この製品のマニュアルセットは、偏向のない言語を使用するように配慮されています。このマニュアルセットでの偏向のない言語とは、年齢、障害、性別、人種的アイデンティティ、民族的アイデンティティ、性的指向、社会経済的地位、およびインターセクショナリティに基づく差別を意味しない言語として定義されています。製品ソフトウェアのユーザーインターフェイスにハードコードされている言語、RFP のドキュメントに基づいて使用されている言語、または参照されているサードパーティ製品で使用されている言語によりドキュメントに例外が存在する場合があります。シスコのインクルーシブランゲージに対する取り組みの詳細は、こちらをご覧ください。
このドキュメントは、米国シスコ発行ドキュメントの参考和訳です。リンク情報につきましては、日本語版掲載時点で、英語版にアップデートがあり、リンク先のページが移動/変更されている場合がありますことをご了承ください。あくまでも参考和訳となりますので、正式な内容については米国サイトのドキュメントを参照ください。
3 人以上のユーザが参加しているコールは会議になります。コラボレーティブ会議では、会議の参加者の一部または全員の音声、ビデオ、およびコンテンツが単一のストリームにミックスされ、このストリームが参加者に送り返されます。音声およびビデオは、マルチポイント コントロール ユニット(MCU)またはいくつかのマルチポイント デバイスによって処理されます。図 8-1 に、内部と外部両方の参加者、外勤職員と遠隔地の職員、または異なる組織からの参加者も含む会議を示します。
会議製品では、アドホック会議とスケジュール済み会議の 2 種類の会議がサポートされるのが一般的です。スケジュール済み会議には、スケジュール機能を提供するために Microsoft Exchange や IBM Domino などのカレンダー アプリケーションと統合されている Cisco TelePresence Management Suite(TMS)などの特別なツールが必要です。
アド ホック会議では、会議の開催者が会議を作成し、会議内容に関する事前通知を送信しないで、参加者に参加するよう依頼します。通常、会議の開催者は、エンドポイントの [Conference] キーを押して会議を作成し、参加者に電話して参加者を会議に追加します。[Conference] キーのないエンドポイントでは、会議を開催することはできませんが、会議への参加依頼を受けることはできます。アド ホック会議用にリソースを予約することはできません。この会議を作成できるのは、会議作成時に十分なリソースが使用可能な場合に限ります。その場合、会議はコール処理エージェント(Cisco Unified Communications Manager など)によって制御されます。
この種類の会議では、会議主催者は、製品のスケジュール ツールか、または会議製品のスケジュール機能と統合されたカレンダー アプリケーションを使用して、会議をスケジュールします。会議のリソースは、会議がスケジュールされたときに予約されます。リソースが不足している場合は、会議はスケジュールできません。会議に参加するには、参加者は、会議に直接ダイヤルするか、または会議への出席依頼に含まれる会議のリンクをクリックしてシステムにより参加者にコールします。この場合、マルチポイント デバイスが会議を制御し、コール処理エージェントがダイヤルされたコールを該当するマルチポイント デバイスにルーティングします。
図 8-2 に示すように、コール処理エージェントとマルチポイント デバイスが会議インフラストラクチャの主な構成要素です。コール処理エージェントは、信号を処理し、エンドポイントのコールを制御します。スケジュール済み会議の場合、コール処理エージェントは、コールをマルチポイント デバイスにルーティングします。Cisco Unified Communications Manager(Unified CM)と Cisco TelePresence Video Communication Server(VCS)は、Cisco ビデオ会議製品で最もよく使用されるコール処理エージェントです。Unified CM が SIP を介して VCS と接続することで、一方のエージェントに登録されたエンドポイントが、他方のエージェントに登録されたエンドポイントとコールまたは会議することができます。
マルチポイント デバイスの主機能は、会議中にエンドポイントからメディア(音声とビデオ)を処理することです。一般に、コール処理エージェントとマルチポイント デバイスの接続は SIP または H.323 です。
マルチポイント デバイスは会議のインフラストラクチャの中心的構成要素で、ハードウェア ベースでもソフトウェア ベースでもかまいません。マルチポイント デバイスは、参加しているすべてのエンドポイントからのビデオ ストリームを処理し、全参加者の複合イメージを元のエンドポイント デバイスに送り返します。この複合ビューにより、全参加者は互いを同時に見ることができます。連続的プレゼンス ビューでは、複数のウィンドウ(参加者)をさまざまなレイアウトで表示できます。各レイアウトには、ウィンドウの 1 つを Voice-Activated にする機能があり、合成ビューに表示できるウィンドウの数よりも参加者の方が多い会議で役立ちます。
マルチポイントのプラットフォームには、トランスコーディング アーキテクチャまたは切り替えアーキテクチャを使用できます。どちらのアーキテクチャにも、導入対象としてマルチポイントのプラットフォームを選択する際に検討に価するメリットがあります。
