電話機に関する問題のトラブルシューティング
この章では、ERL への電話機の割り当ておよび電話機の管理に関する問題の解決に役立つ情報について説明します。
• 「電話機が検出されない」
• 「位置未確認の電話機が多すぎる」
• 「Cisco Emergency Responder に電話機が表示されなくなることがある」
• 「共有回線で誤った ERL が使用される」
• 「不適切な ERL を使用した 802.11b エンドポイント」
電話機が検出されない
Cisco Emergency Responder(Emergency Responder)で、Cisco Unified Communications Manager(Cisco Unified CM)にホーミングしている電話機が検出されない場合、すべての Cisco Unified CM に SNMP で到達可能であり、SNMP が正しく設定されていることを確認します。Cisco Unified CM が SNMP で到達不能であっても、Emergency Responder のログにはイベントが記録されます。
Cisco Unified CM の SNMP 設定を確認するには、次の手順を実行します。
手順
ステップ 1 Emergency Responder Administration CLI にログインし、次のコマンドを使用して Cisco Unified CM サーバに ping を実行します。
utils network ping <ipaddress of CUCM>
ステップ 2 Cisco Unified CM への ping に成功したら、次の方法で Cisco Unified CM の SNMP 設定が正しいことを確認します。
• Linux ベースの Cisco Unified CM(バージョン 6.0 以降)を使用している場合は、Cisco Unified CM Serviceability Web インターフェイスにログインし、SNMP Web ページを使用して SNMP コミュニティ ストリングの設定を確認します。
• Windows ベースの Cisco Unified CM を使用している場合は、Cisco Unified CM でサービスを開き、次のように選択します。
[Start] > [Settings] > [Control Panel] > [Administrative Tools] >
[Services Properties] > [SNMP] > [Properties] > [Security] タブ
ステップ 3 Emergency Responder サーバで次の CLI コマンドを実行して、Cisco Unified CM に SNMP で到達可能かどうかを確認します。
utils snmp get <ccm ip-address/host name> <snmp-read-community-string> 1.3.6.1.2.1.1.2.0
Cisco Unified CM に SNMP で到達可能な場合、上記のコマンドの出力は次のようになります。
Variable = 1.3.6.1.2.1.1.2.0
value = OBJECT IDENTIFIER <sys-oid-of-ccm>
位置未確認の電話機が多すぎる
Emergency Responder は Cisco Unified CM から登録済み電話機のリストを取得し、すべての電話機の位置確認を試行します。Emergency Responder がスイッチ ポートの背後や設定済み IP サブネット内にある電話機の位置を確認できず、その電話機が設定済みの疑似電話機ではない場合、その電話は位置未確認の電話機リストに追加されます。
位置未確認の電話機が多数ある場合は、まずスイッチ ポートと電話機の更新プロセスを実行して、Emergency Responder で問題の一部が自動的に解決されるかどうかを確認してみます。詳細については、『Cisco Emergency Responder 8.6 Administration Guide』の「Manually Running the Switch-Port and Phone Update Process」を参照してください。
Emergency Responder で電話機の位置を確認できない原因はいくつかあります。
• 複数のスイッチ ポートで電話機が CDP(Cisco Discovery Protocol)ネイバーとしてレポートされると、その電話機は位置未確認の電話機として認識されます。電話機を CDP ネイバーとしてレポートするスイッチ ポートが 1 つだけの場合、この状態は次回の電話機トラッキングで修正されます。
• Emergency Responder で定義されていないスイッチに電話機が接続されています。スイッチの定義については、『Cisco Emergency Responder 8.6 Administration Guide』の「Identifying the LAN Switches」を参照してください。
• 電話機がサポート対象外のデバイスに接続されています。ルータ ポート、ルータに接続されるハブ、サポート対象外のスイッチなどです。サポート対象のスイッチのリストについては、『Cisco Emergency Responder 8.6 Administration Guide』の「Network Hardware and Software Requirements」を参照してください。電話機をサポート対象のデバイスに接続できない場合は、『Cisco Emergency Responder 8.6 Administration Guide』の「Manually Defining a Phone」で該当するタイプの電話機の設定方法を参照してください。
