ダイナミック ARP インスペクションの概要
ARP では、IP アドレスを MAC アドレスにマッピングすることで、レイヤ 2 ブロードキャスト ドメイン内の IP 通信を実現します。たとえば、ホスト B はホスト A に情報を送信する必要がありますが、ARP キャッシュにホスト A の MAC アドレスを持っていないとします。ホスト B は、ホスト A の IP アドレスと関連付けられた MAC アドレスを取得するために、このブロードキャスト ドメインにあるホストすべてに対してブロードキャスト メッセージを生成します。このブロードキャスト ドメイン内のホストはすべて ARP 要求を受信し、ホスト A は MAC アドレスで応答します。しかし、ARP は、ARP 要求が受信されなった場合でも、ホストからの余分な応答を許可するため、ARP スプーフィング攻撃や ARP キャッシュのポイズニングが発生することがあります。攻撃が開始されると、攻撃を受けたデバイスからのすべてのトラフィックは、攻撃者のコンピュータを経由してルータ、スイッチ、またはホストに送信されるようになります。
悪意のあるユーザは、サブネットに接続されているシステムの ARP キャッシュをポイズニングし、このサブネット上の他のホストを目的とするトラフィックを代行受信することにより、レイヤ 2 ネットワークに接続されているホスト、スイッチ、およびルータを攻撃することができます。図 23-1 に、ARP キャッシュ ポイズニングの例を示します。
図 23-1 ARP キャッシュ ポイズニング
ホスト A、B、および C は、インターフェイス A、B、および C 上にあるスイッチに接続されています。これらはすべて同一のサブネット上にあります。カッコ内に示されているのは、これらの IP アドレス、および MAC アドレスです。たとえば、ホスト A が使用する IP アドレスは IA、MAC アドレスは MA です。ホスト A が IP レイヤにあるホスト B と通信する必要がある場合、ホスト A は IP アドレス IB と関連付けられている MAC アドレスに ARP 要求をブロードキャストします。スイッチとホスト B は、この ARP 要求を受信すると、IP アドレスが IA で、MAC アドレスが MA のホストに対する ARP バインディングを ARP キャッシュに読み込みます。たとえば、IP アドレス IA は、MAC アドレス MA にバインドされています。ホスト B が応答すると、スイッチ、およびホスト A は、IP アドレスが IB で、MAC アドレスが MB のホストに対するバインディングを ARP に読み込みます。
ホスト C は、IP アドレスが IA(または IB)で、MAC アドレスが MC のホストに対するバインディングを持つ偽造 ARP 応答をブロードキャストすることにより、スイッチ、ホスト A、およびホスト B の ARP キャッシュをポイズニングすることができます。ARP キャッシュがポイズニングされたホストは、IA または IB 宛てのトラフィックに、宛先 MAC アドレスとして MAC アドレス MC を使用します。つまり、ホスト C がこのトラフィックを代行受信することになります。ホスト C は IA および IB に関連付けられた本物の MAC アドレスを知っているため、正しい MAC アドレスを宛先として使用することで、代行受信したトラフィックをこれらのホストに転送できます。ホスト C は自身をホスト A からホスト B へのトラフィック ストリームに挿入します。おなじみの 中間者 攻撃です。
ダイナミック ARP インスペクションは、ネットワーク内の ARP パケットの正当性を確認するセキュリティ機能です。不正な IP/MAC アドレス バインディングを持つ ARP パケットを代行受信し、ログに記録して、廃棄します。この機能により、ネットワークをある種の中間者攻撃から保護することができます。
ダイナミック ARP インスペクションにより、有効な ARP 要求と応答だけが確実にリレーされるようになります。スイッチが実行する機能は次のとおりです。
• 信頼できないポートを経由したすべての ARP 要求および ARP 応答を代行受信します。
• 代行受信した各パケットが、IP アドレスと MAC アドレスの有効なバインディングを持つことを確認してから、ローカル ARP キャッシュを更新するか、または適切な宛先にパケットを転送します。
• 無効な ARP パケットはドロップします。
ダイナミック ARP インスペクションは、信頼できるデータベースである DHCP スヌーピング バインディング データベースに格納されている有効な IP/MAC アドレス バインディングに基づいて、ARP パケットの正当性を判断します。このデータベースは、VLAN およびスイッチ上で DHCP スヌーピングがイネーブルになっている場合に、DHCP スヌーピングにより構築されます。信頼できるインターフェイスで ARP パケットが受信されると、スイッチは何もチェックせずに、このパケットを転送します。信頼できないインターフェイスでは、スイッチはこのパケットが有効である場合だけ、このパケットを転送します。
ip arp inspection vlan vlan-range グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用して、VLAN ごとにダイナミック ARP インスペクションをイネーブルにすることができます。設定の詳細については、「DHCP 環境でのダイナミック ARP インスペクションの設定」を参照してください。
非 DHCP 環境では、ダイナミック ARP インスペクションは、静的に設定された IP アドレスを持つホストに対するユーザ設定の ARP アクセス コントロール リスト(ACL)と照らし合わせて、ARP パケットの正当性を確認することができます。ARP ACL を定義するには、 arp access-list acl-name グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。設定の詳細については、「非 DHCP 環境での ARP ACL の設定」を参照してください。スイッチはドロップされたパケットをログに記録します。ログ バッファの詳細については、「廃棄パケットのロギング」を参照してください。
