Flex Link および MAC アドレス テーブル移動更新機能の概要
ここでは、次の情報について説明します。
• 「Flex Link」
• 「VLAN Flex Link ロード バランシングおよびサポート」
• 「Flex Link マルチキャスト高速コンバージェンス」
• 「MAC アドレス テーブル移動更新」
Flex Link
Flex Link は、レイヤ 2 インターフェイス(スイッチ ポートまたはポート チャネル)のペアで、一方のインターフェイスが他方のインターフェイスのバックアップとして動作するように設定されています。この機能は、Spanning Tree Protocol(STP; スパニング ツリー プロトコル)の代替ソリューションとして役立ちます。Flex Link があれば、STP をディセーブルにしても基本的なリンクの冗長性は失われません。Flex Link は一般的に、お客様がスイッチで STP を稼動したくない場合に、サービス プロバイダーまたは企業ネットワークで設定されます。スイッチで STP が稼動している場合、すでに STP がリンクレベルの冗長性またはバックアップ機能を提供しているので、Flex Link を設定する必要はありません。
一方のレイヤ 2 インターフェイスを Flex Link またはバックアップ リンクとして割り当てることで、他方のレイヤ 2 インターフェイス(アクティブ リンク)に Flex Link を設定できます。一方のリンクがアップ状態でトラフィックを転送する場合、他方のリンクはスタンバイ モードになって、他方のリンクがシャット ダウンした場合にトラフィックを転送する準備をします。指定された時間に、一方のインターフェイスだけが linkup ステートになってトラフィックを転送します。プライマリ リンクがシャット ダウンした場合、スタンバイ リンクがトラフィックの転送を開始します。アクティブ リンクがバックアップ状態になった場合、リンクはスタンバイ モードになって、トラフィックは転送されません。Flex Link インターフェイスでは、STP はディセーブルです。
図 21-1 では、スイッチ A のポート 1 および 2 はアップリンク スイッチ B および C と接続されています。ポートは Flex Link として設定されているので、インターフェイスのうち 1 つだけがトラフィックを転送し、残りのインターフェイスがスタンバイ モードになります。ポート 1 がアクティブ リンクの場合、ポート 1 とスイッチ B の間でトラフィックの転送を開始します。ポート 2(バックアップ リンク)とスイッチ C の間のリンクは、トラフィックを転送しません。ポート 1 がダウンした場合、ポート 2 がアップ状態になってスイッチ C へのトラフィックの転送を開始します。ポート 1 が再びアップ状態になった場合、ポート 1 はスタンバイ モードになってトラフィックは転送しません。ポート 2 はトラフィックを転送し続けます。
また、トラフィックの転送に優先ポートを指定して、プリエンプト メカニズムを設定するように選択できます。たとえば、図 21-1 の例では、Flex Link ペアをプリエンプト モードに設定することができます。以下のシナリオでは、ポート 1 が再びアップ状態になり、ポート 1 がポート 2 の帯域幅より広い場合は、ポート 1 が 60 秒後にトラフィックの転送を開始します。ポート 2 がスタンバイ ポートになります。これは、 switchport backup interface preemption mode bandwidth および switchport backup interface preemption delay インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを入力することで実行できます。
図 21-1 Flex Link の設定例
プライマリ(転送)リンクがダウンした場合、トラップはネットワーク管理ステーションに通知します。スタンバイ リンクがダウンした場合、トラップはユーザに通知します。
Flex Link はレイヤ 2 ポートおよびポート チャネルだけでサポートされ、VLAN やレイヤ 3 ポートではサポートされません。
VLAN Flex Link ロード バランシングおよびサポート
VLAN Flex Link ロード バランシングにより、相互に排他的な VLAN のトラフィックを両方のポートで同時に転送するように Flex Link ペアを設定できます。たとえば、Flex Link ポートが 1 ~ 100 の VLAN に対して設定されている場合、最初の 50 の VLAN のトラフィックを 1 つのポートで転送し、残りの VLAN のトラフィックをもう一方のポートで転送できます。どちらかのポートで障害が発生した場合には、もう一方のアクティブ ポートがすべてのトラフィックを転送します。障害ポートが回復すると、優先する VLAN のトラフィックの転送を再開します。このように、Flex Link のペアは冗長性を提供するだけでなく、ロード バランシングの用途に使用できます。また、Flex Link VLAN ロード バランシングによってアップリンク スイッチが制約を受けることはありません。
