IP スイッチング Cisco Express Forwarding コンフィギュレーション ガイド、Cisco IOS XE Release 3S（Cisco ASR 1000）

シスコ エクスプレス フォワーディングは、高度なレイヤ 3 IP スイッチング テクノロジーです。 また、プレフィックスベースの IP 宛先スイッチングの判定を行うために、転送情報ベース（FIB）を使用します。 FIB は、概念的にはルーティング テーブルや情報ベースに似ています。 これは、IP ルーティング テーブル内の転送情報を維持します。 ネットワーク内でルーティングまたはトポロジが変更されると、IP ルーティング テーブルがアップデートされ、これらの変更が FIB に伝搬されます。 FIB には、IP ルーティング テーブル内の情報に基づいて、ネクストホップのアドレス情報が保持されます。 シスコ エクスプレス フォワーディング動作の 2 つの主要コンポーネントは、FIB と隣接関係テーブルです。

シスコ エクスプレス フォワーディングは、隣接関係テーブルを使用して、レイヤ 2 アドレッシング情報をプリペンドします。 隣接関係テーブルには、すべての FIB エントリのレイヤ 2 ネクストホップ アドレスが維持されます。 リンク層上でネットワーク内のノードが 1 ホップで相互に到達可能な場合、これらのノードは隣接関係にあると見なされます。 シスコ エクスプレス フォワーディングは、隣接関係を解決し、隣接関係テーブルに入力します。

（注）	CISCO-CEF-MIB プレフィックスのデータベースとそれに関連するデータベースのサイズが非常に大きくなることがあります。 そのため、プレフィックス テーブルを表示するコマンドの実行には、長時間かかることがあります。

コマンドライン インターフェイス（CLI）show コマンドは、シスコ エクスプレス フォワーディング動作情報を入手するために使用できます。 CLI を使用してシスコ エクスプレス フォワーディングを管理するタスクには、時間がかかる場合があります。 シスコ ルータの容量の増加により、必要なシスコ エクスプレス フォワーディングの動作パラメータを取得するための show コマンド出力の解析が困難になります。

Cisco IOS Release 12.2(31)SB 以降のリリースでは、CISCO-CEF-MIB で SNMP を使用して、シスコ エクスプレス フォワーディング動作を管理および監視することができます。 さらに、シスコ エクスプレス フォワーディングにエラーが発生した場合に通知するように SNMP を設定できます。

シスコ エクスプレス フォワーディングに導入された CISCO-CEF-MIB：SNMP CEF-MIB サポート機能により、FIB と隣接テーブル、スイッチング統計情報、およびリソース障害情報に保存されている動作情報にリアルタイムでアクセスできます。 SNMP に基づいた MIB 実装を利用して、シスコ エクスプレス フォワーディング機能に関連するパラメータを設定できます。 この情報には、SNMP が実装されているネットワーク管理システム（NMS）ワークステーションまたはホスト システムで入力する get コマンドおよび set コマンドを使用してアクセスします。 NMS ワークステーションは、SNMP マネージャとも呼ばれます。

シスコ エクスプレス フォワーディングは、すべてのシスコ ルータで使用できます。 ただし、シスコ エクスプレス フォワーディング管理の CISCO-CEF-MIB サポートは、Cisco IOS Release 12.2(22)S で導入されたインフラストラクチャに依存します。

Cisco IOS Release 12.2(31)SB2、Cisco IOS Release 12.2(33)SRC、および Cisco IOS Release 12.2(33)SB の CISCO-CEF-MIB の実装は、ルート プロセッサ（RP）で実行されるシスコ エクスプレス フォワーディング インスタンスを管理します。 ラインカードで実行されているシスコ エクスプレス フォワーディングについての情報は、シスコ エクスプレス フォワーディング ピアに関してのみ RP で利用可能になります。

CISCO-CEF-MIB は、IP バージョン 4（IPv4）と IP バージョン 6（IPv6）の両方の IP バージョンの設定およびモニタリングをサポートします。

これまで、ネットワーク情報の収集には SNMP が使用されていました。 SNMP は、ルータ、スイッチ、ワークステーションなどのネットワーク要素から、重要な情報を取得できます。