• トランスコーディング アーキテクチャには、着信したビデオ ストリームを復号化し、再度符号化してから転送する、高度なビデオ ハードウェアが含まれています。トランスコーディング アーキテクチャを使用する例としては、Cisco TelePresence Server、Cisco Media Experience Engine(MXE)、および Cisco Multipoint Control Unit(MCU)があります。
• 切り替え では、高度なビデオ ハードウェアは不要ですが、代わりにソフトウェアを使用します。着信したビデオ ストリームとオーディオ ストリームは、コピーされて、会議の該当するエンドポイントにリダイレクトされます。このとき、ビデオ ストリームは操作されません。切り替えアーキテクチャを使用する例には、Cisco TelePresence Multipoint Switch があります。
表 1 に、マルチポイント プラットフォームのトランスコーディング アーキテクチャと切り替えアーキテクチャの利点と欠点を示します。
|
|
|
---|---|---|
• アクティブ プレゼンスがサポートされます。1 • エンドポイントが、さまざまな回線速度および解像度で接続できます。 • 通常、遠端カメラ制御(FECC)機能のあるエンドポイントでは、レイアウトをカスタマイズできます。 • エンドポイント間でビデオを拡張(トランスレート)できます。 • テレプレゼンス相互運用プロトコル(TIP)ベースのエンドポイントと標準プロトコル ベースのエンドポイントをサポートします。 |
||
• 基本的なフルスクリーン ビデオ切り替えのみ可能です(アクティブ プレゼンスなし。各画面には 1 つのサイトのみ表示可能)。 • エンドポイント間で、単一の解像度およびフレーム レートについてサポートおよび合意する必要があります。2 |
||
1.アクティブ プレゼンスでは、1 つの画面で複数の参加者を表示します。その際、アクティブな参加者はフル スクリーンで表示され、その他の参加者は画像内の画像として画面の下部に重ねて表示されます。 2.スマート メディアを使用する Cisco TelePresence System Release 1.7 以降のデバイスでは、IP ネットワークの状態に応じてビデオ解像度を調整できます。 |
マルチポイント技術を導入する方法には、集中型の方法と分散型の方法があります。ユーザ エクスペリエンスの最適化、リソースのローカライズ、およびマルチポイント コールの信頼性保証を行える導入方針を検討することが重要です。マルチポイント ソリューションの導入方法を設計する場合は、以下の点を考慮してください。
• エンドポイント数。これにより、今度は必要なマルチポイント デバイス数が決まります。
これら 2 つのファクタにより、マルチポイントの導入方法(集中型または分散型)、マルチポイント デバイス数、およびマルチポイント デバイスの物理的ロケーションが決まります。
集中型の設計は、少数のエンドポイントを含むマルチポイント デバイスの導入、または一部の地理的エリアのみへの大規模な導入に推奨します。
集中型の導入では、マルチポイント デバイスをリージョナル キャンパス サイトまたは本社のキャンパス サイトに配置でき、各リモート サイトでは必要な WAN 帯域幅(およびキャンパス内では必要な LAN 帯域幅)が使用可能です。シスコでは、エンドポイントの地理的ロケーションにおける中央にマルチポイント デバイスを配置することを推奨します(ただし、これが不可能なネットワーク レイアウトもあります)。マルチポイント デバイスを中央に配置することで、ネットワークの遠端のサイトにコールをバックホーリングすることによって不必要なレイテンシが発生することを防止できます。
図 8-3 に示す導入は、マルチポイント会議のレイテンシを最小化するために中央に配置したマルチポイント デバイスを使用する少数のエンドポイントを含んでいます。
マルチポイント デバイスは、ネットワーク レイテンシがソリューションの要件に準拠しているサイトに配置する必要があります。また、サイトは、ネットワークに導入するエンドポイント数に十分な帯域幅でプロビジョニングする必要があります。帯域幅要件は、エンドポイントに最大限必要なコール レート、およびマルチポイント デバイスに接続するエンドポイント数に応じて異なります。必要なレートおよび解像度に対して特定のエンドポイントで必要となる最大帯域幅に基づいて、プロビジョニングを行ってください。ネットワーク レイテンシおよび帯域幅要件の詳細については、 http://www.cisco.com にある個々のソリューション導入ガイドまたはソリューション設計ガイドを参照してください。
シスコでは、大規模な導入、または地理的に離れた地域において少数のエンドポイントしか含まない導入に対しては、分散型構成を選択することを推奨します。マルチポイントをローカライズすると、ネットワークが増大しても、レイテンシを最小化して帯域幅を節約できる利点が非常に大きくなります。
図 8-4 に、マルチポイント デバイスを各地域(NA および EMEA)の中央に配置するとともに世界中に分散している導入を示します。
分散型環境では、マルチポイント デバイスを配置するサイトは、ネットワーク レイテンシがソリューション要件に準拠し、サポートするエンドポイント数に十分な帯域幅を提供できることが必要です。
マルチポイント デバイスを導入する際には、以下の追加のガイドラインも順守する必要があります。
