VoIP 用の Cisco IOS IP SLA UDP ジッタ動作の設定
このマニュアルでは、Cisco IOS IP Service Level Agreement(SLA; サービス レベル契約)User Datagram Protocol(UDP; ユーザ データグラム プロトコル)ジッタ動作を設定してネットワーク内の Voice over IP(VoIP)品質レベルを予防的にモニタし、IPv4 または IPv6 ネットワーク内のユーザに VoIP レベルを保証できるようにする方法について説明します。IP SLA VoIP UDP ジッタ動作は、共通のコーデックを使用して VoIP トラフィックを正確にシミュレーションし、ネットワーク内の Cisco IOS デバイス間で一貫性のある音声品質スコア(MOS および ICPIF)を算出します。
(注) このマニュアルで使用される「音声」という用語は、あらゆるインターネット テレフォニー アプリケーションを意味します。「Voice over IP」という用語は、IP ネットワーク経由のマルチメディア(音声とビデオの両方)の伝送を含むことができます。
機能情報の確認
ご使用のソフトウェア リリースでは、このモジュールで説明されるすべての機能がサポートされているとは限りません。最新の機能情報と注意事項については、ご使用のプラットフォームとソフトウェア リリースに対応したリリース ノートを参照してください。この章に記載されている機能の詳細、および各機能がサポートされているリリースのリストについては、「IP SLA VoIP UDP ジッタ動作の機能情報」 を参照してください。
プラットフォーム サポートと Cisco IOS および Catalyst OS ソフトウェア イメージ サポートに関する情報を入手するには、Cisco Feature Navigator を使用します。Cisco Feature Navigator には、 http://www.cisco.com/go/cfn からアクセスします。Cisco.com のアカウントは必要ありません。
IP SLA VoIP UDP ジッタ動作の制約事項
• この機能は、UDP トラフィックを使用して適切な Voice over IP スコアを生成します。Real-Time Transport Protocol(RTP)はサポートされていません。
• この機能で算出される ICPIF 値および MOS 値には IP SLA 内での一貫性はありますが、相対的に比較するために生成された予想値に過ぎません。これらの値は、他の方法で測定された値とは異なる可能性があります。
• 任意の方法で測定されたカスタマー オピニオンの予測値(E-Model 伝送評価係数 R や算出された平均オピニオン評点に対して示された値など)は、伝送計画および分析のみを目的として生成された値です。実際のカスタマー オピニオンを反映する値ではありません。
IP SLA VoIP UDP ジッタ動作に関する情報
• 「Calculated Planning Impairment Factor(ICPIF)」
• 「平均オピニオン評点(MOS)」
• 「IP SLA を使用した音声パフォーマンスのモニタリング」
• 「IP SLA でのコーデックのシミュレーション」
• 「IP SLA ICPIF 値」
• 「IP SLA MOS 値」
Calculated Planning Impairment Factor(ICPIF)
ICPIF は、1996 年版の ITU-T 勧告 G.113『Transmission impairments』で Icpif = Itot - A の一部として初登場しました。ICPIF は、実際には「(Impairment)Calculated Planning Impairment Factor」の頭字語で、単純に「計画劣化係数の算出値」を意味すると理解してください。ICPIF は、比較および計画を目的として、ネットワーク内で発生する音声品質に対する重大な劣化の数値化を試みたものです。
ICPIF は、測定された劣化係数の合計(総劣化、つまり Itot )からユーザ定義のアクセス アドバンテージ係数( A )を引いたものです。アクセス アドバンテージ係数(A)は、通話方法(携帯電話からの通話対固定電話からの通話など)に基づいた、ユーザの期待を表す値です。この式を拡張すると、完全な式は次のようになります。
Icpif = Io + Iq + Idte + Idd + Ie - A
ここで
• Io は、最適ではないラウドネス定格が原因の劣化を表します。
• Iq は、PCM の量子化歪みが原因の劣化を表します。
• Idte は、送話者エコーが原因の劣化を表します。
• Idd は、一方向送信時間(一方向遅延)が原因の劣化を表します。
• Ie は、通話に使用されたコーデック タイプ、パケット損失など装置の影響が原因の劣化を表します。
• A は、アクセスの容易性の代償としてユーザがある程度の劣化を許容するという事実を補う、アクセス アドバンテージ係数(ユーザ期待係数とも呼ばれます)を表します。
ICPIF の値は、通常、5(非常に軽い障害)から 55(非常に重い障害)の範囲で表されます。20 未満の ICPIF 値は、通常、「適切」と見なされます。ICPIF 値の目的は音声品質の客観的測定ですが、この値は、劣化の組み合わせの主観的影響を予測するためにも使用されます。G.113(1996 年 2 月)に記載された、主観的品質判定に対応することが期待されるサンプル ICPIF 値を、 表 1 に示します。
