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このドキュメントは、米国シスコ発行ドキュメントの参考和訳です。リンク情報につきましては、日本語版掲載時点で、英語版にアップデートがあり、リンク先のページが移動/変更されている場合がありますことをご了承ください。あくまでも参考和訳となりますので、正式な内容については米国サイトのドキュメントを参照ください。
次の各トピックでは、Firepower システムにおける Firepower 7000 シリーズおよび 8000 シリーズ デバイスのハイ アベイラビリィの設定方法について説明します。
7000 および 8000 シリーズ デバイス ハイ アベイラビリティを利用することで、2 つのピア デバイス間または 2 つのピア デバイス スタック間のネットワーキング機能と設定データの冗長性を確保できます。
2 つのピア デバイスまたは 2 つのピア デバイス スタックを、ポリシーの展開、システムの更新、登録を行う単一の論理システムとして機能するハイ アベイラビリティ ペアとして構成することにより、構成の冗長性を実現できます。その他の設定データは、システムによって自動的に同期されます。
(注) | スタティック ルート、非 SFRP IP アドレス、およびルーティングの優先順位は、ピア デバイスまたはピア デバイス スタック間で同期されません。各ピア デバイスまたはピア デバイス スタックは、独自のルーティング インテリジェンスを維持します。 |
7000 および 8000 シリーズ デバイスのハイ アベイラビリティ ペアを構成するには、以下に従う必要があります。
両方のデバイスまたはデバイス スタックが正常なヘルス ステータスであり、同じソフトウェアを実行し、同じライセンスが有効になっている必要があります。詳細については、ヘルス モニタの使用を参照してください。特に、デバイスでのハードウェア障害は許容されません。ハードウェア障害が発生すると、デバイスがメンテナンス モードに入り、フェールオーバーがトリガーされます。
(注) | デバイスのペアを構成した後は、ペアを構成する個々のデバイスのライセンス オプションを変更することはできませんが、ハイ アベイラビリティ ペア全体のライセンスは変更できます。 |
両方のデバイスまたはデバイス スタックのプライマリ メンバーが同じモデルである必要があり、銅ケーブルまたは光ファイバの同じインターフェイスが必要です。
デバイス スタックのハードウェア構成は同一でなければなりませんが、インストール済みのマルウェア ストレージ パックについてはその限りではありません。たとえば、Firepower 8290 と別の 8290 のペアを構成することができます。どちらかのスタック内でマルウェア ストレージ パックが、どのデバイスに存在しなくても、1 つのデバイスにのみ、またはすべてのデバイスに存在しても構いません。
デバイスが NAT ポリシーのターゲットとなっている場合、両方のピアに同じ NAT ポリシーを適用する必要があります。
マルチドメイン展開では、7000 または 8000 シリーズ デバイスのハイ アベイラビリティまたはリーフ ドメイン内のデバイス スタックのみを確立できます。
7000 および 8000 シリーズ デバイス ハイ アベイラビリティのフェールオーバーは、手動または自動で行われます。手動でフェールオーバーをトリガーするには、ペアを構成するデバイスまたはスタックのいずれかでメンテナンス モードを開始します。
自動フェールオーバーは、アクティブ デバイスまたはアクティブ スタックの正常性が損なわれた場合、システム更新時、または管理者権限によりデバイスがシャットダウンされた場合に発生します。また、自動フェールオーバーは、アクティブ デバイスまたはデバイス スタックで NMSB 障害、NFE 障害、ハードウェア障害、ファームウェア障害、重大なプロセス障害、ディスク フル エラー、または 2 つのスタック構成のデバイス間のリンク障害が起きた場合にも発生します。バックアップ のデバイスまたはスタックの正常性がアクティブ デバイス同様に損なわれている場合は、フェールオーバーは行われず、クラスタは縮退状態になります。また、いずれかのデバイスまたはデバイス スタックがメンテナンス モードになっている場合も、フェールオーバーは行われません。アクティブ スタックからスタック ケーブルを切断すると、そのスタックはメンテナンス モードに入ることに注意してください。アクティブ スタックのセカンダリ デバイスをシャットダウンした場合も、スタックはメンテナンス モードに入ります。
