CDP の設定

この章では、Cisco NX-OS デバイス上で Cisco Discovery Protocol(CDP)を設定する方法について説明します。

この章は、次の項で構成されています。

CDP について

Cisco Discovery Protocol(CDP)は、ルータ、ブリッジ、アクセス サーバ、コミュニケーション サーバ、スイッチを含め、シスコ製のあらゆる機器で動作する、メディアにもプロトコルにも依存しないプロトコルです。CDP を使用すると、デバイスに直接接続されているすべてのシスコ デバイスの情報を検出して表示できます。

CDP はネイバー デバイスのプロトコル アドレスを収集し、各デバイスのプラットフォームを検出します。CDP の動作はデータリンク層上に限定されます。異なるレイヤ 3 プロトコルをサポートする 2 つのシステムで相互学習が可能です。

CDP が設定された各デバイスは、マルチキャスト アドレスに定期的にアドバタイズメントを送信します。各デバイスは、SNMP メッセージを受信できるアドレスを少なくとも 1 つアドバタイズします。アドバタイズメントには保持時間情報も含まれます。保持時間は、受信デバイスが CDP 情報を削除するまでに保持する時間の長さを表します。アドバタイズメントまたはリフレッシュ タイマーおよびホールド タイマーを設定できます。

CDP Version-2(CDPv2)では、接続デバイスとの間でネイティブ VLAN ID またはポート デュプレックス ステートが一致していないインスタンスを追跡できます。

CDP では、次の Type-Length-Value(TLV)フィールドがアドバタイズされます。

  • デバイス ID

  • アドレス

  • ポート ID

  • 機能

  • バージョン

  • プラットフォーム

  • ネイティブ VLAN

  • 全二重/半二重

  • MTU

  • SysName

  • SysObjectID

  • 管理アドレス

  • Physical Location

  • VTP

すべての CDP パケットに VLAN ID が含まれます。レイヤ 2 アクセス ポート上で CDP を設定した場合、そのアクセス ポートから送信される CDP パケットには、アクセス ポートの VLAN ID が含まれます。レイヤ 2 トランク ポート上で CDP を設定した場合は、そのトランク ポートから送信される CDP パケットに、トランク ポート上で許可設定されている最小の VLAN ID が含まれます。トランク ポートは、そのトランク ポートの許可 VLAN リストに指定されている VLAN ID であれば、どの VLAN ID が含まれている CDP パケットでも受信できます。VLAN の詳細については、『Cisco Nexus 9000 シリーズ NX-OS レイヤ 2 スイッチング設定ガイド』を参照してください。

VTP 機能のサポート

次の条件に当てはまる場合、CDP は VLAN トランキング プロトコル(VTP)の type-length-value(TLV)フィールドを送信します。

  • CDP バージョン 2 がイネーブルになっています。

  • VTP 機能がイネーブルになっています。

  • VTP ドメイン名が設定されています。

show cdp neighbors detail コマンドを使用すると、VTP 情報を参照できます。

高可用性

Cisco NX-OS は、CDP のステートフルおよびステートレス両方のリスタートとスイッチオーバーをサポートします。ハイ アベイラビリティの詳細については、『Cisco Nexus 9000 シリーズ NX-OS ハイ アベイラビリティおよび冗長性ガイド』を参照してください。

仮想化のサポート

Cisco NX-OS は、CDP のインスタンスを 1 つサポートします。

CDP の注意事項と制約事項

CDP に関する設定時の注意事項および制約事項は、次のとおりです。

  • 接続数が 256 のハブにポートを接続した場合、CDP はポートあたり最大 256 のネイバーを検出できます。

  • デバイス上で CDP をイネーブルにする必要があります。イネーブルにしておかないと、インターフェイス上で CDP をイネーブルにできません。

  • CDP を設定できるのは、物理インターフェイスおよびポート チャネル上に限られます。

  • Cisco NX-OS リリース 10.3(1)F 以降、CDP は Cisco Nexus 9808 プラットフォーム スイッチでサポートされます。

  • Cisco NX-OS リリース 10.4(2)F 以降、CDP は Cisco Nexus 9232E-B1 プラットフォーム スイッチでサポートされます。

CDP のデフォルト設定

次の表に、CDP パラメータのデフォルト設定を示します。

パラメータ デフォルト
CDP グローバルおよびすべてのインターフェイスでイネーブル
CDP version バージョン 2
CDP device ID シリアル番号
CDP timer 60 秒
CDP hold timer 180 秒

CDP の設定


(注)  


この機能の Cisco NX-OS コマンドは、Cisco IOS のコマンドとは異なる場合があります。

CDP のグローバルな有効化または無効化

CDP はデフォルトで有効になっています。CDP をディセーブルにしてから、もう一度イネーブルにできます。

インターフェイス上で CDP をイネーブルにするには、先にデバイス上で CDP をイネーブルにしておく必要があります。CDP がグローバルなディセーブルになっているときに、特定のインターフェイス上で CDP をイネーブルにしても、これらのインターフェイス上で CDP がアクティブになることはなく、エラー メッセージが戻ります。

