PROFINET の設定に関する制約事項
このスイッチでは、等時間隔のリアルタイム通信チャネルはサポートされていません。
PROFINET の設定に関する情報
PROFINET は PROFIBUS International(PI)のオープンな工業イーサネット標準であり、オートメーション コントロール用に TCP/IP および IT 標準を使用しています。PROFINET は、装置およびテスト機器の動きや精度の制御が重要である工業オートメーション システムやプロセス制御ネットワークに特に有用です。PROFINET はデータ交換を重視しており、速度要件に合った通信パスを定義しています。PROFINET 通信は、次の 3 つの点でスケーラブルです。
• 標準の非リアルタイム通信では TCP/IP を使用し、約 100 ms のバス サイクル タイムが実現されます。
• リアルタイム通信では、約 10 ms のサイクル タイムが実現されます。
• 等時間隔のリアルタイム通信では、約 1 ms のサイクル タイムが実現されます。
PROFINET I/O は、分散型オートメーション アプリケーション用のモジュラ通信フレームワークです。PROFINET I/O は巡回型のデータ転送を使用して、プログラマブル コントローラ、入力/出力(I/O)装置、およびその他のオートメーション コントローラ(モーション コントローラなど)とデータ、アラーム、診断情報を交換します。
PROFINET I/O は、次の 3 つのクラスの装置を認識します。
• I/O デバイス
• I/O コントローラ
• I/O スーパーバイザ
PROFINET 装置の役割
図 9-1 PROFINET 装置の役割
I/O コントローラは I/O 装置を制御するプログラマブル ロジック コントローラ(PLC)であり、オートメーション プログラムを通して設定、アラーム、I/O データなどのデータを交換します。I/O コントローラと I/O のスーパーバイザは診断情報を交換します。I/O コントローラは I/O 装置と設定や入力/出力情報を共有し、I/O 装置からアラームを受信します。
PROFINET は、唯一またはプライマリの管理システムとして使用するよう設計されています。I/O コントローラが Discovery and Configuration Protocol(DCP)でスイッチを検出し、デバイス名と IP アドレスを設定するため、基本的な設定に Cisco IOS コマンドを入力する必要はありません。拡張設定(QoS や DHCP などの機能)を行うには、スイッチ上で Cisco IOS コマンドを使用する必要があります。PROFINET を使用して、これらの機能の設定はできません。
I/O スーパーバイザはヒューマン マシン インターフェイス(HMI)や PC などのエンジニアリング ステーションであり、コミッショニング、モニタリング、診断分析に使用されます。I/O スーパーバイザは I/O 装置と診断情報、ステータス情報、制御情報、パラメータ情報を交換します。
I/O 装置は、センサー、アクチュエータ、モーション コントローラなどの分散型入力/出力装置です。
(注) スイッチは I/O 装置として動作し、I/O コントローラへの PROFINET 管理接続を行います。
PROFINET I/O システムでは、バス サイクル タイム 100 ms 未満のオートメーション産業要件を満たすため、すべての I/O 装置がイーサネット通信ネットワークを介して通信します。このネットワークでは、データの衝突を避けるため、スイッチと全二重データ交換が使用されます。
PROFINET 装置のデータ交換
PROFINET が DCP を使用してスイッチなどの装置を検出すると、アプリケーション関係(AR)および通信関係(CR)が確立されます。接続が確立され、装置パラメータに関する情報が交換されたら、入力データと出力データが交換されます。スイッチは非リアルタイム CR を使用して、 表 9-1 および 表 9-2 に示すデータ属性を交換します。
表 9-1 PROFINET I/O スイッチ属性
|
|
デバイス名 |
デバイス名を設定します。 |
TCP/IP |
IP アドレス、サブネット マスク、デフォルト ゲートウェイ、SVI。 |
プライマリ温度アラーム |
指定したアラームのモニタリングをイネーブルまたはディセーブルにします。 |
セカンダリ温度アラーム |
指定したアラームのモニタリングをイネーブルまたはディセーブルにします。 |
RPS 障害アラーム |
指定したアラームのモニタリングをイネーブルまたはディセーブルにします。 |
リレー メジャー アラーム |
