この製品のマニュアルセットは、偏向のない言語を使用するように配慮されています。このマニュアルセットでの偏向のない言語とは、年齢、障害、性別、人種的アイデンティティ、民族的アイデンティティ、性的指向、社会経済的地位、およびインターセクショナリティに基づく差別を意味しない言語として定義されています。製品ソフトウェアのユーザーインターフェイスにハードコードされている言語、RFP のドキュメントに基づいて使用されている言語、または参照されているサードパーティ製品で使用されている言語によりドキュメントに例外が存在する場合があります。シスコのインクルーシブランゲージに対する取り組みの詳細は、こちらをご覧ください。
このドキュメントは、米国シスコ発行ドキュメントの参考和訳です。リンク情報につきましては、日本語版掲載時点で、英語版にアップデートがあり、リンク先のページが移動/変更されている場合がありますことをご了承ください。あくまでも参考和訳となりますので、正式な内容については米国サイトのドキュメントを参照ください。
Cisco IOSソフトウェアの使用法について理解しておくと、ルータを設定する際に時間が節約できます。基本事項を確認する必要がある場合は、この章に目を通してください。すでにCisco IOSソフトウェアに習熟している場合は、 第7章「ルータ機能の設定」 および 第8章「高度なルータ設定」 を参照してください。
この章では、Cisco IOSソフトウェア(ルータ上で実行するソフトウェア)を使用してCisco 800シリーズ ルータの設定作業を開始する前に知っておくべき基本的な事項について説明します。
ルータに接続したPCを使用して、ルータを設定できます。PCの接続方法については、『 Cisco 826 Routers Hardware Installation Guide 』を参照してください。
PCを接続したあと、端末エミュレーションソフトウェアが必要になります。PCはこのソフトウェアを使用して、ルータにコマンドを送信します。 表 A-1 に、この種の一般的なソフトウェアを使用するPCをタイプ別に示します。
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端末エミュレーション ソフトウェアを使用して、PCに接続されている装置(この場合はルータ)に合わせて設定値を変更できます。PCがルータと対話できるようにするため、ソフトウェアを次の標準VT-100エミュレーション設定に合わせて設定してください。
この設定は、お使いのルータのデフォルト設定に一致する必要があります。ルータ ボー、データ ビット、パリティ、またはストップ ビット設定を変更するには、ROMモニタのパラメータを再設定する必要があります。詳細については、 付録B「ROMモニタ」 を参照してください。ルータ フロー制御設定を変更するには、 flowcontrol ライン コンフィギュレーション コマンドを使用します。
ルータを設定するためにグローバル コンフィギュレーション モードを開始する手順については、「グローバル コンフィギュレーション モードの開始」を参照してください。
ここでは、IOSのコマンド モード構造について説明します。コマンド モードは、それぞれ固有のCisco IOSコマンド群をサポートしています。たとえば、 interface type number コマンドを使用できるのは、グローバル コンフィギュレーション モードだけです。
次に示すCisco IOSコマンド モードは、階層構造になっています。ルータ セッションを開始した時点では、ユーザEXECモードが有効です。
表 A-2 に、このマニュアルで使用されているコマンド モード、各モードのアクセス方法、各モードで表示されるプロンプト、各モードを終了したり、次のモードを開始したりする方法を示します。各モードでは、設定するルータの要素がそれぞれ異なるので、モードの切り替えを頻繁に行わなければならない場合があります。特定のモードで使用できるコマンドの一覧を表示するには、プロンプトで疑問符(?)を入力します。各コマンドの詳細(構文も含む)については、Cisco IOS Release 12.0のマニュアルを参照してください。
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• ルータ コンフィギュレーションに対する不正な変更を防ぐため、このモードへのアクセスは、この章の「イネーブル シークレット パスワードおよびイネーブル パスワード」に記載されているようにパスワードを使用して保護する必要があります。 |
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このモードは、ルータ全体に適用するパラメータを設定する目的で使用します。 |
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グローバル コンフィギュレーション モードから |