表 1 総劣化係数 ICPIF に応じた品質レベル
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|
5 |
非常に良好 |
10 |
良好 |
20 |
適切 |
30 |
限定された状況で許容可 |
45 |
きわめて限定された状況で許容可 |
55 |
ユーザが強い不満を示す可能性が高い(苦情、ネットワーク オペレータの変更) |
ICPIF の詳細については、1996 年版の G.113 の仕様を参照してください。
(注) 最新版の ITU-T G.113 勧告(2001 年)には、ICPIF モデルについての記載はありません。代わりに、事業者に対して次のように G.107 を紹介しています。「ITU-T G.107 の E-model で使用される『劣化係数法』が推奨されます。量子化歪み単位を使用するこれまでの方法は推奨されません」
R = Ro - Is - Id - Ie + A で表される完全な E-Model(ITU-T 伝送評価モデルとも呼ばれます)は、劣化要因の定義を精緻化することによって通話品質をより正確に測定できる可能性があります(詳細については、2003 年版の G.107 を参照してください)。ICPIF と E-Model は劣化に関する用語を共有していますが、これら 2 つのモデルを混同しないでください。
IP SLA VoIP UDP 動作機能では、ICPIF、伝送評価係数 R、および MOS 値の間で観測された対応関係が活用されますが、E-Model はサポートされていません。
IP SLA は単純化された ICPIF 式を使用します(この式の詳細については、以降のこのマニュアルで定義します)。
平均オピニオン評点(MOS)
伝送される音声の品質は、聞き手の主観的な反応です。Voice over IP の伝送に使用される各コーデックは、一定レベルの品質を提供します。特定のコーデックによってもたらされる音質の測定に使用される共通のベンチマークは、MOS です。MOS では、幅広い聞き手が、特定のコーデックを使用して送信された音声サンプルの品質を 1(貧弱)~5(優良)で判定します。オピニオン評点は平均化されて、各サンプルの平均が算出されます。 表 2 に、各値に対する MOS 評点および対応する品質の説明を示します。
表 2 MOS 評点
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|
|
5 |
優良 |
ほとんど感じられない |
4 |
良好 |
わずかに感じられるが、気にならない |
3 |
適正 |
感じられ、やや気になる |
2 |
貧弱 |
気になるが、不快ではない |
1 |
不良 |
非常に気になり、不快である |
コーデックおよび他の伝送劣化に関する MOS 評点がよく知られているため、測定された劣化に基づいて MOS の予測値を算出し、表示できます。この予測値は、客観的 MOS または主観的 MOS 値と区別するために、ITU によって Mean Opinion Score; Conversational Quality, Estimated(MOS-CQE)と指定されました(詳細は、P.800.1 を参照)。
IP SLA を使用した音声パフォーマンスのモニタリング
IP ネットワーク上で音声品質およびビデオ品質を測定する際に重要なメトリックの 1 つはジッタです。ジッタとは、着信パケット間の遅延のばらつき(パケット内遅延の分散)を示すのに使用される名前です。ジッタは、通話者の音声パターンに不均等なずれを生じさせて、音声品質に影響を与えます。IP ネットワーク上での音声伝送およびビデオ伝送に関するその他の重要なパフォーマンス パラメータには、遅延やパケット損失が挙げられます。IP SLA は、Cisco IOS ソフトウェアの埋め込み型アクティブ モニタリング機能であり、ユーザとのサービスレベル契約以上のサービス レベルをネットワークが確保するためにシミュレーションし、これらのパラメータを測定するための手段を提供します。
IP SLA は、送信元デバイスから特定の宛先(動作ターゲットと呼ばれます)にネットワーク経由で送信された UDP プローブ パケットで構成される UDP ジッタ動作を提供します。この合成トラフィックは、接続のジッタ量、ラウンドトリップ時間、方向別パケット損失、および一方向遅延を記録するために使用されます(「合成トラフィック」という用語は、ネットワーク トラフィックがシミュレーションされたこと、つまり、トラフィックが IP SLA によって生成されたことを示します)。収集された統計情報の形式のデータは、複数のテストをユーザが定義した期間にわたって行うために表示できます。たとえば、1 日の異なる時間のネットワーク パフォーマンスまたは 1 週間を通じたネットワーク パフォーマンスを確認できます。ジッタ プローブには、IP SLA Responder を使用して、受信側で最小の遅延をもたらすという利点があります。
