この製品のマニュアルセットは、偏向のない言語を使用するように配慮されています。このマニュアルセットでの偏向のない言語とは、年齢、障害、性別、人種的アイデンティティ、民族的アイデンティティ、性的指向、社会経済的地位、およびインターセクショナリティに基づく差別を意味しない言語として定義されています。製品ソフトウェアのユーザーインターフェイスにハードコードされている言語、RFP のドキュメントに基づいて使用されている言語、または参照されているサードパーティ製品で使用されている言語によりドキュメントに例外が存在する場合があります。シスコのインクルーシブランゲージに対する取り組みの詳細は、こちらをご覧ください。
このドキュメントは、米国シスコ発行ドキュメントの参考和訳です。リンク情報につきましては、日本語版掲載時点で、英語版にアップデートがあり、リンク先のページが移動/変更されている場合がありますことをご了承ください。あくまでも参考和訳となりますので、正式な内容については米国サイトのドキュメントを参照ください。
SCAS BB(SCAS)は、ブロードバンド サービス プロバイダーがネットワーク リソースの配分状態を把握して制御し、ビジネス戦略に適合するようにトラフィックを最適化するためのサービス コントロール ソリューションです。ネットワーク コストの削減、ネットワーク パフォーマンスおよびカスタマー エクスペリエンスの向上と、新しいサービス項目およびパッケージの作成を可能にします。
Service Control Application Suite for Broadbandソリューションは、次の3つの主要コンポーネントで構成されています。
• SCEプラットフォーム:ネットワーク トランザクションをアプリケーション レベルで解析してレポートする目的で設計された、強力でフレキシブルな専用ネットワーク使用状況モニタ。
SCEプラットフォームのインストレーションおよび運用については、『 SCE 1000 and SCE 2000 User Guide 』を参照してください。
• smartSUB Manager(SM):サブスクライバ情報とサービス コンフィギュレーションのダイナミック バインディングが必要な場合に使用するミドルウェア ソフトウェア コンポーネント。SMはサブスクライバ情報を管理し、複数のSCEプラットフォームにリアルタイムでプロビジョニングします。SMはサブスクライバのサービス コンフィギュレーション情報を内部に保存し、AAAシステム(RADIUS、DHCPなど)とSCEプラットフォームの間のステートフル ブリッジとして動作します。
smartSUB Managerのインストレーションおよび運用については、『 smartSUB Manager User Guide 』を参照してください。
• Collection Manager(CM):1台または複数のSCEプラットフォームからのRDRを待ち受ける収集システム。使用状況に関する情報および統計情報を収集し、バンドルされたデータベースにその情報を保存し、そのデータから各種の有益なレポートを提供します。また、CMはサブスクライバの使用状況に関する情報および統計情報をシンプルなテキスト ベースのファイルに変換し、これを外部システムでさらに処理したり収集したりすることもできます。
Collection Managerのインストレーションおよび運用については、『 Collection Manager User Guide 』を参照してください。
SCEプラットフォーム、Collection Manager、およびsmartSUB Managerが連携して、IPネットワーク トラフィックの詳細な観察、解析、レポート、および制御を実行します。Collection ManagerおよびsmartSUB Managerはオプションのコンポーネントであり、このソリューションのすべての展開に必須というわけではありません。サードパーティ製の収集アプリケーションおよびレポート生成アプリケーションを採用しているサイトや、サブスクライバ対応のダイナミックな処理を必要としないサイトでは、これらのコンポーネントは不要です。
次の図に、SCAS BBソリューションにおける情報のフローを示します。
• 水平方向のフロー:サブスクライバとIPネットワークの間のトラフィックを表します。
SCEプラットフォームがトラフィック フローをモニタします。
• 垂直方向のフロー:SCEプラットフォームからCollection ManagerへのRaw Data Record(RDR)の送信を表します。
smartSUB Manager を追加して、フローを制御しサブスクライバ データを提供することもできます。その場合、SCAS BBはダイナミックなサブスクライバ統合を処理できます。
