イーサネット インターフェイス
Cisco IronPort X1050、C650、および C350 アプライアンスには、構成(オプションの光ネットワーク インターフェイスがあるかどうか)に応じて最大 4 個のイーサネット インターフェイスがシステムの背面パネルにあります。次のラベルが付いています。
• Management
• Data1
• Data2
• Data3
• Data4
IP アドレスとネットマスクの選択
ネットワークを設定するとき、Cisco IronPort アプライアンスは発信パケットを送信するために一意のインターフェイスを選択できなければなりません。この要件によって、イーサネット インターフェイスの IP アドレスとネットマスクの選択に関して、いくつかのことが決まります。単一のネットワークに配置できるインターフェイスは 1 つのみというのがルールです(ネットマスクがインターフェイスの IP アドレスに適用されることでそのように定められます)。
IP アドレスは、指定されたネットワークの物理インターフェイスを識別します。物理イーサネット インターフェイスは、パケットを受け取る IP アドレスを複数持つことができます。複数の IP アドレスを持つイーサネット インターフェイスは、パケットの送信元アドレスとしていずれか 1 つの IP アドレスを使用して、インターフェイスからパケットを送信できます。このプロパティは、仮想ゲートウェイ テクノロジーの実装で使用されます。
ネットマスクの目的は、IP アドレスをネットワーク アドレスとホスト アドレスに分割することです。ネットワーク アドレスは、IP アドレスのネットワーク部分(ネットマスクと一致するビット)と見なすことができます。ホスト アドレスは、IP アドレスの残りのビットです。4 オクテット アドレス内の有効なビット数は、クラスレス ドメイン間ルーティング(CIDR)形式で表現されることがあります。これは、スラッシュ記号、後にビット数(1 ~ 32)が続きます。
ネットマスクは、単純にバイナリの 1 を数える方法で表現できます。 255.255.255.0
は「 /24
」になり、 255.255.240.0
は「 /20
」になります。
インターフェイス設定のサンプル
ここでは、いくつかの代表的なネットワークに基づいたインターフェイスの設定例を示します。この例では、Int1 と Int2 の 2 つのインターフェイスを使用します。Cisco IronPort アプライアンスの場合は、これらのインターフェイス名を、3 つの Cisco IronPort インターフェイス(Management、Data1、Data2)の中の 2 つのインターフェイスで表現できます。
ネットワーク 1:
個別のインターフェイスは別のネットワーク上に存在するように示す必要があります。
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Int1 |
192.168.1.10 |
255.255.255.0 |
192.168.1.0/24 |
Int2 |
192.168.0.10 |
255.255.255.0 |
192.168.0.0/24 |
192.168.1.X
にアドレス指定されたデータ(ここで X は 1 ~ 255 の任意の番号。ただし、自身のアドレス(この場合は 10)を除く)は、Int1 から送出されます。 192.168.0.X
にアドレス指定されたデータは、Int2 から送出されます。この形式ではない他のアドレス(最も考えられるのは WAN またはインターネット上)に向かうパケットは、デフォルト ゲートウェイに送信されます。デフォルト ゲートウェイはこれらのネットワークのどちらかの上に存在する必要があります。その後、デフォルト ゲートウェイがパケットを転送します。
ネットワーク 2:
2 つの異なるインターフェイスのネットワーク アドレス(IP アドレスのネットワーク部分)は同じにすることができません。
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Int1 |
192.168.1.10 |
255.255.0.0 |
192.168.0.0/16 |
Int2 |
192.168.0.10 |
255.255.0.0 |
192.168.0.0/16 |
これは、2 つのイーサネット インターフェイスが同じネットワーク アドレスを持つという、競合した状態を表しています。Cisco IronPort アプライアンスからのパケットが 192.168.1.11
に送信された場合、パケットの配信にどのイーサネット インターフェイスを使用する必要があるかを決定する方法はありません。2 つのイーサネット インターフェイスが 2 つの物理ネットワークに別々に接続されている場合、パケットは誤ったネットワークに配信される可能性があり、そうするとそのパケットの送信先を見つけることはできません。Cisco IronPort アプライアンスでは、競合するネットワークを設定できません。
2 つのイーサネット インターフェイスを同じ物理ネットワークに接続することはできますが、Cisco IronPort アプライアンスが一意の配信インターフェイスを選択できるように IP アドレスとネットマスクを設定する必要があります。
IP アドレス、インターフェイス、およびルーティング
GUI または CLI で、インターフェイスを選択可能なコマンドや関数を実行する際にインターフェイスを選択した場合(たとえば、AsyncOS のアップグレードや DNS の設定など)、ルーティング(デフォルト ゲートウェイ)が選択した内容よりも優先されます。
たとえば、3 つのネットワーク インターフェイスがそれぞれ別のネットワーク セグメントに設定された次のような Cisco IronPort アプライアンスがあるとします(すべて /24 と仮定)。
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192.19.0.100 |
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192.19.1.100 |
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192.19.2.100 |
デフォルト ゲートウェイは 192.19.0.1 です。
ここで、AsyncOS のアップグレード(またはインターフェイスを選択できる他のコマンドや関数)を実行し、Data1 上の IP(192.19.1.100)を選択した場合、すべての TCP トラフィックが Data1 イーサネット インターフェイス経由になると予想されることと思います。しかし、実際には、デフォルト ゲートウェイとして設定されているインターフェイス(ここでは Management)からトラフィックが送出されます。ただし、トラフィックの送信元アドレスには Data1 の IP が設定されています。
サマリー
Cisco IronPort アプライアンスは、配信可能なパケットが経由する一意のインターフェイスを常に識別できなければなりません。この決定を行うために、Cisco IronPort アプライアンスは、パケットの宛先 IP アドレスと、そのイーサネット インターフェイスのネットワークおよび IP アドレス設定を組み合わせて使用します。次の表に、ここまで説明してきた例をまとめます。
Cisco IronPort アプライアンスの接続時の戦略
Cisco IronPort アプライアンスを接続する際には、次の点に留意してください。
• 通常、管理トラフィック(CLI、Web インターフェイス、ログ配信)は、電子メール トラフィックよりもはるかに少量です。
• 2 つのイーサネット インターフェイスが同じネットワーク スイッチに接続されているが最終的にダウンストリームの別のホスト上の単一インターフェイスと通信するだけの場合、あるいはすべてのデータがすべてのポートにエコーされるネットワーク ハブにそれらが接続されている場合、2 つのインターフェイスを使用しても得られる利点はありません。
• 1000Base-T で動作しているインターフェイスでの SMTP カンバセーションは、100Base-T で動作している同じインターフェイスでのカンバセーションよりも少し高速ですが、速くなるのは理想的な条件下でのみです。
• 配信ネットワークの別の箇所にボトルネックがある場合、ネットワークへの接続を最適化しても意味はありません。ボトルネックは、インターネットへの接続および接続プロバイダーのさらにアップストリームで最も頻繁に発生します。
接続に使用する Cisco IronPort アプライアンス インターフェイスの数とそれらへのアドレス指定の方法は、基礎となるネットワークの複雑性によって決める必要があります。複数インターフェイスの接続は、ネットワーク トポロジやデータ ボリュームで要求されなければ必要ありません。また、最初は単純な接続にしておき、ゲートウェイに慣れてきたら、ボリュームやネットワーク トポロジでの必要に応じて接続を増やすこともできます。