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システム全体の健康状態を確認するために、定期的にコントロール プレーンのリソースを監視します。
• 「詳細情報」
システム リソースの監視によって、起こりうる問題を発生前に検出できるため、システムの停止を回避できます。次に定期的な監視のメリットを示します。
• これは実例です。顧客が新しいラインカードを導入しました。ラインカードが動作してから数週間後、これらのラインカードのメモリ不足が原因で、大規模なシステム停止が発生することがありました。メモリ使用率を監視していれば、メモリの問題を特定して、システム停止を回避できたはずです。
• 定期的な監視によって、正常なシステム負荷の基準が確立されます。ハードウェアやソフトウェアをアップグレードした時に、この情報を比較の根拠として使用し、アップグレードがリソースの使用率に影響を与えたかどうかを確認できます。
ここでは、コントロール プレーンの高度な概要について説明します。
• 「Cisco ASR 1000 シリーズ ルータ コントロール プレーンのアーキテクチャ」
• 「Cisco IOS XE ソフトウェアのアーキテクチャ」
コントロール プレーンの主要なコンポーネントは次のとおりです。
• Cisco ASR 1000 シリーズ Route Processor(RP; ルート プロセッサ):ルーティング プロトコル、CLI、ネットワーク管理インターフェイス、コード ストレージ、ロギング、シャーシ管理の役割を担う汎用 CPU。Cisco ASR 1000 シリーズ RP は、Cisco ASR 1000 シリーズ ESP がサポートしないネットワーク コントロール パケットとプロトコルを処理します。
• Cisco ASR 1000 シリーズ Embedded Services Processor(ESP; 組み込みサービス プロセッサ):フォワーディング コントロール プレーンのトラフィックを処理し、ファイアウォールの検査、ACL、暗号化、QoS などのパケット処理機能を実行するフォワーディング プロセッサ。
• Cisco ASR 1000 シリーズ SPA Interface Processor(SIP; SPA インターフェイス プロセッサ):ルート プロセッサと Shared Port Adapter(SPA; 共有ポート アダプタ)間の接続を確立するインターフェイス プロセッサ。
Cisco ASR 1000 シリーズ ルータでは、分散コントロール プレーン アーキテクチャが実現されています。図 4-1 に示すとおり、コントロール プレーンの各主要コンポーネントに、別個のコントロール プロセッサが組み込まれています。
• Route Processor(RP; ルート プロセッサ)
• Forwarding Engine Control Processor(FECP; フォワーディング エンジン コントロール プロセッサ)
RP は、専用のギガビット Ethernet Out-of-Band Channel(EOBC; イーサネット帯域外チャネル)を使用して、コントロール プレーンの管理およびメンテナンスを行います。内部の EOBC は、さまざまな主要コンポーネント間でシステムの状態に関する情報を継続的に交換するために使用されます。たとえば、障害が生じた場合、スイッチオーバー イベントが発生し、スタンバイ RP および ESP が即座に、障害の発生したコンポーネントのデータ フォワーディング機能またはコントロール プレーン機能を引き継ぐ準備を整えます。
Inter-Integrated Circuit(I2C)がハードウェア コンポーネントの健康状態を監視します。Enhanced SerDes Interconnect(ESI)は一連のシリアル リンクで、RP、SIP、およびスタンバイ ESP をアクティブ ESP に接続するミッドプレーン上のデータ パス リンクです。
図 4-1 Cisco ASR 1000 シリーズ ルータ コントロール プレーンのアーキテクチャ
コントロール プレーン プロセッサが実行する機能は、次のとおりです。
• ネットワーク コントロール パケットの処理、ルートの計算、接続の設定などのルータ コントロール プレーン(Cisco IOS)を実行します。
• 管理ポート、LED、アラーム、SNMP ネットワーク管理などのインターフェイス ステータスおよび環境ステータスを監視します。
• システム内の他のコンポーネントへコードをダウンロードします。
• アクティブ RP および ESP を選択し、スタンバイ RP および ESP を同期化します。
• ロギング機能、On-Board Failure Logging(OBFL; オンボード障害ロギング)、統計情報の集約を管理します。
• フォワーディング エンジン サブシステム(Cisco QuantumFlowProcessor(QFP)サブシステム)へのダイレクト CPU アクセスを提供します。このサブシステムはフォワーディング プロセッサ チップセットで、ESP にあります。
• フォワーディング エンジン サブシステムと、入出力への接続を管理します。
• フォワーディング プロセッサ チップセットを管理します。
• SIP に取り付けられている SPA へのダイレクト CPU アクセスを提供します。
コントロール プレーン プロセッサは Cisco IOS XE ソフトウェアを実行します。このソフトウェアは、Linux ベースのカーネルと、オペレーティング システム レベルのユーティリティ プログラムの共通セットで構成されたオペレーティング システムです。これは、オペレーティング システムの多数の役割を IOS プロセスの外に移動する分散ソフトウェア アーキテクチャです。