• 電話機はハブに接続され、ハブはサポート対象のスイッチ ポートに接続されていますが、そのスイッチ ポートが CDP をサポートしていません。Emergency Responder では、(サポート対象のスイッチ ポートに接続された)ハブに接続されている CDP 対応の電話機は常に検出できますが、この方法で接続されている非 CDP 電話機については、常に追跡できるわけではありません。非 CDP 電話機の場合、サポート対象のスイッチ ポートに電話機を直接接続するようにしてください。
• SNMP クエリーに応答しないなど、電話機が接続されているスイッチが現時点で到達不能です。この理由はいくつか考えられます。
– スイッチ上の SNMP の read コミュニティ ストリングが、Emergency Responder に設定されているストリングと一致しません。Emergency Responder の設定を修正してください。詳細については、『Cisco Emergency Responder 8.6 Administration Guide』の「Configuring the SNMP Connection」を参照してください。
– 電話機から CAM テーブルにアクセスする必要がありますが、Emergency Responder のスイッチに対して CAM のトラッキングがイネーブルではありません。『Cisco Emergency Responder 8.6 Administration Guide』の「Identifying the LAN Switches」を参照してください。
– ネットワークが停止しているため、Emergency Responder サーバとスイッチ間で通信ができません。ネットワークが停止している原因を特定し、解決してください。
Emergency Responder で次のスイッチ ポートと電話機全体の更新プロセスが実行されるまで、到達不能なスイッチは再試行されません。ただし、個々のスイッチに対して更新プロセスを実行すると再試行されます。
• 電話機は、別の Emergency Responder グループで処理されているスイッチに移動しました。この場合、その電話機の Emergency Responder グループ名が位置未確認の電話機リストに表示されます。移動後、次の増分電話機トラッキング プロセスでも電話機の位置が確認されない場合、スイッチ ポートと電話機全体の更新プロセスが実行されるまでは、この電話機がどの Emergency Responder グループに属していても位置確認はできません。
• 電話機には CAM ベースのトラッキングが必要ですが、電話機が接続されているスイッチで CAM ベースのトラッキングがイネーブルではありません。Cisco IP SoftPhone とその他の一部の電話機モデルには、CAM ベースのトラッキングが必要です。CAM ベースのトラッキングをイネーブルにする方法については、『Cisco Emergency Responder 8.6 Administration Guide』の「「Identifying the LAN Switches」を参照してください。CAM ベースのトラッキングが必要な電話機のリストについては、『Cisco Emergency Responder 8.6 Administration Guide』の「Network Hardware and Software Requirements」を参照してください。
Emergency Responder で電話機の位置を確認できない問題を解決したら、影響を受けたスイッチまたはすべてのスイッチで、スイッチ ポートと電話機の更新プロセスを実行します。
• 特定のスイッチで更新プロセスを実行するには、[Phone Tracking] > [LAN Switch Details] を選択し、左側の列のスイッチを選択し、[Locate Switch Ports] を選択します。
• すべてのスイッチで更新プロセスを実行するには、[Phone Tracking] > [Run Switch-Port & Phone Update] を選択します。
関連項目
• 『Cisco Emergency Responder 8.6 Administration Guide』の「 Identifying Unlocated Phones 」
• 『Cisco Emergency Responder 8.6 Administration Guide』の「 IP Subnet Phones 」
• 『Cisco Emergency Responder 8.6 Administration Guide』の「 Cisco Unified OS CLI Commands 」
Cisco Emergency Responder に電話機が表示されなくなることがある
Emergency Responder が電話機のトラッキング プロセスを実行中で、電話機は他の Cisco Unified CM クラスタに対してホーミング処理を実行中の場合、その電話機のレコードを保有する Cisco Unified CM クラスタはありません。したがって、Emergency Responder は電話機の存在を認識せず、Emergency Responder インターフェイスでその電話機を検索することはできません。ただし、電話機が Cisco Unified CM クラスタに正常に接続されると、次回の増分電話機トラッキング プロセスでは Emergency Responder がその電話機を追跡するので、電話機は Emergency Responder インターフェイスに表示されます。
