この製品のマニュアルセットは、偏向のない言語を使用するように配慮されています。このマニュアルセットでの偏向のない言語とは、年齢、障害、性別、人種的アイデンティティ、民族的アイデンティティ、性的指向、社会経済的地位、およびインターセクショナリティに基づく差別を意味しない言語として定義されています。製品ソフトウェアのユーザーインターフェイスにハードコードされている言語、RFP のドキュメントに基づいて使用されている言語、または参照されているサードパーティ製品で使用されている言語によりドキュメントに例外が存在する場合があります。シスコのインクルーシブランゲージに対する取り組みの詳細は、こちらをご覧ください。
このドキュメントは、米国シスコ発行ドキュメントの参考和訳です。リンク情報につきましては、日本語版掲載時点で、英語版にアップデートがあり、リンク先のページが移動/変更されている場合がありますことをご了承ください。あくまでも参考和訳となりますので、正式な内容については米国サイトのドキュメントを参照ください。
目次
インターネット グループ管理プロトコル(IGMP)は、特定の LAN セグメント上でマルチキャスト グループに個々のホストを動的に登録する場合に使用されます。 インターフェイス上で Protocol Independent Multicast(PIM)をイネーブルにした場合でも、そのインターフェイス上で IGMP の動作がイネーブルにされます。
このモジュールでは、次の方法を含む、IGMP をカスタマイズする方法について説明します。
ご使用のソフトウェア リリースでは、このモジュールで説明されるすべての機能がサポートされているとは限りません。 最新の機能情報および警告については、使用するプラットフォームおよびソフトウェア リリースの Bug Search Tool およびリリース ノートを参照してください。 このモジュールに記載されている機能の詳細を検索し、各機能がサポートされているリリースのリストを確認する場合は、このモジュールの最後にある機能情報の表を参照してください。
プラットフォームのサポートおよびシスコ ソフトウェア イメージのサポートに関する情報を検索するには、Cisco Feature Navigator を使用します。 Cisco Feature Navigator にアクセスするには、www.cisco.com/go/cfn に移動します。 Cisco.com のアカウントは必要ありません。
Source Specific Multicast(SSM)モードで設定されていないマルチキャスト グループに対するトラフィックをフィルタリングまたは制限する場合、ソフトウェアで IGMPv3 メンバーシップは使用されません。 実際には、Cisco IOS ソフトウェアにより、デンス モード、スパース モード、または双方向モードで設定されているグループに対するすべての IGMPv3 メンバーシップ レポートが、グループ メンバーシップ レポートに解釈され、すべてのアクティブなソースからのトラフィックがネットワークに転送されます。
IGMPv3 メッセージは、IGMP バージョン 1(IGMPv1)およびバージョン 2(IGMPv2)で使用されているメッセージと異なるため、IGMP スヌーピングがサポートされ、IGMP スヌーピングでイネーブルにされているスイッチで IGMPv3 を使用するときには、注意が必要です。 IGMPv3 メッセージがスイッチで認識されない場合、IGMPv3 が使用されているときに、ホストではトラフィックが正しく受信されません。 この場合は、スイッチ上で IGMP スヌーピングがディセーブルにされているか、または、ルータではインターフェイス上で IGMPv2 に対する設定が行われています。これによって、URL Rendezvous Directory(URD)または IGMP v3lite を使用できないホスト アプリケーションに対して、SSM を使用する機能が削除されます。
Cisco Group Management Protocol(CGMP)を使用しているネットワークでは、IGMPv3 で設定されている場合よりも、IGMPv2 で設定されている場合に、より優れたグループ脱退動作が使用されます。 IGMPv2 で CGMP が使用され、CGMP 脱退機能でスイッチがイネーブルの場合、マルチキャスト グループに加入しているポートへのトラフィックは、そのポート上の最後のメンバがそのグループに対するメンバーシップを廃棄した直後に、ポートから削除されます。 この高速脱退メカニズムは、IGMPv2 の一部で、特に CGMP 高速脱退対応スイッチによってサポートされます。
IGMPv3 では、現在、高速脱退をサポートしている CGMP スイッチはありません。 IGMPv3 がネットワークで使用される場合、CGMP は動作し続けますが、CGMP 高速脱退サポートは無効で、次の条件が適用されます。
この加入の動作は IGMPv3 モードで実際に動作しているマルチキャスト グループにだけ適用されます。 IGMPv2 のみをサポートしているレガシー ホストがネットワークにある場合、グループは IGMPv2 に戻され、これらのグループに対して高速脱退が動作します。
CGMP 対応スイッチで高速脱退が必要な場合は、IGMPv3 をイネーブルにせず、そのインターフェイスで IGMPv2 を設定することを推奨します。
SSM を使用する場合は、IGMPv3 が必要で、次の 2 つの構成オプションがあります。