(注) | ハイ アベイラビリティ ペアのアクティブなメンバーがメンテナンス モードになり、アクティブ ロールが他のペア メンバーにフェールオーバーされた場合、元のアクティブ ペアのメンバーは、通常動作に復帰したときに自動的にアクティブ ロールを再要求しません。 |
ポリシーを導入する際は、個々のデバイスやデバイス スタックではなく、デバイスの高可用性ペアにポリシーを導入します。ポリシーの導入が失敗すると、システムはいずれのデバイスまたはスタックにもポリシーを導入しません。ポリシーは最初にアクティブ デバイスまたはスタックに導入されてから、バックアップに導入されます。したがって、高可用性ペアでは常に、ピアのいずれかがネットワーク トラフィックを処理します。
注意 | 展開する際にリソースを要求すると、いくつかのパケットがインスペクションなしでドロップされることがあります。また、一部のコンフィギュレーションを展開すると、トラフィックのインスペクションを中断する Snort プロセスが再開します。このインスペクション中にトラフィックがドロップされるか、それ以上インスペクションが行われずに受け渡されるかは、管理対象デバイスのモデルおよびトラフィックの処理方法に応じて異なります。Snort® の再起動によるトラフィックの動作を参照してください。 Firepower 7010、7020、および 7030 の管理対象デバイスでは、設定変更の展開に最大 5 分かかる場合があります。利用できない時間を最小限にするために、導入は変更時間帯に実行します。Snort® の再起動シナリオおよび展開またはアクティブ化された際に Snort プロセスを再起動する設定を参照してください。 |
個々のデバイスまたはスタックが更新を受信するのではなく、高可用性ペアを構成するデバイスが単一のエンティティとして更新を受信します。更新が開始されると、システムは最初にバックアップ デバイスまたはスタックに更新を導入します。それによって、そのデバイスまたはスタックはメンテナンス モードに入ります。この状態は、必要なプロセスが再開してデバイスがトラフィックの処理を再び開始するまで維持されます。その後、システムはアクティブ デバイスまたはスタックに更新を導入して、同じプロセスを行います。
7000 または 8000 シリーズ デバイスのハイ アベイラビリティ構成は、Firepower システム展開(パッシブ、インライン、ルーテッド、またはスイッチド)に応じて決定します。同時に複数のロールを持たせてシステムを展開することもできます。4 つの展開タイプのうち、ハイ アベイラビリティを用いた冗長性をもたらすためにデバイスまたはスタックの構成が必要になるのは、パッシブ展開のみです。他の展開タイプでは、デバイス ハイ アベイラビリティを使用しても使用しなくてもネットワークの冗長性を確立できます。各展開タイプにおけるハイ アベイラビリティの概要については、以降の各項を参照してください。
一般に、パッシブ インターフェイスは中央スイッチのタップ ポートに接続されます。この場合、スイッチを通過するトラフィックのすべてを、パッシブ インターフェイスで分析することが可能になります。複数のデバイスが同じタップ フィードに接続されている場合、システムはそれぞれのデバイスからイベントを生成します。ハイ アベイラビリティ ペアとして構成されているデバイスは、アクティブまたはバックアップ のいずれかとして機能するため、システムはシステム障害が発生したとしてもトラフィックを分析できると同時に、重複するイベントを防止できます。
インライン セットは、自身を通過するパケットのルーティングを制御できないため、展開環境で常にアクティブになっていなければなりません。したがって、冗長性を確立できるかどうかは、外部システムがトラフィックを適切にルーティングするかどうかに依存します。冗長インライン セットは、7000 または 8000 シリーズ デバイスのハイ アベイラビリティを使用しても使用しなくても設定できます。