パケットの IP アドレスが無効である場合、または ARP パケットの本文にある MAC アドレスが、イーサネット ヘッダーで指定されたアドレスと一致しない場合、ARP パケットをドロップするようにダイナミック ARP インスペクションを設定することができます。このためには、 ip arp inspection validate { [ src-mac ] [ dst-mac ] [ ip ]} グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。詳細については、「確認検査の実行」を参照してください。
インターフェイスの信頼状態とネットワーク セキュリティ
ダイナミック ARP インスペクションは、スイッチの各インターフェイスに信頼状態を関連付けます。信頼できるインターフェイスに到着するパケットは、ダイナミック ARP インスペクションの確認検査をすべてバイパスし、信頼できないインターフェイスに到着するパケットには、ダイナミック ARP インスペクションの検証プロセスを受けます。
一般的なネットワーク構成では、ホスト ポートに接続されているスイッチ ポートすべてを信頼できないものに設定し、スイッチに接続されているスイッチ ポートすべてを信頼できるものに設定します。この構成では、指定されたスイッチからネットワークに入ってくる ARP パケットはすべて、セキュリティ チェックをバイパスします。VLAN 内、またはネットワーク内のその他の場所では、他の検査を実行する必要はありません。信頼状態を設定するには、 ip arp inspection trust インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。
注意 信頼状態の設定は、慎重に行ってください。信頼すべきインターフェイスを信頼できないインターフェイスとして設定すると、接続が失われる場合があります。
図 23-2 では、スイッチ A とスイッチ B の両方が、ホスト 1 とホスト 2 を含む VLAN でダイナミック ARP インスペクションを実行しているとします。ホスト 1 とホスト 2 が、スイッチ A に接続している DHCP サーバから IP アドレスを取得している場合、スイッチ A だけが、ホスト 1 の IP/MAC アドレスをバインディングします。したがって、スイッチ A とスイッチ B の間のインターフェイスが信頼できない場合、ホスト 1 からの ARP パケットは、スイッチ B によりドロップされます。こうして、ホスト 1 とホスト 2 の間の接続が失われます。
図 23-2 ダイナミック ARP インスペクションのためにイネーブルにされた VLAN 上の ARP パケット検証
実際には信頼できないインターフェイスを信頼できるインターフェイスとして設定すると、ネットワーク内にセキュリティ ホールが生じます。スイッチ A でダイナミック ARP インスペクションが実行されていない場合、ホスト 1 はスイッチ B の ARP キャッシュを簡単にポイズニングできます(および、これらのスイッチの間のリンクが信頼できるものとして設定されている場合はホスト 2)。この状況は、スイッチ B がダイナミック ARP インスペクションを実行している場合でも発生します。
ダイナミック ARP インスペクションは、ダイナミック ARP インスペクションを実行しているスイッチに接続された(信頼できないインターフェイス上の)ホストが、そのネットワークにあるその他のホストの ARP キャッシュをポイズニングしていないことを保証します。しかし、ダイナミック ARP インスペクションにより、ネットワークの他の部分にあるホストが、ダイナミック ARP インスペクションを実行しているスイッチに接続されているホストのキャッシュをポイズニングできないようにすることはできません。
VLAN のスイッチの一部がダイナミック ARP インスペクションを実行し、残りのスイッチは実行していない場合、このようなスイッチに接続しているインターフェイスは信頼できないものとして設定します。ただし、非ダイナミック ARP インスペクションスイッチからパケットのバインディングを検証するには、ARP ACL を使用して、ダイナミック ARP インスペクションを実行するスイッチを設定します。このようなバインディングが判断できない場合は、レイヤ 3 で、ダイナミック ARP インスペクション スイッチを実行していないスイッチから、ダイナミック ARP インスペクションを実行しているスイッチを分離します。設定の詳細については、「非 DHCP 環境での ARP ACL の設定」を参照してください。
(注) DHCP サーバとネットワークの設定によっては、VLAN 上のすべてのスイッチで指定された ARP パケットを検証できない可能性があります。
ARP パケットのレート制限
スイッチの CPU は、ダイナミック ARP インスペクション確認検査を実行します。したがって、DoS 攻撃を阻止するために、着信 ARP パケット数はレート制限されます。デフォルトでは、信頼できないインターフェイスのレートは 15 パケット/秒(pps)です。信頼できるインターフェイスはレート制限されません。この設定を変更するには、 ip arp inspection limit インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。
着信 ARP パケットのレートが設定された制限を超えると、スイッチはポートを errdisable ステートにします。ユーザが介入するまで、ポートはこの状態を維持します。 errdisable recovery グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用すると、errdisable ステートの回復をイネーブルにできます。これによって、ポートは指定のタイムアウト時間が経過すると、この状態から自動的に回復するようになります。
(注) EtherChannel のレート制限は、スタックにある各スイッチに個別に適用されます。たとえば、EtherChannel で 20 pps の制限が設定されている場合、EtherChannel にあるポートの各スイッチでは、最大 20 pps まで実行できます。スイッチが制限を超過した場合、EtherChannel 全体が errdisable ステートになります。
設定の詳細については、「着信 ARP パケットのレート制限」を参照してください。
