起動時の問題の解決
「電話機の起動プロセスの確認」で説明されているように、Cisco Unified IP Phone をネットワークに設置し、それを Cisco Unified CallManager に追加すると、電話機が起動します。電話機が正しく起動しない場合は、以下の項でトラブルシューティングの情報を参照してください。
• 「症状:Cisco Unified IP Phone が通常の起動プロセスを実行しない」
• 「症状:Cisco Unified IP Phone が Cisco Unified CallManager に登録されない」
症状:Cisco Unified IP Phone が通常の起動プロセスを実行しない
Cisco Unified IP Phone をネットワーク ポートに接続すると、電話機は通常の起動プロセスを実行し、LCD スクリーンに情報が表示されるはずです。電話機が起動プロセスを実行しない場合は、ケーブルの不具合、接続不良、ネットワークの停電、電力不足などの原因が考えられます。そうでなければ、電話機が機能していない可能性があります。
電話機が機能しているかどうかを判断するには、次の方法に従って、他の問題の可能性を体系的に排除します。
1. ネットワーク ポートが機能していることを確認します。
–イーサネット ケーブルを、動作確認済みのケーブルに交換します。
–機能している Cisco Unified IP Phone を別のポートから取り外し、それを当該のネットワーク ポートに接続して、ポートが有効であることを確認します。
–有効であることが分かっている別のネットワーク ポートに、起動しない Cisco Unified IP Phone を接続します。
–起動しない Cisco Unified IP Phone をスイッチ上のポートに直接接続し、オフィス内のパッチパネル接続を経由しないようにします。
2. 電話機が電源の供給を受けていることを確認します。
–外部電源を使用している場合は、電気のコンセントが機能していることを確認します。
–インライン パワーを利用している場合は、その代わりに外部電源装置を使用します。
–外部電源装置を使用している場合は、機能していることが分かっている装置に切り替えます。
3. それでも電話機が正しく起動しない場合は、受話器を外して電源を投入します。この方法で電話機に電源を投入すると、バックアップ ソフトウェア イメージの起動が試みられます。
4. それでも電話機が正しく起動しない場合は、出荷時の状態に戻すリセットを実行します。手順については、「出荷時の状態へのリセット」を参照してください。
上記の解決策を試みた後、5 分以上たっても Cisco Unified IP Phone の LCD スクリーンに文字が表示されない場合は、シスコのテクニカル サポート担当者にご相談ください。
エラー メッセージの特定
IP Phone が起動プロセスを繰り返すときは、問題の原因に関する情報を提供するステータス メッセージにアクセスすることができます。ステータス メッセージへのアクセスに関する説明、およびエラーの可能性とその説明、解決策の一覧については、「ステータスメッセージ画面」を参照してください。
Cisco Unified CallManager への電話機の登録
Cisco Unified IP Phone が Cisco Unified CallManager サーバに登録できるのは、電話機がすでにサーバに追加されている場合、または自動登録が有効になっている場合に限ります。「Cisco Unified CallManager データベースへの電話機の追加」の情報と手順を見直して、電話機が Cisco Unified CallManager データベースに追加されたことを確認します。
電話機が Cisco Unified CallManager データベースに含まれることを確認するには、Cisco Unified CallManager の管理ページから [デバイス]>[検索] の順に選択し、MAC アドレスに基づいて電話機を検索します。MAC アドレスの確認方法については、「Cisco Unified IP Phone の MAC アドレスの確認」を参照してください。
電話機が Cisco Unified CallManager のデータベースにすでに含まれている場合は、その設定ファイルは破損している可能性があります。サポートについては、「新しい設定ファイルの作成」を参照してください。
ネットワーク接続の確認
電話機と TFTP サーバまたは Cisco Unified CallManager との間でネットワークがダウンしている場合は、電話機は正常に起動できません。ネットワークが稼動中であることを確認してください。
