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Cisco MDS 9000 NX-OS は、ファブリック全体の Quality of Service(QoS)などのトラフィック管理機能を提供します。これらの高度な機能は、MDS 9000 ファミリ スイッチと統合され、配置を簡素化するとともに、大規模ファブリックの最適化を実現します。
この章では、Cisco MDS 9000 スイッチの QoS およびポート トラッキング機能について説明します。この章には次の項が含まれます。
• 「QoS」
QoS は、フレーム リレー、Asynchronous Transfer Mode(ATM; 非同期転送モード)、イーサネットおよび 802.1 ネットワーク SONET、および IP ルーテッド ネットワークをはじめとするさまざまな基盤技術に基づいて選択したネットワーク トラフィックに対して、より優れたサービスを提供するネットワークの能力を監視します。QoS 機能は、次の機能に対して、より優れた予測可能性の高いネットワーク サービスを提供します。
QoS 対応のスイッチは、トラフィックの差別化と優先順位付けを提供し、Online Transaction Processing(OLTP; オンライン トランザクション処理)などの遅延の影響を受けやすいアプリケーションによる共通ストレージ リソースの共有を可能にするとともに、データ ウェアハウスなどのスループット集中型のアプリケーションの共有を可能にしました。
QoS は、入力ポート レート制限などの他のトラフィック エンジニアリング機能と合わせて使用できます。また、Cisco MDS 9000 NX-OS ソフトウェアに実装されたコマンド スケジューラを使用して、一日のさまざまな時間にさまざまなポリシーを適用するように設定できます。
サービス モデルはサービスのレベルとも言われ、エンドツーエンド QoS 機能群を説明します。エンドツーエンド QoS は、ネットワークの一方の端から他方の端で、特定のネットワーク トラフィックで必要なサービスを提供する、ネットワークの機能です。
Cisco MDS 9000 ファミリ スイッチにおける QoS の実装は、次の Differentiated Services(DiffServ; 差別化サービス)モデルに準拠します。
差別化サービスは、異なる QoS 要件を満たすことができる複数のサービス モデルです。だたし、統合サービス モデルとは異なり、差別化サービスを使用しているアプリケーションは、データを送信する前に明示的にルータに信号を送信できません。
差別化サービスでは、ネットワークは各パケットによって指定された QoS に基づいて特定の種類のサービスを提供しようとします。この指定はさまざまな方法で行われます。たとえば、IP パケット内の IP precedence ビットの設定や、送信元アドレスと宛先アドレスが使用されます。ネットワークは QoS 仕様を使用して、トラフィックの分類、形成、および規制を行い、インテリジェント キューイングを実行します。
QoS はさまざまなサービス レベルをさまざまなトラフィックに対して適用することで、ファブリックにおけるサービスの差別化を提供します。サービスの差別化は、次の処理によって実行できます。
• あるアプリケーション トラフィックの優先度を別のトラフィックよりも高い優先度に設定
QoS はトラフィック分類と Virtual Output Queuing(VOQ; 仮想出力キューイング)を組み合わせることで実現できます。データ トラフィックは、入力ポートで、低、中、あるいは高プライオリティに分類されます。分類されたフレームは、トラフィック タイプと QoS プライオリティに基づいて、適切な場所のキューに格納されます。
トラフィックは分類方法と、作成してトラフィック クラスに適用するポリシーに基づいて処理されます。
4 つの異なる QoS プライオリティ レベルが利用できます。そのうち 3 つはファイバ チャネル データ トラフィック用で、1 つはファイバ チャネル コントロール トラフィック用です。コントロール トラフィックは、自動的に最高レベルの QoS プライオリティに割り当てられ、Fabric Shortest Path First(FSPF)、ゾーン マージ、および主要スイッチ選択などのファブリック全体のプロトコルの収束を加速します。
複数のスイッチ間で、QoS 設定を同じにして、すべてのスイッチが確実に送受信の両方向でトラフィックの共通ポリシーを実行できるように支援します。
スイッチにあるモジュールが第 1 世代であるか、第 2 世代であるか、第 3 世代であるかに関係なく、QoS は同じ方法で設定されます。必要な QoS ポリシーの複雑性に応じて、QoS は 3 つの方法のいずれかで配置できます。
• 仮想 SAN(VSAN)ベース QoS:VSAN ベース QoS では、QoS プライオリティを VSAN 単位で割り当てられます。
• ゾーン ベース QoS:粒度の高い QoS が必要な場合に、ゾーン単位で QoS を割り当てられます。
• 個々のデバイスと一致する個々の QoS ポリシー:QoS ポリシーをデバイス単位で定義できます。柔軟性を最大化する必要がある場合には、個々のポリシーは異なるデバイスと VSAN に適用されます。
QoS はライセンス化された機能であるため、QoS をイネーブルにするすべてのスイッチに、Enterprise Package ライセンスをインストールする必要があります。ただし、内部的に生成されたコントロール トラフィックに QoS を提供する場合は、ライセンスは必要ありません。qos enable コマンドを使用して、明示的に QoS をイネーブルにすることもできます。
QoS の設定に関する詳細は、「QoS の設定」 を参照してください。
Cisco MDS NX-OS ソフトウェアのポート トラッキング機能は、障害回復力のある SAN 拡張を提供します。
スイッチが WAN または Metropolitan Area Network(MAN; メトロポリタン エリア ネットワーク)リンク障害を検出した場合は、ポート トラッキングが設定されているときに、関連付けけられたディスク アレイ リンクを停止します。アレイは、I/O タイムアウトを待機せずに、障害が発生した I/O 処理を別のリンクにリダイレクトできます。そうでない場合は、ディスク アレイは I/O タイムアウトまで数秒待機してから、ネットワーク リンク障害を回復する必要があります。
ポート トラッキングについては、「QoS の設定」 を参照してください。