スイッチ スタックの概要
スイッチ スタックは、StackWise Plus または StackWise ポートを介して接続された最大 9 台のスイッチから構成されます。1 つのスタックに 1 種類のスイッチのみを接続することも、Catalyst 3750-X、Catalyst 3750-E、Catalyst 3750 スイッチを組み合わせて接続することも可能です。Catalyst 3750-X および Catalyst 3750-E スタック メンバは StackWise Plus ポートを備え、Catalyst 3750 メンバは StackWise ポートを備えています。スタックは、次のいずれかの構成にできます。
• 同種スタック:Catalyst 3750-E スイッチだけをスタック メンバにした Catalyst 3750-E 専用スタック。または、Catalyst 3750-X スイッチだけをスタック メンバにした Catalyst 3750-X 専用スタック。
• 混合スタック
(注) 混合スタックは、LAN ベース フィーチャ セットが稼働しているスイッチではサポートされません。
– 混合ハードウェア スタック :Catalyst 3750-X スイッチ、Catalyst 3750-E スイッチ、および 3750 スイッチがスタック メンバとして混在するスタック。
例として、IP サービス機能をサポートした、Catalyst 3750-X および 3750 スイッチで構成されたスタックがあります。
– 混合ソフトウェア スタック :スタック メンバとして、Catalyst 3750-X スイッチのみ、Catalyst 3750-E スイッチのみ、または Catalyst 3750 スイッチのみで構成され、各種機能をサポートします。
例として、一部のメンバーでは IP ベース フィーチャ セットが稼働し、別の一部のメンバーでは IP サービス フィーチャ セットが稼働し、残りのメンバーでは拡張 IP サービス フィーチャ セットが稼働しているような Catalyst 3750-X 専用スタックがあります。
– 混合ハードウェア/ソフトウェア スタック :各種機能をサポートしている Catalyst 3750-X、Catalyst 3750-E、および 3750 スイッチをスタック メンバとして構成されています。
例として、IP サービス フィーチャ セットが稼働する Catalyst 3750-X メンバと、IP サービス ソフトウェア イメージが稼働する Catalyst 3750 メンバから構成されたスタックがあります。
Catalyst 3750 スイッチの詳細については、『 Catalyst 3750 Switch Software Configuration Guide 』の「Managing Switch Stacks」の章を参照してください。
スイッチのうち 1 台がスタックの動作を制御します。このスイッチを スタック マスター と呼びます。スタック内のスタック マスターと他のスイッチは、すべて スタック メンバ です。Catalyst 3750-X スタック メンバは、1 つの統合システムとして連携するために Cisco StackWise Plus テクノロジーを使用します。レイヤ 2 およびレイヤ 3 プロトコルは、ネットワークに対して、スイッチ スタック全体を単一のエンティティとして提供します。
(注) LAN ベース フィーチャ セットが稼働しているスイッチ スタックでは、レイヤ 3 機能はサポートされません。
Catalyst 3750-X、Catalyst 3750-E、Catalyst 3750 スイッチの混合スタックでは、Catalyst 3750-X スイッチをマスターにし、すべてのスタック メンバで、Cisco IOS Release 12.2(53) SE2 以降を実行することを推奨します。Catalyst 3750 イメージは、スイッチ管理を簡素化するため、Catalyst 3750-X および Catalyst 3750-E スイッチにあります。
スタックをアップグレードするには、 archive download-sw 特権 EXEC コマンドを使用してマスターにイメージをダウンロードします。たとえば、 archive download-sw /directory tftp://10.1.1.10/ c3750-ipservicesk9-tar.122-55.SE1.tar c3750e-universalk9-tar.122-55.SE1.tar コマンドを使用してディレクトリを指定した後、メンバにダウンロードする tar ファイルのリストを指定します。
• c3750-ipservicesk9-tar.122-55.SE1.tar は、Catalyst 3750 メンバ用です。
• c3750e-universalk9-tar.122-55.SE1.tar は、Catalyst 3750-X および Catalyst 3750-E メンバ用です。
フラッシュ メモリ内のファイル リストを表示できます。
Switch# dir flash: c3750e-universalk9-tar.122-55.SE1
Directory of flash:/c3750e-universalk9-tar.122-55.SE1/
5 -rwx 14313645 Mar 1 1993 00:13:55 +00:00 C3750e-universalk9-tar.122-55.SE1.tar
6 drwx 5632 Mar 1 1993 00:15:22 +00:00 html
443 -rwx 444 Mar 1 1993 00:15:58 +00:00 info
444 -rwx 14643200 Mar 1 1993 00:04:32 +00:00 c3750-ipservicesk9-tar.122-55.SE1.tar
スタック マスターは、スタック全体を管理するための単一拠点となります。スタック マスターから、次のものを設定します。
• すべてのスタック メンバに適用されるシステム レベル(グローバル)の機能
• スタック メンバごとのインターフェイス レベルの機能
スイッチ スタックは、 ブリッジ ID によって、または、レイヤ 3 デバイスとして動作している場合はルータ MAC アドレスによって、ネットワーク内で識別されます。ブリッジ ID とルータ MAC アドレスは、スタック マスターの MAC アドレスによって決まります。各スタック メンバは、専用の スタック メンバ番号 によって識別されます。
スタック メンバはすべて、スタック マスターになる条件を満たしています。スタック マスターが使用不能になると、残りのスタック メンバの中から新しいスタック マスターが選択されます。最高の スタック メンバ プライオリティ値 を持つスイッチが、新しいスタック マスターになります。
スタック マスターでサポートされているシステム レベルの機能は、スイッチ スタック全体でサポートされます。IP ベース フィーチャ セットまたは IP サービス フィーチャ セットと、暗号化(暗号化をサポートする)ユニバーサル ソフトウェア イメージとが稼働しているスイッチがスタックに存在する場合は、そのスイッチをスタック マスターにすることを推奨します。IP ベース フィーチャ セットまたは IP サービスフィーチャ セットと、非暗号化ソフトウェア イメージとが稼働しているスタック マスターでは、暗号化機能は使用できません。
(注) 混合スタックでは、Cisco IOS Release 12.2(53)SE 以前のリリースが動作する Catalyst 3750 または Catalyst 3750-E で、非暗号化イメージを実行することができます。Catalyst 3750-X スイッチ、および 12.2(53)SE より後の Cisco IOS リリースが動作する Catalyst 3750 および 3750-E スイッチでは、暗号化ソフトウェア イメージのみ実行可能です。
スタック マスターには、スイッチ スタックの保存済みの実行コンフィギュレーション ファイルが格納されています。コンフィギュレーション ファイルには、スイッチ スタックのシステム レベルの設定と、スタック メンバごとのインターフェイス レベルの設定が含まれます。各スタック メンバは、バックアップ目的で、これらのファイルの現在のコピーを保持します。
スイッチ スタックは、単一の IP アドレスを使用して管理します。IP アドレスは、システムレベルの設定で、スタック マスターまたは他のすべてのスタック メンバで固有ではありません。スタックからスタック マスターや他のスタック メンバを削除しても、同じ IP アドレスを使用してスタックを管理できます。
次の方法を用いて、スイッチ スタックを管理できます。
• Network Assistant(Cisco.com から入手できます)
• スタック メンバのコンソール ポートまたはスタック メンバのイーサネット管理ポートにシリアル接続したうえでの CLI(コマンドライン インターフェイス)
• Simple Network Management Protocol(SNMP; 簡易ネットワーク管理プロトコル)を介したネットワーク管理アプリケーション
SNMP を使用して、サポートされる MIB によって定義されるスイッチ スタック全体のネットワーク機能を管理します。スイッチは、スタックのメンバーシップや選択などのスタック構成固有の機能を管理するための MIB をサポートしません。
• CiscoWorks ネットワーク管理ソフトウェア
スイッチ スタックを管理するには、次のことを理解している必要があります。
• スイッチ スタックの形成に関する概念:
– 「スイッチ スタックのメンバーシップ」
– 「スタック マスターの選択と再選択」
• スイッチ スタックとスタック メンバの設定方法に関する概念:
– 「スイッチ スタック ブリッジ ID とルータ MAC アドレス」
– 「スタック メンバ番号」
– 「スタック メンバのプライオリティ値」
– 「スイッチ スタックのオフライン設定」
– 「スイッチ スタックのハードウェア互換性と SDM 不一致モード」
– 「スイッチ スタックのソフトウェア互換性に関する推奨事項」
– 「スタック プロトコル バージョンの互換性」
– 「スイッチ間のメジャー バージョン番号の非互換性」
– 「スイッチ間のマイナー バージョン番号の非互換性」
– 「互換性のないソフトウェアおよびスタック メンバ イメージのアップグレード」
– 「スイッチ スタックのコンフィギュレーション ファイル」
– 「スイッチ スタックのシステム全体の設定に関するその他の考慮事項」
– 「スイッチ スタックの管理接続」
– 「スイッチ スタックの設定のシナリオ」
– 「ローリング スタック アップグレード」
(注) スイッチ スタックはスイッチ クラスタとは異なります。スイッチ クラスタは、10/100/1000 ポートなどの LAN ポートを介して接続されたスイッチのセットです。スイッチ スタックとスイッチ クラスタの違いの詳細については、Cisco.com の『Getting Started with Cisco Network Assistant』の「Planning and Creating Clusters」の章を参照してください。
スイッチ スタックのメンバーシップ
スイッチ スタックは、StackWise Plus ポートを使用して接続された最大 9 台のスタック メンバから構成されます。スイッチ スタックには、常に 1 台のスタック マスターが存在します。
スタンドアロン スイッチは、スタック マスターとしても動作するスタック メンバを 1 つだけ持つスイッチ スタックです。スタンドアロン スイッチを別のスイッチと接続して(図 5-1を参照)、2 つのスタック メンバ(一方がスタック マスター)から構成されたスイッチ スタックを構築できます。スタンドアロン スイッチを既存のスイッチ スタックに接続して(図 5-2を参照)、スタック メンバーシップを増やすこともできます。
スタック メンバを同一のモデルと交換した場合、新たなスイッチは交換されたスイッチと同じメンバ番号を使用すると、交換されたスイッチとまったく同じ設定で機能します。スイッチ スタックをプロビジョニングする利点については、「スイッチ スタックのオフライン設定」を参照してください。障害が発生したスイッチの交換については、ハードウェア インストレーション ガイドの「Troubleshooting」の章を参照してください。
スタック マスターを削除したり、電源の入ったスタンドアロン スイッチまたはスイッチ スタックを追加したりしないかぎり、メンバーシップの変更中も、スイッチ スタックの動作は間断なく継続されます。
(注) スイッチ スタックに追加または削除するスイッチの電源がオフであることを確認します。
スタック メンバを追加または削除したあとで、スイッチ スタックがすべての帯域幅(64 Gb/s)で動作していることを確認します。スタック モード LED が点灯するまで、スタック メンバの Mode ボタンを押します。スタック内のすべてのスイッチでは、右側の最後の 2 つのポート LED がグリーンに点灯します。スイッチ モデルに応じて、右側の最後の 2 つのポートは 10 ギガビット イーサネット ポートまたは Small Form-Factor Pluggable モジュール ポート(10/100/1000 ポート)になります。スイッチの一方または両方の LED がグリーンでない場合、スタックは全帯域幅で稼働していません。
• 電源が入っているスイッチを追加すると(マージ)、マージ中の各スイッチ スタックのスタック マスターの中から 1 台のスタック マスターが選択されます。再選択されたスタック マスターは、マスターの役割と設定を保持し、スタック メンバもメンバの役割と設定を保持します。それ以前のスタック マスターを含め残りのすべてのスイッチは、リロードされ、スタック メンバとしてスイッチ スタックに参加します。それらは、スタック メンバ番号を使用可能な最小の番号に変更し、再選択されたスタック マスターのスタック設定を使用します。
• 電源がオンの状態のスタック メンバを取り外すと、スイッチ スタックがそれぞれ同じ設定を持つ複数のスイッチ スタックに分割(パーティション化)されます。そのため、ネットワーク内で IP アドレス設定が競合してしまうことがあります。スイッチ スタックを分離されたままにしておきたい場合は、新しく作成されたスイッチ スタックの IP アドレス(複数の場合あり)を変更してください。スイッチ スタックを分割しない場合は、次の手順を実行します。
a. 新規に作成されたスイッチ スタックのスイッチの電源をオフにします。
b. 新しいスイッチ スタックを、StackWise Plus ポートを介して元のスイッチ スタックに再度接続します。
c. スイッチの電源を入れます。
スイッチ スタックの配線方法および電源の投入方法の詳細については、ハードウェア インストレーション ガイドの「Switch Installation」の章を参照してください。
図 5-1 2 台のスタンドアロン スイッチからのスイッチ スタックの構築
図 5-2 スタンドアロン スイッチのスイッチ スタックへの追加
スタック マスターの選択と再選択
スタック マスターは、次にリストした順番で、いずれかのファクタに基づいて選択または再選択されます。
1. 現在スタック マスターであるスイッチ
2. 最高のスタック メンバ プライオリティ値を持つスイッチ
(注) スタック マスターにしたいスイッチには、最高のプライオリティ値を割り当てることを推奨します。これによって、再選択の実行時には、必ずそのスイッチがスタック マスターとして選択されます。
3. デフォルトのインターフェイス レベルの設定を使用していないスイッチ
4. 高いプライオリティ フィーチャ セットおよびソフトウェア イメージを組み合わせたスイッチ。この組み合わせは、高いプライオリティから低いプライオリティへ順番にリストされています。
(注) 非暗号化イメージは、Cisco IOS Release 12.2(53)SE 以前を実行している Catalyst 3750-E または 3750 スイッチが含まれる混合スタックにだけ適用されます。Catalyst 3750-X スイッチおよびこれ以降のリリースを実行している Catalyst 3750-E または 3750 スイッチは、暗号化イメージだけをサポートします。
– IP サービス フィーチャ セットおよび暗号化ソフトウェアイメージ
– IP サービス フィーチャ セットおよび非暗号化ソフトウェアイメージ
– IP ベース フィーチャ セットおよび暗号化ソフトウェアイメージ
– IP ベース フィーチャ セットおよび非暗号化ソフトウェア イメージ
(注) LAN ベース フィーチャ セットが稼働しているスイッチ スタックでは、スタックのすべてのスイッチで LAN ベース フィーチャ セットが稼働している必要があります。
スタック マスター スイッチ選定においては、フィーチャ セットごとの起動時刻の違いによって、スタック マスターが決められます。起動時刻が近い方のスイッチが、スタック マスターになります。
たとえば、IP サービス フィーチャ セットが稼働しているスイッチが、IP ベース フィーチャ セットが稼働しているスイッチより高いプライオリティを持っている場合でも、起動に 10 秒長くかかった場合は、IP ベース フィーチャ セットが稼働しているスイッチの方がスタック マスターになります。この問題を回避するには、IP ベース フィーチャ セットを稼働させるスイッチをアップグレードして、他方のスイッチと同じフィーチャ セットとソフトウェア イメージにするか、またはマスター スイッチを手動で起動し、最低 8 秒間待機してから、IP ベース フィーチャ セットを搭載した新しいメンバ スイッチを起動します。
5. MAC アドレスが最小のスイッチ
スタック マスターは、次のイベントのいずれかが発生しないかぎり、役割を維持します。
• スイッチ スタックがリセットされた。 *
• スタック マスターがスイッチ スタックから削除された。
• スタック マスターがリセットされたか、電源が切れた。
• スタック マスターに障害が発生した。
• 電源の入ったスタンドアロン スイッチまたはスイッチ スタックが追加され、スイッチ スタック メンバーシップが増えた。 *
アスタリスク(*)が付いているイベントでは、示されている要素に基づいて現在のスタック マスターが再選択される 場合 があります。
スイッチ スタック全体に電源を入れるかリセットすると、一部のスタック メンバがスタック マスター選択に参加 しない場合があります 。同じ 120 秒の間に電源が投入されたスタック メンバは、スタック マスターの選択に参加し、スタック マスターとして選択される可能性があります。120 秒間経過後に電源が投入されたスタック メンバは、この初回の選択には参加しないで、スタック メンバになります。再選択には、すべてのスタック メンバが参加します。スタック マスターの選択に影響を与える電源投入に関する考慮事項については、ハードウェア インストレーション ガイドの「Switch Installation」の章を参照してください。
数秒後、新たなスタック マスターが使用可能になります。その間、スイッチ スタックはメモリ内の転送テーブルを使用してネットワークの中断を最小限に抑えます。新たなスタック マスターが選択され、リセットされている間、他の使用可能なスタック メンバの物理インターフェイスには何も影響はありません。
新たなスタック マスターが選択され、以前のスタック マスターが使用可能になっても、以前のスタック マスターはスタック マスターとしての役割は再開 しません 。