図 21-2 VLAN Flex Links ロード バランシングの設定例
他の Flex Link ポートのマルチキャスト ルータ ポートとしての学習
一般的なマルチキャスト ネットワークでは、各 VLAN についてクエリアが用意されています。ネットワークのエッジに配置されているスイッチには、Flex Link ポートの受信クエリーのいずれかがあります。Flex Link ポートはまた、どのようなときでも常に転送を行っています。
クエリーを受信するポートは、スイッチでマルチキャスト ルータ ポートとして追加されます。マルチキャスト ルータ ポートは、スイッチにより学習されたすべてのマルチキャスト グループに属しています。変更後、他の Flex Link ポートがクエリーを受信します。そしてまた他の Flex Link ポートがマルチキャスト ルータ ポートとして学習されます。変更後、マルチキャスト トラフィックは他の Flex Link ポートに流れます。トラフィックのコンバージェンスをさらに高速にするために、いずれかの Flex Link ポートがマルチキャスト ルータ ポートとして学習されている場合、両方の Flex Link ポートがマルチキャスト ルータ ポートとして学習されます。両方の Flex Link ポートは常に、マルチキャスト グループに属しています。
通常の操作モードでは、両方の Flex Link ポートがグループに属していますが、バックアップ ポート上のすべてのトラフィックはブロックされています。そのため、バックアップ ポートをマルチキャスト ルータ ポートとして追加しても、通常のマルチキャスト データのフローには影響がありません。変更が発生すると、バックアップ ポートのブロックが解除され、トラフィックが流れるようになります。この場合、アップストリーム マルチキャスト データは、バックアップ ポートのブロックが解除され次第流れるようになります。
IGMP レポートの生成
変更後にバックアップ リンクが起動しても、アップストリームの新しい分散スイッチはマルチキャスト データの転送を開始しません。これは、アップストリーム ルータ上のポートはブロックされている Flex Link ポートに接続していますが、どのマルチキャスト グループにも属していないためです。バックアップ リンクがブロックされているため、マルチキャスト グループのレポートはダウンストリーム スイッチによって転送されませんでした。データは、ポートがマルチキャスト グループを学習するまでこのポートを流れません。これは、ポートがレポートを受信したあとにだけ行われます。
ホストは、一般クエリーを受信するときにレポートを送信します。通常のシナリオでは、一般的なクエリーは 60 秒以内に送信されます。バックアップ リンクが転送を開始すると、マルチキャスト データのコンバージェンスをさらに高速にするために、ダウンストリーム スイッチは、一般クエリーを待たずにこのポート上で学習されたすべてのグループに関するプロキシ レポートをすぐに送信します。
IGMP レポートの送信
マルチキャスト トラフィックのコンバージェンス時の損失を最低限に抑えるには、Flex Link アクティブ リンクがダウンする前に冗長データ パスを設定する必要があります。そのためには、Flex Link バックアップ リンクに IGMP レポート パケットだけが流れるようにします。これらの送信された IGMP レポート メッセージは、アップストリームの分散ルータによって処理されます。そのため、マルチキャスト データ トラフィックはバックアップ インターフェイスに転送されます。バックアップ インターフェイスに着信したすべてのトラフィックはアクセス スイッチの入力側で廃棄され、ホストが重複マルチキャスト トラフィックを受信することはありません。Flex Link アクティブ リンクに障害が発生すると、アクセス スイッチがバックアップ リンクからのトラフィックの受信を即時に開始します。この方式の唯一の欠点は、分散スイッチ間のリンクおよび分散スイッチとアクセス スイッチ間のバックアップ リンクの帯域幅を消費することです。この機能はデフォルトでディセーブルになっています。設定するには、switchport backup interface interface-id multicast fast-convergence コマンドを使用します。
変更時にこの機能をイネーブルにしていると、スイッチはバックアップ ポート(今後転送ポートとなる)のプロキシ レポートを生成しません。
設定例
次に、Flex Link がギガビット イーサネット 0/11 およびギガビット イーサネット 0/12 上に設定されている場合に、その他の Flex Link ポートをマルチキャスト ルータ ポートとしてデータを流す設定例および show interfaces switchport backup コマンドの出力例を示します。
Switch# configure terminal
Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z.
