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この章では、すべてのスイッチで提供される QoS 機能の詳細について説明します。
Quality of Service(QoS)には次の利点があります。
• アプリケーション トラフィックに対して相対帯域幅保証を提供します。
• アプリケーション トラフィックで発生する遅延を制御します。
• 帯域幅および遅延差別化によってあるアプリケーションの優先度を別のアプリケーションの優先度よりも高くします(たとえば、バルク トラフィックよりも処理トラフィックの優先度を高くする)。
Cisco MDS 9000 ファミリでの QoS 実装は、Differentiated Services(DiffServ; 差別化サービス)モデルに準拠しています。DiffServ 標準は RFC 2474 および 2475 で定義されています。Cisco MDS 9000 ファミリは、内部的および外部的に生成されたコントロール トラフィックの QoS をサポートします。スイッチ内では、コントロール トラフィックはスーパーバイザ モジュールから送信され、高プライオリティ フレームとして取り扱われます。デフォルトでは、特定の最優先のコントロール トラフィックの QoS 機能がイネーブルになっています。これらの最優先のコントロール フレームには、最高(絶対)プライオリティが割り当てられます。高プライオリティ ステータスは、他のすべてのトラフィックに対する絶対的なプライオリティを提供し、次の場合に割り当てられます。
• 内部的に生成された最優先のコントロール トラフィック(通常は、クラス F フレーム)。
• 他のベンダーのスイッチから Cisco MDS 9000 ファミリに入る外部的に生成された最優先のコントロール トラフィック。他のベンダーのスイッチで生成される高プライオリティ フレームは、Cisco MDS 9000 ファミリのスイッチに入るときに高プライオリティとして認識されます。
Quality of Service(QoS)には次の利点があります。
• アプリケーション トラフィックに対して相対帯域幅保証を提供します。
• アプリケーション トラフィックで発生する遅延を制御します。
帯域幅および遅延差別化によってあるアプリケーションの優先度を別のアプリケーションの優先度よりも高くします(たとえば、バルク トラフィックよりも処理トラフィックの優先度を高くする)。
• 「コントロール トラフィックのイネーブル化またはディセーブル化」
Cisco MDS 9000 ファミリは、内部的および外部的に生成されたコントロール トラフィックの QoS をサポートします。スイッチ内では、コントロール トラフィックはスーパーバイザ モジュールから送信され、高プライオリティ フレームとして取り扱われます。高プライオリティ ステータスは、他のすべてのトラフィックに対する絶対的なプライオリティを提供し、次の場合に割り当てられます。
• 内部的に生成された最優先のコントロール トラフィック(通常は、クラス F フレーム)。
• 他のベンダーのスイッチから Cisco MDS 9000 ファミリに入る外部的に生成された最優先のコントロール トラフィック。他のベンダーのスイッチで生成される高プライオリティ フレームは、Cisco MDS 9000 ファミリのスイッチに入るときに高プライオリティとして認識されます。
デフォルトでは、特定の最優先のコントロール トラフィックの QoS 機能がイネーブルになっています。これらの最優先のコントロール フレームには、最高(絶対)プライオリティが割り当てられます。
ヒント このコマンドを発行すると、すべての最優先のコントロール トラフィックには自動的に最低プライオリティが割り当てられるため、この機能をディセーブルにすることはお勧めしません。
Fabric Manager を使用してコントロール トラフィックの高プライオリティ割り当てをイネーブルまたはディセーブルにする場合は、次の手順に従います。
ステップ 1 [Physical Attributes] ペインで [Switches] を展開して [FC Services] を展開し、[QoS] を選択します。
QoS コントロール トラフィック情報は、[Information] ペインに表示されます。デフォルトは、[Control] タブです。
ステップ 2 コントロール トラフィックをイネーブルまたはディセーブルにするスイッチを選択します。
ステップ 3 [Command] カラムで、ドロップダウン メニューをクリックして、[enable ] または [disable] を選択します。
ステップ 4 [Apply Changes] をクリックして、 変更を保存します 。
低ボリュームで遅延の影響を受けやすいアプリケーションである Online Transaction Processing(OLTP; オンライン トランザクション処理)では、要求された情報に迅速にアクセスする必要があります。バックアップ処理アプリケーションでは、高帯域幅が必要ですが、遅延の影響をあまり受けません。サービスの差別化をサポートしないネットワークでは、すべてのトラフィックが同一の方法で処理されるため、同じ遅延が発生し、同じ帯域幅が割り当てられます。Cisco MDS 9000 ファミリ スイッチの QoS 機能は、このような保証を提供します。
データ トラフィックは異なるレベルのサービスの差別化で、低、中、高プライオリティに優先順位付けできます。QoS を適用して、遅延の影響を受けやすいアプリケーションのファイバ チャネル データ トラフィックに、データ ウェアハウスなどのスループット集中型のアプリケーションよりも高いプライオリティが割り当てられるようにできます(図 2-1 を参照)。