TFTP サーバの設定の確認
電話機で使用される TFTP サーバの IP アドレスを調べるには、電話機の アプリケーション メニュー ボタンを押し、 [設定] >[ ネットワークの設定]>[TFTPサーバ 1] を選択します。
電話機にスタティック IP アドレスを割り当てた場合は、[TFTPサーバ 1]オプションの設定を手作業で入力する必要があります。「ネットワークの設定メニュー」を参照してください。
DHCP を使用している場合は、電話機は DHCP サーバから TFTP サーバ用のアドレスを取得します。オプション 150 に設定されている IP アドレスを確認します。
http://www.cisco.com/warp/customer/788/AVVID/win2000_dhcp.html で入手できる『 Configuring Windows 2000 DHCP Server for Cisco Unified CallManager 』を参照してください。
電話機が代替の TFTP サーバを利用できるようにすることも可能です。そのような設定が特に有用なのは、電話機の設置場所が変わったばかりのときです。詳細については、「ネットワークの設定メニュー」を参照してください。
IP アドレッシングとルーティングの確認
電話機の IP アドレッシングとルーティングの設定を確認する必要があります。DHCP サーバを使用している場合は、DHCP サーバからこれらの値が提供されるはずです。電話機にスタティック IP アドレスを割り当てた場合は、これらの値を手作業で入力する必要があります。
Cisco Unified IP Phone の アプリケーション メニュー ボタンを押して、 [設定] > [ネットワークの設定] を選択し、次のオプションを確認します。
• DHCPサーバ:電話機にスタティック IP アドレスを割り当てた場合は、
[DHCPサーバ]オプションの値を入力する必要はありません。ただし、DHCP サーバを使用している場合は、このオプションに値が入力されている必要があります。値が入力されていない場合は、IP ルーティングと VLAN の設定を確認してください。 http://www.cisco.com/warp/customer/473/53.shtml で入手できる『 Troubleshooting Switch Port Problems 』を参照してください。
• IPアドレス、サブネットマスク、デフォルトルータ:電話機にスタティック IP アドレスを割り当てた場合は、これらのオプションの設定を手作業で入力する必要があります。詳細については、「ネットワークの設定メニュー」を参照してください。
DHCP を使用している場合は、DHCP サーバから配布された IP アドレスを確認します。 http://www.cisco.com/warp/customer/473/100.html#41 で入手できる
『 Understanding and Troubleshooting DHCP in Catalyst Switch or Enterprise Networks 』を参照してください。
DNS の設定の確認
DNS を利用して TFTP サーバまたは Cisco Unified CallManager を参照している場合は、DNS サーバを指定してあることを確認する必要があります。この設定を確認するには、 アプリケーション メニュー ボタンを押し、 [設定] > [ネットワークの設定]>[DNSサーバ 1] を選択します。また、DNS サーバに TFTP サーバ用および Cisco Unified CallManager システム用の CNAME エントリがあることも確認する必要があります。
さらに、DNS が逆ルックアップを実行するように設定されていることも確認する必要があります。Windows 2000 のデフォルト設定では、順方向のルックアップのみを実行します。
Cisco Unified CallManager の設定の確認
Cisco Unified IP Phone で、 アプリケーション メニュー ボタンを押し、 [設定] > [ネットワークの設定] > CallManager 1 - 5 を選択します。Cisco Unified IP Phone は、割り当てられている Cisco Unified CallManager グループ内のすべての Cisco Unified CallManager サーバに TCP 接続を開始しようとします。これらのオプションのいずれにも IP アドレス、あるいは[アクティブ]状態または[スタンバイ]状態の表示が含まれない場合は、電話機は Cisco Unified CallManager に正しく登録されていません。この問題を解決する際のヒントについては、「Cisco Unified CallManager への電話機の登録」を参照してください。