指定したアラームのモニタリングをイネーブルまたはディセーブルにします。 |
出荷時デフォルトへのリセット |
PROFINET I/O コントローラを使用して、スイッチを出荷時デフォルトにリセットします。このアクションにより、スタートアップ コンフィギュレーションが削除され、スイッチがリロードされます。 |
リレー メジャー設定 |
メジャー リレーをトリガーするポート アラーム(リンク障害など)のタイプを指定します。指定したアラーム タイプで設定された任意のポートがメジャー リレーをトリガーできます。 |
表 9-2 PROFINET I/O ポート属性
|
|
速度 |
10、100、1000、自動。 |
二重 |
半二重/全二重/自動。 |
ポート モード |
アクセス/トランク。 |
リンク ステータス |
シャットダウン/シャットダウンなし。 |
設定レートの制限 |
ブロードキャスト、ユニキャスト、マルチキャストのしきい値が設定されたレベルを超えています。 |
ポート リンク障害アラーム |
指定したアラームのモニタリングをイネーブルまたはディセーブルにします。 |
Port not forwarding アラーム |
指定したアラームのモニタリングをイネーブルまたはディセーブルにします。 |
Port not operating アラーム |
指定したアラームのモニタリングをイネーブルまたはディセーブルにします。 |
ポート FCS しきい値アラーム |
指定したアラームのモニタリングをイネーブルまたはディセーブルにします。 |
PROFINET 装置は General Station Description(GSD)ファイルを使用して統合されます。このファイルには、エンジニアリング用のデータや、I/O コントローラ、I/O スーパーバイザ、および I/O 装置(スイッチなど)間のデータ交換用のデータが含まれています。各 PROFINET I/O フィールド装置には、装置のプロパティが記述され、設定に必要な次の情報がすべて含まれた GSD ファイルが関連付けられている必要があります。
• 装置 ID 情報(装置 ID、ベンダー ID およびベンダー名、製品ファミリ、ポート数)。
• 着脱可能モジュールの数およびタイプ。
• Cisco IE 2000 8 ポート拡張モジュールはホットスワップ可能ではありません。拡張モジュールの接続や切断を行う前に、スイッチをオフにしてください。
• 診断情報のエラー テキスト。
• I/O 装置の通信パラメータ(最小サイクル タイム、リダクション比率、ウォッチ ドッグ タイムなど)。
(注) Cisco IE 2000 スイッチのデフォルトのリダクション比率は 128 ms ですが、スイッチに複雑な設定を使用する場合は、スイッチの CPU に対する負荷を減らすため、リダクション比率を 256 ms または 512 ms にすることを推奨します。
• I/O 装置モジュールに関する設定データ(速度、デュプレックス、VLAN、ポート セキュリティ情報、アラーム、ブロードキャスト レート制限のしきい値など)。
• 表 9-2 にリストされた属性に対して設定された、I/O 装置モジュールのパラメータ。
GSD ファイルはスイッチに関するものですが、I/O スーパーバイザはこのファイルを使用します。
(注) PROFINET ネットワークを管理するには、スイッチ上の Cisco IOS Release と関連付けられた GSD ファイルを使用する必要があります。I/O スーパーバイザと Cisco IOS ソフトウェアはどちらも、GSD ファイルとスイッチの Cisco IOS ソフトウェア バージョン間の不一致を通知します。
PROFINET の設定方法
PROFINET の設定
基本的なスイッチ設定には、I/O スーパーバイザ上の PROFINET ソフトウェアか Cisco IOS ソフトウェアのいずれかを使用できます。
デフォルト コンフィギュレーション
PROFINET はすべてのベース スイッチ モジュールおよび拡張ユニットのイーサネット ポート上で、デフォルトでイネーブルになっています。PROFINET がディセーブルになっている場合は、「PROFINET のイネーブル化」の手順に従ってください。
PROFINET のイネーブル化
|
|
|
ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
profinet |
スイッチ上で PROFINET をイネーブルにします。 |
ステップ 3 |
profinet id line |