ARP ACL および DHCP スヌーピング エントリの相対的なプライオリティ
ダイナミック ARP インスペクションでは、有効な IP/MAC アドレス バインディングのリストとして、DHCP スヌーピング バインディング データベースが使用されます。
DHCP スヌーピング バインディング データベース内のエントリより、ARP ACL の方が優先されます。スイッチが ACL を使用するのは、ACL が ip arp inspection filter vlan グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用して作成されている場合だけです。スイッチは、まず、ARP パケットをユーザ設定の ARP ACL と比較します。DHCP スヌーピングによりデータが入力されたデータベースに有効なバインディングが存在していても、ARP ACL が ARP パケットを拒否する場合、スイッチもこのパケットを拒否します。
廃棄パケットのロギング
スイッチがパケットをドロップすると、ログ バッファにエントリが記録され、その割合に応じて、システム メッセージが生成されます。メッセージの生成後、スイッチにより、ログ バッファからこのエントリが消去されます。各ログ エントリには、受信側の VLAN、ポート番号、送信元および宛先 IP アドレス、送信元および宛先 MAC アドレスといったフロー情報が記録されます。
ip arp inspection log-buffer グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用して、バッファ内のエントリ数や、システム メッセージ生成までの指定のインターバルに必要とされるエントリ数を設定します。記録されるパケットの種類を指定するには、 ip arp inspection vlan logging グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。設定の詳細については、「ログ バッファの設定」を参照してください。
ダイナミック ARP インスペクション の設定
• 「ダイナミック ARP インスペクションのデフォルト設定」
• 「ダイナミック ARP インスペクション設定時の注意事項」
• 「DHCP 環境でのダイナミック ARP インスペクションの設定」(DHCP 環境では必須)
• 「非 DHCP 環境での ARP ACL の設定」(非 DHCP 環境では必須)
• 「着信 ARP パケットのレート制限」(任意)
• 「確認検査の実行」(任意)
• 「ログ バッファの設定」(任意)
ダイナミック ARP インスペクションのデフォルト設定
表 23-1 に、ダイナミック ARP インスペクションのデフォルト設定を示します。
表 23-1 ダイナミック ARP インスペクションのデフォルト設定
|
|
ダイナミック ARP インスペクション。 |
すべての VLAN でディセーブル。 |
インターフェイスの信頼状態 |
すべてのインターフェイスは untrusted。 |
着信 ARP パケットのレート制限 |
1 秒間に 15 台の新規ホストに接続するホストが配置されたスイッチド ネットワークの場合、信頼できないインターフェイスのレートは 15 pps に設定されます。 信頼できるすべてのインターフェイスでは、レート制限は行われません。 バースト インターバルは 1 秒です。 |
非 DHCP 環境に対する ARP ACL |
ARP ACL は定義されません。 |
有効性検査 |
検査は実行されません。 |
ログ バッファ |
ダイナミック ARP インスペクションがイネーブル化されると、拒否またはドロップされた ARP パケットはすべてが記録されます。 ログ内のエントリ数は 32 です。 システム メッセージ数は、毎秒 5 つに制限されます。 ロギングレート インターバルは、1 秒です。 |
VLAN 単位のロギング |
拒否または廃棄されたすべての ARP パケットが記録されます。 |
ダイナミック ARP インスペクション設定時の注意事項
ダイナミック ARP インスペクション設定時の注意事項は次のとおりです。
• ダイナミック ARP インスペクションは入力セキュリティ機能です。出力チェックはまったく行いません。
• ダイナミック ARP インスペクションは、ダイナミック ARP インスペクションをサポートしていないスイッチ、またはこの機能がイネーブルにされていないスイッチに接続されるホストに対しては有効ではありません。中間者攻撃は単一のレイヤ 2 ブロードキャスト ドメインに制限されているため、チェックされないドメインと、ダイナミック ARP インスペクションによりチェックされるドメインは区別します。このアクションは、ダイナミック ARP インスペクションのためにイネーブルにされているドメインでホストの ARP キャッシュを保護します。
• 着信 ARP 要求、および ARP 応答で IP/MAC アドレス バインディングを検証するために、ダイナミック ARP インスペクション DHCP スヌーピング バインディング データベースのエントリに依存します。IP アドレスを動的に割り当てられた ARP パケットを許可するには、DHCP スヌーピングをイネーブルにする必要があります。コンフィギュレーションについては、「DHCP および IP ソース ガード機能の設定」を参照してください。
DHCP スヌーピングをディセーブルにしている場合、または DHCP 以外の環境では、ARP ACL を使用してパケットの許可または拒否を行います。
• ダイナミック ARP インスペクションは、アクセス ポート、トランク ポート、EtherChannel ポート、およびプライベート VLAN ポート上でサポートされています。
(注) RSPAN VLAN では、ダイナミック ARP インスペクションをイネーブルにしないでください。RSPAN VLAN でダイナミック ARP インスペクションをイネーブルにすると、ダイナミック ARP インスペクション パケットが RSPAN 宛先ポートに届かない可能性があります。
• 物理ポートを EtherChannel ポート チャネルに結合するには、この物理ポートとチャネル ポートの信頼状態が一致する必要があります。そうでない物理ポートは、ポート チャネル内で中断状態のままとなります。ポート チャネルは、チャネルと結合された最初の物理ポートの信頼状態を継承します。したがって、最初の物理ポートの信頼状態は、チャネルの信頼状態と一致する必要はありません。
