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この章では、Catalyst 4500 シリーズ スイッチにおける Cisco IOS の Command-Line Interface(CLI; コマンドライン インターフェイス)について理解し、それらを使用する方法について説明します。この章で説明する内容は、次のとおりです。
• 「ヘルプの表示」
• 「コマンドの no および default 形式の使用」
Catalyst 4500 シリーズ スイッチ Cisco IOS の設定の概要については、 『Catalyst 4500 Series Switch Cisco IOS Software Configuration Guide 』 を参照してください。
コマンド モードで使用できるコマンドのリストを表示するには、システム プロンプトで疑問符( ? )を入力します。また、この状況依存ヘルプの機能を使用して、コマンドごとにキーワードおよび引数を表示することもできます。
表 1-1 に、コマンド モード、コマンド、キーワード、または引数に依存するヘルプを表示するために入力できるコマンドを示します。
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ここでは、コマンドの構文を表示する方法の例を示します。構文には、オプションまたは必須のキーワードを含めることができます。コマンドのキーワードを表示するには、コマンド プロンプトで疑問符( ? )を入力するか、コマンドの一部とスペースを入力したあとに疑問符を入力します。Catalyst 4500 シリーズ スイッチ ソフトウェアによって、キーワードの簡単な説明とともに使用可能なキーワードのリストが表示されます。たとえば、グローバル コンフィギュレーション モードで arap コマンドのすべてのキーワードを表示するには、 arap ? と入力します。
表 1-2 に、コマンドの入力支援を目的とした疑問符( ? )の使用方法の例について示し、次のコマンドの入力方法について順を追って説明します。
• interface gigabitethernet 1/1
Catalyst 4500 シリーズ スイッチの Cisco IOS ユーザ インターフェイスにはさまざまなモードがあります。利用できるコマンドの種類は、現在使用中のモードによって異なります。システム プロンプトで疑問符( ? )を入力すると、コマンド モードごとに利用できるコマンドのリストを表示できます。
Catalyst 4500 シリーズ スイッチでセッションを開始するときは、EXEC モードとも呼ばれるユーザ モードから開始します。EXEC モードでは、一部の限定的なコマンドのみ利用できます。すべてのコマンドにアクセスするには、特権 EXEC モードを開始する必要があります。通常、特権 EXEC モードを開始するにはパスワードを入力する必要があります。特権 EXEC モードでは、任意の EXEC コマンドを入力したり、グローバル コンフィギュレーション モードを開始したりできます。ほとんどの EXEC コマンドは、1 回かぎりの効力を持つコマンドです。たとえば、 show コマンドは特定の項目に関する現在の状態を表示し、 clear コマンドはカウンタまたはインターフェイスをクリアします。EXEC コマンドは、Catalyst 4500 シリーズ スイッチの再起動後は保存されません。
コンフィギュレーション モードを使用すると、実行コンフィギュレーションに変更を加えることができます。コンフィギュレーションに対する変更を保存すると、Catalyst 4500 シリーズ スイッチを再起動してもその変更内容が保持されます。グローバル コンフィギュレーション モードでは、インターフェイス コンフィギュレーション モード、サブインターフェイス コンフィギュレーション モード、およびその他のプロトコル固有のモードを開始できます。
ROM モニタ モードとは、Catalyst 4500 シリーズ スイッチを正常に起動できない場合に使用する個別のモードです。Catalyst 4500 シリーズ スイッチまたはアクセス サーバの起動時に有効なシステム イメージが検出されないか、またはアクセス サーバのコンフィギュレーション ファイルが起動時に破損している場合は、ROM モニタ モードが開始される可能性があります。
表 1-3 に、主要なコマンド モードの要約を示します。
コマンド モードの詳細については、『 Configuration Fundamentals Configuration Guide 』の「Using the Command Line Interface」の章を参照してください。
ほとんどすべてのコンフィギュレーション コマンドには、 no 形式があります。一般的には、機能をディセーブルにするには no 形式を入力します。ディセーブルされている機能を再度イネーブルにするか、デフォルトでディセーブルになっている機能を有効にするには、 no キーワードを指定せずにコマンドを使用します。たとえば、IP ルーティングはデフォルトでイネーブルになっています。IP ルーティングをディセーブルにするには、 no ip routing コマンドを指定します。これを再度イネーブルにするには、 ip routing を指定します。このマニュアルでは、コンフィギュレーション コマンドの構文全体について記述し、コマンドの no 形式の役割について説明します。
一部のコンフィギュレーション コマンドには、 default 形式があります。コマンドの default 形式は、コマンド設定をそのデフォルト設定に戻します。ほとんどのコマンドはデフォルトでディセーブルになっているため、 default 形式は no 形式と同じです。ただし、一部のコマンドはデフォルトでイネーブルになっており、変数が特定のデフォルト値に設定されています。このような場合は、コマンドの default 形式を使用すると、コマンドをイネーブルにし、その変数をデフォルト値に戻すことができます。