冗長インライン セットを展開するには、循環ルーティングを防止する一方で、トラフィックがインラインセットのいずれか 1 つだけを通過できるようにネットワーク トポロジーを設定します。インライン セットのいずれかで障害が発生すると、周辺ネットワークインフラストラクチャがゲートウェイ アドレスへの接続が切断されたことを検出し、ルートを調整して冗長セット経由でトラフィックを送信します。
IP ネットワーク内のホストは、既知のゲートウェイ アドレスを使用してトラフィックをさまざまなネットワークに送信する必要があります。ルーテッド展開で冗長性を確立するには、ルーテッド インターフェイスがゲートウェイ アドレスを共有し、そのアドレスに対するトラフィックを常に 1 つのインターフェイスだけが処理するようにしなければなりません。そのためには、仮想ルータで同じ数の IP アドレスを維持する必要があります。1 つのインターフェイスがアドレスをアドバタイズします。そのインターフェイスがダウンすると、バックアップ インターフェイスがアドレスのアドバタイズを開始します。
ハイ アベイラビリティ ペアのメンバーではないデバイスでは、複数のルーティングされたインターフェイス間で共有するゲートウェイ IP アドレスの設定し、SFRP によって冗長性を確保します。SFRP は、7000 または 8000 シリーズ デバイスのハイ アベイラビリティを使用しても使用しなくても設定できます。また、OSPF や RIP などのダイナミック ルーティングを使用して冗長性を確保することもできます。
スイッチド展開では、高度な仮想スイッチ設定の 1 つであるスパニング ツリー プロトコル(STP)を使用して冗長性を確保します。STP はブリッジ型ネットワーク トポロジを管理するプロトコルです。このプロトコルは、バックアップ リンクを設定することなく、冗長リンクでスイッチド インターフェイスの自動バックアップ を行えるように設計されています。スイッチド展開でのデバイスは、STP に依存して、冗長インターフェイス間のトラフィックを管理します。同じブロードキャスト ネットワークに接続されている 2 つのデバイスは、STP によって計算されたトポロジに基づいてトラフィックを受信します。
(注) | 7000 または 8000 シリーズ デバイスのハイ アベイラビリティ ペアに展開する予定の仮想スイッチを設定する際には、STP を有効にするよう強く推奨します。 |
7000 または 8000 シリーズ デバイスのハイ アベイラビリティを確立する際には、デバイスまたはスタックのうちの一方をアクティブとして指定し、もう一方をバックアップとして指定します。システムは、マージした設定を、ペアを構成するデバイスに適用します。競合が存在する場合、システムはアクティブとして指定されたデバイスまたはスタックの設定を適用します。
デバイスのペアを構成した後は、ペアを構成する個々のデバイスのライセンス オプションを変更することはできませんが、ハイ アベイラビリティ ペア全体のライセンスは変更できます。スイッチド インターフェイスまたはルーテッド インターフェイスで設定しなければならないインターフェイス属性がある場合、システムはハイ アベイラビリティ ペアを確立しますが、そのステータスを保留中に設定します。ユーザが必要な属性を設定した後、システムはハイ アベイラビリティ ペアを完成させて、正常なステータスに設定します。
ハイ アベイラビリティ ペアを確立した後、[デバイス管理(Device Management)] ページでは、ピア デバイスまたはスタックが単一のデバイスとして扱われます。デバイスのハイ アベイラビリティ ペアは、アプライアンス リストではハイ アイコン アイコン()が表示されます。ユーザが行った設定変更は、いずれもペアを構成するデバイスの間で同期されます。[デバイス管理(Device Management)] ページには、ハイ アベイラビリティ ペアのどのデバイスまたはスタックがアクティブであるかが表示されます。アクティブなデバイスまたはスタックは、手動または自動フェールオーバーが発生すると変更されます。
デバイスのハイ アベイラビリティ ペアの登録を Firepower Management Center から削除すると、その登録は両方のデバイスまたはスタックから削除されます。デバイスのハイ アベイラビリティ ペアを Firepower Management Center から削除する方法は、個々の管理対象デバイスを削除する場合の方法と同じです。