逆に、ポート チャネルで信頼状態を変更すると、スイッチは、チャネルを構成するすべての物理ポートで新しい信頼状態を設定します。
• レート制限は、スイッチ スタックの各スイッチで別々に算出されます。クロススタック EtherChannel の場合、これは実際のレート制限が設定値よりも高い可能性があることを意味します。たとえば、レート制限が 30 pps に設定された EtherChannel で、スイッチ 1 に 1 つのポート、およびスイッチ 2 に 1 つのポートがある場合、EtherChannel が errdisable にならずに、各ポートは 29 pps でパケットを受信できます。
• ポート チャネルの動作レートは、チャネル内のすべての物理ポートによる累積値です。たとえば、ポート チャネルの ARP レート制限を 400 pps に設定すると、このチャネルに結合されたすべてのインターフェイスは、合計で 400 pps を受信します。EtherChannel ポートの着信 ARP パケットのレートは、全チャネル メンバーからのパケットの着信レートを合計したものです。EtherChannel ポートのレート制限は、各チャネル ポート メンバが受信する ARP パケットのレートを確認してから設定してください。
物理ポートで受信されるパケットのレートは、物理ポートの設定ではなく、ポート チャネルの設定に照合して検査されます。ポート チャネル上のレート制限設定は、物理ポートの設定に依存しません。
EtherChannel が、設定したレートより多くの ARP パケットを受信すると、このチャネル(すべての物理ポートを含む)は errdisable ステートとなります。
• 着信トランク ポートでは、ARP パケットを必ずレート制限してください。トランク ポートの集約を反映し、複数のダイナミック ARP インスペクションがイネーブルにされた VLAN にわたってパケットを処理するために、トランク ポートのレートをより高く設定します。また、 ip arp inspection limit none インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用して、レートを無制限に設定することもできます。1 つの VLAN に高いレート制限値を設定すると、ソフトウェアによってこのポートが errdisable ステートにされた場合に、他の VLAN への DoS 攻撃を招く可能性があります。
• スイッチで、ダイナミック ARP インスペクションをイネーブルにすると、ARP トラフィックをポリシングするように設定されたポリサーの有効性は失われます。この結果、すべての ARP トラフィックは CPU に送信されます。
• ダイナミック ARP インスペクション スマート ロギングを設定する場合、ログ バッファ内にあるすべてのパケット(デフォルトでは、ドロップされたすべてのパケット)の内容が NetFlow 収集装置に送信されます。この機能を設定する場合は、スマート ロギングがグローバルにイネーブルになっていることを確認してください。スマート ロギングの詳細については、「スマート ロギングの設定」を参照してください。
DHCP 環境でのダイナミック ARP インスペクションの設定
この手順では、2 つのスイッチがダイナミック ARP インスペクションをサポートしているときに、この機能を設定する方法を示します。図 23-2 に示すとおり、ホスト 1 はスイッチ A に、ホスト 2 はスイッチ B に接続されています。スイッチは両方とも、ホストの配置されている VLAN 1 でダイナミック ARP インスペクションを実行しています。DHCP サーバはスイッチ A に接続されています。両方のホストは、同一の DHCP サーバから IP アドレスを取得します。したがって、スイッチ A はホスト 1 およびホスト 2 に対するバインディングを、スイッチ B はホスト 2 に対するバインディングを持ちます。
(注) 着信 ARP 要求、および ARP 応答で IP/MAC アドレス バインディングを検証するために、ダイナミック ARP インスペクション DHCP スヌーピング バインディング データベースのエントリに依存します。IP アドレスを動的に割り当てられた ARP パケットを許可するには、DHCP スヌーピングをイネーブルにする必要があります。コンフィギュレーションについては、「DHCP および IP ソース ガード機能の設定」を参照してください。
スイッチの 1 つだけがこの機能をサポートしている場合にダイナミック ARP インスペクションを設定する方法の詳細については、「非 DHCP 環境での ARP ACL の設定」を参照してください。
ダイナミック ARP インスペクションを設定するには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。この処理は、両方のスイッチで行う必要があります。この手順は必須です。
|
|
|
ステップ 1 |
show cdp neighbors |
スイッチ間の接続を確認します。 |
ステップ 2 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
ip arp inspection vlan vlan-range |
VLAN 単位で、ダイナミック ARP インスペクションをイネーブルにします。デフォルトでは、すべての VLAN 上で ダイナミック ARP インスペクションはディセーブルになっています。 vlan-range には、VLAN ID 番号で識別された単一の VLAN、ハイフンで区切られた範囲の VLAN、またはカンマで区切られた一連の VLAN を指定できます。指定できる範囲は 1 ~ 4094 です。 両方のスイッチに同じ VLAN ID を指定します。 |
ステップ 4 |
ip arp inspection smartlog |
(任意)現在ロギングされているどのパケットもスマート ロギングされることを指定します。デフォルトでは、ドロップされたすべてのパケットが記録されます。 |
ステップ 5 |
interface interface-id |
もう 1 つのスイッチに接続するインターフェイスを指定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 6 |
