IP SLA しきい値モニタリングおよび通知
IP SLA は、ほとんどの IP SLA 動作に関する平均ジッタ、単方向の遅延、双方向の Round-Trip Time(RTT; ラウンドトリップ時間)、および接続などのパフォーマンス パラメータについての予防的しきい値モニタリングおよび通知をサポートします。予防的モニタリング機能には、単方向ジッタ、単方向パケット損失、および単方向 VoIP 音声品質スコアを含む重要な VoIP 関連パラメータに対する反応しきい値を設定するためのオプションも用意されています。
IP SLA の通知は、トリガー応答として設定します。パケット損失、ジッタ、および Mean Operation Score(MOS; 平均動作スコア)統計情報は、IP SLA ジッタ動作に固有です。通知は、いずれかの方向(送信元から宛先、または宛先から送信元)の違反に対して、またはパケット損失とジッタの範囲外の RTT 値に対して生成できます。RTT 値が指定したしきい値を上回るか下回ると、トラップなどのイベントがトリガーされます。
応答条件が発生した場合、IP SLA ではシステム ロギング(syslog)メッセージを生成できます。システム ロギング メッセージは、CISCO-RTTMON-MIB を使用して Simple Network Management Protocol(SNMP; 簡易ネットワーク管理プロトコル)トラップ(通知)として送信できます。IP SLA の SNMP トラップは、CISCO-RTTMON-MIB および CISCO-SYSLOG-MIB でサポートされます。
(注) CISCO-SYSLOG-MIB の重大度レベルは、SyslogSeverity INTEGER {emergency(1), alert(2), critical(3), error(4), warning(5), notice(6), info(7), debug(8)} のように定義されます。
Cisco IOS ソフトウェアのシステム ロギング プロセスに対しては、異なる重大度レベル値が定義されます。Cisco IOS ソフトウェアのシステム ロギング プロセスに対する重大度レベルは、{emergency (0), alert (1), critical (2), error (3), warning (4), notice (5), informational (6), debugging (7)} のように定義されます。
Cisco IOS システム ロギング プロセス内の IP SLA のしきい値違反は、レベル 6(infomational)として記録されますが、CISCO-SYSLOG-MIB からはレベル 7(info)トラップとして送信されます。
通知は、しきい値違反が発生するたびに発行されるわけではありません。図 1 に、モニタリング対象の要素が上限しきい値を超えた場合に生じるトリガー応答の順序を示します。最初に上昇しきい値を超えたときに、イベントが送信され、通知が発行されます。後続のしきい値超過通知は、モニタリング対象の値が上昇しきい値を再び超える前に下限しきい値を下回った場合に限り発行されます。
図 1 IP SLA のしきい値超過に関するトリガー応答条件と通知
1 |
最初に上昇しきい値を超えたときに、イベントが送信され、しきい値超過通知が発行されます。 |
2 |
上昇しきい値の超過違反が連続して発生しても、追加の通知は発行されません。 |
3 |
モニタリング対象の値が下限しきい値を下回っています。 |
4 |
上昇しきい値を超えたときに別のしきい値超過通知が発行されているのは、モニタリング対象の値が最初に下限しきい値を下回った後だけです。 |
(注) また、モニタリング対象の要素が下限しきい値を最初に下回った時点で(3)、下限しきい値超過通知が発行されます。前述のように、下限しきい値超過違反に対する後続の通知が発行されるのは、上昇しきい値を超えた後で、モニタリング対象の値が下限しきい値を再び下回った場合に限られます。