サイト環境とアプライアンスの保守
適切な予防保守とは、外面の清掃や検査など、定期的に目視でアプライアンスを検査することです。この付録では、次のトピックでサイトとアプライアンスの保守についてベスト プラクティスを説明します。
• 「一般的な外面清掃と検査」
• 「冷却」
• 「温度」
• 「湿度」
• 「高度」
• 「静電放電」
• 「EMI および RFI」
• 「磁気」
• 「電源の中断」
• 「ラック キャビネットの輸送の準備」
• 「Cisco ISE 3300 シリーズ アプライアンスの取り外しまたは交換」
一般的な外面清掃と検査
この項では、アプライアンスの外面清掃の要件について説明します。また、ケーブルおよびアダプタ カードの検査についてのガイドラインも提供します。
注意 アプライアンスの表面に洗浄液を吹きかけないでください。スプレーのしぶきがアプライアンスに入り、電気的な問題や内部コンポーネントの腐食の可能性が高まります。
アプライアンス
研磨剤が入っていない、表面を削らない柔らかい布で清掃します。溶剤、研磨剤入りの洗浄剤、およびティッシュ ペーパーは使用しないでください。アプライアンスが(大量の埃などで)汚れている場合は、湿らせた柔らかい布でアプライアンスの表面をやさしく拭きとります。水や液体は、必ずすぐにアプライアンスから拭きとってください。
埃と微粒子
稼働環境が清潔であれば、埃やその他の微粒子による悪影響を大幅に減らすことができます。埃や微粒子は絶縁体として作用したり、アプライアンスの機械コンポーネントの動作を妨害したりすることがあります。日常の定期的な清掃を実行する他に、アプライアンスの汚れを防ぐために、次のガイドラインに従ってください。
• アプライアンスの近くでの喫煙を禁止する。
• アプライアンスの近くでの飲食を禁止する。
ケーブルとコネクタ
アプライアンスに接続されているケーブルとコネクタをすべて定期的に検査します。この作業で、ケーブルとコネクタが正しく接続されていることを確認し、損耗および状態の目視検査し、接続のゆるみがあれば問題になる前に検出します。
アダプタ カード
アダプタ カードの接続を確認します。アプライアンスにアダプタ カードがしっかり装着されており、緩んだり機械的に損傷していたりしないかを確認してください。
腐食
指や手の皮脂や、高温または多湿の環境に長時間さらされると、アダプタ カードの金メッキされたエッジ コネクタやピン コネクタが腐食する可能性があります。アダプタ カードのコネクタの腐食は、徐々に進むため、最終的には電気回路が断続的に障害を起こす事態へと発展する場合があります。
腐食を防ぐため、アダプタ カードの端子には触れないでください。湿気や塩分の多い環境はすべて腐食が進みやすいため、腐食要素からアプライアンスを保護することは特に重要となります。また、腐食を防止する方法として、極端に温度差のある環境でアプライアンスを使用しないでください。詳細については、「温度」を参照してください。
冷却
電源装置およびアプライアンス自体の内部の排気ファンは、アプライアンスの前面にあるいくつかの吸気口から空気を吸い込んで背面の排気口から吐き出すことで、電源装置とアプライアンスを冷却します。
ただし、これらのファンは埃やその他の微粒子もアプライアンス内に取り込みます。この結果、汚れが蓄積され、アプライアンスの内部温度上昇の直接の原因になる可能性があります。上昇した温度と汚れは、さまざまなアプライアンスのコンポーネントの正常な動作を妨げます。
このような状況を回避するには、作業環境を可能な限り清潔に保ち、アプライアンス周辺の埃や汚れの量を減らすことを推奨します。このベスト プラクティスは、ファンによってアプライアンス内に引き込まれる汚染物質の量を減らします。
温度
極端な温度差は、集積回路の経年劣化の促進や障害、またはデバイスの機械的な故障など、さまざまな障害の原因となります。
極端な温度変動によってソケット内の集積回路が緩むと、ディスク ドライブ プラッタでは膨張収縮が起こり、データの読み取りエラーや書き込みエラーの直接の原因になる可能性があります。Cisco ISE アプライアンスの熱放射の範囲は、341 ~ 1024 BTU(100 ~ 300 W)です。
温度によってアプライアンスのパフォーマンスが受ける悪影響を最小限に抑えるため、次のガイドラインに従ってください。
• 表 D-1 に、Cisco ISE アプライアンスの設置場所の高度に基づき、維持されるべき気温を示します。
表 D-1 気温のメンテナンス
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On |
3000 フィート(0 ~ 914.4 m) |
50.0 ~ 95.0 °F(10 ~ 35 °C) |
On |