ip arp inspection trust |
スイッチ間の接続を、信頼できるものに設定します。 デフォルトでは、すべてのインターフェイスは信頼できません。 スイッチは、信頼できるインターフェイスにあるもう 1 つのスイッチから受信した ARP パケットは確認しません。この場合、パケットはそのまま転送されます。 信頼できないインターフェイスでは、スイッチはすべての ARP 要求と応答を代行受信します。ルータは、代行受信した各パケットが、IP アドレスと MAC アドレスとの有効なバインディングを持つことを確認してから、ローカル キャッシュを更新するか、適切な宛先にパケットを転送します。スイッチは、無効なパケットをドロップし、 ip arp inspection vlan logging グローバル コンフィギュレーション コマンドで指定されたロギング設定に従ってログ バッファに記録します 。詳細については、「ログ バッファの設定」を参照してください。 |
ステップ 7 |
end |
特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 8 |
show ip arp inspection interfaces show ip arp inspection vlan vlan-range |
ダイナミック ARP インスペクションの設定を確認します。 |
ステップ 9 |
show ip dhcp snooping binding |
DHCP バインディングを確認します。 |
ステップ 10 |
show ip arp inspection statistics vlan vlan-range |
ダイナミック ARP インスペクション統計情報を確認します。 |
ステップ 11 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
ダイナミック ARP インスペクションをディセーブルにするには、 no ip arp inspection vlan vlan-range グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。インターフェイスを untrusted ステートに戻すには、 no ip arp inspection trust インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。
次の例では、VLAN 1 のスイッチ A でダイナミック ARP インスペクションを設定する方法を示します。スイッチ B でも同様の手順を実行します。
Switch(config)# ip arp inspection vlan 1
Switch(config)# interface gigabitethernet1/0/1
Switch(config-if)# ip arp inspection trust
非 DHCP 環境での ARP ACL の設定
この手順は、図 23-2 に示すスイッチ B がダイナミック ARP インスペクション、または DHCP スヌーピングをサポートしていないときにダイナミック ARP インスペクションを設定する方法を示しています。
スイッチ A のポート 1 を信頼できるものとして設定した場合、スイッチ A とホスト 1 は両方とも、スイッチ B またはホスト 2 により攻撃される可能性があるため、セキュリティ ホールが作り出されます。これを阻止するには、スイッチ A のポート 1 を信頼できないものとして設定する必要があります。ホスト 2 からの ARP パケットを許可するには、ARP ACL を設定して VLAN 1 に適用する必要があります。ホスト 2 の IP アドレスがスタティックではない(スイッチ A で ACL 設定を適用することは不可能である)場合、レイヤ 3 でスイッチ A をスイッチ B から分離し、これらの間では、ルータを使用してパケットをルートする必要があります。
スイッチ A 上で ARP ACL を設定するには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。この手順は、非 DHCP 環境では必須です。
|
|
|
ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
arp access-list acl-name |
ARP ACL を定義し、ARP アクセス リスト コンフィギュレーション モードを開始します。デフォルトでは、ARP アクセス リストは定義されません。 (注) ARP アクセス リストの末尾に暗黙的な deny ip any mac any コマンドが指定されています。 |
ステップ 3 |
permit ip host sender-ip mac host sender-mac [ log ] |
指定されたホスト(ホスト 2)からの ARP パケットを許可します。 • sender-ip には、ホスト 2 の IP アドレスを入力します。 • sender-mac には、ホスト 2 の MAC アドレスを入力します。 • (任意)パケットが Access Control Entry(ACE; アクセス コントロール エントリ)と一致するときに、ログ バッファにこのパケットをログするには、 log を指定します。 ip arp inspection vlan logging グローバル コンフィギュレーション コマンドで matchlog キーワードを設定している場合も、一致したパケットがログ記録されます。詳細については、「ログ バッファの設定」を参照してください。 |
ステップ 4 |
exit |
グローバル コンフィギュレーション モードに戻ります。 |
ステップ 5 |
ip arp inspection filter arp-acl-name vlan vlan-range [ static ] |