IGMP は、マルチキャスト グループの個々のホストを特定の LAN にダイナミックに登録するために使用します。 インターフェイスで PIM をイネーブルにすると、IGMP もイネーブルになります。 IGMP は、特別なマルチキャスト クエリアおよびホストを使用して、ネットワーク全体でマルチキャスト トラフィックのフローを自動的に制御および制限する手段を提供します。
ホストは、そのローカル マルチキャスト デバイスに IGMP メッセージを送信することで、グループ メンバーシップを識別します。 IGMP では、デバイスは IGMP メッセージを受信し、定期的にクエリーを送信して、特定のサブネットでアクティブなグループと非アクティブなグループを検出します。
Internet Engineering Task Force(IETF)の Request for Comments(RFC)ドキュメントで定義されているように、IGMP には 3 種類のバージョンがあります。 IGMPv2 は IGMPv1 の強化版で、ホストがマルチキャスト グループからの脱退を通知する機能が追加されていいます。IGMPv3 は IGMPv2 の強化版で、あるソース IP アドレスのセットから送信されたマルチキャストだけをリッスンする機能が追加されています。
IGMP のバージョン |
説明 |
---|---|
IGMPv1 |
どのマルチキャスト グループがアクティブであるかをマルチキャスト デバイスが判断できる基本的なクエリー応答メカニズムと、ホストがマルチキャスト グループに加入および脱退できるようにするためのその他のプロセスを提供します。 RFC 1112 で、IP マルチキャスト用の IGMPv1 ホスト拡張が定義されています。 |
IGMPv2 |
IGMP の拡張で、IGMP の脱退処理、グループ固有のクエリーおよび明示的な最大応答時間フィールドなどの機能が可能になっています。 また、IGMPv2 ではこの作業を実行するために、マルチキャスト プロトコルに依存することなく IGMP クエリアを選択する機能もデバイスに追加されます。 IGMPv2 は RFC 2236 で定義されています。 |
IGMPv3 |
ソース フィルタリングを提供します。これにより、マルチキャスト レシーバ ホストは、どのグループからマルチキャスト トラフィックを受信するか、およびこのトラフィックがどのソースからのものと想定されているかをデバイスに知らせることができます。 さらに、IGMPv3 は IGMPv3 メンバーシップ レポートの宛先 IP アドレスであるリンク ローカル アドレス 224.0.0.22 をサポートしています。すべての IGMPv3 対応マルチキャスト デバイスは、このアドレスをリッスンする必要があります。 IGMPv3 は RFC 3376 で定義されています。 |
(注) |
デフォルトでは、インターフェイスで PIM をイネーブルにすると、そのデバイスで IGMPv2 がイネーブルになります。 IGMPv2 は、可能な限り IGMPv1 と下位互換性を保つよう設計されました。 この下位互換性を実現するために、RFC 2236 は特別な相互運用性ルールを定義しています。 ネットワークにレガシー IGMPv1 ホストが含まれている場合は、これらの運用性ルールをよく知っておく必要があります。 IGMPv1 と IGMPv2 の相互運用性の詳細については、RFC 2236『Internet Group Management Protocol, Version 2』を参照してください。 |
IGMPv1 デバイスは、「全ホスト」へのマルチキャスト アドレスである 224.0.0.1 に IGMP クエリーを送信して、アクティブ マルチキャスト レシーバが存在するマルチキャスト グループを求めます。 マルチキャスト レシーバも、デバイスに IGMP レポートを送信して、特定のマルチキャスト ストリームの受信を待機していることを通知できます。 ホストは非同期に、またはデバイスによって送信される IGMP クエリーに対応して、レポートを送信できます。 同じマルチキャスト グループに複数のマルチキャスト レシーバが存在する場合、これらのホストの 1 つのみで、IGMP レポート メッセージが送信されます。他のホストでは、レポート メッセージが抑制されます。
IGMPv1 では、IGMP クエリア選択はありません。 セグメント内に複数のデバイスがある場合、すべてのデバイスが定期的に IGMP クエリーを送信します。 IGMPv1 には、ホストがグループから脱退できる特別なメカニズムはありません。 ホストで、特定のグループに対するマルチキャスト パケットを受信する必要がなくなった場合は、デバイスから送信される IGMP クエリー パケットに対する応答を行わないだけです。 デバイスはクエリー パケットを送信し続けます。 デバイスが 3 回 IGMP クエリーの応答を受信しないと、グループはタイムアウトし、デバイスはグループのセグメントへのマルチキャスト パケットの送信を停止します。 ホストがタイムアウト期間後にマルチキャスト パケットを受信する場合、そのホストは新しい IGMP join をデバイスに送信するだけです。これにより、デバイスはマルチキャスト パケットの転送を再開します。
LAN 上に複数のデバイスが存在する場合は、指定ルータ(DR)を選択して、接続されているホストに対するマルチキャスト トラフィックの重複を回避する必要があります。 PIM デバイスは DR を選択する選定プロセスに従います。 最も大きい IP アドレスを持つ PIM デバイスが DR になります。