登録が削除されたハイ アベイラビリティ ペアは、別の Firepower Management Center に登録できます。ハイ アベイラビリティ ペアを構成する一方のデバイスを登録するには、ペアのうちアクティブ デバイスにリモート管理を追加してから、そのデバイスを Firepower Management Center に追加します。これにより、ペア全体が追加されます。ハイ アベイラビリティ ペアのうちスタック構成のデバイスを登録するには、どちらか一方のスタックのプライマリ デバイスにリモート管理を追加してから、そのデバイスを Firepower Management Center に追加します。これにより、ペア全体が追加されます。
スマート ライセンス |
従来のライセンス |
サポートされるデバイス |
サポートされるドメイン |
アクセス(Access) |
---|---|---|---|---|
該当なし |
Control |
7000 & 8000 シリーズ |
任意(Any) |
Admin/Network Admin |
7000 & 8000 シリーズ デバイスのハイ アベイラビリティ ペアを確立する際には、デバイスまたはスタックのうちの一方をアクティブとして指定し、もう一方をバックアップとして指定します。システムは、マージした設定を、ペア内のデバイスに適用します。競合が存在する場合、システムはアクティブとして指定されたデバイスまたはスタックの設定を適用します。
マルチドメイン展開では、ハイ アベイラビリティ ペアのデバイスは同じドメインに属している必要があります。
すべての要件が満たされていることを確認します。デバイスのハイ アベイラビリティ要件を参照してください。
スマート ライセンス |
従来のライセンス |
サポートされるデバイス |
サポートされるドメイン |
アクセス(Access) |
---|---|---|---|---|
該当なし |
Control |
7000 & 8000 シリーズ |
リーフのみ |
Admin/Network Admin |
7000 または 8000 シリーズ デバイスのハイ アベイラビリティ ペアを確立した後は、デバイス設定を変更すると、通常はハイ アベイラビリティ ペア全体の設定も変更されます。
[一般(General)] セクションのステータス アイコンにマウスのポインタを合わせると、ハイ アベイラビリティ ペアのステータスが表示されます。また、ペア内のデバイスまたはスタックのどれがアクティブ ピアで、どれがバックアップ ピアであるかも確認できます。
スマート ライセンス |
従来のライセンス |
サポートされるデバイス |
サポートされるドメイン |
アクセス(Access) |
---|---|---|---|---|
該当なし |
Control |
7000 & 8000 シリーズ |
リーフのみ |
Admin/Network Admin |
7000 または 8000 シリーズ デバイスの高可用性ペアを確立した後でも、ペア内の個々のデバイスに対して設定できる属性がいくつかあります。ペアリングされたデバイスに変更を加える方法は、単一のデバイスに変更を加える場合の方法と同じです。
スマート ライセンス |
従来のライセンス |
サポートされるデバイス |
サポートされるドメイン |
アクセス(Access) |
---|---|---|---|---|
該当なし |
Control |
Firepower 8140、Firepower 8200 ファミリ、Firepower 8300 ファミリ |
リーフのみ |
Admin/Network Admin |
高可用性ペアにスタック構成の 8000 シリーズ デバイスを設定すると、編集可能なスタック属性が制限されます。ペアリングされたスタックの名前は編集できます。また、高可用性ペアのデバイスでのインターフェイスの設定で説明している手順に従って、スタックのネットワーク設定を編集できます。
設定変更を展開します。設定変更の導入を参照してください。
スマート ライセンス |
従来のライセンス |
サポートされるデバイス |
サポートされるドメイン |
アクセス(Access) |
---|---|---|---|---|
該当なし |