Switch(config)# interface gigabitehernet0/11
Switch(config-if)# switchport trunk encapsulation dot1q
Switch(config-if)# switchport mode trunk
Switch(config-if)# switchport backup interface gigabitehernet0/12
Switch(config)# interface gigabitehernet1/0/12
Switch(config-if)# switchport trunk encapsulation dot1q
Switch(config-if)# switchport mode trunk
Switch# show interfaces switchport backup detail
Switch Backup Interface Pairs:
Active Interface Backup Interface State
GigabitEthernet0/11 GigabitEthernet0/12 Active Up/Backup Standby
Multicast Fast Convergence : Off
Bandwidth : 100000 Kbit (Gi0/11), 100000 Kbit (Gi0/12)
Mac Address Move Update Vlan : auto
次の出力は、クエリーがギガビット イーサネット 0/11 を介してスイッチに到達する場合の、VLAN 1 および VLAN 401 のクエリアを示します。
Switch# show ip igmp snooping querier
Vlan IP Address IGMP Version Port
-------------------------------------------------------------
次に、VLAN 1 および 401 についての show ip igmp snooping mrouter コマンドの出力を示します。
Switch# show ip igmp snooping mrouter
1 Gi1/0/11(dynamic), Gi1/0/12(dynamic)
401 Gi1/0/11(dynamic), Gi1/0/12(dynamic)
同様に、両方の Flex Link ポートは学習されたグループに属しています。次の例では、ギガビット イーサネット 0/11 が VLAN 1 のレシーバー/ホストであり、2 つのマルチキャスト グループに関係します。
Switch# show ip igmp snooping groups
Vlan Group Type Version Port List
-----------------------------------------------------------------------
1 228.1.5.1 igmp v2 Gi1/0/11, Gi1/0/12, Gi2/0/11
1 228.1.5.2 igmp v2 Gi1/0/11, Gi1/0/12, Gi2/0/11
ホストが一般クエリーに応答するときに、スイッチはすべてのマルチキャスト ルータ ポートに関するこのレポートを転送します。この例では、ホストがレポートをグループ 228.1.5.1 に送信する場合、レポートはギガビット イーサネット 0/11 上でだけ転送されます。これは、バックアップ ポート ギガビット イーサネット 0/12 がブロックされているためです。アクティブ リンク ギガビット イーサネット 0/11 がダウンすると、バックアップ ポート ギガビット イーサネット 0/12 が転送を開始します。
このポートが転送を開始するとすぐに、スイッチはホストの代わりにプロキシ レポートをグループ 228.1.5.1 および 228.1.5.2 に送信します。アップストリーム ルータはグループを学習して、マルチキャスト データの転送を開始します。これが Flex Link のデフォルトの動作です。ユーザが switchport backup interface gigabitEthernet multicast fast-convergence コマンドを使用して高速コンバージェンスを設定すると、この動作は変わります。0/12 次に、この機能をオンにする例を示します。
Switch# configure terminal
Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z.
