Cisco Unified Presence での Microsoft Exchange 予定表ステータス
Cisco Unified Presence に Microsoft Exchange を統合することによって、Microsoft Outlook の予定表/会議ステータスを Cisco Unified Presence のアベイラビリティ ステータスに取り込むことができます。次の表は、到達可能性のマッピングと、Cisco Unified Presence において会議ステータス(Microsoft Outlook 予定表に表示される)と Cisco Unified Presence のユーザのアベイラビリティ ステータスがどのように対応付けられるかを示しています。
表 1-1 予定表ステータスに基づく集約されたアベイラビリティ ステータス
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Cisco Unified Presence のステータス
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空き時間/仮の予定 |
応対可能 |
取り込み中 |
アイドル/ビジー |
外出中 退席中 |
退席中 |
Cisco Unified Presence と Microsoft Exchange 2003 および 2007 の統合:WebDAV 経由
• 「WebDAV インターフェイス経由での Exchange 統合の概要」
• 「Exchange 2003 および 2007 の管理役割と権限」
• 「次の作業」
WebDAV インターフェイス経由での Exchange 統合の概要
Microsoft Exchange サーバ(バージョン 2003 および 2007)は、WebDav による予定表の統合をサポートしています。 図 1 は、Exchange サーバによって公開される WebDAV インターフェイス上で Outlook Web Access(OWA)プロトコルを使用して Microsoft Exchange サーバ(バージョン 2003 および 2007)を Cisco Unified Presence に統合する方法を示しています。
Cisco Unified Presence は、1 つの WebDav フロントエンド Exchange サーバとのみ通信できます。Exchange フロントエンド サーバは、ユーザが Webdav のセットアップ時に設定する複数の Exchange バックエンド サーバと通信します。Microsoft Exchange は、Cisco Unified Presence 上の Exchange サーバに対して設定されたプレゼンス ゲートウェイを介して Cisco Unified Presence と通信します。
図 1 Microsoft Exchange と Cisco Unified Presence アーキテクチャの統合
Cisco Unified Presence と Microsoft Exchange 2007 および 2010 の統合:Exchange Web サービス(EWS)経由
• 「EWS インターフェイス経由での Exchange 統合の概要」
• 「Exchange 2007 および 2010 の管理役割と権限」
• 「Microsoft Exchange Server 2007 および 2010 と統合する場合のプレゼンス ゲートウェイの設定」
• 「この統合に伴う既知の問題」
EWS インターフェイス経由での Exchange 統合の概要
Microsoft Exchange 2007 では、WebDAV に加え、Exchange Web Services(EWS; Exchange Web サービス)でも SOAP に似た Exchange サーバ インターフェイスを使用して予定表を統合できます。Microsoft Exchange 2010 では、WebDAV がサポートされなくなったため、EWS を使用する方法でのみ予定表を統合できます。
(注) 会議通知機能および Cisco IP Phone Messenger 機能は、Microsoft Exchange 2003 または 2007 を WebDAV 経由で統合した場合にのみ有効になります。EWS 統合では、Cisco IP Phone Messenger の [今日の会議(Today's Meeting)] 設定は機能しません。
Exchange 2007 および 2010 の管理役割と権限
すべてのユーザ アカウントにアクセスするために WebDAV アクセスに特別なアカウントが必要であるのと同じように、EWS でも同様の機能が必要となります。EWS では、指定アカウントに「役割」を割り当てることにより、この機能を管理します。この役割は偽装権限を持っています。
Microsoft Exchange Server 2007
呼び出し元が Exchange 2007 サーバ上の別のユーザの電子メール アカウントにアクセスするためには、EWS 統合に偽装権限を持つアカウントが必要となります。呼び出し元は、自身のアカウントに付与された権限ではなく偽装されたアカウントに付与された権限を使用してユーザ アカウントを偽装します。
偽装されたアカウントは、Exchange 2007 を実行する Client Access Server(CAS; クライアント アクセス サーバー)に対する ms-Exch-EPI-Impersonation 権限を取得する必要があります。これにより、呼び出し元は、CAS サーバを使用してユーザの電子メール アカウントを偽装する権限を得ることができます。さらに、呼び出し元は、メールボックス データベースとディレクトリ内の個々のユーザ オブジェクトのいずれかに対する ms-Exch-EPI-MayImpersonat e 権限も取得する必要があります。
個々のユーザの Access Control List(ACL; アクセス コントロール リスト)がメールボックス データベース設定に優先するため、呼び出し元にデータベース内のすべてのメールボックスへのアクセスを許可し、必要に応じて同じデータベース内の特定のメールボックスへのアクセスを拒否できます。
Microsoft Exchange Server 2010
Microsoft Exchange Server 2010 は、Role-Based Access Control(RBAC; ロールベース アクセス コントロール)を使用して偽装アカウントに権限を付与し、ユーザに組織での職務に関連するタスクの実行を許可します。RBAC 権限を適用するには主に 2 つの方法があり、ユーザが管理者またはスーパー ユーザであるかエンドユーザであるかによって使い分けます。