ハードウェア インストレーション ガイドに記載されているとおり、スイッチの Master LED を使用して、そのスイッチがスタック マスターかどうかを確認できます。
スイッチ スタック ブリッジ ID とルータ MAC アドレス
ネットワーク内のスイッチ スタックは、ブリッジ ID とルータ MAC アドレスによって識別されます。スイッチ スタックが初期化すると、スタック マスターの MAC アドレスによってブリッジ ID とルータ MAC アドレスが決定します。
スタック マスターが変わると、新たなスタック マスターの MAC アドレスによって、新たなブリッジ ID とルータ MAC アドレスが決定します。ただし、固定 MAC アドレス機能がイネーブルの場合、スタック MAC アドレスは約 4 分で変更されます。この期間、前のスタック マスターがスタックに復帰すると、スイッチがスタック メンバであってスタック マスターではない場合でも、スタックはその MAC アドレスをスタック MAC アドレスとして使用し続けます。前のスタック マスターがこの期間にスタックに復帰しない場合、スイッチ スタックは新しいスタック マスターの MAC アドレスをスタック MAC アドレスとして取得します。詳細については、「永続的 MAC アドレスのイネーブル化」を参照してください。
スタック メンバ番号
スタック メンバ番号(1 ~ 9)は、スイッチ スタック内の各メンバを識別します。また、メンバ番号によって、スタック メンバが使用するインターフェイス レベルの設定が決定します。 show switch ユーザ EXEC コマンドを使用すると、スタック メンバ番号を表示できます。
新しい(つまり、スイッチ スタックに参加していない、またはスタック メンバ番号が手動で割り当てられていない)スイッチには、デフォルト スタック メンバ番号(1)が割り当てられた状態で出荷されます。このスイッチがスイッチ スタックに参加すると、デフォルト スタック メンバ番号は、スタック内で使用可能な、一番小さいメンバ番号に変更されます。
同じスイッチ スタック内のスタック メンバは、同じスタック メンバ番号を持つことはできません。スタンドアロン スイッチを含む各スタック メンバは、番号を手動で変更するか、番号がスタック内の別のメンバによってすでに使用されていないかぎり、自分のメンバ番号を保持します。
• switch current-stack-member-number renumber new-stack-member-number グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用して手動でスタック メンバ番号を変更した場合は、その番号がスタック内の他のメンバに未割り当てなときにだけ、そのスタック メンバのリセット後(または、 reload slot stack-member-number 特権 EXEC コマンドの使用後)に、新たな番号が有効となります。詳細については、「スタック メンバ番号の割り当て」を参照してください。 スタック メンバ番号を変更するもう 1 つの方法は、「環境変数の制御」に記載されているとおりに、SWITCH_NUMBER 環境変数を変更することです。
番号がスタック内の別のメンバによって使用されている場合、スイッチはスタック内で使用可能な最小の番号を選択します。
手動でスタック メンバの番号を変更し、新たなメンバ番号にインターフェイス レベルの設定が関連付けられていない場合は、スタック メンバをデフォルト設定にリセットします。スタック メンバ番号と設定の詳細については、「スイッチ スタックのコンフィギュレーション ファイル」を参照してください。
プロビジョニングされたスイッチでは、 switch current-stack-member-number renumber new-stack-member-number グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用できません。使用すると、コマンドは拒否されます。
• スタック メンバを別のスイッチ スタックへ移動した場合、スタック メンバは、自分の番号がスタック内の別のメンバによって使用されていないときにだけ、その番号を保持します。この番号が使用されている場合、スイッチはスタック内で使用可能な最小の番号を選択します。
• スイッチ スタックをマージした場合、新たなスタック マスターのスイッチ スタックに参加したスイッチは、スタック内で使用可能な最小の番号を選択します。スイッチ スタックのマージの詳細については、「スイッチ スタックのメンバーシップ」を参照してください。
ハードウェア インストレーション ガイドに記載されているとおり、Stack モードのスイッチ ポート LED を使用して、各スタック メンバのスタック メンバ番号を目で見て確認できます。
スタック メンバのプライオリティ値
スタック メンバのプライオリティ値が高いほど、スタック マスターとして選択され、自分のスタック メンバ番号を保持できる可能性が高くなります。プライオリティ値は 1 ~ 15 の範囲で指定できます。デフォルトのプライオリティ値は 1 です。 show switch ユーザ EXEC コマンドを使用すると、スタック メンバのプライオリティ値を表示できます。
(注) スタック マスターにしたいスイッチには、最高のプライオリティ値を割り当てることを推奨します。これによって、そのスイッチがスタック マスターとして必ず選択されます。
switch stack-member-number priority new-p riority-value グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用して、スタック メンバのプライオリティ値を変更できます。詳細については、「スタック メンバ プライオリティ値の設定」を参照してください。 メンバ プライオリティ値を変更するもう 1 つの方法は、「環境変数の制御」に記載されているとおりに、SWITCH_PRIORITY 環境変数を変更することです。
新しいプライオリティ値はすぐに有効となりますが、現在のスタック マスターには影響しません。新たなプライオリティ値は、現在のスタック マスターまたはスイッチ スタックのリセット時に、どのスタック メンバが新たなスタック マスターとして選択されるかを決定する場合に影響を及ぼします。
スイッチ スタックのオフライン設定
オフライン設定機能を使用すると、新しいスイッチがスイッチ スタックに参加する前に、スイッチに 割り当て (設定を割り当て)できます。現在、スタックに属していないスイッチに関連したスタック メンバ番号、スイッチ タイプ、インターフェイスを事前に設定できます。スイッチ スタックで作成した設定を 割り当てられた設定 と呼びます。スイッチ スタックに追加され、この設定を受信するスイッチを 割り当てられたスイッチ と呼びます。
switch stack-member-number provision type グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用して、割り当てられた設定を手動で作成します。スイッチ スタックにスイッチを追加する場合に、割り当てられた設定が存在しないときは、割り当てられる設定が自動的に作成されます。
割り当てられたスイッチと関連する(たとえば、VLAN の一部として)インターフェイスを設定する場合、スイッチ スタックは設定を受け入れ、その情報が実行コンフィギュレーションに表示されます。割り当てられたスイッチと関連するインターフェイスがアクティブでない場合、インターフェイスは管理上のシャットダウンをされたかのように動作し、 no shutdown インターフェイス コンフィギュレーション コマンドはインターフェイスをアクティブ サービスに戻しません。割り当てられたスイッチと関連するインターフェイスは特定機能のディスプレイに表示されません。たとえば、インターフェイスは show vlan ユーザ EXEC コマンドの出力に表示されません。
スイッチ スタックは、割り当てられたスイッチがスタックに属するかどうかに関係なく、実行コンフィギュレーションに割り当てられた設定を保持します。 copy running-config startup-config 特権 EXEC コマンドを使用すると、スタートアップ コンフィギュレーション ファイルに割り当てられた設定を保存できます。スタートアップ コンフィギュレーション ファイルでは、割り当てられたスイッチがスタックに属するかどうかに関係なく、スイッチ スタックは保存した情報をリロードして使用できます。
割り当てられたスイッチのスイッチ スタックへの追加による影響
割り当てられたスイッチをスイッチ スタックに追加すると、スタックは、割り当てられた設定かデフォルト設定のどちらかを適用します。 表 5-1 に、スイッチ スタックがプロビジョニングされた設定とプロビジョニングされたスイッチを比較するときに発生するイベントを示します。
表 5-1 プロビジョニングされた設定とプロビジョニングされたスイッチの比較結果
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スタック メンバ番号およびスイッチ タイプが一致する |
1. プロビジョニングされたスイッチのスタック メンバ番号と、スタックのプロビジョニングされた設定のスタック メンバ番号が一致する場合、かつ 2. プロビジョニングされたスイッチのスイッチ タイプと、スタックのプロビジョニングされた設定のスイッチ タイプが一致する場合 |
スイッチ スタックは、プロビジョニングされた設定をプロビジョニングされたスイッチに適用し、スタックに追加します。 |
スタック メンバ番号は一致するが、スイッチ タイプが一致しない |