DR は、次のタスクを担当します。
IGMPv2 では、IGMPv1 のクエリー メッセージング機能が改善されました。
IGMPv2 のクエリーおよびメンバーシップ レポート メッセージは、次の 2 つの例外を除き、IGMPv1 メッセージと同じです。
IGMPv2 では、次の機能に対するサポートを追加することにより、IGMP の機能の強化も行われました。
DR と IGMP クエリアが通常同じデバイスである IGMPv1 とは異なり、IGMPv2 では 2 つの機能は分離されます。 DR と IGMP クエリアは異なる基準で選択され、同じサブネット上の異なるデバイスである場合があります。 DR はサブネットで IP アドレスが最大のデバイスで、IGMP クエリアは最小の IP アドレスを持つデバイスです。
次のように、クエリー メッセージは IGMP クエリアの選択に使用されます。
デフォルトでは、タイマーはクエリー インターバルの 2 倍です。
IGMPv3 では、ソース フィルタリングのサポートが追加されています。これにより、マルチキャスト レシーバ ホストは、どのグループからマルチキャスト トラフィックを受信するか、およびこのトラフィックがどのソースからのものと想定されているかをデバイスに知らせることができます。 このメンバーシップ情報によって、レシーバがトラフィックを要求したソースからのトラフィックだけを転送できます。
IGMPv3 では、トラフィックを受信するソースに明示的に信号を送信するアプリケーションがサポートされます。 IGMPv3 では、次の 2 つのモードで、レシーバにより、マルチキャスト グループにメンバーシップの信号が送信されます。
IGMPv3 は SSM ネットワーク環境でホストがチャネル加入者に信号を送信する業界指定の標準プロトコルです。 IGMPv3 に依存する SSM では、ラスト ホップ デバイスおよびホストで実行されているオペレーティング システムのネットワーク スタック部分で IGMPv3 が使用でき、そのホスト上で動作しているアプリケーションで使用されている必要があります。
IGMPv3 では、ホストは 224.0.0.22 にメンバーシップ レポートを送信します。そのため、すべての IGMPv3 デバイスでこのアドレスをリッスンする必要があります。 ただし、ホストは 224.0.0.22 をリッスンせず、応答しません。ホストはこのアドレスにレポートを送信するだけです。 さらに、IGMPv3 では IGMPv3 ホストが他のホストによって送信されたレポートをリッスンしないため、メンバーシップ レポートの抑制はありません。 したがって、一般クエリーが送信されると、ネットワークのすべてのホストが応答します。
ホストがマルチキャスト グループに加入するとき、ホストは、加入するマルチキャスト グループに 1 つ以上の送信要求されていないメンバーシップ レポートを送信します。 IGMP 加入処理は、IGMPv1 ホストと IGMPv2 ホストで同じです。
IGMPv3 では、ホストの加入処理は次のように処理されます。
(注) |
LAN 上にある一部の IGMPv3 ホストでソースが除外され、その他のホストで同じソースが含まれている場合、デバイスは LAN 上でそのソースのトラフィックを送信します(つまり、この場合、包含が除外より優先されます)。 |
ホストがグループから脱退するために使用する方法は、動作中の IGMP のバージョンによって異なります。
IGMPv1 には、ホストがあるグループからのマルチキャスト トラフィックを受信しないことをそのサブネットのデバイスに通知するグループ脱退メッセージはありません。 ホストでは、マルチキャスト グループに対するトラフィックの処理が停止するだけで、そのグループに対する IGMP メンバーシップ レポートを使用した IGMP クエリーへの応答が終了します。 その結果、IGMPv1 デバイスがサブネットの特定のマルチキャスト グループにアクティブなレシーバがなくなったことを認識する唯一の方法は、デバイスがメンバーシップ レポートを受信しなくなったときになります。 このプロセスを容易にするために、IGMPv1 デバイスは、サブネットの IGMP グループとカウント ダウン タイマーを関連付けます。 サブネットのグループがメンバーシップ レポートを受信すると、タイマーがリセットされます。 IGMPv1 デバイスでは、このタイム アウト間隔は通常クエリー間隔の 3 倍(3 分)です。 このタイムアウト間隔は、すべてのホストがマルチキャスト グループから脱退した後最大 3 分間、デバイスがサブネットにマルチキャスト トラフィックを転送し続ける可能性があることを意味します。
IGMPv2 には、特定のグループのマルチキャスト トラフィックの受信を停止することをホストが提示する手段を提供するグループ脱退メッセージが組み込まれています。 IGMPv2 ホストがマルチキャスト グループから脱退するとき、そのホストがそのグループのメンバーシップ レポートでクエリーに応答する最後のホストである場合、デバイス全体のマルチキャスト グループ(224.0.0.2)にグループ脱退メッセージを送信します。
IGMPv3 は、IGMPv3 メンバーシップ レポートにソース、グループ、またはチャネルを含めるか除外することによって、ホストが特定のグループ、ソース、またはチャネルからのトラフィックの受信を停止できる機能を導入することで、脱退処理を拡張しています。