終了してグローバル コンフィギュレーション モードに戻るには、 exit を入力します。 終了してイネーブルEXECモードに戻るには、 end を入力するか、または Ctrl-Z を押します。 サブインターフェイス コンフィギュレーション モードを開始するには、 interface コマンドとともに、特定のサブインターフェイスを指定します。 |
このモードは、ルータのイーサネット インターフェイスおよびシリアル インターフェイスまたはサブインターフェイスのパラメータを設定する目的で使用します。 |
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グローバル コンフィギュレーション モードから、ルータ コマンドを入力し、続けて router rip などの該当するキーワードを入力します。 |
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グローバル コンフィギュレーション モードから、 |
コマンド入力の補助手段として、疑問符(?)および矢印キーを使用できます。
疑問符を入力すると、そのコマンド モードで使用できるコマンドの一覧が表示されます。
コマンドの先頭の数文字を入力し、続けて(スペースを入れずに)疑問符を入力すると、完全なコマンドが表示されます。
showコマンドを入力し、続けてスペース1つと疑問符を入力すると、使用できるコマンド変数の一覧が表示されます。
上向き矢印キーを押すと、直前に入力したコマンドが再表示されます。上向き矢印キーを押し続けると、さらに前に入力したコマンドにさかのぼって、順に表示されます。
デフォルトでは、ルータはパスワード保護なしで出荷されます。イネーブルEXECコマンドの多くは、動作パラメータを設定するので、これらのコマンドはパスワードで保護して、不正使用を防止する必要があります。
• enable secret password (非常に安全な、暗号化パスワード)
• enable password (やや安全性の低い、非暗号化パスワード)
イネーブルEXECモード コマンドにアクセスするには、 enable secret パスワードを入力します。
最大限のセキュリティを確保するには、これらのパスワードを別々のものにする必要があります。セットアップ時に両方のパスワードに同じ文字列を入力すると、ルータはそのパスワードを受け付けますが、異なったパスワードにするように指示する警告メッセージが表示されます。
enable secret パスワードには、1~25文字の英数字(大文字および小文字)を指定できます。 enable パスワードには、任意の数の英数字(大文字および小文字)を指定できます。どちらの場合も、先頭に数字を使用することはできません。パスワードにはスペースも使用できます。たとえば、 two words は有効なパスワードです。先行スペースは無視されますが、後続スペースは認識されます。
ルータのコンフィギュレーションを変更するには、グローバル コンフィギュレーション モードを使用する必要があります。ここでは、ルータのコンソール ポートに接続された端末またはPCを使用して、グローバル コンフィギュレーション モードを開始する手順について説明します。
グローバル コンフィギュレーション モードを開始する手順は、次のとおりです。
ステップ 1 ルータの起動後、次の質問が表示されたら no と応答します。
ステップ 3 ルータにイネーブル パスワードを設定している場合は、プロンプトに対してそのパスワードを入力します。
イネーブル パスワードは、入力しても画面に表示されません。次に、イネーブルEXECモードを開始する例を示します。
プロンプトに#が表示されることにより、イネーブル モードが開始されたことがわかります。この時点でルータ コンフィギュレーションの変更を行うことができます。
ステップ 4 グローバル コンフィギュレーション モード(プロンプトに(config)#が表示される)を開始するには、 configure terminal コマンドを入力します。
この時点でルータ コンフィギュレーションの変更を行うことができます。
ここでは、CLI(コマンドライン インターフェイス)でCisco IOSコマンドを入力するときに役立つヒントをいくつか紹介します。
コマンドを入力する際、ルータが一意のコマンドとして認識できる文字数だけを入力すれば十分です。次に、 show version コマンドの入力例を示します。
特定の機能を無効にする(入力したコマンドを取り消す)には、ほとんどの場合、該当するコマンドの前にキーワード no を入力します(例: no ip routing )。
CLIを使用してルータを設定するときに、よく表示されるエラー メッセージを 表 A-2 に示します。