1. プロビジョニングされたスイッチのスタック メンバ番号と、スタックのプロビジョニングされた設定のスタック メンバ番号が一致する場合、ただし 2. プロビジョニングされたスイッチのスイッチ タイプと、スタックのプロビジョニングされた設定のスイッチ タイプが一致しない場合 |
スイッチ スタックは、デフォルト設定をプロビジョニングされたスイッチに適用し、スタックに追加します。 プロビジョニングされた設定は、新しい情報を反映するために変更されます。 |
プロビジョニングされた設定でスタック メンバ番号が検出されない |
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スイッチ スタックは、デフォルト設定をプロビジョニングされたスイッチに適用し、スタックに追加します。 プロビジョニングされた設定は、新しい情報を反映するために変更されます。 |
プロビジョニングされたスイッチのスタック メンバ番号が既存のスタック メンバと競合する |
スタック マスターは、新しいスタック メンバ番号をプロビジョニングされたスイッチに割り当てます。 スタック メンバ番号およびスイッチ タイプが次のように一致します。 1. プロビジョニングされたスイッチの新しいスタック メンバ番号と、スタックのプロビジョニングされた設定のスタック メンバ番号が一致する場合、かつ 2. プロビジョニングされたスイッチのスイッチ タイプと、スタックのプロビジョニングされた設定のスイッチ タイプが一致する場合 |
スイッチ スタックは、プロビジョニングされた設定をプロビジョニングされたスイッチに適用し、スタックに追加します。 プロビジョニングされた設定は、新しい情報を反映するために変更されます。 |
スタック メンバ番号は一致しますが、スイッチ タイプが一致しません。 1. プロビジョニングされたスイッチのスタック メンバ番号と、スタックのプロビジョニングされた設定のスタック メンバ番号が一致する場合、ただし 2. プロビジョニングされたスイッチのスイッチ タイプと、スタックのプロビジョニングされた設定のスイッチ タイプが一致しない場合 |
スイッチ スタックは、デフォルト設定をプロビジョニングされたスイッチに適用し、スタックに追加します。 プロビジョニングされた設定は、新しい情報を反映するために変更されます。 |
プロビジョニングされたスイッチのスタック メンバ番号が、プロビジョニングされた設定で検出されない |
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スイッチ スタックは、デフォルト設定をプロビジョニングされたスイッチに適用し、スタックに追加します。 |
プロビジョニングされた設定で指定されているタイプとは異なるプロビジョニングされたスイッチを、電源が切られたスイッチ スタックに追加して電力を供給すると、スイッチ スタックはスタートアップ コンフィギュレーション ファイルの(現在は不正な) switch stack-member-number provision type グローバル コンフィギュレーション コマンドを拒否します。ただし、スタックの初期化中は、スタートアップ コンフィギュレーション ファイルのデフォルトでないインターフェイス コンフィギュレーション情報が、(間違ったタイプの可能性がある)割り当てられたインターフェイス向けに実行されます。実際のスイッチ タイプと前述の割り当てられたスイッチ タイプの違いによって、拒否されるコマンドと、受け入れられるコマンドがあります。
たとえば、Power over Ethernet(PoE)を装備した 48 ポート スイッチ用にスイッチ スタックが割り当てられる場合、コンフィギュレーションを保存すると、スタックの電源がオフになります。それから、PoE を装備していない 24 ポート スイッチはスイッチ スタックに接続され、スタックの電源がオンになります。この状況では、ポート 25 ~ 48 の設定は拒否され、エラー メッセージが初期化中に表示されます。さらに、PoE 対応インターフェイスで有効な、設定済み PoE 関連コマンドは、ポート 1 ~ 24 に対しても拒否されます。
(注) スイッチ スタックに新しいスイッチのプロビジョニングされた設定が含まれていない場合、スイッチはデフォルトのインターフェイス設定でスタックに参加します。スイッチ スタックは、新しいスイッチと一致する switch stack-member-number provision type グローバル コンフィギュレーション コマンドを実行コンフィギュレーションに追加します。
設定の詳細については、「スイッチ スタックへの新しいメンバの割り当て」を参照してください。
スイッチ スタックの割り当てられたスイッチの交換による影響
スイッチ スタック内のプロビジョニングされたスイッチに障害が発生し、スタックから取り外して別のスイッチと交換する場合、スタックはプロビジョニングされた設定またはデフォルト設定をこのスイッチに適用します。スイッチ スタックがプロビジョニングされた設定とプロビジョニングされたスイッチを比較するときに発生するイベントは、「割り当てられたスイッチのスイッチ スタックへの追加による影響」で説明されているイベントと同じです。
割り当てられたスイッチのスイッチ スタックからの削除による影響
割り当てられたスイッチをスイッチ スタックから削除すると、削除されたスタック メンバに関連付けられた設定は、割り当てられた情報として実行コンフィギュレーション内に残ります。設定を完全に削除するには、 no switch stack-member-number provision グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。
スイッチ スタックのハードウェア互換性と SDM 不一致モード
Catalyst 3750-X スイッチは、デスクトップ Switch Database Management(SDM)テンプレートだけをサポートしています。
スタック メンバはすべて、スタック マスターに設定された SDM テンプレートを使用します。
Version-mismatch(VM; バージョン不一致)モードは、SDM 不一致モードより優先されます。VM モード条件と SDM 不一致モードが存在する場合、スイッチ スタックは先に VM モード条件を解決しようとします。
show switch 特権 EXEC コマンドを使用すると、スタック メンバが SDM 不一致モードになっているかどうかを確認できます。
SDM テンプレートと SDM 不一致モードの詳細については、「SDM テンプレートの設定」を参照してください。
混合ハードウェア スタックの詳細については、Cisco.com の『 Cisco Software Activation and Compatibility Document 』を参照してください。
スイッチ スタックのソフトウェア互換性に関する推奨事項
スタック メンバ間の完全な互換性を確保するには、この項と「スイッチ スタックのハードウェア互換性と SDM 不一致モード」に記載された情報を使用します。
スタック メンバ間で互換性を確保するには、すべてのスタック メンバが同じ Cisco IOS ソフトウェア イメージおよびフィーチャ セットを稼働している必要があります。たとえば、すべてのスタック メンバでユニバーサル ソフトウェア イメージを実行し、Cisco IOS Release 12.2(53)SE2 以降に対して、IP サービス フィーチャ セットを必要とします。
詳細については、「スタック プロトコル バージョンの互換性」および Cisco.com の『 Cisco Software Activation and Compatibility Document 』を参照してください。
混合ハードウェア/ソフトウェア スタックの詳細については、Cisco.com の『 Cisco Software Activation and Compatibility Document 』を参照してください。
スタック プロトコル バージョンの互換性
各ソフトウェア イメージには、 スタック プロトコル バージョン が含まれます。スタック プロトコル バージョンには、 メジャー バージョン番号と マイナー バージョン番号があります(たとえば、1.4 の場合、1 がメジャー バージョン番号、4 がマイナー バージョン番号になります)。両方のバージョン番号によって、スタック メンバ間の互換性レベルが決定します。 show platform stack-manager all 特権 EXEC コマンドを使用すると、スタック プロトコル バージョンを表示できます。
Cisco IOS ソフトウェア バージョンが同じスイッチは、スタック プロトコル バージョンも同じです。このようなスイッチは完全に互換可能で、すべての機能がスイッチ スタック全体に亘って適切に動作します。スタック マスターと Cisco IOS ソフトウェア バージョンが同じスイッチは、すぐにスイッチ スタックに参加します。
非互換性が混合する場合は、完全な機能を備えたスタック メンバが、特定のスタック メンバとの非互換が生じていることを示すシステム メッセージを生成します。スタック マスターは、すべてのスタック メンバに対してメッセージを送信します。詳細については、「スイッチ間のメジャー バージョン番号の非互換性」および「スイッチ間のマイナー バージョン番号の非互換性」を参照してください。
スイッチ間のメジャー バージョン番号の非互換性
多くの場合、異なる Cisco IOS ソフトウェア バージョンのスイッチは、スタック プロトコル バージョンも異なります。メジャー バージョン番号が異なるスイッチは非互換で、同じスイッチ スタック内には存在できません。
スイッチ間のマイナー バージョン番号の非互換性