IP マルチキャスト トラフィックには、グループ アドレス(クラス D IP アドレス)が使用されます。 クラス D アドレスの上位 4 ビットは 1110 です。 したがって、ホスト グループ アドレスの範囲は 224.0.0.0 ~ 239.255.255.255 であると考えられます。
224.0.0.0 ~ 224.0.0.255 のマルチキャスト アドレスは、ルーティング プロトコルおよびその他のネットワーク制御トラフィックが使用するために予約されています。 アドレス 224.0.0.0 は、どのグループにも割り当てられません。
IGMP パケットは IP マルチキャスト グループ アドレスを使用して次のように送信されます。
IPv4 で SSM をサポートするための IGMP の拡張 ACL サポート機能は、IGMPv3 が拡張アクセス リストに対応できるようにします。 IGMPv3 の拡張アクセス リストのサポートにより、IPv4 における SSM の重要な利点、つまりソース アドレス、グループ アドレス、またはその両方に基づいた IGMPv3 レポートのフィルタリングの利点を活用できます。
IGMPv3 は拡張アクセス リストに対応しており、ソース IP アドレスに基づいてアクセスできる IPv4 SSM の重要な利点を利用できます。 この機能の導入前は、IGMP アクセス リストは標準アクセス リストだけを受け入れ、メンバーシップ レポートはマルチキャスト グループ アドレスに基づいてフィルタリングされるだけでした。
IGMPv3 では、マルチキャスト レシーバがグループに加入できるだけではなく、グループにソースを含めたり除外したりできます。 したがって、適切なアクセス コントロールを行うために、報告されるグループ アドレスだけではなく、グループとソース アドレスで IGMPv3 メッセージをフィルタリングできるようにする必要があります。 IGMP 拡張アクセス リストでは、次の機能が導入されました。 SSM と IGMP 拡張アクセス リスト(ACL)を使用して、IGMPv3 レポートでソース S とグループ G (S, G) を許可または拒否できます。それにより、ソース アドレス、グループ アドレス、またはアドレスとグループ アドレスに基づいて IGMPv3 レポートをフィルタリングできます。
IGMP 拡張アクセス リストを使用して、(0.0.0.0, G)、つまり Any Source Multicast(ASM)など非 SSM である IGMP レポートの (*, G) に基づいてトラフィックを許可またはフィルタ(拒否)することもできます。
(注) |
(*, G) の許可ステートメントと拒否ステートメントは、それぞれ permit host 0.0.0.0 host group-address と deny host 0.0.0.0 host group group-address です。 |
フィルタリングは ASM グループと SSM グループの両方に対する IGMPv3 レポートに適用されますが、IP マルチキャスト ルーティングは ASM グループに対する IGMPv3 レポートのソース アドレスを無視するため、SSM グループにとって最も重要です。 ASM グループに対する IGMPv3 メンバーシップ レポートのソース アドレスは、IGMP キャッシュに保存されます(show ip igmp membership コマンドで表示)が、PIM ベース IP マルチキャスト ルーティングでは、レポートされる ASM グループのみが考慮に入れられます。 したがって、ASM グループのソース アドレスのフィルタリングを追加すると、ASM グループの IGMP キャッシュだけに影響を与えます。
IGMP 拡張アクセス リストがインターフェイスの ip igmp access-group コマンドで参照される場合、拡張アクセス リストの permit および deny ステートメントの (S, G) ペアがインターフェイスで受信された IGMP レポートの (S, G) ペアと照合されます。 たとえば、(S1, S2...Sn, G) が使用されている IGMP レポートが受信されると、最初のグループ (0.0.0.0, G) が、アクセス リスト ステートメントに対してチェックされます。 (0.0.0.0, G) の変換は (*, G) を意味し、これは、マルチキャスト グループ番号が使用されたワイルドカード ソースです。 グループが拒否された場合、IGMP レポートの全体が拒否されます。 グループが許可された場合、各 (S, G) ペアがアクセス リストに対して検査されます。 拒否されるソースが IGMP レポートから取得され、これらのソースはマルチキャスト トラフィックへのアクセスが拒否されます。
IGMP プロキシは、アップストリーム ネットワークがソースのマルチキャスト グループに、ダウンストリーム ルータに直接接続されていない単方向リンク ルーティング(UDLR)環境のホストが加入できるようにします。
次の図に、2 つの UDLR シナリオを示すトポロジ例を図示します。
(注) |
IGMP UDL は、アップストリームおよびダウンストリーム デバイス上にある必要はありません。 |
シナリオ 1 では、IGMP プロキシ メカニズムは必要ありません。 このシナリオでは、次の一連のイベントが発生します。