ARP ACL を VLAN に適用します。デフォルトでは、 定義済みの ARP ACL は、どのような VLAN にも適用されません。 • arp-acl-name には、ステップ 2 で作成した ACL の名前を指定します。 • vlan-range には、スイッチとホストが存在する VLAN を指定します。VLAN ID 番号で識別された 1 つの VLAN、それぞれをハイフンで区切った VLAN 範囲、またはカンマで区切った一連の VLAN を指定できます。指定できる範囲は 1 ~ 4094 です。 • (任意) static を指定すると、ARP ACL 内の暗黙的な拒否が明示的な拒否と見なされ、それ以前に指定された ACL 句に一致しないパケットは廃棄されます。DHCP バインディングは使用されません。 このキーワードを指定しない場合は、ACL 内にはパケットを拒否する明示的な拒否が存在しないことになります。この場合は、ACL 句に一致しないパケットを許可するか拒否するかは、DHCP バインディングによって決定されます。 IP アドレスと MAC アドレスとのバインディングしか持たない ARP パケットは、ACL に照合されます。パケットは、アクセス リストで許可された場合だけに許可されます。 |
ステップ 6 |
ip arp inspection smartlog |
現在ロギングされているどのパケットもスマート ロギングされることを指定します。デフォルトでは、ドロップされたすべてのパケットが記録されます。 |
ステップ 7 |
interface interface-id |
スイッチ B に接続するスイッチ A インターフェイスを指定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 8 |
no ip arp inspection trust |
スイッチ B に接続されたスイッチ A インターフェイスを信頼できないものとして設定します。 デフォルトでは、すべてのインターフェイスは信頼できません。 信頼できないインターフェイスでは、スイッチはすべての ARP 要求と応答を代行受信します。ルータは、代行受信した各パケットが、IP アドレスと MAC アドレスとの有効なバインディングを持つことを確認してから、ローカル キャッシュを更新するか、適切な宛先にパケットを転送します。スイッチは、無効なパケットをドロップし、 ip arp inspection vlan logging グローバル コンフィギュレーション コマンドで指定されたロギング設定に従ってログ バッファに記録します 。詳細については、「ログ バッファの設定」を参照してください。 |
ステップ 9 |
end |
特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 10 |
show arp access-list [ acl-name ] show ip arp inspection vlan vlan-range show ip arp inspection interfaces |
設定を確認します。 |
ステップ 11 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
ARP ACL を削除するには、 no arp access-list グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。VLAN に接続された ARP ACL を削除するには、 no ip arp inspection filter arp-acl-name vlan vlan-range グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。
次に、スイッチ A で ARP ACL host2 を設定して、ホスト 2(IP アドレス 1.1.1.1、および MAC アドレス 0001.0001.0001)からの ARP パケットを許可し、この ACL を VLAN 1 に適用してから、スイッチ A のポート 1 を信頼できないものに設定する例を示します。
Switch(config)# arp access-list host2
Switch(config-arp-acl)# permit ip host 1.1.1.1 mac host 1.1.1
Switch(config-arp-acl)# exit
Switch(config)# ip arp inspection filter host2 vlan 1
Switch(config)# interface gigabitethernet1/0/1
Switch(config-if)# no ip arp inspection trust
着信 ARP パケットのレート制限
スイッチの CPU は、ダイナミック ARP インスペクション確認検査を実行します。したがって、DoS 攻撃を阻止するために、着信 ARP パケット数はレート制限されます。
着信 ARP パケットのレートが設定された制限を超えると、スイッチはポートを errdisable ステートにします。errordisable 回復をイネーブルにして、指定されたタイムアウト時間の後にポートがこのステートから自動的に抜け出すようにするまで、ポートはこのステートのままです。
(注) インターフェイス上のレート制限を設定しない限り、インターフェイスの信頼状態を変更することは、レート制限をその信頼状態のデフォルト値に変更することになります。レート制限を設定すると、信頼状態が変更された場合でもインターフェイスはレート制限を保ちます。no ip arp inspection limit インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを入力すると、インターフェイスはデフォルトのレート制限に戻ります。
トランク ポート、および EtherChannel ポートに対するレート制限設定時の注意事項については、「ダイナミック ARP インスペクション設定時の注意事項」を参照してください。
着信 ARP パケットのレートを制限するには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。この手順は任意です。
|
|
|
ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
interface interface-id |
レート制限されたインターフェイスを指定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 3 |
ip arp inspection limit { rate pps [ burst interval seconds ] | none } |