メジャー バージョン番号は同じだがマイナー バージョン番号が異なるスイッチは、部分的に互換可能であると見なされます。スイッチ スタックに接続されている場合、部分的に互換可能なスイッチはバージョン不一致(VM)モードになり、完全な機能を備えたメンバとしてはスタックに参加できません。ソフトウェアは不一致ソフトウェアを検出すると、スイッチ スタック イメージまたはスイッチ スタック フラッシュ メモリの tar ファイル イメージを使用して、VM モードのスイッチをアップグレード(またはダウングレード)しようとします。ソフトウェアでは、自動的なアップグレード(自動アップグレード)および自動的なアドバイス(自動アドバイス)機能を使用します。詳細については、「自動アップグレードおよび自動アドバイスの概要」を参照してください。
VM モードのスイッチの有無を確認するには、 show switch ユーザ EXEC コマンドを使用します。VM モードのスイッチ上のポート LED はオフのままです。Mode ボタンを押しても、LED モードは変更されません。
バージョン不一致の場合にマスター スイッチがイメージを取得するために使用する URL パス名を指定するには、 boot auto-download-sw グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。
自動アップグレードおよび自動アドバイスの概要
ソフトウェアが不一致ソフトウェアを検出し、VM モードのスイッチをアップグレードしようとする場合は、自動アップグレードと、自動アドバイスの 2 つのソフトウェア処理を行います。
• 自動的なアップグレード(自動アップグレード)プロセスには、自動コピー プロセスと自動抽出プロセスがあります。デフォルトでは、自動アップグレードはイネーブルです( boot auto-copy-sw グローバル コンフィギュレーション コマンドがイネーブルです)。自動アップグレードをディセーブルにするには、スタック マスター上で no boot auto-copy-sw グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。 show boot 特権 EXEC コマンドを使用し、表示された Auto upgrade 行を確認することで、自動アップグレードのステータスを確認できます。
– 自動コピーでは、スタック メンバ上で稼働しているソフトウェア イメージを、VM モードで、アップグレード(自動アップグレード)対象のスイッチに自動的にコピーします。自動コピーが実行されるのは、自動アップグレードがイネーブルの場合、VM モードのスイッチに十分なフラッシュ メモリがある場合、およびスイッチ スタックで稼働しているソフトウェア イメージが VM モードのスイッチに適している場合です。
(注) VM モードのスイッチでは、すべてのリリース済みのソフトウェアが稼働するとは限りません。たとえば、新しいスイッチ ハードウェアは以前のバージョンのソフトウェアでは認識されません。
– 自動的な抽出(自動抽出)は、 自動アップグレード プロセスが、VM モードでスイッチにコピーするソフトウェアをスタックから見つけられない場合に実行されます。この場合、自動抽出プロセスは、VM モードでスイッチ スタックまたはスイッチをアップグレードするために、VM モードにあるかどうかに関係なく、 スタック内のすべてのスイッチを検索して必要な tar ファイルを探します 。tar ファイルは、スタック内のどのフラッシュ ファイル システムにあってもかまいません(VM モードのスイッチを含む)。VM モードのスイッチに適した tar ファイルが見つかると、 このプロセスはこのファイルを抽出し、スイッチを自動的にアップグレードします。
自動アップグレード(自動コピーおよび自動抽出)プロセスは、不一致ソフトウェアが検出されると数分間待機してから起動します。
自動アップグレード処理が完了すると、VM モードであったスイッチはリロードされ、完全な機能を備えたメンバとしてスタックに参加します。リロード中に両方の StackWise Plus ケーブルが接続されている場合、スイッチ スタックは 2 つのリング上で動作するため、ネットワーク ダウンタイムが発生しません。
(注) 自動アップグレードでは、2 つのフィーチャ セットが同じタイプの場合にだけアップグレードを実行します。たとえば、IP サービス フィーチャ セットの VM モードのスイッチを、IP ベース フィーチャ セット(またはその逆)に自動的にアップグレードすることはありません。
• 自動的なアドバイス(自動アドバイス)は、 自動アップグレード プロセスが、VM モードのスイッチにコピーするスタック メンバ ソフトウェアを見つけられない場合に実行されます。このプロセスによって、VM モードのスイッチ スタックまたはスイッチを手動でアップグレードするために必要な コマンド( archive copy-sw または archive download-sw 特権 EXEC コマンド)およびイメージ名(tar ファイル名)が伝えられます 。推奨されるイメージは実行中のスイッチ スタック イメージ、またはスイッチ スタック(VM モードのスイッチを含む)内のいずれかのフラッシュ ファイル システムの tar ファイルです。スタックのフラッシュ ファイル システムで適切なイメージが見つからない場合、自動アドバイス プロセスによって、スイッチ スタックに新規ソフトウェアをインストールするように伝えられます。自動アドバイスはディセーブルにできません。また、 そのステータスを確認するコマンドはありません。
スイッチ スタック ソフトウェアおよび VM モードのスイッチのソフトウェアに同じフィーチャ セットが含まれない場合は、自動アドバイス ソフトウェアからの指示も ありません 。たとえば、IP ベース イメージが稼働するスイッチ スタックに、IP サービス イメージが稼働するスイッチを追加した場合、自動アドバイス ソフトウェアは推奨ソフトウェアを提示しません。
別のソフトウェア イメージのインストールを許可するには、 archive-download-sw /allow-feature-upgrade 特権 EXEC コマンドを使用します。
自動アップグレードおよび自動アドバイスのメッセージ例
マイナー バージョン番号が異なるスイッチをスイッチ スタックに追加すると、メッセージが連続して表示されます(スイッチがその他のシステム メッセージを生成しない場合)。
次に、スイッチ スタックが、スイッチ スタックと異なるマイナー バージョン番号を実行する新しいスイッチを検出した例を示します。自動コピーが起動し、スタック メンバから VM モードのスイッチにコピーするのに適したソフトウェアを検出し、VM モードのスイッチをアップグレードして、リロードします。
*Mar 11 20:31:19.247:%STACKMGR-6-STACK_LINK_CHANGE:Stack Port 2 Switch 2 has changed to state UP
*Mar 11 20:31:23.232:%STACKMGR-6-SWITCH_ADDED_VM:Switch 1 has been ADDED to the stack (VERSION_MISMATCH)
*Mar 11 20:31:23.291:%STACKMGR-6-SWITCH_ADDED_VM:Switch 1 has been ADDED to the stack (VERSION_MISMATCH) (Stack_1-3)
*Mar 11 20:33:23.248:%IMAGEMGR-6-AUTO_COPY_SW_INITIATED:Auto-copy-software process initiated for switch number(s) 1
*Mar 11 20:36:15.038:%IMAGEMGR-6-AUTO_COPY_SW:
*Mar 11 20:36:15.038:%IMAGEMGR-6-AUTO_COPY_SW:Searching for stack member to act
*Mar 11 20:36:15.038:%IMAGEMGR-6-AUTO_COPY_SW:as software donor...
*Mar 11 20:36:15.038:%IMAGEMGR-6-AUTO_COPY_SW:Found donor (system #2) for
*Mar 11 20:36:15.038:%IMAGEMGR-6-AUTO_COPY_SW:member(s) 1
*Mar 11 20:36:15.038:%IMAGEMGR-6-AUTO_COPY_SW:System software to be uploaded:
*Mar 11 20:36:15.038:%IMAGEMGR-6-AUTO_COPY_SW:System Type: 0x00000000
*Mar 11 20:36:15.038:%IMAGEMGR-6-AUTO_COPY_SW:archiving c3750e-universal-mz.122-35.SE2(directory)
*Mar 11 20:36:15.038:%IMAGEMGR-6-AUTO_COPY_SW:archiving c3750e-universal-mz.122-35.SE2/c3750e-universal-mz.122-35.SE2.bin (4945851 bytes)
*Mar 11 20:36:15.038:%IMAGEMGR-6-AUTO_COPY_SW:archiving c3750e-universal-mz.122-35.SE2/info (450 bytes)
*Mar 11 20:36:15.038:%IMAGEMGR-6-AUTO_COPY_SW:archiving info (104 bytes)
*Mar 11 20:36:15.038:%IMAGEMGR-6-AUTO_COPY_SW:examining image...