Switch(config)# interface gigabitethernet 0/11
Switch(config-if)# switchport backup interface gigabitethernet 0/12 multicast fast-convergence
Switch# show interfaces switchport backup detail
Switch Backup Interface Pairs:
Active Interface Backup Interface State
------------------------------------------------------------------------
GigabitEthernet0/11 GigabitEthernet0/12 Active Up/Backup Standby
Multicast Fast Convergence : On
Bandwidth : 100000 Kbit (Gi0/11), 100000 Kbit (Gi0/12)
Mac Address Move Update Vlan : auto
次の出力は、クエリーがギガビット イーサネット 0/11 を介してスイッチに到達する場合の、VLAN 1 および VLAN 401 のクエリアを示します。
Switch# show ip igmp snooping querier
Vlan IP Address IGMP Version Port
-------------------------------------------------------------
次に、VLAN 1 および 401 についての show ip igmp snooping mrouter コマンドの出力を示します。
Switch# show ip igmp snooping mrouter
1 Gi0/11(dynamic), Gi0/12(dynamic)
401 Gi10/11(dynamic), Gi0/12(dynamic)
同様に、両方の Flex Link ポートは学習されたグループに属しています。次の例では、ギガビット イーサネット 0/11 が VLAN 1 のレシーバー/ホストであり、2 つのマルチキャスト グループに関係します。
Switch# show ip igmp snooping groups
Vlan Group Type Version Port List
-----------------------------------------------------------------------
1 228.1.5.1 igmp v2 Gi1/0/11, Gi1/0/12, Gi2/0/11
1 228.1.5.2 igmp v2 Gi1/0/11, Gi1/0/12, Gi2/0/11
ホストが一般クエリーに応答するときはいつでも、スイッチはすべてのマルチキャスト ルータ ポートに関するこのレポートを転送します。コマンドライン ポートを使用してこの機能をオンにすると、レポートは、GigabitEthernet0/11 上のスイッチによって転送されるときにバックアップ ポート GigabitEthernet0/12 にも送信されます。アップストリーム ルータはグループを学習して、マルチキャスト データの転送を開始しますが、GigabitEthernet0/12 がブロックされているため、このマルチキャスト データは入力側で廃棄されます。アクティブ リンク GigabitEthernet0/11 がダウンすると、バックアップ ポート GigabitEthernet0/12 が転送を開始します。マルチキャスト データはアップストリーム ルータによってすでに転送されているため、プロキシ レポートを送信する必要はありません。レポートをバックアップ ポートに送信することで、冗長マルチキャスト パスが設定され、マルチキャスト トラフィック コンバージェンスにかかる時間が最小限で済みます。
MAC アドレス テーブル移動更新
MAC アドレス テーブル移動更新機能を使用すると、プライマリ(フォワーディング)リンクがダウンし、スタンバイ リンクがトラフィックの転送を開始するときに、スイッチで双方向の高速コンバージェンスを提供できます。
図 21-3 のスイッチ A はアクセス スイッチで、ポート 1 およびポート 2 は、Flex Link のペアを介してアップリンク スイッチ B および D に接続されています。ポート 1 はトラフィックを転送し、ポート 2 はバックアップ ステート状態です。PC からサーバへのトラフィック転送は、ポート 1 から ポート 3 へ流れます。PC の MAC アドレスはスイッチ C のポート 3 で学習されます。サーバから PC へのトラフィック転送は、ポート 3 からポート 1 へ流れます。
MAC アドレス テーブル移動更新機能が設定されていない状態でポート 1 がダウンすると、ポート 2 がトラフィック転送を開始します。短時間、スイッチ C はポート 3 を使用してサーバから PC へのトラフィックを転送しますが、PC はポート 1 がダウンしているため、そのトラフィックを受信しません。スイッチ C がポート 3 の PC の MAC アドレスを削除してポート 4 で再度学習すると、サーバから PC へのトラフィックを転送できます(ポート 2 を使用します)。
図 21-3 で、MAC アドレス テーブル移動更新機能を設定してスイッチ上でイネーブルにしている場合、ポート 1 がダウンしても、ポート 2 が PC からサーバへトラフィック転送を開始します。スイッチは MAC アドレス テーブル移動更新パケットをポート 2 から送信します。スイッチ C はこのパケットをポート 4 で受信すると、すぐに PC のポート 4 の MAC アドレスを学習するので、コンバージェンスを繰り返す時間を短縮できます。
アクセス スイッチ(スイッチ A)を設定して MAC アドレス テーブル移動更新メッセージを 送信 できます。また、アップリンク スイッチ B、C、D を設定して MAC アドレス テーブル移動更新メッセージを 受信 し、処理することもできます。スイッチ C は MAC アドレス テーブル移動更新メッセージをスイッチ A から受信すると、PC のポート 4 の MAC アドレスを学習します。次に、スイッチ C は PC のフォワーディング テーブルのエントリを含む MAC アドレス テーブルを更新します。
