GPS の概要
衛星ナビゲーションは、地球規模の自律的な地理空間測位を可能にする衛星のシステムで、衛星から送信された時間信号を使用して、小型の電子受信機が位置(経度、緯度、高度/標高)を特定できるようします。多くの場合、「GNSS」と「GPS」という用語は同じ意味で使用されますが、これら 2 つには重要な違いがあります。
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米国の全地球測位システム(GPS)は、6 つの異なる軌道面にある最大 31 の中型地球軌道衛星で構成されており、衛星の正確な数は、古い衛星が引退して置き換えられるにつれて変化します。1978 年に運用が開始され、1994 年以降世界中で利用できるようになった GPS は、現在、世界で最もよく利用されている衛星ナビゲーションシステムです。GPS 受信機は、全地球測位システムの 31 の衛星からの信号しか使用できません。これらの信号の多くがブロックされると、受信機は再び信号を検出できるようになるまで役に立たなくなります。
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GNSS は Global Navigation Satellite System(全地球ナビゲーション衛星システム)の略で、全世界を対象範囲とした自律的な地理空間測位を可能にする衛星ナビゲーションシステムの一般的な総称です。この用語には、GPS、GLONASS、Galileo、Beidou などの地域システムが含まれます。GNSS は世界中で使用されている用語です。複数の衛星にアクセスできる利点は、常に正確性、冗長性、可用性を提供できることです。衛星システムが故障することはまれですが、1 つが故障した場合でも、GNSS 受信機は他のシステムからの信号を拾うことが可能です。また、見通し線が遮られている場合、複数の衛星にアクセスできることも利点です。一般的な GNSS システムは、GPS、GLONASS、Galileo、Beidou などの地域システムです。GNSS 受信機は、GPS システムの信号だけでなく、どの測位衛星からの信号でも使用できます。つまり、すべての GPS 信号がブロックされている場合でも、世界中の他の衛星システムから信号を受信できます。この柔軟性により、GNSS 受信機は、GPS テクノロジーのみを使用した受信機よりもはるかに正確で信頼性が高くなります。GNSS を使用すると、必要なときにいつでも、どこでも、可能な限り最高の結果を確実に得ることができます。
(注)
GNSS 衛星群の信号を正しく受信するには、GNSS アンテナが必要です。ほとんどの Cisco アンテナは GPS 専用であり、アンテナ SKU に GNSS をサポートすることが明示的に示されている必要があります。
(注) |
このドキュメントでは、セルラーモデムベースの GPS のみに言及します。 |
セルラー GPS の使用例
次に、GPS のいくつかの使用例について説明します。
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ジオフェンシング:ジオフェンシングは、デバイスの位置に基づいてデバイスの動作を制御する概念です。1 つの用途として、デバイスが許可されたエリアの中に位置する場合にのみデバイスの動作を許可することができます。たとえば、店舗、キオスク、または ATM 内のルータが本来あるべき場所以外の場所に移動された場合、ルータは自身を無効にすることができます。または、デバイスが自身の場所を送信(またはポーリング)するようにプログラムされていて、そのデバイスが許可されたエリアの外に位置することをクラウド/ホストアプリケーションが検出した場合、アプリケーションはそのルータの背後にある各デバイスへの通信の許可を停止することができます。
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アセットトラッキング:アセットトラッキングは、機器またはデバイスの現在の位置および状態/動作を把握するという概念です。状態/動作に関する情報は、クラウド/ホストアプリケーション、またはネットワーク管理ツールによって収集できます。とはいえ、特定のデバイス/機器の位置が組織の業務にとって重要な場合があります。たとえば、運送会社は、貨物の定刻通りの出荷と配送を手配するために、トラック、列車、および船舶の位置を把握することが必要かもしれません。位置を知ることにより、特定の急送貨物に最適な運送方法と個々の車両や船舶を選択できます。
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時刻の同期:ログの正確なタイムスタンプを取得するため、または自動化された/スケジュールされたルータ機能を使用してタスクを正確に実行するために、ルータの正確な時刻が重要な場合があります。状況によっては、ルータが内部クロックを高精度の時刻源と同期する必要があるかもしれません。車両への展開や、長期間信号範囲外にある移動可能な設備、または NTP サーバーのない隔離されたプライベートネットワークへの接続を使用した展開の場合、時刻を同期できない可能性があります。
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アプリと IOx への GPS ストリーミング:モデムで GPS が有効になっている場合、NMEA ストリームを ngiolite モジュールから IOx に転送できます。この運用方法は、Linux と IOx の間にトンネルを作成し、トンネル経由ですべての NMEA メッセージを IOx に転送することによって実現されます。
セルラー GPS パラメータ
次の表を参照してください。
パラメータ |
セルラーモデムベースの GPS |
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タイプ |
セルラーモデムベースの GPS |
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サポートされる PID |
GPS をサポートするモジュールについては、「サポートされているモデム技術」セクションを参照してください。 |
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コンフィギュレーション モード |
スタンドアロン モード |
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座標に必要な衛星の数 |
スタンドアロンモード:4 |
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show コマンドでサポートされる衛星 |
show コマンドの出力に表示される座標は、GPS のみに基づいています。 |
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必要な初期キャリブレーション |
なし |
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衛星がない場合の座標 |
座標は取得されず、取得中状態のままになります。 |
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設定に使用するコントローラのデバイス名 |
controller cellular <slot> |
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機能を有効にする CLI |
lte gps enable lte gps mode standalone
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nmea を設定するための CLI |
lte gps nmea |
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nmea udp ソケットを設定する CLI |
lte gps nmea ip udp <source_ip> <destination_ip> <destination_port> |
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show running-config で設定を確認する CLI |
show run | sec controller cellular<slot> |
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GPS 出力を確認する show コマンド |
show cellular <slot> gps show controller cellular <slot> | inc GPS |
||
IOx 側の GPS nmea トラフィックへのアクセス |
サポートあり |
||
デバッグ コマンド |
debug cellular<slot> messages gps debug cellular<slot> messages nmea |
||
Yang モデルのサポート |
はい |