シナリオ 2 の場合、アップストリーム ネットワークがソースのマルチキャスト グループに、ダウンストリーム デバイスに直接接続されていないホストが加入できるように、IGMP プロキシ メカニズムが必要です。 このシナリオでは、次の一連のイベントが発生します。
エンタープライズ ネットワークでは、サテライトを介して IP マルチキャスト トラフィックを受信し、ネットワーク中にトラフィックを転送することができる必要があります。 シナリオ 2 は、受信ホストがダウンストリーム デバイスのルータ B に直接接続する必要があるため、単方向リンク ルーティング(UDLR)だけでは不可能です。 IGMP プロキシ メカニズムでは、マルチキャスト転送テーブルで (*, G) エントリに対する IGMP レポートを作成することによって、この制限が克服されました。 そのため、このシナリオを機能させるには、インターフェイスでプロキシされた (*, G) マルチキャスト スタティック ルート(mroute)エントリの IGMP レポートの転送をイネーブルにして(ip igmp mroute-proxy ip コマンドを使用)、mroute プロキシ サービスをイネーブルにし、(ip igmp proxy-service コマンドを使用)、PIM 対応ネットワークと可能性があるメンバーを続ける必要があります。
(注) |
PIM メッセージはアップストリームに転送されないため、各ダウンストリーム ネットワークとアップストリーム ネットワークのドメインは別になります。 |
直接接続された IGMP ホストがない場合に、マルチキャスト トラフィックを転送するようにデバイスを設定するには、次のオプション作業を実行します。
1. enable
2. configure terminal
3. interface type number
5. end
6. show ip igmp interface [interface-type interface-number]
ソース アドレス、グループ アドレス、またはその両方に基づいて SSM トラフィックをフィルタする IGMP 拡張アクセス リストを使用して SSM ネットワークへのアクセスを制御するには、次のオプション作業を実行します。
1. enable
2. configure terminal
3. ip multicast-routing [distributed]
4. ip pim ssm {default | range access-list}
5. ip access-list extended access-list -name
6. deny igmp source source-wildcard destination destination-wildcard [igmp-type] [precedence precedence] [tos tos] [log] [time-range time-range-name] [fragments]
7. permit igmp source source-wildcard destination destination-wildcard [igmp-type] [precedence precedence] [tos tos] [log] [time-range time-range-name] [fragments]
8. exit
9. interface type number
10. ip igmp access-group access-list
11. ip pim sparse-mode
12. SSM チャネル メンバーシップのアクセス コントロールを必要とするすべてのインターフェイスでステップ 1 ~ 11 を繰り返します。
13. ip igmp version 3
14. ホスト方向のインターフェイスすべてでステップ 13 を繰り返します。
15. end
IGMP プロキシ メカニズムを使用するように単方向リンク(UDL)ルータを設定するには、次のオプション作業を実行します。 IGMP プロキシは、アップストリーム ネットワークがソースのマルチキャスト グループに、ダウンストリーム ルータに直接接続されていない単方向リンク ルーティング(UDLR)環境のホストが加入できるようにします。
IGMP プロキシを設定するには、次のタスクを実行する必要があります。
IGMP プロキシを設定する前に、次の条件が存在することを確認します。
IGMP プロキシ シナリオのインターフェイスで PIM をイネーブルにする場合、次のガイドラインに留意してください。
IGMP UDLR に対するアップストリーム UDL デバイスを設定するには、この作業を実行します。
1. enable
2. configure terminal
3. interface type number
4. ip igmp unidirectional-link
5. end
コマンドまたはアクション | 目的 | |
---|---|---|
ステップ 1 | enable 例: Device> enable |
特権 EXEC モードをイネーブルにします。 |
ステップ 2 | configure terminal 例: Device# configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 | interface type number 例: Device(config)# interface gigabitethernet 1/0/0 |
インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 4 | ip igmp unidirectional-link 例: Device(config-if)# ip igmp unidirectional-link |
インターフェイス上の IGMP を、IGMP UDLR に対して単方向になるよう設定します。 |
ステップ 5 | end 例: Device(config-if)# end |
現在のコンフィギュレーション セッションを終了して、特権 EXEC モードに戻ります。 |
IGMP プロキシ サポート付きの IGMP UDLR に対するダウンストリーム UDL デバイスを設定するには、この作業を実行します。
1. enable
2. configure terminal
3. interface type number
4. ip igmp unidirectional-link
5. exit
6. interface type number
7. ip igmp mroute-proxy type number
8. exit
9. interface type number
10. ip igmp helper-address udl interface-type interface-number
11. ip igmp proxy-service
12. end
13. show ip igmp interface
14. show ip igmp udlr
コマンドまたはアクション | 目的 | |||
---|---|---|---|---|
ステップ 1 | enable 例: Device> enable |
特権 EXEC モードをイネーブルにします。 |
||
ステップ 2 | configure terminal 例: Device# configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
||
ステップ 3 | interface type number 例: Device(config)# interface gigabitethernet 0/0/0 |
インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
||
ステップ 4 | ip igmp unidirectional-link 例: Device(config-if)# ip igmp unidirectional-link |
インターフェイス上の IGMP を、IGMP UDLR に対して単方向になるよう設定します。 |
||
ステップ 5 | exit 例: Device(config-if)# exit |
インターフェイス コンフィギュレーション モードを終了し、グローバル コンフィギュレーション モードに戻ります。 |
||
ステップ 6 | interface type number 例: Device(config)# interface gigabitethernet 1/0/0 |
インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
||
ステップ 7 | ip igmp mroute-proxy type number 例: Device(config-if)# ip igmp mroute-proxy loopback 0 |
プロキシされた (*, G) マルチキャスト スタティック ルート(mroute)エントリの IGMP レポートの転送をイネーブルにします。 |
||
ステップ 8 | exit 例: Device(config-if)# exit |
インターフェイス コンフィギュレーション モードを終了し、グローバル コンフィギュレーション モードに戻ります。 |
||
ステップ 9 | interface type number 例: Device(config)# interface loopback 0 |
指定したインターフェイスに対してインターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
||
ステップ 10 | ip igmp helper-address udl interface-type interface-number 例: Device(config-if)# ip igmp helper-address udl gigabitethernet 0/0/0 |
UDLR で IGMP ヘルパーを設定します。
|
||
ステップ 11 | ip igmp proxy-service 例: Device(config-if)# ip igmp proxy-service |
mroute プロキシ サービスをイネーブルにします。
|
||
ステップ 12 | end 例: Device(config-if)# end |
現在のコンフィギュレーション セッションを終了して、特権 EXEC モードに戻ります。 |
||
ステップ 13 | show ip igmp interface 例: Device# show ip igmp interface |
(任意)インターフェイスに関するマルチキャスト関連情報を表示します。 |
||
ステップ 14 | show ip igmp udlr 例: Device# show ip igmp udlr |
(任意)設定された UDL ヘルパー アドレスがあるインターフェイス上で、マルチキャスト グループに直接接続されている UDLR 情報を表示します。 |