スイッチ A は、MAC アドレステーブルの更新を待機する必要はありません。スイッチがポート 1 で障害を検出し、新規転送ポートであるポート 2 からのサーバ トラフィックの転送を即座に開始します。この変更は 100 ミリ秒(ms)以内に発生します。PC はスイッチ A に直接接続され、接続ステータスは変更されません。スイッチ A は、MAC アドレステーブル内の PC エントリを更新する必要はありません。
図 21-3 MAC アドレス テーブル移動更新の設定例
Flex Link および MAC アドレス テーブル移動更新機能の設定
ここでは、次の情報について説明します。
• 「デフォルト設定」
• 「設定時の注意事項」
• 「Flex Link の設定」
• 「Flex Link の VLAN ロード バランシングの設定」
• 「MAC アドレス テーブル移動更新機能の設定」
デフォルト設定
Flex Link は設定されていません。また、バックアップ インターフェイスも定義されていません。
プリエンプト モードはオフです。
プリエンプト遅延は 35 秒です。
MAC アドレス テーブル移動更新機能はスイッチに設定されていません。
設定時の注意事項
Flex Link を設定するときには、次の注意事項に従ってください。
• バックアップ リンクは 16 まで設定できます。
• アクティブ リンクに対し、Flex Link のバックアップ リンクを 1 つだけ設定できます。このリンクはアクティブ インターフェイスとは異なるインターフェイスである必要があります。
• インターフェイスは Flex Link ペアの 1 つにだけ、所属できます。インターフェイスは 1 つのアクティブ リンクに対してだけ、バックアップ リンクになれます。アクティブ リンクは別の Flex Link ペアに所属できません。
• どちらのリンクも EtherChannel のポートにはなれません。ただし、ポート チャネルまたは物理インターフェイスのいずれかがアクティブ リンクである場合、ポート チャネル 2 つ(EtherChannel 論理インターフェイス)を Flex Link として、またポート チャネルと物理インターフェイスを Flex Link として設定できます。
• バックアップ リンクはアクティブ リンクと同じタイプ(ファスト イーサネット、ギガビット イーサネット、またはポート チャネル)にする必要はありません。ただし、スタンバイ リンクがトラフィックの転送を開始した場合に、ループや動作変更が起きないように、両方の Flex Link を類似の特性で設定する必要があります。
• Flex Link ポートでは、STP はディセーブルです。ポートの VLAN に STP が設定されていても、Flex Link ポートは STP に参加しません。STP がイネーブルでない場合、設定したトポロジでループが発生しないようにしてください。Flex Link 設定が削除されると、そのポートの STP は再びイネーブルになります。
Flex Link 機能による VLAN ロード バランシングを設定するときには、次の注意事項に従ってください。
• Flex Link VLAN ロード バランシングでは、バックアップ インターフェイス上で優先 VLAN を選択する必要があります。
• 同一 Flex Link ペアに対してプリエンプト メカニズムと VLAN ロード バランシングを設定することができません。
MAC アドレス テーブル移動更新機能を設定するときには、次の注意事項に従ってください。
• MAC アドレス テーブル移動更新メッセージを 送信 する場合、この機能をアクセス スイッチに設定してイネーブルにします。
• MAC アドレス テーブル移動更新メッセージを 受信 する場合、この機能をアップリンク スイッチに設定してイネーブルにします。
Flex Link の設定
Flex Link のペアを設定するには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
interface interface-id |
インターフェイスを指定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。インターフェイスは、物理レイヤ 2 インターフェイスにすることも、ポート チャネル(論理インターフェイス)にすることもできます。指定できるポートチャネルの範囲は 1 ~ 48 です。 |
ステップ 3 |
switchport backup interface interface-id |
物理レイヤ 2 インターフェイス(またはポート チャネル)を、インターフェイスを装備した Flex Link ペアの一部として設定します。1 つのリンクがトラフィックを転送している場合、残りのインターフェイスはスタンバイ モードです。 |
ステップ 4 |
end |
特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 5 |
show interfaces [ interface-id ] switchport backup |
設定を確認します。 |
ステップ 6 |
copy running-config startup config |
(任意)スイッチのスタートアップ コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
Flex Link バックアップ インターフェイスをディセーブルにするには、 no switchport backup interface interface-id インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。
次に、バックアップ インターフェイスを装備し、設定を確認するようにインターフェイスを設定する例を示します。
Switch# configure terminal
Switch(conf)# interface gigabitethernet0/1
Switch(conf-if)# switchport backup interface gigabitethernet0/2
Switch# show interfaces switchport backup
Switch Backup Interface Pairs:
Active Interface Backup Interface State
------------------------------------------------------------------------
GigabitEthernet0/1 GigabitEthernet0/2 Active Standby/Backup Up
Vlans Preferred on Active Interface: 1-3,5-4094
Vlans Preferred on Backup Interface: 4
Flex Link のペアのプリエンプト方式を設定するには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
interface interface-id |
インターフェイスを指定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。インターフェイスは、物理レイヤ 2 インターフェイスにすることも、ポート チャネル(論理インターフェイス)にすることもできます。指定できるポートチャネルの範囲は 1 ~ 48 です。 |
ステップ 3 |
switchport backup interface interface-id |
物理レイヤ 2 インターフェイス(またはポート チャネル)を、インターフェイスを装備した Flex Link ペアの一部として設定します。1 つのリンクがトラフィックを転送している場合、残りのインターフェイスはスタンバイ モードです。 |
ステップ 4 |
switchport backup interface interface-id preemption mode [ forced | bandwidth | off ] |
Flex Link インターフェイス ペアのプリエンプト メカニズムおよび遅延を設定します。次のようにプリエンプトを設定できます。 • forced:アクティブ インターフェイスが常にバックアップをプリエンプトに設定します。 • bandwidth:広帯域幅を持つインターフェイスが常にアクティブ インターフェイスとして動作します。 • off:アクティブからバックアップへのプリエンプトは発生しません。 |
ステップ 5 |
switchport backup interface interface-id preemption delay delay-time |
ポートが別のポートのプリエンプトを実行するまでの遅延時間を設定します。 (注) 遅延時間の設定は、forced および bandwidth モードでだけ機能します。 |
ステップ 6 |
end |
特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 7 |
show interfaces [ interface-id ] switchport backup |
設定を確認します。 |
ステップ 8 |
copy running-config startup config |
(任意)スイッチのスタートアップ コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
プリエンプト方式を削除するには、 no switchport backup interface interface-id preemption mode インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。遅延時間をデフォルトにリセットするには、 no switchport backup interface interface-id preemption delay インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。
次に、バックアップ インターフェイス ペアに対して forced としてプリエンプト モードを設定し、その設定を確認する例を示します。
Switch# configure terminal
Switch(conf)# interface gigabitethernet0/1
Switch(conf-if)#switchport backup interface gigabitethernet0/2 preemption mode forced
Switch(conf-if)#switchport backup interface gigabitethernet0/2 preemption delay 50
Switch# show interfaces switchport backup detail
Active Interface Backup Interface State
------------------------------------------------------------------------
GigabitEthernet0/1 GigabitEthernet0/2 Active Up/Backup Standby
Interface Pair : Gi0/1, Gi0/2
Preemption Delay : 50 seconds
Bandwidth : 100000 Kbit (Gi0/1), 100000 Kbit (Gi0/2)
Mac Address Move Update Vlan : auto
Flex Link の VLAN ロード バランシングの設定
Flex Link の VLAN ロード バランシングを設定するには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
interface interface-id |
インターフェイスを指定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。インターフェイスは、物理レイヤ 2 インターフェイスにすることも、ポート チャネル(論理インターフェイス)にすることもできます。指定できるポートチャネルの範囲は 1 ~ 48 です。 |
ステップ 3 |
switchport backup interface interface-id prefer vlan vlan-id |
物理レイヤ 2 インターフェイス(またはポート チャネル)を、インターフェイスを装備した Flex Link ペアの一部として設定し、インターフェイス上に割り当てられた VLAN を指定します。指定できる VLAN ID 範囲は 1 ~ 4094 です。 |