• 複数のマルチポイント デバイスを使用して、柔軟性があるマルチポイント ソリューション アーキテクチャを構築する。マルチポイント デバイスの 1 つが失敗した場合でも、動作しているデバイスから会議を再開できる。
• 大規模な会議の導入をサポートし、帯域幅使用量を最小化するため、マルチポイント デバイスをカスケード化する。マルチポイント デバイスをカスケード化するには、Cisco TelePresence Conductor を使用できる。
• Cisco TelePresence Conductor を使用して、会議の特性(例、地理的ロケーション、ビデオ品質)に基づいて会議用のマルチポイント デバイスを選定する。
• スケーラブルなマルチポイント ソリューションを構築できる導入を選択する。たとえば、エンドポイントを複数の地理的地域に導入していて、各地域のエンドポイント数の増大が予想される場合は、分散型マルチポイントの導入を使用する。
• トラフィックの負荷をマルチポイント デバイスに分散してリソース使用率が最大になるよう、ソリューションを設定します。
• シスコでは、大規模導入にはスケジュール オプションを使用することを推奨します。会議の作成が簡単になります。
• 可能な場合、シスコでは、エンドポイントがインターワーキングを行わなくてもネイティブ プロトコルで接続できるよう、MCU を異種環境に二重登録(SIP と H.323)することを推奨します。
導入に適したマルチポイント ソリューションを決定する場合、複数のファクタ(組織の現在の導入と目的とするエンドポイントの組み合わせなど)を考慮するとともに、どのマルチポイント機能にプライオリティを置くかを決定する必要があります。マルチポイント ソリューションのアーキテクチャを設計する際に一般的に考慮する必要があるファクタは、以下のとおりです。
マルチポイント デバイスを決定するときは、エンドポイントから開始します。以下のシナリオにあるように、エンドポイントの組み合わせによって、導入用のマルチポイント デバイス オプションを消去または決定できる場合があります。
• さまざまなビデオ形式、ビデオ コーデック、解像度、またはフレーム レートをサポートする異種のエンドポイントを含む導入では、最適のオプションはトランスコーティングとトランスレーティングを両方とも行えるマルチポイント デバイスです。そのような場合、Cisco TelePresence Multipoint Switch は、切り替えアーキテクチャに基づいているため、よい選択肢ではありません。
• テレプレゼンス相互運用プロトコル(TIP)ベースのエンドポイントと標準プロトコル ベースのエンドポイントを両方とも含む導入では、これらのプロトコル間で動作するビデオ ゲートウェイが必要です。たとえば、会議環境で、Cisco TelePresence System 3200 Series エンドポイント、Cisco IP Video Phone E20 エンドポイント、および Cisco TelePresence System EX90 エンドポイントのミックスと Cisco TelePresence Multipoint Switch が Cisco Unified CM に登録されている場合は、エンドポイント間の相互運用性を可能にする Cisco Media Experience Engine(MXE)が、追加する必要がある(予算面で)自明の選択肢となる可能性があります。
会議導入でどの機能に最高のプライオリティを置くかに注目することで、マルチポイント ソリューションの選択肢を限定することができます。下記に、選択するマルチポイント ソリューションの決定に影響する機能のリストの抜粋を示します。
• テレプレゼンス相互運用プロトコル(TIP)ベースのエンドポイント、標準プロトコル ベースのエンドポイント、サードパーティ製プロトコルのエンドポイントに対するサポート
• One Button To Push(OBTP)のサポート
• H.239、Binary Floor Control Protocol(BFCP)、または自動コラボレートによるコンテンツ共有トランスレーション
各マルチポイント製品でサポートされる機能の一覧については、 http://www.cisco.com にある個々の製品データ シートを参照してください。
マルチポイント デバイスがサポートできるビデオ会議のタイプと数の決定には、複数のファクタが関与します。これらのサイジング ファクタは、マルチポイント製品によって異なります。また、マルチポイント デバイスは、ビデオ会議で標準解像度(SD)を使用する場合、高解像度(HD)を使用する場合より高いキャパシティをサポートすることができます。
• マルチポイント デバイスが各プロトコル専用に割り当てることができるポート数
ビデオ会議で Cisco Integrated Services Router(ISR)上でブリッジとして Cisco 高密度パケット音声ビデオ デジタル シグナル プロセッサ モジュール(PVDM3)またはデジタル シグナル プロセッサ(DSP)の最新モデルを使用する場合は、Cisco Unified Communications Sizing Tool の DSP calculator を使用して会議のキャパシティを計算します。Cisco Unified Communications Sizing Tool(Unified CST)は、適切なログイン認証を持つシスコの従業員またはシスコのパートナーに http://tools.cisco.com/cucst で公開されています。