IP SLA VoIP UDP ジッタ動作は、UDP ジッタ動作によって既に収集されているメトリックに加えて、動作によって収集されたデータに MOS スコアおよび ICPIF スコアを返す機能を追加することによって標準的な UDP ジッタ動作を変更します。この VoIP 固有の実装では、VoIP ネットワークのパフォーマンスを測定する際にさらに役立つ情報が提供されるため、ネットワークの評価、トラブルシューティング、およびヘルスモニタリングを実行する機能を向上できます。
IP SLA でのコーデックのシミュレーション
IP SLA VoIP UDP ジッタ動作は、指定された頻度 f で、指定された送信元ルータから指定されたターゲット ルータに、サイズ s の n 個の UDP パケットを t ミリ秒間隔で送信して統計情報を計算します。プローブ動作を処理するには、ターゲット ルータが IP SLA Responder を稼動している必要があります。
MOS スコアと ICPIF スコアを生成するには、VoIP UDP ジッタ動作を設定するときに、接続に使用するコーデック タイプを指定します。動作に設定したコーデック タイプに基づいて、パケット数(n)、各ペイロードのサイズ(s)、パケット間間隔(t)、および動作の頻度(f)がデフォルト値に自動設定されます(詳細については、 表 3 を参照してください)。ただし、必要な場合は、 udp-jitter コマンドの構文でこれらのパラメータを手動で設定することもできます。
表 3 に、動作に設定されるデフォルト パラメータ(コーデック タイプ別)を示します。
表 3 デフォルトの VoIP UDP ジッタ動作パラメータ(コーデック タイプ別)
|
デフォルトの要求サイズ(パケット ペイロード)(s)
|
|
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|
G.711 mu-Law(g711ulaw) |
160 + 12 RTP バイト |
20 ms |
1000 |
1 分に 1 回 |
G.711 A-Law(g711alaw) |
160 + 12 RTP バイト |
20 ms |
1000 |
1 分に 1 回 |
G.729A(g729a) |
20 + 12 RTP バイト |
20 ms |
1000 |
1 分に 1 回 |
たとえば、g711ulaw コーデックの特性を使用する VoIP UDP ジッタ動作を設定した場合、プローブ動作はデフォルトで 1 分に 1 回( f )送信されます。各プローブ動作は 1000 パケット( n )で構成され、各パケットは 180 バイトの合成データ( s )を含み、20 ミリ秒間隔( t )で送信されます。
IP SLA ICPIF 値
Cisco IOS ソフトウェアを使用する ICPIF 値の計算は、主として音声品質を損なう 2 つの主要因(遅延パケットと損失パケット)に基づいています。パケット遅延およびパケット損失は IP SLA で測定できます。したがって、完全な ICPIF 式( Icpif = Io + Iq + Idte + Idd + Ie - A )は、 Io 、 Iq 、および Idte の各値が 0 であると仮定して、次のように単純化できます。
総劣化係数(Icpif)= 遅延劣化係数(Idd)+ 機器劣化係数(Ie)- 期待/アドバンテージ係数(A)
つまり ICPIF 値は、遅延パケットの測定値に基づいた遅延劣化係数と、損失パケットの測定値に基づいた機器劣化係数を加算して算出されます。ネットワーク内で測定されたこの総劣化の合計値から劣化変数(期待係数)を引くと、ICPIF になります。
これは、Cisco Gateways が受信した VoIP データ ストリームの ICPIF を計算する際に使用する式と同じです。
遅延劣化係数
遅延劣化係数( Idd )は、2 つの値に基づいた数値です。1 つの値は、固定値です。(ITU 規格で規定された)コーデック遅延、先読み遅延、および Digital Signal Processing(DSP; デジタル信号処理)遅延の固定値を使用して算出されます。2 番めの値は、変数です。測定された一方向遅延(ラウンドトリップ時間測定値を 2 で割った値)に基づいています。一方向遅延値は、G.107(2002 年版)の分析式に基づいたマッピング テーブルを使用して数値にマップされます。 表 4 に、IP SLA によって測定された一方向遅延と遅延劣化係数値の対応関係の例を示します。
表 4 一方向遅延と ICPIF 遅延劣化係数の対応関係の例
|
|
50 |
1 |
100 |
2 |
150 |
4 |
200 |
7 |
機器劣化係数
機器劣化係数( Ie )は、測定されたパケット損失量に基づいた数値です。測定されたパケット損失量は総送信パケット数の割合として表され、コーデックによって定義される機器劣化係数に対応します。 表 5 に、IP SLA によって測定されたパケット損失と機器劣化係数値の対応関係の例を示します。
表 5 測定されたパケット損失と ICPIF 機器劣化の対応関係の例
|
|
CS-ACELP(G.729A)コーデックの機器劣化値
|
2 % |
12 |
20 |
4 % |
22 |
30 |
6 % |
28 |
38 |
8 % |
32 |
42 |
期待計数
アドバンテージ係数( A )とも呼ばれる期待計数は、アクセスの容易性の代償としてユーザがある程度の品質の劣化を許容するという事実を表すことを目的としています。たとえば、到達困難な場所にいる携帯電話ユーザは、接続品質が従来の固定電話接続ほど良好ではないことを予測している可能性があります。この変数は、向上したアクセスの利便性と音声品質の低下の釣り合いを保つことを目的としているので、アドバンテージ係数(アクセス アドバンテージ係数の略)とも呼ばれます。