Cisco Unified CallManager と TFTP のサービスが動作していない
Cisco Unified CallManager または TFTP のサービスが動作していない場合、電話機が正常に起動できないことがあります。そのような場合は、システム全体に障害が起きていて、他の電話機やデバイスも正常に起動できないことがあります。
Cisco Unified CallManager のサービスが動作していない場合は、コールの発信にこのサービスを利用するネットワーク上のすべてのデバイスが影響を受けることになります。TFTP サービスが動作していない場合は、多数のデバイスが正常に起動できません。
サービスを開始するには、次の手順を実行します。
手順
ステップ 1 Cisco Unified CallManager の管理ページから、 [アプリケーション]> Cisco Unified CallManager Serviceability の順に選択します。
ステップ 2 Tools > Control Center の順に選択します。
ステップ 3 Servers 列からプライマリ Cisco Unified CallManager サーバを選択します。
選択したサーバのサービス名、サービスの状況、およびサービスの停止と開始を行うためのサービス コントロール パネルが表示されます。
ステップ 4 サービスが停止している場合は、 Start ボタンをクリックします。
Service Status 記号が四角形から矢印に変わります。
新しい設定ファイルの作成
この章の他の方法でも解決できない問題が特定の電話機で続く場合は、設定ファイルが破損している可能性があります。新しい設定ファイルを作成するには、次の手順を実行します。
手順
ステップ 1 Cisco Unified CallManager で、 [デバイス]>[電話]>[検索] の順に選択して、問題のある電話機を特定します。
ステップ 2 [削除] を選択して、Cisco Unified CallManager データベースから当該の電話機を削除します。
ステップ 3 当該の電話機を Cisco Unified CallManager データベースに再び追加します。詳細については、「Cisco Unified CallManager データベースへの電話機の追加」を参照してください。
ステップ 4 電話機の電源投入サイクルを実行します。
(注) • Cisco Unified CallManager データベースから電話機を削除すると、その設定ファイルは Cisco Unified CallManager TFTP サーバから削除されます。その電話機の電話番号は Cisco Unified CallManager データベースに残ります。これは「割り当てられていない電話番号」と呼ばれ、他のデバイスに利用することができます。割り当てられていない電話番号が他のデバイスに利用されない場合は、Cisco Unified CallManager データベースからその番号を削除します。ルート プラン レポートを利用して、割り当てられていない参照番号を表示し、削除することができます。詳細については、『Cisco Unified
CallManager アドミニストレーション ガイド』を参照してください。
• 電話ボタン テンプレート上のボタンを変更するか、別の電話ボタン テンプレートを電話機に割り当てると、その電話機から電話番号にアクセスできなくなることがあります。Cisco Unified CallManager のデータベースでは電話番号は依然としてその電話機に割り当てられていますが、コールに応答するのに使う電話機上にはボタンはありません。それらの電話番号を電話機から消去し、必要に応じて削除してください。
Cisco Unified IP Phone が突然リセットされる
電話機がコール中または使用していないときにリセットされるという報告をユーザから受けた場合は、その原因を調査する必要があります。ネットワーク接続と Cisco Unified CallManager の接続が安定している場合は、Cisco Unified IP Phone が単独でリセットされることはありません。
一般的に、電話機がリセットされるのは、イーサネット ネットワークへの接続、または Cisco Unified CallManager への接続に問題がある場合です。次の項は、ネットワーク内における電話機のリセットの原因を特定するのに役立ちます。