コマンドの出力のパターンは文字列と呼ばれます。CLI の文字列検索機能を使用すると、 show または more コマンドの出力を検索またはフィルタリングでき、--More-- プロンプトで検索およびフィルタリングができるようになります。この機能は、大量の出力をソートする必要がある場合、または確認する必要のない出力を除外する場合に役立ちます。
検索機能を使用すると、指定した正規表現を含む最初の行からフィルタリングされていない出力を開始できます。コマンド 1 つごとに最大 1 つのフィルタを指定できます。また、-- More -- プロンプトで新しい検索を開始できます。
正規表現とは、ソフトウェアが show または more コマンドの出力とのマッチングを行うために使用するパターン(語句、数値、またはより複雑なパターン)のことです。正規表現では、大文字と小文字が区別され、複雑なマッチング要件を可能にします。単純な正規表現の例としては、Serial、misses、138 などがあります。複合正規表現の例としては、00210...、( is )、[Oo]utput などがあります。
• 指定した正規表現を含む行から出力を開始するには、 begin キーワードを使用します。
• 指定した正規表現を含む出力行を含めるには、 include キーワードを使用します。
• 指定した正規表現を含む出力行を除外するには、 exclude キーワードを使用します。
その後、--More-- プロンプトでこのフィルタリングされた出力を検索できます。
(注) CLI の文字列検索機能では、前の出力を逆方向に検索またはフィルタリングすることはできません。また、HTTP を使用して CLI にアクセスしている場合は、フィルタリングを指定できません。
正規表現では、コマンド出力に含まれる同じ 1 文字と一致する 1 文字を指定することも、コマンド出力に含まれる同じ複数の文字と一致する複数の文字を指定することもできます。この項では、1 文字のパターンと複数文字のパターンの両方を作成する方法について説明し、繰り返し指定、二者択一、位置指定、およびカッコを使用してより複雑な正規表現を作成する方法について説明します。
最も単純な正規表現は、コマンドの出力内の同じ 1 つの文字と一致する 1 文字のパターンです。この 1 文字のパターンには、文字(A ~ Z、a ~ z)または数字(0 ~ 9)を使用できます。その他のキーワード文字(たとえば、! または ~)を 1 文字のパターンとして使用できますが、一部のキーワード文字には、正規表現として使用すると特別な意味を持つものがあります。 表 1-4 に、特別な意味の文字を示します。
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カンマ(,)、左波カッコ({)、右波カッコ(})、左丸カッコ(()、右丸カッコ())、文字列の先頭、文字列の末尾、またはスペースと一致します。 |
これらの特殊文字を 1 文字のパターンとして入力するには、各文字の前にバックスラッシュ(\)を付けて特別な意味を消去します。次の例は、それぞれがドル記号、アンダースコア、およびプラス記号と一致する 1 文字のパターンです。
1 文字のパターンの範囲を指定して、コマンド出力とのマッチングを行うことができます。たとえば、a、e、i、o、または u のうちの 1 文字を含む文字列と一致する正規表現を作成できます。パターン マッチングが成功するには、これらの文字のうちの 1 つのみが文字列に含まれている必要があります。1 文字のパターンの範囲を指定するには、1 文字のパターンを角カッコ([ ])で囲みます。 次に例を示します。
小文字のアルファベットの 5 つの母音のうちの任意の 1 文字と一致します。
小文字または大文字のアルファベットの先頭から 4 文字のうちの任意の 1 文字と一致します。
範囲の終点のみをダッシュ(-)で区切って入力することにより、範囲を簡略化できます。上記の範囲は次のように簡略化できます。
範囲に 1 文字のパターンとしてダッシュを追加するには、ダッシュをもう 1 つ追加し、その前にバックスラッシュを入力します。
範囲に 1 文字のパターンとして右角カッコ(])を含めることもできます。次のように入力します。
上記の例は、大文字または小文字のアルファベット、ダッシュ、または右角カッコのうちの 4 種類の文字のうち、最初に現れた任意の 1 文字と一致します。
範囲の最初にカレット(^)を含めることにより、範囲の一致を反転させることができます。次の例では、指定された文字以外の任意の 1 文字と一致します。
正規表現を作成するときに、複数の文字を含むパターンを指定することもできます。文字、数字、または特別の意味を持たないキーボード文字を組み合わせて複数文字パターンの正規表現を作成します。たとえば、a4% は複数文字の正規表現です。特別な意味を持つキーボード文字から、その特別な意味をなくすには、キーボード文字の前にバックスラッシュを入力します。
複数文字のパターンでは、パターン指定の順序が重要です。a4% という正規表現は、a という文字のあとに 4 が続き、そのあとに % 記号が続く文字と一致します。文字列に a4% という文字がこの順序で含まれていない場合、パターン マッチングは失敗します。次のような複数文字の正規表現があるとします。
この例では、ピリオド文字の特別な意味が使用され、a という文字のあとに任意の文字が 1 つある文字列と一致します。つまり、ab、a!、または a2 という文字列は、この正規表現に対してすべて有効に一致します。
ピリオド文字の前にバックスラッシュを入力することで、ピリオド文字から特別な意味をなくすことができます。次のような正規表現があるとします。