表 6 は ITU-T Rec.G.113 を改良したもので、 A の暫定最大値のセットを、提供されるサービスごとに定義しています。
表 6 アドバンテージ係数の推奨最大値
|
|
従来の有線(固定電話) |
0 |
建物内のモビリティ(セルラー接続) |
5 |
地域内または車内のモビリティ |
10 |
到達困難な場所へのアクセス (マルチホップ衛星接続を介したアクセスなど) |
20 |
これらの値は推奨値に過ぎません。意味のある値にするには、係数( A )と特定のアプリケーションで選択した係数値を、採用する任意のプランニング モデルで一貫して使用する必要があります。ただし、 表 6 の値は、 A の絶対的な上限と見なす必要があります。
IP SLA VoIP UDP ジッタ動作のデフォルトのアドバンテージ係数は常に 0 です。
IP SLA MOS 値
IP SLA は、ICPIF 値と MOS 値との測定された対応関係を使用して MOS 値を予測します。この機能の文脈で MOS という略語を使用する場合、Mean Opinion Score; Conversational Quality, Estimated(MOS-CQE)を表すと理解してください。
G.107(2003 年 3 月)で定義された E-Model は、伝送パラメータが原因の劣化(損失、遅延など)を組み合わせて 1 つの評価、つまり伝送評価係数 R(R 係数)を算出することによって、平均的な聞き手が感じる主観的な品質を予測します。0(最低)~100(最高)で表されるこの評価は、MOS などユーザの主観的な反応を予測するために使用されます。具体的には、MOS は R 係数から変換式を使用して算出できます。逆に言うと、この式を逆変換式に修正して使用すれば、MOS 値から R 係数を算出できます。
ICPIF 値と R 係数との間にも関係があります。IP SLA は、ICPIF スコアから算出された R 係数の予測値から適切な MOS スコアの概算値を算出して、この対応関係を利用します。 表 7 に、対応する ICPIF 値に対して生成される MOS 値を示します。
表 7 MOS 値に対する ICPIF 値の対応関係
|
|
|
0 ~ 3 |
5 |
最高 |
4 ~ 13 |
4 |
高 |
14 ~ 23 |
3 |
中 |
24 ~ 33 |
2 |
低 |
34 ~ 43 |
1 |
貧弱 |
IP SLA は、MOS 予測値を常に 1 ~ 5 で表します(5 が最高品質です)。MOS 値が 0(ゼロ)の場合は、その動作に対して MOS データを生成できなかったことを示します。
IP SLA VoIP UDP ジッタ動作の設定方法
• 「IP SLA VoIP UDP ジッタ動作の設定」
IP SLA VoIP UDP ジッタ動作の設定
IP SLA VoIP UDP ジッタ動作の統計情報を使用して VoIP スコアを返すには、次の作業を実行します。
(注) IP SLA UDP ジッタ動作の VoIP 固有の実装には、標準的な UDP ジッタ動作とは異なる設定オプションが含まれています。udp-jitter コマンド構文で codec キーワードを指定すると、ただちにジッタ動作の VoIP 固有の実装を設定することになります。
制約事項
• 現時点では、IP SLA は次の音声コーデック(圧縮法)のみをサポートします。
– G.711 A Law(g711alaw: 64 kbps PCM 圧縮法)
– G.711 mu Law(g711ulaw: 64 kbps PCM 圧縮法)
– G.729A(g729a: 8 kbps CS-ACELP 圧縮法)
• 次のコマンドは UDP ジッタ コンフィギュレーション モードでは使用できますが、UDP ジッタ(コーデック)動作では使用できません。
– history distributions-of-statistics-kept
– history statistics-distribution-interval
– request-data-size
• コーデック タイプを指定すると、 codec-interval 、 codec-size 、および codec-numpacket の各オプションに適切なデフォルト値が設定されます。デフォルト値よりも優先させる特別な理由(異なるコーデックの概算など)がある場合を除いて、間隔、サイズ、およびパケット数の各オプションの値を指定しないでください。
• show ip sla configuration コマンドを設定すると、「Number of statistic distribution buckets kept」および「Statistic distribution interval (milliseconds)」の値が表示されますが、これらの値はジッタ(コーデック)動作には適用されません。
手順の概要
1. enable
2. configure terminal
3. ip sla operation-number