図 2-1 では、スイッチ 1 に到達する OLTP トラフィックは、高プライオリティ レベルのスループット分類(クラス マップ)とマーキング(ポリシー マップ)でマークされます。同様に、バックアップ トラフィックは、低プライオリティ レベルでマークされます。トラフィックは、Virtual Output Queue(VOQ; 仮想出力キュー)内の対応するプライオリティ キューに送信されます。
最初のスイッチで設定されている Deficit Weighted Round Robin(DWRR)スケジューラは、高プライオリティのトラフィックが低プライオリティのトラフィックよりもより効率的に処理されることを保証します。たとえば、70:20:10 の加重がされている DWRR は、高プライオリティ キューが低プライオリティ キューのレートの 7 倍でサービスが提供されていることを示しています。これによって、輻輳が発生した場合に、高プライオリティ トラフィックの遅延の低減と帯域幅の拡大が保証されます。2 番目のスイッチにおける同様の設定は、他の方法でも同じトラフィック処理が行われることを保証します。
OLTP サーバが要求を送信するときに ISL で輻輳が発生すると、要求は高プライオリティ キューに入ります。高プライオリティ キューでは輻輳が発生していないため、ほぼ即時にサービスが提供されます。スケジューラは低プライオリティ キューのバックアップ トラフィックよりも高いプライオリティを割り当てます。
(注) 高プライオリティ キューを通過するトラフィック フローがない場合は、低プライオリティ キューが全帯域幅を使用し、設定された値には制限されません。
スイッチ 2 でも同様の処理が行われ、処理要求への応答が送信されます。OLTP サーバで発生するラウンドトリップ遅延は、低プライオリティ トラフィックの量または ISL 輻輳とは関係ありません。OLTP トラフィックで ISL 帯域幅を使用していない場合は、バックアップ トラフィックが利用可能な ISL 帯域幅を使用します。
同じスイッチ内でゾーン ベース QoS と VSAN ベース QoS 設定ができますが、これらの設定には大きい違いがあります。 表 2-1 では、VSAN ベースとゾーン ベースにおける QoS プライオリティ設定の違いを明示しています。
Fabric Manager を使用して QoS を設定する場合は、次の手順に従います。
ヒント QoS は相互運用性モードでサポートされています。詳細については、『Cisco MDS 9000 Family Switch-to-Switch Interoperability Configuration Guide』を参照してください。
クラス マップ機能を使用して、一致条件を持つトラフィック クラスを作成して定義し、そのクラスに属するトラフィックを識別します。クラス マップ名は 63 以内の英数字で、デフォルトは match-all オプションです。フロー ベース トラフィックは次の値のいずれかを使用します。
• ファイバ チャネル ID(FC ID):Source ID(SID; 送信元 ID)または宛先 ID(DID)。可能なマスク値は FFFFFF(FC ID 全体が使用されます。これはデフォルトです)、FFFF00(ドメインおよびエリア FC ID だけが使用されます)、あるいは FF0000(ドメイン FC ID だけが使用されます)。
(注) 0x000000 の SID または DID は許可されていません。
Fabric Manager を使用してクラス マップを作成する場合は、次の手順に従います。
ステップ 1 [Physical Attributes] ペインで [Switches] を展開して [FC Services] を展開し、[QoS] を選択します。
[Information] ペインに QoS 情報が表示されます。デフォルトは、[Control] タブです。
ステップ 2 [Class Maps] タブで、[Create Row] をクリックして、新しいクラス マップを作成します。
[Create Class Maps] ダイアログボックスが表示されます。
ステップ 4 送信元 ID または宛先 ID をフィールドに入力します。
ステップ 6 [Match mode] を選択します。 いずれかの 条件または すべての 条件をクラス マップ コンフィギュレーション モードの 1 つの match ステートメントに一致させることができます。
ステップ 7 [Create] をクリックして、クラス マップの作成を進めます。
サービス ポリシーは、ポリシー マップを使用して指定されます。ポリシー マップにより、クラス マップは順序付きでサービス レベルにマッピングされます。ポリシー マップ内では複数のクラス マップを指定でき、クラス マップを高、中、または低のサービス レベルにマッピングできます。デフォルトのプライオリティは低です。ポリシー マップ名は、63 文字までの英数字に制限されています。
別の方法として、クラス マップを Differentiated Services Code Point(DSCP; 差別化サービス ポイント コード)に割り当てることもできます。DSCP は指定されたフレームのサービス レベルのインジケータです。DSCP 値の範囲は 0 ~ 63 です。デフォルト値は 0 です。46 の DSCP 値は使用できません。
ポリシー マップ内でのクラス マップの順序は重要であり、フレームがクラス マップと比較される順序はこれにより決定します。最初に一致したクラス マップの対応するプライオリティが、フレームにマーキングされます。
(注) QoS DSCP 値の実装に関する詳細については、http://www.cisco.com/en/US/tech/tk543/tk757/technologies_tech_note09186a00800949f2.shtml を参照してください。