SCAS BBソリューションの基本的なエンティティの1つが、 サブスクライバ です。サブスクライバは、SCAS BBソリューションで最も細かい粒度でサービス コンフィギュレーションを個別にモニタ、アカウンティング、および実施できるエンティティです。SCAS BBシステムの最も粒度の細かいインスタンスであるサブスクライバは、それぞれ個別のサービス コンフィギュレーションを実施すべき、サービス プロバイダーの実際のカスタマーです。ただし、SCAS BBソリューションでは、たとえばサブネット単位またはアグリゲーション デバイス単位でのトラフィックのモニタおよび制御のように、より大きい粒度でトラフィックをモニタおよび制御することもできます。
SCAS BBソリューションの設計上、最も重要な決定事項の1つは、システムにおけるサブスクライバの定義です。この定義によって、使用するサブスクライバ モードが決まります。さらに、サブスクライバ モードによって(必要な場合)どのような統合が必要であるか、どのような実際のサービス コンフィギュレーションを定義すべきかが決まります。以下に、サポートされる各種のサブスクライバ モード、各モードでサポートされる機能、および前提条件と必要なコンポーネントについて説明します。
SCAS BBがサポートするサブスクライバ モードは、次のとおりです。
• サブスクライバレス モード: サブスクライバを定義しません。
• アノニマス サブスクライバ モード: IPアドレスを個別に制御およびモニタします。SCEプラットフォームはIPアドレスが使用されると自動的にそのアドレスを認識し、デフォルトのサービス コンフィギュレーションを割り当てます。
• サブスクライバアウェア モード ― スタティック サブスクライバ: 着信IPアドレスは、システム オペレータが設定したサブスクライバにスタティックにバインドおよびグループ化されます。
• サブスクライバアウェア モード ― ダイナミック サブスクライバ: サブスクライバにIPアドレスを割り当てるシステム(RADIUS、DHCP)との統合により、サブスクライバが現在使用しているIPアドレスにサブスクライバ情報がダイナミックにバインドされます。サービス コンフィギュレーション情報は、直接サービス コントロール ソリューションで管理するか、または統合によってダイナミックにプロビジョニングします。
サブスクライバレス モードは、グローバルなデバイス レベルのみで制御機能およびレベル解析機能が必要とされるサイトで使用します。たとえば、リンク上のP2Pトラフィックの総量をモニタする目的で使用できます。
サブスクライバレス モードでは統合が不要なので、smartSUB Managerコンポーネントは必要ありません。サブスクライバレス モードはサブスクライバ数や着信IPアドレス数に影響されないので、SCEプラットフォームの視点では、モニタ対象のリンクを利用するサブスクライバの総数に制限はありません。
アノニマス サブスクライバ モードは、サブスクライバ着信IPアドレスの粒度でネットワーク トラフィックを解析して制御するための手段を提供します。このモードは、サブスクライバごとに差別化された制御やサブスクライバ別のクォータ トラッキングが不要な場合、IPレベルでの解析で十分である場合、またはIPアドレス/サブスクライバのバインディングをオフラインで実行できる場合に使用します。たとえば、どのサブスクライバが最大のP2Pトラフィックを発生させているかを調べるには、トップIPアドレスを識別し、それらのアドレスをRADIUS/DHCPログから手動/オフラインで個々のサブスクライバに対応付けます。各サブスクライバが使用できるP2Pトラフィックの合計帯域幅を制限することも可能です。
アノニマス モードでは、統合が不要で、使用するIPアドレスのスタティックな設定も不要なので、smartSUB Managerコンポーネントは必要ありません。このモードでは、直接SCEプラットフォームにIPアドレスの範囲を設定します。システムはこの範囲でIPアドレスをサブスクライバ名として使用し、「アノニマス」サブスクライバをダイナミックに作成します。SCEプラットフォームがサポートする、同時にアクティブなアノニマス サブスクライバの総数は、同時にアクティブなサブスクライバの総数と同じです。
スタティック サブスクライバ モードは、着信IPアドレスをまとめてグループにバインドし、定義済みサブスクライバとの間のトラフィックを1つのグループとして制御できるようにします。たとえば、このモードを使用する場合、(複数のサブスクライバが同時に使用する)特定のネットワークのサブネットとの間のすべてのトラフィックを「仮想サブスクライバ」として定義し、1つのグループとして制御および表示することができます。