4. udp-jitter { destination-ip-address | destination-hostname } destination-port codec codec-type [ codec-numpackets number-of-packets ] [ codec-size number-of-bytes ] [ codec-interval milliseconds ] [ advantage-factor value ] [ source-ip { ip-address | hostname }] [ source-port port-number ] [ control { enable | disable }]
5. history enhanced [ interval seconds ] [ buckets number-of-buckets ]
6. frequency seconds
7. history hours-of-statistics-kept hours
8. owner owner-id
9. tag text
10. threshold milliseconds
11. timeout milliseconds
12. tos number
または
traffic-class number
13. flow-label number
14. verify-data
15. vrf vrf-name
16. exit
17. ip sla schedule operation-number [ life { forever | seconds }] [ start-time { hh : mm [: ss ] [ month day | day month ] | pending | now | after hh : mm : ss }] [ ageout seconds ] [ recurring ]
18. exit
19. show ip sla configuration [ operation-number ]
手順の詳細
|
|
|
ステップ 1 |
enable
Router> enable |
特権 EXEC モードをイネーブルにします。 • プロンプトが表示されたら、パスワードを入力します。 |
ステップ 2 |
configure terminal
Router# configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
ip sla operation-number
Router(config)# ip sla 10 |
IP SLA 動作の設定を開始し、IP SLA コンフィギュレーション モードに移行します。 |
ステップ 4 |
udp-jitter { destination-ip-address | destination-hostname } destination-port codec codec-type [ codec-numpackets number-of-packets ] [ codec-size number-of-bytes ] [ codec-interval milliseconds ] [ advantage-factor value ] [ source-ip { ip-address | hostname }] [ source-port port-number ] [ control { enable | disable }]
Router(config-ip-sla)# udp-jitter 209.165.200.225 16384 codec g711alaw advantage-factor 10 |
遅延、ジッタ、およびパケット損失の統計情報に加えて、VoIP スコアを生成するジッタ(コーデック)動作としてこの動作を設定します。 |
ステップ 5 |
history enhanced [ interval seconds ] [ buckets number-of-buckets ]
Router(config-ip-sla-jitter)# history enhanced interval 900 buckets 100 |
(任意)IP SLA 動作に対する拡張履歴収集をイネーブルにします。 |
ステップ 6 |
frequency seconds
Router(config-ip-sla-jitter)# frequency 30 |
(任意)指定した IP SLA 動作を繰り返す間隔を設定します。 |
ステップ 7 |
history hours-of-statistics-kept hours
Router(config-ip-sla-jitter)# history hours-of-statistics-kept 4 |
(任意)IP SLA 動作の統計情報を保持する時間数を設定します。 |
ステップ 8 |
owner owner-id
Router(config-ip-sla-jitter)# owner admin |
(任意)IP SLA 動作の Simple Network Management Protocol(SNMP; 簡易ネットワーク管理プロトコル)所有者を設定します。 |
ステップ 9 |
tag text
Router(config-ip-sla-jitter)# tag TelnetPollServer1 |
(任意)IP SLA 動作のユーザ指定 ID を作成します。 |
ステップ 10 |
threshold milliseconds
Router(config-ip-sla-jitter)# threshold 10000 |