(任意)Cisco IOS ソフトウェアを使用して PROFINET 装置 ID を設定します。 最大長は 240 文字です。使用可能な特殊文字はピリオド(.)とハイフン(-)のみです。これらの文字は ID 文字列内の特定のオプションでのみ使用可能です。文字列内には複数のラベルを含めることができます。各ラベルに使用できる文字数は 1 ~ 63 文字です。複数のラベルはピリオド(.)で区切る必要があります。文字列内の末尾文字はゼロ(0)にしないでください。 PROFINET ID の設定の詳細については、PROFINET の仕様、文書番号 TC2-06-0007a、ファイル名 PN-AL-protocol_2722_V22_Oct07 を参照してください( PROFIBUS から入手できます)。 |
ステップ 4 |
profinet vlan vlan id |
(任意)VLAN 番号を変更します。デフォルトの VLAN 番号は 1 です。指定できる VLAN ID の範囲は 1 ~ 4096 です。 |
ステップ 5 |
end |
特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 6 |
show running-config |
入力を確認します。 |
ステップ 7 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
PROFINET のモニタリングおよびメンテナンス
表 9-3 PROFINET の設定を表示するためのコマンド
|
|
show profinet sessions |
現在接続されている PROFINET セッションを表示します。 |
show profinet status |
PROFINET サブシステムのステータスを表示します。 |
PROFINET のトラブルシューティング
PLC の LED はアラームが発生すると赤になり、I/O スーパーバイザのソフトウェアはこれらのアラームをモニタします。
PROFINET のトラブルシューティングを行うには、 debug profinet 特権 EXEC コマンドを使用し、 PROFINET の設定をトラブルシューティングするためのコマンド 表 9-4 に示すキーワードを指定します。 debug コマンドの出力により、シリアル リンクにエラーが発生する可能性があるので注意してください。これらのコマンドを使用する際には、必ずシスコのテクニカル サポートのエンジニアの指示に従ってください。このコマンドの使用時には、シリアル ポートではなくイーサネットを使用して、Telnet で Cisco IOS のコマンドライン インターフェイス(CLI)にアクセスしてください。
表 9-4 PROFINET の設定をトラブルシューティングするためのコマンド
|
|
debug profinet alarm |
アラーム ステータス(オンまたはオフ)と PROFINET アラームの内容を表示します。 |
debug profinet cyclic |
タイム サイクル ベースの PROFINET イーサネット フレームに関する情報を表示します。 |
debug profinet error |
PROFINET セッション エラーを表示します。 |
debug profinet packet ethernet |
PROFINET イーサネット パケットに関する情報を表示します。 |
debug profinet packet udp |
PROFINET Upper Layer Data Protocol(UDP)パケットに関する情報を表示します。 |
debug profinet platform |
Cisco IOS と PROFINET 間の連携に関する情報を表示します。 |
debug profinet topology |
受信した PROFINET トポロジ パケットを表示します。 |
debug profinet trace |
トレースした一連のデバッグ出力ログを表示します。 |
その他の関連資料
ここでは、スイッチ管理に関する参考資料について説明します。
関連資料
|
|
Cisco IE 2000 コマンド |
『 Cisco IE 2000 Switch Command Reference , Release 15.0(1)EY』 |
Cisco IOS 基本コマンド |
『Cisco IOS Configuration Fundamentals Command Reference』 |
標準
|
|
この機能でサポートされる新規の標準または変更された標準はありません。また、既存の標準のサポートは変更されていません。 |
-- |
RFC
|
|
この機能によりサポートされた新規 RFC または改訂 RFC はありません。またこの機能による既存 RFC のサポートに変更はありません。 |
-- |