ステップ 4 |
end |
特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 5 |
show interfaces [ interface-id ] switchport backup |
設定を確認します。 |
ステップ 6 |
copy running-config startup config |
(任意)スイッチのスタートアップ コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
VLAN ロード バランシング機能をディセーブルにするには、 no switchport backup interface interface-id prefer vlan vlan-range インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。
次に、スイッチに VLAN 1 ~ 50、60、および 100 ~ 120 を設定する例を示します。
Switch(config)#interface gigabitethernet 0/6
Switch(config-if)#switchport backup interface gigabitethernet 0/8 prefer vlan 60,100-120
両方のインターフェイスがアップすると、Gi0/8 は VLAN 60 および 100 ~ 120 のトラフィックを転送し、Gi0/6 は VLAN 1 ~ 50 のトラフィックを転送します。
Switch#show interfaces switchport backup
Switch Backup Interface Pairs:
Active Interface Backup Interface State
------------------------------------------------------------------------
GigabitEthernet0/6 GigabitEthernet0/8 Active Up/Backup Up
Vlans Preferred on Active Interface: 1-50
Vlans Preferred on Backup Interface: 60, 100-120
Flex Link インターフェイスがダウン(LINK_DOWN)すると、このインターフェイスの優先 VLAN は Flex Link ペアの相手側のインターフェイスに移されます。この例では、インターフェイス Gi0/6 がダウンすると、Gi0/8 が Flex Link ペアのすべての VLAN を保持します。
Switch#show interfaces switchport backup
Switch Backup Interface Pairs:
Active Interface Backup Interface State
------------------------------------------------------------------------
GigabitEthernet0/6 GigabitEthernet0/8 Active Down/Backup Up
Vlans Preferred on Active Interface: 1-50
Vlans Preferred on Backup Interface: 60, 100-120
Flex Link インターフェイスがアップになると、このインターフェイスの優先 VLAN は、相手側のインターフェイス上ではブロックされ、アップしたインターフェイス上でフォワーディング ステートに移行します。この例では、インターフェイス Gi0/6 がアップになると、このインターフェイスの優先 VLAN は、相手側のインターフェイス Gi0/8 ではブロックされ、Gi0/6 でフォワーディングされます。
Switch#show interfaces switchport backup
Switch Backup Interface Pairs:
Active Interface Backup Interface State
------------------------------------------------------------------------
GigabitEthernet0/6 GigabitEthernet0/8 Active Up/Backup Up
Vlans Preferred on Active Interface: 1-50
Vlans Preferred on Backup Interface: 60, 100-120
Switch#show interfaces switchport backup detail
Switch Backup Interface Pairs:
Active Interface Backup Interface State
------------------------------------------------------------------------
FastEthernet0/3 FastEthernet0/4 Active Down/Backup Up
Vlans Preferred on Active Interface: 1-2,5-4094
Vlans Preferred on Backup Interface: 3-4
Bandwidth : 10000 Kbit (Fa0/3), 100000 Kbit (Fa0/4)
Mac Address Move Update Vlan : auto
MAC アドレス テーブル移動更新機能の設定
ここでは、次の情報について説明します。
• スイッチを設定して、MAC アドレス テーブル移動更新メッセージを送信する。
• スイッチを設定して、MAC アドレス テーブル移動更新メッセージを受信する。
MAC アドレス テーブル移動更新メッセージを送信するようにアクセス スイッチを設定するには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
interface interface-id |