*Mar 11 20:36:15.038:%IMAGEMGR-6-AUTO_COPY_SW:extracting info (104 bytes)
*Mar 11 20:36:15.038:%IMAGEMGR-6-AUTO_COPY_SW:extracting c3750e-universal-mz.122-35.SE2/info (450 bytes)
*Mar 11 20:36:15.038:%IMAGEMGR-6-AUTO_COPY_SW:extracting info (104 bytes)
*Mar 11 20:36:15.038:%IMAGEMGR-6-AUTO_COPY_SW:
*Mar 11 20:36:15.038:%IMAGEMGR-6-AUTO_COPY_SW:Stacking Version Number:1.4
*Mar 11 20:36:15.038:%IMAGEMGR-6-AUTO_COPY_SW:
*Mar 11 20:36:15.038:%IMAGEMGR-6-AUTO_COPY_SW:System Type: 0x00000000
*Mar 11 20:36:15.038:%IMAGEMGR-6-AUTO_COPY_SW: Ios Image File Size: 0x004BA200
*Mar 11 20:36:15.038:%IMAGEMGR-6-AUTO_COPY_SW: Total Image File Size:0x00818A00
*Mar 11 20:36:15.038:%IMAGEMGR-6-AUTO_COPY_SW: Minimum Dram required:0x08000000
*Mar 11 20:36:15.038:%IMAGEMGR-6-AUTO_COPY_SW: Image Suffix:ipservices-122-35.SE2
*Mar 11 20:36:15.038:%IMAGEMGR-6-AUTO_COPY_SW: Image Directory:c3750e-universal-mz.122-35.SE2
*Mar 11 20:36:15.038:%IMAGEMGR-6-AUTO_COPY_SW: Image Name:c3750e-universal-mz.122-35.SE2
*Mar 11 20:36:15.038:%IMAGEMGR-6-AUTO_COPY_SW: Image
Feature:IP|LAYER_3|PLUS|MIN_DRAM_MEG=128
*Mar 11 20:36:15.038:%IMAGEMGR-6-AUTO_COPY_SW:
*Mar 11 20:36:15.038:%IMAGEMGR-6-AUTO_COPY_SW:Old image for switch 1:flash1:c3750e-universal-mz.122-35.SE2
*Mar 11 20:36:15.038:%IMAGEMGR-6-AUTO_COPY_SW: Old image will be deleted after download.
*Mar 11 20:36:15.038:%IMAGEMGR-6-AUTO_COPY_SW:
*Mar 11 20:36:15.038:%IMAGEMGR-6-AUTO_COPY_SW:Extracting images from archive into flash on switch 1...
*Mar 11 20:36:15.038:%IMAGEMGR-6-AUTO_COPY_SW:c3750e-universal-mz.122-0.0.313.SE (directory)
*Mar 11 20:36:15.038:%IMAGEMGR-6-AUTO_COPY_SW:extracting c3750e-universal-mz.122-0.0.313.SE/c3750e-universal-mz.122-35.SE2 (4945851 bytes)
*Mar 11 20:36:15.038:%IMAGEMGR-6-AUTO_COPY_SW:extracting c3750e-universal-mz.122-35.SE2/info (450 bytes)
*Mar 11 20:36:15.038:%IMAGEMGR-6-AUTO_COPY_SW:extracting info (104 bytes)
*Mar 11 20:36:15.038:%IMAGEMGR-6-AUTO_COPY_SW:
*Mar 11 20:36:15.038:%IMAGEMGR-6-AUTO_COPY_SW:Installing (renaming):`flash1:update/c3750e-universal-mz.122-0.0.313.SE2' ->
*Mar 11 20:36:15.038:%IMAGEMGR-6-AUTO_COPY_SW: `flash1:c3750e-universal-mz.122-35.SE2'
*Mar 11 20:36:15.038:%IMAGEMGR-6-AUTO_COPY_SW:New software image installed in flash1:c3750e-i5-mz.122-35.SE2
*Mar 11 20:36:15.038:%IMAGEMGR-6-AUTO_COPY_SW:
*Mar 11 20:36:15.038:%IMAGEMGR-6-AUTO_COPY_SW:
*Mar 11 20:36:15.038:%IMAGEMGR-6-AUTO_COPY_SW:Removing old image:flash1:c3750e-universal-mz.122-35.SE2
*Mar 11 20:36:15.038:%IMAGEMGR-6-AUTO_COPY_SW:
*Mar 11 20:36:15.038:%IMAGEMGR-6-AUTO_COPY_SW:All software images installed.
*Mar 11 20:36:15.038:%IMAGEMGR-6-AUTO_COPY_SW:Requested system reload in progress...
*Mar 11 20:36:15.038:%IMAGEMGR-6-AUTO_COPY_SW:Software successfully copied to
*Mar 11 20:36:15.038:%IMAGEMGR-6-AUTO_COPY_SW:system(s) 1
*Mar 11 20:36:15.038:%IMAGEMGR-6-AUTO_COPY_SW:Done copying software
*Mar 11 20:36:15.038:%IMAGEMGR-6-AUTO_COPY_SW:Reloading system(s) 1
次に、スイッチ スタックが、スイッチ スタックと異なるマイナー バージョン番号を実行する新しいスイッチを検出した例を示します。自動コピーは起動しますが、スイッチ スタックと互換可能にするための、VM モードのスイッチにコピーするソフトウェアをスイッチ スタック内で検出できません。自動アドバイス プロセスが起動し、ネットワークから VM モードのスイッチに tar ファイルをダウンロードするように推奨されます。
*Mar 1 00:01:11.319:%STACKMGR-6-STACK_LINK_CHANGE:Stack Port 2 Switch 2 has changed to state UP
*Mar 1 00:01:15.547:%STACKMGR-6-SWITCH_ADDED_VM:Switch 1 has been ADDED to the stack (VERSION_MISMATCH)
*Mar 1 00:03:15.554:%IMAGEMGR-6-AUTO_COPY_SW_INITIATED:Auto-copy-software process initiated for switch number(s) 1
*Mar 1 00:03:15.554:%IMAGEMGR-6-AUTO_COPY_SW:
*Mar 1 00:03:15.554:%IMAGEMGR-6-AUTO_COPY_SW:Searching for stack member to act
*Mar 1 00:03:15.554:%IMAGEMGR-6-AUTO_COPY_SW:as software donor...