CISCO-CEF-MIB は、ネットワーク管理者が次のものを監視するための管理対象オブジェクトを提供します。

• show ip cef summary コマンドの出力で表示されるような、シスコ エクスプレス フォワーディングの管理および運用の状態
• シスコ エクスプレス フォワーディング イベントの通知：シスコ エクスプレス フォワーディング ステート変更、シスコ エクスプレス フォワーディング障害（定義済みの理由で）、およびルート プロセッサ（RP）およびラインカードの不整合
• show cef interface コマンドで表示されるような、関連付けられているインターフェイスのシスコ エクスプレス フォワーディングに関連するパラメータ
• show cef linecard コマンドで示されるような、ラインカード テーブルのラインカードのシスコ エクスプレス フォワーディング状態およびラインカード シスコ エクスプレス フォワーディング FIB の状態
• シスコ エクスプレス フォワーディングの統計情報：show ip cef switching stats コマンドで表示されるような、スイッチング統計情報、パント カウンタ、およびパントツーホスト カウンタと、プレフィックス単位のカウンタおよび非再帰的カウンタ
• シスコ エクスプレス フォワーディングがディセーブルとイネーブル、シスコ エクスプレス フォワーディングと分散型シスコ エクスプレス フォワーディングでスイッチングされる場合の IPv4 および IPv6 の通知

SNMP CISCO-CEF-MIB は、ネットワーク管理者が次のものを設定するための管理対象オブジェクトを提供します。

• シスコ エクスプレス フォワーディングおよび分散型シスコ エクスプレス フォワーディングの管理状態
• シスコ エクスプレス フォワーディングのアカウンティング関連パラメータ
• シスコ エクスプレス フォワーディングのロード シェアリング関連パラメータ
• トラフィック関連の設定パラメータ

SNMP CISCO-CEF-MIB を使用すると、シスコ エクスプレス フォワーディングに関連するオブジェクトの設定および管理を実行できます。 MIB には、次のオブジェクト グループが含まれています。

• CEF FIB グループ
• CEF 隣接グループ
• CEF フォワーディング エレメント グループ
• CEF 設定グループ
• CEF インターフェイス グループ
• CEF ピア グループ
• CEF 整合性（CC）グループ
• CEF ステート グループ
• CEF 通知制御グループ

CISCO-CEF-MIB で、設定オブジェクトは読み取り/書き込みとして定義され、その他のオブジェクトは読み取り専用として定義されます。

CISCO-CEF-MIB にはシスコ エクスプレス フォワーディング オブジェクト グループに関連するテーブルが含まれます。 これらのテーブルは、プレフィックス、フォワーディング パス、隣接関係、出力チェーン要素（OCE）、プレフィックス ベースの統計情報、シスコ エクスプレス フォワーディングの設定に関する情報、整合性チェッカ、スイッチング統計情報、ラインカードに固有の管理オブジェクトに関する情報を提供します。

また、CISCO-CEF-MIB は、MIB または CLI コマンドでイネーブルまたはディセーブルにできるシスコ エクスプレス フォワーディングの通知を定義します。