(任意)IP SLA 動作によって作成されるネットワーク モニタリング統計情報を計算するための上限しきい値を設定します。 |
ステップ 11 |
timeout milliseconds
Router(config-ip-sla-jitter)# timeout 10000 |
(任意)IP SLA 動作がその要求パケットからの応答を待機する時間を設定します。 |
ステップ 12 |
tos number または traffic-class number
Router(config-ip-sla-jitter)# tos 160 または
Router(config-ip-sla-jitter)# traffic-class 160 |
(任意)IPv4 ネットワークに限り、IP SLA 動作の IPv4 ヘッダーの ToS バイトを定義します。 または (任意)IPv6 ネットワークに限り、サポートされている IP 動作に対する IPv6 ヘッダーのトラフィック クラス バイトを定義します。 |
ステップ 13 |
flow-label number
Router(config-ip-sla-jitter)# flow-label 112233 |
(任意)IPv6 ネットワークに限り、サポートされている IP SLA 動作に対する IPv6 ヘッダーのフロー ラベル フィールドを定義します。 |
ステップ 14 |
verify-data
Router(config-ip-sla-jitter)# verify-data |
(任意)IP SLA 動作が各応答パケットに対してデータ破壊の有無をチェックするようにします。 |
ステップ 15 |
vrf vrf-name
Router(config-ip-sla-jitter)# vrf vpn-A |
(任意)IP SLA 動作を使用して、Multiprotocol Label Switching(MPLS; マルチプロトコル ラベル スイッチング)Virtual Private Network(VPN; バーチャル プライベート ネットワーク)内をモニタリングできるようにします。 |
ステップ 16 |
exit
Router(config-ip-sla-jitter)# exit |
UDP ジッタ コンフィギュレーション サブモードを終了し、グローバル コンフィギュレーション モードに戻ります。 |
ステップ 17 |
ip sla schedule operation-number [ life { forever | seconds }] [ start-time { hh : mm [: ss ] [ month day | day month ] | pending | now | after hh : mm : ss }] [ ageout seconds ] [ recurring ]
Router(config)# ip sla schedule 5 start-time now life forever |
個々の IP SLA 動作のスケジューリング パラメータを設定します。 |
ステップ 18 |
exit
Router(config)# exit |
(任意)グローバル コンフィギュレーション モードを終了し、特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 19 |
show ip sla configuration [ operation-number ]
Router# show ip sla configuration 10 |
(任意)すべての IP SLA 動作または指定した IP SLA 動作に関する設定値を、すべてのデフォルト値を含めて表示します。 |
トラブルシューティングのヒント
• IP SLA 動作が実行せず、統計情報が生成されていない場合は、動作の設定に verify-data コマンドを追加して(IP SLA コンフィギュレーション モードで設定)、データ検証をイネーブルにします。イネーブルになると、各動作の応答が破損していないかどうかがチェックされます。通常の動作時に verify-data コマンドを使用すると、不要なオーバーヘッドがかかるので注意してください。
• IP SLA 動作に関する問題をトラブルシューティングするには、 debug ip sla trace コマンドと debug ip sla error コマンドを使用します。
次の作業
IP SLA 動作の結果を表示し、内容を確認するには、 show ip sla statistics コマンドを使用します。サービス レベル契約の基準に対応するフィールドの出力を確認すると、サービス メトリックが許容範囲内であるかどうかを判断する役に立ちます。
IP SLA VoIP UDP ジッタ動作の設定例
• 「例:IP SLA VoIP UDP 動作の設定」
• 「例:IP SLA VoIP UDP 動作統計情報の出力」
例:IP SLA VoIP UDP 動作の設定
次の例では、209.165.200.225 のデバイスで IP SLA Responder がイネーブルであると仮定します。
Router# configure terminal
Enter configuration commands, one per line. End with the end command.