• 「物理的な接続の確認」
• 「断続的なネットワークの停止の特定」
• 「DHCP の設定の確認」
• 「スタティック IP アドレスの設定の確認」
• 「ボイス VLAN の設定の確認」
• 「電話機が意図的にリセットされていないことの確認」
• 「DNS またはその他の接続エラーの解決」
物理的な接続の確認
Cisco Unified IP Phone が接続されているイーサネット接続が稼動していることを確認します。たとえば、電話機が接続されている特定のポートまたはスイッチがダウンしているかどうかを調べてください。
断続的なネットワークの停止の特定
断続的なネットワークの停止は、データ トラフィックと音声トラフィックに異なる影響を及ぼします。ネットワークでは、断続的な停止が検出されないまま発生していることがあります。そのような場合、データ トラフィックは、失われたパケットを再び送信し、パケットの送受信を確認することができます。一方、音声トラフィックは失われたパケットを取り戻すことはできません。電話機は、失われたネットワーク接続を再送信するのではなく、リセットし再びネットワーク接続を試みます。
音声ネットワークに問題が発生している場合は、単に既存の問題が表面化しているだけなのかどうかを調べる必要があります。
DHCP の設定の確認
以下の方法は、DHCP を利用するために電話機が正しく設定されているかどうかを判断するのに役立ちます。
1. DHCP を使用するために電話機が正しく設定されていることを確認します。詳細については、「ネットワークの設定メニュー」を参照してください。
2. DHCP サーバが正しく設定されていることを確認します。
3. DHCP のリース期間を確認します。リース期間を 8 日に設定することをお勧めします。
Cisco Unified IP Phone は、DHCP アドレス リースを更新するために、要求タイプ 151 のメッセージを送信します。DHCP サーバが要求タイプ 150 のメッセージを必要とする場合、リースは拒否され、電話機は強制的に再起動され、DHCP サーバに新しい IP アドレスを要求するように強制されます。
スタティック IP アドレスの設定の確認
電話機にスタティック IP アドレスが割り当てられている場合は、正しい設定値が入力されているかどうかを確認します。詳細については、「ネットワークの設定メニュー」を参照してください。
ボイス VLAN の設定の確認
ネットワーク使用量が多いとき(たとえば、電話機と同じスイッチに接続されているコンピュータ上で過度の Web サーフィンを行ったときなど)に Cisco Unified IP Phone がリセットされるように思われる場合は、ボイス VLAN が設定されていない可能性があります。電話機を別の補助 VLAN 上に分離すると、音声トラフィックの質が向上します。
電話機が意図的にリセットされていないことの確認
Cisco Unified CallManager へのアクセス権を持つシステム管理者が他にもいる場合は、他のシステム管理者が電話機を意図的にリセットしていないかどうかを確認してください。
電話機上の アプリケーション メニュー ボタンを押して、 [設定]>[ステータス]>[ネットワーク統計] の順に選択すると、Cisco Unified IP Phone が Cisco Unified CallManager からリセット コマンドを受信したかどうかを確認することができます。電話機が最近リセットされた場合は、次のメッセージのいずれかが表示されます。
• Reset-Reset:Cisco Unified CallManager の管理ページから Reset/Reset を受信したため、電話機が終了したことを示します。
• Reset-Restart:Cisco Unified CallManager の管理ページから Reset/Restart を受信したため、電話機が終了したことを示します。
DNS またはその他の接続エラーの解決
電話機がリセットし続ける場合は、次の手順を実行して DNS またはその他の接続エラーを解決します。
ステップ 1 [削除] ソフトキーを使用して、電話機の設定をデフォルト値にリセットします。詳細については、「Cisco Unified IP Phone のリセットまたは復元」を参照してください。
ステップ 2 DHCP および IP の設定を変更します。
a. DHCP を無効にします。詳細については、「ネットワークの設定メニュー」を参照してください。