3000 ~ 7000 フィート(914.4 ~ 2133.6 m) |
50.0 ~ 89.6 °F(10 ~ 32 °C) |
Off |
最高高度:7000 フィート(2133.6 m) |
50.0 ~ 109.4 °F(10 ~ 43 °C) |
Shipping |
最高高度:7000 フィート(2133.6 m) |
-40 ~ 140 °F(-40 ~ 60 °C) |
• アプライアンスの換気が適切であることを確認してください。閉鎖型の壁面ユニット内や布の上にアプライアンスを設置しないでください。熱がこもる原因となります。直射日光があたる場所にアプライアンスを置くことは避けてください(特に午後)。冬場の暖房の吹き出し口を含め、あらゆる種類の熱源の側にアプライアンスを設置しないでください。
高地では、特に適切な換気が重要となります。標高の高い場所の他、高温の環境でアプライアンスを稼働させる場合も最適なパフォーマンスが得られない可能性があります。次のガイドラインに従ってください。
• アプライアンスのすべてのスロットおよび開口部で、特にアプライアンス背面パネルにあるファンの吹き出し口が塞がれていないことを確認する。
• 定期的にアプライアンスを掃除して、過熱の一因になる可能性がある埃やゴミの蓄積を防ぐ。
• アプライアンスが異常な低温にさらされた場合、2 時間のウォームアップ時間をとって、通常の動作温度範囲に戻ってから電源を入れる。このプラクティスに従わないと、内部コンポーネント、特にハード ディスク ドライブに損傷を与える可能性があります。
湿度
湿度の高い状況では、アプライアンス内に水分が入り込み、湿気に犯される可能性があります。この湿気が原因で、内部コンポーネントの腐食と、電気抵抗、熱伝導性、物理的強度、サイズなどの特性の劣化が起こることがあります。アプライアンス内で極度に湿気が溜まると、電気的短絡が発生し、アプライアンスに甚大な被害を与える可能性があります。
各アプライアンスは、相対湿度 8 ~ 80 %、1 時間あたり 10 % の温度変化で動作するよう規定されています。温暖期には冷房で、寒冷期には暖房で室温が管理されているビル内では、一般的にアプライアンスが許容できる湿度が維持されます。
ただし、異常に湿度の高い場所にアプライアンスが設置されている場合は、除湿機で許容範囲内の湿度に保ってください。
高度
高度の高い(低気圧の)場所でアプライアンスを稼働させると、強制対流冷却の効率が低下し、アーク放電やコロナ効果に関連した電気的な問題が発生する可能性があります。また、このような状況では、電解コンデンサなどの、内部圧力がかかっている密閉コンポーネントが動作しなかったり、その効率が低下したりする場合もあります。
静電放電
静電放電は、人体やその他の特定の物質に静電気が蓄積することで発生します。通常、この静電気はカーペットの上を歩くなどの単純な動作で発生します。
静電放電は、静電気が放電する現象です。帯電した人がアプライアンスのコンポーネントに触れることで発生します。こうした静電放電は、特に集積回路(IC)などのコンポーネント故障の原因になります。特に相対湿度が 50 % 未満の乾燥した環境で、静電放電は問題となります。静電放電の影響を軽減するには、次のガイドラインに従ってください。
• 静電気防止用リスト ストラップを着用する。静電気防止用リスト ストラップが用意できない場合は、アプライアンスの塗装されていない金属面を定期的に触れて静電気を逃がします。
• コンポーネントは、取り付けるまで静電気防止用パッケージに入れたままにする。
• ウールまたは合成繊維の衣服を着用しない。
EMI および RFI
アプライアンスからの EMI および RFI は、アプライアンスの近くで稼働しているラジオやテレビの受信機などのデバイスに悪影響を与える可能性があります。また、アプライアンスから放出される無線周波数がコードレス電話や低出力の電話に影響をおよぼすこともあります。
RFI は、10 kHz を超える周波数を発生させる EMI として定義されます。この種の干渉は、電源ケーブルや電源、または無線電波のように空気を介して、アプライアンスから他のデバイスへと伝播します。米国連邦通信委員会(FCC)は、コンピュータ装置が放出する EMI および RFI の量を制限する固有の規制を公表しています。各アプライアンスは、これら FCC の規制に準拠します。
EMI および RFI の可能性を低減するには、次のガイドラインに従ってください。
• 必ずカバーを取り付けた状態でアプライアンスを稼働する。
• すべての周辺ケーブル コネクタのネジがアプライアンス背面の対応するコネクタにしっかりと取り付けられていることを確認する。
• アプライアンスに周辺機器を接続する際は、必ず金属製のコネクタ シェル付きシールド ケーブルを使用する。