Control |
7000 & 8000 シリーズ |
リーフのみ |
Admin/Network Admin |
7000 または 8000 シリーズ デバイスの高可用性ペアの個々のデバイスに、インターフェイスを設定できます。ただし、その場合には、ペアのピア デバイスにも同等のインターフェイスを設定する必要があります。ペアリングされたスタックの場合は、スタックのプライマリ デバイスのそれぞれに、同じインターフェイスを設定する必要があります。仮想ルータを設定するときに、その仮想ルータを設定するスタックを選択します。
スマート ライセンス |
従来のライセンス |
サポートされるデバイス |
サポートされるドメイン |
アクセス(Access) |
---|---|---|---|---|
該当なし |
Control |
7000 & 8000 シリーズ |
任意(Any) |
Admin/Network Admin |
7000 または 8000 シリーズ デバイスのハイ アベイラビリティ ペアを確立した後、アクティブなピア デバイスまたはスタックをバックアップに手動で切り替えることができます。
スマート ライセンス |
従来のライセンス |
サポートされるデバイス |
サポートされるドメイン |
アクセス(Access) |
---|---|---|---|---|
該当なし |
Control |
7000 & 8000 シリーズ |
任意(Any) |
Admin/Network Admin |
7000 または 8000 シリーズ デバイス高可用性ペアを設定した後で、デバイスのメンテナンスを実行するために、いずれかのピアをメンテナンス モードに切り替えることで、手動でフェールオーバーをトリガーできます。メンテナンス モードでは、システムが管理目的で管理インターフェイスを除くすべてのインターフェイスをダウンさせます。メンテナンスの完了後、ピアを再度有効にして、通常の動作を再開できます。
(注) | 高可用性ペアの両方のピアを同時にメンテナンス モードにしないでください。これを行うと、そのペアではトラフィックを検査できなくなります。 |
スマート ライセンス |
従来のライセンス |
サポートされるデバイス |
サポートされるドメイン |
アクセス(Access) |
---|---|---|---|---|
該当なし |
Control |
Firepower 8140、8200 ファミリ、8300 ファミリ |
任意(Any) |
Admin/Network Admin |
高可用性ペアのメンバーになっているスタックをメンテナンス モードに切り替えた後で、スタック内のセカンダリ デバイスを別のデバイスと交換できます。選択できるデバイスは、現在スタックのメンバーにも、ペアにもなっていないデバイスのみです。新しいデバイスは、デバイス スタックを確立する場合と同じガイドラインに従っている必要があります。
デバイスのハイ アベイラビリティ状態共有を使用すると、ハイ アベイラビリティ ペアのデバイスまたはスタックで、可能な限り状態を同期できます。したがって、いずれか一方のデバイスまたはスタックで障害が発生しても、もう一方のピアがトラフィック フローを中断せずに引き継ぐことができます。状態共有を使用しない場合、以下の機能が適切にフェールオーバーしない可能性があります。
ただし、状態共有を有効にすると、システム パフォーマンスが低下することに注意してください。
ハイ アベイラビリティ状態共有を設定するには、あらかじめハイ アベイラビリティ ペアの両方のデバイスまたはスタック構成のプライマリ デバイスで HA リンク インターフェイスを設定し、有効にする必要があります。Firepower 82xx ファミリおよび 83xx ファミリには 10 G の HA リンクが必要ですが、他のモデルのデバイスには 1 G の HA リンクで十分です。
HA リンク インターフェイスを変更する前に、状態共有を無効にする必要があります。
(注) | ペアを構成するデバイスでフェールオーバーが発生した場合は、アクティブ デバイス上の既存の SSL 暗号化セッションがすべて終了されます。ハイ アベイラビリティ状態共有を設定しているとしても、これらのセッションをバックアップ デバイスで再ネゴシエートする必要があります。SSL セッションを確立しているサーバがセッションの再利用をサポートしている場合でも、バックアップ デバイスに SSL セッション ID がないと、セッションを再ネゴシエートできません。 |