(注) クラス マップは、各ポリシー マップで設定された順序で処理されます。
QoS データ トラフィック ポリシーを設定したら、対象の VSAN にそのポリシーを適用して、データ トラフィック設定を実行する必要があります。ポリシーを VSAN に適用しないと、データ トラフィック設定は実行されません。VSAN に適用できるポリシー マップは 1 つだけです。
(注) 同じポリシーをある範囲内の VSAN に適用できます。
Cisco NX-OS ソフトウェアは 4 つのスケジューリング キューをサポートします。
• 厳密なプライオリティ キューは、他のキューに優先してサービスの提供を受けるキューです。他のキューの状態に関係なく、キュー内にフレームがある場合は、必ずキューに対してサービスが提供されます。
• QoS はその他のすべてのトラフィックを DWRR スケジューリング高、中、および低プライオリティ トラフィック キューに割り当てます。
DWRR スケジューラは、設定された重みの比率でキューにサービスを提供します。重みが大きくなると、それに比例して、帯域幅が高くなり、遅延が低減されます。デフォルトの重みは、高キューの場合は 50、中キューの場合は 30、低キューの場合は 20 です。設定された重みの比率は異なります(たとえば、70:30:5 または 60:50:10 を設定できますが、50:70:10 は設定できません)が、キューの重みの減少順によって、必ずプライオリティが高いキューのサービス レベルが高くなるように保証されています。
表 2-2 では、第 1 世代、第 2 世代、第 3 世代のスイッチング モジュールの QoS 動作について説明しています。
Fabric Manager を使用して DWRR キューの重みを変更する場合は、次の手順に従います。
ステップ 1 [Physical Attributes] ペインで [Switches] を展開して [FC Services] を展開し、[QoS] を選択します。
QoS コントロール トラフィック情報は、[Information] ペインに表示されます。デフォルト タブは [Control] タブです。
ステップ 4 [Apply Changes] アイコンをクリックして 変更を保存します 。
ここでは、図 2-2 で例示されているアプリケーションのコンフィギュレーション例を示します。
OLTP サーバとバックアップ サーバの両方がディスクにアクセスしています。バックアップ サーバは、大量のデータをディスクに書き込んでいます。このデータは特定のサービス保証を必要としません。OLTP サーバがディスクに書き込んでいるデータ量は比較するとかなり少なくなっていますが、トランザクション処理は低遅延アプリケーションであるため、このトラフィックでは応答時間がより短くなければなりません。
スイッチからディスクへのトラフィックの場合、輻輳発生点は、スイッチ 2 とディスクの間のリンクです。このパスにはバックアップ トラフィックはほとんどないため、概してリターン パスでは輻輳が発生しません。
OLTP サーバからディスクへのトラフィックの優先度をバックアップ サーバからディスクへのトラフィックの優先度よりも高くするには、スイッチ 2 でのサービスの差別化が必要です。
アプリケーション例のトラフィック優先順位付けを設定する場合は、次の手順に従います。
ステップ 5 スイッチ 1 の DWRR キューの重みを割り当てます。 で、 クラス マップを作成します。 を繰り返し、両方のスイッチで転送パス輻輳を処理します。
コンフィギュレーション例のあらゆる場所で輻輳が発生する可能性があります。両方のスイッチのリターン パスの輻輳を処理するには、次のように、さらに 2 つクラス マップを作成し、ポリシー マップに含める必要があります。
ステップ 2 ポリシー マップにクラス マップを割り当てます。
ステップ 3 スイッチ 1 の ポリシー マップにクラス マップを割り当てます。 で、 さらに 2 つのクラス マップを作成します。 を繰り返し、両方のスイッチでリターン パス輻輳を処理します。
ポート レート制限機能は、個々のファイバ チャネル ポートの帯域幅の制御を支援します。ポート レート制限はファイバ チャネル ポートへの入力トラフィックを制御するため、入力レート制限とも呼ばれます。この機能は、MAC の出力点から送信されるフレーム数を制限することで、トラフィック フローを制御します。ポート レート制限は、すべてのファイバ チャネル ポートで動作します。レート制限は 1 ~ 100% の範囲で、デフォルトは 100% です。
(注) ポート レート制限を設定できるのは、Cisco MDS 9100 シリーズ スイッチ、Cisco MDS 9216i スイッチ、および MPS-14/2 モジュールだけです。
QoS 機能がイネーブルで、このコンフィギュレーションが Cisco MDS 9100 シリーズ スイッチ、Cisco MDS 9216i スイッチ、あるいは MPS-14/2 モジュールで実行されている場合にだけ、この機能を設定できます。
Fabric Manager を使用してポート レート制限値を設定する場合は、次の手順に従います。
ステップ 1 [Physical Attributes] ペインで [Switches] を展開して [FC Services] を展開し、[QoS] を選択します。
QoS コントロール トラフィック情報は、[Information] ペインに表示されます。デフォルト タブは [Control] タブです。
ステップ 2 [Rate Limit] タブをクリックします。
ステップ 3 ポート レート制限を変更するスイッチを選択します。
ステップ 4 [Percent] カラムに希望のポート レート制限を入力します。
ステップ 5 [Apply Changes] アイコンをクリックして変更を保存します。