*Mar 1 00:03:15.554:%IMAGEMGR-6-AUTO_COPY_SW:Software was not copied
*Mar 1 00:03:15.562:%IMAGEMGR-6-AUTO_ADVISE_SW_INITIATED:Auto-advise-software process initiated for switch number(s) 1
*Mar 1 00:04:22.537:%IMAGEMGR-6-AUTO_ADVISE_SW:
*Mar 1 00:04:22.537:%IMAGEMGR-6-AUTO_ADVISE_SW:
*Mar 1 00:04:22.537:%IMAGEMGR-6-AUTO_ADVISE_SW:Systems with incompatible software
*Mar 1 00:04:22.537:%IMAGEMGR-6-AUTO_ADVISE_SW:have been added to the stack. The
*Mar 1 00:04:22.537:%IMAGEMGR-6-AUTO_ADVISE_SW:storage devices on all of the stack
*Mar 1 00:04:22.537:%IMAGEMGR-6-AUTO_ADVISE_SW:members have been scanned, and it has
*Mar 1 00:04:22.537:%IMAGEMGR-6-AUTO_ADVISE_SW:been determined that the stack can be
*Mar 1 00:04:22.537:%IMAGEMGR-6-AUTO_ADVISE_SW:repaired by issuing the following
*Mar 1 00:04:22.537:%IMAGEMGR-6-AUTO_ADVISE_SW:command(s):
*Mar 1 00:04:22.537:%IMAGEMGR-6-AUTO_ADVISE_SW:
*Mar 1 00:04:22.537:%IMAGEMGR-6-AUTO_ADVISE_SW: archive download-sw /force-reload /overwrite /dest 1 flash1:c3750e-universal-mz.122-35.SE2.tar
*Mar 1 00:04:22.537:%IMAGEMGR-6-AUTO_ADVISE_SW:
archive download-sw 特権 EXEC コマンドの使用の詳細については、「ソフトウェア イメージの操作」を参照してください。
(注) 自動アドバイスおよび自動コピーでは、info ファイルの調査およびスイッチ スタック上の ディレクトリ構造の検索により、実行中のイメージを識別します。archive download-sw 特権 EXEC コマンドではなく、copy fttp: ブートローダ コマンドを使用してイメージをダウンロードすると、正しいディレクトリ構造が作成されません。info ファイルの詳細については、「サーバまたは Cisco.com 上のイメージのファイル形式」を参照してください。
互換性のないソフトウェアおよびスタック メンバ イメージのアップグレード
archive copy-sw 特権 EXEC コマンドを使用すると、互換性のないユニバーサル ソフトウェア イメージのあるスイッチをアップグレードできます。コマンドを使用すると、既存のスタック メンバのソフトウェア イメージを、互換性のないソフトウェアを稼働しているメンバにコピーできます。その場合、スイッチは自動的にリロードされ、完全に機能しているメンバとしてスタックに加入します。詳細については、「あるスタック メンバから別のスタック メンバへのイメージ ファイルのコピー」を参照してください。
スイッチ スタックのコンフィギュレーション ファイル
コンフィギュレーション ファイルには、次の設定情報が格納されています。
• すべてのスタック メンバに適用されるシステム レベル(グローバル)コンフィギュレーション設定:IP、STP(スパニングツリー プロトコル)、VLAN、SNMP 設定など
• スタック メンバのインターフェイス固有のコンフィギュレーション設定:各スタック メンバに固有
スタック マスターには、スイッチ スタックの保存済みの実行コンフィギュレーション ファイルが格納されています。すべてのスタック メンバは、定期的に、スタック マスターからコンフィギュレーション ファイルの同期化されたコピーを受け取ります。スタック マスターが使用不能になると、スタック マスターの役割を引き受けたスタック メンバが最新のコンフィギュレーション ファイルを保持します。
(注) 実行コンフィギュレーションをスタートアップ コンフィギュレーションに保存しないでスタック マスターが交換されても、スタック マスターのインターフェイス固有設定は保存されます。
新規のスイッチがスイッチ スタックに参加した場合、そのスイッチはスイッチ スタックのシステム レベルの設定を使用します。スイッチが別のスイッチ スタックに移動された場合、そのスイッチは保存済みのコンフィギュレーション ファイルを失い、新たなスイッチ スタックのシステム レベルの設定を使用します。
各スタック メンバのインターフェイス固有のコンフィギュレーションには、スタック メンバ番号が関連付けられます。「スタック メンバ番号」に記載されているとおり、スタック メンバは、番号が手動で変更されるか、同じスイッチ スタック内の別のメンバによってすでに使用されているかしないかぎり、自分の番号を保持します。
• そのメンバ番号に対応するインターフェイス固有のコンフィギュレーションが存在しない場合は、スタック メンバはデフォルトのインターフェイス固有のコンフィギュレーションを使用します。
• そのメンバ番号に対応するインターフェイス固有のコンフィギュレーションが存在する場合は、スタック メンバはそのメンバ番号に関連付けられたインターフェイス固有のコンフィギュレーションを使用します。
スタック メンバに障害が生じ、それを同一のモデルと交換した場合、交換後のスイッチは自動的に、障害の生じたスイッチと同じインターフェイス固有のコンフィギュレーションを使用します。そのため、インターフェイス設定を再設定する必要はありません。交換後のスイッチは、障害の生じたスイッチと同じスタック メンバ番号を持つ必要があります。スイッチ スタックをプロビジョニングする利点については、「スイッチ スタックのオフライン設定」を参照してください。
スタンドアロン スイッチのコンフィギュレーションの場合と同じ方法で、スタック コンフィギュレーションをバックアップし復元します。ファイル システムとコンフィギュレーション ファイルの詳細については、 付録 A「Cisco IOS ファイル システム、コンフィギュレーション ファイル、およびソフトウェア イメージの操作」 を参照してください。
IP アドレスによるスイッチ スタックへの接続
スイッチ スタックは、単一 IP アドレスを介して管理されます。IP アドレスは、システムレベルの設定で、スタック マスターまたは他のすべてのスタック メンバで固有ではありません。IP 接続が確保されている前提で、スタックからスタック マスターまたは他のすべてのスタック メンバを削除した場合でも、同じ IP アドレスを介してスタックを管理できます。
(注) スイッチ スタックからスタック メンバを削除した場合、各スタック メンバは自身の IP アドレスを保持します。したがって、ネットワーク内で同じ IP アドレスを持つ 2 つのデバイスが競合するのを避けるため、スイッチ スタックから削除したスイッチの IP アドレスを変更しておきます。
スイッチ スタックの設定に関連する情報については、「スイッチ スタックのコンフィギュレーション ファイル」を参照してください。
SSH セッションによるスイッチ スタックへの接続
混合スタックで、暗号化ソフトウェア イメージと IP ベース フィーチャ セットまたは IP サービス フィーチャ セットとが稼働するスタック マスターに障害が発生し、このスタック マスターが交換されて、非暗号化ソフトウェア イメージと IP ベース フィーチャ セットまたは IP サービス フィーチャ セットとが稼働するスイッチになった場合、スイッチ スタックへの Secure Shell(SSH; セキュア シェル)接続が失われることがあります。暗号化ソフトウェア イメージと、IP ベースまたは IP サービス フィーチャ セットとが稼働しているスイッチをスタック マスターにすることを推奨します。スタック マスターで非暗号化ソフトウェア イメージが稼働していると、暗号化機能は利用できません。
(注) 非暗号化イメージは、Cisco IOS Release 12.2(53)SE 以前のリリースが動作する Catalyst 3750 または Catalyst 3750-E でのみ使用できます。Catalyst 3750-X スイッチは、暗号化ソフトウェア イメージのみを実行します。
コンソール ポートまたはイーサネット管理ポートによるスイッチ スタックへの接続
スタック マスターに接続するには、次のいずれかの方法を使用します。
• 1 つまたは複数のスタック メンバのコンソール ポートを経由して、ターミナルまたは PC をスタック マスターに接続できます。
• 1 つまたは複数の Catalyst 3750-X スタック メンバのイーサネット管理ポートを経由して、PC をスタック マスターに接続できます。イーサネット管理ポートを経由してスイッチ スタックに接続する方法については、「イーサネット管理ポートの使用」を参照してください。
複数の CLI セッションをスタック マスターに使用する場合は注意が必要です。1 つのセッションで入力したコマンドは、別のセッションには表示されません。そのため、コマンドを入力したセッションを識別できなくなることがあります。
スイッチ スタックを管理する場合は、1 つの CLI セッションだけを使用することを推奨します。
特定のスタック メンバへの接続
特定のスタック メンバ ポートを設定する場合は、CLI コマンド インターフェイス表記にスタック メンバ番号を含めてください。詳細については、「インターフェイス コンフィギュレーション モードの使用方法」を参照してください。
特定のスタック メンバをデバッグする場合は、 session stack-member-number 特権 EXEC コマンドでスタック マスターからアクセスできます。スタック メンバ番号は、システム プロンプトに追加されます。たとえば、 Switch-2#
はスタック メンバ 2 の特権 EXEC モードのプロンプトであり、スタック マスターのシステム プロンプトは Switch