b. スタティック IP 値を電話機に割り当てます。詳細については、「ネットワークの設定メニュー」を参照してください。機能している他の Cisco Unified IP Phone と同じデフォルト ルータ設定を使用します。
c. TFTP サーバを割り当てます。詳細については、「ネットワークの設定メニュー」を参照してください。機能している他の Cisco Unified IP Phone と同じデフォルト TFTP サーバを利用します。
ステップ 3 Cisco Unified CallManager サーバ上のローカル ホスト ファイルで、正しい Cisco Unified CallManager サーバ名が正しい IP アドレスにマップされていることを確認します。 http://www.cisco.com/warp/customer/788/AVVID/cm_hosts_file.html で入手できる『 Configuring The IP Hosts File on a Windows 2000 CallManager Server 』を参照してください。
ステップ 4 Cisco Unified CallManager で、 [システム]>[サーバ] の順に選択し、サーバが DNS 名ではなく、IP アドレスによって参照されていることを確認します。
ステップ 5 Cisco Unified CallManager で、 [デバイス]>[電話] の順に選択し、この Cisco Unified IP Phone に正しい MAC アドレスが割り当てられていることを確認します。MAC アドレスの確認方法については、「Cisco Unified IP Phone の MAC アドレスの確認」を参照してください。
ステップ 6 電話機の電源投入サイクルを実行します。
Cisco Unified IP Phone のセキュリティのトラブルシューティング
表9-1 は、Cisco Unified IP Phone のセキュリティ機能のためのトラブルシューティング情報を示します。これらの問題の解決策に関する情報、およびセキュリティに関するトラブルシューティングの詳細については、『Cisco Unified CallManager セキュリティ ガイド』を参照してください。
表9-1 Cisco Unified IP Phone のセキュリティのトラブルシューティング
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デバイス認証エラー。 |
CTL ファイルに Cisco Unified CallManager 証明書がない、または証明書が不適切です。 |
電話機が CTL ファイルを認証できない。 |
最新の CTL ファイルに署名したセキュリティ トークンが、電話機の CTL ファイルに存在しません。 |
電話機が CTL ファイル以外の設定ファイルを認証できない。 |
TFTP レコードが不適切です。 |
電話機が TFTP の認証の失敗を報告する。 |
• CTL ファイルに電話機の TFTP アドレスがありません。 • 新しい TFTP レコードを含む新しい CTL ファイルを作成した場合は、電話機上の既存の CTL ファイルには新しい TFTP サーバ用のレコードが含まれない可能性があります。 |
電話機が Cisco Unified CallManager に登録されない。 |
CTL ファイルに Cisco Unified CallManager サーバ用の正しい情報が含まれていません。 |
電話機が署名済みの設定ファイルを要求しない。 |
証明書付きの TFTP エントリが CTL ファイルに含まれていません。 |
一般的なトラブルシューティングのヒント
ここでは、Cisco Unified IP Phone で起こる可能性がある一般的な問題のトラブルシューティング情報を示します。
表9-2 は、Cisco Unified IP Phone の一般的なトラブルシューティングの情報を示します。
表9-2 Cisco Unified IP Phone のトラブルシューティング
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IP Phone のデイジーチェーン接続。 |
アクセス ポートを介して、IP Phone を別の IP Phone に接続しないでください。各 IP Phone をスイッチ ポートに直接接続する必要があります。複数の IP Phone を 1 列に接続(デイジーチェーン接続)すると、1 台の IP Phone の問題が、同じ列内の後続のすべての IP Phone に影響を与える可能性があります。また、同じ列内のすべての IP Phone は帯域幅も共有することになります。 |