ドメインに対して厳密な TCP 適用を有効にすると、システムは TCP セッションで正常ではないパケットをすべてドロップします。たとえば、未確立の接続で受信した SYN 以外のパケットはドロップされます。状態共有が有効な場合、厳密な TCP 適用が有効にされているとしても、ハイ アベイラビリティ ペアのデバイスは、フェールオーバー後に接続を再び確立することなく TCP セッションを続行できます。厳密な TCP 適用は、インライン セット、仮想ルータ、および仮想スイッチで有効にすることができます。
単方向アクセス コントロール ルールを設定している場合、システムがフェールオーバーの後に接続ミッドストリームを再評価する際に、ネットワーク トラフィックが意図されたものとは異なるアクセス コントロール ルールに一致する可能性があります。たとえば、ポリシーに以下の 2 つのアクセス コントロール ルールが含まれているとします。
Rule 1: Allow from 192.168.1.0/24 to 192.168.2.0/24 Rule 2: Block all
状態共有が有効でない場合、フェールオーバーの後に 192.168.1.1 ~ 192.168.2.1 からの許可される接続がまだアクティブになっているために、次のパケットが応答パケットとしてみなされると、システムは接続を拒否します。状態共有が有効であれば、ミッドストリーム ピックアップが既存の接続に一致することになり、接続が引き続き許可されます。
アクセス コントロール ルールやその他の要素に基づいて、最初のパケットで多数の接続がブロックされるとしても、システムが接続のブロッキングを決定する前に、いくつかのパケットを許可する場合があります。状態共有が有効な場合、システムはピア デバイスまたはスタックでも即時に接続をブロックします。
状態共有を有効にするには、このチェックボックスをクリックします。チェックボックスをクリアすると、状態共有が無効になります。
最小セッション時間(ミリ秒)を指定します。この時間を経過すると、システムがセッションの同期メッセージを送信します。0 ~ 65535 の整数を使用できます。この最小フロー有効期間に達しないセッションは、いずれも同期されず、接続のパケットを受信した時点でのみ、同期が行われます。
セッションの更新メッセージ最短間隔(ミリ秒)を指定します。0 ~ 65535 の整数を使用できます。最短同期間隔を設定することで、特定の接続が最短有効期間に達した後、その接続に対して、設定された値より頻繁に同期メッセージが送信されないようにします。
スマート ライセンス |
従来のライセンス |
サポートされるデバイス |
サポートされるドメイン |
アクセス(Access) |
---|---|---|---|---|
該当なし |
Control |
7000 & 8000 シリーズ |
リーフのみ |
Admin/Network Admin |
デバイスのハイ アベイラビリティ状態共有を使用すると、ハイ アベイラビリティ ペア内の 7000 または 8000 シリーズ デバイスまたはスタック間で、可能な限り状態を同期できます。したがって、いずれか一方のデバイスまたはスタックで障害が発生しても、もう一方のピアがトラフィック フローを中断せずに引き継ぐことができます。
注意 | 7000 または 8000 シリーズ デバイスのハイ アベイラビリティ状態共有オプションを変更すると、プライマリ デバイスとセカンダリ デバイスの Snort プロセスが再起動され、両方のデバイスのトラフィック インスペクションが一時的に中断されます。この中断中にトラフィックがドロップされるか、それ以上インスペクションが行われずに受け渡されるかは、管理対象デバイスのモデルおよびトラフィックの処理方法に応じて異なります。詳細については、Snort® の再起動によるトラフィックの動作を参照してください。 |
ステップ 1 | デバイスのハイ アベイラビリティ ペアのデバイスごとに HA リンク インターフェイスを設定します。HA リンク インターフェイスの設定を参照してください。 | ||
ステップ 2 | を選択します。 | ||