インターフェイスでの着信 ARP 要求および応答のレートを制限します。 デフォルト レートは、信頼できないインターフェイスでは 15 pps、信頼できるインターフェイスでは無制限です。バースト インターバルは 1 秒です。 キーワードの意味は次のとおりです。 • rate pps には、1 秒あたりに処理される着信パケット数の上限を指定します。有効な範囲は 0 ~ 2048 pps です。 • (任意) burst interval seconds は、レートの高い ARP パケットの有無についてインターフェイスがモニタリングされる間隔(秒)を指定します。指定できる範囲は 1 ~ 15 です。 • rate none では、処理できる着信 ARP パケットのレートの上限を設定しません。 |
ステップ 4 |
exit |
グローバル コンフィギュレーション モードに戻ります。 |
ステップ 5 |
errdisable recovery cause arp-inspection interval interval |
(任意)ダイナミック ARP インスペクション errdisable ステートからのエラー回復をイネーブルにします。 デフォルトでは、回復はディセーブルで、回復のインターバルは 300 秒です。 interval interval には、errdisable ステートから回復する時間を秒単位で指定します。指定できる範囲は 30 ~ 86400 です。 |
ステップ 6 |
exit |
特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 7 |
show ip arp inspection interfaces show errdisable recovery |
設定を確認します。 |
ステップ 8 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
デフォルトのレート制限設定に戻るには、 no ip arp inspection limit インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。ダイナミック ARP インスペクションのエラー回復をディセーブルにするには、 no errdisable recovery cause arp-inspection グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。
確認検査の実行
ダイナミック ARP インスペクションは、不正な IP/MAC アドレス バインディングを持つ ARP パケットを代行受信し、ログに記録して、廃棄します。宛先 MAC アドレス、送信側および宛先の IP アドレス、および送信元 MAC アドレスで追加検証を実行するように、スイッチを設定できます。
着信 ARP パケットで特定の検証を実行するには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。この手順は任意です。
|
|
|
ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
ip arp inspection validate {[ src-mac ] [ dst-mac ] [ ip ]} |
着信 ARP パケットに対して特定の検証を実行します。デフォルトでは、検証は実行されません。 キーワードの意味は次のとおりです。 • src-mac では、イーサネット ヘッダーの送信元 MAC アドレスと ARP 本文の送信元 MAC アドレスが比較されます。この検査は、ARP 要求および ARP 応答の両方に対して実行されます。イネーブルにすると、異なる MAC アドレスを持つパケットは無効パケットとして分類され、廃棄されます。 • dst-mac では、イーサネット ヘッダーの宛先 MAC アドレスと ARP 本文の宛先 MAC アドレスが比較されます。この検査は、ARP 応答に対して実行されます。イネーブルにすると、異なる MAC アドレスを持つパケットは無効パケットとして分類され、廃棄されます。 • ip では、ARP 本文から、無効な IP アドレスや予期しない IP アドレスがないかを確認します。アドレスには 0.0.0.0、255.255.255.255、およびすべての IP マルチキャスト アドレスが含まれます。送信元 IP アドレスはすべての ARP 要求および ARP 応答内で検査され、宛先 IP アドレスは ARP 応答内だけで検査されます。 少なくとも 1 つのキーワードを指定する必要があります。コマンドを実行するたびに、その前のコマンドの設定は上書きされます。つまり、コマンドが src および dst mac の検証をイネーブルにし、別のコマンドが IP 検証だけをイネーブルにすると、2 番めのコマンドによって src および dst mac の検証がディセーブルになります。 |
ステップ 3 |
exit |
特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 4 |
show ip arp inspection vlan vlan-range |
設定を確認します。 |
ステップ 5 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
検証をディセーブルにするには、 no ip arp inspection validate [ src-mac ] [ dst-mac ] [ ip ] グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。転送されたパケット、ドロップされたパケット、 MAC および IP 検証に失敗したパケットの統計を表示するには 、 show ip arp inspection statistics 特権 EXEC コマンドを使用します。
ログ バッファの設定
スイッチがパケットをドロップすると、ログ バッファにエントリが記録され、その割合に応じて、システム メッセージが生成されます。メッセージの生成後、スイッチにより、ログ バッファからこのエントリが消去されます。各ログ エントリには、受信側の VLAN、ポート番号、送信元および宛先 IP アドレス、送信元および宛先 MAC アドレスといったフロー情報が記録されます。