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"show con" |
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コンフィギュレーションの変更内容をNVRAM(不揮発性RAM)に保存して、システムの再ロード時または停電時に消失しないようにするには、 copy running-config startup-config コマンドを入力します。次に、このコマンドを使用して変更を保存する例を示します。
デフォルトの保存先ファイル名であるstartup-configをそのまま使用する場合は、Returnキーを押すか、あるいは対象宛先ファイル名を入力して、Returnを押します。
コンフィギュレーションがNVRAMに保存されるまでに、1~2分を要する場合があります。コンフィギュレーションが保存されると、次のメッセージが表示されます。
パーティションおよびスクウィーズは、Cisco 831、Cisco 837、SOHO 91、およびSOHO 97ルータでサポートされます。フラッシュ メモリ デバイスがいっぱいのときには、ファイルを並べ直して削除されたファイルが使用していたスペースを解放することができます。フラッシュ メモリ デバイスでファイルを永久に削除したいときには、すべての削除されたファイルをフラッシュ ファイル システムから削除して、ファイルが占有していたスペースを回復するスクウィーズ操作を利用することができます。スクウィーズ操作には、数分という長い時間がかかります。なぜなら、フラッシュ メモリ スペースのほぼ全体を削除して書き換える作業が必要となるためです。スクウィーズ操作をイネーブルにするには、フラッシュ デバイス ファイル システム全体のすべて(パーティションがある場合にはそれも含む)を消去して、スクウィーズ コマンドが使用できるようにする必要があります。eraseコマンドには、このスクウィーズ ユーティリティをディセーブルにするための規定があります。
パーティション機能では、最低2バンクのフラッシュ メモリが必要です。パーティショニングを行っても、フラッシュ メモリの既存のファイルはパーティションで分割されません。フラッシュ メモリ デバイスに作成することのできるパーティションの数は、デバイス内のバンクの数と等しくなりますが、パーティションの最大数は8です。
router(config)#partition flash-filesystemコマンドを入力して、パーティションを作成してください。このコマンドはフラッシュ メモリを最大8つのパーティションに分割します。スクウィーズ コマンドは、「deleted」とマークを付けられていないパーティション内に保存されたファイルは削除しません。
フラッシュ メモリ デバイスで「delete」とマークを付けられたすべてのファイルを永久に削除するには、#squeeze flashコマンドを入力します。
フラッシュ メモリ システム全体を削除するには、グローバル コンフィギュレーション モードから開始して次の作業を行います。
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特定のフラッシュ ファイル システムのすべてのパーティションを削除します。パーティションを削除するのは、フラッシュ ファイル システム全体を確実に削除するためです。フラッシュ ファイル メモリが削除された後に、パーティションのあるフラッシュ ファイル メモリでsqueezeコマンドを使用することができます。 |
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(注) スクウィーズ機能が適用されるのは、Cisco 831、Cisco 837、Cisco SOHO 91、およびCisco SOHO 97ルータに限ります。
以上、IOSソフトウェアの基本事項について学習したので、ルータの設定作業を開始することができます。次のことを忘れないでください。
• コマンド入力の補助手段として、疑問符(?)および矢印キーを使用できます。
• コマンド モードごとに、使用できるコマンドが限られています。コマンドの入力に問題が生じたときは、プロンプトを確認したあと、疑問符(?)を入力して、使用できるコマンドの一覧を表示してください。間違ったコマンド モードを使用しているか、構文が不正である可能性があります。
• 特定の機能を無効にするには、該当するコマンドの前にキーワード no を入力します(例: no ip routing )。
• システムの再ロード時または停電時にコンフィギュレーションの変更が消失しないようにするには、変更後のコンフィギュレーションをNVRAMに保存する必要があります。
ルータを設定するには、 第7章「ルータ機能の設定」 および 第8章「高度なルータ設定」 を参照してください。