このアーキテクチャでは、ルータを実行する役割を他の Linux プロセスで分担できるようにしながら、IOS は多数の Linux プロセスの 1 つとして稼動します。IOS は RP のユーザ プロセスとして稼動します。ハードウェア固有のコンポーネントは IOS プロセスから除外されており、Cisco IOS XE ソフトウェアの別個のミドルウェア プロセスによって処理されます。ハードウェア固有の問題が検出された場合、IOS プロセスに触れずに、ミドルウェア プロセスで修正できます。
図 4-2 に、Cisco IOS XE ソフトウェア アーキテクチャの主要コンポーネントを示します。このモジュラ型アーキテクチャは、動作の責任を個別のプロセスに分散することによって、ネットワークの復元力を増大させます。また、メモリの割り当ても改善されるため、ルータはより効率的に稼動できます。
Cisco IOS XE ソフトウェアのモジュールはすべて、保護された独自のメモリ空間で稼動するため、故障の封じ込めが容易です。個々のソフトウェア モジュールのソフトウェア障害は、その特定のモジュールに限定されます。他のソフトウェア プロセスはすべて継続して動作します。たとえば、各 SPA では、同じタイプの SPA が複数ある場合でも、SIP では別個のドライバ プロセスが実行されます。それぞれの SPA ドライバは独自の保護されたメモリで稼動するため、個々のドライバの障害またはアップグレードは、関係する SPA に限定されます。
図 4-2 Cisco IOS XE ソフトウェアのアーキテクチャ
Linux アーキテクチャを使用すると、Cisco IOS XE では次のメリットが実現されます。
• マルチコア(1 つのシリコン上に複数の CPU)プロセッサを統合できます。
• IOS プロセスはハードウェア コンポーネントに直接アクセスしないため、復元力が大幅に向上します。
• アクティブおよびスタンバイ IOS プロセスを、ハードウェア冗長性のない Cisco ASR 1004 ルータおよび Cisco ASR 1006 ルータで実行できます。
• IOS プロセスは、RP の Linux カーネルにおいて仮想マシンとして稼動します。起動時に、RP の Linux カーネルは、使用可能なメモリの 50% を 1 回限りのイベントとして IOS プロセスに割り当てます。シングル IOS プロセス システムの場合、IOS は RP の合計メモリの約 45% を割り当てられます。冗長 IOS プロセス システムの場合、各 IOS プロセスは RP の合計メモリの約 20% を割り当てられます。
ここでは、IOS プロセスの観点と、コントロール プレーン全体の観点からのメモリと CPU の監視について説明します。
IOS プロセス内からのメモリと CPU 使用率に関する情報を得るには、 show memory コマンドと show process cpu コマンドを使用します。これらのコマンドで表示されるのは、IOS プロセスの観点からのメモリと CPU 使用率だけです。ルート プロセッサ全体のリソースに関する情報は含まれません。たとえば、シングル IOS プロセスを実行している 8 GB のメモリを搭載した RP2 で show memory コマンドを実行すると、次のメモリ使用率が表示されます。
デュアルコアの RP2 で show process cpu コマンドを実行すると、両方のプロセッサを使用するシングル IOS の CPU 使用率の平均が表示されます。
各コントロール プロセッサのコントロール プレーンのメモリと CPU 使用率に関する情報を得るには、 show platform software status control-processor brief コマンド(概要表示)または show platform software status control-processor コマンド(詳細表示)を使用します。
すべてのコントロール プロセッサで、[Healthy] というステータスが表示されるはずです。他に表示されうるステータスの値は、[Warning] と [Critical] です。[Warning] は、ルータが動作中だが動作レベルの確認が必要であることを示しています。[Critical] は、ルータで障害が発生する寸前であることを示しています。
[Warning] または [Critical] のステータスが表示されたら、次の対処方法を実行してください。
• 設定内の要素の数を減らすか、動的なサービスの容量を制限して、システムに対する静的および動的な負荷を減らします。
• ルータと隣接機器の数を減らしたり、ACL などのルールの数を制限したり、VLAN の数を減らしたりなどの対処を行います。
ここでは、 show platform software status control-processor コマンドの出力のフィールドについて説明します。
[Load Average] は、CPU リソースのプロセス キューまたはプロセス コンテンションを示します。たとえば、シングルコア プロセッサで瞬間的な負荷が 7 の場合は、7 つのプロセッサが稼動可能な状態になっていて、そのうちの 1 つが現在稼動しているという意味です。デュアルコア プロセッサで負荷が 7 の場合は、7 つのプロセッサが稼動可能な状態になっていて、そのうちの 2 つが現在稼動していることを示します。
• Committed:プロセスに割り当てられている仮想メモリ
[CPU Utilization] は CPU が使用されている時間の割合を表すもので、次のフィールドで示されます。
次に show platform software status control-processor コマンドの例を示します。
この章で説明したトピックの詳細については、次のマニュアルを参照してください。
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『Cisco IOS Master Command List, All Releases』 Command Lookup Tool( Cisco.com のユーザ ID とパスワードが必要) |