G.729 プロトコルを使用してデジタル携帯電話と通話するときの音声品質が悪い。 |
Cisco Unified CallManager では、G.729 プロトコルを使用するようにネットワークを設定できます(デフォルトは G.711)。G.729 を使用すると、IP Phone とデジタル携帯電話の間のコールの音声品質が悪くなります。必要不可欠な場合に限り、G.729 を使用してください。 |
継続的なブロードキャスト ストームにより、IP Phone が再登録される。 |
ボイス VLAN 上に継続的なブロードキャスト ストーム(数分間続く)があると、IP Phone が別の Cisco Unified CallManager サーバに再登録されます。 |
電話機からワークステーションにネットワーク接続を移行する。 |
ネットワーク接続を介して電話機に電源を供給している場合は、電話機のネットワーク接続を取り外し、ケーブルをデスクトップ コンピュータに差し込む際に、注意が必要です。
注意 コンピュータのネットワーク カードは、ネットワーク接続を介して電源の供給を受けることはできません。ネットワーク接続を介して電源が供給されると、ネットワーク カードが破損する可能性があります。ネットワーク カードを保護するため、電話機からケーブルを抜いた後、コンピュータにそれを差し込む前に 10 秒以上待ってください。10 秒以上経過すれば、スイッチは回線上に電話機が存在しなくなったことを認識し、ケーブルへの電源の供給を停止します。
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電話機の設定を変更する。 |
ユーザがネットワーク接続に影響を及ぼし得る変更を加えないようにするために、デフォルトでは、ネットワーク設定オプションはロックされています。システム管理者は、ネットワーク設定オプションを設定する前に、ロックを解除する必要があります。詳細については、「オプションのロックとロック解除」を参照してください。 |
電話機がリセットされる。 |
電話機は、Cisco Unified CallManager ソフトウェアとの接続が途切れるとリセットされます。接続が途切れた原因として、ケーブルの破損、スイッチの停止、スイッチのリブートなど、何らかのネットワーク接続の中断が考えられます。 |
LCD スクリーンの問題。 |
画面に線の歪みや起伏があるように見える場合は、建物内にある特定のタイプの旧式蛍光灯の影響を受けている可能性があります。電話機をその蛍光灯から離すか、蛍光灯を交換すれば、問題が解決するはずです。 |
デュアルトーン複数周波数(DTMF)の遅延。 |
キーパッド入力が必要な通話時に、キーを押すのが速すぎると、入力の一部が認識されない場合があります。 |
ループバック状態。 |
次の条件を満たす場合に、ループバック状態が発生することがあります。 • 電話機の[ネットワークの設定]メニューの[SWポート設定]オプションが 10 Half (10-BaseT/半二重)に設定されている。 • 外部電源装置から電話機に電力を供給している。 • 電話機の電源が入っていない(電源装置が接続されていない)。 この場合、電話機のスイッチ ポートが無効になる可能性があり、次のメッセージがスイッチのコンソール ログに表示されます。 HALF_DUX_COLLISION_EXCEED_THRESHOLD この問題を解決するには、スイッチからポートを再度有効にします。 |
Cisco Unified IP Phone のリセットまたは復元
Cisco Unified IP Phone をリセットまたは復元するには、次の 2 つの方法があります。
• 「基本リセットの実行」
• 「出荷時の状態へのリセット」
基本リセットの実行
Cisco Unified IP Phone の基本リセットは、電話機に障害が発生した場合に復旧する方法、およびさまざまな構成やセキュリティの設定をリセットまたは復元する方法です。
表9-3 では、基本リセットの実行方法について説明しています。電話機が起動した後、それらの手順を使用して、いつでも電話機をリセットすることができます。状況に応じた操作を選択します。
表9-3 基本リセットの方法
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電話機をリセットします。 |
任意の画面で(ただし、電話機がアイドル状態でないときに)、 **#** を押します。 |
変更を加えたがまだフラッシュ メモリに書き込まれていないユーザおよびネットワークの設定を、過去に保存された設定にリセットします。その後、電話機を再起動します。 |
[削除] ソフトキー |