ログバッファ エントリは、複数のパケットを表すことができます。たとえば、インターフェイスが同じ ARP パラメータを使用して同じ VLAN 上で多数のパケットを受信した場合、スイッチはこれらのパケットを組み合わせて 1 つのエントリとしてログ バッファに格納し、エントリとして 1 つのシステム メッセージを生成します。
ログ バッファでオーバーフローが生じた場合は、1 つのログ イベントがログ バッファ内に収まらなかったことを意味し、 show ip arp inspection log 特権 EXEC コマンドによる出力が影響を受けます。パケット数および時間以外のすべてのデータの代わりに -- が表示されます。このエントリに対しては、その他の統計情報は表示されません。出力にこのようなエントリが表示される場合、ログ バッファ内のエントリ数を増やすか、ロギング レートを増やします。
ロギング バッファ コンフィギュレーションは、スイッチ スタックの各スタック メンバに適用されます。各スタック メンバでは、 logs number が指定されていて、設定されたレートでシステム メッセージを生成します。たとえば、インターバル(レート)が 1 秒ごとに 1 エントリの場合、5 つのメンバ スイッチ スタックで、1 秒ごとに最大 5 つまでのシステム メッセージが生成されます。
ログ バッファを設定するには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。この手順は任意です。
|
|
|
ステップ 1 |
configure terminal |
グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。 |
ステップ 2 |
ip arp inspection log-buffer { entries number | logs number interval seconds } |
ダイナミック ARP インスペクション ログ バッファを設定します。 デフォルトでは、 ダイナミック ARP インスペクションがイネーブル化されると、拒否またはドロップされた ARP パケットが記録されます。ログ エントリ数は、32 です。システム メッセージ数は、毎秒 5 つに制限されます。ロギングレート インターバルは、1 秒です 。 キーワードの意味は次のとおりです。 • entries number は、バッファに記録されるエントリ数を表します。指定できる範囲は 0 ~ 1024 です • logs number interval seconds は、指定されたインターバルでシステム メッセージを生成するエントリの数を表します。 logs number に指定できる範囲は 0 ~ 1024 です。0 は、エントリはログ バッファ内に入力されますが、システム メッセージが生成されないことを意味します。 指定できる interval seconds の範囲は 0 ~ 86400 秒(1 日)です。0 は、システム メッセージがただちに生成されることを意味します。この場合、ログ バッファは常に空となります。 インターバル値を 0 に設定すると、ログ値 0 は上書きされます。 logs および interval の設定は、相互に作用します。 logs number X が interval seconds Y より大きい場合、X 割る Y(X/Y)のシステム メッセージが毎秒送信されます。そうでない場合、1 つのシステム メッセージが Y 割る X(Y/X)秒ごとに送信されます。 |
ステップ 3 |
ip arp inspection vlan vlan-range logging { acl-match { matchlog | none } | dhcp-bindings { all | none | permit }} |
VLAN 単位で記録するパケットのタイプを制御します。デフォルトでは、拒否またはドロップされたパケットは、すべて記録されます。 ログに記録される という表現は、エントリがログ バッファに格納され、システム メッセージが生成されることを意味しています。 キーワードの意味は次のとおりです。 • vlan-range には、VLAN ID 番号で識別された単一の VLAN、ハイフンで区切られた範囲の VLAN、またはカンマで区切られた一連の VLAN を指定できます。指定できる範囲は 1 ~ 4094 です。 • acl-match matchlog は、ACE ロギング設定に基づいてパケットをログに記録します。このコマンドに matchlog キーワードを指定して、さらに permit または deny ARP アクセス リスト コンフィギュレーション コマンドに log キーワードを指定すると、ACL によって許可または拒否された ARP パケットが記録されます。 • acl-match none では、ACL に一致するパケットは記録されません。 • dhcp-bindings all では、DHCP バインディングに一致するパケットがすべて記録されます。 • dhcp-bindings none では、DHCP バインディングに一致するパケットは記録されません。 • dhcp-bindings permit では、DHCP バインディングが許可されたパケットが記録されます。 |
ステップ 4 |
exit |
特権 EXEC モードに戻ります。 |
ステップ 5 |
show ip arp inspection log |
設定を確認します。 |
ステップ 6 |
copy running-config startup-config |
(任意)コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。 |
デフォルトのログ バッファ設定に戻るには、 no ip arp inspection log-buffer { entries | logs } グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。 デフォルトの VLAN ログ設定に戻るには、 no ip arp inspection vlan vlan-range logging { acl-match | dhcp-bindings } グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。ログ バッファをクリアするには、 clear ip arp inspection log 特権 EXEC コマンドを使用します。