スタティック サブスクライバ モードは、サービス コントロール ソリューションで制御するエンティティが、ダイナミックに変更されることのない一定のIPアドレスまたはアドレス範囲を使用する場合に対応します。具体的には次のような場合です。
• サブスクライバのIPアドレスがDHCP、RADIUSなどでダイナミックに変更されない環境。
• 1つのサブスクライバ グループが共通のIPアドレス プールを使用する場合。たとえば、特定のCMTS、BRASなどでサービスするすべてのサブスクライバを一括して管理し、グループ全体で帯域幅を共有させる場合など。
スタティック サブスクライバは直接SCEプラットフォームに定義することができ、外部の管理ソフトウェア(smartSUB Manager)は不要です。SCEプラットフォームのCLIを使用して、サブスクライバのリスト、IPアドレス、および対応するパッケージを定義します。
ダイナミック サブスクライバ モードでは、サブスクライバが現在使用している(IP)アドレスにダイナミックにバインドされたサブスクライバ情報(OSS IDおよびサービス コンフィギュレーション)がSCEに入力されます。その結果、使用されているIPアドレスとは無関係に、サブスクライバ単位で差別化されたダイナミックな制御と、サブスクライバ レベルでの解析が可能になります。このモードは、サブスクライバ レベルでトラフィックを制御および解析し、IPアドレスとは無関係にサブスクライバの使用状況をモニタする場合に使用します。また、サブスクライバごとに異なるサービス コンフィギュレーションまたはパッケージの割り当てと実施も可能です。
このモードでは、smartSUB Manager(SM)を使用してデバイスにサブスクライバ情報をプロビジョニングする必要があります。SMは、上記のような関連付けを維持するサーバ アプリケーションであり、この情報をSCEプラットフォームにリアルタイムでプロビジョニングします。
次の表に、サポートされる各種のサブスクライバ モードを要約します。
サービス コンフィギュレーションは、SCEプラットフォームによるトラフィックの解析方法および制御方法を定義します。大まかに言うと、サービス コンフィギュレーションは次のものを定義します。
サービス コンフィギュレーションは、次のいずれかを使用して行います。
• Service Configurationユーティリティ
SCAS BB Consoleは、サービス コンフィギュレーションの作成、変更、適用に使用するSCAS BB GUIです。SCAS BB Consoleを使用して、サービス、パッケージ、プロトコル、帯域幅制御などの設定エンティティを定義できます。SCAS BB Consoleで作成したサービス コンフィギュレーション ファイル( .pqb )は、SCEプラットフォームに保存または適用できます。
また、SCAS BB ConsoleからsmartSUB Managerにアクセスしてサブスクライバ管理を行うこともできます。さらに、Collector ManagerのReporter機能にアクセスしてレポートを作成し出力することもできます。
Service Configurationユーティリティは、. pqb コンフィギュレーション ファイルをSCEプラットフォームに適用したり、SCEプラットフォームから現在のコンフィギュレーションを取得して pqb ファイルとして保存するための、簡素なコマンドライン ツールです。このツールは、WindowsまたはSolaris環境にインストールして実行できます。 .pqb ファイルのサービス コンフィギュレーションを使用してSCEプラットフォームを設定できます。
Service Configurationユーティリティ( servconf
)は、サービス コンフィギュレーションを適用および取得するためのコマンドライン インターフェイスを提供し、これらの動作を自動的に実行します。
Service Configurationユーティリティについての詳細は、『 SCAS BB User Guide 』を参照してください。
SCAS BB Service Configuration APIは、サービス コンフィギュレーションのプログラミングと管理、およびSCEプラットフォームへの適用を行うためのJavaクラスの集合です。また、SCAS APIを使用するアプリケーションをサードパーティ製システムに統合し、サービス プロバイダーによる管理および運用タスクを簡易化することもできます。