Router(config)# ip sla 10
Router(config-sla)# udp-jitter 209.165.200.225 16384 codec g711alaw advantage-factor 2
Router(config-sla-jitter)# owner admin_bofh
Router(config-sla-jitter)# exit
Router(config)# ip sla schedule 10 start-time now
Router# show running-config | begin ip sla 10
udp-jitter 209.165.200.225 16384 codec g711alaw advantage-factor 2
ip sla schedule 10 start-time now
Router# show ip sla configuration 10
Type of operation to perform: jitter
Target address: 209.165.200.225
Operation timeout (milliseconds): 5000
Codec Number Of Packets: 1000
Codec Interval (milliseconds): 20
Type Of Service parameters: 0x0
Operation frequency (seconds): 60
Next Scheduled Start Time: Start Time already passed
Entry Ageout (seconds): never
Status of entry (SNMP RowStatus): Active
Connection loss reaction enabled: No
Timeout reaction enabled: No
Threshold reaction type: Never
Threshold (milliseconds): 5000
Threshold Falling (milliseconds): 3000
Number of statistic hours kept: 2
Number of statistic distribution buckets kept: 1
Statistic distribution interval (milliseconds): 20
ジッタ動作のコーデック タイプが設定されると、 show ip sla configuration コマンドの出力には、標準ジッタの「Request size (ARR data portion)」、「Number of packets」、および「Interval (milliseconds)」の各パラメータは表示されません。その代わりに、「Codec Packet Size」、「Codec Number of Packets」、および「Codec Interval (milliseconds)」の値が表示されます。
例:IP SLA VoIP UDP 動作統計情報の出力
ジッタ(コーデック)動作の音声スコア(ICPIF 値と MOS 値)を表示するには、 show ip sla statistics コマンドを使用します。
Router# show ip sla statistics 10
Modification time: 12:57:45.690 UTC Sun Oct 26 2003
Number of operations attempted: 1
Number of operations skipped: 0
Current seconds left in Life: Forever
Operational state of entry: Active
Last time this entry was reset: Never
Connection loss occurred: FALSE
Over thresholds occurred: FALSE
Latest RTT (milliseconds): 19
Latest operation start time: 12:57:45.723 Sun Oct 26 2003
Latest operation return code: OK
ICPIF: 20 MOS Score: 3.20
NumOfRTT: 10 RTTAvg: 19 RTTMin: 19 RTTMax: 20
RTTSum: 191 RTTSum2: 3649
PacketLossSD: 0 PacketLossDS: 0
PacketOutOfSequence: 0 PacketMIA: 0 PacketLateArrival: 0
InternalError: 0 Busies: 0
MinOfPositivesSD: 0 MaxOfPositivesSD: 0
NumOfPositivesSD: 0 SumOfPositivesSD: 0 Sum2PositivesSD: 0
MinOfNegativesSD: 0 MaxOfNegativesSD: 0
NumOfNegativesSD: 0 SumOfNegativesSD: 0 Sum2NegativesSD: 0
MinOfPositivesDS: 1 MaxOfPositivesDS: 1
NumOfPositivesDS: 1 SumOfPositivesDS: 1 Sum2PositivesDS: 1
MinOfNegativesDS: 1 MaxOfNegativesDS: 1
NumOfNegativesDS: 1 SumOfNegativesDS: 1 Sum2NegativesDS: 1
Interarrival jitterout: 0 Interarrival jitterin: 0
OWMinSD: 0 OWMaxSD: 0 OWSumSD: 0 OWSum2SD: 0
OWMinDS: 0 OWMaxDS: 0 OWSumDS: 0 OWSum2DS: 0
その他の参考資料
規格
|
|
ITU-T 勧告 G.107(2003 年) |
『The E-model, a computation model for use in transmission planning』 |
ITU-T 勧告 G.113(1996 年) |
『Transmission impairments』 |
ITU-T 勧告 G.113(2001 年) |
『Transmission impairments due to speech processing』 |
ITU-T 勧告 G.711(1998 年) |
『Pulse code modulation (PCM) of voice frequencies』 (別名 G.711 音声コーデック) |
ITU-T 勧告 G.729 Annex A(1996 年) |
『Reduced complexity 8 kbit/s CS-ACELP speech codec』 (別名 G.729/A/B 音声コーデック) |