この場合、a. という文字列のみがこの正規表現と一致します。
すべてが文字、数字、キーボード文字、あるいは文字、数字、その他のキーボード文字の組み合わせから構成される複数文字の正規表現を作成できます。次の例は、すべて有効な正規表現です。
ある特殊文字を 1 文字のパターンおよび複数文字のパターンとともに使用することにより、指定された正規表現の繰り返しと一致する複雑な正規表現を作成できます。 表 1-5 に、正規表現の「繰り返し」を指定する特殊文字を示します。
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次の例は、任意の個数(0 個を含む)のアルファベット a と一致します。
次のパターンでは、文字列の中で最低 1 個のアルファベット a と一致する必要があります。
次のパターンは、文字列 bb または bab と一致します。
複数文字のパターンで繰り返し指定を使用するには、パターンをカッコで囲みます。次の例のパターンは、複数文字の文字列 ab と何度でも一致します。
より複雑な例として、次のパターンは、1 個以上の英数字ペアと一致します(ただし、0、つまり空の文字列には一致しません)。
繰り返し指定(*、+、または ?)を使用するマッチングの順序としては、最も長い構造から先にマッチングが行われます。ネストされた構造のマッチングは、外側から内側へ行われます。連結された構造のマッチングは、構造の左側から順に行われます。そのため、上記の正規表現は、数字の前に文字が指定されているため、A9b3 には一致しますが、9Ab3 には一致しません。
二者択一を使用すると、文字列とのマッチングに二者択一のパターンを指定できます。二者択一のパターンは、縦棒(|)で区切ります。選択肢のうちの 1 つのみが、文字列と一致できます。たとえば、次のような正規表現があるとします。
この正規表現は、codex または telebit の文字列と一致しますが、codex と telebit の両方とは一致しません。
文字列の先頭または末尾に対して正規表現パターンのマッチングを行うことができます。つまり、文字列の先頭または末尾に固有のパターンが含まれるよう指定できます。 表 1-6 に示す特殊文字を使用して、文字列の一部に対して、これらの正規表現の「位置指定」を行います。
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次の正規表現が文字列と一致するのは、文字列が abcd で始まる場合のみです。
これに対して、次の正規表現は、a、b、c、d という文字の範囲を指定し、この範囲以外の任意の 1 文字に一致することを表します。
次の例では、正規表現は .12 で終わる文字列と一致します。
これらの位置指定文字を特殊文字のアンダースコア(_)と対比してみてください。アンダースコアは、文字列の先頭(^)、文字列の末尾($)、カッコ(( ))、スペース( )、波カッコ({ })、カンマ(,)、またはアンダースコア(_)と一致します。アンダースコア文字を使用すると、文字列内の任意の位置にパターンを指定できるようになります。
この場合、文字列内のいずれかの場所に 1300 が含まれている文字列と一致します。文字列の 1300 の前後に、スペース、波カッコ、カンマ、またはアンダースコアが含まれていても構いません。次に例を示します。
この場合、正規表現に一致しますが、21300 や 13000 などは一致しません。
アンダースコア文字を使用すると、次のような正規表現の長いリストと差し替えることができます。
^1300$ ^1300(space) (space)1300 {1300, ,1300, {1300} ,1300, (1300
「繰り返し指定」で説明したように、複数文字の正規表現とともにカッコを使用して、パターンを繰り返すことができます。さらに、1 文字のパターンまたは複数文字のパターンをカッコで囲むことにより、正規表現の他の場所で使用できるようにパターンを記憶させることができます。
あらかじめ記憶されたパターンを呼び出す正規表現を作成するには、呼び出す対象となる特定のパターンを示すカッコ、バックスラッシュ(\)、整数という順序で入力し、記憶されたパターンを再利用します。整数は、正規表現のパターンの中に発生するカッコを指定します。正規表現内に記憶されたパターンが複数ある場合、\1 は最初に記憶されたパターン、\2 は 2 番目に記憶されたパターン、というようになります。
この正規表現は、先頭から順に a、任意の文字(文字 1 と呼ぶ)、bc、任意の文字(文字 2 と呼ぶ)と続いたあとに、再度、文字 1、文字 2 と続く文字列と一致します。つまり、この正規表現は aZbcTZT という文字列と一致します。ソフトウェアによって、文字 1 が Z で文字 2 が T であることが記憶され、そのあとの正規表現の中で再び Z および T が使用されます。
システムのリロードや停電時に設定の変更内容が失われないように設定の変更内容をスタートアップ コンフィギュレーションに保存するには、次のコマンドを入力します。
設定の保存には 1 ~ 2 分かかります。設定が保存されると、次の出力が表示されます。
ほとんどのプラットフォームでは、この手順によって設定が NVRAM に保存されます。クラス A フラッシュ ファイル システム プラットフォームでは、この手順によって CONFIG_FILE 環境変数で指定されている場所に設定が保存されます。CONFIG_FILE 環境変数のデフォルト値は NVRAM です。
これらのコマンドは、問題解決のためにテクニカル サポート担当者と直接作業している場合にだけ使用してください。これらのコマンドは、テクニカル サポート担当者がこのコマンドの使用を推奨した場合以外には使用しないでください。
(注) このマニュアルでは、show platform コマンドについては説明しません。