[設定]メニューで、電話機のオプションのロックを解除します(「オプションのロックとロック解除」を参照)。 [削除] ソフトキーを押します。 |
ユーザとネットワークの構成の設定をデフォルト値にリセットし、電話機から CTL ファイルを削除します。その後、電話機を再起動します。 |
[ネットワークの設定]メニューで、電話機のオプションのロックを解除します(「オプションのロックとロック解除」を参照)。 [削除] ソフトキーを押します。 |
ネットワーク設定の設定値をデフォルト値にリセットし、電話機をリセットします(リセットすることで、DHCP が電話機の IP アドレスを再設定します)。 |
[セキュリティ設定]メニューで、電話機のオプションのロックを解除します(「オプションのロックとロック解除」を参照)。 [削除] ソフトキーを押します。 |
電話機から CTL ファイルを削除して電話機を再起動します。 |
出荷時の状態へのリセット
Cisco Unified IP Phone を出荷時の状態にリセットすると、以下の情報が消去されるか、またはデフォルト値にリセットされます。
• CTL ファイル:消去されます。
• ユーザ構成の設定:デフォルト値にリセットされます。
• ネットワークの設定値:デフォルト値にリセットされます。
• 通話履歴:消去されます。
• ロケール情報:デフォルト値にリセットされます。
• 電話機のアプリケーション:削除(電話機は、term11.default.loads ファイルをロードして復旧されます)。
(注) 次の手順を実行する前に、この電話機を DHCP 対応のネットワークに設定する必要があります。
電話機を出荷時の状態にリセットするには、次の手順を実行します。
手順
ステップ 1 電話機から電源ケーブルを抜いた後、再び差し込みます。
電話機は電源投入サイクルを開始します。
ステップ 2 電話機の電源を投入し、 アプリケーション メニュー ボタンが点滅する前に、 # を押したままにします。
受話器のメッセージ LED が赤く点滅し続けるまで、# を押し続けます。
ステップ 3 # を離し、 123456789*0# を押します。
番号を押し間違えたときは、任意のキーを続けて 2 回押します。この場合、出荷時の状態にリセットしません。
123456789*0# とキーを押すと、受話器の赤いメッセージ LED の点滅が速くなり、電話機で出荷時の状態へのリセット プロセスが実行されます。
出荷時の状態へのリセット プロセスが完了し、メイン画面が表示されるまで、電話機の電源を切断しないでください。
Quality Report Tool の利用
Quality Report Tool(QRT)は、Cisco Unified IP Phone の音声品質と一般的な問題を報告するツールです。QRT 機能は、Cisco Unified CallManager のインストールの一部としてインストールされます。
Cisco Unified IP Phone は、QRT と連係して機能するように設定できます。この設定により、ユーザは [品質] ソフトキーを押すことによって、電話機のコールの問題を報告できるようになります。[品質]ソフトキーが利用できるのは、Cisco Unified IP Phone の状態が「接続」、「会議への接続」、「接続転送」、「オンフック」のときだけです。
ユーザが [品質] ソフトキーを押すと、問題のカテゴリのリストが表示されます。ここでユーザが適切な問題のカテゴリを選択すると、XML ファイルにフィードバックが記録されます。実際に記録される情報は、ユーザがどのカテゴリを選択したか、また送信先のデバイスが Cisco Unified IP Phone かどうかによって異なります。
QRT に関する詳細については、『Cisco Unified CallManager Serviceability アドミニストレーション ガイド』および『Cisco Unified CallManager Serviceability システム ガイド』を参照してください。
コールの音声品質のモニタリング
ネットワーク内で送受信されるコールの音声品質を測定するために、Cisco Unified IP Phone は、秘匿イベントに基づく次の統計メトリックを使用します。DSP は秘匿フレームを処理して音声パケット ストリーム内のフレーム損失をマスクします。
• 秘匿率のメトリック:音声フレームの総数に対する秘匿フレームの比率を示します。間隔秘匿率は 3 秒おきに計算されます。
• 秘匿された秒数のメトリック:損失フレームに応じて、DSP が秘匿フレームを処理する秒数を示します。厳密に「秘匿された秒数」とは、DSP が 5% 超の秘匿フレームを処理した場合の秒数です。