この問題は、Emergency Responder での電話機トラッキング プロセス中に、電話機がバックアップ サーバからプライマリ Cisco Unified CM サーバに再接続された場合にも発生します。
共有回線で誤った ERL が使用される
シェアド ライン アピアランスを使用する複数の電話機が、1 つの Emergency Responder グループで監視されているスイッチから、別の Emergency Responder グループで監視されているスイッチに移動した場合、Emergency Responder は緊急コール時にそれらの電話機に対して誤った ERL を割り当てることがあります。異なる Cisco Unified CM クラスタがある別のキャンパスに電話機が移動し、移動した電話機が元の Cisco Unified CM クラスタにまだ登録されている場合、この問題が発生することがあります。また、複数の Cisco Unified CM クラスタで処理されている 1 つの大規模なキャンパス内を電話機が移動した場合にも発生することがあります。
移動した電話機は引き続き元の Cisco Unified CM クラスタに登録されているため、その電話機からの緊急コールは、元の Emergency Responder グループへルーティングされます。この場合、Emergency Responder グループは、他の Emergency Responder グループが監視しているスイッチに発信元の電話機が接続されていることを検出し、コールは H.323 クラスタ間トランクを介して適切な Emergency Responder グループに転送されます。クラスタ間トランクは発信元電話機の MAC アドレスを渡さないので、受信側の Emergency Responder グループは発信元電話機の MAC アドレスを認識しません。このため、発信者番号に基づいて、電話機を ERL に関連付ける必要があります。
受信側の Emergency Responder グループが監視しているスイッチに接続されている電話機が 1 台の場合、問題はありません。しかし、受信側の Emergency Responder グループが監視しているスイッチに、シェアド ライン アピアランスを使用する複数の電話機が接続されている場合、Emergency Responder は緊急コールを発信した電話機を推測する必要があります。シェアド ライン アピアランスを使用するすべての電話機が同じ ERL 内にある場合、推測は成功します。電話機の ERL が複数の場合、推測に失敗する可能性があります。
関連項目
• 『Cisco Emergency Responder 8.6 Administration Guide』の「 Deploying Cisco Emergency Responder In Two Main Sites 」
• 『Cisco Emergency Responder 8.6 Administration Guide』の「 Creating Route Patterns for Inter-Cisco Emergency Responder-Group Communications 」
不適切な ERL を使用した 802.11b エンドポイント
802.11b エンドポイント(802.11b で実行される Cisco Wireless IP 7920 Phone や Cisco IP SoftPhone など)は、設定済みのサブネットベースの ERL ではなく、スイッチ ポートベースの ERL を使用しています。
Cisco Emergency Responder(Emergency Responder)のコール ルーティングでは、スイッチ ポートの関連付けが優先されます。Emergency Responder は、エンド ポイント(802.11b エンドポイントを含む)に対するスイッチ ポート マッピングを検出すると、そのスイッチ ポート マッピングを使用して緊急コールをルーティングします。スイッチ ポート マッピングが検出されない場合、または対応するスイッチ ポートに ERL が設定されていない場合、Emergency Responder 1.2 はサブネット ERL 設定を使用して緊急コールをルーティングします。
次の条件が満たされていれば、Emergency Responder 8.6 はスイッチ ポートの背後にある 802.11b エンドポイントの位置を特定します。
• 接続しているアクセス ポイントまたはスイッチ ポートで、Cisco Discovery Protocol(CDP)がディセーブルです。
• 所定のスイッチに対し、Emergency Responder で CAM トラッキングがイネーブルになっています。
スイッチ ポート画面または ERL デバッグ ツール(「ERL Debug Tool を使用した Cisco Emergency Responder の設定の確認」を参照)で、802.11b エンドポイントがスイッチ ポートに関連付けられていることを確認してください。
サブネットベースの ERL を使用して 802.11b エンドポイントを追跡することをお勧めします。そのために、スイッチ ポートとアクセス ポイントで CDP をイネーブルにし、サブネットベースの ERLS を使用して 802.11b エンドポイントからの緊急コールをルーティングします。
関連項目
『Cisco Emergency Responder 8.6 Administration Guide』の「 Configuring IP Subnet-based ERLs 」