同期イーサネット(SyncE)について
サービスプロバイダー ネットワークで、Synchronous Optical Networking(SONET)と同期デジタル階層(SDH)機器を段階的に置き換えるイーサネット機器を使用する場合、イーサネット ポート経由で高品質なクロック同期を提供するためには周波数を同期化することが必要です。周波数またはタイミング同期は、ネットワーク全体に精密周波数を配布する機能です。この文脈でのタイミングとは、精密な時刻ではなく、精密周波数を示します。
ITU G.781 に記述されている同期イーサネット(SyncE)により、必要な同期が物理レベルで実現します。SyncE を使用するイーサネット リンクは、SONET/SDH と同じ方法で、つまり高品質なストラタム 1 追跡可能クロック信号とビット クロックのタイミングを取ることで同期されます。
SyncE リンクを維持するには、一連の処理メッセージが必要です。これらのメッセージは、ノードが常に最も信頼できるソースからタイミング情報を取得していることを確認し、SyncE リンクのクロック制御に使用されているタイミング ソースの品質情報を転送します。SONET/SDH ネットワークでは、これらは同期ステータスメッセージ(SSM)と呼ばれます。SyncE は、Ethernet Synchronization Message Channel(ESMC)を使用して SSM を転送します。
パケット ネットワークを使用するユーザは、時分割多重(TDM)回線で複数のリモートネットワーク要素(NE)にタイミングを提供することは難しいでしょう。SyncE 機能は、パケット ネットワークを介してリモート NE に有効なタイミングを提供することにより、この問題を解決することができます。SyncE は、イーサネット ポート上でクロック周波数を同期し、イーサネットの物理層を利用して周波数をリモートサイトに送信します。SyncE の機能性と正確性は、その物理レイヤの特性により、SONET/SDH ネットワークに類似しています。
SONET/SDH は、メッセージの転送で SONET/SDH オーバーヘッド フレームの 2 つの S バイトから 4 ビットを使用します。イーサネットは、メッセージの転送で IEEE 802.3 構成固有の低速プロトコルに基づく ESMC に依存します。同期パス上の各 NE は SyncE をサポートし、SyncE はパスの周波数を効果的に提供します。SyncE は相対時間(位相整列など)も絶対時間(時刻)もサポートしません。
SyncE は、既知で共通の精密周波数基準の周波数の配布をイーサネット物理レイヤ ネットワーク レベルで提供します。SyncE で使用するクロックは、SONET/SDH 同期ネットワークで使用されるクロックと互換性があります。ネットワーク同期を行う場合は、出力クロックのパフォーマンスを備えた同期ネットワーク接続を経由するネットワークから同期情報が送信されます。
ESMC は同期証跡のタイミング品質を識別する品質レベル(QL)ID を伝送します。QL-TLV の QL 値は、SONET および SDH SSM に定義した QL 値と同じです。ネットワークの送信中に SSM QL によって提供される情報により、最も信頼できるソースから適切なタイミングでノードを取得することができるようになり、タイミング ループが回避されます。ESMC は同期選択アルゴリズムとともに使用されます。イーサネット ネットワークはすべてのリンクまたはすべての場所で同期している必要がないため、ESMC チャネルはこのサービスを提供します。G.8264 に記述されている ESMC は、標準イーサネット ヘッダーから構成されます。ヘッダーの内容は、構成固有の低速プロトコル、ITU-T OUI、固有の ITU-T サブタイプ、ESMC 固有のヘッダー、フラグ フィールド、およびタイプ、長さ、値(TLV)構造です。フラグと TLV を使用することにより、SyncE リンクと関連するタイミングの変更の管理体制が向上します。
ソースおよび選択ポイント
周波数同期の実装には、ソースと選択ポイントが含まれます。
ソースは、システムに周波数信号を入力するか、システムから周波数信号を送信します。ソースには次の 4 つのタイプがあります。
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SyncE インターフェイスを含む回線インターフェイス。
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クロック インターフェイス。これらは、BITS、UTI および GPS などの他のタイミング信号を接続するための外部コネクタです。
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PTP クロック。IEEE 1588 バージョン 2 がルータに設定されている場合、時刻と周波数のソースとして PTP クロックが周波数の同期に使用できることがあります。
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内部発振器。これはフリーランの内部発振器チップです。
各ソースには、関連する品質レベル(QL)があり、クロックの正確度を指定します。この QL 情報は、ESMC によって伝送される SSM を使用してネットワーク全体に送信されます。QL 情報は、システム内のデバイスが同期できる最適な利用可能なソースを決定するために使用されます。
事前定義されたネットワーク同期フローを定義し、タイミング ループを防止するために、スイッチの各ソースに優先順位の値を割り当てることができます。複数のソースが同じ QL を持つ場合、ユーザが割り当てた優先順位の値によって、ソース間の相対的な優先度が決まります。
選択ポイントは、いくつかの利用可能な周波数信号から選択が行われるスイッチ内のプロセスです。QL 情報およびユーザ割り当ての優先順位レベルを組み合わせることにより、ITU 標準 G.781 に従って SyncE インターフェイスを同期化するソースを各スイッチが選択できるようになります。