ステップ 3 | 編集するデバイス ハイ アベイラビリティ ペアの横にある編集アイコン()をクリックします。
マルチドメイン展開では、リーフ ドメインにいない場合、システムによって切り替えるように求められます。 | ||
ステップ 4 | [状態共有(State Sharing)] セクションの横にある編集アイコン()をクリックします。 | ||
ステップ 5 | 状態共有の値を下げてペア内のピアの準備状況を改善するか、値を上げてパフォーマンスを向上できるようにします。
| ||
ステップ 6 | [OK] をクリックして変更を保存します。 |
設定変更を展開します。設定変更の導入を参照してください。
以下の項では、デバイスごとに表示可能な統計情報と、7000 および 8000 シリーズ デバイスのハイ アベイラビリティ ペアの状態共有設定をトラブルシューティングするためにどのように利用できるかを説明します。
ペアを構成するピアから受信した、ハイ アベイラビリティ同期メッセージの数です。
値は、ピアが送信したメッセージ数と同等になっているはずです。アクティブに使用されている間は、値が一致しない場合もありますが、その差は小さいはずです。トラフィックが停止すると、値は安定し、受信したメッセージ数が送信されたメッセージ数と一致します。
トラブルシューティングを行う場合は、受信したメッセージ数と送信されたメッセージ数の両方を確認して増加率を比較し、両方の値が同等であることを確認します。各ピアでの送信数の値は、対応するピアでの受信数の値とほぼ同じ率で増えていなければなりません。
受信したメッセージの数が増加しなくなった場合、または増加率がピアから送信されたメッセージ数に追いついていない場合は、サポートに連絡してください。
システムはオーバーヘッドを低減させるために、複数のメッセージを単一のパケットにまとめます。[受信パケット数(Packets Received)] カウンタは、デバイスが受信したこれらのデータ パケットとその他の制御パケットの数を表示します。
値は、ピア デバイスが送信したパケット数と同等になっているはずです。アクティブに使用されている間は、値が一致しない場合もありますが、その差は小さいはずです。受信メッセージの数は、ピアが送信したメッセージ数と同等で、同じ率で増加していなければなりません。したがって、受信したパケットの数も同じ動作となるはずです。
トラブルシューティングを行う場合は、受信したパケットと送信されたメッセージの両方を確認して増加率を比較し、値が同じ率で増加していることを確認します。ペアを構成するピアでの送信の値が増えている場合、デバイスでの受信の値も同じ率で増えているはずです。
受信したパケットの数が増加しなくなった場合、または増加率がピアから送信されたメッセージ数に追いついていない場合は、サポートに連絡してください。
値は、もう一方のピアが送信したバイト数と同等になっているはずです。アクティブに使用されている間は、値が一致しない場合もありますが、その差は小さいはずです。
トラブルシューティングを行う場合は、受信した合計バイト数と送信されたメッセージ数の両方を確認して増加率を比較し、両方の値が同じ率で増えていることを確認します。ペアを構成するピアでの送信の値が増えている場合、デバイスでの受信の値も同じ率で増えているはずです。
受信バイト数が増加しなくなった場合、または増加率がピアから送信されたメッセージ数に追いついていない場合は、サポートに連絡してください。
受信したプロトコル オーバーヘッドのバイト数です。この数には、セッション状態同期メッセージのペイロードを除くすべてが含まれます。
値は、ピアが送信したバイト数と同等になっているはずです。アクティブに使用されている間は、値が一致しない場合もありますが、その差は小さいはずです。
トラブルシューティングを行う場合は、受信した合計バイト数を確認してプロトコル データと比較し、実際の状態データがどれだけ共有されているのかを調べます。プロトコル データが送信されるデータの大部分を占めている場合は、最小同期間隔を調整できます。
受信したプロトコル バイト数が、受信した合計バイト数と同等の割合で増えている場合は、サポートに連絡してください。受信したプロトコル バイト数が受信した合計バイト数に占める割合は、最小限でなければなりません。
ペアを構成するピアに送信した、ハイ アベイラビリティ同期メッセージの数です。