CISCO-CEF-MIB のほとんどのテーブルのインデックスは、entPhysicalIndex です。

• CEF FIB の要約テーブル（cefFIBSummaryTable）には、IPv4 と IPv6 の両方のプロトコルのフォワーディング プレフィックスの番号が含まれます。 これは CEF フォワーディング テーブルの要約です。
• CEF フォワーディング テーブル（cefPrefixTable）は、すべてのプレフィックスおよび関連するカウンタをリストします。 また、CEF フォワーディング要素選択テーブルへのポインタも含まれます。
• CEF 最長一致プレフィックス テーブル（cefLMPrefixTable）は特定の宛先アドレスに対して最長のプレフィックス一致を返します。 複数のアプリケーションが CEF 最長一致プレフィックス テーブルで動作したときに、インスタンスの衝突を減らすために、オプションの cefLMPrefixSpinLock オブジェクトが提供されます。
• CEF パス テーブル（cefPathTable）は、すべてのシスコ エクスプレス フォワーディング パスを示します。
• CEF 隣接関係要約テーブル（cefAdJSummaryTable）には、すべてのリンク タイプについて、完全な隣接関係、不完全な隣接関係、フィックスアップ隣接関係、およびリダイレクト隣接関係の合計数が含まれます。
• CEF 隣接関係テーブル（cefAdjTable）は、すべての隣接関係をリストします。 隣接関係のソース、カプセル化ストリング、フィックスアップ、および隣接関係エントリに関連付けられているレイヤ 3 最大伝送単位（MTU）が含まれます。 これにはフォワーディング要素の選択テーブルへのポインタが含まれます（隣接が MID チェーン隣接関係の場合）。
• CEF フォワーディング要素選択テーブル（cefFESelectionTable）は、平坦化された形式で OCE チェーンを表します。 このテーブルは、ラベル、テーブル ID、および OCE チェーンを通過する隣接関係だけを示します。 各 OCE チェーンに関連付けられている重みも含まれています。
• CEF Cfg テーブル（cefCfgTable）には、管理ステータスと動作ステータス、アカウンティング関連の設定パラメータ、負荷分散アルゴリズムと ID、およびトラフィック統計情報パラメータなどの、シスコ エクスプレス フォワーディングに関連するすべてのグローバル コンフィギュレーション パラメータが含まれます。
• CEF リソース テーブル（cefResourceTable）には、シスコ エクスプレス フォワーディングのリソースに関する情報（プロセス メモリ プールのメモリ ステータス、およびシスコ エクスプレス フォワーディング リソースの障害通知の理由）が含まれます。
• CEF インターフェイス テーブル（cefIntTable）には、インターフェイス固有のシスコ エクスプレス フォワーディング パラメータ（インターフェイスのスイッチングの状態、インターフェイスのロード シェアリング（パケットごと、および送信先ごと）、およびインターフェイスの非再帰ルーティング（内部および外部））が含まれます。
• CEF ピア テーブルまたはラインカード テーブル（cefPeerTable）には、管理対象ラインカードのピアに関連するシスコ エクスプレス フォワーディングの情報（ラインカードの動作状態、およびラインカード セッションがリセットされた回数）が含まれます。
• CEF ピア FIB テーブル（cefPeerFIBTable）には、各ラインカードの転送情報ベース（FIB）の動作状態に関する情報が含まれます。
• CEF プレフィックス長統計情報テーブル（cefStatsPrefixTable）は、プレフィックス長ベースの統計情報を保持します。
• CEF スイッチング統計情報テーブル（cefSwitchingStatsTable）は、ドロップ カウンタ、パント カウンタ、およびパントツーホスト カウンタなどの、各スイッチング パスのスイッチング統計情報を含みます。
• CEF IP プレフィックス整合性チェッカ グローバル グループ（cefCCGlobalTable）には、整合性チェッカのすべてのグローバル設定パラメータ（自動修正、イネーブルかディセーブルか、遅延、ホールド ダウン、パッシブ整合性チェッカがイネーブルかディセーブルか、整合性検出のエラー メッセージがイネーブルかディセーブルか、および完全スキャン整合性チェッカをアクティブ化するメカニズム）が含まれます。 このテーブルには、完全スキャン整合性チェッカの状態も表示されます。
• CEF 整合性チェッカ タイプ テーブル（cefCCTypeTable）には、整合性チェッカ タイプ固有のパラメータ（パッシブ スキャナーのスキャンの頻度およびカウント、および送信、無視、チェック、および反復されたクエリー）が含まれます。
• CEF 不整合性レコード テーブル（cefInconsistencyRecordTable）には、検出された不整合のレコード（プレフィックスのアドレスおよび長さ、テーブル ID、整合性チェッカ タイプ、スロット ID、および不整合の理由（不足またはチェックサム エラー））が含まれます。

CISCO-CEF-MIB テーブルを介して使用できる特定のオブジェクトについては、CISCO-CEF-MIB で可能な動作を参照してください。

次の図は、CISCO-CEF-MIB のメイン テーブルの内容と相互のテーブル間の関係を示します。

図 1. CISCO-CEF-MIB メイン テーブル、テーブルの内容、および関係

SNMP get および set コマンドを使用して、CISCO-CEF-MIB テーブルを介して使用できるシスコ エクスプレス フォワーディング動作を設定および監視できます。 ここでは、テーブルごとに、設定動作とモニタリング動作について説明します。

次の表は、シスコ エクスプレス フォワーディングの監視動作と、CEF FIB 要約テーブル（cefFIBSummaryTable）によって提供される関連する MIB オブジェクトを示します。

次の表は、シスコ エクスプレス フォワーディングの監視動作と、CEF フォワーディング テーブル（cefPrefixTable）によって提供される関連する MIB オブジェクトを示します。

次の表は、シスコ エクスプレス フォワーディングの監視動作と、CEF 最長一致プレフィックス テーブル（cefLMPrefixTable）によって提供される関連する MIB オブジェクトを示します。

次の表は、シスコ エクスプレス フォワーディングの監視動作と、CEF パス テーブル（cefPathTable）によって提供される関連する MIB オブジェクトを示します。

次の表は、シスコ エクスプレス フォワーディングの監視動作と、CEF 隣接関係要約テーブル（cefAdjSummaryTable）によって提供される関連する MIB オブジェクトを示します。

次の表は、シスコ エクスプレス フォワーディングの監視動作と、CEF 隣接関係テーブル（cefAdjTable）によって提供される関連する MIB オブジェクトを示します。

次の表は、シスコ エクスプレス フォワーディングの監視動作と、CEF フォワーディング要素選択テーブル（cefFESelectionTable）によって提供される関連する MIB オブジェクトを示します。

次の表は、シスコ エクスプレス フォワーディングの設定および監視動作と、CEF Cfg テーブル（cefCfgTable）によって提供される関連する MIB オブジェクトを示します。

次の表は、シスコ エクスプレス フォワーディングの監視動作と、CEF リソース テーブル（cefResourceTable）によって提供される関連する MIB オブジェクトを示します。

次の表は、シスコ エクスプレス フォワーディングの設定および監視動作と、CEF インターフェイス テーブル（cefIntTable）によって提供される関連する MIB オブジェクトを示します。