手順

  コマンドまたはアクション 目的

ステップ 1

configure terminal

例:

switch# configure terminal switch(config)#

グローバル設定モードを開始します。

ステップ 2

[no] cdp enable

例:

switch(config)# cdp enable

デバイス全体で CDP 機能を有効または無効にします。デフォルトでは有効。

ステップ 3

(任意) copy running-config startup-config

例:

switch(config)# copy running-config startup-config
(任意)

実行コンフィギュレーションを、スタートアップ コンフィギュレーションにコピーします。

インターフェイス上での CDP の有効化または無効化

CDP はデフォルトで、インターフェイス上でイネーブルです。インターフェイス上で CDP をディセーブルにできます。

CDP がグローバルなディセーブルになっているときに、特定のインターフェイス上で CDP をイネーブルにしても、これらのインターフェイス上で CDP がアクティブになることはなく、エラー メッセージが戻ります。

手順

  コマンドまたはアクション 目的

ステップ 1

configure terminal

例:

switch# configure terminal
switch(config)#

グローバル設定モードを開始します。

ステップ 2

interface interface slot/port

例:

switch(config)# interface ethernet 1/2
switch(config-if)#

インターフェイス設定モードを開始します。

ステップ 3

[no] cdp enable

例:

switch(config-if)# cdp enable

このインターフェイスで CDP を有効または無効にします。デフォルトでは有効。

(注)  

 
CDP がデバイス上でグローバルに有効になっていることを確認します。

ステップ 4

(任意) show cdp interface interface slot/port

例:

switch(config-if)# show cdp interface ethernet 1/2
(任意)

インターフェイスの CDP 情報を表示します。

ステップ 5

(任意) copy running-config startup-config

例:

switch(config)# copy running-config startup-config
(任意)

実行コンフィギュレーションを、スタートアップ コンフィギュレーションにコピーします。

CDP オプション パラメータの設定

この手順でオプションのコマンドを使用して CDP を変更できます。

手順

  コマンドまたはアクション 目的

ステップ 1

configure terminal

例:

switch# configure terminal switch(config)#

グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。

ステップ 2

(任意) cdp advertise {v1 | v2}

例:

switch(config)# cdp advertise v1
(任意)

デバイスがサポートする CDP のバージョンを設定します。デフォルトは v2 です。

ステップ 3

(任意) cdp format device-id {mac-address | serial-number | system-name}

例:

switch(config)# cdp format device-id mac-address
(任意)

CDP デバイス ID を設定します。オプションは次のとおりです。

  • mac-address :シャーシの MAC アドレスを指定します。

  • serial-number :シャーシのシリアル番号/組織固有識別子(OUI)

  • system-name :システム名または完全修飾ドメイン名

デフォルトは system-name です。

ステップ 4

(任意) cdp holdtime seconds

例:

switch(config)# cdp holdtime 150
(任意)

CDP ネイバー情報を削除するまでに保持する時間を設定します。範囲は 10 ~ 255 秒です。デフォルト値は 180 秒です。

ステップ 5

(任意) cdp timer seconds

例:

switch(config)# cdp timer 50
(任意)

CDP がネイバーにアドバタイズメントを送信するリフレッシュ タイムを設定します。範囲は 5 ~ 254 秒です。デフォルトは 60 秒です。

ステップ 6

(任意) copy running-config startup-config

例:

switch(config)# copy running-config startup-config
(任意)

実行コンフィギュレーションを、スタートアップ コンフィギュレーションにコピーします。

CDP コンフィギュレーションの確認

CDP 設定を表示するには、次のタスクのうちのいずれかを実行します。

コマンド 目的
show cdp all CDP がイネーブルになっているすべてのインターフェイスを表示します。
show cdp entry {all | name entry-name} CDP データベース エントリを表示します。
show cdp global CDP グローバル パラメータを表示します。
show cdp interface interface slot/port CDP インターフェイスのステータスを表示します。
show cdp neighbors {device-id | interface interface slot/port} [detail] CDP ネイバーのステータスを表示します。
show cdp interface interface slot/port インターフェイスの CDP トラフィック統計を表示します。

インターフェイスの CDP 統計情報を消去するには、clear cdp counters コマンドを使用します。

1 つまたはすべてのインターフェイスの CDP キャッシュを消去するには、clear cdp table コマンドを使用します。

show cdp neighbors detail コマンドを( show cdp neighbors コマンドの代わりに)使用することを推奨します。show cdp neighbors コマンドが表示するのは、プラットフォーム名の 13 文字だけです。完全なプラットフォーム名を表示するには、show cdp neighbors detail コマンドを使用します。

CDP のコンフィギュレーション例

CDP 機能を有効にして、リフレッシュ タイマーおよびホールド タイマーを設定する例を示します。

configure terminal
cdp enable
cdp timer 50
cdp holdtime 100