このデータは、受信メッセージ数との比較で役立ちます。アクティブに使用されている間は、値が一致しない場合もありますが、その差は小さいはずです。
トラブルシューティングを行う場合は、受信したメッセージ数と送信されたメッセージ数の両方を確認して増加率を比較し、両方の値が同等であることを確認します。
ピアに送信したハイ アベイラビリティ同期メッセージの合計送信バイト数です。
このデータは、受信メッセージ数との比較で役立ちます。アクティブに使用されている間は、値が一致しない場合もありますが、その差は小さいはずです。ピアで受信されたバイト数は、この値と同等であり、それより大きい値にはなっていないはずです。
システムがペアを構成するピアに送信するメッセージ用にスペースを割り当てるときに、メモリ割り当てに失敗した回数です。
この値は両方のピアで常にゼロでなければなりません。この数がゼロでない場合、あるいは着実に増加している場合(これは、システムにメモリ割り当てが不可能なエラーが発生していることを示します)は、サポートに連絡してください。
システムがメッセージをトランジット キューに入れようとして失敗した回数です。
この値は両方のピアで常にゼロでなければなりません。値がゼロでない場合、あるいは着実に増加している場合、これは、システムが HA リンクの間で過剰なデータを共有していて、データの送信に時間がかかりすぎていることを示します。
HA リンク MTU がデフォルト値(9918 または 9922)未満に設定されている場合は、値を増やす必要があります。最小フロー有効期間と最小同期間隔の設定を変更することで、HA リンク間で共有されるデータ量を減らし、この数の増加を防ぐことができます。
システム ログには、最新のハイ アベイラビリティ同期メッセージが表示されます。ログには、ERROR または WARN メッセージが示されていてはなりません。ログの内容は、常にピア間で同等でなければなりません(接続ソケットの数が同じであるなど)。
ただし、場合によっては、対照的なデータが表示されることもあります。たとえば、一方のピアがもう一方のピアから接続を受信したことをレポートしている場合、それぞれのログで参照される IP アドレスは異なります。このログから、ハイ アベイラビリティ状態共有接続を包括的に理解し、接続で発生したすべてのエラーを確認できます。
ログに、ERROR または WARN メッセージ、あるいは単なる通知目的ではないようなメッセージが示されている場合は、サポートに連絡してください。
スマート ライセンス |
従来のライセンス |
サポートされるデバイス |
サポートされるドメイン |
アクセス(Access) |
---|---|---|---|---|
該当なし |
Control |
7000 & 8000 シリーズ |
リーフのみ |
Admin/Network Admin |
状態共有を確立した後は、[ハイ アベイラビリティ(High Availability)] ページの [状態共有(State Sharing)] セクションで、設定に関する以下の情報を確認できます。
状態共有の統計情報は、主に、送受信されたハイ アベイラビリティ同期トラフィックのさまざまな側面に関するカウンタで、その他のエラー カウンタも含まれます。さらに、ハイ アベイラビリティ ペアのデバイスごとの最新システム ログも表示できます。
スマート ライセンス |
従来のライセンス |
サポートされるデバイス |
サポートされるドメイン |
アクセス(Access) |
---|---|---|---|---|
該当なし |
Control |
7000 & 8000 シリーズ |
任意(Any) |
Admin/Network Admin |
7000 または 8000 シリーズ デバイス高可用性ペアを分離(分断)すると、次のようになります。
アクティブなピア(デバイスまたはスタック)は、完全な展開機能を維持します
バックアップ ピア(デバイスまたはスタック)はインターフェイス設定を失って、アクティブ ピアにフェールオーバーします。ただし、インターフェイス設定をアクティブのままにすることを選択すると、バックアップ ピアは通常の動作を再開します。
バックアップ ピアは、常にパッシブ インターフェイスの設定を失います。
メンテナンス モードのピアは、通常の動作を再開します。