次の表は、シスコ エクスプレス フォワーディングの監視動作と、CEF ピア テーブル（またはラインカード テーブル）（cefPeerTable）によって提供される関連する MIB オブジェクトを示します。

次の表は、シスコ エクスプレス フォワーディングの監視動作と、CEF ピア FIB テーブル（cefPeerFIBTable）によって提供される関連する MIB オブジェクトを示します。

次の表は、シスコ エクスプレス フォワーディングの監視動作と、CEF プレフィックス長統計情報テーブル（cefStatsPrefixTable）によって提供される関連する MIB オブジェクトを示します。

次の表は、シスコ エクスプレス フォワーディングの監視動作と、CEF スイッチング統計情報テーブル（cefSwitchingStatsTable）によって提供される関連する MIB オブジェクトを示します。

次の表は、シスコ エクスプレス フォワーディングの設定および監視動作と、CEF IP プレフィックス整合性グローバル チェッカ グループ（cefCCGlobalTable）によって提供される関連する MIB オブジェクトを示します。

次の表は、シスコ エクスプレス フォワーディングの設定および監視動作と、CEF 整合性チェッカ タイプ テーブル（cefCCTypeTable）によって提供される関連する MIB オブジェクトを示します。

次の表は、シスコ エクスプレス フォワーディングの設定および監視動作と、CEF 不整合性レコード テーブル（cefInconsistencyRecordTable）によって提供される関連する MIB オブジェクトを示します。

次の表は、シスコ エクスプレス フォワーディング通知の送信をイネーブルにする CISCO-CEF-MIB オブジェクトに関連付けられているシスコ エクスプレス フォワーディング動作を示します。

これらの通知は、MIB を通じて、または CLI コマンドを入力して、イネーブルまたはディセーブルにできます。 次の表に、通知の説明と、その通知をイネーブルにするコマンドを示します。

（注）	CISCO-CEF-MIB 通知をイネーブルまたはディセーブルにするコマンドを入力する前に、snmp-server host コマンドを入力する必要があります。

1.    enable


2.    configure terminal


3.    snmp-server community string [view view-name] [ro | rw] [ipv6 nacl] [access-list-number]


4.    snmp-server community string2 rw


5.    end

Router> enable

Router# configure terminal

Router(config)# snmp-server community public ro

Router(config)# snmp-server community private rw

Router(config)# end

1.    enable


2.    configure terminal


3.    snmp-server community string [ro | rw]


4.    snmp-server community string2 rw


5.    snmp-server host ip-address [vrf vrf-name] [traps | informs] [version {1| 2c | 3 [auth | noauth | priv]}] community-string [udp-port port] cef


6.    end

Router> enable

Router# configure terminal

Router(config)# snmp-server community public ro

Router(config)# snmp-server community private rw

Router(config)# snmp-server host 10.56.125.47 informs version 2c public cef

Router(config)# end

1.    enable


2.    configure terminal


3.    snmp-server enable traps cef [peer-state-change] [resource-failure] [inconsistency] [peer-fib-state-change]


4.    snmp-server host ip-address [traps | informs] [version {1| 2c | 3 [auth | noauth | priv]}] community-string cef


5.    end

Router> enable

Router# configure terminal

Router(config)# snmp-server enable traps cef resource-failure

Router(config)# snmp-server host 10.56.125.47 informs version 2c public cef

Router(config)# end

1.    setany version ip-address community-string cefPeerStateChangeNotifEnable.0 -i TruthValue


2.    setany version ip-address community-string cefPeerFIBStateChangeNotifEnable .0 -i TruthValue


3.    setany version ip-address community-string cefResourceFailureNotifEnable. 0 -i TruthValue


4.    setany version ip-address community-string cefInconsistencyNotifEnable .0 -i TruthValue

workstation% setany -v2c 10.56.125.47 public cefPeeStateStateChangeNotifEnable.0 -1 1

workstation% setany -v2c 10.56.125.47 public cefPeerFIBStateChangeNotifEnable.0 -1 1

workstation% setany -v2c 10.56.125.47 public cefResourceFailureNotifEnable.0 -i 1

workstation% setany -v2c 10.56.125.47 public cefInconsistencyNotifEnable.0 -i 1

1.    enable


2.    configure terminal


3.    snmp-server enable traps cef inconsistency


4.    snmp mib cef throttling-interval seconds


5.    end

Router> enable

Router# configure terminal

Router(config)# snmp-server enable traps cef inconsistency

Router(config)# snmp mib cef throttling-interval 2500

Router(config)# end

1.    setany version ip-address community-string cefNotifThrottlingInterval.0 -i seconds

workstation% setany -v2c 10.56.125.47 public cefNotifThrottlingInterval.0 -1 3600