次に、ip igmp join-group コマンドを使用して、直接接続された IGMP ホストがない場合に、マルチキャスト トラフィックを転送するようデバイスを設定する例を示します。 この方法では、デバイスは、マルチキャスト パケットの転送に加えて、マルチキャスト パケットを受信します。 マルチキャスト パケットを受信する場合は、高速スイッチングを実行できません。
この例では、グループ 225.2.2.2 に加入するように、デバイスでファスト イーサネット インターフェイス 0/0/0 が設定されています。
interface FastEthernet0/0/0 ip igmp join-group 225.2.2.2
次に、ip igmp static-group コマンドを使用して、直接接続された IGMP ホストがない場合に、マルチキャスト トラフィックを転送するようデバイスを設定する例を示します。 この方法の場合、デバイスはパケットそのものを受信せず、転送だけを実行します。 したがって、この方法では、高速スイッチングを実行できます。 発信インターフェイスが IGMP キャッシュに格納されますが、マルチキャスト ルート エントリに「L」(ローカル)フラグが付かないことからも明らかなように、デバイス自体はメンバではありません。
この例では、グループ 225.2.2.2 のスタティック グループ メンバーシップ エントリがファスト イーサネット インターフェイス 0/1/0 で設定されます。
interface FastEthernet0/1/0 ip igmp static-group 225.2.2.2
ここでは、IGMP 拡張アクセス リストを使用して SSM ネットワーク上でアクセスを制御する、次の設定例について説明します。
(注) |
アクセス リストは非常に柔軟が高いことに留意してください。マルチキャスト トラフィックのフィルタリングに使用できる permit ステートメントと deny ステートメントの組み合わせは多数あります。 この項では、少しの例を示します。 |
次に、グループ G ですべての状態を拒否する例を示します。 この例では、IGMPv3 レポートの SSM グループ 232.2.2.2 に対するすべてのソースがフィルタリングされるよう、ファスト イーサネット インターフェイス 0/0/0 が設定されます。これにより、このグループが効果的に拒否されます。
ip access-list extended test1 deny igmp any host 232.2.2.2 permit igmp any any ! interface FastEthernet0/0/0 ip igmp access-group test1
次に、ソース S ですべての状態を拒否する例を示します。 この例では、IGMPv3 レポートのソース 10.2.1.32 に対するすべてのグループがフィルタリングされるよう、ギガビット イーサネット インターフェイス 1/1/0 が設定されます。これにより、このソースが効果的に拒否されます。
ip access-list extended test2 deny igmp host 10.2.1.32 any permit igmp any any ! interface GigabitEthernet1/1/0 ip igmp access-group test2
次に、グループ G ですべての状態を許可する例を示します。 この例では、IGMPv3 レポートの SSM グループ 232.1.1.10 のすべてのソースが受け付けられるよう、ギガビット イーサネット インターフェイス 1/2/0 が設定されます。これにより、このグループが効果的に受け付けられます。
ip access-list extended test3 permit igmp any host 232.1.1.10 ! interface GigabitEthernet1/2/0 ip igmp access-group test3
次に、ソース S ですべての状態を許可する例を示します。 この例では、IGMPv3 レポートのソース 10.6.23.32 に対するすべてのグループが受け付けられるよう、ギガビット イーサネット インターフェイス 1/2 が設定されます。これにより、このソース全体が効果的に受け付けられます。
ip access-list extended test4 permit igmp host 10.6.23.32 any ! interface GigabitEthernet1/2/0 ip igmp access-group test4
次に、グループ G で特定のソース S をフィルタリングする例を示します。 この例では、IGMPv3 レポートの SSM グループ 232.2.30.30 のソース 232.2.2.2 をフィルタリングするよう、ギガビット イーサネット インターフェイス 0/3/0 が設定されます。
ip access-list extended test5 deny igmp host 10.4.4.4 host 232.2.30.30 permit igmp any any ! interface GigabitEthernet0/3/0 ip igmp access-group test5
次に、IGMP UDLR に対してアップストリーム UDL デバイスを設定し、IGMP プロキシ サポート付きの IGMP UDLR に対してダウンストリーム UDL デバイスを設定する例を示します。