です。特定のスタック メンバへの CLI セッションで使用できるのは、 show コマンドと debug コマンドに限ります。
スイッチ スタックの設定のシナリオ
表 5-2 では、スイッチ スタック コンフィギュレーションのシナリオを示します。大半のシナリオは、少なくとも 2 台のスイッチが StackWise Plus ポートを使用して接続されていることを前提にしています。
表 5-2 スイッチ スタックの設定のシナリオ
|
|
既存のスタック マスターによって、明確に決定されるスタック マスター選択 |
StackWise Plus ポートを使用して 2 つの電源の入ったスイッチ スタックを接続します。 |
2 つのスタック マスターの一方だけが、新たなスタック マスターになります。その他のスタック メンバはどれも、スタック マスターにはなりません。 |
スタック メンバのプライオリティ値によって、明確に決定されるスタック マスター選択 |
1. StackWise Plus ポートを使用して、2 台のスイッチを接続します。 2. switch stack-member-number priority new- priority-number グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用して、1 つのスタック メンバに、より高いメンバ プライオリティ値を設定します。 3. 両方のスタック メンバを同時に再起動します。 |
より高いプライオリティ値を持つスタック メンバがスタック マスターとして選択されます。 |
コンフィギュレーション ファイルによって、明確に決定されるスタック マスター選択 |
両方のスタック メンバが同じプライオリティ値を持つものと仮定します。 1. 一方のスタック メンバがデフォルトのコンフィギュレーションを持ち、他方のスタック メンバが保存済み(デフォルトでない)のコンフィギュレーション ファイルを持つことを確認します。 2. 両方のスタック メンバを同時に再起動します。 |
保存済みのコンフィギュレーション ファイルを持つスタック メンバがスタック マスターとして選択されます。 |
暗号化ソフトウェア イメージと IP サービス フィーチャ セットによって明確に決定されるスタック マスターの選択 |
すべてのスタック メンバが同じプライオリティ値を持つものと仮定します。 1. 一方のスタック メンバに暗号化イメージがインストールされて IP サービス フィーチャ セットがイネーブルになっており、他方のスタック メンバに非暗号化イメージがインストールされて IP サービス フィーチャ セットがイネーブルになっていることを確認します。 2. 両方のスタック メンバを同時に再起動します。 |
暗号化ソフトウェア イメージと IP サービス フィーチャ セットを備えたスタック メンバがスタック マスターとして選択されます。 (注) Cisco IOS Release 12.2(53)SE 以前を実行している Catalyst 3650-E スイッチまたは 3750 スイッチだけが、非暗号化イメージを実行している可能性があります。 |
暗号化ソフトウェア イメージと IP ベース フィーチャ セットによって明確に決定されるスタック マスター選択 |
すべてのスタック メンバが同じプライオリティ値を持つものと仮定します。 1. 一方のスタック メンバに暗号化イメージがインストールされて IP ベース フィーチャ セットがイネーブルになっており、他方のスタック メンバに非暗号化イメージがインストールされて IP ベース フィーチャ セットがイネーブルになっていることを確認します。 2. 両方のスタック メンバを同時に再起動します。 |
暗号化イメージと IP ベース フィーチャ セットを備えたスタック メンバがスタック マスターとして選択されます。 (注) Cisco IOS Release 12.2(53)SE 以前を実行している Catalyst 3650-E スイッチまたは 3750 スイッチだけが、非暗号化イメージを実行している可能性があります。 |
MAC アドレスによって、明確に決定されるスタック マスター選択 |
両方のスタック メンバが同じプライオリティ値、コンフィギュレーション ファイル、フィーチャ セットを持つものと仮定し、両方のスタック メンバを同時に再起動します。 |
より小さい MAC アドレスを持つスタック メンバがスタック マスターとして選択されます。 |
スタック メンバ番号の競合 |
一方のスタック メンバが他方のスタック メンバより高いプライオリティ値を持つものと仮定します。 1. 両方のスタック メンバが同じスタック メンバ番号を持つように確認します。必要に応じて、 switch current-stack-member-number renumber new-stack-member-number グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。 2. 両方のスタック メンバを同時に再起動します。 |
より高いプライオリティ値を持つスタック メンバが、自分のスタック メンバ番号を保持します。もう一方のスタック メンバは、新たなスタック メンバ番号を持ちます。 |
スタック メンバの追加 |
1. 新しいスイッチの電源を切ります。 2. StackWise Plus ポートを使用して、新たなスイッチを電源の入ったスイッチ スタックに接続します。 3. 新しいスイッチの電源を入れます。 |
スタック マスターはそのままです。新たなスイッチがスイッチ スタックに追加されます。 |
スタック マスターの障害 |
スタック マスターを削除します(または、電源を切ります)。 |
「スタック マスターの選択と再選択」に記載されたファクタに基づき、残りのスタック メンバのいずれかが新たなスタック マスターになります。スタック内の他のすべてのスタック メンバは、スタック メンバのままで、再起動はされません。 |
9 台を超えるスタック メンバの追加 |
1. StackWise Plus ポートを使用して、10 台のスイッチを接続します。 2. すべてのスイッチの電源を入れます。 |
2 台のスイッチがスタック マスターになります。一方のスタック マスターが 9 つのスタック メンバを制御します。もう一方のスタック マスターは、スタンドアロン スイッチとして維持されます。 Mode ボタンとスイッチのポート LED を使用して、どのスイッチがスタック マスターで、各スイッチ マスターにはどのスイッチが属しているかを識別できます。Mode ボタンと LED の使用方法については、ハードウェア インストレーション ガイドを参照してください。 |
ローリング スタック アップグレード
スタックをアップグレードまたはダウングレードすると、その後にスタックがリロードし、接続されているホストはネットワーク接続を失います。スタックに冗長リンクがある場合に限り、ローリング スタック アップグレード機能を使用してネットワークの中断を最小限に抑えられます。メンバは 1 つずつアップグレードされます。
スタック設定
次の設定のスタック上でローリング スタック アップグレードを実行できます。
図 5-3 冗長リンクのあるスタック
• デュアル接続ホスト (サーバやアクセス ポイントなど)が、Link Aggregation Control Protocol(LACP)クロススタック EtherChannel 経由で 2 つのメンバに接続されています。
• スタックが次のように設定されています。
– 冗長接続を持つスタック リング内でメンバがそれぞれの StackWise Plus ポートを介して接続されています。設定例については、スイッチのハードウェア インストレーション ガイドを参照してください。
– アップグレード中、スイッチが固定 MAC アドレスをイネーブルにします。
• 少なくとも 1 つの冗長アップリンクがネットワークに接続されています。このアップリンクには、アクティブ スイッチとスタンバイ スイッチがあります。
– アクティブ ロールのインターフェイスを持つメンバは アクティブ スイッチ です。
– スタンバイ ロールのインターフェイスを持つもう 1 つのメンバは スタンバイ スイッチ です。
アップグレード プロセス
このプロセスを開始する前に、ネットワークへの冗長アップリンクを設定して、スタックのネットワーク接続を確保します。また、スタック起動時間も設定できます。
archive download-sw /rolling-stack-upgrade 特権 EXEC コマンドを入力して、スタック アップグレードを開始します。アップグレード中、メンバ アップグレード シーケンスやアップグレード中ではないメンバのアップグレード ステータスを表示できます。
このプロセスは、ソフトウェア内で進行します。
1. スタックは、アップグレードされていないスタックとアップグレード済みのスタックに分割されます。これらのスタックは、トラフィックを交換しない別々のスタックとして動作します。アップグレードされていないスタック内のレイヤ 3 インターフェイスは非アクティブです。
2. ソフトウェアにより、アップグレード シーケンスが決定されます。
a. 最初に、スタンバイ メンバがアップグレードされます。
b. 最初のスタンバイ メンバ上のスタック ポート 1 から到達可能なスタンバイ メンバが、アクティブ メンバに到達するまで順番にアップグレードされます。
c. その後、最初のスタンバイ メンバ上のスタック ポート 2 から到達可能なスタンバイ メンバが、アクティブ メンバに到達するまで順番にアップグレードされます。
スタックのアップグレード完了後、スタック設定をコンフィギュレーション ファイルに保存します。スタックで元のマスターを維持し、新規のマスターを選択しないようにする場合は、スタックをリロードします。
アップグレード シーケンスの例
図 5-4 メンバ 1 上のスタック ポート 1 がメンバ 9 に接続されている場合
メンバ 1(最初のスタンバイ スイッチ)上のスタック ポート 1 がメンバ 9 上のスタック ポート 2 に接続されている場合のアップグレード シーケンスは次のとおりです。
1. メンバ 1
2. メンバ 9
3. メンバ 8
4. メンバ 7
5. メンバ 6
6. メンバ 5
7. メンバ 2
8. メンバ 3
9. メンバ 4
図 5-5 メンバ 1 上のスタック ポート 1 がメンバ 2 に接続されている場合
メンバ 1(最初のスタンバイ スイッチ)上のスタック ポート 1 がメンバ 2 上のスタック ポート 2 に接続されている場合のアップグレード シーケンスは次のとおりです。
1. メンバ 1
2. メンバ 2
3. メンバ 3
4. メンバ 9
5. メンバ 8
6. メンバ 7
7. メンバ 6
8. メンバ 5
9. メンバ 4