ITU-T 勧告 P.800.1(2003 年) |
『Mean Opinion Score (MOS) terminology』 |
これらの規格に対する完全なサポートを主張するものではありません。
ITU 電気通信規格(「現在有効な ITU-T 勧告」)は、http://www.itu.ch で入手できます。規定の概要は、各種インターネット サイトで入手できます。
MIB
|
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CISCO-RTTMON-MIB |
選択したプラットフォーム、Cisco IOS リリース、および機能セットの MIB を検索してダウンロードする場合は、次の URL にある Cisco MIB Locator を使用します。 http://www.cisco.com/go/mibs |
RFC
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RFC 768 |
『User Datagram Protocol』 |
RFC 1889 |
『RTP: A Transport Protocol for Real-Time Applications』 |
シスコのテクニカル サポート
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右の URL にアクセスして、シスコのテクニカル サポートを最大限に活用してください。 以下を含むさまざまな作業にこの Web サイトが役立ちます。 ・テクニカル サポートを受ける ・ソフトウェアをダウンロードする ・セキュリティの脆弱性を報告する、またはシスコ製品のセキュリティ問題に対する支援を受ける ・ツールおよびリソースへアクセスする - Product Alert の受信登録 - Field Notice の受信登録 - Bug Toolkit を使用した既知の問題の検索 ・Networking Professionals(NetPro)コミュニティで、技術関連のディスカッションに参加する ・トレーニング リソースへアクセスする ・TAC Case Collection ツールを使用して、ハードウェアや設定、パフォーマンスに関する一般的な問題をインタラクティブに特定および解決する この Web サイト上のツールにアクセスする際は、Cisco.com のログイン ID およびパスワードが必要です。 |
http://www.cisco.com/en/US/support/index.html |
IP SLA VoIP UDP ジッタ動作の機能情報
表 8 に、この章に記載されている機能および具体的な設定情報へのリンクを示します。
プラットフォームおよびソフトウェア イメージのサポート情報を検索するには、Cisco Feature Navigator を使用します。Cisco Feature Navigator を使用すると、ソフトウェア イメージがサポートする特定のソフトウェア リリース、機能セット、またはプラットフォームを確認できます。Cisco Feature Navigator には、 http://www.cisco.com/go/cfn からアクセスします。Cisco.com のアカウントは必要ありません。
(注) 表 8 には、一連のソフトウェア リリースのうち、特定の機能が初めて導入されたソフトウェア リリースだけが記載されています。特に明記していないかぎり、その機能は、一連のソフトウェア リリースの以降のリリースでもサポートされます。
表 8 IP SLA VoIP UDP ジッタ動作の機能情報
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IP SLA UDP ジッタ動作 |
12.2(31)SB2 12.2(33)SRB1 12.2(33) SXH 12.3(14)T 15.0(1)S |
Cisco IOS IP SLA User Datagram Protocol(UDP; ユーザ データグラム プロトコル)ジッタ動作を使用すると、UDP トラフィックを伝送するネットワーク内におけるラウンドトリップ遅延、一方向遅延、一方向ジッタ、一方向パケット損失、および接続を測定できます。 |
IPv6:IP SLA(UDP ジッタ、UDP エコー、ICMP エコー、TCP 接続) |
12.2(33)SRC 12.2(33)SB 12.4(20)T |
IPv6 ネットワークでの動作を可能にするためにサポートが追加されました。 |
用語集
CS-ACELP :参考文書 G.729 および G.729A『 Coding of speech at 8 kbit/s using conjugate-structure algebraic-code-excited linear-prediction (CS-ACELP) 』で規定されたコーデック タイプ。
ITU :International Telecommunication Union(国際電気通信連合)。ITU は、政府機関および民間セクターが世界規模の電気通信ネットワークおよびサービスに関する調整を行う、国際連合内の国際組織です。ITU Telecommunication Standardization Sector(ITU-T; 国際電気通信連合電気通信標準化部門)は、電気通信のあらゆる分野を対象とする規格(勧告)を規定する部門であり、ITU の 3 つの作業部門の 1 つです。ITU の Web サイトは、http://www.itu.int です。
ITU-T :ITU Telecommunication Standardization Sector(国際電気通信連合電気通信標準化部門)。ITU-T は ITU の 3 つの作業部門の 1 つです。電気通信のあらゆる分野を対象とする規格(ITU-T 勧告と呼ばれます)を規定する部門です。
MOS-CQE (Mean Opinion Score; Conversational Quality, Estimated):従来のアプリケーション状況下での品質予測を目的とするネットワーク計画モデルによって算出されるスコア。ITU-T 勧告 G.107 に従って実行された従来の品質の予測。Mean Opinion Score(MOS; 平均オピニオン評点)に変換されると、MOS-CQE の観点から結果を提供します。
PCM :参考文書 G.711『 Pulse code modulation (PCM) of voice frequencies 』で規定されたコーデック タイプ。
コーデック :IP テレフォニー分野におけるコーデックは、音声データとビデオ データの伝送効率を向上させるために使用される圧縮/圧縮解除アルゴリズムです。音声コーデック タイプは、通常、アルゴリズムを規定する ITU 勧告番号(「PCM」ではなく「G.711」など)を使用して表されます。
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