磁気
ハードディスク ドライブはデータを磁気で記憶するため、磁気の影響を受けやすくなっています。 ハードディスク ドライブは、次のタイプの磁気を発生させるもののそばに保管しないでください。
• モニタ
• プリンタ
• 電話(電動ベル使用)
• 蛍光灯
電源の中断
アプライアンスは、特に AC 電源から供給される電圧の変動の影響を受けやすくなっています。過電圧、低電圧、または過渡電圧(またはスパイク)の問題は、メモリからデータを消去するだけでなく、コンポーネントの障害を発生させることもあります。このような種類の問題からアプライアンスを保護するには、電源ケーブルを常に正しく接地し、次のいずれかの方法、または両方の方法を使用します。
• アプライアンスを専用の電力回路に設置する(他の電気機器と回路を共有させない)。
• ベスト プラクティスで、アプライアンスの電力回路を次の装置と 共有させない こと。
– コピー機
– テレタイプ
– レーザー プリンタ
– ファクス機
– その他の電動装置
記述された機器に加え、アプライアンスの電源に対する最大の脅威は、落雷によるサージまたは停電です。
アプライアンスに電源が入っているときに停電が発生した場合、停電が一時的なものであったとしても、すぐにアプライアンスの電源を切り、電源コードから外してください。アプライアンスを接続したままにしていると、電力が復旧した際に問題が発生する可能性があります。
お使いの Cisco ISE 3300 シリーズ アプライアンスの保守
この項では、次のアプライアンス関連の内容について説明します。
• 「ラック キャビネットの輸送の準備」
ラック キャビネットの輸送の準備
Cisco ISE 3300 シリーズ アプライアンスをインストールした後、別の場所にそれを輸送しようとする前に、必要な輸送前のタスクをすべて実行していることを確認してください。
輸送用に Cisco ISE 3300 シリーズ アプライアンスを準備するには、次の手順を実行してください。
ステップ 1 大きなネジ(図 D-1 を参照)を取り外し、廃棄します。
ステップ 2 前面ネジを取り外して保管します。
ステップ 3 残り 2 本の背面のネジを緩めます。
ステップ 4 レールを一杯に伸ばし、保管しておいたネジを大きなネジがあった場所に挿入します。
ステップ 5 すべてのネジを締めてレールを固定します。
ステップ 6 反対側のレールに対してステップ 1 ~ 5 を繰り返します。
図 D-1 ラック キャビネットの輸送の準備
次の表で、図 D-1 の各コンポーネントについて説明します。
ステップ 7 サーバをラックに固定します。
a. 必要に応じて、サーバの背面からケーブルを外します。
b. サーバをラックの外に 150 mm(6 インチ)スライドさせ、M6 ネジを各スライド レールに挿入します。
c. M6 ネジでサーバをラック キャビネットに固定します(図 D-2 を参照)。図 D-2図 D-2
ステップ 8 レールがラック キャビネットの背面に向けて完全に伸びていることを確認します。
スライド レールから輸送用ブラケットを取り外してある場合は、サーバが取り付けられた状態でラック キャビネットを輸送する前に、輸送用ブラケットを再度取り付ける必要があります。図 B-6 に示した手順と逆の手順を実行して、輸送用ブラケットを取り付けます。
図 D-2 ラック キャビネットを別の場所に移動するための準備
Cisco ISE 3300 シリーズ アプライアンスの取り外し
Cisco ISE 3300 シリーズ アプライアンスをネットワークから取り外すには、次の手順を実行してください。
ステップ 1 取り外すアプライアンスの電源を切ります。
ステップ 2 電源コードとネットワーク ケーブルを外します。
ステップ 3 アプライアンスをラックから物理的に取り外します。
通常、Cisco ISE 3300 シリーズ アプライアンスは、ネットワーク上で定期的に通信しているため、ネットワークは、アプライアンスが応答しなくなったことを検出すると、アプライアンスへの要求の送信をすべて停止します。この変更は、ユーザが確認できます。
(注) 別のアプライアンスがネットワークに接続されている場合、ネットワークは別のアプライアンスに要求を送信し続けます。
Cisco ISE 3300 シリーズ アプライアンスの交換
アプライアンスを交換するには、次の手順を実行します。
ステップ 1 交換しようとしているアプライアンスがネットワークから取り外されていることを確認します。
ステップ 2 取り外したアプライアンスに対して使用したのと同じ設置手順を使用して、新しいアプライアンスを設置します。
ステップ 3 取り外したアプライアンスに使用したのと同じ設定パラメータを使用して、新しいアプライアンスを設定します。