• 管理役割グループ:Exchange のセットアップ プロセス中に 11 のデフォルト管理役割グループが提示されます。各グループには、その役割に固有の権限が関連付けられています。組み込まれている役割グループの例として、「受信者の管理」と「ヘルプ デスク」があります。通常、特定のタスクを実行する必要のあるスーパー ユーザは、該当する管理役割グループに割り当てられ、そのグループの権限を継承します。たとえば、製品サポート担当者は、Exchange 組織内のすべてのユーザの連絡先情報を変更できる必要があるため、ヘルプ デスク管理役割グループに割り当てます。
• 管理役割の割り当てポリシー:管理者やスーパー ユーザではない通常のユーザについては、管理役割の割り当てポリシーによって、変更できるメールボックスを決定します。 New-ManagementRoleAssignment コマンドレットを使用してユーザに ApplicationImpersonation 役割を割り当てると、アカウントが組織内のユーザを偽装し、そのユーザの代わりにタスクを実行できます。役割の割り当ての適用範囲は、 New-ManagementScope コマンドレットを使用して個別に管理され、特定の受信者またはサーバを対象としてフィルタリングできます。
(注) RBAC では、Exchange Server 2007 で必要となる ACL の変更および管理は不要です。
Microsoft Exchange Server 2007 および 2010 と統合する場合のプレゼンス ゲートウェイの設定
多数のユーザをサポートするためには(EWS による予定表との統合を有効にした場合)、Cisco Unified Presence が EWS トラフィックの負荷を複数の CAS サーバに分散する必要があります。Cisco Unified Presence は、EWS を介して複数の CAS サーバに接続でき、このラウンド ロビン方式を使用してトラフィック負荷に対応します。
• 最初にユーザの予定表購読を有効にしたときには、そのユーザには管理者によって設定された対象 CAS ホストのプールから CAS が割り当てられます。
• ユーザへの割り当ては、そのユーザの予定表購読が失敗するまで保持されます。
• ユーザの予定表購読が失敗した場合は、対象 CAS ホストのプールから CAS サーバが再度割り当てられます。
• Cisco Unified Presence が中間証明書チェーンを信頼できるように、各 CAS に固有の中間証明書が必要です。
(注) Cisco Unified Presence の本リリースは、Microsoft Exchange の自動検出サービスをサポートしていません。自動検出サービスは、CAS サーバにロードバランシング メカニズムが組み込まれていることを前提とします。
Cisco Unified Presence の管理画面で Exchange 統合用に EWS プレゼンス ゲートウェイを設定するときには、次の点に留意してください。
• WebDAV サーバと EWS サーバの混在環境を展開することはできません。1 つの WebDAV サーバと 1 つ以上の EWS サーバ ゲートウェイのいずれかを設定する必要があり、両方を設定することはできません。
• 1 つまたは複数 の EWS サーバを追加、更新、削除でき、サーバ数に上限はありません。ただし、[プレゼンス ゲートウェイ(Presence Gateway)] ウィンドウの [トラブルシュータ(Troubleshooter)] では、設定された EWS サーバのうち最初の 10 台についてのみステータスを確認および報告できます。
• EWS サーバ ゲートウェイは、EWS サーバ ゲートウェイに対して設定されたクレデンシャル(アカウント名とパスワード)を共有します。1 つの EWS サーバ ゲートウェイのクレデンシャルを変更すると、設定されている すべての EWS ゲートウェイのクレデンシャルが同じように変更されます。
• 1 つまたは複数の EWS サーバを追加、更新、または削除した 後で 、設定を有効にするために、Cisco UP プレゼンス エンジンを再起動する必要があります。複数の EWS サーバを 1 つずつ追加する場合は、Cisco UP プレゼンス エンジンを 1 回再起動するだけで、一度にすべての変更を有効にできます。
次の作業
「Cisco Unified Presence と統合(EWS 経由)するための Microsoft Exchange Server 2007 および 2010 の設定」
必要な設定タスク
Microsoft Exchange の Cisco Unified Presence への統合を設定する前に、次の互換性マトリクスを参照し、統合に必要なコンポーネントのインストールおよび設定が完了していることを確認してください。
表 1-2 互換性マトリクス
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Windows Server |
• Windows Server 2003 の最新のサービス パック(SP2) • Windows Server 2008 の最新のサービス パック(SP2) |
Cisco Unified Communications Manager |
Release 6.x 以降 |
Cisco Unified Presence |
Release 8.5 |
Microsoft Exchange Server 2003 |
Microsoft Exchange 2003 の最新のサービス パック(SP2) |
Microsoft Exchange Server 2007 |
Microsoft Exchange 2007 の最新のサービス パック(SP1) |
Microsoft Exchange Server 2010 |
Microsoft Exchange 2010 の最新のサービス パック(SP1) |
Active Directory |
• Active Directory 2003 with Windows Server 2003(SP2) -- または -- • Active Directory 2008 with Windows Server 2008(SP2) (注) Active Directory 内のユーザ名は、Cisco Unified Communications Manager に定義されたユーザ名と一致している必要があります。 |
サードパーティ証明書または証明書サーバ |
証明書を作成するためには、これらのいずれかが必要。 |
関連事項
クライアント アプリケーションで予定表ステータスを設定するには、Cisco Unified Presence の [ユーザ オプション(User Options)] ページを使用します。