インターフェイスを指定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。インターフェイスは、物理レイヤ 2 インターフェイスにすることも、ポート チャネル(論理インターフェイス)にすることもできます。指定できるポートチャネルの範囲は 1 ~ 48 です。 |
ステップ 3 |
switchport backup interface interface-id または switchport backup interface interface-id mmu primary vlan vlan-id |
物理レイヤ 2 インターフェイス(またはポート チャネル)を、インターフェイスを装備した Flex Link ペアの一部として設定します。MAC アドレス テーブル移動更新の VLAN がインターフェイスで一番小さい VLAN ID です。 物理レイヤ 2 インターフェイス(またはポート チャネル)を設定し、MAC アドレステーブル移動更新の送信に使用される、インターフェイス上の VLAN ID を指定します。 1 つのリンクがトラフィックを転送している場合、残りのインターフェイスはスタンバイ モードです。 |
ステップ 4 |
end |
グローバル コンフィギュレーション モードに戻ります。 |
ステップ 5 |
mac address-table move update transmit |
アクセス スイッチをイネーブルにして、ネットワーク内の他のスイッチに MAC アドレス テーブル移動更新メッセージを送信します(プライマリ リンクがダウンし、スイッチがスタンバイ リンクを使用してトラフィックの転送を開始する場合)。 |
ステップ 6 |
end |
特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 7 |
show mac address-table move update |
設定を確認します。 |
ステップ 8 |
copy running-config startup config |
(任意)スイッチのスタートアップ コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
MAC アドレス テーブル移動更新機能をディセーブルにするには、 no mac address-table move update transmit インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。MAC アドレス テーブル移動更新情報を表示するには、 show mac address-table move update 特権 EXEC コマンドを使用します。
次に、MAC アドレス テーブル移動更新メッセージを送信するように、アクセス スイッチを設定する例を示します。
Switch(conf)# interface gigabitethernet0/1
Switch(conf-if)# switchport backup interface gigabitethernet0/2 mmu primary vlan 2
Switch(conf)# mac address-table move update transmit
次に、設定を確認する例を示します。
Switch# show mac-address-table move update
Switch-ID : 010b.4630.1780
Dst mac-address : 0180.c200.0010
Vlans/Macs supported : 1023/8320
Default/Current settings: Rcv Off/On, Xmt Off/On
Max packets per min : Rcv 40, Xmt 60
Rcv conforming packet count : 5
Rcv invalid packet count : 0
Rcv packet count this min : 0
Rcv threshold exceed count : 0
Rcv last sequence# this min : 0
Rcv last src-mac-address : 000b.462d.c502
Rcv last switch-ID : 0403.fd6a.8700
Xmt packet count this min : 0
Xmt threshold exceed count : 0
Xmt pak buf unavail cnt : 0
Xmt last interface : None
MAC アドレス テーブル移動更新メッセージを受信して処理を実行するようにスイッチを設定するには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。
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ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
mac address-table move update receive |
スイッチをイネーブルにして MAC アドレス テーブル移動更新メッセージを受信し、その処理を実行します。 |
ステップ 3 |
end |
特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 4 |
show mac address-table move update |
設定を確認します。 |
ステップ 5 |
copy running-config startup config |
(任意)スイッチのスタートアップ コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
MAC アドレス テーブル移動更新機能をディセーブルにするには、 no mac address-table move update receive コンフィギュレーション コマンドを使用します。MAC アドレス テーブル移動更新情報を表示するには、 show mac address-table move update 特権 EXEC コマンドを使用します。
次に、MAC アドレス テーブル移動更新メッセージを受信して、その処理を実行できるようにスイッチを設定する例を示します。
Switch# configure terminal
Switch(conf)# mac address-table move update receive