を移動中の場合でも、ワイヤード ネットワークに直接接続できるからです。 このプロセスは透過的に行われ、ファイル サーバやホストへの接続は混乱なしに維持されます。 モバイル ステーションのアクセス ポイントへの接続は、アクセス ポイントが使用可能である限り保持されます。 ただし、データ パケット転送の再試行が必要になったり、ビーコンが欠落した場合、ステーションでは自動的に別のアクセス ポイントが検索され、接続されます。 このプロセスをシームレス ローミングと言います。
図 1-3 ワークステーションでワイヤード LAN にアクセスするワイヤレス インフラストラクチャ