• MOS-LQK のメトリック:数値スコアを使用して、相対的な音声リスニング品質を評価します。Cisco Unified IP Phone は、先行の 8 秒間でのフレーム損失に起因する音声秘匿イベントに基づいて、Listening Quality(LQK; リスニング品質)に対する Mean Opinion Score(MOS; 平均オピニオン評点)を算出し、コーデック タイプやフレーム サイズなどの知覚的な重み係数を設定します。
MOS LQK のスコアは、ITU の予備標準である P.VTQ を実装した、シスコ独自のアルゴリズムによって生成されます。
(注) 秘匿率および秘匿秒数は、フレーム損失に基づく主要な測定手段です。これに対して、MOS LQK のスコアは、リスニング品質を 5(非常に良い)から 1(非常に悪い)までの 5 段階で評価し、「人間の判断」によって同じ測定情報を提供します。
リスニング品質のスコア(MOS LQK)は、受信された音声シグナルの明瞭度や音質に関連しています。通話品質のスコア(G.107 などの MOS CQ)には、スムーズな会話の流れを妨げる障害要因(遅延など)が含まれます。
音声品質メトリックにアクセスするには、Cisco Unified IP Phone で[コールの統計]画面( 「コールの統計画面」 を参照)を使用するか、またはリモートで[ストリームの統計]( 「Cisco Unified IP Phone のリモート モニタ」 を参照)を使用します。
音声品質をモニタするためのメトリックを使用する場合は、パケット損失ゼロの正常な状態における標準的なスコアに注意し、そのメトリックを比較のベースラインとして使用します。
メトリックのランダムな変化の中から有意な変化を識別することが重要です。有意な変化とは、30 秒を超えて続くコールに対して、0.2 MOS 以上の範囲で持続的に変動するスコアのことです。秘匿率が変化している場合は、3% 超のフレーム損失が発生しているはずです。
MOS LQK のスコアは、Cisco Unified IP Phone が使用するコーデックによって異なる場合があります。次の各コーデックについて、パケット損失ゼロの正常な状態における MOS LQK の最大スコアを示します。
• G.711 コーデック:4.5
• G.719A/ AB:3.7
秘匿率がゼロの場合、IP ネットワーク内のフレームとパケットには遅延も損失も発生していません。
有意で持続的なメトリックの変化を観測した場合は、 表9-4 で一般的なトラブルシューティングの情報を参照してください。
表9-4 音声品質メトリックの変化
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MOS LQK のスコアの有意な低下が見られる。 |
パケット損失または高ジッタによるネットワーク障害: • 全体の MOS LQK が低下した場合は、障害が広範囲にわたって均一的に発生している可能性があります。 • 個別の MOS LQK が低下した場合は、障害が集中的に発生しています。 パケット損失およびジッタの有無を調べるには、秘匿率と秘匿秒数を照合します。 |
MOS LQK のスコアの有意な低下が見られる。 |
• 想定されるコーデック(RxType および TxType)以外のコーデックが電話機で使用されているかどうかを調べます。 • MOS LQK のバージョンがファームウェアのアップグレード後に変更されたかどうかを調べます。 |
秘匿率と秘匿秒数の有意な増加が見られる。 |
• パケット損失または高ジッタによるネットワーク障害。 |
秘匿率がゼロかそれに近い値であるにもかかわらず、音声品質が悪い。 |
• 音声チャネル内の雑音や歪み(エコー レベルやオーディオ レベルなど)。 • 複数のエンコード/デコードが発生するタンデム コール(セルラー ネットワークやテレホン カード ネットワークへのコールなど)。 • スピーカフォン、ハンズフリー携帯電話、またはワイヤレス ヘッドセットが原因の音響上の問題。 パケット送信カウンタ(TxCnt)およびパケット受信カウンタ(RxCnt)を調べて、音声パケットが流れていることを確認します。 |
(注) 音声品質メトリックから判断できるのはフレーム損失だけで、雑音や歪みについては判断できません。
Cisco Unified IP Phone のクリーニング
Cisco Unified IP Phone をクリーニングする際は、乾いた柔らかい布を使用して、本体のスクリーンを拭いてください。液体や粉末を電話機に直接つけないでください。他の非耐候性の電子機器と同様、液体や粉末は部品を傷め、故障の原因になる可能性があります。