interface gigabitethernet 0/0/0 ip address 10.1.1.1 255.255.255.0 ip pim dense-mode ! interface gigabitethernet 1/0/0 ip address 10.2.1.1 255.255.255.0 ip pim dense-mode ip igmp unidirectional-link ! interface gigabitethernet 2/0/0 ip address 10.3.1.1 255.255.255.0
ip pim rp-address 10.5.1.1 5 access-list 5 permit 239.0.0.0 0.255.255.255 ! interface loopback 0 ip address 10.7.1.1 255.255.255.0 ip pim dense-mode ip igmp helper-address udl ethernet 0 ip igmp proxy-service ! interface gigabitethernet 0/0/0 ip address 10.2.1.2 255.255.255.0 ip pim dense-mode ip igmp unidirectional-link ! interface gigabitethernet 1/0/0 ip address 10.5.1.1 255.255.255.0 ip pim sparse-mode ip igmp mroute-proxy loopback 0 ! interface gigabitethernet 2/0/0 ip address 10.6.1.1 255.255.255.0
ここでは、IGMP のカスタマイズに関する関連資料について説明します。
関連項目 |
マニュアル タイトル |
---|---|
Cisco IOS コマンド |
|
Cisco IOS IP SLA コマンド |
|
IP マルチキャスト テクノロジー分野の概要 |
「IP Multicast Technology Overview」モジュール |
基本的な IP マルチキャストの概念、設定作業、および例 |
「Configuring Basic IP Multicast」または「Configuring IP Multicast in IPv6 Networks」モジュール |
標準/RFC |
タイトル |
---|---|
RFC 1112 |
『Host extensions for IP multicasting』 |
RFC 2236 |
『Internet Group Management Protocol, Version 2』 |
RFC 3376 |
『Internet Group Management Protocol, Version 3』 |
MIB |
MIB のリンク |
---|---|
これらの機能によってサポートされる新しい MIB または変更された MIB はありません。またこれらの機能による既存 MIB のサポートに変更はありません。 |
選択したプラットフォーム、Cisco IOS XE Release、およびフィーチャ セットの MIB を検索してダウンロードするには、次の URL にある Cisco MIB Locator を使用します。 |
説明 |
リンク |
---|---|
シスコのサポートおよびドキュメンテーション Web サイトでは、ダウンロード可能なマニュアル、ソフトウェア、ツールなどのオンライン リソースを提供しています。 これらのリソースは、ソフトウェアをインストールして設定したり、シスコの製品やテクノロジーに関する技術的問題を解決したりするために使用してください。 この Web サイト上のツールにアクセスする際は、Cisco.com のログイン ID およびパスワードが必要です。 |
次の表に、このモジュールで説明した機能に関するリリース情報を示します。 この表は、ソフトウェア リリース トレインで各機能のサポートが導入されたときのソフトウェア リリースだけを示しています。 その機能は、特に断りがない限り、それ以降の一連のソフトウェア リリースでもサポートされます。
プラットフォームのサポートおよびシスコ ソフトウェア イメージのサポートに関する情報を検索するには、Cisco Feature Navigator を使用します。 Cisco Feature Navigator にアクセスするには、www.cisco.com/go/cfn に移動します。 Cisco.com のアカウントは必要ありません。
機能名 |
リリース |
機能情報 |
---|---|---|
IPv4 で SSM をサポートするための IGMP の拡張 ACL サポート
|
12.0(19)S 12.3(7)T 12.2(25)S 12.2(27)SBC 12.2(33)SRA 12.2(33)SXH 15.0(1)S Cisco IOS XE 3.1.0SG |
IPv4 で SSM をサポートするための IGMP の拡張 ACL サポート機能は、IGMPv3 が拡張アクセス リストに対応できるようにします。 IGMPv3 の拡張アクセス リストのサポートにより、IPv4 における SSM の重要な利点、つまりソース アドレス、グループ アドレス、またはその両方に基づいた IGMPv3 レポートのフィルタリングの利点を活用できます。 この機能により、ip igmp access-group コマンドが導入されました。 |